説明

コード読取器のセンサヘッド

【課題】 少なくとも部分的に導電性コードを読取るための、コード読取器のセンサヘッドを提供する。
【解決手段】 コード読取器1のセンサヘッド11は、測定用電子機器が、読取電極12と読取電極12の周囲との間のインピーダンスの変化を決定するために、前記読取電極12に信号を入力するとともに前記読取電極12からの前記信号の応答を測定するように設けられる。コード読取器1、電子機器および可動装置は、測定用電子機器13は、読取電極12と読取電極12の周囲との間のインピーダンスの変化を決定するために、前記読取電極12に信号を入力するとともに前記読取電極12からの前記信号の応答を測定するように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に導電性コードを読取るための、コード読取器のセンサヘッドに関し、前記センサヘッドは、読取電極と測定用電子機器とを含み、該読取電極の先端は、容量方式でコードに結合するように配置されている。本発明はまた、コード読取器を用いて少なくとも部分的に導電性コードを読取るための方法に関する。さらに、本発明は、コード読取器、電子装置および可動装置に関し、該コード読取器、該電子装置および該可動装置は、少なくとも部分的に導電性コードを読取るためのセンサヘッドを含む。
【背景技術】
【0002】
様々な製品に対して、機械で読取り可能な、様々なコードを形成することは周知である。1つの方法は、導電性の低い基礎材料の上に、少なくとも部分的に導電性材料からコードを形成するものである。たとえば、コードは、紙または板の上に、導電性インクで形成されてもよい。導電性コードはまた、別の表面で覆われることもあり、該表面は、透明であっても透明でなくてもよい。コードは、より導電性の高いコード材料とより導電性の低い基礎材料とを区別し、コードに対して動かされる読取機器で電気的に読取られる。
【0003】
導電性コードを読取るために、様々な解決手段が開発されてきた。解決手段の1つが、特許文献1に提示されており、容量式コード読取器を開示している。前記コード読取器は、コード読取器の電極を用いた容量方式で、導電性コードを識別することに基づいており、電極はコードの幅に対応して取り付けられている。これに対して、結合領域は、コード読取器の電極の位置で、コードに形成される。コード読取器がコードの位置にあるとき、コード読取器の電極とコードとは回路を形成し、電極間の交流電流が検知される。コード読取器が確実に機能するために、当該解決手段は、コードおよびコード読取器の相互の所定の配置とともに正確な読取方向を必要とする。このため、この解決手段は主に、いわゆるカード読取自動装置には適切であり、該カード読取自動装置においては、コードを含むカードが、モータの支援によってコード読取器に到達する。この解決手段は確実に動作せず、たとえば、コード読取器が手で動かされるような場合、コード読取器の速さ、距離、位置および/または方向が、コードに関連して変わることもあり得る。
【0004】
特許文献2は導電性コードを読取る方法を開示している。当該公開特許公報は、コードを読取るための3つの異なる実施例を開示している。開示された解決手段のそれぞれにおいて、センサヘッドは、別個の発生板と検知板とを含み、測定用電子機器が該発生板に信号を入力し、測定用電子機器は該検知板から該測定用電子機器が入力した信号の応答を測定し、センサヘッドは発生板と検知板とに加えてさらに、少なくとも1つの接地板またはガード板を含む。開示された解決手段は、物理的寸法においてやや大きめであり、それは、手持ち式コード読取器というよりはむしろ、異なるカードの読取自動機器にとってより適切であるからであり、異なるカードの読取自動機器においては、コードを含むカードはモータの支援によってコード読取器に到達する。
【特許文献1】米国特許第5159181号明細書
【特許文献2】米国特許第5453602号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、手動による操作が可能な、機械的に簡易で小さなセンサヘッドの実施を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に従うコード読取器のセンサヘッドは、測定用電子機器が、読取電極と読取電極の周囲との間のインピーダンスの変化を決定するために、前記読取電極に信号を入力するとともに前記読取電極からの前記信号の応答を測定するように設けられることを主に特徴とする。次に、本発明に従う方法は、読取電極と読取電極の周囲との間のインピーダンスの変化を決定するために、測定用電子機器の信号が前記読取電極に入力され、前記信号の応答が前記読取電極から測定されることを主に特徴とする。本発明に従うコード読取器、電子機器および可動装置は、測定用電子機器が、読取電極と読取電極の周囲との間のインピーダンスの変化を決定するために、前記読取電極に信号を入力するとともに前記読取電極からの前記信号の応答を測定するように設けられることを主に特徴とする。
【0007】
本発明の好適な実施形態では、センサヘッドがただ1つの読取電極と測定用電子機器とを含む。導電性コードを読取るために、前記読取電極と読取電極の周囲との間の静電容量が測定され、読取電極の先端の下のコードが、読取電極とコードとの間の容量結合のために、該静電容量に対して変化を引き起こす。静電容量の測定は、読取電極にAC電圧を入力することによって行われ、該AC電圧は読取電極の先端の周囲に電場を作る。読取電極に加えて、センサヘッドは、必要があれば、読取電極に関連した好ましい領域で、読取電極によって作られる電場を規定し、読取の空間的解像度を改良するために、1つ以上のガード電極を含んでもよい。
【0008】
読取電極は、とりわけプリアンプのようなセンサヘッドの電子機器に連結されている。たとえば、プリアンプのようなセンサヘッドの部分が異なるものは、数種類の異なる実施形態で実施可能である。容量ブリッジが1つの実施形態で用いられている。プリアンプの供給電圧が、別の実施形態でパルスにされている。いわゆるスイッチトキャパシタ技術に基づくプリアンプが1つの実施形態で用いられている。
【0009】
実施形態において、充分高い読取周波数と充分な感度のプリアンプとが、コードを読取る際に用いられ、読取電極の先端からコードの導電性部分に、信号が結合される。この方法で実施されたセンサヘッドを用いて、確実な方法で、さらにコード読取器の所定の速度、位置あるいは方向を伴わない、手で操作する方法で、高い解像度でコードを読取ることが可能である。センサヘッドによって読取られたコードデータは、制御ユニットに集められ、該制御ユニットは、読取られたコード情報におけるコードそのものの開始パターンと終了パターンとを識別する。コードそのものの、幾何学構造および/あるいは電子的性質に基づいて、制御ユニットはコードそのものを識別するデータを形成する。
【0010】
さらに詳しくは、本発明は、少なくとも部分的に導電性コードを読取るコード読取器のセンサヘッドであって、読取電極と測定用電子機器とを含み、該読取電極の先端が、容量方式で測定用電子機器とコードとに結合するように配置され、該測定用電子機器が、読取電極と読取電極の周囲との間のインピーダンスの変化を決定するために、前記読取電極へ信号を入力するとともに読取電極からの前記信号の応答を測定することを特徴とするセンサヘッドである。
【0011】
本発明において、読取電極によって作られる電場を規定するために1つ以上のガード電極をさらに含むことを特徴とする。
【0012】
本発明において、測定用電子機器が、信号を形成するためのチョッパ増幅電子機器を含み、該チョッパ増幅電子機器が容量測定ブリッジに基づくことを特徴とする。
【0013】
本発明において、測定用電子機器が、信号を形成するためのチョッパ増幅電子機器を含み、該チョッパ増幅電子機器が供給電圧のチョッピングに基づくことを特徴とする。
【0014】
本発明において、測定用電子機器が、信号を形成するためのチョッパ増幅電子機器を含み、該チョッパ増幅電子機器がスイッチトキャパシタ技術に基づくことを特徴とする。
【0015】
また本発明は、コード読取器を用いた、少なくとも部分的に導電性コードの読取方法であって、センサヘッドは少なくとも読取電極と測定用電子機器とを含み、該読取電極の先端が、容量方式でコードに結合するように配置されることが可能で、読取電極と読取電極の周囲との間のインピーダンスの変化を決定するために、信号が測定用電子機器で前記読取電極に入力され、前記信号の応答が読取電極から測定されることを特徴とする方法である。
【0016】
本発明において、センサヘッドが、読取電極によって作られる電場を規定するために1つ以上のガード電極をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
本発明において、信号が測定用電子機器で形成され、該測定用電子機器は容量測定ブリッジに基づくチョッパ増幅電子機器を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明において、信号が測定用電子機器で形成され、該測定用電子機器は供給電圧のチョッピングに基づくチョッパ増幅電子機器を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明において、信号が測定用電子機器で形成され、該測定用電子機器が、スイッチトキャパシタ技術に基づくチョッパ増幅電子機器を含むことを特徴とする。
【0020】
また本発明は、少なくとも部分的に導電性コードを読取るためのコード読取器であって、前記コード読取器が読取電極と測定用電子機器とを含み、該読取電極の先端が、容量方式で測定用電子機器とコードとに結合するように配置され、該測定用電子機器は、読取電極と読取電極の周囲との間のインピーダンスの変化を決定するために、前記読取電極に信号を入力するとともに読取電極からの前記信号の応答を測定することを特徴とするコード読取器である。
【0021】
本発明は、少なくとも部分的に導電性コードを読取るためのセンサヘッドを含む電子装置であって、前記センサヘッドは読取電極と測定用電子機器とを含み、該読取電極の先端が容量方式でコードに結合するように配置され、該測定用電子機器が、読取電極と読取電極の周囲との間のインピーダンスの変化を決定するために、信号を前記読取電極に入力するとともに読取電極からの前記信号の応答を測定することを特徴とする電子装置である。
【0022】
また本発明は、少なくとも部分的に導電性コードを読取るためのセンサヘッドを含む可動装置であって、前記センサヘッドは読取電極と測定用電子機器とを含み、該読取電極の先端が容量方式でコードに結合するように配置され、該測定用電子機器が、読取電極と読取電極の周囲との間のインピーダンスの変化を決定するために、信号を前記読取電極に入力するとともに読取電極からの前記信号の応答を測定することを特徴とする可動装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の異なる実施形態は、先行技術の解決手段を越えるいくつかの利点を提供している。実施形態の実施方法に応じて、本発明は以下に示す1つ以上の利点を提供し得る。
【0024】
・手動操作が可能である。なぜなら、読取電極の先端は、読取られるべきコードに形成された結合領域と位置合わせする必要がないからである。
・手動による使用が容易であり、センサヘッドがあらゆる方向に傾いていてもよい。なぜなら、2つ以上の電極の代わりに、1つの電極の先端が読取られるコードに充分近づくからである。
・センサヘッドの機械的構造が簡素化されている。なぜなら、別々の発生電極と検知電極とが必要ないからである。
・空間的解像度が改良されている。すなわち、さらに密度の高いコードを読取ることが可能である。なぜなら、電極によって形成される構造の物理的サイズをより小さくすることができるからである。
・より簡素化された構造のために、センサヘッドの製造コストがより小さくなる。
【0025】
本発明に従う読取技術によって、実質的に電子装置および/あるいはデータ送信に支障をきたすことがないように実施可能である。これによって、必要であれば、同じ構造の中にコード読取器と他の機能とを設置することが可能になる。たとえば、コード読取器は、可動装置、通信装置、電子手帳および/あるいは手のひらサイズのコンピュータに接続されることができる。また、コード読取器が分離したユニットで、該ユニットが適切なデータ送信技術を用いて、たとえば、可動装置、通信装置、電子手帳および/あるいは手のひらサイズのコンピュータのような別の装置に接続されることも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、付け加えられた主な図に関連して、より詳細に本発明が記載される。
【0027】
明瞭性のために、図は、本発明を理解するために必要な細部のみを示している。本発明を理解するために必要なく、どの当業者にとっても明らかな構造および細部は、本発明の特徴を強調するために図から省いている。
【0028】
本発明に従うコード読取器1に関して記載されている場合、紙上に導電性インクで形成されたバーコードがコード2として使用されており、該コードの大きさは数センチの範囲にある。しかしコードは、たとえばコードの形、大きさ、基板あるいは導電性材料において、例として述べられているコードとは違うこともある。
【0029】
図1は、導電性コード2の一部とともに本発明に従うコード読取器1の実施形態を示す。実施例において、コード読取器1はペン型に形成されている。コード読取器1の先端はセンサヘッド11を含み、該センサヘッドに読取電極が設置されている。
【0030】
次に、図2は、コード読取器1の実施形態を図式で示す。実施形態に従うコード読取器1は、センサヘッド11と制御ユニット14とを含む。センサヘッド11はとりわけ、読取電極12と測定用電子機器13とを含む。次に、制御ユニット14は、コード2を決定するために、センサヘッド11によって形成されるデータを処理するための手段を含む。読取電極12の先端の大きさと形とは変わってもよいが、電極12の先端の直径は1mmよりも小さいことが好適であると認められている。実用試験では、適切な測定は50〜300μmであると認められた。読取電極12の先端は絶縁体で保護され、該絶縁体の厚さは好適には、最大で数十マイクロメートルである。読取電極12の大きさと配置とは、とりわけコード2のいかに狭い部分が装置によって検知されるか、特にいかに高い解像度が測定用電子機器13から要求されるかに関して影響を与える。測定用電子機器は、読取電極と読取電極の周囲との間のインピーダンスの変化を感知するように設けられる。
【0031】
コード読取器1のセンサヘッド11の可能な構造が図3に示されている。測定用電子機器13は、ブロック131,132,133,134および135を含み、読取電極と読取電極の周囲との間の容量インピーダンスの変化を測定するように設けられる。センサヘッド11はまた、1つの読取電極12を含み、該読取電極の先端は容量方式で読取られるコード2に結合される。図2に関連して提示された読取電極12の先端の大きさとともに、測定される容量においてコード2によって引き起こされる変化は、主に10分の数フェムトファラッドから数フェムトファラッドまでの範囲においてである。パルス発信器131はAC信号を発生し、該AC信号は、たとえば、一定の周波数と振幅とを有する方形波であってもよい。パルス発信器131の周波数は、たとえば、用いられる増幅回路の種類に応じて、たとえば、100kHz,1MHzあるいは数MHzであってもよい。
【0032】
チョッパ増幅電子機器132は読取電極12にAC電圧を入力し、該読取電極は、読取電極の先端の周囲に電場を作る。読取電極12の先端の大きさは非常に小さいため、読取電極とコード2との間の容量は、読取電極の周囲に対するコードの容量結合よりも実質的に小さい。したがって、読取電極12に対する電圧入力はコード2の電気ポテンシャルに大きく影響しない。読取電極の先端の周囲に1つ以上のガード電極があってもよく、該ガード電極は、好ましい領域に電場を規定し、読取りの空間的解像度を向上させる。ガード電極17は電子機器の接地電圧に主に連結される。導電性コード2がセンサヘッド11の読取電極12の先端の下にあるとき、読取電極と読取電極の周囲との間の容量に変化が起きる。この変化は、振幅および/あるいは信号波における変化として、チョッパ増幅電子機器132の出力信号に現れる。アンチエイリアスフィルタ133は、この信号から調和振動数(パルス発信器131の周波数の倍数)をろ波し、同時にこれらの周波数上のノイズもろ波する。位相器134は、位相器の出力信号が、パルス発信器131に与えられる信号と比較して0度または180度位相がずれるように、アンチエイリアスフィルタ133の出力信号の位相を移動する。検出器135は、位相器134の出力信号の振幅に比例したDC信号を出力する。検出器135は、アナログスイッチとそれに続くローパスフィルタを用いて実施される乗算器を含む。コード2の識別は検出器135の出力信号の測定に基づいている。図3と関連して述べたチョッパ増幅電子機器132はいくつかの異なる方法で実施されてもよく、そのいくつかの好適な実施例が以下に提示されている。
【0033】
図4および図5は、容量測定ブリッジに基づいてチョッパ増幅電子機器132を示しており、図5は自動的な平衡結合を示している。読取電極12の先端の周囲にガード電極17があれば、これらの解決手段において、ガード電極17は電子装置の接地電圧に連結されることができる。また読取電極12とプリアンプとの間の導体は静電遮蔽を与えることが可能で、該導体はこの解決手段において電子装置の接地電圧に連結してもよい。読取電極12は増幅回路の非反転入力に連結され、読取電極12の相当する回路は、破線のコンデンサCで示される。C,CおよびCはCと容量測定ブリッジを形成する。これらの静電容量に加えて、測定ブリッジの平衡度は、とりわけ、増幅回路の入力静電容量と測定ブリッジに連結された導体の浮遊容量とによる影響を受けるが、それは図には示されていない。Cはプリアンプのフィードバック容量である。RおよびRは、プリアンプのバイアス抵抗である。図5において、Vcfixedは固定されたDC電圧で、VadjはDC電圧であり、Vadjを調整することによって、センサヘッド11の出力信号に従ってコード読取器1の制御装置14が、測定ブリッジを平衡状態にすることができる。図5に従った配置において、Cはさらに小さくすることが可能であり、したがってプリアンプの出力はCの変化に対して、増幅回路の線形動作範囲を超える危険なく、さらに感度を良くすることが可能である。その危険とは、たとえば測定ブリッジの容量値の温度ドリフトの結果として起こるような場合のことである。図4および図5の右側の波形に従うCHOP信号は、パルス発信器131から出される。読取られるべきコード2が読取電極12の下にもたらされ、Cの容量値は増加し、プリアンプの出力信号を変化させる。このことは図4および図5の右側に概ね示されている。実線は、読取電極12の先端の下にコードがない場合のチョッパ増幅電子機器132の出力信号を表しており、破線は、コード2が読取電極12の先端の下にあるときのチョッパ増幅電子機器132の出力信号を表している。出力信号のエッジの丸まりが、とりわけ増幅回路の制限帯域によって引き起こされる。
【0034】
図6はプリアンプの供給電圧のチョッピングに基づくチョッパ増幅電子機器を示す。読取電極12の先端の周囲にガード電極17がある場合、ガード電極17は、この解決手段において、電子装置の接地電圧に結合することが可能である。また、読取電極12とプリアンプとの間の導体は静電遮蔽を与えることが可能であり、該導体はこの解決手段においてCHOP信号に連結してもよい。読取電極12は増幅回路の非反転入力に連結され、読取電極12の相当する回路は破線のコンデンサCで示されている。他の破線のコンデンサは、動作に影響する、最も重要な浮遊容量の等価回路を示す。Cinは増幅回路の入力容量であり、Cは読取電極12とチョッパ増幅電子機器132の他の部分に対する増幅回路との間の導体の浮遊容量であり、Rb1とRb2とはプリアンプのバイアス抵抗であり、Rf1とRf2とはプリアンプのゲインを決定するフィードバック抵抗であり、Vはセンサヘッドの供給電圧であり、Cはプリアンプの正の供給電圧を調整するコンデンサである。図6の右側の波形に従うCHOP信号はパルス発信器131から出される。読取られるべきコード2が、読取電極12の先端の下にもたらされたとき、Cの容量値は増加し、プリアンプの出力信号を変化させる。このことは図6の右側に概ね示されている。実線は、読取電極12の先端の下にコード2がない場合のプリアンプの出力信号を表しており、破線は、コードが読取電極の先端の下にあるときのプリアンプの出力信号を表す。出力信号のエッジのピークは、とりわけ増幅回路の制限帯域によって引き起こされる。
【0035】
次に、いわゆるスイッチトキャパシタ技術に基づいたプリアンプは、図7に従った実施形態で用いられている。スイッチトキャパシタ技術はまた、特にこの解決手段では、図3に表された他のブロックの実施例にも適用される。読取電極12の先端の周囲にガード電極17がある場合、ガード電極17は、この解決手段において電子装置の接地電圧に連結されている。また、読取電極12とプリアンプの間の導体は静電遮蔽を与えることが可能であり、該導体はこの解決手段において、電子装置の接地電圧に連結されてもよい。読取電極12はスイッチS1に接続され、読取電極12の相当する回路が破線のコンデンサCで示されている。プリアンプの出力信号はまた、とりわけ増幅回路の入力容量と信号導体の浮遊容量とによる影響を受けるが、それは図には示されていない。Cはプリアンプのフィードバック容量である。VbiasはDC電圧である。スイッチS1およびS2は、図の右側の信号波形に従って、パルス発信器131から出されたCHOP1の信号とCHOP2の信号とによって制御されている。読取られるべきコード2が読取電極12の下にもたらされたとき、Cの容量値は増加し、プリアンプの出力信号を変化させる。このことは図の右側に概ね示されている。実線は、読取電極12の先端の下にコード2がない場合の出力信号を表しており、破線は、コードが読取電極の先端の下にあるときの、プリアンプの出力信号を表している。出力信号のエッジの丸まりは、たとえば、増幅回路の制限帯域とスイッチの抵抗とによって引き起こされる。
【0036】
次に、図8は、コード読取器1の実施形態を図式で示す。実施例に従うコード読取器1はセンサヘッド11および制御ユニット14を含む。制御ユニット14は、この実施形態では、データ処理ユニット15に連結しており、該制御ユニットはとりわけ、コード2に含まれる制御データに従って動作するようになっている。さらに、データ送信ユニット16が実施例で示されており、該データ送信ユニットを経て、コード読取器1は他の装置および/あるいはシステムに連結している。
【0037】
本発明に従う読取技術は、電子装置および/あるいはデータ送信に実質的な支障をきたさないように実施され得る。このことは、必要であれば、同じ構造内にコード読取器1および他の機能の設置することを可能にする。たとえば、コード読取器1は可動装置、通信装置、電子手帳および/あるいは手のひらサイズのコンピュータに連結することが可能である。また、コード読取器1は分離したユニットであって、適切なデータ通信装置を用いて、別の装置、たとえば可動装置、通信装置、電子手帳および/あるいは手のひらサイズのコンピュータに連結することも可能である。本実施形態では、コード読取器1は、タッチスクリーンのペンと同じ構造中に装備されており、このような場合、同じユニットでコードを読取り、装置を制御することが可能である。データは、たとえばIR(赤外線)あるいはBluetooth技術で、コード読取器1と他の装置との間で送信され得る。
【0038】
何らかの他のシステムに連結したコード読取器を配置することによって、異なるサービスを提供し、使用することが可能である。たとえば、図9はシステムの集合を示しており、該集合はコード読取器1、通信装置3およびサーバ4を含む。本実施例では、コード読取器1は通信装置3とデータ送信接続されているが、装置は組み込まれていてもよい。次に、通信装置3は、サーバ4に連結されている。
【0039】
たとえば、コード読取器1を用いて、新聞中のコード2を読取ることも可能であり、該コードは、インターネットのどこかのページのアドレスデータを含む。コード読取器1はコード2を復号し、当該アドレスデータを決定し、該アドレスデータは通信装置3に送信される。次に、通信装置3は、当該ページのために、サーバ4への接続を形成する。
【0040】
種々の様式で、上記に提示された本発明の、異なる実施形態との連結で開示された形態および構造を組み合わせることによって、本発明の精神に従って、本発明の様々な実施形態を作り出すことが可能である。したがって、上記に開示された実施例は、本発明について限定的に解釈されてはならないが、本発明の実施形態は、クレームで提示された発明の特徴の範囲で自由に変化させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に従ったコード読取器を示す。
【図2】ブロック図においてコード読取器を示す。
【図3】センサヘッドの実施形態の主な構造を示す。
【図4】異なるチョッパ増幅電子機器の実施例を示す。
【図5】異なるチョッパ増幅電子機器の実施例を示す。
【図6】異なるチョッパ増幅電子機器の実施例を示す。
【図7】異なるチョッパ増幅電子機器の実施例を示す。
【図8】別の実施形態に従ったコード読取器を示す。
【図9】システムを示す。
【符号の説明】
【0042】
1 コード読取器
2 導電性コード
3 通信装置
4 サーバ
11 センサヘッド
12 読取電極
13 測定用電子機器
14 制御ユニット
15 データ処理ユニット
16 データ送信ユニット
17 ガード電極
131 パルス発信器
132 チョッパ増幅電子機器
133 アンチエイリアスフィルタ
134 位相器
135 検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に導電性コードを読取るコード読取器のセンサヘッドであって、読取電極と測定用電子機器とを含み、該読取電極の先端が、容量方式で測定用電子機器とコードとに結合するように配置され、該測定用電子機器が、読取電極と読取電極の周囲との間のインピーダンスの変化を決定するために、前記読取電極へ信号を入力するとともに読取電極からの前記信号の応答を測定することを特徴とするセンサヘッド。
【請求項2】
読取電極によって作られる電場を規定するために1つ以上のガード電極をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のセンサヘッド。
【請求項3】
測定用電子機器が、信号を形成するためのチョッパ増幅電子機器を含み、該チョッパ増幅電子機器が容量測定ブリッジに基づくことを特徴とする請求項1記載のセンサヘッド。
【請求項4】
測定用電子機器が、信号を形成するためのチョッパ増幅電子機器を含み、該チョッパ増幅電子機器が供給電圧のチョッピングに基づくことを特徴とする請求項1記載のセンサヘッド。
【請求項5】
測定用電子機器が、信号を形成するためのチョッパ増幅電子機器を含み、該チョッパ増幅電子機器がスイッチトキャパシタ技術に基づくことを特徴とする請求項1記載のセンサヘッド。
【請求項6】
コード読取器を用いた、少なくとも部分的に導電性コードの読取方法であって、センサヘッドは少なくとも読取電極と測定用電子機器とを含み、該読取電極の先端が、容量方式でコードに結合するように配置されることが可能で、読取電極と読取電極の周囲との間のインピーダンスの変化を決定するために、信号が測定用電子機器で前記読取電極に入力され、前記信号の応答が読取電極から測定されることを特徴とする方法。
【請求項7】
センサヘッドが、読取電極によって作られる電場を規定するために1つ以上のガード電極をさらに含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
信号が測定用電子機器で形成され、該測定用電子機器は容量測定ブリッジに基づくチョッパ増幅電子機器を含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項9】
信号が測定用電子機器で形成され、該測定用電子機器は供給電圧のチョッピングに基づくチョッパ増幅電子機器を含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項10】
信号が測定用電子機器で形成され、該測定用電子機器が、スイッチトキャパシタ技術に基づくチョッパ増幅電子機器を含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項11】
少なくとも部分的に導電性コードを読取るためのコード読取器であって、前記コード読取器が読取電極と測定用電子機器とを含み、該読取電極の先端が、容量方式で測定用電子機器とコードとに結合するように配置され、該測定用電子機器は、読取電極と読取電極の周囲との間のインピーダンスの変化を決定するために、前記読取電極に信号を入力するとともに読取電極からの前記信号の応答を測定することを特徴とするコード読取器。
【請求項12】
少なくとも部分的に導電性コードを読取るためのセンサヘッドを含む電子装置であって、前記センサヘッドは読取電極と測定用電子機器とを含み、該読取電極の先端が容量方式でコードに結合するように配置され、該測定用電子機器が、読取電極と読取電極の周囲との間のインピーダンスの変化を決定するために、信号を前記読取電極に入力するとともに読取電極からの前記信号の応答を測定することを特徴とする電子装置。
【請求項13】
少なくとも部分的に導電性コードを読取るためのセンサヘッドを含む可動装置であって、前記センサヘッドは読取電極と測定用電子機器とを含み、該読取電極の先端が容量方式でコードに結合するように配置され、該測定用電子機器が、読取電極と読取電極の周囲との間のインピーダンスの変化を決定するために、信号を前記読取電極に入力するとともに読取電極からの前記信号の応答を測定することを特徴とする可動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−178925(P2006−178925A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267559(P2005−267559)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(505236562)
【氏名又は名称原語表記】Avantone Oy
【Fターム(参考)】