コードロック
【課題】操作が容易で、確実な紐部材の係止が可能なコードロックを提供する。
【解決手段】前面に開口部を有する本体部12と、本体部12に前後方向に移動可能に収納される押圧部14とを備え、本体部12は、裏壁20と、裏壁20の周囲に上壁22、底壁24、左側壁26及び右側壁28を有し、底壁24に一対の紐100が通る底壁通し孔38を、又左及び右側壁26、28のそれぞれに紐100が通る左及び右壁通し孔36、38を形成し、押圧部14は、前面に押圧面を有し、下部に一対の紐100を通す底面通し口52と、左右の側板にそれぞれ左及び右側通し口56、58を形成し、内部に左及び右側通し口56、58と底面通し口52との間で紐100を案内する案内板50を設け、更に、本体部12と押圧部14の間に、押圧部14を本体部12の外方に付勢するコイルばね16を設けてコードロック10を構成した。
【解決手段】前面に開口部を有する本体部12と、本体部12に前後方向に移動可能に収納される押圧部14とを備え、本体部12は、裏壁20と、裏壁20の周囲に上壁22、底壁24、左側壁26及び右側壁28を有し、底壁24に一対の紐100が通る底壁通し孔38を、又左及び右側壁26、28のそれぞれに紐100が通る左及び右壁通し孔36、38を形成し、押圧部14は、前面に押圧面を有し、下部に一対の紐100を通す底面通し口52と、左右の側板にそれぞれ左及び右側通し口56、58を形成し、内部に左及び右側通し口56、58と底面通し口52との間で紐100を案内する案内板50を設け、更に、本体部12と押圧部14の間に、押圧部14を本体部12の外方に付勢するコイルばね16を設けてコードロック10を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類の裾やバッグの口部等に設けられ、これらの裾や口部に通されている紐部材の止め位置を変更して、裾等の開口部を絞ったり広げたりするコードロックに関する。
【背景技術】
【0002】
コードロックは、本体部内部に押圧部を備え、本体部と押圧部で紐部材を挟み紐部材の移動を規制させるとともに押圧部を押圧して紐部材の係止を解除する器具であり、例えば、防風着の裾周りに通した紐部材に設け、紐部材を締めたり、緩めたりして裾周りの広がりを調整する。
【0003】
従来、有底筒状に形成した本体部に押圧部を上下方向に移動可能に収納するとともにばね部材により押圧部を上方に付勢させ、本体部の底壁に設けられた通し孔から通した紐部材を、左右の側壁に設けられた通し孔から引き出し、押圧部を上方から押し下げて紐部材の締結を操作するコードロックが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
又、本体部の上下に紐部材の通し孔を設け、本体部の前面に押圧部を設けて操作するようにしたコードロックが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−70014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記例のコードロックは、上面に押圧部が設けられていることから、操作性がよくなく、扱いにくい面を有していた。又、押圧部の移動方向が上下方向であることから、紐部材を押さえる保持力が不足する点があった。又上下に通し孔を設けたコードロックの場合には、紐部材でコードロックが垂れ下がると、コードロックが大きく振れたり、位置が安定せず操作しにくいことが考えられている。
【0007】
本発明は、操作が容易で、紐部材を強固に係止できるコードロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、コードロックを次のように構成した。
【0009】
前面に開口部を有する本体部と、本体部内に前後方向に移動可能に収納される押圧部と、を備え、本体部は、裏壁と、裏壁の周囲に上壁、底壁、左壁及び右壁を有し、底壁に一対の紐部材が通る底壁通し孔を、又左及び右壁のそれぞれに紐部材が通る左及び右壁通し孔を形成し、押圧部は、前面に押圧面を有し、下部に一対の紐部材を通す底面通し口と、左右の側板にそれぞれ左及び右側通し口を形成し、内部に左及び右側通し口と底面通し口との間で紐部材を案内する案内部材を設け、更に、本体部と押圧部の間に、押圧部を本体部の外方に付勢する付勢手段を設けてコードロックを構成した。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、操作が容易で、確実な紐部材の係止が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態にかかるコードロックの使用状態を示す斜視図。
【図2】同コードロックを示す分解斜視図。
【図3】同コードロックを示す正面図。
【図4】同コードロックを示す平面図。
【図5】同コードロックを示す左側面図。
【図6】同コードロックを示す底面図。
【図7】同コードロックの本体部を示す正面図。
【図8】同コードロックを示す断面図。
【図9】同コードロックの押圧部を示す正面図。
【図10】同押圧部を示す左側面図。
【図11】同押圧部を示す底面図。
【図12】同押圧部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態にかかるコードロックについて説明する。図1〜図8は、本発明の一実施形態にかかるコードロックを示す図である。
【0013】
図1に、コードロック10を衣類102に用いた例を示す。コードロック10は、本体部12内に押圧部14を移動自在に備え、吊下具18に通した保持帯19により衣類102の裾部104に取り付けられている。裾部104には、袋状部106が裾部104に沿って形成してあり、袋状部106内に通した紐100がコードロック10内に通されている。コードロック10は、保持帯19により袋状部106とほぼ同じ高さ位置に取り付けられている。
【0014】
図2に、コードロック10の分解斜視図を示す。図2に示すようにコードロック10は、本体部12と、本体部12内にコイルばね(付勢手段)16とともに収納された押圧部14とを備えている。以下、コードロック10の吊下具18が設けられている側をコードロック10の上方(図3参照)とし、押圧部14が露出している側を前方(図4参照)とし、基本的にそれに従いコードロック10の前後左右、及び上下を定める。
【0015】
本体部12は、上部に吊下具18を有し、図2に示すように裏壁20と、裏壁20の周囲に上壁22、底壁24、左側壁26、右側壁28等を備え、前面に開放部30が設けられている。上壁22と底壁24と左側壁26と右側壁28は、裏壁20に対してほぼ垂直に立ち上げられ、これらにより開放部30を形成している。左側壁26と右側壁28の横方向の間隔は、上方より下方のほうが若干狭く形成されている。
【0016】
吊下具18は、図3に示すように上方に延び、内部に長円形の孔部32が形成されている。吊下具18は、上壁22と一体に形成されている。上壁22には、図4にも示すように案内溝23が設けられている。案内溝23は、裏壁20から上壁22の前端縁の手前まで、前後方向に形成してある。裏壁20は、図5に示すように全体が前方にわずかに湾曲し、裏壁20の湾曲に連続して吊下具18の後面が形成されている。
【0017】
左側壁26と右側壁28は、それぞれ上壁22の左右に上壁22に連続して形成されており、左側壁26には左側壁通し孔34(図5参照)、右側壁28には右側壁通し孔36(図2参照)が設けられている。左側壁通し孔34と右側壁通し孔36は、左側壁26と右側壁28をそれぞれ貫通し、前後方向に長く、かつ左右対称に形成してある。左側壁26及び右側壁28のそれぞれの下端は、底壁24に連続している。
【0018】
底壁24は、図7に示すように上壁22とほぼ平行に形成してあり、図2、図6に示すように底壁通し孔38が設けられている。底壁通し孔38は、横長で、少なくとも紐(紐部材)100(図2参照)が横方向に2本並んで通る形状となっている。
【0019】
押圧部14を、図9から図12に示す。押圧部14は、図9に示すように前面に押圧板40を有し、全体が本体部12の開放部30に対応し、本体部12の内部に収納可能に形成してある。押圧部14は、図10に示すように裏面に裏板42を有し、上部に押圧板40と裏板42とを連結する上板44(図12参照)、左右側面に押圧板40と裏板42とを連結する左側板46と右側板48を有している。裏板42には、中央上下端に、爪部材43が設けられている。爪部材43は、後方が低くなるように、縦断面がほぼ三角形状に形成され、更に上部の爪部材43は本体部12の案内溝23に対応して形成されている。
【0020】
又、裏板42は、図2及び図11に示すように左右に突条部47が形成されている。突条部47は、断面四角形で、裏板42の左右の縁に沿って、裏板42の前面側に、後述する案内板50に当接するまで設けられている。又、少なくとも突条部47の前面側で、押圧部14の内側に位置する端縁51は、角が立った状態に形成されている。
【0021】
押圧部14の左側面には、図10に示すように押圧板40と左側板46と突条部47で区画された左側通し口56が形成されている。又、押圧部14の右側面にも、押圧部14の左側面と同様、右側通し口58(図11参照)が左側通し口56と対称に形成されている。
【0022】
押圧部14の内部には、図12に示すように案内板50が設けられている。図12は、図11のF12−F12線断面図である。案内板50は、押圧部14の下部中央から上に延び、押圧部14のほぼ中程で左右に分岐し、それぞれの端部が左側板46と右側板48に接続している。これにより、押圧部14の下面には、案内板50で区画された左底面通し口52と右底面通し口54が形成され、かつ左底面通し口52と右底面通し口54がそれぞれ左側通し口56と右側通し口58に連通されている。
【0023】
コイルばね16は、図2に示すように円錐状コイルばねであり、図8に示すように押圧部14をコイルばね16とともに本体部12に収納すると、押圧部14を本体部12の内部から前進方向に付勢する。図8は、図3のF8−F8線断面図である。これにより押圧部14は、コイルばね16により常に所定の押圧力で付勢された状態で、上部の爪部材43が案内溝23の前端に当接し、又、下部の爪部材43が底壁通し孔38の前部縁部に当接した位置に配置される。更に、左右の突条部47とそれぞれの左側通し口56と右側通し口58との間に所定の間隙が形成されている。
【0024】
次に、コードロック10の作用、効果について説明する。図1に、コードロック10を衣類102の裾部104に設けた使用例を示す。上述したように裾部104には、袋状部106が裾部104に沿って形成してあり、袋状部106内に紐100が通してある。コードロック10は、吊下具18に通した保持帯19により衣類102に、袋状部106とほぼ同じ高さ位置に取り付けられている。
【0025】
紐100は、環状に形成してあり、袋状部106の右開口端108から取り出された紐100が、コードロック10の右側壁通し孔36から本体部12内に挿入され、底壁通し孔38から取り出されるとともに、紐100を反転させて再度底壁通し孔38内に挿入し、左側壁通し孔34から外部に引き出し、袋状部106の左開口端110から袋状部106内に送り入れている。
【0026】
更に詳しくは、紐100は、右側面において、右側壁通し孔36と右側通し口56の間を通り、案内板50に案内されて右底面通し口54から底壁通し孔38を通って、コードロック10の外部に取り出されている。そして反転された紐100は、底壁通し孔38と左底面通し口54を通り、案内板50の案内により左側通し口56と左側壁通し孔34の間を通って、コードロック10の左方に取り出されている。
【0027】
このとき、押圧部14はコイルばね16で付勢されているので、右側壁通し孔36と右側通し口56の間及び左側通し口56と左側壁通し孔34の間で紐100は、突条部47と右側壁通し孔36及び左側壁通し孔34で挟まれ、移動が係止されている。突条部47の内側の端縁51は、角が立っているので、強固に紐100を挟持する。
【0028】
そして、例えば親指と人差し指の間でコードロック10をつまみ、押圧部14の押圧板40を本体部12に対して押圧する。すると、押圧部14が後退し、右側壁通し孔36と右側通し口56(突条部47)の間及び左側通し口56と左側壁通し孔34(突条部47)の間隔が開き、紐100の係止が解除される。この状態で、コードロック10の下方に延びた紐100を下方に引いて裾部104を絞ったり、あるいは紐100を左右に引いて裾部104を開く。
【0029】
このように、コードロック10によれば、親指と人差し指の間、あるいはコードロック10の裏面を体に押し付けた状態で押圧部14を押す等して紐100を容易に操作することができる。コードロック10は、内部で紐100を屈曲させ、保持帯19により衣類102の近傍に取り付けられているので、衣類102との密着性が良好になり、手に取りやすく、押圧部14を容易に操作できる。又、保持帯19が短いので、コードロック10が大きく振れることがない。
【0030】
コードロック10は、押圧部14に突条部47が設けられ、紐100を突条部47の端縁51の角で挟むことから、紐100を強固に保持できる。又、コードロック10から左右に引き出された紐100を左右に引くと、突条部47がコードロック10の左右外側に引き出されるように力が作用し、突条部47と右側壁通し孔36や左側壁通し孔34との食い込みが強く作用して、容易に緩まない。
【0031】
更に、コードロック10から下方に延びている紐100を下方に引くと、突条部47がコードロック10の内側斜め下方に引き込まれるように力が作用し、突条部47と右側壁通し孔36や左側壁通し孔34との食い込みが弱まり、紐100を下方に引いて裾部104を容易に絞れるように構成してもよい。
【0032】
又、紐100を引き下げる操作方向と逆方向に吊下具18が設けられているため、操作性を高くできる。コイルばね16が円錐状であることから、コイルばね16を圧縮したとき、ばね材が重ならずコードロック10を薄くできる。又、押圧部14を本体部12内部で適度に傾動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、操作が容易で、紐部材を確実に係止できるコードロックを提供できる。
【符号の説明】
【0034】
10…コードロック、12…本体部、14…押圧部、16…コイルばね、20…裏壁、22…上壁、24…底壁、26…左側壁、28…右側壁、34…左側壁通し孔、36…右側壁通し孔、38…底壁通し孔、40…押圧板、42…裏板、43…爪部材、44…上板、46…左側板、47…突条部、48…右側板、50…案内板、51…端縁、52…左底面通し口、54…右底面通し口、56…左側通し口、58…右側通し口、100…紐、102…衣類、104…裾部、106…袋状部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類の裾やバッグの口部等に設けられ、これらの裾や口部に通されている紐部材の止め位置を変更して、裾等の開口部を絞ったり広げたりするコードロックに関する。
【背景技術】
【0002】
コードロックは、本体部内部に押圧部を備え、本体部と押圧部で紐部材を挟み紐部材の移動を規制させるとともに押圧部を押圧して紐部材の係止を解除する器具であり、例えば、防風着の裾周りに通した紐部材に設け、紐部材を締めたり、緩めたりして裾周りの広がりを調整する。
【0003】
従来、有底筒状に形成した本体部に押圧部を上下方向に移動可能に収納するとともにばね部材により押圧部を上方に付勢させ、本体部の底壁に設けられた通し孔から通した紐部材を、左右の側壁に設けられた通し孔から引き出し、押圧部を上方から押し下げて紐部材の締結を操作するコードロックが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
又、本体部の上下に紐部材の通し孔を設け、本体部の前面に押圧部を設けて操作するようにしたコードロックが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−70014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記例のコードロックは、上面に押圧部が設けられていることから、操作性がよくなく、扱いにくい面を有していた。又、押圧部の移動方向が上下方向であることから、紐部材を押さえる保持力が不足する点があった。又上下に通し孔を設けたコードロックの場合には、紐部材でコードロックが垂れ下がると、コードロックが大きく振れたり、位置が安定せず操作しにくいことが考えられている。
【0007】
本発明は、操作が容易で、紐部材を強固に係止できるコードロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、コードロックを次のように構成した。
【0009】
前面に開口部を有する本体部と、本体部内に前後方向に移動可能に収納される押圧部と、を備え、本体部は、裏壁と、裏壁の周囲に上壁、底壁、左壁及び右壁を有し、底壁に一対の紐部材が通る底壁通し孔を、又左及び右壁のそれぞれに紐部材が通る左及び右壁通し孔を形成し、押圧部は、前面に押圧面を有し、下部に一対の紐部材を通す底面通し口と、左右の側板にそれぞれ左及び右側通し口を形成し、内部に左及び右側通し口と底面通し口との間で紐部材を案内する案内部材を設け、更に、本体部と押圧部の間に、押圧部を本体部の外方に付勢する付勢手段を設けてコードロックを構成した。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、操作が容易で、確実な紐部材の係止が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態にかかるコードロックの使用状態を示す斜視図。
【図2】同コードロックを示す分解斜視図。
【図3】同コードロックを示す正面図。
【図4】同コードロックを示す平面図。
【図5】同コードロックを示す左側面図。
【図6】同コードロックを示す底面図。
【図7】同コードロックの本体部を示す正面図。
【図8】同コードロックを示す断面図。
【図9】同コードロックの押圧部を示す正面図。
【図10】同押圧部を示す左側面図。
【図11】同押圧部を示す底面図。
【図12】同押圧部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態にかかるコードロックについて説明する。図1〜図8は、本発明の一実施形態にかかるコードロックを示す図である。
【0013】
図1に、コードロック10を衣類102に用いた例を示す。コードロック10は、本体部12内に押圧部14を移動自在に備え、吊下具18に通した保持帯19により衣類102の裾部104に取り付けられている。裾部104には、袋状部106が裾部104に沿って形成してあり、袋状部106内に通した紐100がコードロック10内に通されている。コードロック10は、保持帯19により袋状部106とほぼ同じ高さ位置に取り付けられている。
【0014】
図2に、コードロック10の分解斜視図を示す。図2に示すようにコードロック10は、本体部12と、本体部12内にコイルばね(付勢手段)16とともに収納された押圧部14とを備えている。以下、コードロック10の吊下具18が設けられている側をコードロック10の上方(図3参照)とし、押圧部14が露出している側を前方(図4参照)とし、基本的にそれに従いコードロック10の前後左右、及び上下を定める。
【0015】
本体部12は、上部に吊下具18を有し、図2に示すように裏壁20と、裏壁20の周囲に上壁22、底壁24、左側壁26、右側壁28等を備え、前面に開放部30が設けられている。上壁22と底壁24と左側壁26と右側壁28は、裏壁20に対してほぼ垂直に立ち上げられ、これらにより開放部30を形成している。左側壁26と右側壁28の横方向の間隔は、上方より下方のほうが若干狭く形成されている。
【0016】
吊下具18は、図3に示すように上方に延び、内部に長円形の孔部32が形成されている。吊下具18は、上壁22と一体に形成されている。上壁22には、図4にも示すように案内溝23が設けられている。案内溝23は、裏壁20から上壁22の前端縁の手前まで、前後方向に形成してある。裏壁20は、図5に示すように全体が前方にわずかに湾曲し、裏壁20の湾曲に連続して吊下具18の後面が形成されている。
【0017】
左側壁26と右側壁28は、それぞれ上壁22の左右に上壁22に連続して形成されており、左側壁26には左側壁通し孔34(図5参照)、右側壁28には右側壁通し孔36(図2参照)が設けられている。左側壁通し孔34と右側壁通し孔36は、左側壁26と右側壁28をそれぞれ貫通し、前後方向に長く、かつ左右対称に形成してある。左側壁26及び右側壁28のそれぞれの下端は、底壁24に連続している。
【0018】
底壁24は、図7に示すように上壁22とほぼ平行に形成してあり、図2、図6に示すように底壁通し孔38が設けられている。底壁通し孔38は、横長で、少なくとも紐(紐部材)100(図2参照)が横方向に2本並んで通る形状となっている。
【0019】
押圧部14を、図9から図12に示す。押圧部14は、図9に示すように前面に押圧板40を有し、全体が本体部12の開放部30に対応し、本体部12の内部に収納可能に形成してある。押圧部14は、図10に示すように裏面に裏板42を有し、上部に押圧板40と裏板42とを連結する上板44(図12参照)、左右側面に押圧板40と裏板42とを連結する左側板46と右側板48を有している。裏板42には、中央上下端に、爪部材43が設けられている。爪部材43は、後方が低くなるように、縦断面がほぼ三角形状に形成され、更に上部の爪部材43は本体部12の案内溝23に対応して形成されている。
【0020】
又、裏板42は、図2及び図11に示すように左右に突条部47が形成されている。突条部47は、断面四角形で、裏板42の左右の縁に沿って、裏板42の前面側に、後述する案内板50に当接するまで設けられている。又、少なくとも突条部47の前面側で、押圧部14の内側に位置する端縁51は、角が立った状態に形成されている。
【0021】
押圧部14の左側面には、図10に示すように押圧板40と左側板46と突条部47で区画された左側通し口56が形成されている。又、押圧部14の右側面にも、押圧部14の左側面と同様、右側通し口58(図11参照)が左側通し口56と対称に形成されている。
【0022】
押圧部14の内部には、図12に示すように案内板50が設けられている。図12は、図11のF12−F12線断面図である。案内板50は、押圧部14の下部中央から上に延び、押圧部14のほぼ中程で左右に分岐し、それぞれの端部が左側板46と右側板48に接続している。これにより、押圧部14の下面には、案内板50で区画された左底面通し口52と右底面通し口54が形成され、かつ左底面通し口52と右底面通し口54がそれぞれ左側通し口56と右側通し口58に連通されている。
【0023】
コイルばね16は、図2に示すように円錐状コイルばねであり、図8に示すように押圧部14をコイルばね16とともに本体部12に収納すると、押圧部14を本体部12の内部から前進方向に付勢する。図8は、図3のF8−F8線断面図である。これにより押圧部14は、コイルばね16により常に所定の押圧力で付勢された状態で、上部の爪部材43が案内溝23の前端に当接し、又、下部の爪部材43が底壁通し孔38の前部縁部に当接した位置に配置される。更に、左右の突条部47とそれぞれの左側通し口56と右側通し口58との間に所定の間隙が形成されている。
【0024】
次に、コードロック10の作用、効果について説明する。図1に、コードロック10を衣類102の裾部104に設けた使用例を示す。上述したように裾部104には、袋状部106が裾部104に沿って形成してあり、袋状部106内に紐100が通してある。コードロック10は、吊下具18に通した保持帯19により衣類102に、袋状部106とほぼ同じ高さ位置に取り付けられている。
【0025】
紐100は、環状に形成してあり、袋状部106の右開口端108から取り出された紐100が、コードロック10の右側壁通し孔36から本体部12内に挿入され、底壁通し孔38から取り出されるとともに、紐100を反転させて再度底壁通し孔38内に挿入し、左側壁通し孔34から外部に引き出し、袋状部106の左開口端110から袋状部106内に送り入れている。
【0026】
更に詳しくは、紐100は、右側面において、右側壁通し孔36と右側通し口56の間を通り、案内板50に案内されて右底面通し口54から底壁通し孔38を通って、コードロック10の外部に取り出されている。そして反転された紐100は、底壁通し孔38と左底面通し口54を通り、案内板50の案内により左側通し口56と左側壁通し孔34の間を通って、コードロック10の左方に取り出されている。
【0027】
このとき、押圧部14はコイルばね16で付勢されているので、右側壁通し孔36と右側通し口56の間及び左側通し口56と左側壁通し孔34の間で紐100は、突条部47と右側壁通し孔36及び左側壁通し孔34で挟まれ、移動が係止されている。突条部47の内側の端縁51は、角が立っているので、強固に紐100を挟持する。
【0028】
そして、例えば親指と人差し指の間でコードロック10をつまみ、押圧部14の押圧板40を本体部12に対して押圧する。すると、押圧部14が後退し、右側壁通し孔36と右側通し口56(突条部47)の間及び左側通し口56と左側壁通し孔34(突条部47)の間隔が開き、紐100の係止が解除される。この状態で、コードロック10の下方に延びた紐100を下方に引いて裾部104を絞ったり、あるいは紐100を左右に引いて裾部104を開く。
【0029】
このように、コードロック10によれば、親指と人差し指の間、あるいはコードロック10の裏面を体に押し付けた状態で押圧部14を押す等して紐100を容易に操作することができる。コードロック10は、内部で紐100を屈曲させ、保持帯19により衣類102の近傍に取り付けられているので、衣類102との密着性が良好になり、手に取りやすく、押圧部14を容易に操作できる。又、保持帯19が短いので、コードロック10が大きく振れることがない。
【0030】
コードロック10は、押圧部14に突条部47が設けられ、紐100を突条部47の端縁51の角で挟むことから、紐100を強固に保持できる。又、コードロック10から左右に引き出された紐100を左右に引くと、突条部47がコードロック10の左右外側に引き出されるように力が作用し、突条部47と右側壁通し孔36や左側壁通し孔34との食い込みが強く作用して、容易に緩まない。
【0031】
更に、コードロック10から下方に延びている紐100を下方に引くと、突条部47がコードロック10の内側斜め下方に引き込まれるように力が作用し、突条部47と右側壁通し孔36や左側壁通し孔34との食い込みが弱まり、紐100を下方に引いて裾部104を容易に絞れるように構成してもよい。
【0032】
又、紐100を引き下げる操作方向と逆方向に吊下具18が設けられているため、操作性を高くできる。コイルばね16が円錐状であることから、コイルばね16を圧縮したとき、ばね材が重ならずコードロック10を薄くできる。又、押圧部14を本体部12内部で適度に傾動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、操作が容易で、紐部材を確実に係止できるコードロックを提供できる。
【符号の説明】
【0034】
10…コードロック、12…本体部、14…押圧部、16…コイルばね、20…裏壁、22…上壁、24…底壁、26…左側壁、28…右側壁、34…左側壁通し孔、36…右側壁通し孔、38…底壁通し孔、40…押圧板、42…裏板、43…爪部材、44…上板、46…左側板、47…突条部、48…右側板、50…案内板、51…端縁、52…左底面通し口、54…右底面通し口、56…左側通し口、58…右側通し口、100…紐、102…衣類、104…裾部、106…袋状部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口部を有する本体部と、前記本体部内に前後方向に移動可能に収納される押圧部と、を備え、
前記本体部は、前記本体部の後方に設けられた裏壁と、前記裏壁の周囲に設けられた上壁、底壁、左側壁及び右側壁とを有し、前記下壁に一対の紐部材が通る底壁通し孔を、又前記左側壁及び右側壁のそれぞれに前記紐部材が通る左及び右壁通し孔を形成し、
前記押圧部は、前面に押圧面を有し、下部に一対の前記紐部材を通す底面通し口と、左右の側板にそれぞれ左側通し口及び右側通し口を形成し、内部に前記左側通し口及び右側通し口と前記底面通し口との間で前記紐部材を案内する案内部材を設け、
更に、前記本体部と前記押圧部の間に、前記押圧部を前記本体部の前方に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とするコードロック。
【請求項2】
前記押圧部は、前記左及び右側通し口に、前記左及び右壁通し孔との間で前記紐部材を挟持する突条部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のコードロック。
【請求項3】
前記上壁に吊下具を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のコードロック。
【請求項4】
前記付勢手段は、円錐状コイルばねであること特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコードロック。
【請求項1】
前面に開口部を有する本体部と、前記本体部内に前後方向に移動可能に収納される押圧部と、を備え、
前記本体部は、前記本体部の後方に設けられた裏壁と、前記裏壁の周囲に設けられた上壁、底壁、左側壁及び右側壁とを有し、前記下壁に一対の紐部材が通る底壁通し孔を、又前記左側壁及び右側壁のそれぞれに前記紐部材が通る左及び右壁通し孔を形成し、
前記押圧部は、前面に押圧面を有し、下部に一対の前記紐部材を通す底面通し口と、左右の側板にそれぞれ左側通し口及び右側通し口を形成し、内部に前記左側通し口及び右側通し口と前記底面通し口との間で前記紐部材を案内する案内部材を設け、
更に、前記本体部と前記押圧部の間に、前記押圧部を前記本体部の前方に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とするコードロック。
【請求項2】
前記押圧部は、前記左及び右側通し口に、前記左及び右壁通し孔との間で前記紐部材を挟持する突条部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のコードロック。
【請求項3】
前記上壁に吊下具を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のコードロック。
【請求項4】
前記付勢手段は、円錐状コイルばねであること特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコードロック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−270(P2013−270A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133075(P2011−133075)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
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