説明

コード検出装置およびコード検出方法

【課題】タグが歪んでいたり錆を生じている場合にもこれに形成されたコードを確実に検出することができる。
【解決手段】コードを形成したタグ1を互いに異なる方向から照射する複数の照明器2A,2B,2C,2Dと、各照明器を順次点灯作動させる照明切替手段41と、照明切替手段の切り替え作動に連動して、各照明手段2A〜2Dにより照明された上記コードを撮像するカメラ3と、各照明器2A〜2Dが点灯した時にカメラ3で得られた各撮像画像を加算するとともに、加算された画像に基づいてコードCdを復元する画像解析手段44とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はQRコード等の二次元コードを検出するのに好適なコード検出装置およびコード検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7には従来の二次元コード検出装置の一例を示す。図において、物体Mの側面にはタグ5が貼付されており、当該タグ5に表示された二次元コードが撮像手段としてのカメラ61で撮像される。撮像された画像は画像入力手段62によって1フレーム単位で入力されて記憶手段63に書き込まれる。記憶手段63に記憶された撮像画像は画像解析手段64によって解析されて二次元コードに符号化されている情報が復元される。このような二次元コード検出装置は例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−90448
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合従来は、二次元コードを撮像する際に、タグ5に対して一方向からのみ自然光や人工光を当てている。しかし、特に二次元コードを点字状に刻印したような金属タグでは、当該金属タグが歪んでいたり錆を生じていると、一方向からの光はその反射が損なわれて十分な反射光がカメラに到達せず、この結果、二次元コードの検出を確実に行うことができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、タグが歪んでいたり錆を生じている場合にもこれに形成されたコードを確実に検出することができるコード検出装置およびコード検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明のコード検出装置は、コード(Cd)を互いに異なる方向から照射する複数の照明手段(2A,2B,2C,2D)と、各照明手段を順次点灯作動させる照明切替手段(41)と、照明切替手段の切り替え作動に連動して、前記各照明手段(2A〜2D)により照明された前記コード(Cd)を撮像する撮像手段(3)と、前記各照明手段(2A〜2D)が点灯した時に前記撮像手段(3)で得られた各撮像画像を加算する加算手段(44、ステップ106)と、加算された画像に基づいて前記コード(Cd)を復元する復元手段(44、ステップ108)とを備えている。
【0007】
本第1発明において、タグの歪みや錆びの発生等によって、一方向からの照明ではコードの明度が十分でなく検出できない場合でも、他方向からの照明によって上記コードが十分な明度になっていれば、撮像画像を加算した加算画像上ではコードは常に十分な明度を有することになる。したがって、加算画像上においてコードを確実に復元してこれを検出することができる。
【0008】
本第2発明のコード検出装置では、前記撮像手段で得られた各撮像画像を二値化する二値化手段をさらに備え、前記加算手段は二値化された各画像の論理和を算出する。
【0009】
本第3発明のコード検出方法では、コードを異なる方向から順次照射し、異なる方向から照射されるごとに前記コードを撮像して、得られた各撮像画像を加算し、加算された画像に基づいて前記コードを復元する。
【0010】
なお、上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明のコード検出装置およびコード検出方法によれば、タグが歪んでいたり錆を生じている場合にもこれに形成されたコードを確実に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のコード検出装置の構成を図1に示す。図1において、金属タグ1は物体Mの側面に貼付されており、金属タグ1の板面には二次元コードが形成されている。この二次元コードは後述するように金属タグ1の板面状に点字状に刻印された多数の凹部で構成されている。
【0013】
コード検出装置は4個の照明手段としての照明器2A,2B,2C,2Dを備えており、物体が所定位置に位置決めされると、上記各照明器2A〜2Dは金属タグ1からそれぞれ等距離でこれを囲んで上下左右の4箇所に位置するようになっている。金属タグ1上の二次元コードを構成する各凹部11は、図2に示すように、三角断面をなして120°の角度で開放している。各照明器2A〜2Dは上記各凹部11に対して一方向から30度の入射角度で光L1を照射するように設置されており、反射光L2は金属タグ1から、これに直交する方向で対向させて設けた単一の撮像手段たるカメラ3に入射する。
【0014】
コード検出装置はさらに、照明切替手段41、画像入力手段42、記憶手段43、および加算手段と復元手段を兼ねる画像解析手段44を備えており、これら各手段41〜44は、CPU,メモリ、入出力インターフェース等を備えたパーソナルコンピュータ4のハードウェアとソフトウェアによって実現されている。
【0015】
上記各照明器2A〜2Dは照明切替手段41に接続されており、照明切替手段41によって一定時間間隔で順次点灯させられる。画像入力手段42は照明切替手段41に同期して、各照明器2A〜2Dが点灯している間の撮像画像を1フレーム単位でグレースケール画像としてカメラ3から入力し、記憶手段43に記憶させる。
【0016】
各照明器2A〜2Dで上下左右の4方向から金属タグ1を照射してカメラ2から得られたグレースケール画像の一例を図3(1)〜(4)に示す。各画像は、金属タグ1の歪みや錆びの発生等によって、二次元コードCdを構成する各凹部11が、一方向からの照明では明度が十分でなく識別が困難である一方、他方向からの照明では十分な明度(白色部分)を有している。
【0017】
そこで、画像解析手段44では図4に示す手順によって二次元コードCdを検出してその情報を認識する。すなわち、画像解析手段44は、ステップ101で、照明器2A〜2Dの点灯に対応して記憶手段43に記憶されたグレースケール画像を取り込み、続いてフィルタリングによってグレースケール画像のノイズを除去する(ステップ102)。その後、背景の明度変動の影響を除去した背景差分画像を得(ステップ103)、これを二値化する(ステップ104)。この二値化は、明度が所定の閾値以上の画素を「1」レベルに、明度が上記閾値より小さい画素を「0」レベルにするものである。
【0018】
ステップ101〜104の手順を、4個の照明器2A〜2Dの点灯時に記憶された各グレースケール画像について行って(ステップ105)4つの二値化画像を得る。ステップ 106では、得られた4つの二値化画像の各画素について、下式(1)で示すように、これらの論理和を算出する。論理和によって加算された画像を図5に示す。これによれば、4方向からの照明のうち少なくとも一方向からの照明によって、二次元コードCdを構成する凹部11が十分な反射光を生ずれば、加算画像上では上記凹部11に対応する画素は必ず「1」レベルになる。
【0019】
I(i,j)=I1(i,j)UI2(i,j)UI3(i,j)UI4(i,j)…(1)
ここで、I(i,j)は加算画像の各画素の「0」又は「1」の二値レベル、I1(i,j),I2(i,j),I3(i,j),I4(i,j)は各二値化画像の各画素の二値レベルである。
【0020】
したがって、金属タグ1の歪みや錆びの発生によって、一方向からの照明によっては十分な明度が得られず認識できなかった凹部11が、確実に認識できるようになるから、加算画像の二次元コードCd領域のみを切り出し(図4のステップ107)、所定の四角領域を当該領域における凹部11の有無に応じて白黒反転させて二次元コードCdが復元される(ステップ108、図6)。このようにして、二次元コードCdが確実に検出されてその情報が復元される。
【0021】
本発明の効果を表1に示す。多数の凹部により二次元コードCdを形成し、歪みや錆を生じた42個の金属タグ1に対し、4方向から順次照明する本発明のコード検出装置で検出した結果は、全数ついて二次元コードの検出が可能であり、読取り率は100%であった。これに対して、従来の一方向からのみ照明するコード検出装置では、表2に示すように同様の42個の金属タグ1に対して、二次元コードの検出が可能で金属タグ1は24個であり、読取り率は57.1%と極めて低かった。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
なお、本発明はQRコードに限らず、他の二次元コードの検出にも適用することができる。また、二次元コードに限らず、一次元コードの検出にも適用することができる。さらに、点字状に浮き彫りされた多数の凹部で構成される二次元コードに適用した場合に特に効果があるが、これに限られるものではない。さらに、金属以外の材料を使用したタグにも適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のコード検出装置のブロック構成図である。
【図2】照明器、タグ、カメラの位置関係を示す側面図である。
【図3】タグを上下左右方向から照射して得られたグレースケール画像の正面図である。
【図4】画像解析手段における処理手順を示すフローチャートである。
【図5】加算画像の正面図である。
【図6】復元されたコードの正面図である。
【図7】従来のコード検出装置のブロック構成図である。
【符号の説明】
【0026】
1…金属タグ(タグ)、2A,2B,2C,2D…照明器(照明手段)、3…カメラ(撮像手段)、4…パーソナルコンピュータ、41…照明切替手段、42…画像入力手段、43…記憶手段、44…画像解析手段(加算手段、復元手段)、Cd…二次元コード(コード)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードを互いに異なる方向から照射する複数の照明手段と、各照明手段を順次点灯作動させる照明切替手段と、照明切替手段の切り替え作動に連動して、前記各照明手段により照明された前記コードを撮像する撮像手段と、前記各照明手段が点灯した時に前記撮像手段で得られた各撮像画像を加算する加算手段と、加算された画像に基づいて前記コードを復元する復元手段とを備えるコード検出装置。
【請求項2】
前記撮像手段で得られた各撮像画像を二値化する二値化手段をさらに備え、前記加算手段は二値化された各画像の論理和を算出するものである請求項1に記載のコード検出装置。
【請求項3】
コードを異なる方向から順次照射し、異なる方向から照射されるごとに前記コードを撮像して、得られた各撮像画像を加算し、加算された画像に基づいて前記コードを復元することを特徴とするコード検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−26736(P2010−26736A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186608(P2008−186608)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(591172054)株式会社明和eテック (24)
【Fターム(参考)】