説明

コード読取装置およびコマンド取得方法

【課題】入力装置を用いることなく、コードシンボルから取得したコマンドに、所望のパラメータを設定できるようにする。
【解決手段】コード読取装置1は、カメラ101で撮像した被写体2の映像データに画像認識処理を施してQRコード(登録商標)21を検出し、ディスプレイ102に表示するとともに、このQRコード21からコマンドを取得する。また、カメラ101で撮像した一連の被写体2の映像データから検出したQRコード21の動きに基づいてパラメータを特定し、取得したコマンドに、このパラメータを設定する。ユーザは、QRコード21が記録された被写体2をコード読取装置1にかざして、この被写体2に所定の動きを与えることにより、入力装置を用いることなく、QRコード21から取得したコマンドに所望のパラメータを設定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コード読取装置に関し、特にコード読取装置によるコードシンボルを用いたコマンド取得技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、設置スペースを要せず、不慣れなユーザでも操作が容易な入力システムを実現できる技術が開示されている。この技術では、コマンド部とパラメータ部とで構成されたバーコードが用いられ、バーコード読取装置が、記録シートに記録されたバーコードからコマンド部とパラメータ部とを読み取り、パラメータ部に格納されたパラメータを用いて、コマンド部に格納されたコマンドを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−11279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、コマンドとパラメータとが対となってバーコードに格納されているため、同じコマンドであっても、パラメータが異なれば、異なるバーコードを用意しなければならない。このため、ユーザは、コマンドが同じであっても、パラメータが異なっていれば、異なるバーコードをバーコード読取装置で読み取らねばならず、作業が煩雑である。
【0005】
なお、バーコードから読み取ったコマンドに対するパラメータの設定を、キーボード、タッチパネル等の入力装置を用いて行う方法も考えられるが、この場合、ユーザが入力装置に触って操作する必要がある。このため、ユーザの手の届くところに入力装置を設置しておかなければならない。また、複数のユーザが触る可能性があり、そのことを衛生的に好まないユーザも考えられる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、キーボード、タッチパネル等の入力装置を用いることなく、一次元バーコード、二次元バーコード等のコードシンボルから取得したコマンドに所望のパラメータを設定することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明において、コード読取装置は、被写体の映像データに画像認識処理を施してコードシンボルを検出し、このコードシンボルからコマンドを取得するとともに、一連の被写体の映像データから検出したコードシンボルの動きに基づいてパラメータを特定する。そして、取得したコマンドに、この特定したパラメータを設定して、自ら実行するか、あるいは他の装置に実行させる。
【0008】
例えば、本発明は、コードシンボルを読み取ってコマンドを取得するコード読取装置であって、
被写体を撮像して映像データを出力する撮像手段と、
前記撮像手段より出力された映像データに画像認識処理を施して、当該映像データから前記コードシンボルを検出するコード検出手段と、
前記コード検出手段より検出されたコードシンボルを表示する表示手段と、
前記コード検出手段により検出されたコードシンボルから前記コマンドを取得するコマンド取得手段と、
前記撮像手段により出力された一連の映像データから、前記コード検出手段により検出されたコードシンボルの動きを検出する動き検出手段と、
前記動き検出手段により検出されたコードシンボルの動きに基づいて、前記コマンド取得手段により取得されたコマンドのパラメータを設定するパラメータ設定手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザは、コードシンボルが記録された被写体をコード読取装置にかざして、この被写体に所定の動きを与えることにより、入力装置を用いることなく、コードシンボルから取得したコマンドに所望のパラメータを設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1(A)、(B)は、本発明の一実施の形態に係るコード読取装置1の操作方法を説明するための図である。
【図2】図2は、コード読取装置1の概略機能構成図である。
【図3】図3は、被写体2の概略図である。
【図4】図4は、ガイダンス記憶部111の登録内容を模式的に表した図である。
【図5】図5は、コード読取装置1の動作を説明するためのフロー図である。
【図6】図6(A)は、ログイン認証コマンドに対するガイダンス映像データの表示例を示す図であり、図6(B)は、アクセスコマンドに対するガイダンス映像データの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図1(A)、(B)は、本発明の一実施の形態に係るコード読取装置1の操作方法を説明するための図である。
【0013】
本実施の形態に係るコード読取装置1は、IDカード、名刺、はがき、携帯電話機等の被写体2の映像データから、この被写体2に記録(印刷、表示、貼付等)されたQRコード(登録商標)21を読み取って、コマンドを取得する。図1(A)、(B)では、認識したコマンドが、ログイン認証処理の実行を指示するログイン認証コマンドである場合を例にとり説明している。
【0014】
まず、図1(A)に示すように、ユーザがQRコード21の記録面を前方に向けて被写体2をコード読取装置1にかざすと、コード読取装置1は、カメラ101でQRコード21の記録面を撮像し、その映像データに画像認識処理を施してQRコード21を検出する。そして、検出したQRコード21をディスプレイ102に表示するとともに、このQRコード21からコマンドを取得する。それから、コード読取装置1は、取得したコマンドがログイン認証コマンドであることを認識して、このQRコード21からユーザ名を取得する。そして、ログイン認証コマンドを検出した旨のメッセージを、ユーザ名とともにディスプレイ102に表示する。また、スピーカ103からその旨の音声メッセージを出力する(22a、22b)。
【0015】
つぎに、図1(B)に示すように、コード読取装置1は、ディスプレイ102およびスピーカ103を用いて、ログイン認証処理に必要な動作を行うようにガイダンスする(23a、23b)。これを受けて、ユーザは、コード読取装置1側にQRコード21の記録面を向けたまま、QRコード21が所定の軌跡を描くように被写体2を動かす。コード読取装置1は、カメラ101で撮像した一連の映像データに画像認識処理を施して、このときのQRコード21の動きを検出する。そして、このQRコード21の軌跡データ24をパラメータ(認証データ)として、このQRコード21から取得したユーザ名に対するログイン認証処理を実行する。
【0016】
図2は、コード読取装置1の概略機能構成図である。
【0017】
図示するように、コード読取装置1は、カメラ101と、ディスプレイ102と、スピーカ103と、表示制御部104と、音声制御部105と、ネットワークIF部106と、コード検出部107と、コマンド取得部108と、動き検出部109と、パラメータ設定部110と、ガイダンス記憶部111と、ガイダンス処理部112と、コマンド実行部113と、を有する。
【0018】
カメラ101は、QRコード21が記録された被写体2を撮像して映像データを出力する。ここで、図3に示すように、被写体2に記録されているQRコード21には、コード読取装置1に任意の処理を行わせるためのコマンド211が付加情報212とともに記憶されている。また、このコマンド211に設定する複数のパラメータ候補213が必要に応じて記憶されている。
【0019】
ディスプレイ102は、カメラ101の映像データから検出されたQRコード21、およびこのQRコード21から取得したコマンド211に対するパラメータ設定のためのガイダンス映像データを含む各種情報を表示する。
【0020】
スピーカ103は、QRコード21から取得したコマンド211に対するパラメータ設定のためのガイダンス音声データを含む各種音声を出力する。
【0021】
表示制御部104は、ディスプレイ102の表示を制御する。
【0022】
音声制御部105は、スピーカ103の音声出力を制御する。
【0023】
ネットワークIF部106は、コード読取装置1を無線LAN、有線LAN等のネットワークに接続するためのインターフェースである。
【0024】
コード検出部107は、カメラ101から出力された映像データに既存の画像認識処理を施して、QRコード21を検出する。また、検出したQRコード21の座標情報を特定する。
【0025】
コマンド取得部108は、コード検出部107により検出されたQRコード21からコマンド211および付加情報212を取得する。ここで、QRコード21に複数のパラメータ候補213が記憶されている場合は、これらのパラメータ候補213も取得する。
【0026】
動き検出部109は、カメラ101からの一連の映像データからコード検出部107によって特定されたQRコード21の座標情報に基づいて、このQRコード21の動きを検出する。
【0027】
パラメータ設定部110は、動き検出部109により検出されたQRコード21の動きと、後述のパラメータ設定操作情報とに基づいて、コマンド取得部108によりQRコード21から取得されたコマンド211のパラメータを設定する。ここで、コマンド取得部108によってQRコード21から複数のパラメータ候補213がコマンド211とともに取得されている場合は、動き検出部109により検出されたQRコード21の動きと、後述のパラメータ設定操作情報とに基づいて、これらのパラメータ候補213のなかからパラメータを選択し、このパラメータを、QRコード21から取得されたコマンド211に設定する。
【0028】
ガイダンス記憶部111には、コマンド211毎に、コマンド実行に必要なパラメータの設定操作を受け付けるためのガイダンス情報が記憶されている。
【0029】
図4は、ガイダンス記憶部111の登録内容を模式的に表した図である。図示するように、ガイダンス記憶部111には、QRコード21に含まれる可能性のあるコマンド211毎にレコード1110が記憶されている。レコード1110は、コマンド211が登録されたフィールド1111と、コマンド211のパラメータ設定に必要な動作をユーザに行わせるためのガイダンス映像データ、ガイダンス音声データが登録されたフィールド1112、1113と、コマンド211に設定されるパラメータおよびパラメータ設定のために要求されるQRコード21の動きを規定するパラメータ設定操作情報が登録されたフィールド1114と、を有する。
【0030】
なお、本実施の形態では、QRコード21に含まれる可能性のあるコマンド211として、ログイン認証処理を行うためのログイン認証コマンド、および任意のアクセス先に対するアクセス処理を行うためのアクセスコマンドを想定している。
【0031】
ガイダンス処理部112は、コマンド取得部108によってQRコード21から取得されたコマンド211をキーにして、ガイダンス記憶部111からレコード1110を検索する。そして、検索したレコード1110のフィールド1112、1113に登録されているガイダンス映像データ、ガイダンス音声データを用いて、パラメータ設定に必要な動作を行うようにガイダンスする。また、検索したレコード1110のフィールド1114に登録されているパラメータ設定操作情報をパラメータ設定部110に渡す。
【0032】
コマンド実行部113は、パラメータ設定部110により設定されたパラメータを用いて、コマンド取得部108よりQRコード21から取得されたコマンド211を実行する。あるいは、ネットワークIF部106を介して他の装置にコマンド211の実行を依頼する。そして、必要に応じて、その実行結果をディスプレイ102に表示したり、スピーカ103から音声出力したりする。
【0033】
図5は、コード読取装置1の動作を説明するためのフロー図である。このフローは、ユーザが、QRコード21の記録面を前方に向けて被写体2をコード読取装置1にかざすことにより開始される。
【0034】
まず、コード検出部107は、カメラ101から出力された映像データに画像認識処理を施してQRコード21の検出を試みる(S101)。コード検出部107は、QRコード21を検出したならば(S101でYES)、このQRコード21の映像データを表示制御部104に渡す。これを受けて、表示制御部104は、QRコード21の映像データをディスプレイ102に表示する(S102)。
【0035】
また、コード検出部107は、映像データから検出したQRコード21の映像データを、QRコード21の座標情報とともに、コマンド取得部108に渡す。ここで、QRコード21の座標情報には、QRコード21の三隅にある位置検出パターン214a〜214cのいずれか(例えば右下隅にある位置検出パターン214c)の映像データ上における座標情報を用いる(図3参照)。
【0036】
これを受けて、コマンド取得部108は、コード検出部107から受け取ったQRコード21の映像データから情報を読み取ってコマンド211および付加情報212の取得を試みる(S103)。そして、コマンド取得部108は、コマンド211および付加情報212を取得できなかったならば(S103でNO)、その旨をガイダンス処理部112に通知する。これを受けて、ガイダンス処理部112は、表示制御部104を介して、QRコード21に実行可能なコマンド211が含まれていない旨のメッセージをディスプレイ102に表示したり、音声制御部105を介してその旨の音声メッセージをスピーカ103から出力するなどの所定のエラー処理を行う(S121)。その後、このフローを終了する。
【0037】
一方、コマンド取得部108は、QRコード21からコマンド211および付加情報212を取得できたならば(S103でYES)、取得したコマンド211を解析する(S104)。そして、このコマンド211がログイン認証コマンドならば(S104で「ログイン認証」)、S105に進み、アクセスコマンドならば(S104で「アクセス」)、S111に進む。
【0038】
S105において、コマンド取得部108は、ログイン認証コマンドを、付加情報212に含まれているユーザ名とともに、ガイダンス処理部112に通知する。これを受けて、ガイダンス処理部112は、表示制御部104を介して、QRコード21からログイン認証コマンドを検出した旨のメッセージを、ユーザ名ととともに、QRコード21を表示中のディスプレイ102に表示する。また、音声制御部105を介して、その旨の音声メッセージをスピーカ103から出力する。
【0039】
つぎに、ガイダンス処理部112は、ガイダンス記憶部111を参照し、フィールド1111にログイン認証コマンドが登録されているレコード1110を特定する。そして、このレコード1110のフィールド1112、1113に登録されているガイダンス映像データ、ガイダンス音声データを、それぞれ表示制御部104、音声制御部105に渡す。これを受けて、表示制御部104は、ガイダンス映像データ(例えば文字列「ログイン認証動作入力」)を、QRコード21とともにディスプレイ102に表示し、音声制御部105は、ガイダンス音声データ(例えば音声「ログイン認証動作を開始してください」)をスピーカ103から出力する(S106)。また、ガイダンス処理部112は、このレコード1110のフィールド1114に登録されているパラメータ設定操作情報をパラメータ設定部110に渡す。
【0040】
ユーザは、ディスプレイ102に表示されたガイダンス映像データおよびスピーカ103から出力されたガイダンス音声データに従い、QRコード21が所定の軌跡を描くように被写体2を動かして、ログイン認証処理に必要な動作を行う。
【0041】
この際、コード検出部107は、カメラ101から出力される一連の映像データから、逐次、QRコード21およびその座標情報を検出してコマンド取得部108に渡す。コマンド取得部108は、コード検出部107から逐次送られてくるQRコード21の座標情報を動き検出部109に渡す。動き検出部109は、コマンド取得部108から逐次送られてくるQRコード21の座標情報に基づいて、QRコード21の動きを検出し、この動きを表す軌跡データ24を表示制御部104に渡す。表示制御部104は、この軌跡データ24を、表示中のQRコード21、ガイダンス映像データ等とともに、ディスプレイ102に表示する(S107)。
【0042】
図6(A)は、ログイン認証コマンドに対するガイダンス映像データ23aの表示例を示す図である。この例では、IDカード等の被写体2のQRコード21から取得したログイン認証コマンドに対するガイダンス映像データ23aが、このQRコード21と、このQRコード21から取得した付加情報212に含まれているユーザ名25aと、このQRコード21の軌跡データ24とともにディスプレイ102に表示されている。ここで、軌跡データ24は、ディスプレイ102上におけるQRコード21の移動の軌跡として、表示中のQRコード21の座標情報との相対的な位置関係を維持するようにして表示される。
【0043】
さて、動き検出部109は、コマンド取得部108から逐次送られてくるQRコード21の座標情報の変位が所定時間以上、所定値以下である(QRコード21が同じ位置にある)ことを検出すると(S108でYES)、それまでのQRコード21の動きを表す軌跡データ24をパラメータ設定部110に渡す。これを受けて、パラメータ設定部110は、ガイダンス処理部112から通知されたパラメータ設定操作情報に従い、QRコード21の軌跡データ24を、このQRコード21から取得したログイン認証コマンドに設定するユーザ入力の認証データ(パラメータ)に決定し、このユーザ入力の認証データをコマンド取得部108に通知する(S109)。
【0044】
つぎに、コマンド取得部108は、コマンド実行部113に、パラメータ設定部110より通知されたユーザ入力の認証データと、QRコード21から取得した付加情報212に含まれているユーザ名25aとを通知して、ログイン認証コマンドの実行を依頼する。これを受けて、コマンド実行部113は、このユーザ入力の認証データと、予めユーザ名25aに対応付けられて登録されている認証データとを比較・検証して、ユーザ名25aに対するログイン認証処理を実行する(S110)。そして、その認証結果(ログイン可否)を、表示制御部104を介してディスプレイ102に表示したり、音声制御部105を介してスピーカ103から音声出力したりした後、このフローを終了する。
【0045】
一方、S111において、コマンド取得部108は、アクセスコマンドを、付加情報212に含まれている相手情報とともに、ガイダンス処理部112に通知する。これを受けて、ガイダンス処理部112は、表示制御部104を介して、QRコード21からアクセスコマンドを検出した旨のメッセージを、相手情報ととともに、QRコード21を表示中のディスプレイ102に表示する。また、音声制御部105を介して、その旨の音声メッセージをスピーカ103から出力する。
【0046】
つぎに、コマンド取得部108は、複数のアクセス先候補(パラメータ候補213)の情報をQRコード21から取得する。そして、これらのアクセス先候補の情報をガイダンス処理部112に通知する。これを受けて、ガイダンス処理部112は、表示制御部104を介して、これらのアクセス先候補の情報を、QRコード21を表示中のディスプレイ102に表示する(S112)。
【0047】
つぎに、ガイダンス処理部112は、ガイダンス記憶部111を参照し、フィールド1111にアクセスコマンドが登録されているレコード1110を特定する。そして、このレコード1110のフィールド1112、1113に登録されているガイダンス映像データ、ガイダンス音声データを、それぞれ表示制御部104、音声制御部105に渡す。これを受けて、表示制御部104は、ガイダンス映像データ(例えば文字列「アクセス先選択」、および、カーソル移動、決定、取消し等のアクセス先選択に必要な各操作に対応するQRコード21の動きを説明するための標示等の表記)を、QRコード21とともにディスプレイ102に表示し、音声制御部105は、ガイダンス音声データ(例えば「アクセス先を選択してください」)をスピーカ103から出力する(S113)。また、ガイダンス処理部112は、このレコード1110のフィールド1114に登録されているパラメータ設定操作情報をパラメータ設定部110に渡す。
【0048】
図6(B)は、アクセスコマンドに対するガイダンス映像データの表示例を示す図である。この例では、名刺、はがき等の被写体2のQRコード21から取得したアクセスコマンドに対するガイダンス映像データ23c〜23gが、このQRコード21と、このQRコード21から取得した付加情報212に含まれている相手情報25bと、このQRコード21から取得した複数のアクセス先候補26と、アクセス先候補26の指定に用いるカーソル27とともに、ディスプレイ102に表示されている。ここで、ガイダンス映像データ23d〜23gは、カーソル移動、決定、取消し等のアクセス先選択に必要な各操作に対応するQRコード21の動きを説明するための表記データであり、それぞれのガイダンス映像データ23d〜23gの属性情報に記述されたルールに従い、表示中のQRコード21の周辺に表示される。例えば、ガイダンス映像データ23d〜23gは、ユーザが被写体2を現在の位置から移動させるべき方向を、表示中のQRコード21との位置関係により一見して把握可能な位置に表示される。
【0049】
ユーザは、ディスプレイ102に表示されたガイダンス映像データ23c〜23gおよびスピーカ103から出力されるガイダンス音声データに従い、被写体2を動かして、アクセス先選択に必要な動作を行う。
【0050】
この際、コード検出部107は、カメラ101から出力される一連の映像データから、逐次、QRコード21およびその座標情報を検出してコマンド取得部108に渡す。コマンド取得部108は、コード検出部107から逐次送られてくるQRコード21の座標情報を動き検出部109に渡す。動き検出部109は、コマンド取得部108から逐次送られてくるQRコード21の座標情報に基づいて、QRコード21の動きを検出する(S114)。
【0051】
つぎに、動き検出部109は、コマンド取得部108から逐次送られてくるQRコード21の座標情報の変位が所定時間以上、所定値以下である(QRコード21が同じ位置にある)ことを検出すると(S115でYES)、それまでのQRコード21の動きを表す軌跡データ24をパラメータ設定部110に渡す。これを受けて、パラメータ設定部110は、ガイダンス処理部112から通知されたパラメータ設定操作情報に従い、軌跡データ24が表すQRコード21の動きが、アクセス先選択のためのいずれの操作に該当するかを解析する(S116)。
【0052】
本実施の形態では、軌跡データ24が表すQRコード21の動きが「上移動」あるいは「下移動」の場合(S116で「上下」)、パラメータ設定部110は、ガイダンス処理部112に、ディスプレイ102に表示中のカーソル27の上移動あるいは下移動を指示する。これを受けて、ガイダンス処理部112は、表示制御部104を介して、ディスプレイ102に表示中のカーソル27が指示しているアクセス先候補26の一つ上のアクセス先候補26、あるいは一つ下のアクセス先候補26を指示するように、カーソル27の表示位置を変更する(S117)。その後、S114に戻る。
【0053】
また、軌跡データ24が表すQRコード21の動きが「右移動」の場合(S116で「右」)、パラメータ設定部110は、コマンド取得部108およびガイダンス処理部112に、取消しを指示する。これを受けて、ガイダンス処理部112は、表示制御部104を介してディスプレイ102に、取消し操作を行われた旨のメッセージを表示したり、音声制御部105を介してその旨の音声メッセージを出力したりする。また、コマンド取得部108は、QRコード21から取得したアクセスコマンドの取消し処理を行う(S118)。その後、このフローを終了する。
【0054】
また、軌跡データ24が表すQRコード21の動きが「左移動」の場合(S116で「左」)、パラメータ設定部110は、ディスプレイ102に表示中のカーソル27が指示しているアクセス先候補26を、このQRコード21から取得したアクセスコマンドに設定するアクセス先のアドレス情報(パラメータ)に決定し、このアドレス情報をコマンド取得部108に通知する(S119)。
【0055】
つぎに、コマンド取得部108は、コマンド実行部113に、パラメータ設定部110より通知されたアドレス情報を通知して、アクセスコマンドの実行を依頼する。これを受けて、コマンド実行部113は、このアドレス情報に対するアクセス処理を実行する(S120)。具体的には、アドレス情報が電話番号、携帯電話番号の場合は、ネットワークIF部106を介して、本コード読取装置1に接続されている図示していない電話端末に、この電話番号により特定される相手端末への発信処理を実行させる。また、アドレス情報がURLの場合は、このURLにより特定されるWEBページへのアクセス処理を実行する。そして、その実行結果を、表示制御部104を介してディスプレイ102に表示したり、音声制御部105を介してスピーカ103から音声出力したりした後、このフローを終了する。
【0056】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0057】
本実施の形態のコード読取装置1は、被写体2の映像データに画像認識処理を施してQRコード21を検出し、このQRコード21からコマンド211を取得するとともに、一連の被写体2の映像データから検出したQRコード21の動きに基づいてパラメータを特定する。そして、取得したコマンド211に、この特定したパラメータを設定する。
【0058】
したがって、本実施の形態によれば、ユーザは、QRコード21が記録された被写体2をコード読取装置1にかざして、この被写体2に所定の動きを与えることにより、キーボード、タッチパネル等の入力装置を用いることなく、QRコード21から取得されたコマンド211に所望のパラメータを設定することができる。
【0059】
また、本実施の形態のコード読取装置1は、一連の被写体2の映像データから検出したQRコード21の動きを表す軌跡データ24をパラメータとして、このQRコード21から取得したコマンド211に設定することができる。このため、例えば、IDカード等に格納されるログイン認証コマンドのように、ユーザ毎に異なるパラメータ(認証データ)が設定されるコマンドに対しても、パラメータを設定することができる。また、例えば、異なる認証データが複数のコード読取装置1に設定されている場合でも、ユーザは、それらのコード読取装置1のいずれにも共通のIDカード等の被写体2を用いてログインすることができる。
【0060】
また、本実施の形態のコード読取装置1は、一連の被写体2の映像データから検出したQRコード21の動きを表す軌跡データ24を、このQRコード21とともにディスプレイ102に表示することができるので、ユーザは、QRコード21の動きを確認しながら被写体2を動かすことが可能となり、パラメータの設定操作が容易になる。
【0061】
また、本実施の形態のコード読取装置1は、複数のパラメータ候補213がコマンド211とともにQRコード21に記憶されている場合、このQRコード21からコマンド211および複数のパラメータ候補213を取得してディスプレイ102に表示するとともに、一連の被写体2の映像データから検出したQRコード21の動きに基づき、ディスプレイ102に表示中の複数のパラメータ候補213のなかからパラメータを選択し、このパラメータをコマンド211に設定することができる。このため、例えば、アクセス先のアドレス情報として複数のパラメータ候補をアクセスコマンドとともに、名刺、はがき等のQRコード21に記憶しておくことで、1つのQRコード21を利用した複数のアクセス先へのアクセス処理が可能となる。
【0062】
また、本実施の形態のコード読取装置1は、QRコード21に含まれる可能性のあるコマンド211毎に、このコマンド211の実行に必要なパラメータの設定操作を受け付けるためのガイダンス情報を記憶しており、QRコード21から取得したコマンド211のガイダンス情報に従い、ディスプレイ102およびスピーカ103を用いて、パラメータ設定操作のためのガイダンスを行う。このため、コマンド211毎に、パラメータ設定のためのQRコード21の動きを自由に決めることができ、使い勝手が向上する。
【0063】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0064】
例えば、上記の実施の形態では、QRコード21に含まれる可能性のあるコマンド211として、ログイン認証コマンドおよびアクセスコマンドの2種類を想定しているが、本発明はこれに限定されない。ログイン認証処理、アクセス処理以外の処理の実行を指示する他のコマンドがQRコード21に含まれていてもよい。
【0065】
また、上記の実施の形態では、QRコード21から取得したコマンド211をコード読取装置1が自ら実行するか、あるいは図示していない電話端末に実行させているが、有線LAN、無線LAN等のネットワークを介して接続されたサーバ等のその他の情報処理装置にコマンド211を実行させるようにしてもよい。
【0066】
また、上記の実施の形態では、QRコード21の座標情報として、映像上における、QRコード21の三隅にある位置検出パターン214a〜214cのうちの一つの座標情報を用いることで、QRコード21の移動をQRコード21の動きとして検出しているが、本発明はこれに限定されない。QRコード21の座標情報として、QRコード21のすべての位置検出パターン214a〜214cの座標情報を用いて、各位置検出パターン214a〜214cの相対的な位置関係をも解析することにより、QRコード21の移動に加えて、QRコード21の傾きや遠近も、QRコード21の動きとして検出できるようにしてもよい。
【0067】
また、上記の実施の形態では、被写体2にQRコード21が記録されている場合を例にとり説明しているが、本発明はこれに限定されない。QRコード21以外の一次元バーコード、二次元バーコード等のコードシンボルにも、本発明は同様に適用できる。
【0068】
また、上記の実施の形態において、図2に示すコード読取装置1の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。もしくは、CPU、メモリ、HDD、DVD−ROM等の補助記憶装置、およびNIC(Network Interface Card)、モデム等の通信インターフェースを備えたPC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assinstant)、タブレット端末等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。
【符号の説明】
【0069】
1:コード読取装置、2:被写体、21:QRコード、101:カメラ、102:ディスプレイ、103:スピーカ、104:表示制御部、105:音声制御部、106:ネットワークIF部、107:コード検出部、108:コマンド取得部、109:動き検出部、110:パラメータ設定部、111:ガイダンス記憶部、112:ガイダンス処理部、113:コマンド実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードシンボルを読み取ってコマンドを取得するコード読取装置であって、
被写体を撮像して映像データを出力する撮像手段と、
前記撮像手段より出力された映像データに画像認識処理を施して、当該映像データから前記コードシンボルを検出するコード検出手段と、
前記コード検出手段より検出されたコードシンボルを表示する表示手段と、
前記コード検出手段により検出されたコードシンボルから前記コマンドを取得するコマンド取得手段と、
前記撮像手段により出力された一連の映像データから、前記コード検出手段により検出されたコードシンボルの動きを検出する動き検出手段と、
前記動き検出手段により検出されたコードシンボルの動きに基づいて、前記コマンド取得手段により取得されたコマンドのパラメータを設定するパラメータ設定手段と、を有する
ことを特徴とするコード読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコード読取装置であって、
前記パラメータ設定手段は、
前記動き検出手段により検出されたコードシンボルの動きの軌跡データを前記パラメータとして、前記コマンド取得手段により取得されたコマンドに設定する
ことを特徴とするコード読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載のコード読取装置であって、
前記表示手段は、
前記動き検出手段により検出されたコードシンボルの動きの軌跡データを、前記コード検出手段により検出されたコードシンボルとともに表示する
ことを特徴とするコード読取装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のコード読取装置であって、
前記コマンド取得手段は、
前記コード検出手段により検出されたコードシンボルから複数のパラメータ候補とともに前記コマンドを取得し、
前記表示手段は、
前記コマンド取得手段により検出された複数のパラメータ候補を、前記コード検出手段により検出されたコードシンボルとともに表示し、
前記パラメータ設定手段は、
前記動き検出手段により検出されたコードシンボルの動きに基づいて、前記表示手段に表示されている複数のパラメータ候補のなかから前記パラメータを選択し、当該パラメータを前記コマンド取得手段により取得されたコマンドに設定する
ことを特徴とするコード読取装置。
【請求項5】
コード読取装置により、コードシンボルが記録された被写体を撮像してコマンドを取得するコマンド取得方法であって、
前記被写体の映像データに画像認識処理を施して、当該映像データから前記コードシンボルを検出し、
前記検出されたコードシンボルから前記コマンドを取得し、
一連の前記被写体の映像データから前記コードシンボルの動きを検出し、
前記検出されたコードシンボルの動きに基づいて、前記取得されたコマンドのパラメータを設定する
ことを特徴とするコマンド取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−208796(P2012−208796A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74745(P2011−74745)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】