説明

コーナータイルおよびその接続方法

【課題】 接着部の外観に優れ、施工後の黄変クレームを未然に防止可能なコーナータイルおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明では、一側端縁に鋭角状の接着面を形成してなる2枚のタイルの接着面同士を略L字状に突き合わせて、接着剤を介して接着してなるコーナータイルにおいて、接着剤に蛍光材料を添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイルに係り、特にL字状に接着してなるコーナータイルに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
一側端縁に鋭角状の接着面を形成してなる2枚のタイルを使用し、該2枚のタイルの接着面同士を突き合わせてL字状に接着してなるコーナータイルが知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
このとき接着剤として、エポキシ接着剤が用いられる。エポキシ接着剤は接着力が高く、若干の水分を含む材料であっても強力に接着することが可能である。
しかし、エポキシ接着剤には、外面に使用すると黄変するという課題が存在する。特に外壁などに用いるコーナータイルの接着部近傍表面に接着剤のはみ出しが存在すると、施工後に黄変し、外観を損ねてしまうという問題があった。
【0003】
この問題を解決するために、特許文献1では接着後に、突き合わせ部分を削って面取りし、さらに表面保護材を塗布することが提案されている。これにより、はみ出した接着剤を削りとり、表面に筋状に露出している接着剤の黄変も低減することが可能となるとされている。
しかしながら、この方法では表面保護材塗膜の耐候性や膜厚によっては、黄変を十分に防止することができない恐れがある。また、表面保護材の塗膜外観と、非塗布部分の外観が異なってしまうという問題も発生する。
【0004】
また、特許文献2にはエポキシ接着剤に変わる接着剤として、タイルの接着に利用可能な無黄変の1液型接着剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−299877号公報
【特許文献2】特開2008−31277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、接着部の外観に優れ、施工後の黄変クレームを未然に防止可能なコーナータイルおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、一側端縁に鋭角状の接着面を形成してなる2枚のタイルの接着面同士を(側面視で)略L字状に突き合わせて、接着剤を介して接着してなるコーナータイルにおいて、前記接着剤には蛍光材料が添加されていることを特徴とするコーナータイルが提供される。
これにより、特殊な計測器具を用いることなく、接着剤のはみ出しが目視で確実に確認でき、接着剤が表面にはみ出したタイルや接着部に筋状に接着剤が露出したタイルを製造段階で容易かつ確実に除外することが可能となる。
【0008】
また、請求項2記載の発明によれば、タイル表面には接着剤が露出しないことを特徴とする請求項1に記載のコーナータイルが提供される。
これにより、接着剤が表面に露出することによる接着剤の黄変問題を解決することが可能となる。
【0009】
また、請求項3記載の発明によれば、請求項1に記載されたコーナータイルの製造方法であって、一側端縁に鋭角状の接着面を形成してなる2枚のタイルの接着面同士を(側面視で)略L字状に突き合わせて、接着剤を介して接着する接着工程と、タイルの表面側の突き合わせ部分におけるりん光または蛍光を確認することにより接着剤のはみ出しの有無を検査する検査工程と、を備えてなる、コーナータイルの製造方法。が提供される。
これにより、特殊な計測器具を用いることなく、接着剤のはみ出しが目視で確実に確認でき、接着剤が表面にはみ出したタイルや接着部に筋状に接着剤が露出したタイル容易かつ確実に除外するタイルの製造方法が実現できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特殊な計測器具を用いることなく、接着剤のはみ出しが目視で確実に確認でき、接着剤が表面にはみ出したタイルや接着部に筋状に接着剤が露出したタイルを製造段階で容易かつ確実に除外することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明におけるコーナータイル(入隅タイル)を示す斜視図である。
【図2】本発明における平面タイルを示す斜視図である。
【図3】本発明のコーナータイルの製造方法の接着工程を示す模式図である。
【図4】本発明におけるコーナータイル(出隅タイル)を示す斜視図である。
【図5】本発明のコーナータイルの製造方法の検査工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(コーナータイル)
以下に、本発明のコーナータイルについて図面を参照しながら説明する。
図1にコーナータイルの全体斜視図を示す。コーナータイル1は平面タイル2aと平面タイル2bを略直角にL字状に接合して作成される。
【0013】
図2に示すように、平面タイル2a、2bの一方の端部にはそれぞれ略45度の接合面3a、3bがそれぞれ設けている。図3に示したように、それぞれに接着剤4を塗布したのち接合することによって、略垂直の角部をもつコーナータイル1が作成される。
【0014】
なお、ここで平面タイル2a、3bはどのような材質、性質、形状のタイルであってもよい。例えば、材質としては陶器、磁器、せっ器などのセラミックタイルが考えられる。また、その表面が平滑性、施釉の有無、板状タイルや棒状タイルなどさまざまなタイルに適用することができる。
【0015】
平面タイル2a、2bが裏表を持つタイルであった場合、その表面は入隅、出隅のどちらに露出してもかまわない。具体的には、図1のような入隅タイルであっても、図4に示したような出隅タイルであっても問題ない。
【0016】
平面タイル2a、2bはその表面が特定の機能を有する機能性表面であってもよい。具体的には、タイル表面近傍に光触媒を担持することにより超親水性を示す防汚タイル、汚れやNOx分解機能を示す浄化タイルなどが考えられる。
機能性表面をもつ平面タイル2a、2bを使用する場合、接着剤4が表面に付着することにより、表面の機能性が低下することを防止する効果も得られる。
【0017】
(接着剤)
コーナータイル1の作成に用いられる接着剤4はエポキシ樹脂からなる接着剤が用いられる。本発明に用いられる接着剤はエポキシ樹脂からなる接着剤に限られず、タイルの接着に用いられる接着剤であればどのようなものであってもよい。
具体的には、エポキシ樹脂系接着剤の他に、エポキシ樹脂エマルジョン接着剤、アクリル樹脂系接着剤、α-オレフィン系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、シリコーン系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、変成シリコーン系接着剤などが考えられる。また、水ガラス(珪酸ナトリウム、珪酸ソーダ)やセメントなどの無機材料からなる接着剤であってもよい。
【0018】
(蛍光材料)
エポキシ樹脂に添加する蛍光材料について説明する。ここでいう蛍光材料とは、可視光より短波長の電磁波を吸収して発光する材料を言い、いわゆる蓄光材料とよばれる発光寿命の長いりん光を放射材料を含む。また、吸収する電磁波も可視光に限られず、紫外線やX線であってもよい。
蛍光材料は、上記の条件を満たすものであれば、無機材料であっても有機材料であってもよい。具体的には、珪酸亜鉛鉱、紅亜鉛鉱、蛍石、方解石、石膏、燐灰ウラン石、燐灰石、灰重石、ジルコン、玉滴石などを含む無機鉱物や、フルオレセイン、エオシン、ジアミノスチルベンジスルホン酸、ビス(トリアジニルアミド)スチルベンジスルホン酸などの有機材料が考えられる
長寿命のりん光を放射する蓄光材料も無機・有機の双方であってよく、具体的にはプロメチウム化合物、硫化亜鉛、アルミン酸ストロンチウムなどの無機材料や、イリジウム錯体、ポルフィリン金属錯体分子などの有機金属錯体などが考えられる。
【0019】
(接着剤への蛍光材料の混合方法)
接着剤への蛍光材料の混合について説明する。蛍光材料が個体である場合は、蛍光材料を粉砕し、粉体となった蛍光材料を接着剤に配合する。このとき、接着剤が二液混合式の接着剤である場合、どちらか片方の薬剤に混合すればよい。また、双方の薬剤に混合しても問題ない。接着材への蛍光材料の添加は、予め接着剤に蛍光剤を添加させておいても良いし、使用時に蛍光材料を添加させても良い。
【0020】
(検査方法の説明)
次に、本発明におけるはみ出しの有無を検査する検査工程について説明する。
蛍光材料の発光が長寿命である場合、まず、検査工程の前処理としてコーナータイル1に十分な量の電磁波を照射しておく。このとき、蛍光材料が吸収する電磁波が紫外線であれば通常の日光、蛍光灯などを利用する。紫外線であればブラックライトと呼ばれる紫外線を照射する蛍光灯を利用することができる。また、X線を吸収する場合は、予めX線を照射しておく。
【0021】
次に、コーナータイル1を暗所に移動させる。このとき、接着剤がコーナータイル1の表面に付着している場合、目視により発光を確認することができる。発光が確認されたコーナータイル1は非適合品として、生産ラインから除去するか、接着剤を除去する作業を行い、再度の検査を行うことで、表面に接着剤が付着したコーナータイル1を確実に除去することができる。つまり、黄変する可能性のあるコーナータイル1を生産ラインから除外することが可能となる。
【0022】
蛍光材料の発光が短時間である場合、図5に示すように暗室5において電磁波を照射する方法をとる。この場合も蛍光材料の発光を目視で観察し、コーナータイル1の表面に接着剤が付着していないかを検査する。このとき、暗室5において一方向から電磁波を照射し、電磁波の照射と垂直の方向からコーナータイル1を観察すると、蛍光材料の発光が確認しやすい。これは、蛍光材料からの発光が全方位に向くためである。
【0023】
検査工程においては目視による観察のほかに、光学的計測による自動検査を行うことも可能である。この場合、暗所に発光を検知する光学センサを配置することでコーナータイル表面への接着剤の付着を確認することができる。
【符号の説明】
【0024】
1…コーナータイル
2a、2b…平面タイル
3a、3b…接合面
4…接着剤
5…暗室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側端縁に鋭角状の接着面を形成してなる2枚のタイルの接着面同士を略L字状に突き合わせて、接着剤を介して接着してなるコーナータイルにおいて、
前記接着剤には蛍光材料が添加されていることを特徴とするコーナータイル。
【請求項2】
タイル表面には接着剤が露出しないことを特徴とする請求項1に記載のコーナータイル。
【請求項3】
請求項1に記載されたコーナータイルの製造方法であって、
一側端縁に鋭角状の接着面を形成してなる2枚のタイルの接着面同士を略L字状に突き合わせて、接着剤を介して接着する接着工程と、
タイルの表面側の突き合わせ部分におけるりん光または蛍光を確認することにより接着剤のはみ出しの有無を検査する検査工程と、を備えてなる、コーナータイルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−219554(P2012−219554A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88209(P2011−88209)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】