コーナクリップ
【課題】クリップとしての機能を低下させることなく、角穴等を有さない綺麗でしかも大きな面積の広告面を容易に形成し得るコーナクリップを提供する。
【解決手段】挟持対象物Pの角部Cを挟持するコーナクリップ1であって、挟持対象物Pの角部Cの表裏両側に配置される1対のベース板2と、1対のベース板2における挟持対象物Pの中央部側が相互に接近し、且つ挟持対象物Pの角部Cを挟む2つの辺Sに当接して該2つの辺Sを位置規制するように、両ベース板2を連結する1対のバネ部材3と、1対のベース板2の外面側にそれぞれ固定したカバー部材5であって、挟持対象物Pの中央部側の先端部に挟持対象物Pの挟持部5aを設け、挟持対象物Pの角部C側にバネ部材3の付勢力に抗して、該挟持部5aを開操作するための操作部5bを設けたカバー部材5とを備えた。
【解決手段】挟持対象物Pの角部Cを挟持するコーナクリップ1であって、挟持対象物Pの角部Cの表裏両側に配置される1対のベース板2と、1対のベース板2における挟持対象物Pの中央部側が相互に接近し、且つ挟持対象物Pの角部Cを挟む2つの辺Sに当接して該2つの辺Sを位置規制するように、両ベース板2を連結する1対のバネ部材3と、1対のベース板2の外面側にそれぞれ固定したカバー部材5であって、挟持対象物Pの中央部側の先端部に挟持対象物Pの挟持部5aを設け、挟持対象物Pの角部C側にバネ部材3の付勢力に抗して、該挟持部5aを開操作するための操作部5bを設けたカバー部材5とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙片などの挟持対象物の角部を挟持するコーナクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
紙片などの挟持対象物の角部を挟持するコーナクリップとして、略三角形状の2個1対のクリップ本体であって、該三角形の一端縁部が挟持対象物を挟持する挟圧端縁部とされ、その各挟圧端縁部が対向状となるよう重合状に配置されたクリップ本体と、前記挟圧端縁部の両端に連接する他の二端縁部の対向する位置において、前記1対のクリップ本体を連結する略コ字状に屈曲したバネ部材とを備え、前記クリップ本体のうちの前記挟圧端縁部に対向する三角形の隅部をクリップ開閉操作部とされたものが提案され、実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−329470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1記載のコーナクリップは、紙片等の挟持対象物の角部を保持するので、1つのクリップで、挟持対象物がズレたりしないように、角部を揃えて安定性よく挟持対象物を挟持でき、しかもクリップ本体が挟持対象物から側方へ突出することを極力防止して、挟持対象物を挟持した状態での全体的な見栄え性も向上できる。しかし、クリップ本体にバネ部材を固定するため、クリップ本体の外面には、バネ部材の取付用凹部を、金型構造を複雑にすることなく形成するため、取付位置に対応させて2つの角穴が形成され、該角穴によりクリップの外観が低下したり、クリップを販売促進用の商品に適用した場合には、広告の見栄え性が低下したり、広告面積が狭くなったりするという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、クリップとしての機能を低下させることなく、角穴等を有さない綺麗でしかも大きな面積の広告面を容易に形成し得るコーナクリップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコーナクリップは、挟持対象物の角部を挟持するコーナクリップであって、前記挟持対象物の角部の表裏両側に配置される1対のベース板と、前記1対のベース板における前記挟持対象物の中央部側が相互に接近し、且つ前記挟持対象物の角部を挟む2つの辺に当接して該2つの辺を位置決めするように、両ベース板を連結する1対のバネ部材と、前記1対のベース板の外面側にそれぞれ固定したカバー部材であって、前記挟持対象物の中央部側の先端部に挟持対象物の挟持部を設け、前記挟持対象物の角部側に前記バネ部材の付勢力に抗して、該挟持部を開操作するための操作部を設けたカバー部材とを備えたものである。なお、本明細書において、挟持対象物とは、紙片や合成樹脂のフィルムやシートなどを意味する。
【0007】
このコーナクリップでは、1対のカバー部材の操作部をバネ部材の付勢力に抗して相互に接近する方向に摘んで、両カバー部材の挟持部を開き、この状態で両カバー部材間に挟持対象物の角部を挿入し、その後摘んだ指を緩めて、バネ部材の付勢力により、両挟持部間に挟持対象物を挟持することになる。このように、挟持対象物の角部をコーナクリップで保持するので、1つのコーナクリップで、挟持対象物が相互にズレたりしないように位置決めしながら、角部を揃えて安定性よく挟持対象物を挟持でき、しかもクリップ本体が挟持対象物から側方へ突出することを極力防止して、挟持対象物を挟持した状態での全体的な見栄え性も向上できる。また、バネ部材をベース板に固定し、該ベース板を覆うようにカバー部材を設けるので、ベース板にはバネ部材を固定するための角穴が形成されるものの、外部に露出するカバー部材の外面は、角穴等のない綺麗でしかも大きな面となるので、このコーナクリップを販売促進用の商品として活用した場合には、カバー部材の外面を綺麗で大きな広告面として活用することが可能となる。
【0008】
ここで、前記カバー部材の外面全面を平坦な表示面で構成することができる。表示面を平坦に構成すると、カバー部材の外面に商品名や製造メーカ名など、販売を促進したい商品の広告や、商品に付帯するイメージキャラクターなどの文字や絵柄を、印刷や転写により形成することができる。ただし、カバー部材の外面や外形をイメージキャラクター等に応じた凹凸形状や外形に形成することも可能である。この場合には、インモールド転写によりイメージキャラクター等を成形と同時に印刷することができる。
【0009】
前記バネ部材として、途中部が挟持対象物の角部を挟む2つの辺に沿ってそれぞれ配置可能なコ字状の板バネを用いることが好ましい実施の形態である。この場合には、挟持対象物の角部を挟む2辺に板バネを当接させて、複数の挟持対象物の角部の位置をバネ部材で位置決めしながら、挟持対象物をコーナクリップで固定することができる。
【0010】
前記カバー部材の裏面側にベース部が嵌合する凹部を形成することができる。このような凹部を形成すると、該凹部をベース部に外嵌合させて、ベース部に対してカバー部材を容易に位置決め固定することができる。
【0011】
前記カバー部材の挟持部を円弧状に形成し、前記挟持部の円弧の突出側を突き合わせて、前記カバー部材を1対のベース板に固定することも好ましい実施の形態である。この場合には、挟持対象物に対する挟持部の面圧を局部的に高めて、コーナクリップにより挟持対象物を一層強固に保持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るコーナクリップによれば、挟持対象物の角部を保持するので、1つのコーナクリップで、挟持対象物が相互にズレたりしないように位置決めしながら、角部を揃えて安定性よく挟持対象物を挟持でき、しかもクリップ本体が挟持対象物から側方へ突出することを極力防止して、挟持対象物を挟持した状態での全体的な見栄え性も向上できる。また、バネ部材をベース板に固定し、該ベース板を覆うようにカバー部材を設けるので、ベース板にはバネ部材を固定するための角穴が形成されるものの、外部に露出するカバー部材の外面は、角穴等のない綺麗でしかも大きな面となるので、このコーナクリップを販売促進用の商品として活用した場合には、カバー部材の外面を綺麗で大きな広告面として活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】コーナクリップの斜視図
【図2】コーナクリップの分解斜視図
【図3】コーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は背面図、(d)はIII-III線断面図
【図4】クリップ本体の斜視図
【図5】クリップ本体の(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は背面図、(d)はIII-III線断面図
【図6】他の構成のコーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)はVI-VI線断面図
【図7】他の構成のコーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)はVII-VII線断面図
【図8】他の構成のコーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)はVIII-VIII線断面図
【図9】他の構成のコーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)はIX-IX線断面図
【図10】他の構成のコーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)はX-X線断面図
【図11】他の構成のコーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)はXI-XI線断面図
【図12】他の構成のコーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)はXII-XII線断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜図5に示すように、コーナクリップ1は、紙片などの挟持対象物Pの角部Cを挟持するコーナクリップ1であって、挟持対象物Pの角部Cの表裏両側に配置される1対のベース板2と、1対のベース板2における挟持対象物Pの中央部側が相互に接近し、且つ挟持対象物Pの角部Cを挟む2つの辺Sに当接して該2つの辺Sを位置決めするように、両ベース板2を連結する1対のバネ部材3とからなるクリップ本体4と、1対のベース板2の外面側にそれぞれ固定したカバー部材5であって、挟持対象物Pの中央部側の先端部に挟持対象物Pの挟持部5aを設け、挟持対象物Pの角部C側に前記バネ部材3の付勢力に抗して、該挟持部5aを開操作するための操作部5bを設けたカバー部材5とを備えている。
【0015】
コーナクリップ1により挟持可能な挟持対象物Pとしては、紙片や合成樹脂などのフィルムやシートなどがあり、これら複数枚の挟持対象物Pを重ね合わせて挟持でき、特に挟持対象物Pの角部Cにコーナクリップ1を固定できることから、長方形状や正方形状の複数枚の挟持対象物Pを、角部Cにおいてずれないように位置決めしながら重ね合わせて好適に挟持できる。
【0016】
ベース板2は、直角二等辺三角形の直角の角部2a以外の2つの角部を、直角を挟む2つの第1斜辺2bに直交する2つの第2斜辺2cに沿って切除してなる5角形状の平坦な板状に形成され、1対のベース板2には第2斜辺2cに沿うように1対の外面側凹部6aが形成され、外面側凹部6aの第1斜辺2b側には挿通孔6bがそれぞれ形成されるとともに、挿通孔6bに連なって第1斜辺2bまで延びる内面側凹部6cが1対のベース板2の内面側(対向面側)に形成されている。外面側凹部6aの底面の略中央部には係止突部6dが形成され、係止突部6dの外面には挿通孔6b側へ向けて下り傾斜の傾斜面が形成され、外面側凹部6aのうちのベース板2の底辺側には外面側凹部6aの底面よりも一段低く凹設した係止凹部6eが形成されている。ただし、ベース板2としては、1対の外面側凹部6aと1対の内面側凹部6cと1対の挿通孔6bとを有し、1対のバネ部材3を取り付け可能なものであれば、上述した5角形状以外の形状に形成したものを採用することも可能である。
【0017】
バネ部材3は、細長い板バネを側面視略コ字状に折り曲げて製作したもので、1対のアーム部3aと両アーム部3aの基部を連結する連結部3bとを有している。両アーム部3aは先端側へ行くにしたがって相互に接近するように形成され、両アーム部3aの長さ方向の途中部には1対の挿通孔6bにそれぞれ挿通配置される段差部3cが外側へ向けて1段段上げして形成され、両アーム部3aのうちの段差部3cよりも基部側には内面側凹部6cに内嵌する基部側平坦部3dが形成され、両アーム部3aのうちの段差部3cよりも先端側には外面側凹部6aに嵌合する先端側平坦部3eが形成され、先端側平坦部3eの中央部には係止突部6dに外嵌する角穴状の係合孔3fが形成され、アーム部3aの先端部には一旦内側へ傾斜した後、外側へ傾斜する、係止凹部6eに内嵌可能なガイド部3gが形成されている。
【0018】
バネ部材3は、アーム部3aの先端部をベース板2の挿通孔6bに内側から挿入して、係止凹部6e側へアーム部3aを押し込むことで、図5に示すように、バネ部材3のガイド部3gがベース板2の係止凹部6eに嵌合し、バネ部材3の先端側平坦部3eがバネ部材3の外面側凹部6aに内嵌合するとともに、バネ部材3の係合孔3fにベース板2の係止突部6dが係合し、バネ部材3の段差部3cがベース板2の挿通孔6b内に配置され、バネ部材3の基部側平坦部3dがベース板2の内面側凹部6cに内嵌合することで、ベース板2に脱落しないように組み付けられている。2枚のベース板2に2つのバネ部材3を組み付けて、2枚のベース板2をバネ部材3で連結した状態で、2枚のベース板2は二等辺三角形の底辺側へ行くにしたがって相互に接近するよう配置され、バネ部材3の自然状態で、両ベース板2の底辺が僅かな隙間をあけて配置されるか、圧接されるように構成されている。なお、ベース板2に対するバネ部材3の組付構造は、上述した以外の構造を採用することも可能である。また、バネ部材3としては、板バネに代えて、金属線材をコ字状に折り曲げてなるものを採用することも可能である。
【0019】
カバー部材5は、平面視略直角二等辺三角形の板状部材で構成され、カバー部材5の裏面側にはベース板2に略隙間なく嵌合する嵌合凹部5cが形成され、カバー部材5は嵌合凹部5c内に接着剤を塗布した状態で、嵌合凹部5cにベース板2を嵌合させることによってベース板2に固着されている。カバー部材5の外面には平坦な表示面5dが形成され、この表示面5dに文字や図形を印刷したり転写したりできるように構成されている。コーナクリップ1を販売促進用の商品として用いる場合には、この平坦な表示面5dに、商品名や製造メーカ名などの広告や、商品に付帯するイメージキャラクターなどの文字や図形を印刷や転写により形成することになる。ただし、カバー部材5の外形をイメージキャラクター等に応じた任意の外形に形成したり、カバー部材5の表示面5dを、イメージキャラクター等を立体的に表現する凹凸面で形成したりすることも可能である。また、外面を凹凸面で構成する場合には、インモールド転写により、カバー部材5の成形と同時にイメージキャラクター等を印刷することができる。
【0020】
コーナクリップ1を挟持対象物Pに取り付けた状態で、挟持対象物Pの中央部側に配置されるカバー部材5の先端部(直角二等辺三角形のカバー部材5の底辺)には挟持対象物Pを挟持する挟持部5aが該先端部に沿って形成され、挟持対象物Pの角部C側に配置されるカバー部材5の基端部(カバー部材5の直角の角部)には挟持部5aを開操作するための操作部5bが設けられている。
【0021】
挟持部5aは正面視直線状に形成して、両挟持部5aが隙間なく突き合わされるように構成してもよいが、正面視円弧状に形成して、両挟持部5aを突き合わせた状態で挟持部5aの長さ方向の中央部が圧接し、両側部に僅かな隙間が形成されるように構成すると、挟持対象物Pに対する面圧を部分的に高めて、挟持対象物Pを強固に保持できるので好ましい。
【0022】
このコーナクリップ1では、1対のカバー部材5の操作部5bを相互に接近する方向へ操作して、挟持部5aを開いた状態で、両カバー部材5間に紙片などの挟持対象物Pの角部Cを挿入し、挟持対象物Pの直角を挟む2つの辺Sをバネ部材3の連結部3bに当接させて、挟持対象物Pの角部Cを揃えた状態で、操作している指を緩めて、両カバー部材5の挟持部5a間に挟持対象物Pの角部Cを挟持することができる。また、1対のカバー部材5の操作部5bを相互に接近する方向へ操作して、挟持部5aを開いた状態で、両カバー部材5間に挟持していた紙片などの挟持対象物Pを取り外すことができる。
【0023】
なお、図6〜図12に示すコーナクリップ1A〜1Gのように、直角二等辺三角形のカバー部材5に代えて、各種形状のカバー部材5A〜1Gを前記実施形態と同様の構成のクリップ本体4のベース板2に接着剤等で固定することもできる。また、表面側と裏面側のカバー部材は、同じ形状に構成することも可能であるし、異種形状に構成することも可能である。更に、裏面側のカバー部材に永久磁石を固定して、冷蔵庫などの金属製の外板にコーナクリップを着脱自在に固定できるように構成することもできる。また、裏面側のカバー部材に両面テープを固定して、コーナクリップを貼着できるように構成することも可能である。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0025】
1 コーナクリップ
2 ベース板 2a 角部
2b 第1斜辺 2c 第2斜辺
3 バネ部材 3a アーム部
3b 連結部 3c 段差部
3d 基部側平坦部 3e 先端側平坦部
3f 係合孔 3g ガイド部
4 クリップ本体
5 カバー部材 5a 挟持部
5b 操作部 5c 嵌合凹部
5d 表示面
6a 外面側凹部 6b 挿通孔
6c 内面側凹部 6d 係止突部
6e 係止凹部
C 角部 P 挟持対象物
S 辺
1A〜1G コーナクリップ
5A〜1G カバー部材1A-1G コーナクリップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙片などの挟持対象物の角部を挟持するコーナクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
紙片などの挟持対象物の角部を挟持するコーナクリップとして、略三角形状の2個1対のクリップ本体であって、該三角形の一端縁部が挟持対象物を挟持する挟圧端縁部とされ、その各挟圧端縁部が対向状となるよう重合状に配置されたクリップ本体と、前記挟圧端縁部の両端に連接する他の二端縁部の対向する位置において、前記1対のクリップ本体を連結する略コ字状に屈曲したバネ部材とを備え、前記クリップ本体のうちの前記挟圧端縁部に対向する三角形の隅部をクリップ開閉操作部とされたものが提案され、実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−329470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1記載のコーナクリップは、紙片等の挟持対象物の角部を保持するので、1つのクリップで、挟持対象物がズレたりしないように、角部を揃えて安定性よく挟持対象物を挟持でき、しかもクリップ本体が挟持対象物から側方へ突出することを極力防止して、挟持対象物を挟持した状態での全体的な見栄え性も向上できる。しかし、クリップ本体にバネ部材を固定するため、クリップ本体の外面には、バネ部材の取付用凹部を、金型構造を複雑にすることなく形成するため、取付位置に対応させて2つの角穴が形成され、該角穴によりクリップの外観が低下したり、クリップを販売促進用の商品に適用した場合には、広告の見栄え性が低下したり、広告面積が狭くなったりするという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、クリップとしての機能を低下させることなく、角穴等を有さない綺麗でしかも大きな面積の広告面を容易に形成し得るコーナクリップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコーナクリップは、挟持対象物の角部を挟持するコーナクリップであって、前記挟持対象物の角部の表裏両側に配置される1対のベース板と、前記1対のベース板における前記挟持対象物の中央部側が相互に接近し、且つ前記挟持対象物の角部を挟む2つの辺に当接して該2つの辺を位置決めするように、両ベース板を連結する1対のバネ部材と、前記1対のベース板の外面側にそれぞれ固定したカバー部材であって、前記挟持対象物の中央部側の先端部に挟持対象物の挟持部を設け、前記挟持対象物の角部側に前記バネ部材の付勢力に抗して、該挟持部を開操作するための操作部を設けたカバー部材とを備えたものである。なお、本明細書において、挟持対象物とは、紙片や合成樹脂のフィルムやシートなどを意味する。
【0007】
このコーナクリップでは、1対のカバー部材の操作部をバネ部材の付勢力に抗して相互に接近する方向に摘んで、両カバー部材の挟持部を開き、この状態で両カバー部材間に挟持対象物の角部を挿入し、その後摘んだ指を緩めて、バネ部材の付勢力により、両挟持部間に挟持対象物を挟持することになる。このように、挟持対象物の角部をコーナクリップで保持するので、1つのコーナクリップで、挟持対象物が相互にズレたりしないように位置決めしながら、角部を揃えて安定性よく挟持対象物を挟持でき、しかもクリップ本体が挟持対象物から側方へ突出することを極力防止して、挟持対象物を挟持した状態での全体的な見栄え性も向上できる。また、バネ部材をベース板に固定し、該ベース板を覆うようにカバー部材を設けるので、ベース板にはバネ部材を固定するための角穴が形成されるものの、外部に露出するカバー部材の外面は、角穴等のない綺麗でしかも大きな面となるので、このコーナクリップを販売促進用の商品として活用した場合には、カバー部材の外面を綺麗で大きな広告面として活用することが可能となる。
【0008】
ここで、前記カバー部材の外面全面を平坦な表示面で構成することができる。表示面を平坦に構成すると、カバー部材の外面に商品名や製造メーカ名など、販売を促進したい商品の広告や、商品に付帯するイメージキャラクターなどの文字や絵柄を、印刷や転写により形成することができる。ただし、カバー部材の外面や外形をイメージキャラクター等に応じた凹凸形状や外形に形成することも可能である。この場合には、インモールド転写によりイメージキャラクター等を成形と同時に印刷することができる。
【0009】
前記バネ部材として、途中部が挟持対象物の角部を挟む2つの辺に沿ってそれぞれ配置可能なコ字状の板バネを用いることが好ましい実施の形態である。この場合には、挟持対象物の角部を挟む2辺に板バネを当接させて、複数の挟持対象物の角部の位置をバネ部材で位置決めしながら、挟持対象物をコーナクリップで固定することができる。
【0010】
前記カバー部材の裏面側にベース部が嵌合する凹部を形成することができる。このような凹部を形成すると、該凹部をベース部に外嵌合させて、ベース部に対してカバー部材を容易に位置決め固定することができる。
【0011】
前記カバー部材の挟持部を円弧状に形成し、前記挟持部の円弧の突出側を突き合わせて、前記カバー部材を1対のベース板に固定することも好ましい実施の形態である。この場合には、挟持対象物に対する挟持部の面圧を局部的に高めて、コーナクリップにより挟持対象物を一層強固に保持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るコーナクリップによれば、挟持対象物の角部を保持するので、1つのコーナクリップで、挟持対象物が相互にズレたりしないように位置決めしながら、角部を揃えて安定性よく挟持対象物を挟持でき、しかもクリップ本体が挟持対象物から側方へ突出することを極力防止して、挟持対象物を挟持した状態での全体的な見栄え性も向上できる。また、バネ部材をベース板に固定し、該ベース板を覆うようにカバー部材を設けるので、ベース板にはバネ部材を固定するための角穴が形成されるものの、外部に露出するカバー部材の外面は、角穴等のない綺麗でしかも大きな面となるので、このコーナクリップを販売促進用の商品として活用した場合には、カバー部材の外面を綺麗で大きな広告面として活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】コーナクリップの斜視図
【図2】コーナクリップの分解斜視図
【図3】コーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は背面図、(d)はIII-III線断面図
【図4】クリップ本体の斜視図
【図5】クリップ本体の(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は背面図、(d)はIII-III線断面図
【図6】他の構成のコーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)はVI-VI線断面図
【図7】他の構成のコーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)はVII-VII線断面図
【図8】他の構成のコーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)はVIII-VIII線断面図
【図9】他の構成のコーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)はIX-IX線断面図
【図10】他の構成のコーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)はX-X線断面図
【図11】他の構成のコーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)はXI-XI線断面図
【図12】他の構成のコーナクリップの(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)はXII-XII線断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜図5に示すように、コーナクリップ1は、紙片などの挟持対象物Pの角部Cを挟持するコーナクリップ1であって、挟持対象物Pの角部Cの表裏両側に配置される1対のベース板2と、1対のベース板2における挟持対象物Pの中央部側が相互に接近し、且つ挟持対象物Pの角部Cを挟む2つの辺Sに当接して該2つの辺Sを位置決めするように、両ベース板2を連結する1対のバネ部材3とからなるクリップ本体4と、1対のベース板2の外面側にそれぞれ固定したカバー部材5であって、挟持対象物Pの中央部側の先端部に挟持対象物Pの挟持部5aを設け、挟持対象物Pの角部C側に前記バネ部材3の付勢力に抗して、該挟持部5aを開操作するための操作部5bを設けたカバー部材5とを備えている。
【0015】
コーナクリップ1により挟持可能な挟持対象物Pとしては、紙片や合成樹脂などのフィルムやシートなどがあり、これら複数枚の挟持対象物Pを重ね合わせて挟持でき、特に挟持対象物Pの角部Cにコーナクリップ1を固定できることから、長方形状や正方形状の複数枚の挟持対象物Pを、角部Cにおいてずれないように位置決めしながら重ね合わせて好適に挟持できる。
【0016】
ベース板2は、直角二等辺三角形の直角の角部2a以外の2つの角部を、直角を挟む2つの第1斜辺2bに直交する2つの第2斜辺2cに沿って切除してなる5角形状の平坦な板状に形成され、1対のベース板2には第2斜辺2cに沿うように1対の外面側凹部6aが形成され、外面側凹部6aの第1斜辺2b側には挿通孔6bがそれぞれ形成されるとともに、挿通孔6bに連なって第1斜辺2bまで延びる内面側凹部6cが1対のベース板2の内面側(対向面側)に形成されている。外面側凹部6aの底面の略中央部には係止突部6dが形成され、係止突部6dの外面には挿通孔6b側へ向けて下り傾斜の傾斜面が形成され、外面側凹部6aのうちのベース板2の底辺側には外面側凹部6aの底面よりも一段低く凹設した係止凹部6eが形成されている。ただし、ベース板2としては、1対の外面側凹部6aと1対の内面側凹部6cと1対の挿通孔6bとを有し、1対のバネ部材3を取り付け可能なものであれば、上述した5角形状以外の形状に形成したものを採用することも可能である。
【0017】
バネ部材3は、細長い板バネを側面視略コ字状に折り曲げて製作したもので、1対のアーム部3aと両アーム部3aの基部を連結する連結部3bとを有している。両アーム部3aは先端側へ行くにしたがって相互に接近するように形成され、両アーム部3aの長さ方向の途中部には1対の挿通孔6bにそれぞれ挿通配置される段差部3cが外側へ向けて1段段上げして形成され、両アーム部3aのうちの段差部3cよりも基部側には内面側凹部6cに内嵌する基部側平坦部3dが形成され、両アーム部3aのうちの段差部3cよりも先端側には外面側凹部6aに嵌合する先端側平坦部3eが形成され、先端側平坦部3eの中央部には係止突部6dに外嵌する角穴状の係合孔3fが形成され、アーム部3aの先端部には一旦内側へ傾斜した後、外側へ傾斜する、係止凹部6eに内嵌可能なガイド部3gが形成されている。
【0018】
バネ部材3は、アーム部3aの先端部をベース板2の挿通孔6bに内側から挿入して、係止凹部6e側へアーム部3aを押し込むことで、図5に示すように、バネ部材3のガイド部3gがベース板2の係止凹部6eに嵌合し、バネ部材3の先端側平坦部3eがバネ部材3の外面側凹部6aに内嵌合するとともに、バネ部材3の係合孔3fにベース板2の係止突部6dが係合し、バネ部材3の段差部3cがベース板2の挿通孔6b内に配置され、バネ部材3の基部側平坦部3dがベース板2の内面側凹部6cに内嵌合することで、ベース板2に脱落しないように組み付けられている。2枚のベース板2に2つのバネ部材3を組み付けて、2枚のベース板2をバネ部材3で連結した状態で、2枚のベース板2は二等辺三角形の底辺側へ行くにしたがって相互に接近するよう配置され、バネ部材3の自然状態で、両ベース板2の底辺が僅かな隙間をあけて配置されるか、圧接されるように構成されている。なお、ベース板2に対するバネ部材3の組付構造は、上述した以外の構造を採用することも可能である。また、バネ部材3としては、板バネに代えて、金属線材をコ字状に折り曲げてなるものを採用することも可能である。
【0019】
カバー部材5は、平面視略直角二等辺三角形の板状部材で構成され、カバー部材5の裏面側にはベース板2に略隙間なく嵌合する嵌合凹部5cが形成され、カバー部材5は嵌合凹部5c内に接着剤を塗布した状態で、嵌合凹部5cにベース板2を嵌合させることによってベース板2に固着されている。カバー部材5の外面には平坦な表示面5dが形成され、この表示面5dに文字や図形を印刷したり転写したりできるように構成されている。コーナクリップ1を販売促進用の商品として用いる場合には、この平坦な表示面5dに、商品名や製造メーカ名などの広告や、商品に付帯するイメージキャラクターなどの文字や図形を印刷や転写により形成することになる。ただし、カバー部材5の外形をイメージキャラクター等に応じた任意の外形に形成したり、カバー部材5の表示面5dを、イメージキャラクター等を立体的に表現する凹凸面で形成したりすることも可能である。また、外面を凹凸面で構成する場合には、インモールド転写により、カバー部材5の成形と同時にイメージキャラクター等を印刷することができる。
【0020】
コーナクリップ1を挟持対象物Pに取り付けた状態で、挟持対象物Pの中央部側に配置されるカバー部材5の先端部(直角二等辺三角形のカバー部材5の底辺)には挟持対象物Pを挟持する挟持部5aが該先端部に沿って形成され、挟持対象物Pの角部C側に配置されるカバー部材5の基端部(カバー部材5の直角の角部)には挟持部5aを開操作するための操作部5bが設けられている。
【0021】
挟持部5aは正面視直線状に形成して、両挟持部5aが隙間なく突き合わされるように構成してもよいが、正面視円弧状に形成して、両挟持部5aを突き合わせた状態で挟持部5aの長さ方向の中央部が圧接し、両側部に僅かな隙間が形成されるように構成すると、挟持対象物Pに対する面圧を部分的に高めて、挟持対象物Pを強固に保持できるので好ましい。
【0022】
このコーナクリップ1では、1対のカバー部材5の操作部5bを相互に接近する方向へ操作して、挟持部5aを開いた状態で、両カバー部材5間に紙片などの挟持対象物Pの角部Cを挿入し、挟持対象物Pの直角を挟む2つの辺Sをバネ部材3の連結部3bに当接させて、挟持対象物Pの角部Cを揃えた状態で、操作している指を緩めて、両カバー部材5の挟持部5a間に挟持対象物Pの角部Cを挟持することができる。また、1対のカバー部材5の操作部5bを相互に接近する方向へ操作して、挟持部5aを開いた状態で、両カバー部材5間に挟持していた紙片などの挟持対象物Pを取り外すことができる。
【0023】
なお、図6〜図12に示すコーナクリップ1A〜1Gのように、直角二等辺三角形のカバー部材5に代えて、各種形状のカバー部材5A〜1Gを前記実施形態と同様の構成のクリップ本体4のベース板2に接着剤等で固定することもできる。また、表面側と裏面側のカバー部材は、同じ形状に構成することも可能であるし、異種形状に構成することも可能である。更に、裏面側のカバー部材に永久磁石を固定して、冷蔵庫などの金属製の外板にコーナクリップを着脱自在に固定できるように構成することもできる。また、裏面側のカバー部材に両面テープを固定して、コーナクリップを貼着できるように構成することも可能である。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0025】
1 コーナクリップ
2 ベース板 2a 角部
2b 第1斜辺 2c 第2斜辺
3 バネ部材 3a アーム部
3b 連結部 3c 段差部
3d 基部側平坦部 3e 先端側平坦部
3f 係合孔 3g ガイド部
4 クリップ本体
5 カバー部材 5a 挟持部
5b 操作部 5c 嵌合凹部
5d 表示面
6a 外面側凹部 6b 挿通孔
6c 内面側凹部 6d 係止突部
6e 係止凹部
C 角部 P 挟持対象物
S 辺
1A〜1G コーナクリップ
5A〜1G カバー部材1A-1G コーナクリップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挟持対象物の角部を挟持するコーナクリップであって、
前記挟持対象物の角部の表裏両側に配置される1対のベース板と、
前記1対のベース板における前記挟持対象物の中央部側が相互に接近し、且つ前記挟持対象物の角部を挟む2つの辺に当接して該2つの辺を位置決めするように、両ベース板を連結する1対のバネ部材と、
前記1対のベース板の外面側にそれぞれ固定したカバー部材であって、前記挟持対象物の中央部側の先端部に挟持対象物の挟持部を設け、前記挟持対象物の角部側に前記バネ部材の付勢力に抗して、該挟持部を開操作するための操作部を設けたカバー部材と、
を備えたコーナクリップ。
【請求項2】
前記カバー部材の外面全面を平坦な表示面で構成した請求項1記載のコーナクリップ。
【請求項3】
前記バネ部材として、途中部が挟持対象物の角部を挟む2つの辺に沿ってそれぞれ配置可能なコ字状の板バネを用いた請求項1記載のコーナクリップ。
【請求項4】
前記カバー部材の裏面側にベース部が嵌合する凹部を形成した請求項1〜3のいずれか1項記載のコーナクリップ。
【請求項5】
前記カバー部材の挟持部を円弧状に形成し、前記挟持部の円弧の突出側を突き合わせて、前記カバー部材を1対のベース板に固定した請求項1〜4のいずれか1項記載のコーナクリップ。
【請求項1】
挟持対象物の角部を挟持するコーナクリップであって、
前記挟持対象物の角部の表裏両側に配置される1対のベース板と、
前記1対のベース板における前記挟持対象物の中央部側が相互に接近し、且つ前記挟持対象物の角部を挟む2つの辺に当接して該2つの辺を位置決めするように、両ベース板を連結する1対のバネ部材と、
前記1対のベース板の外面側にそれぞれ固定したカバー部材であって、前記挟持対象物の中央部側の先端部に挟持対象物の挟持部を設け、前記挟持対象物の角部側に前記バネ部材の付勢力に抗して、該挟持部を開操作するための操作部を設けたカバー部材と、
を備えたコーナクリップ。
【請求項2】
前記カバー部材の外面全面を平坦な表示面で構成した請求項1記載のコーナクリップ。
【請求項3】
前記バネ部材として、途中部が挟持対象物の角部を挟む2つの辺に沿ってそれぞれ配置可能なコ字状の板バネを用いた請求項1記載のコーナクリップ。
【請求項4】
前記カバー部材の裏面側にベース部が嵌合する凹部を形成した請求項1〜3のいずれか1項記載のコーナクリップ。
【請求項5】
前記カバー部材の挟持部を円弧状に形成し、前記挟持部の円弧の突出側を突き合わせて、前記カバー部材を1対のベース板に固定した請求項1〜4のいずれか1項記載のコーナクリップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−245656(P2012−245656A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117512(P2011−117512)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(591281389)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(591281389)
【Fターム(参考)】
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