説明

コーナーカットカートンのフラップ折り装置

【課題】フラップをその一段目の折り目線に沿って確実に折り込むことが可能で、かつカートン内に内容物が収められた状態でフラップを折り込む際に内容物への影響を緩和できるフラップ折り装置を提供する。
【解決手段】フラップ折り装置は、コンベアによって搬送されるコーナーカットカートンの搬送方向後側のフラップを折り込むタッカ27を有し、そのタッカ27の外周には、フラップを折り込む際の回転方向における前方の端部に位置する第1接触部38と、第1接触部38よりも回転方向の後方に位置して第1接触部38に滑らかに繋がっている第2接触部39とが設けられ、第1接触部38及び第2接触部39のそれぞれは丸みを帯びた形状を持ち、第1接触部38の曲率が第2接触部の曲率よりも大きく、かつ第1接触部38の対称軸Laが回転方向の前方に向かってアーム30の回転中心C側に傾いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーナーカットカートンのフラップを折り込む装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器の包装に使用するカートンとして、直方体の4つの角部を斜めに面取りした形状のコーナーカットカートンが実用に供されている。そのコーナーカットカートンの面取り部分は、カートンの底板及び天板のそれぞれの四隅を斜めにカットするとともに、カートンの側板の両端に連なる4枚のフラップ(内フラップと呼ばれることがある。)のそれぞれを、天板及び底板のカット部分に沿うように二段階に折り込んで形成される。コーナーカットカートンのフラップを折り込む装置としては、カートンの搬送方向前側(下流側)に位置するフラップを搬送経路の両側のガイドにて折り込む一方で、搬送方向後側(上流側)に位置するフラップはカムローラ、あるいは扇状のタッカにて折り込む装置が知られている(例えば特許文献1及び2参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献3〜7が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3780249号公報
【特許文献2】特開2001−48123号公報
【特許文献3】実公平7−38085公報
【特許文献4】特開2004−59027号公報
【特許文献5】特開2001−48117号公報
【特許文献6】特開2002−19772号公報
【特許文献7】特許第3586658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のフラップ折り装置は、そのカムローラあるいはタッカの形状がフラップの二段階の折り込み形状に十分に対応したものではなく、フラップの折り込み形状に比較的大きな誤差が生じることがある。フラップには側板との境界に一段目の折り目線が形成され、その一段目の折り目線よりも先端側に二段目の折り目線が形成されている。そのため、フラップが一段目の折り目線に沿って折り込まれると、タッカがフラップから離れて先端側のみを押し込む傾向が生じ易い。それにより、一段目の折り目線に沿ってフラップが十分に折り込まれていない段階でフラップが二段目の折り目線に沿って折り込まれ、その結果、一段目の折り込みが不十分となるおそれがある。その場合、カートンの天板及び底板の四隅のカット部分とフラップを折り込んで形成したコーナー面の上下縁部との間に隙間が空くといった不具合が生じる。一方、こうした隙間の形成を阻止するために、一段目の折り目線と二段目の折り目線との間をタッカで押し込みすぎると、特にカートン内に内容物が収められた状態でフラップを折り込む場合にはタッカによって内容物を変形させる問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明はフラップをその一段目の折り目線に沿って確実に折り込むことが可能で、かつカートン内に内容物が収められた状態でフラップを折り込む際に内容物への影響を緩和できるフラップ折り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフラップ折り装置は、コンベア(11)によって搬送されるコーナーカットカートン(1)の搬送方向後側のフラップ(4)に、アーム(30)に取り付けられたタッカ(27)を前記アームを回転駆動することにより搬送方向前方に回転させつつ押し当てて、前記フラップを折り込むフラップ折り装置(26)であって、前記タッカの外周には、前記フラップを折り込む際の回転方向における前方の端部に位置する第1接触部(38)と、前記第1接触部よりも前記回転方向の後方に位置して前記第1接触部に滑らかに繋がっている第2接触部(39)とが設けられ、前記第1接触部及び前記第2接触部のそれぞれは丸みを帯びた形状を持ち、前記第1接触部の曲率(1/Ra)が前記第2接触部の曲率(1/Rb)よりも大きく、かつ前記第1接触部の対称軸(La)が前記アームの延びる方向と直交する方向(図6の左右方向)を基準とした場合に前記回転方向の前方に向かって前記アームの回転中心(C)側に傾いていることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明のフラップ折り装置によれば、カートンのフラップにまずタッカの第1接触部を接触させてそのフラップに一段目の折り目線に沿った曲げ力を作用させることができる。第1接触部の対称軸がアームの延びる方向と直交する方向を基準として回転中心側に傾いているので、第1接触部の接触で一段目の折り目線で曲げられてカートンの搬送方向の前方側に傾いたフラップを対称軸と直交する第1接触部の正面で捕らえることができる。そのため、第1接触部とフラップに対する第1接触部の接触を維持することにより、一段目の折り目線で曲げられたフラップの角度を面取り角度に合わせた状態に矯正できる。第1接触部に滑らかに繋がる第2接触部はその曲率が第1接触部の曲率よりも小さいため、フラップへの接触位置が第1接触部から第2接触部へ移行した際にはフラップの過剰な押し込みを回避しつつ二段目の折り目線よりも先端側に向かって第2接触部による接触を継続させることができる。これにより、一段目の折り目線に沿ってフラップを確実に折り込むことができるとともに、カートン内に内容物が収められた状態で二段目の折り目線に沿ってフラップを折り込む場合であっても内容物への影響を緩和できる。
【0008】
本発明のフラップ折り装置においては、前記タッカが前記フラップを折り込む際に、前記第1接触部が前記フラップの一段目の折り目線と二段目の折り目線との間に接触し、その接触が保たれた状態で前記第1接触部にて前記フラップを押し込むことができるように、前記タッカと前記フラップとの位置関係が設定されてもよい。またこの場合には、前記第1接触部が前記フラップを押し込んだ後に、前記第1接触部が前記フラップから離れた状態で前記第2接触部が前記フラップの前記二段目の折り目線から先端側を押し込むことができるように、前記タッカと前記フラップとの位置関係が設定されてもよい。これらの態様によれば、一段目の折り目線に沿ってフラップを確実に折り込むことができるとともに、カートン内に内容物が収められた状態で二段目の折り目線に沿ってフラップを折り込む場合であっても内容物への影響を緩和できる。
【0009】
本発明のフラップ折り装置の一態様において、前記タッカの外周には、前記対象軸を基準として前記第2接触部の反対側に位置し、外周の内側に向かって後退して前記第1接触部に滑らかに繋がる後退部(40)が設けられてもよい。この態様によれば、タッカの外周の内側に向かって後退する後退部により、タッカを回転させてフラップに近づける過程でフラップが搬送方向と交差するように開いている状態であっても、そのように開いたフラップにタッカが干渉してフラップが予期しない方向に曲がる不具合を抑制できる。
【0010】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書き
にて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0011】
以上に説明したように、本発明のフラップ折り装置においては、第1接触部の対象軸が回転方向の前方に向かって回転中心側に傾いているので、第1接触部がフラップに接触する際にその正面でフラップを捕らえることができる。そして、第2接触部の曲率が第1接触部の曲率よりも小さいので、第1接触部とフラップとの接触から第2接触部とフラップとの接触へ接触状態が移行した後に第2接触部によるフラップの押し込みが過剰になることを抑制できる。これにより、一段目の折り目線に沿ってフラップを確実に折り込むことができるとともに、カートン内に内容物が収められた状態で二段目の折り目線に沿ってフラップを折り込む場合であっても内容物への影響を緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コーナーカットカートンの一例を示す斜視図。
【図2】ケーサーに供給されるコーナーカットカートンの形態を示す斜視図。
【図3】本発明の一形態に係るフラップ折り装置が組み込まれたケーサーの部分平面図。
【図4】図3のケーサーを同図の矢印IV方向から見た部分正面図。
【図5】図3のケーサーを同図の矢印V方向から見た部分正面図。
【図6】タッカの平面図。
【図7】タッカが内フラップと接触して内フラップの折り込みが開始される様子を示す図。
【図8】図7の位置からタッカがさらに回転した様子を示す図。
【図9】図8の位置からタッカがさらに回転した様子を示す図。
【図10】図9の位置からタッカがさらに回転した様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を缶飲料の梱包用のコーナーカットカートンのフラップの折り込み処理に適用した一形態を説明する。図1に示すように、コーナーカットカートン(以下、カートンと略称することがある。)1は、複数本(一例として24本)の缶飲料2を縦横に並んだ状態で収容する胴部3と、胴部3の両端を閉じるように折り込まれて相互に貼り合わされる内フラップ4及び外フラップ5とを備えている。図1では、内フラップ4が折り込まれ、外フラップ5はまだ折り込まれていない状態を示している。また、胴部3の一方の側板3c及びこれに連なる天板3bを底板3aに対して直立するように折り曲げた状態を図2に示す。
【0014】
これらの図から明らかなように、胴部3は、缶飲料2の底側及び天側をそれぞれ覆う底板3a及び天板3bと、それらの底板3a及び天板3bの間に配置される一対の側板3cとを有している。内フラップ4は側板3cの両端に連なり、外フラップ5は底板3a及び天板3bのそれぞれの両端に連なっている。底板3a及び天板3bの四隅は斜めにカットされて面取り部3dが形成されている。各内フラップ4は、2本の罫線(折り目線)4a、4bを曲げの軸として、面取り部3dに沿うように二段に折り込まれている。従って、内フラップ4及び外フラップ5を貼り合わせることにより、カートン1は直方体の4つの角部にコーナー面6が形成された形状の梱包容器として構成される。側板3cとの境界に位置する罫線4aが一段目の折り目線に、その罫線4aよりも内フラップ4の先端側に位置する罫線4bが二段目の折り目線にそれぞれ相当する。以下では、罫線4aをA罫線4aと、罫線4bをB罫線4bとそれぞれ称することがある。
【0015】
図2の段階まで折り込まれたカートン1は、図3〜図5に示したケーサー10に供給される。ケーサー10は、成形途中のカートン1上に缶飲料2を所定本数ずつ供給してカートン1の成形を完了し、それにより缶飲料2の梱包物を完成させる装置である。本形態のフラップ折り装置はそのケーサー10に組み込まれてケーサー10の一部を構成する。ケーサー10は、カートン1を直線的に搬送する第1コンベア11と、この第1コンベア11と併走するように設けられて、24本の缶飲料2を一組として順次搬送する第2コンベア12とを有している。第1コンベア11には、図中の左側から図2に示した状態のカートン1が一つずつ順次搬入される。なお、カートン1の搬送方向は図2〜図5の各図に矢印Aで示したように、天板3bに連なっている側の側板3cが搬送方向前方(下流側)を向くように定められている。
【0016】
第1コンベア11は、カートン1の底板3aが載置される搬送面13と、その搬送面13に沿ってカートン1を搬送する搬送機構14とを備えている。搬送機構14は、一例として搬送方向に沿って走行するチェーン15に複数のフック(不図示)を搬送面13から突出するようにして搬送方向に所定のピッチで装着し、各フックにカートン1の搬送方向後側の側板3cを引っ掛けてカートン1を搬送するように構成される。搬送機構14にはチェーン15を走行させるチェーン駆動機構16と、搬送面13の一方の側縁(図3において下側の側縁)に沿ってカートン1を案内する第1サイドガイド17と、搬送面13の他方の側縁(図3において上側の側縁)に沿ってカートン1を案内する第2サイドガイド18とが設けられている。
【0017】
各サイドガイド17、18は、第1コンベア11による搬送経路の途中からそれぞれ設けられている。第1サイドガイド17の入口側、つまり搬送方向上流側の端部には第1コンベア11の幅方向(搬送面13を横断する方向)外側に向かって円弧を描くように湾曲する導入部17aが形成されている。第2サイドガイド18の入口は、第1サイドガイド17の入口よりも下流側に位置していて、その入口側には第1サイドガイド17の導入部17aと同様の構造を持った導入部18aが形成されている。
【0018】
第1サイドガイド17の導入部17aは、カートン1の搬送方向前方に位置する内フラップ4を折り込むために設けられている。即ち、搬送方向前方の内フラップ4は、カートン1の搬送に伴って、その根元(つまり、側板3cに連なる側)から順次導入部17aに接触して第1サイドガイド17の内側に取り込まれる。これにより、内フラップ4がA罫線4aに沿って折り込まれる。導入部17aの搬送方向上流側には、カートン1の搬送方向後方(上流側)の内フラップ4を折り込むための第1フラップ折り装置20が設けられている。カートン1の搬送方向前方の内フラップ4が導入部17aによって、搬送方向後方の内フラップ4が第1フラップ折り装置20によってそれぞれ折り込まれる。第1フラップ折り装置20は、タッカ21と、そのタッカ21を回転駆動する駆動機構22とを備えている。タッカ21はその全体が平板状であり、内フラップ4と接触してこれを搬送方向前方に押し込むことにより、内フラップ4を折り込む手段として設けられている。
【0019】
導入部17aの搬送方向下流側には24本一組の缶飲料2をカートン1内に整列状態で一度に送り込む送り込み機構25が設けられている。送り込み機構25は第2コンベア12の搬送方向と直交する方向にスライド可能な状態で第2コンベア12に設けられたスライダ25aを有している。そのスライダ25aを上記方向にスライドさせることにより、第2コンベア12上の缶飲料2を第1コンベア11側に整列状態で移動させることができる。
【0020】
送り込み機構25の搬送方向下流側には第2サイドガイド18の導入部18aが位置している。搬送されるカートン1が導入部18aに接触して第2サイドガイド18の内側に取り込まれることにより、搬送方向前方でかつ第1サイドガイド17の反対側に位置する内フラップ4がカートン1のコーナーに位置する缶飲料2の胴部に接しつつA罫線4a及びB罫線4bに沿って折り込まれる。導入部18aの搬送方向上流側には、カートン1の搬送方向後方の内フラップ4を折り込むための第2フラップ折り装置26が設けられている。
【0021】
第2フラップ折り装置26は、搬送方向上流側の第1フラップ折り装置20と同様の構造を持っていて、タッカ27と、そのタッカ27を回転駆動する駆動機構28とを備えている。タッカ27はその全体が平板状であり、内フラップ4と接触してこれを搬送方向前方に押し込むことにより、内フラップ4を折り込む手段として設けられている。駆動機構28は、タッカ27を駆動軸29の回りに回転駆動する。駆動機構28は、搬送機構14のチェーン駆動機構16が発生させる動力の一部を、アーム30の駆動軸29を中心とした水平面内の一定範囲の往復回転運動に変換してタッカ27を駆動する。タッカ27はアーム30の上面にボルト31を利用して一体回転可能に取り付けられている。タッカ27の往復回転運動は、一つのカートン1が第2フラップ折り装置26の設置箇所を通過する毎に一往復するよう第1コンベア11の搬送運動と関連付けられている。なお、以下においては、タッカ27が図3の反時計方向に回転する場合、言い換えればタッカ27が内フラップ4に接触するときの回転方向を基準として回転方向の前後を区別する。
【0022】
図4及び図5から明らかなように、各フラップ折り装置20、26は、タッカ21、27が内フラップ4と接触できるように搬送面13よりも高い位置に設けられている。また、図3に示したように、タッカ21、26の外周の回転軌跡B1、B2は、各サイドガイド17、18の導入部17a、18aと一部重複する。そのため、図4及び図5に示したように、第1サイドガイド17の導入部17aにはタッカ21を通過させるためのスリット17bが、第2サイドガイド18の導入部18aにはタッカ27を通過させるためのスリット18bがそれぞれ形成されている。
【0023】
図6に示すように、第2フラップ折り装置26のタッカ27は、タッカ本体35と、そのタッカ本体35から延ばされた柄部36とを備えている。柄部36は、駆動機構28のアーム30と重ね合わされる部分であり、そこには、ボルト31(図3)を通すための2本の長孔36aが形成されている。タッカ本体35は、内フラップ4と接触してこれを押さえ込む部分として設けられている。タッカ本体35の外周には、タッカ27の回転方向前方の端部に位置する第1接触部38と、その第1接触部38よりも回転方向の後方に位置して第1接触部38に滑らかに繋がっている第2接触部39とが設けられている。
【0024】
各接触部38、39はタッカ本体35の外周の外側に向かって凸となる丸みを帯びた形状を持っている。第1接触部38と第2接触部39とは曲率が変化する位置P1を境として区別される。第1接触部38の曲率(曲率半径Raの逆数)は、第2接触部39の曲率(曲率半径Rbの逆数)よりも大きい。従って、曲率半径Ra、Rbには、Ra<Rbの関係が成立する。特に図示の形態では3Ra≦Rbの関係が成立している。また、タッカ本体35の外周には、その外周の内側に向かって後退して第1接触部38と柄部36とのそれぞれと滑らかに繋がる後退部40が設けられている。第1接触部38と後退部40とは曲率が変化する位置P2を境として区別される。
【0025】
図6から明らかなように、第1接触部38は平面視で線対称な形状を持ち、その頂点Pを通り、かつ位置P1、P2を通る直線L1と直交する対称軸Laは図6の左右方向に対して傾いている。即ち、対称軸Laはアーム30の中心線CL(アーム30が延びる方向)と直交する方向(図6の左右方向)を基準とした場合に回転方向の前方に向かってアーム30の回転中心C側に傾いている。
【0026】
次に、図7〜図10を参照して第2フラップ折り装置26の動作を説明する。缶飲料2がカートン1に送り込まれた後に搬送方向前方の内フラップ4が第2サイドガイド18の内側まで第1コンベア11により送り込まれると、タッカ27は第1接触部38が搬送方向後方の内フラップ4に接触する位置まで回転する。図7に示したように、第1接触部38と内フラップ4との最初の接触位置はA罫線4aとB罫線4bとの間に設定されている。タッカ27の回転とカートン1の搬送とが同時に行われる過程で、内フラップ4はタッカ27に押されてA罫線4aで曲げられる。第1接触部38は図6に示すようにその対称軸Laが傾いているため、A罫線4aで搬送方向前方側に傾いた内フラップ4を第1接触部38の正面で捕らえることができる。その間、タッカ27と内フラップ4との接触位置はB罫線4bに近づく方向に移動する。そして、図8に示したように、接触位置がB罫線4bに達した際にはA罫線4aで曲げられた内フラップ4が面取り角度(本形態では45°)に合わせた状態に保持され、それにより内フラップ4の角度が面取り角度に矯正される。
【0027】
図9に示したように、内フラップ4は、タッカ27との接触位置がB罫線4bを超えると同時にB罫線4bで曲がり始め、第1接触部38と内フラップ4との接触から第2接触部39と内フラップ4との接触へ接触状態が移行する。つまり、第1接触部38が内フラップ4から離れつつ第2接触部39が内フラップ4に接触する。第2接触部39と内フラップ4との接触へ移行した後には、図10に示したように、第2接触部39によって内フラップ4のB罫線4bよりも先端側が押される。第2接触部39の曲率は第1接触部38の曲率よりも小さいため、第2接触部39による押し込みが過剰になることを回避しつつ、第2接触部39とB罫線4bよりも先端側との接触を継続させることができる。これにより、タッカ27の押し込みによる缶飲料2及びその整列状態への影響を緩和しつつ、B罫線4bに沿って内フラップ4bを折り込むことができる。そして、内フラップ4の弾性復元力による戻り作用を抑えつつ、第2サイドガイド18の導入部18aへと内フラップ4を円滑に導入させることができる。
【0028】
内フラップ4が導入部18aよりも搬送方向下流側の領域へ完全に取り込まれた後は、内フラップ4が搬送方向前側の内フラップ4と同様にA罫線4a及びB罫線4bに沿って折り込まれた形状に保持されつつ搬送される。図4及び図5に示したように、その搬送過程で第2フラップ折り装置26の搬送方向下流側に設けられた天板ガイド50によって、天板3bが折り込まれる。図示を省略したが、天板ガイド50の搬送方向下流側には、糊付け装置が設けられており、その糊付け装置によって折り込まれた天板3bが搬送方向後側の側板3cの糊代3eと貼り合わされる。これにより、カートン1の成形が完了して飲料缶2の梱包物が完成する。
【0029】
以上に説明したように、第2フラップ折り装置26によれば、タッカ27が内フラップ4を折り込む際に、第1接触部38が内フラップの4のA罫線4aとB罫線4bとの間に接触し、その接触が保たれた状態で第1接触部38にて内フラップ4を押し込むことができる。そして、第1接触部38が内フラップ4を押し込んだ後に、第1接触部38が内フラップから離れた状態で第2接触部39によって内フラップ4のB罫線4bよりも先端側を押し込むことができる。従って、A罫線4aに沿って内フラップ4を確実に折り込むことができるとともに、カートン1内に収められた缶飲料2への影響を緩和しつつB罫線4bに沿って内フラップ4を確実に折り込むことができる。また、第2接触部39の反対側に後退部40が設けられているため、タッカ27を回転させて内フラップ4に近づける過程で、図3に示したように内フラップ4が搬送方向と交差するように開いている状態であっても、そのように開いた内フラップ4にタッカ27が干渉して予期しない方向に曲がる不具合を抑制できる。
【0030】
なお、タッカ27を内フラップ4に対して上記の通りに接触させるためには、例えば駆動軸29に対するアーム30の回転方向の取付位置と、アーム30の回転中心Cからタッカ27の外周までの距離をボルト31と長孔36aによって調整すればよい。
【0031】
本発明は、上述した形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、上記の形態ではタッカ27を往復回転させるものとしたが、時計方向に一周して元の位置に戻るようにタッカ21を駆動してもよい。タッカ27の駆動は第1コンベア11によるカートン1の搬送と同期するものであればよく、第1コンベア11から動力を伝達する例に限らず、例えば電気モータによりタッカ27を第1コンベア11と同期して回転駆動してもよい。上記の形態では一枚のタッカ27を利用して内フラップ4を折り込んだが、二枚以上のタッカ27を上下方向に並べて配置し、それらを同期して回転させることにより内フラップ4を折り込んでもよい。複数のタッカ27を利用することにより、内フラップ4の高さ寸法の増加にも容易に対応することができる。また、上述した形態では、本発明のフラップ折り装置を内容物の充填後のカートン1に適用される第2フラップ折り装置26として実施しているが、内容物の充填前のカートン1に適用される第1フラップ折り装置20として実施することも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 カートン
4 内フラップ(フラップ)
11 コンベア
26 フラップ折り装置
27 タッカ
30 アーム
38 第1接触部
39 第2接触部
40 後退部
C アームの回転中心
La 対称軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアによって搬送されるコーナーカットカートンの搬送方向後側のフラップに、アームに取り付けられたタッカを前記アームを回転駆動することにより搬送方向前方に回転させつつ押し当てて、前記フラップを折り込むフラップ折り装置であって、
前記タッカの外周には、前記フラップを折り込む際の回転方向における前方の端部に位置する第1接触部と、前記第1接触部よりも前記回転方向の後方に位置して前記第1接触部に滑らかに繋がっている第2接触部とが設けられ、
前記第1接触部及び前記第2接触部のそれぞれは丸みを帯びた形状を持ち、前記第1接触部の曲率が前記第2接触部の曲率よりも大きく、かつ前記第1接触部の対称軸が前記アームの延びる方向と直交する方向を基準とした場合に前記回転方向の前方に向かって前記アームの回転中心側に傾いていることを特徴とするフラップ折り装置。
【請求項2】
前記タッカが前記フラップを折り込む際に、前記第1接触部が前記フラップの一段目の折り目線と二段目の折り目線との間に接触し、その接触が保たれた状態で前記第1接触部にて前記フラップを押し込むことができるように、前記タッカと前記フラップとの位置関係が設定されている請求項1に記載のフラップ折り装置。
【請求項3】
前記第1接触部が前記フラップを押し込んだ後に、前記第1接触部が前記フラップから離れた状態で前記第2接触部が前記フラップの前記二段目の折り目線から先端側を押し込むことができるように、前記タッカと前記フラップとの位置関係が設定されている請求項2に記載のフラップ折り装置。
【請求項4】
前記タッカの外周には、前記対象軸を基準として前記第2接触部の反対側に位置し、外周の内側に向かって後退して前記第1接触部に滑らかに繋がる後退部が設けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載のフラップ折り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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