説明

コードロック

【課題】コードロックの機能をより向上させる。
【解決手段】外側パーツFは第一開口部1と第二開口部2との間に紐状体Cdに対する留め付け用内壁5aを有すると共にその内方に案内溝9を有している。内側パーツMは第二開口部2側で基部10に連接されて第一開口部1側に延び、この第一開口部1側に位置される自由端11aと留め付け用内壁5aとの間に紐状体Cdを通過させる可動腕部11を有している。可動腕部11には案内溝9に案内される被案内部11hと留め付け用内壁5aに向けて突き出して紐状体Cdに突き立てられる爪部11cとが備えられている。案内溝9と被案内部11hとによって、紐状体Cdに対する第二開口部2から引き出される向きへの張力の作用により所定位置よりこの第二開口部2側に内側パーツMが近づくに連れて、自由端11aと留め付け用内壁5aとの間の距離を漸減させる可動腕部11の可動がなされるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紐状体の任意の位置に留め付けられて、かかる紐状体により絞られたり、引き締められたりする箇所を備えた各種の物品におけるかかる箇所を絞ったり、引き締めたりするために用いられるコードロックの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
紐の通される外側パーツ(ハウジング)と、この外側パーツに内蔵される内側パーツ(ロッキングエレメント)とからなるコードロック(コードファスナー)がある。(特許文献1参照)内側パーツは紐の挿通方向に沿う向きに付勢される頭部を有し、前記付勢によりこの頭部と外側パーツ内に形成された斜面との間で紐を挟持するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許明細書第4878269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種のコードロックの機能をより向上させる点にある。より具体的には、この発明は、第一に、コードロックに通された紐状体に一方向に向けた張力が作用されたときはこの紐状体に対する留め付け力を合理的に強めるようにし、第二に、コードロックに通された紐状体に他方向に向けた張力が作用されたときはこの紐状体に対する留め付け力を合理的に弱めるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記第一の目的を達成するために、この発明にあっては、コードロックを、第一開口部と、これに対向する第二開口部とを有し、両開口部を通じて内部に紐状体を通過させる外側パーツと、
前記紐状体の通過方向に沿った移動可能に前記外側パーツに組み合わされる内側パーツとを有し、
前記外側パーツは、第一開口部と第二開口部との間に前記紐状体に対する留め付け用内壁を有すると共に、この留め付け用内壁の内方に前記紐状体の通過方向に延びる案内溝を有しており、
前記内側パーツは、基部と、前記第二開口部側でこの基部に連接されて前記第一開口部側に延び、この第一開口部側に位置される自由端と前記留め付け用内壁との間に前記紐状体を通過させる可動腕部とを有しており、
この可動腕部には、前記案内溝に案内される被案内部と、前記自由端から前記留め付け用内壁に向けて突き出して前記紐状体に突き立てられる爪部とが備えられており、
前記案内溝と被案内部とによって、前記紐状体に対する前記第二開口部から引き出される向きへの張力の作用により所定位置よりこの第二開口部側に内側パーツが近づくに連れて、前記自由端と前記留め付け用内壁との間の距離を漸減させる前記可動腕部の可動がなされるようになっているものとした。
【0006】
かかる構成によれば、前記紐状体に対して前記第二開口部から引き出される向きへの張力が作用されたときには、かかる紐状体に対する留め付け用内壁と可動腕部の自由端との間での挟持状態を内側パーツの第二開口部側への移動を通じて強化することができ、この向きへの紐状体の抜け出しを効果的に阻止することができる。
【0007】
かかるコードロックにおいて、さらに、前記案内溝と被案内部とによって、紐状体に対する第一開口部から引き出される向きへの張力の作用により所定位置より第一開口部側に内側パーツが近づくに連れて、自由端と留め付け用内壁との間の距離を漸増させる前記可動腕部の可動がなされるようにしておけば、前記第二の目的を達成することができる。すなわち、前記紐状体に対して前記第一開口部から引き出される向きへの張力が作用されたときには、かかる紐状体に対する留め付け用内壁と可動腕部の自由端との間での挟持状態を内側パーツの第一開口部側への移動を通じて弱化することができ、この向きへは紐状体を所望の長さ分引き出すことができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、コードロックに通された紐状体に一方向に向けた張力が作用されたときはこの紐状体に対するコードロックの留め付け力を合理的に強めさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は実施の形態にかかるコードロックを構成する外側パーツと内側パーツとを分離させた状態で示した斜視図である。
【図2】図2は実施の形態にかかるコードロックにおける外側パーツを破断して示した断面図である。
【図3】図3は図2におけるA−A線断面図である。
【図4】図4は実施の形態にかかるコードロックの使用状態を外側パーツを破断して示した断面図であり、内側パーツは基準位置にある。
【図5】図5は実施の形態にかかるコードロックの使用状態を外側パーツを破断して示した断面図であり、図4の状態から紐状体が第二開口部から引き出される方向に引っ張られている状態を示している。
【図6】図6は実施の形態にかかるコードロックの使用状態を外側パーツを破断して示した断面図であり、図4の状態から紐状体が第一開口部から引き出される方向に引っ張られている状態を示している。
【図7】図7は実施の形態にかかるコードロックの使用状態を外側パーツを破断して示した断面図であり、図4の状態から内側パーツを第一開口部から外方に向けて引き操作した状態を示している。
【図8】図8は実施の形態にかかるコードロックの使用状態を外側パーツを破断して示した断面図であり、図7の状態から内側パーツをさらに外方に向けて引き操作した状態を示している。
【図9】図9は外側パーツの平面図である。
【図10】図10は外側パーツの底面図である。
【図11】図11は外側パーツの正面図である。
【図12】図12は図11におけるB−B線断面図である。
【図13】図13は外側パーツの側面図である。
【図14】図14は図13におけるC−C線断面図である。
【図15】図15は図13におけるD−D線断面図である。
【図16】図16は内側パーツの正面図である。
【図17】図17は内側パーツの平面図である。
【図18】図18は内側パーツの底面図である。
【図19】図19は内側パーツの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1〜図19に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかるコードロックは、紐状体Cdの任意の位置に留め付け可能であり、また、この留め付け状態から紐状体Cdを一方向に引っ張った場合に限りこの留め付け位置の調整ができ、また、コードロックを構成する後述の内側パーツMを操作することでこの留め付け状態の完全解除も可能になっている。
【0011】
かかる紐状体Cdは、このようなコードロックの留め付けが可能なものであれば、その形状(丸紐、平紐など)、材質や構造(編み紐、ゴム紐、合成樹脂製の紐など)は問われない。かかるコードロックは、典型的には、こうした紐状体Cdにより絞られたり、引き締められたりする箇所を備えた各種の物品におけるこの紐状体Cdに留め付けられて、その留め付け位置を変えることでこのような箇所を絞ったり、緩めたりするように用いられる。
【0012】
かかるコードロックは、外側パーツFと、この外側パーツFに組み合わされる内側パーツMとから構成されている。
【0013】
外側パーツFは、第一開口部1と、これに対向する位置に第二開口部2とを有し、両開口部1、2を通じて内部に紐状体Cdを通過させるようになっている。
【0014】
図示の例では、外側パーツFは、扁平の筒状を呈している。すなわち、外側パーツFは、幅広の表板部3及び裏板部4と、左右の側板部5、5とを有している。
【0015】
表板部3と裏板部4はその外郭形状を等しくしている。また、表板部3と裏板部4はいずれも、これを左右方向に二分する仮想の中心線xを挟んだ左側の形状に対し、右側の形状を、この中心線xを対称軸とした線対称となる形状としている。(図14、図15)
【0016】
前記側板部5は、前記中心線xに直交する仮想の第一線分y1と、この第一線分y1との間に間隔を開けて同じく前記中心線xに直交する仮想の第二線分y2との間において、形成されている。そして、外側パーツFは、かかる第一線分y1上の箇所を前記第一開口部1とし、かかる第二線分y2上の箇所を前記第二開口部2としている。左右の側板部5、5はいずれも、第一開口部1から第二開口部2に向かうに連れて、前記中心線xに次第に近づくように傾斜している。これにより、図示の例では、第二開口部2は第一開口部1よりも左右方向の寸法を小さくしている。
【0017】
前記表板部3と裏板部4はいずれも、前記第一線分y1よりも外側に張り出す第一張り出し部6と、前記第二線分y2よりも外側に張り出す第二張り出し部7とを備えている。表板部3の第二張り出し部7の頂端と裏板部4の第二張り出し部7の頂端との間には、仕切部8が架設されており、第二開口部2側はこの仕切部8により左右に二分された様子となっている。
【0018】
また、かかる外側パーツFは、前記第一開口部1と第二開口部2との間に前記紐状体Cdに対する留め付け用内壁5aを有している。図示の例では、前記左右の側板部5、5の内面がそれぞれ、かかる留め付け用内壁5aとして機能するようになっている。
【0019】
それと共に、かかる外側パーツFは、前記留め付け用内壁5aの内方に前記紐状体Cdの通過方向に延びる案内溝9を有している。図示の例では、かかる案内溝9は、前記表板部3にあっては、前記中心線xを挟んだ左右においてそれぞれ、その内面に刻設状に形成された有底の溝として構成されている。また、かかる案内溝9は、前記裏板部4にあっては、前記中心線xを挟んだ左右においてそれぞれ、この内面部を内外に貫通する透かし溝として構成されている。もっとも、かかる案内溝9は、前記表板部3及び裏板部4の双方において透かし溝により形成してあっても良く、また、前記表板部3及び裏板部4の双方において有底の溝により形成してあっても良い。
【0020】
かかる案内溝9は、前記紐状体Cdの通過方向に長く、また、後述の内側パーツMの被案内部11hを遊びを持って納める幅を備えている。また、かかる案内溝9は、前記第一線分y1及び第二線分y2との間を二分する前記中心線xに直交する仮想の第三線分y3上に溝内端9aを位置させて、前記第一線分y1を超えて第一張り出し部6に至り、この第一張り出し部6に溝外端を位置させるように形成されている。(図14、図15)
【0021】
かかる案内溝9における前記中心線x側に位置される溝壁9cは、前記第三線分y3と前記第一線分y1の外側にあって前記中心線xに直交する仮想の第四線分y4との間において、この第四線分y4に近づくに連れて次第に前記中心線xとの距離を小さくさせるように傾斜している。(図14、図15)
【0022】
また、かかる案内溝9における前記留め付け用内壁5a側に位置される溝壁9dは、前記第三線分y3と前記第一線分y1のやや外側となる箇所との間において、この第一線分y1側に近づくに連れて次第に前記中心線xとの距離を小さくさせるように傾斜している。(図14、図15)
【0023】
図示の例では、前記裏板部4においては、案内溝9は、前記第一張り出し部6の縁部と第四線分y4との間に溝外端9bを位置させている。また、かかる裏板部4の内面には、前記中心線xの左右においてそれぞれ、案内溝9の留め付け用内壁5a側に位置される溝縁と第一張り出し部6の縁部との間に亘る導入溝4aが形成されている。
【0024】
一方、図示の例では、前記表板部3においては、案内溝9は、前記第四線分y4位置から第一張り出し部6の縁部まで続き、この縁部において溝外端9bを開放させている。
【0025】
一方、内側パーツMは、前記紐状体Cdの通過方向に沿った移動可能に前記外側パーツFに組み合わされるようになっている。
【0026】
かかる内側パーツMは、基部10と、前記第二開口部2側でこの基部10に連接されて前記第一開口部1側に延び、この第一開口部1側に位置される自由端11aと前記留め付け用内壁5aとの間に前記紐状体Cdを通過させる可動腕部11とを有している。それと共に、かかる可動腕部11には、前記案内溝9に案内される被案内部11hと、前記自由端11aから前記留め付け用内壁5aに向けて突き出して前記紐状体Cdに突き立てられる爪部11cとが備えられている。
【0027】
図示の例では、内側パーツMは、軸状をなす基部10と、この基部10の一端10aから左側に突き出す可動腕部11と、この基部10の一端10aから右側に突き出す可動腕部11とを備えている。左右の可動腕部11、11はそれぞれ、その自由端11aを基部10の他端10b側に向けると共に、この自由端11aに近づくに連れて基部10との間の間隔を広げるように、前記基部10の一端10aから斜めに突き出している。また、図示の例では、左右の可動腕部11、11はそれぞれ、その基端11bを基部10の一端10aに一体化させており、左右の可動腕部11、11はそれぞれ、この基端11bを弾性変形の中心として前記自由端11aと基部10との距離を広げ又狭めるように弾性変形により可動されるようになっている。左側の可動腕部11に対し、右側の可動腕部11は、前記基部10を中心として線対称となる形状を持つように構成されている。
【0028】
かかる内側パーツMは、外側パーツFの第一開口部1より、この外側パーツF内に、前記基部10の一端10aを先にし、かつ、かかる左側の可動腕部11が左側の留め付け用内壁5aに向き合い、右側の可動腕部11が右側の留め付け用内壁5aに向き合う向きで、納められるようになっている。
【0029】
左右の可動腕部11、11はそれぞれ、その自由端11aにおける留め付け用内壁5aに向き合う箇所に、前記爪部11cを備えている。図示の例では、かかる爪部11cは、可動腕部11の長さ方向において隣り合う爪部11cとの間に間隔を開けて、三つ設けられている。各爪部11cは、外側パーツFの表板部3の内面に向き合う幅側側面11dと、裏板部4の内面に向き合う幅側側面11dと、両幅側側面11d、11dにそれぞれ直交する厚さ側側面11eとを有している。かかる爪部11cにおける前記第一開口部1側に向けられる厚さ側側面11eと、前記第二開口部2側に向けられる厚さ側側面11eとは、鋭角に交わって爪部11cの爪先を形成させている。かかる爪部11cにおける前記第一開口部1側に向けられる厚さ側側面11eは前記自由端11aと留め付け用内壁5aとの間を通過する紐状体Cdの長さ方向に略直交する直交面11fとなっており、一方、前記第二開口部2側に向けられる厚さ側側面11eは前記第一開口部1側に向けられる厚さ側側面11eとの間に前記鋭角を形成する傾斜面11gとなっている。
【0030】
また、図示の例では、可動腕部11の自由端11aにおける、前記表板部3に向き合う箇所と、前記裏板部4に向き合う箇所とにそれぞれ、被案内部11hが形成されている。図示の例では、かかる被案内部11hは、短寸の円柱状を呈している。
【0031】
そして、図示の例では、外側パーツF内に前記のように内側パーツMを納めるにあたり、外側パーツFの前記中心線xを挟んだ左右においてそれぞれ、前記表板部3に形成された案内溝9にこの側に形成された被案内部11hが入り込み、前記裏板部4に形成された案内溝9にこの側に形成された被案内部11hが入り込み、これにより外側パーツFと内側パーツMとが組み合わされるようになっている。内側パーツMは被案内部11hを案内溝9に納めた状態では常時左右の可動腕部11、11を内向きに弾性変形させており、(図2)また、外側パーツFの前記中心線xに基部10を沿わせた状態でこの中心線xに沿って移動されるようになっている。
【0032】
図示の例では、前記表板部3側の被案内部11hの先端と前記裏板部4側の被案内部11hの先端との間の距離が、表板部3の案内溝9の溝底と裏板部4の前記導入溝4aの溝底との間の距離よりもやや大きくなるようにしてある。これにより、図示の例では、外側パーツF内へ前記のように内側パーツMを納めるにあたり、導入溝4aを被案内部11hが通過するまでの間は主として外側パーツFの第一張り出し部6を外側に撓み出させてこの納め入れを許容させるようになっている。そして、かかる導入溝4aを被案内溝9が通過した段階での第一張り出し部6の撓み戻しにより、裏板部4の案内溝9から被案内部11hが抜け出さない状態を作り出して、外側パーツFと内側パーツMとを分離しないように組み合わせている。(図3)
【0033】
そして、この実施の形態にあっては、前記案内溝9と被案内部11hとによって、前記紐状体Cdに対する前記第二開口部2から引き出される向きへの張力の作用により所定位置より前記第二開口部2側に内側パーツMが近づくに連れて、前記自由端11aと前記留め付け用内壁5aとの間の距離を漸減させる前記可動腕部11の可動がなされるようになっている。
【0034】
図示の例では、外側パーツFの留め付け用内壁5aと内側パーツMの可動腕部11の自由端11aとの間に、前記案内溝9の長さ方向中程の位置に被案内部11hを位置させた所定位置において、留め付け用内壁5aと爪部11cの爪先との間の距離よりも太さを太くする紐状体Cdを通過させた場合、内側パーツMが前記所定位置にあるときは前記爪部11cが紐状体Cdに食い込みコードロックが紐状体Cdに留め付くようになっている。(図4/基準状態)この状態から、紐状体Cdに前記第二開口部2から引き出される向きの張力を作用させると、より具体的には、外側パーツFを固定させた状態で紐状体Cdにおける第二開口部2から引き出されている箇所に引っ張り力を作用させると、爪部11cを紐状体Cdに食い込ませている内側パーツMは第二開口部2側に移動されながら、自由端11aを留め付け用内壁5aから離す向きに可動され案内溝9における前記中心線x側に位置される溝壁9cに被案内部11hを押し当てさせる。ここで、この中心線x側に位置される溝壁9cは前記第三線分y3と前記第一線分y1の外側にあって前記中心線xに直交する仮想の第四線分y4との間において、この第三線分y3に近づくに連れて次第に前記中心線xとの距離を大きくさせるように傾斜していることから、内側パーツMが第二開口部2に近づけば近づくほど可動腕部11は中心線xから離れる向きに撓んで前記自由端11aと前記留め付け用内壁5aとの間の距離は漸減し、したがって紐状体Cdに爪部11cがより強固に突き立てられる。
【0035】
これにより、この実施の形態にあっては、前記紐状体Cdに対して前記第二開口部2から引き出される向きへの張力が作用されたときには、かかる紐状体Cdに対する留め付け用内壁5aと可動腕部11の自由端11aとの間での挟持状態を内側パーツMの第二開口部2側への移動を通じて強化することができ、この向きへの紐状体Cdの抜け出しを効果的に阻止するようになっている。(図5/ロック状態)
【0036】
また、この実施の形態にあっては、前記案内溝9と被案内部11hとによって、紐状体Cdに対する第一開口部1から引き出される向きへの張力の作用により所定位置より第一開口部1側に内側パーツMが近づくに連れて、自由端11aと留め付け用内壁5aとの間の距離を漸増させる前記可動腕部11の可動がなされるようになっている。
【0037】
図示の例では、内側パーツMが前記所定位置にある状態(図4/基準状態)から、紐状体Cdに前記第一開口部1から引き出される向きの張力を作用させると、より具体的には、外側パーツFを固定させた状態で紐状体Cdにおける第一開口部1から引き出されている箇所に引っ張り力を作用させると、爪部11cを紐状体Cdに食い込ませている内側パーツMは第一開口部1側に移動されながら、案内溝9における前記留め付け用内壁5a側に位置される溝壁9dに被案内部11hを押し当てさせる。ここで、この留め付け用内壁5a側に位置される溝壁9dは、前記第三線分y3と前記第一線分y1のやや外側となる箇所との間において、この第一線分y1側に近づくに連れて次第に前記中心線xとの距離を小さくさせるように傾斜していることから、内側パーツMが第一開口部1に近づけば近づくほど可動腕部11は中心線xに近づく向きに撓んで前記自由端11aと前記留め付け用内壁5aとの間の距離は漸増し、したがって紐状体Cdへの爪部11cの突き立て力は弱められる。また、図示の例では、かかる爪部11cにおける前記第二開口部2側に向けられる厚さ側側面11eは前記傾斜面11gとなっていることから、紐状体Cdに前記第一開口部1から引き出される向きの張力が作用されるときは、この傾斜面11gの傾斜により爪部11cは紐状体Cdから抜け出し易くなる。
【0038】
これにより、この実施の形態にあっては、前記紐状体Cdに対して前記第一開口部1から引き出される向きへの張力が作用されたときには、かかる紐状体Cdに対する留め付け用内壁5aと可動腕部11の自由端11aとの間での挟持状態を内側パーツMの第一開口部1側への移動を通じて弱化することができ、この向きへは紐状体Cdを所望の長さ分引き出せるようになっている。(図6/調整状態)
【0039】
また、この実施の形態にあっては、コードロックは、前記外側パーツFは左右にそれぞれ留め付け用内壁5aを有すると共に、内側パーツMは基部10を挟んだ左右にそれぞれ可動腕部11を有しており、左側の留め付け用内壁5aと左側の可動腕部11の自由端11aとの間及び右側の留め付け用内壁5aと右側の可動腕部11の自由端11aとの間にそれぞれ、紐状体Cdが通過されるようになっている。これにより、この実施の形態にかかるコードロックにあっては、外側パーツFを通過する二本の紐状体Cdに対し同時に前記留め付けをなすことが可能となっている。
【0040】
また、この実施の形態にあっては、前記内側パーツMの基部10に外側パーツFの第一開口部1より外方に突き出す摘み部12が形成されている。図示の例では、かかる摘み部12は、正面視の状態で略二等辺三角形状の環状を呈している。そして、前記基部10の他端が、この摘み部12の等辺となる二つの辺部間の頂部12aに一体に連接されている。そして、前記基準状態及びロック状態において、外側パーツFの第一張り出し部6の縁部よりも外方に摘み部12の底辺部12bが位置されるようになっている。これにより、この実施の形態にあっては、前記紐状体Cdに対する留め付け状態、すなわち、留め付け用内壁5aと可動腕部11の自由端11aとの間での挟持状態を、前記摘み部12を利用して内側パーツMを第一開口部1側に移動することで解くことができるようになっている。(図7/ロック解除状態)
【0041】
なお、この実施の形態にあっては、前記裏板部4の案内溝9における前記第四線分y4よりも外方に位置される箇所では、前記留め付け用内壁5a側に位置される溝壁9dは前記中心線xにより近づいており、前記ロック解除状態からさらに摘み部12が外側パーツFから抜け出る位置までこの摘み部12を引いて内側パーツMを移動させると、左右の可動腕部11、11がその自由端11aを前記中心線xに近づける向きに一層撓まされて、かかる自由端11aと留め付け用内壁5aとの間に抵抗無く紐状体Cdを通過させることができる隙間が形成されるようになっている。(図8)なお、前記表板部3の案内溝9は、かかる可動腕部11の動作を妨げない形状となっている。(図14)
【0042】
また、この実施の形態にあっては、前記被案内部11hは内側パーツMの可動腕部11の自由端11aに形成されている。これによりこの実施の形態にあっては、前記案内溝9の案内により可動腕部11を所期の向きに全体として適切に可動させることができるようになっている。
【0043】
以上に説明したコードロックにおける弾性変形特性を備えるべき箇所へこの特性を付与することは、前記外側パーツF及び内側パーツMを、プラスチックの成形品とすることで、容易に実現することができる。
【符号の説明】
【0044】
F 外側パーツ
M 内側パーツ
Cd 紐状体
1 第一開口部
2 第二開口部
5a 留め付け用内壁
9 案内溝
10 基部
11 可動腕部
11c 爪部
11h 被案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一開口部と、これに対向する第二開口部とを有し、両開口部を通じて内部に紐状体を通過させる外側パーツと、
前記紐状体の通過方向に沿った移動可能に前記外側パーツに組み合わされる内側パーツとを有し、
前記外側パーツは、第一開口部と第二開口部との間に前記紐状体に対する留め付け用内壁を有すると共に、この留め付け用内壁の内方に前記紐状体の通過方向に延びる案内溝を有しており、
前記内側パーツは、基部と、前記第二開口部側でこの基部に連接されて前記第一開口部側に延び、この第一開口部側に位置される自由端と前記留め付け用内壁との間に前記紐状体を通過させる可動腕部とを有しており、
この可動腕部には、前記案内溝に案内される被案内部と、前記自由端から前記留め付け用内壁に向けて突き出して前記紐状体に突き立てられる爪部とが備えられており、
前記案内溝と被案内部とによって、前記紐状体に対する前記第二開口部から引き出される向きへの張力の作用により所定位置よりこの第二開口部側に内側パーツが近づくに連れて、前記自由端と前記留め付け用内壁との間の距離を漸減させる前記可動腕部の可動がなされるようになっていることを特徴とするコードロック。
【請求項2】
案内溝と被案内部とによって、紐状体に対する第一開口部から引き出される向きへの張力の作用により所定位置より第一開口部側に内側パーツが近づくに連れて、自由端と留め付け用内壁との間の距離を漸増させる前記可動腕部の可動がなされるようになっていることを特徴とするコードロック。
【請求項3】
外側パーツは左右にそれぞれ留め付け用内壁を有すると共に、内側パーツは基部を挟んだ左右にそれぞれ可動腕部を有しており、左側の留め付け用内壁と左側の可動腕部の自由端との間及び右側の留め付け用内壁と右側の可動腕部の自由端との間にそれぞれ、紐状体が通過されるようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコードロック。
【請求項4】
内側パーツの基部に外側パーツの第一開口部より外方に突き出す摘み部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のコードロック。
【請求項5】
被案内部が内側パーツの可動腕部の自由端に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のコードロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−39176(P2013−39176A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176695(P2011−176695)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)