説明

コード化光源の委託

照明システムのコード化光源の委託は、遠隔制御装置を用いて達成される。光源の識別子が正しく識別されると、その発光を少なくとも部分的に切るための制御メッセージが光源に送られる。従って前記識別された光源の光寄与が抑制される。これにより既に識別された光源からのコード化光が、他の光源により放射されるコード化光に含まれる識別子と衝突する機会が減少する。コード化光がこれ以上検出されなくなると、前記遠隔制御装置はコード化光が再び検出されるまで感度を増加させる。さらなる光源がその後識別され委託される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の委託(commissioning)に関する。具体的には、コード化された光を発光することができる複数の光源を含むシステムにおける光源を委託するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源の選択及び先進的な制御のために光学的自由空間通信、即ち可視光(VL)及び赤外線(IR)通信の使用は以前から提案されており、コード化光(CL)として参照されるものである。CLの伝送のために、ほとんどの場合、発光ダイオード(LED)が照明器具の光源として考えられており、これは合理的な高変調バンド幅を可能とする。即ちこれにより得られる制御システムの高速応答が可能となる。LEDが通常は考慮されるが、その他の光源(白熱灯、ハロゲンランプ、蛍光灯及び高輝度放電(HID)ランプ)もまた、前記光源内に識別子を埋め込むことができるものである。ただし一般には低速度ではある。
【0003】
CLは、ユニークな識別子又はコードを異なる光源の光出力内に埋め込むために使用され得る。これらの識別子を用いて、特定の光源からの光は、その他の光源からの照明寄与の存在で識別され得る。この個々の照明寄与の識別は、光源選択、点及び制御などの応答のために、委託及び相互作用シーン設定などを可能とする。これらの応用は、例えば家庭、オフィス、店舗、社内及び病院などで使用されている。これらの光源識別子は、もしなければ非常に複雑になるであろう照明システムの簡単で直感的な制御操作を可能とする。
【0004】
CLが可能とする応用の1つの具体的なカテゴリは室内系自動委託である。この応用では制御装置が室内の種々の照明からの変調された光を受け取る。前記変調光から識別子を抽出した後、前記制御装置は、制御され得る識別された照明へ(無線)リンクを形成する。前記結合及び制御関係を確立することが、ここで「委託」として参照されるものである。
【0005】
前記制御装置の感度は実用上の問題、特に前記制御装置の位置から離れて設けられる照明についての問題を提起する。これらの照明は前記制御装置で受け取られる光への寄与は僅かであり、その識別子を正しく抽出することが困難である。さらに、個々の照明が無作為方式でその識別子を発光する場合(例えばフレーム化ALOHAプロトコル)、識別子が正しく抽出される前に多くの衝突が起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は前記問題を解決するものであり、光源の委託を改良するための手段を提供するものである。具体的には光源の委託のための手段を提供するものであり、前記方法では光検出装置で受け取られるコード化光が、複数の光強度と関連する識別子を含むものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般的に、前記課題は添付の独立請求項による遠隔制御装置により達成される。
【0008】
本発明の第1の側面によると、この課題及びその他の課題は、コード化光を放射可能な複数の光源を含むコード化照明システムで光源を委託するための遠隔制御装置により達成され、前記遠隔制御装置は:光検出装置;前記光検出装置に接続された処理ユニットを含み、前記光検出装置により検出された光に基づき前記光源の識別子を決定するように構成され、それにより前記光源を識別し;及び前記識別された光源に、その発光を少なくとも部分的に切るための命令を伝達するトランスミッタを含み;及び前記処理ユニットが前記トランスミッタに、前記光源の識別に応じる前記命令を伝達するように指示するように構成され、それにより前記光源を委託する、遠隔制御装置である。
【0009】
有利には、前記発明にかかる自動委託方法は、前記委託プロセスが限られた時間内で実行され、従来技術で見られるような多くのシグナルの衝突を避けるものである。前記方法は、前記遠隔制御装置の最も近くに設けられる照明器具の光源(即ち、最も強いシグナルを与える)を委託することを可能とする。言い換えると、前記識別された光源の発光が少なくとも部分的に切られると、その光の寄与が低減され、それにより他の光源の識別子との衝突のリスクが低減される。平均して前記近くの光源が最初に識別され得ることとなる。
【0010】
前記遠隔制御装置はさらに、前記光検出装置に接続された可変ゲイン増幅装置を含み、前記光検出装置の感度を、多くとも1つの識別子が受けられる光で検出されるまで、下げるように構成される。小さい増幅ゲインでは、前記最も離れた光源は前記量子化ノイズに隠されたシグナル寄与を生成するものであり、検出されない場合がある。それにより近くの光源のみが検出されることとなる。
【0011】
前記遠隔制御装置はさらに、前記光検出装置に接続された可変ゲイン増幅装置を含み、前記光検出装置の感度を、少なくとも1つの識別子が受ける光に検出可能となるまで、増加させるように構成される。有利には前記感度は、これ以上識別子が検出されなくなるまで増加され得る。これにより光源の検出の機会が増加される。
【0012】
たとえ既に識別された光源がその発光を調光されたとしても、弱い強度を伴う光源と、なお干渉し得る。前記遠隔制御装置は従ってさらに、前記処理ユニットに接続されるメモリを含み、複数の光源の識別子を記憶するように構成され;前記処理ユニットが、前記光源の識別子を決定する間、前記光源の識別子を、既に識別された光源の記憶された識別子と比較するように構成され;及び前記メモリが、既に識別された前記識別された光源に応じて、前記識別された光源の識別子を前記メモリへ加えるように構成される、遠隔制御装置である。有利には前記遠隔制御装置はそれにより前記同じ光源を2回識別するリスクを低減することができる。
【0013】
前記遠隔制御装置は、前記光検出装置の感度を正しく増加させるように構成され、それにより前記処理ユニットが光源をひとつひとつ識別でき;及び前記メモリが、既に識別された連続的に識別された光源に応じて、前記連続してひとつひとつ識別された光源の識別子を前記メモリに記憶するように構成される。従ってかかる遠隔制御装置は、コード化照明システムの光源をひとつひとつ効果的に連続して識別することを可能とする。
【0014】
前記遠隔制御装置は、前記識別された光源へ、前記識別された光源の光特性の制御に関するさらなる命令を伝達するように構成され、前記制御の効果が、前記識別された光源に関する前記検出された光の(i)強度レベル及び(ii)入射角の群からの少なく1つに依存する。前記トランスミッタは、前記強度レベルが既定の閾値よりも高い及び/又は入射角が既定の間隔内である場合にはさらなる命令を伝達するように構成され得る。有利には、前記遠隔制御装置はそれにより、前記遠隔制御装置から既定に距離内の光源のみを制御することができる。
【0015】
前記遠隔制御装置は、前記コード化照明システムの前記複数の光源のサブセットを制御することに限定され得る;及び前記トランスミッタは、前記識別された光源が前記サブセットに含まれる場合にのみさらなる命令を伝達するように構成される。有利には前記遠隔制御装置はそれにより、既定の数の光源のみを制御することができる。これらの光源は、前記第1の検出された光源に応じるものであり得る。これらの第1の検出された光源は、前記遠隔制御装置から既定の距離離れて設けられる光源に応じるものであり得る。
【0016】
前記処理ユニットは前記処理ユニットに接続される交信インタフェースを含み、これにより前記遠隔制御装置は光源の識別子に関する情報を、少なくとも1つの第2の遠隔制御装置へ及び/又はから交信することができる。有利にはこれにより、前記遠隔制御装置が少なくとも1つの第2の遠隔制御装置と情報交換することができる。この情報を利用することで、前記委託は、例えば前記識別化の信頼性を改善することで改善され得る。
【0017】
第2の側面によると、前記課題は、コード化照明システムの光源の委託のための方法により達成され、前記方法は:前記光源からコード化光を発光し;遠隔制御装置で光を検出し;前記遠隔制御装置により、前記検出された光に基づき前記光源の識別子を決定し、それにより前記光源を識別し;及び前記遠隔制御装置により、前記識別された光源に、その発光を少なくとも部分的に切るための命令を伝達するステップを含み、前記命令が、前記光源の識別に応じて伝達されそれにより前記光源を委託する、方法である。
【0018】
一般的に前記第1の側面の構成及び利点はまた、前記第2の側面についても適用され得る。留意すべきことは、本発明は、特許請求の範囲に記載される構成の全ての可能な組み合わせに関連する、ということである。
【0019】
本発明のこれらの及びその他の側面について、以下本発明の実施態様を示す添付図面を参照しつつ詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は1つの実施態様による照明システムを示す。
【図2】図2は1つの実施態様による光源を示す。
【図3】図3は1つの実施態様による遠隔制御装置を示す。
【図4】図4は実施態様によるフローチャートを示す。
【図5】図5は光識別子伝達の1例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施態様は例示することにより提供され、この開示は全体的かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に教示することができるものである。
【0022】
図1は照明システム100を示し、少なく1つの光源を有し参照番号102が付されている。前記光源102は照明制御システムの一部であり、従って照明システム100はコード化照明システムとして表される。留意すべきことは、用語「光源」とは、室内で前記室内の対象物に照明を提供するために使用される装置を意味する、ということである。かかる照明提供装置の例には、照明装置及び照明器具が含まれる。本明細書において、室には通常、アパートの部屋、オフィスの部屋、ジムホール、車内、公共場所での部屋又は戸外環境の一部であって道路の一部が含まれる。それぞれの光源102は矢印106で示されるように光を放射できる。
【0023】
光源102が多数であることから、光源102間の距離、及びそれぞれの光源102により支持され得る照明レベルの広い範囲により、かかる照明システム100を較正し制御することは極めて複雑である。最新の技術によっても、ほんの少数の光源102のみが、限られた時間内でコード化照明に基づく照明システム100で委託され得る。この問題及びその他の問題は、以下説明される方法、装置及びシステムの考え方により解消され得る。これらは前記照明システム100において、前記光源102の識別子の検出及び制御を改良することにより、光源102の委託を改良するものである。
【0024】
放射光は、光源識別子を含むコード化光に伴う変調部を含む。光源委託のための方法は以下説明される。発光はまた、照明に寄与する非変調部を含む。それぞれの光源102はいくつかの照明設定に関連し、とりわけ前記発光の色、色温度、レベル調光及び強度などの前記光源の照明寄与に関連する。一般的用語で、前記光源の照明寄与は、前記光源102による発光の時間平均出力として定められる。
【0025】
前記照明システム100はさらに、1以上の遠隔制御装置104a、104bを、光を検出、受け取り及び処理のために含む。前記光は例えばコード化光であり、前記光源102から発光される光源識別子を、前記照明システム100(図示されていない)の外部の光源により発光される光と同様に含むものである。従ってコード化光シグナルは、照明器具又は光源により発光され得るだけでなくまた、その他のセンサ、スイッチ及びその他の空調ユニット、ブラインド制御装置、換気ユニット、サーモスタット及び暖房ユニットなどの環境装置による光源(例えば白色、IR又はその他のカラーLED)から発光され得る。このように、これらの装置はまた見出され前記照明システム100とリンクされ得る。図1を参照して、ユーザは、前記遠隔制御装置104a、104bを用いて前記照明システム100の光源102を制御することを望み得る。従って第1に前記光源が、及び他の接続され得る装置が委託される必要がある。この目的で、光源102は可視光を介してユニークな識別子を放射する。遠隔制御装置104a、104bは(方向性光学)光センサを持ち、これは異なる光源の光寄与を区別し、関連する光源102を選択することができる。この光源102はその後交信リンク、例えばZigBeeに基づくラジオ周波数リンク108などを介して制御され得る。
【0026】
前記ユーザーはまた、前記照明システム100の光源102を制御して、特定の位置で及び/又は必要な強度で及び/又は光の色を作ることを望むことができる。この目的で、光源102は可視光106を介してユニークな識別子を放射する。遠隔制御装置104a、104bは光レシーバを持ち、異なる光源102のその位置での光寄与の程度を区別し評価することができる。前記遠隔制御装置104a、104bはその後、前記識別された光源102の必要な寄与を評価し、図1の矢印108で示されるように光源102へ新たな照明設定を交信することができる。さらに、符号110で示されるように、個々の遠隔制御装置104aで処理される情報は他の個々の遠隔制御装置104bへ交信され得る。
【0027】
前記において実用上の問題は、前記室内で全ての光源102を検出することができるように、遠隔制御装置104a、104bの感度である。特にさらに遠くに位置する照明器具については、発光のほんの僅かな寄与のみが前記遠隔制御装置104a、104bの検出装置へ到達する。さらに個々の照明器具は、フレーム化ALOHA方式でその識別子を放射する。ALOHA的プロトコルのランダムアクセス性により、それぞれの光源102は、それぞれの時間スロットで時間内にある点でその識別子を送る。この時間内の点は時間スロットごとでランダム化されている。このことは、識別子が正しく受け取られる前に衝突が生じ得ることを意味する。キャプチャ効果のため、強く受け取られたパケットは、前記衝突から回復され得るが、それが不可能な場合にはさらに遠くに位置する光源を識別することはより困難となる。
【0028】
本発明による自動委託に基づく室内では、遠隔制御装置104a、104bが室内の種々の照明器具から変調光を受け取り、前記照明器具光源102による変調発光からの前記照明器具の識別子を検出し、かつこれらの照明器具を(無線)リンクして前記制御装置がこれらを制御できるようにする。
【0029】
図2は、図1の光源102などの光源200の機能的ブロックダイヤグラムを示す。光源200は、従って、照明光同様にコード化光を発光するように構成され、前記コード化光が前記光源200の光源識別子を含む。光源200は製造の際に識別子が付されていてもよい。前記識別子は、前記光源のMACアドレスに対応するものであってもよい。
MACアドレスは、32から64ビット長であり得る。光源200は、コード化光を発光するための発光素子202を含む。前記発光素子202は1以上のLEDを含むが、また1以上のFL又はHID光源なども含む。追加の発光素子、例えばIRLEDが識別子のために使用される場合には、この発光素子は前記主発光素子の近くに設けられる。前記第1の発光素子は、前記光源の照明機能に関連し(即ち照明光を照射)、全ての発光素子であり得る。さらに第2の発光素子は前記光源識別子に関連する(即ち、コード化光を放射)。好ましくは第2の発光素子はLEDである。従って、いくつかの実施態様では、前記発光素子202は照明目的のための第1の発光素子とコード化光を送るための第2の発光素子を含む。いくつかの実施態様では、単一の発光素子が、前記第1及び第2の発光素子を含むことができる。前記光源200はさらに、前記光源200の設定に関する情報を受け取るためにレシーバ208を含む。前記設定は、光源200により放射される光の色、色温度、レベル調節及び強度に関連する。前記光源200はさらに、中央処理ユニット(CPU)及びメモリ206などの処理ユニット204などのその他のコンポーネント含み得る。例えば処理ユニット204を使用することで、前記光源200は前記発光の設定を変更することができる。前記識別子を保持する情報、例えば識別子及びコード化パラメータは前記メモリ206で記憶され得る。
【0030】
照明器具(図示されていない)は、少なくとも1つの光源200を含み、それぞれの光源は個々のかつユニークな光源識別子に帰属され得る。好ましくはこの光源はLED系光源である。
【0031】
遠隔制御装置300の機能ブロックダイヤグラム、例えば図1の遠隔制御装置104a、104bは図3に示される。遠隔制御装置300は、処理ユニットを含み、模式的に符号302で示され、前記レシーバ300の光検出装置304により検出される光に基づき光源102、200を委託するように構成される。かかる委託を達成するために遠隔制御装置300はいくつかの機能を奏するように構成される。これらの機能は図4のフローチャートを参照して以下説明される。前記遠隔制御装置300はさらに、メモリ306、トランスミッタ308、可変ゲイン増幅装置310及び交信インタフェース312を含む。メモリ306は、光源102、200を委託するための機能を保持する命令を記憶する。メモリ306はさらに、複数の光源の識別子を記憶し得る。トランスミッタ308は、照明システム100で光源102へ委託を交信するために使用され得る。可変ゲイン増幅装置310は、前記光源検出装置304の感度を増加又は減少させるために使用され得る。交信インタフェース312は、遠隔制御装置300が他の遠隔制御装置、又は前記照明システム100のマスタ制御装置と交信することを可能とするために使用され得る。前記遠隔制御装置300は、無指向性光検出装置304を持つ机上配置装置であり得る。この遠隔制御装置300は、有線又は無線(例えばZigBee)で前記照明器具とリンクされている。以下、コード化光システム100で光源102、200を委託するための方法が、図4のフローチャートに基づき説明される。照明器具又は照明器具に含まれる光源102,200が一般的命令により委託モードに置かれコード化光を放射する。又は前記照明器具は、それらが委託されるまで、光を放射するすべての時にそれらの識別子を放射し得る。従ってステップ402で、コード化光システム100内の少なくとも1つのコード化光からコード化光が光源102、200から放射される。
【0032】
少なくとも1つの光源102、200から放射されるコード化光を含む光は、ステップ404で、遠隔制御装置104a、104b、300の光検出装置304により検出される。留意すべきことは、前記受け取られる光はまた、前記コード化光システム100の部分ではない光源からの照明寄与を含み得る、ということである。
【0033】
遠隔制御装置104a、104b、300は、ステップ406で、前記検出された光に基づき1つの光源102の識別子を決定する。光源102,200はこれにより識別される。
【0034】
コード化光システム100が多数の光源102を含む場合、光源102のそれぞれを全て正しく識別することは困難であり得る。特にALOHAプロトコルによる衝突の機会は光源の数が増加するにつれ増加する。遠隔制御装置104a、104b、300の可変ゲイン増幅装置310は従って、光源102がそれぞれ正しく識別されるように使用され得る。特に、光検出装置304の感度があまりに高い場合には、それぞれの光源を区別することが難しくなる。従って、可変ゲイン増幅装置310は、ステップ410で、多くとも1つの識別子が受け取られる光で検出可能となるまで、光検出装置304の感度を下げるように構成され得る。前記多くとも1つの識別子は、前記コード化光システム100のその他の光源に比較してより高い強度を持つコード化光を放射する光源102に対応し得る。前記多くとも1つの識別子はまた、前記コード化光システム100のその他の光源に比較して遠隔制御装置104a、104bへ最小の距離を持つコード化光源102に対応し得る。同様に、光検出装置304の感度が低すぎると、いずれの識別子も検出され得ない。従って、可変ゲイン増幅装置310は、少なくとも1つの識別子が受け取られる光で検出可能となるまで光検出装置の感度を増加させるように構成され得る。
【0035】
ステップ412で、処理ユニット302は、前記光源の識別子を決定する際、前記光源102の識別されるべき識別子を既に識別された光源の識別子と比較するように構成され得る。かかる比較は、既に識別された光源の識別子が遠隔制御装置300のメモリ306に記憶され得ることから、可能となる。かかる比較を行うことで、遠隔制御装置104a、104b、300はそれにより、同じ光源を(誤って)二回識別するリスクを避けることができる。光源102が識別されると、前記識別された光源102の識別子がステップ414でメモリ306に加えられ、前記識別された光源102の識別子がさらなる比較に使用され得ることとなる。
【0036】
光検出装置304の感度が、多くとも1つの識別子を受けた光中で検出されるまで低減され、識別子が正しく識別され(及びメモリ306に記憶され)ると、前記受けられた光にはもはや不検出及び不明な識別子は含まれないこととなる。従って、遠隔制御装置300は続いて、ステップ416で、前記可変ゲイン増幅装置310を用いて前記光検出装置304の感度を増加させるように構成さ得る。特に、前記光検出装置304の感度は、他の識別子が受ける光の中で検出可能となるまで増加される。それにより処理ユニット302は続いて次から次へと、コード化照明システム100の光源102を識別することができる。従って、メモリ306は、識別された前記連続的に識別された光源102に応じてひとつひとつ識別された光源102の識別子をメモリ306に記憶するように構成され得る。言い換えると、符号418で模式的に示されるように、コード化照明システム100の光源102を委託するための繰り返しプロセスが可能となる。
【0037】
1つの実施態様によると、処理ユニット304は、前記識別される光源102の識別子を、複数の光源102のある時間フレーム内、例えば全ての識別パケットでの一片の訓練データに基づいて、第1に非衝突識別パケットを検出することにより、決定するように構成され得る。従って前記パケット内のデータは前記識別子を検出するためにデコードされる。
【0038】
ステップ408で、遠隔制御装置104a、104b、300はその後前記識別された光源102へ命令を伝達する。前記命令は、前記識別された光源102がその発光を少なくとも部分的に切るための指示を含む。前記メモリは、遠隔制御装置104a、104b、300により識別された光源102に直接応じて伝送される。それにより光源102は委託される。従って、前記命令の伝送は委託プロセスの部分であり、特定のユーザー入力に依存しない。前記識別された光源102の発光を少なくとも切るための前記識別された光源102へ伝達される命令は、前記照明システム100の光源102の発光を少なくとも部分的に切るために一般のユーザーによる命令と比較されることはできない。
【0039】
本発明の実施態様によると、前記識別される光源102の発光を少なくとも部分的に切るための異なる方法があり得る。例えば、前記命令は、前記識別された光源102により発光される光の変調部分のみを切るための情報を含み得る。前記発光の変調される部分は前記光源102の識別子を含む。それにより、既に識別された光源102の変調部分は、まだ識別されていない光源の識別子に干渉することはできない。前記発光の変調部分の切り替えのみにより、前記光源102は、(非変調)光の発光を維持することができる。それにより光源102は完全に切られる必要はない。これは、主に変調シグナルに敏感な光検出装置に適している。又は、遠隔制御装置104a、104b、300は、前記光源102により放射される光の変調部分のみを受け取るように配置され得る。例えば、遠隔制御装置104a、104b、300は部屋の天井に設けられ、それにより家具、壁又は部屋の床で反射された変調光を受けることができる。第2の例として、前記命令は前記識別された光源102の発光調光するための情報を含む。1つの実施態様により、前記発光の変調部分のみが調光される。それにより、識別されていない光源の識別子に干渉しない変調部分のリスクが低減される。1つの実施態様によると、識別される光源102の全発光が調光される。かかる実施態様は、ユーザーに、光源102が正しく識別されたことを可視的にフィードバックされ得る。第3の例として、前記命令は前記識別された光源102の発光全体を切るための情報を含む。かかる完全切断は、前記識別された光源102が前記遠隔制御装置104a、104b、300の近くに配置され、それにより前記遠隔制御装置104a、104b、300の光検出装置304に受け取られる光の光寄与が優勢となる場合に利点がある。
【0040】
前記遠隔制御装置104a、104b、300は、ステップ420で前記識別された光源102へさらに命令を伝達するように構成され得る。前記命令は、前記識別された光源102の光特性、例えば前記識別された光源102により発光された光の色、色温度、レベル調光及び強度の制御に関連し得る。
【0041】
実施態様によると、前記制御装置の効果は、前記光検出装置304により受け取られるように前記識別された光源102により放射された光の性質に依存する。例えば、前記制御装置の効果は、前記識別された光源102に関連して検出された光の強度レベルに依存し得る。一般には前記制御の効果は、前記受け取られた光の強度レベルと比例し得る;即ち強度レベルが高いほど、低い強度レベルよりもより高い制御効果に関連付けられ得る。この推論の背後にある理論的根拠は、高い強度レベルは、前記遠隔制御装置104a、104b、300の近くに設けられる光源102に関連付けられる可能性が高い、ということである。従って、遠隔制御装置104a、104b、300は、前記遠隔制御装置104a、104b、300から比較的離れて位置される光源よりも前記遠隔制御装置104a、104b,300に比較的近く設けられる光源102の制御により高い効果を持つことができる。特にトランスミッタ308は、強度レベルは既定の閾値よりも高い場合にさらなる命令を伝達するように構成され得る。言い換えると、実質的に同一の強度レベルで全ての光源が発光する場合、前記遠隔制御装置104a、104b、300は、前記遠隔制御装置104a、104b、300の対応する既定の強度閾値により定められる既定の半径内に位置する光源の制御にのみ効果を与えることができる。第2の例として、前記制御の効果は、前記識別された光源102に関連する検出された光の入射角度に依存することができる。
【0042】
特にトランスミッタ308は、入射角が既定の間隔内である場合に、さらなる命令を伝達するように構成され得る。既定の間隔は、例えば、遠隔制御装置に104a、104b、300の直接前、直接上、又は直接下に設けられる光源102に依存する入射角に関連し得る。又は前記遠隔制御装置104a、104b、300は既定の時間間隔で識別される光源の制御にのみ影響し得る。
【0043】
開示された主題はオープンプランオフィスの場合に応用可能であり、前記遠隔制御装置104a、104b、300はこのオフィスでの作業者の個人的制御となり得る。この場合、感度の増加は、個人制御を前記照明器具へリンクされる場合に作業者のオフィス空間により近くに配置される照明器具をカバーするだけのために意図的に制限される。従って、実施態様によると、前記遠隔制御装置104a、104b、300は、前記コード化照明システム100の複数の光源内の光源のサブセットを制御するために限定される。例えば前記遠隔制御装置104a、104b,300のメモリ306は、既定の限定された数の識別子のみを記憶することができる。一般に、最初に識別された前記光源は、前記遠隔制御装置104a、104b、300の近くに位置する光源(又は少なくとも最大の影響を与える光源)に応じる。前記遠隔制御装置104a、104b、300が、かかる近くに設けられる光源だけを制御することができることは、利点となり得る。通常のオフィスの場合、通常の作業空間(又は所謂立方体形作業ステーション)は2〜5の異なる光源を伴う。従って、遠隔制御装置104a、104b、300が、例えば5個の光源の範囲内でのみ同時に制御することが好ましい場合がある。トランスミッタ308は従って、前記識別された光源102が前記サブセットに含まれる場合にのみさらに命令を伝達するように構成され得る。又は、追加の光源が検出される場合に、既に記憶された識別子の1つはメモリ306から除去されることができ、それにより追加の光源の制御を可能とする。これは、遠隔制御装置104a、104b、300のユーザーに促され得る。
【0044】
前記にようにコード化照明システム100は1以上の遠隔制御装置104a、104b、300を含む。それぞれの遠隔制御装置104a、104b、300は、コード化照明装置100が設けられる空間内の特定の位置又は領域に関連付けされ得る。例えばそれぞれの遠隔制装置104a、104b、300は前記にように作業空間又は立体形作業ステーションに応じることができる。前記遠隔制御装置104a、104b、300はお互いに比較的近くに設けられ得るので、これらは共通の光源102を識別され得る(例えば、遠隔制御装置104a、104b、300の両方に実質的に同じ距離を持つ光源)。従って、遠隔制御装置104a、104b、300が、前記交信インタフェース312を用いて、ステップ422で、図1で符号110と模式的に示されるように、お互いに及び/又はお互いから光源の識別に関する情報を交信することが可能である。例えば、光源102への距離(受けたコード化光の強度により定められる)は、遠隔制御装置104a、104bの間の制御の比率を定める。前記のように、受け取られたコード化光シグナルの強さは、前記効果を決めるために使用され得ることから、前記制御はそれぞれの照明器具上に設けることができる。照明器具に近く強い高い強度の場合には十分に制御され、より低い強度を持つ更に離れた照明器具は部分的にのみ制御される(例えば、「オン」は「50%オン」として解釈され、全調光ステップは半調光ステップのみである)。これは、オープンプランオフィス、住宅用製品について特に実用的であり、多数のユーザーが同じ照明器具に影響を与えることを望むことができる。例えば、前記光源と遠隔制御装置104aの間の相対距離はx長さ単位であり、光源と遠隔制御装置104bとの間の相対距離はy長さ単位である場合に、遠隔制御装置104a及び遠隔制御装置104bの比はy/xで設定され得る。言い換えると、光源と遠隔制御装置104aの間の相対距離が4長さ単位であり、光源と遠隔制御装置104bの間の相対距離が6長さ単位である場合、遠隔制御装置104aの相対制御は60%であり、一方遠隔制御装置104bの相対制御は40%となる。
【0045】
図5は4つの光源を持つシステムでの光識別子伝達の例である(図中では、「光源1」、...、「光源4」と記される)。それぞれのフレームで、1つの(識別されていない光源)は1つの識別子パケット(図中四角形で示される)を伝達する。光源はフレーム化ALOHAプロトコルを使用し、図は2つのALOHAフレーム間の伝達を示す(図中、「フレームk」及びフレーム「k+1」と示されている)。従ってフレームkでは光源1も光源2も識別され得ない。残る2つの光源3及び4から、この例では光源3の識別子が、光源4の識別子よりも高い強度レベルで受け取られる遠隔制御装置の光検出装置によることが、仮定されている。従って、フレームkでは、光源3は正しく識別化され、従って次のスロット(即ちフレームk+1)での識別子を伝達しない。フレームk+1では、衝突がなく、かつ少なくとも最大強度で受け取られる残る光源1、2及び4が正しく識別され得る。
【0046】
本発明は前記好ましい実施態様に限定されるものではないことは、当業者に理解される。むしろ、多くの変法・変更が添付された特許請求の範囲の範囲内で可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード化光を発光可能な複数の光源を含む、コード化照明システムの光源を委託するための遠隔制御装置であり、前記遠隔制御装置が:
光検出装置;
前記光検出装置に接続され、前記光源の識別子を、前記光検出装置により検出される光に基づき決定するように構成され、それにより前記光源を識別する処理ユニット;及び
前記識別された光源に少なくとも部分的にその発光を切るための命令を伝達するように構成されるトランスミッタを含み;及び
前記処理ユニットが、前記トランスミッタに、前記光源の識別に応じて前記に前記命令を伝達することを指示し、それにより前記光源を委託するように構成される、遠隔制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔制御装置であり、前記処理ユニットがさらに、
前記トランスミッタに前記命令の伝達を指示した後に、
前記トランスミッタが前記命令を伝達した後で前記光検出装置により検出された光に基づき前記複数の光源のさらなる光源の識別子を決定し、
それにより前記さらなる光源を識別する、遠隔制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1項に記載の遠隔制御装置であり、前記命令が、前記識別された光源により放射された光源の変調部分を切るための情報を含み、前記変調部分が前記光源の前記識別子を含む、遠隔制御装置。
【請求項4】
請求項1又は2のいずれか1項に記載の遠隔制御装置であり、前記命令が前記識別化された光源の発光を調光するための情報を含む、遠隔制御装置。
【請求項5】
請求項1又は2のいずれか1項に記載の遠隔制御装置であり、前記命令が前記識別化光源の全発光を切るための情報を含む、遠隔制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の遠隔制御装置であり、さらに、可変ゲイン増幅装置を含み、前記可変ゲイン増幅装置が前記光検出装置に接続され、前記光検出装置の感度を多くとも1つの識別子が受け取られた光で検出され得るまで減少させるように構成される、遠隔制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の遠隔制御装置であり、さらに、可変ゲイン増幅装置を含み、前記可変ゲイン増幅装置が前記光検出装置に接続され、前記光検出装置の感度を少なくとも1つの識別子が受け取られた光で検出され得るまで増加させるように構成される、遠隔制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の遠隔制御装置であり、さらにメモリを含み、前記メモリが前記処理ユニットに接続され、複数の光源の識別子を記憶するように構成され;
前記処理ユニットが、前記光源の前記識別子の決定の際に、前記光源の前記識別子を既に識別された光源の前記記憶される識別子と比較し;及び
前記メモリは、前記識別された光源の前記識別子を識別された前記識別化光源に応じて前記メモリへ追加するように構成される、遠隔制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の遠隔制御装置であり、前記遠隔制御装置は前記光検出の感度を逐次増加するように構成され、それにより前記処理ユニットが光源を次々に逐次識別可能とし;及び
前記メモリが、前記逐次識別された識別子を、識別された逐次識別された光源に応じて前記メモリに記憶するように構成される、遠隔制御装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の遠隔制御装置であり、
前記トランスミッタが、前記識別された光源へ、前記識別された光源の光性質を制御するための関連する命令を伝達されるように構成され、
前記制御の影響は、前記識別された光源に関連する、一群の強度レベル又は前記検出された光の入射角からの少なく1つに依存する、遠隔制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の遠隔制御装置であり、前記トランスミッタが、前記強度レベルが既定の閾値よりも高い場合か及び/又は入射角が既定の間隔内である場合にさらなる命令を伝達するように構成される、遠隔制御装置。
【請求項12】
請求項10又は11のいずれか1項に記載の遠隔制御装置であり、前記遠隔制御装置が、前記コード化照明システムで複数の光源での光源のサブセットを制御するために限定され;及び前記トランスミッタが、前記識別された光源が前記サブセットに含まれる場合にのみさらなる命令を伝達するように構成される、遠隔制御装置。
【請求項13】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の遠隔制御装置であり、前記処置ユニットが、前記識別された光源の識別子を、時間フレーム内で複数の光源の非衝突識別子パケットを最初に検出することで決定するように構成される、遠隔制御装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の遠隔制御装置であり、さらに:前記処理ユニットに接続される通信インタフェースを含み、かつそれにより前記遠隔制御装置が、光源の識別に関連する情報を、少なく第2の遠隔制御装置へ及び/又はから、交信することができる、遠隔制御装置。
【請求項15】
コード化照明システム中の光源を委託するための方法であり、前記方法が:
前記光源からコード化光を放射し;
遠隔制御装置により光を検出し;
前記遠隔制御装置により、前記検出された光に基づき前記光源の識別子を決定し、それにより前記光源を識別し;及び
前記遠隔制御装置により、前記識別された光源にその光を少なくとも部分的に切るための命令を伝達し、前記命令が前記光源の識別に応じて伝達され、それにより前記光源を委託する、ステップを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−509775(P2013−509775A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535983(P2012−535983)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054776
【国際公開番号】WO2011/051865
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】