説明

コード処理機のオーブン装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコード処理機のオーブン装置に係り、詳しくは動力伝動用などの工業用ベルトの心線に用いるコードを接着剤等の処理液でディップ処理した後、コードを効率よく乾燥させるコード処理機のオーブン装置に関する。
【0002】
【従来の技術】Vベルト、Vリブドベルト、歯付ベルト等の動力伝動用などの工業用ベルトには、抗張体である心線としてポリエステル繊維、アラミド繊維、あるいはガラス繊維等の繊維材料を素材としたコードが使用されている。このコードはゴム材料との接着性を高めるため、RFL(レゾルシン・ホルマリン・ラテックス)処理のみ、またはエポキシまたはイソシアネート化合物で前処理した後にRFL処理をしたり、RFL処理をした後にゴム糊を付着していた。
【0003】上記コードは、コード処理機において第1駆動ロールによって一定の張力を付与しながら連続的にクリールから引き出され、第1ディップ槽内で接着液を含浸した後、第1オーブン内に送られて加熱乾燥後、オーブン外で冷却されて第1の処理工程を終了した後、更に第2、第3、第4と順次同様の処理工程を繰り返し通過し、それぞれの工程ごとに異なった配合による処理液を含浸付着し、そして異なったオーブン温度条件と張力条件下で加熱延伸処理し、ベルトに最適なコード物性を付与してリールに巻き取って、ディップ処理を完結していた。
【0004】ここで使用されているオーブン装置では、例えば特開平4−146232号公報に開示されているように吸気ファンおよび排気ファンを用いて熱風を供給、排気、あるいは熱風を一部排気しながらオーブン内を循環させる構造を有し、各オーブンが縦型になっている。また、熱風循環系の導管に熱風循環ファンとは別にそれぞれ専用のファンを有する外部空気取入口と、循環している熱風の一部を外部に排出する排出口を設け、オーブン内で発生する処理液の溶剤であるトルエン等の蒸発による引火性ガスの濃度を希釈しながら熱風を循環させる構造ものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のコード処理機では、能率よく加熱処理するために処理速度を早める必要があったが、ディップ処理した直後のコードは、オーブン中で乾燥させた後、オーブン出口のリーターンロールに接触させる必要があり、処理速度を早めると未乾燥の処理液の一部がリーターンロールの表面に堆積して処理運転に支障を来していた。コードの乾燥を促進するためには、オーブンの加熱温度を上昇させることが効果的であるが、望ましいコード物性を得るために最適な加熱温度で処理する必要があるため、それ以上に加熱温度を上昇することができず、必然的にオーブンの長さを大きくする必要があった。しかし、その反面オーブン装置を大型化した場合、例えば設備コストや熱損失の増加によるランニングコストの増加、設置スペースの増加、処理品種切替え時に行うコード通し換えの作業性の悪化、設備点検や保全などのメンテナンス性の悪化などさまざまな不具合を招き、その改善が求められていた。
【0006】本発明は、以上の現状に鑑み、このような問題点を改善するものであり、オーブン装置を小型化し、しかもディップ処理したコードを効率よく乾燥させることができるコード処理機のオーブン装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、動力伝動用などの工業用ベルトの心線に用いるコードを、ディップ槽内に収容したディップロールに巻き付けて処理液に浸した後、オーブン内で熱風により加熱処理するコード処理機のオーブン装置であり、ディップ処理した後のコードを加熱乾燥させるコード乾燥室とこれを挟んで熱風供給室と熱風回収室を区画したオーブンと、上記コード乾燥室の熱風供給室に面する側にコードの走行に沿って略全長にわたって設けた少なくとも1つのスリット状開口部を有する熱風吹き入れ部と、上記コード乾燥室の熱風回収室に面する側のコード出入口領域に開口部を設けた熱風排出部と、熱風供給室から出た熱風を熱風吹き入れ部からコード乾燥室に入れ、そして熱風排出部から熱風回収室へ流して循環させる熱風循環手段を備えたコード処理機のオーブン装置にある。
【0008】 本発明は、熱風供給室と熱風回収室の高さが、両端部に向かって徐々に低下している場合や、スリット状開口部には、内部へ突出した案内板が装着している場合や、スリット状開口部の1つが、ディップ処理した直後のコード通路直下に位置している場合や、ディップ処理した直後のコード通路直下のスリット状開口部より、風速5〜15m/秒の熱風を吹き出す場合や、熱風排出部において補助開口部がコード出入口領域に設けた開口部の中間付近に配置されている場合も含む。
【0009】本発明は、熱風循環手段が熱風回収室からファン、ヒータ、そして熱風供給室の順序で導管により接続され、しかもファンの吸い込み側に外部空気の取入口と、ファンの吐出側に循環熱風の一部を排出する排出口を有しているコード処理機のオーブン装置も含む。
【0010】更に、本発明は、動力伝動用などの工業用ベルトの心線に用いるコードを、ディップ槽内に収容したディップロールに巻き付けて処理液に浸した後、オーブン内で熱風により加熱処理するコード処理機のオーブン装置であり、ディップ処理した後のコードを加熱乾燥させるコード乾燥室とこれを挟んで熱風供給室と熱風回収室を区画し、該熱風供給室と熱風回収室の高さを両端部に向かって徐々に低下させたオーブンと上記コード乾燥室の熱風供給室に面する側にコードの走行に沿って略全長にわたって設けた少なくとも1つのスリット状開口部を設け、スリット状開口部の1つをディップ処理した直後のコード通路直下に位置させた熱風吹き入れ部と、上記コード乾燥室の熱風回収室に面する側のコード出入口領域に設けた端部開口部からなる熱風排出部と、熱風供給室から出た熱風を熱風吹き入れ部からコード乾燥室に入れ、そして熱風排出部から熱風回収室へ流して循環させる熱風循環手段を備えたコード処理機のオーブン装置にある。
【0011】
【作用】本願のコード処理機のオーブン装置は、オーブン、熱風吹き入れ部、熱風排出部、そして熱風循環手段を備えている。オーブンはコード乾燥室とこれを挟んで熱風供給室と熱風回収室に画定しており、熱風供給室から出た熱風をコード乾燥室に入れ、そして熱風回収室へと流して循環させている。熱風吹き入れ部に設けた少なくとも1つのスリット状開口部は、風速の大きくなった熱風をコード乾燥室のコードに直接吹き付けて、効率よく乾燥させる機能を有し、またスリット状開口部の1つをディップ処理した直後のコード通路(1パス目)の直下に位置させることにより、コードをより早く乾燥させることができる。
【0012】熱風排出部は、コード乾燥室に入れた熱風を両端部の開口部から排出させることにより、スリット状開口部より流入した熱風がコード乾燥室内でオーブン長手方向に左右に2分して流れコード乾燥室の温度を均一化し、1パス目以外の通路(真下にスリット状開口部がない通路)に位置するコードを均一に加熱する作用を有している。更に、熱風供給室と熱風回収室の高さを両端部に向かって徐々に小さくすることによって、熱風供給室と熱風回収室で熱風の風速を均一化し、トルエンなどの引火性ガスが上記熱風供給室や熱風回収室で停滞するのを阻止し、均一な風速で熱風を循環させることができる。しかも、傾斜によって生じたオーブン外部の空所には、クリールスタンドやワインダの機器構造物の一部あるいは補助操作盤等を収容することができ、オーブン装置を小型化することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るオーブン装置を用いたコード処理機の全体図、図2は図1の部分拡大図、図3は図1に示すオーブン装置の正面拡大図、図4は図3の示すオーブン装置の平面図、図5は図3の示すオーブン装置の底面図、図6は図5のA−A断面図、そして図7は熱風循環手段の概略図である。ここで示すコード処理機1は、第1処理部2、第2処理部3、第3処理部4、そして第4処理部5までの4ゾーンが共通のフレーム6に搭載されている。各処理部は基本的に同一構造で、また搭載部材も同一である。
【0014】各処理部のオーブン7(7a、7b、7c、7d)は横型に配置し、強制的に熱風を循環させる間接加熱方式になっている。上記オーブン7aの外側に配置された間接加熱用のヒータ8から発生した加熱空気は、熱風を循環するファン9によってオーブン7内を強制的に流動し、そしてダクト14(134)を通じて循環する。オーブン7は側面にドア11を配置し、出入口にリターンロール12、13を設けている。尚、温度制御装置、ガス濃度検出機、吸排気ダクト(いずれも図示せず)を設けることもできる。
【0015】処理すべきコード10はクリールスタンド15に支承されたチーズボビン16に未処理の白地状態で巻き付けられている。コード10の前後部には、案内用のリーダコード10Rが結び付けられる。本実施例の場合、リーダコード10Rはクリールスタンド15の後方位置に設置され、コード10とリーダコード10Rとが接続されて、つなぎ部18を形成している。
【0016】コード10は、速度制御手段を有する第1駆動ロール17aにより一定速度で引き出され、案内環21を経てフリクションテンショナー23で軽度の張力を付与され、コード10とリーダコード10Rとのつなぎ部18の通過を検知する検出手段25から、カイドロール26を経て、ディップ槽支持部81に設置されたディップ装置20へと進入する。検出手段25は、最初の処理液供給装置30の前に位置しており、つなぎ部18の通過を検知するものであればよく、例えば光学式検知センサが使用される。
【0017】コード10はディップ槽34内に配置されたディップロール35に半周巻き付き、そして処理液36中を通過することによって浸漬処理される。更に、コード10は第1駆動ロール17aを1/4周回してオーブン7a入り、オーブン7aの前後両端部に配設されたリターンロール12、13を数回往復して加熱乾燥した後、オーブン7a外の大気中で冷却し、第2駆動ロール17bに移送されて第1処理部2を終える。第2駆動ロール17bは、第1駆動ロール17aを基準とした速度制御機能を有し、第1処理部2中の処理コード10に最適な張力を付与している。
【0018】以下、同様に、コード10は第2駆動ロール17bとその回転速度を基準とした速度制御機能を有する第3駆動ロール17c間の第2処理部3、更に第3駆動ロール17cとその回転速度を基準とした速度制御機能を有する第4駆動ロール17d間の第3処理部4、そして最後に第4駆動ロール17dとその回転速度を基準とした速度制御機能を有する第5駆動ロール17e間の第4処理部5においてそれぞれ異なった配合の処理液(例えば、プレディップ液、RFL液、ソーキング液)と乾燥温度、コード張力の下で処理が行われる。
【0019】各処理部2〜5でのコードのディップ処理は、1回から数回である。複数のディップ処理をする場合には、ディップ処理を終えたコード10をオーブンに進入して加熱処理し、更にディップ処理をしてオーブンに進入して加熱処理し、これを繰り返した後、次の処理部へ移行する。また、1回のディップ処理をする場合でも、ディップ処理を終えたコード10をオーブンで数回往復して加熱乾燥した後、オーブン外へ移動する。引出しロールを通過したコード10は、ワインダ70に送られる。ワインダ70では、コード10が2つのガイドロール71を経て巻取リール72に交互に巻き取られ、ディップ処理作業が連続して行われる。
【0020】しかして、本発明のオーブン装置は、オーブン7と、熱風吹き入れ部121と、熱風排出部122と、そして熱風循環手段123から構成されている。オーブン7は横型に配置され、ディップ処理した後のコードを加熱乾燥させるコード乾燥室124とこれを挟んで熱風供給室125と熱風回収室126に区画され、長手方向に沿って左右対象な形状になっている。コード乾燥室124では、1本の処理コード10が複数回往復してオーブン7から出ており、ディップ処理した直後のコード10の通路である1パス目をいかにが効率よく乾燥できるかが重要になる。
【0021】 上記熱風供給室125と熱風回収室126の高さは、両端部に向かって徐々に低下して屋根状の傾斜面127になっている。傾斜面127の角度は5〜20°である。これは熱風供給室125と熱風回収室126内を流れる熱風の風速を均一化し、トルエンなどの引火性ガスが上記熱風供給室125や熱風回収室126の局所的な停滞するのを阻止し、均一な風速で熱風を循環させることができる。また、傾斜面127になっているため、この空間にはクリールスタンド15やワインダ70などの構成部材の収容場所になる。
【0022】 上記コード乾燥室124の熱風供給室125に面する側には、1条および数条のスリット状開口部128を有する熱風吹き入れ部121が設けられている。スリット状開口部128はコード10の走行方向にあり、かつ略全長にわたって設けられ、特にコード10の1パス目の真下には該スリット状開口部128が位置している。これは熱風がコード10の略全長にわたって間断なく強く吹き付けて効率よく乾燥させるためである。また、更にコード側へ向かって突出した案内板129を各スリット状開口部128に装着することにより、熱風を正確にコード10に吹く付けることができる。スリット状開口部128から吹き付ける熱風の風速は、通常5〜15m/秒必要であり、スリット状開口部128の幅を5〜10mmに、コード10とスリット状開口部128の間隔を5〜30mmに設定するのが好ましい。
【0023】また、コード10はオーブン7の前後両端部に配設されたリターンロール12、13を半周回してオーブン7中を数回往復して加熱乾燥されるから、コード10の1往復に1ピッチ毎にリターンロール12、13をオーブン横方向に移動する。オーブン入口より進入する1パス目のコード10は、オーブン7の長手方向の軸線に平行して直進し、オーブン出口のリターンロール13で半周回してオーブン入口のリターンロール12へ向かう2パス目のコード10を角度を付して1ピッチ分横に移動させ、以後3パス目を1パス目のコード10と平行に直進させ、4パス目を2パス目のコード10同様に角度を付して1ピッチ分横に移動させように最後のパスまで順次同様な経路を繰り返すようにコードガイドを設定すれば、スリット状開口部128もオーブン7の長手方向の軸線に平行して設置され、オーブンの製作、特にスリット状開口部128の製作、取付けが容易となる。
【0024】コード乾燥室124の熱風を排出する熱風排出部122が上記コード乾燥室124の熱風回収室126に面する側にあって、かつコード出入口領域に設けられている。熱風排出部122は開口部130で形成されている。開口部130の総面積はスリット状開口部128の総面積にほぼ等しく設定されるが、コード乾燥室124内部の温度分布の調節のために、コード出入口領域の2個の開口部130の中間付近に補助開口部131を設けることができる。
【0025】熱風循環手段123は、熱風供給室125から出た熱風を熱風吹き入れ部121からコード乾燥室124に入れ、熱風排出部122から熱風回収室126へ流して循環させる機能を有している。具体的には、熱風循環手段123は、図7に示すように熱風回収室126より電動機133により作動するファン9、ヒータ8、そして熱風供給室125の順序で導管134によって直列に接続し、しかもファン9の吸い込み側に外部空気の取入口137と、ファン9の吐出側に循環熱風の一部を排出する排出口135を有している。また、外部空気の取入口137と排出口135に手動ダンパ136を設け、口の開口度を調節してファン9の回転により導管内部に生じる静圧と導管外部の大気圧との差圧により、オーブン7内では適量の換気がなされる。
【0026】以下に、本発明のオーブン装置の動作について説明する。熱風循環手段123の作動により、熱風を入口138から熱風供給室125へ送り込む。このとき熱風は、熱風供給室125の左右に向けて流れ込み、熱風供給室125の末端部でも静圧が低下せず、また熱風供給室125の高さと断面積を両端部に向かって徐々に減じていることと相まって、均一な風速でスリット状開口部128ヘ流れ込む。
【0027】熱風は熱風吹き入れ部121のスリット状開口部128から少なくとも1パス目の処理コード10に向けて吹き上げた後、コード出入口に向かってオーブン長手方向に2方向に分かれて流れ、コード乾燥室124の両端部に位置する熱風排出部122から排出される。これにより、熱風はコード乾燥室124を均一に加熱するとともにトルエンなどの引火性ガスが上記熱風供給室125、熱風回収室126、およびコード乾燥室124の各室で停滞するのを阻止する。
【0028】熱風は熱風回収室126の出口140から導管134を経てファン9、ヒータ8、そして熱風供給室125の順序で循環する。この時、外部空気の取入口137と排出口135に設けた手動ダンパ136の開口度を調節して適量の排気と新鮮な空気を取り込み、処理液の溶剤に使用されるトルエン等の蒸発による引火性ガスの濃度を希釈し、安全な運転がなされる。
【0029】
【発明の効果】本願のコード処理機のオーブン装置によれば、オーブンをコード乾燥室とこれを挟んで熱風供給室と熱風回収室に区画し、熱風吹き入れ部に設けた少なくとも1つのスリット状開口部から風速を大きくした熱風をコード乾燥室のコードにほぼオーブン全長にわたって間断なく直接吹き付けて、熱交換効率を高めて効率よく乾燥させ、特にスリット状開口部の1つをディップ処理した直後のコード通路(1パス目)の直下に位置させることにより、コードをより早く乾燥させることができる。
【0030】また、コード乾燥室に入れた熱風を特定の領域から排出させることにより、コード乾燥室内の温度を均一化して1パス目以外の領域にあるコードにも熱変化の少ない均等な熱履歴を与え、コード物性のバラツキを抑制し、かつ効率よくコードを乾燥させてオーブン装置を小型化することができる。
【0031】更に、熱風供給室と熱風回収室の高さを両端部に向かって徐々に減少させたことによって、熱風供給室と熱風回収室で熱風の風速を均一化し、トルエンなどの引火性ガスが上記コード乾燥室、熱風供給室、およびや熱風回収室で停滞するのを阻止し、安全性を高める。また、ほぼオーブン全長にわたる長いスリット状開口部から均一な風速で熱風を吹き出すことを可能にし、かつオーブン外部の高さ減少部のスペース内に構成機器の一部を収容することにより、コード処理機全体を小型化することも可能になるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオーブン装置を用いたコード処理機の全体図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図1に示すオーブン装置の拡大図である。
【図4】図3の示すオーブン装置の平面図である。
【図5】図3の示すオーブン装置の底面図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】熱風循環手段の概略図である。
【符号の説明】
1 コードディップ処理機
2 第1処理部
3 第2処理部
4 第3処理部
5 第4処理部
8 ヒータ
9 ファン
7 オーブン
10 コード
10R リーダコード
18 つなぎ部
20 ディップ装置
34 ディップ槽
35 ディップロール
70 ワインダ
121 熱風吹き入れ部
122 熱風排出部
123 熱風循環手段
124 コード乾燥室
125 熱風供給室
126 熱風回収室
127 傾斜面
128 スリット状開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 動力伝動用などの工業用ベルトの心線に用いるコードを、ディップ槽内に収容したディップロールに巻き付けて処理液に浸した後、オーブン内で熱風により加熱処理するコード処理機のオーブン装置であり、ディップ処理した後のコードを加熱乾燥させるコード乾燥室とこれを挟んで熱風供給室と熱風回収室を区画したオーブンと、上記コード乾燥室の熱風供給室に面する側にコードの走行に沿って略全長にわたって設けた少なくとも1つのスリット状開口部を有する熱風吹き入れ部と、上記コード乾燥室の熱風回収室に面する側のコード出入口領域に開口部を設けた熱風排出部と、熱風供給室から出た熱風を熱風吹き入れ部からコード乾燥室に入れ、そして熱風排出部から熱風回収室へ流して循環させる熱風循環手段を備えたことを特徴とするコード処理機のオーブン装置。
【請求項2】 熱風供給室と熱風回収室の高さが、両端部に向かって徐々に低下している請求項1記載のコード処理機のオーブン装置。
【請求項3】 スリット状開口部には、内部へ突出した案内板が装着している請求項1記載のコード処理機のオーブン装置。
【請求項4】 スリット状開口部の1つが、ディップ処理した直後のコード通路直下に位置している請求項1記載のコード処理機のオーブン装置。
【請求項5】 ディップ処理した直後のコード通路直下のスリット状開口部より、風速5〜15m/秒の熱風を吹き出す請求項4記載のコード処理機のオーブン装置。
【請求項6】 熱風排出部において、補助開口部がコード出入口領域に設けた開口部の中間付近に配置されている請求項1記載のコード処理機のオーブン装置。
【請求項7】 熱風循環手段が熱風回収室からファン、ヒータ、そして熱風供給室の順序で導管により接続され、しかもファンの吸い込み側に外部空気の取入口と、ファンの吐出側に循環熱風の一部を排出する排出口を有している請求項1記載のコード処理機のオーブン装置。
【請求項8】 動力伝動用などの工業用ベルトの心線に用いるコードを、ディップ槽内に収容したディップロールに巻き付けて処理液に浸した後、オーブン内で熱風により加熱処理するコード処理機のオーブン装置であり、ディップ処理した後のコードを加熱乾燥させるコード乾燥室とこれを挟んで熱風供給室と熱風回収室を区画し、該熱風供給室と熱風回収室の高さを両端部に向かって徐々に低下させたオーブンと上記コード乾燥室の熱風供給室に面する側にコードの走行に沿って略全長にわたって設けた少なくとも1つのスリット状開口部を設け、スリット状開口部の1つをディップ処理した直後のコード通路直下に位置させた熱風吹き入れ部と、上記コード乾燥室の熱風回収室に面する側のコード出入口領域に設けた端部開口部からなる熱風排出部と、熱風供給室から出た熱風を熱風吹き入れ部からコード乾燥室に入れ、そして熱風排出部から熱風回収室へ流して循環させる熱風循環手段を備えたことを特徴とするコード処理機のオーブン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【特許番号】第2974942号
【登録日】平成11年(1999)9月3日
【発行日】平成11年(1999)11月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−210953
【出願日】平成7年(1995)7月26日
【公開番号】特開平9−41238
【公開日】平成9年(1997)2月10日
【審査請求日】平成9年(1997)5月6日
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【参考文献】
【文献】特開 平4−146232(JP,A)
【文献】特開 昭63−203841(JP,A)
【文献】特開 昭60−162830(JP,A)