説明

コーナーパーツ

【課題】いずれか一方側を十分に固定することができない場合であっても、他方側だけで壁面の出隅部に十分に固定することができる造作材用のコーナーパーツを提供する。
【解決手段】コーナーパーツ33は、略90度の角度をなすように、相互に連設された、幅木31の端部における上面及び正面を覆うカバー部35及び先端が縦枠21の切溝21aに挿入される板状部36を備えたパーツ本体34と、パーツ本体34における板状部36の裏面から張り出した、カバー部35との間に幅木31の端部を挟み込む羽根部材37と、羽根部材37の基端部をカバー部35に連結するリブ38とから構成されており、羽根部材37は、カバー部35から幅木31の延出方向に張り出した張出部分における幅木31と接触する面に、複数本の縦溝37aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内の壁面の出隅コーナー部を覆う幅木または廻り縁等の造作材用のコーナーパーツに関する。
【背景技術】
【0002】
幅木用のコーナーパーツとしては、例えば、図19に示すようなものがある。このコーナーパーツ50は、同図に示すように、左右の幅木の端部表面に被せて出隅部を形成するパーツ本体51と、このパーツ本体51の裏面側に支持部材53を介して連設された、パーツ本体51との間に幅木60の端部を挟み込む羽根部材52とを備えており、以下のようにして装着される。
【0003】
まず、図20に示すように、幅木60の端部を内壁IWの出隅部近傍に固定しないように、内壁IWの出隅部近傍以外の部分に幅木60を釘止めした後、羽根部材52を内壁IWの出隅部の上方から内壁IWの壁面に沿って降下させると、図21に示すように、内壁IWの壁面と幅木60の端部との間に羽根部材52が挟み込まれた状態で、パーツ本体51と羽根部材52との間に幅木60の端部が挟み込まれ、コーナーパーツ50が内壁IWの出隅部に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3127147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年は、壁面の凹凸をできるだけ少なくして、すっきりしたイメージを与えたいという要望があり、図22に示すように、内壁IWの壁厚よりも幅狭の枠材FMを、内壁IWの外側に突出させないように、内壁IWの端面に取り付けた内壁IWの端部構造が採用されるようになってきているが、このように、枠材FMが内壁IWの壁厚よりも幅狭になると、枠材FMを取り付ける内壁IWにおける端面のコーナー部CPについても、幅木等のコーナーパーツを装着する必要がある。
【0006】
しかしながら、枠材FMと内壁IWのコーナー部CPとの間に十分な距離を確保することができないので、内壁IWの端面に取り付ける幅木60自体の長さが短くなり、幅木60を内壁IWの出隅部近傍で釘止めせざるを得ず、その釘が障害となってコーナーパーツを嵌め込むことができない場合がある。
【0007】
こういった問題を解決するために、図23に矢印で示すように、予めコーナーパーツ50を幅木60の端部に装着した状態で、短い幅木60を内壁IWの壁面に接着固定することが考えられるが、床を掃除機等で掃除する際、同図に矢印で示すように、コーナーパーツ50におけるパーツ本体51の端部に掃除機が衝突する等の衝撃が加わると、その衝撃によって、接着固定されている短い枠材FM側の幅木が内壁IWから剥がれてしまうと共に、幅木60を挟み込んでいるパーツ本体51と羽根部材52とが相対的に開き、コーナーパーツ50の内壁IWへの固定が解除されるという問題がある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、いずれか一方側を十分に固定することができない場合であっても、他方側だけで壁面の出隅部に十分に固定することができる造作材用のコーナーパーツを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、室内の壁面における出隅部に装着される幅木用または廻り縁用のコーナーパーツであって、少なくとも、一端側に幅木または廻り縁の端部表面を覆うカバー部を有する平面L字型のパーツ本体と、前記パーツ本体に連設された、前記カバー部との間に幅木の端部を挟み込む羽根部材と、前記羽根部材の基端部を前記カバー部に連結するリブとを備えていることを特徴とするコーナーパーツを提供するものである。
【0010】
また、上記の課題を解決するため、請求項2に係る発明は、室内の壁面における出隅部において、その両側に配設される幅木または廻り縁を直角に連結するコーナーパーツであって、幅木または廻り縁の端部表面を覆う一対のカバー部が略90度の角度をなすように相互に連設されたパーツ本体と、前記パーツ本体における一方の前記カバー部との間に幅木または廻り縁の端部を挟み込む、他方の前記カバー部の裏面から張り出した羽根部材と、前記羽根部材の基端部を一方の前記カバー部に連結するリブとを備えていることを特徴とするコーナーパーツを提供するものである。
【0011】
また、上記の課題を解決するため、請求項3に係る発明は、室内の壁面における出隅部において、その両側に配設される幅木または廻り縁を直角に連結するコーナーパーツであって、幅木または廻り縁の端部表面を覆う一対のカバー部が略90度の角度をなすように相互に連設されたパーツ本体と、それぞれの前記カバー部との間に、室内の壁面における出隅部の両側に配設される幅木または廻り縁の端部をそれぞれ挟み込む羽根部材と、一方の前記羽根部材の基端部を、その羽根部材との間に幅木または廻り縁の端部を挟み込む一方の前記カバー部に連結するリブとを備えていることを特徴とするコーナーパーツを提供するものである。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、請求項1、2または3に係る発明のコーナーパーツにおいて、一方の前記羽根部材には、幅木または廻り縁と接触する面に複数の溝または凹部が形成されていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項5に係る発明は、請求項1、2、3または4に係る発明のコーナーパーツにおいて、一方の前記羽根部材が、前記カバー部から幅木または廻り縁の延出方向に張り出しており、その張出部分に複数の前記溝または前記凹部が形成されていることを特徴としている。
【0014】
また、請求項6に係る発明は、請求項1、2、3、4または5に係る発明のコーナーパーツにおいて、前記パーツ本体の前面に溝部が形成されており、その溝部に前記リブが連結されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、請求項1に係る発明のコーナーパーツは、一端側のカバー部との間に幅木の端部を挟み込む羽根部材の基端部が、リブによって一端側のカバー部に連結されているので、幅木または廻り縁の端部をカバー部と羽根部材との間に差し込んで接着固定し、幅木または廻り縁を壁面に釘止めすると、コーナーパーツに掃除機等をぶつけることによって、コーナーパーツ自体が回転する方向に外力が加わっても、その外力によって羽根部材とカバー部とが相対的に開きにくい。従って、コーナーパーツの他端側を壁面に十分に固定することができない場合であっても、コーナーパーツ全体をその一端側だけで壁面の出隅部に確実に固定することができる。
【0016】
また、請求項2に係る発明のコーナーパーツは、パーツ本体における一方のカバー部との間に幅木の端部を挟み込む、他方のカバー部の裏面から張り出した羽根部材の基端部が、リブによって一方のカバー部に連結されているので、請求項1に係る発明のコーナーパーツと同様に、幅木または廻り縁の端部を一方のカバー部と羽根部材との間に差し込んで接着固定し、幅木または廻り縁を壁面に釘止めすると、コーナーパーツに掃除機等をぶつけることによって、コーナーパーツ自体が回転する方向に外力が加わっても、その外力によって羽根部材とカバー部とが相対的に開きにくく、他方のカバー部に装着される幅木または廻り縁が短くて壁面に釘止めすることができない等の理由によって、コーナーパーツにおけるパーツ本体の他方側を壁面に十分に固定することができない場合であっても、コーナーパーツ全体をパーツ本体の一方側だけで壁面の出隅部に確実に固定することができる。
【0017】
また、請求項3に係る発明のコーナーパーツは、一方の羽根部材の基端部が、その羽根部材との間に幅木または廻り縁の端部を挟み込む一方のカバー部にリブによって連結されているので、幅木または廻り縁の端部をカバー部と羽根部材との間にそれぞれ差し込んで接着固定し、一方のカバー部と一方の羽根部材との間に挟み込まれた幅木または廻り縁を壁面に釘止めすると、請求項1に係る発明のコーナーパーツと同様に、コーナーパーツに掃除機等をぶつけることによって、コーナーパーツ自体が回転する方向に外力が加わっても、その外力によって一方の羽根部材と一方のカバー部とが相対的に開きにくく、他方のカバー部と他方の羽根部材との間に挟み込まれた幅木または廻り縁が短くて壁面に釘止めすることができない等の理由によって、パーツ本体における他方側を壁面に十分に固定することができない場合であっても、コーナーパーツ全体をパーツ本体の一方側だけで壁面の出隅部に確実に固定することができる。
【0018】
また、請求項4に係る発明のコーナーパーツは、一方の羽根部材における幅木または廻り縁と接触する面に複数の溝または凹部が形成されているので、その溝または凹部が形成された部分に接着剤を塗布した状態で、幅木または廻り縁の端部をカバー部と羽根部材との間に差し込んで装着すると、複数の溝または凹部が形成された羽根部材のアンカー効果によって、幅木または廻り縁に対する羽根部材の接着力が向上する。従って、コーナーパーツが装着された幅木または廻り縁を壁面に釘止めすると、コーナーパーツに掃除機等をぶつけることによって、コーナーパーツの端部に外力が加わっても、その外力によって、コーナーパーツが幅木または廻り縁から外れることがなく、さらに、コーナーパーツの固定性能が向上する。
【0019】
また、請求項5に係る発明のコーナーパーツは、一方の羽根部材が、カバー部から幅木または廻り縁の延出方向に張り出しており、その張出部分に複数の溝または凹部が形成されているので、接着剤を塗布しやすいという効果が得られる。
【0020】
また、請求項6に係る発明のコーナーパーツは、パーツ本体の前面に溝部が形成されており、その溝部にリブが連結されているので、リブが変形することによって、リブの連結部が白化したとしても、目立ちにくく、体裁を損ねることもない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明に係るコーナーパーツの一実施形態を採用した内壁の壁面開口部にドア枠及びドアを取り付けた状態を示す正面図である。
【図2】同上の内壁の壁面開口部の縦枠部分を示す部分斜視図である。
【図3】(a)は同上の内壁の壁面開口部の縦枠部分を示す部分側面図、(b)は同上の部分正面図である。
【図4】壁仕上材(クロス)を貼着する前の図3(a)のX−X線に沿った断面図である。
【図5】図3(a)のY−Y線に沿った断面図である。
【図6】(a)は同上の内壁を構成しているコーナー下地材を示す斜視図、(b)は同上のコーナー下地材を示す端面図である。
【図7】(a)は同上のコーナーパーツを示す平面図、(b)は同上のコーナーパーツを示す正面図、(c)は同上のコーナーパーツを示す底面図である。
【図8】(a)は同上のコーナーパーツを示す右側面図、(b)は同上のコーナーパーツを示す左側面図である。
【図9】(a)、(b)は同上の内壁の端部構造の施工方法を示す工程図である。
【図10】(a)、(b)は同上の内壁の端部構造の施工方法を示す工程図である。
【図11】同上の内壁の端部構造の施工方法を示す工程図である。
【図12】(a)、(b)は同上の内壁の端部構造の施工方法を示す工程図である。
【図13】(a)はコーナーパーツの他の実施形態を示す平面図、(b)は同上のコーナーパーツを示す底面図である。
【図14】同上のコーナーパーツを壁面の出隅部に装着した状態を示す横断面図である。
【図15】(a)はコーナーパーツの他の実施形態を示す平面図、(b)は同上のコーナーパーツを示す底面図である。
【図16】同上のコーナーパーツを壁面の出隅部に装着した状態を示す横断面図である。
【図17】同上のコーナーパーツの変形例を示す平面図である。
【図18】(a)、(b)、(c)はコーナーパーツの変形例を示す左側面図である。
【図19】従来のコーナーパーツを示す斜視図である。
【図20】同上のコーナーパーツの装着方法を説明するための説明図である。
【図21】同上のコーナーパーツを出隅部に装着した状態を示す断面図である。
【図22】近年採用され始めた従来の内壁の端部構造を示す断面図である。
【図23】近年採用され始めた従来の内壁の端部構造の問題点を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、内壁10に形成された壁面開口部にドア枠20を設置し、このドア枠20にドアDを取り付けた状態を示している。このドア枠20は、左右一対の縦枠21、21と、この縦枠21、21をその上端部で連結する上枠22とから構成されており、縦枠21、21及び上枠22は、内壁10の厚みよりも幅狭に形成されている。また、図1〜図3及び図4に示すように、内壁10における壁面の下端部には、幅木31が取り付けられており、縦枠21の両側に位置している内壁10の出隅部には、幅木31の端部を覆う樹脂成形品であるコーナーパーツ33が取り付けられている。
【0023】
前記内壁10は、図2及び図5に示すように、壁下地材11、樹脂成形品である長尺のコーナー下地材14及び壁仕上材(クロス)17とから構成されており、縦枠21が、内壁10の厚み方向の外側に張り出さないように、内壁10の開口端面を形成している壁下地材11の間柱12にビス止めされていると共に、コーナー下地材14が、縦枠21と壁下地材11の下地ボード(石膏ボード)13とに取り付けられており、このコーナー下地材14によって内壁10における端面側のコーナー部が形成されている。なお、縦枠21は垂直に設置しなければならないが、間柱12は精度良く施工されているわけではないので、間柱12と縦枠21との間には、必要に応じて、隙間調整部材Sが挿入されている。なお、図5においては、分かりやすくするために、幅木31及びコーナーパーツ33は省略してある。
【0024】
前記コーナー下地材14は、図2、図5及び図6に示すように、略90度の角度をなすように、相互に連設された一対の張出片15、15と、一対の張出片15、15の連設部である角部を補強するために、各張出片15、15の基端部側からそれぞれ張り出したループ状のリブ16とを備えており、外面には、パテや壁仕上材(クロス)17の接着強度を高めるために、長手方向に延びる多数の凹条15aが形成されていると共に、その内面に両面粘着テープ(図示せず)が予め貼着されている。なお、このコーナー下地材14は、内壁10における端面側のコーナー部に柔らかい印象を与えるために、その角部に丸みを持たせてある。
【0025】
このコーナー下地材14は、図5に示すように、一方の張出片15が、縦枠21の端面に形成された、幅が約2.5mm、深さが約12mmの切溝21aに接着剤Aを充填した状態で遊嵌されていると共に、この張出片15の内面が切溝21aにおける壁下地材11側の壁面に接触するように、他方の張出片15の内面側が壁下地材11を構成している下地ボード13の表面に両面テープ(図示せず)によって貼着されており、切溝21aにおけるコーナーパーツ33の上側には、合成樹脂によって形成された、切溝21aの深さよりも2mm程度短い幅を有する長尺扁平状のパッキン材Fが、切溝21aにおける縦枠21の外面側に形成される隙間に、マイナスドライバー等を利用して切溝21aの奥まで圧入されている。
【0026】
また、張出片15の先端側は、その厚みが0.1〜0.6mm程度の薄肉状に形成されているが、下地ボード13の表面との間には僅かな段差が生じているので、その段差部分をパテPによって埋めることで、下地慣らしが行われている。
【0027】
前記コーナーパーツ33は、図2〜図4、図7(a)〜(c)及び図8(a)、(b)に示すように、略90度の角度をなすように、相互に連設された、幅木31の端部における上面及び正面を覆うカバー部35及び先端が縦枠21の切溝21aに挿入される板状部36を備えたパーツ本体34と、パーツ本体34における板状部36の裏面から張り出した、カバー部35との間に幅木31の端部を挟み込む羽根部材37と、羽根部材37の基端部をカバー部35に連結するリブ38とから構成されており、カバー部35には、幅木31の正面に形成された溝部32に嵌合する窪み部35aが形成されている。
【0028】
前記羽根部材37は、その先端側がカバー部35から幅木31の延出方向に張り出しており、その張出部分における幅木31と接触する面には、複数本の縦溝37aが形成されている。
【0029】
また、羽根部材37は、その上端縁がカバー部35の窪み部35aと略同一高さに位置しており、カバー部35に対応する部分の下端縁は、カバー部35の下端縁に一致しているが、カバー部35から張り出した部分の下端縁は、先端側に向かって上方側に傾斜している。また、リブ38は、羽根部材37の基端部における上端縁と、カバー部35の窪み部35aとを連結している。
【0030】
また、内壁10を構成している壁仕上材(クロス)17は、図5に示すように、下地ボード13からコーナー下地材14にわたって貼着されており、コーナー下地材14側の端縁を縦枠21の切溝21aに挿入した状態で、縦枠21の外面側に形成された切溝21aの隙間部分にコーキング剤Cが充填されている。
【0031】
以下、この内壁10の端部構造の施工方法について説明する。まず、図9(a)に示すように、切溝21aに接着剤Aを充填した後、同図(b)に示すように、コーナー下地材14の一方の張出片15を、その内面が切溝21aにおける壁下地材11側の壁面に接触するような状態で、縦枠21の端面に形成された切溝21aに挿入すると共に、他方の張出片15の内面側を壁下地材11を構成している下地ボード13の表面に両面テープによって貼着する。
【0032】
続いて、図10(a)に示すように、合成樹脂によって形成された、切溝21aの深さよりも2mm程度短い幅を有する長尺扁平状のパッキン材Fを、切溝21aにおける縦枠21の外面側に形成される隙間に、マイナスドライバー等を利用して切溝21aの奥まで圧入した後、同図(b)に示すように、コーナー下地材14の他方の張出片15と、下地ボード13の表面との間に生じた僅かな段差部分をパテPによって埋めることで、下地慣らしを行う。なお、パッキン材Fを切溝21aに圧入する際は、切溝21aの下端からコーナーパーツ33の高さ以上の隙間を開けておく必要がある。
【0033】
次に、図11に示すように、コーナーパーツ33の羽根部材37の張出部における縦溝37aの形成面に接着剤Aを塗布した状態で、幅木31の端部をカバー部35と羽根部材37との間に差し込むと、図12(a)、(b)に示すように、幅木31の端面がリブ38に当接することによって位置決めされ、幅木31の端部表面を覆った状態で、幅木31の端部にコーナーパーツ33が接着固定される。
【0034】
このようにして、幅木31の端部に接着固定されたコーナーパーツ33の板状部36を、縦枠21の切溝21aにおける外面側に形成される隙間に挿入し、幅木31を壁下地材11の下地ボード(石膏ボード)13に釘止めすると、図4に示すように、コーナーパーツ33が、縦枠21の両側に位置している内壁10の出隅部に固定される。
【0035】
最後に、壁仕上材(クロス)17を、下地ボード13側からコーナー下地材14側に貼着していき、その端縁を縦枠21の切溝21aに挿入した後、図5に示すように、壁仕上材(クロス)17が挿入された切溝21aの隙間部分にコーキング剤Cを充填することによって、壁仕上材(クロス)17の端縁部分を固定する。
【0036】
以上のように、この内壁10の端部構造に採用されているコーナーパーツ33は、一端側のカバー部35との間に幅木31の端部を挟み込む羽根部材37の基端部が、リブ38によって一端側のカバー部35に連結されているので、幅木31の端部をカバー部35と羽根部材37との間に差し込んで接着固定し、幅木31を壁面に釘止めすると、コーナーパーツ33に掃除機等をぶつけることによって、コーナーパーツ33自体が回転する方向に外力が加わっても、その外力によって羽根部材37とカバー部35とが相対的に開きにくい。従って、今回のように、コーナーパーツ33の他端側が幅木31に固定されないため、壁面に十分に固定することができない場合であっても、コーナーパーツ33全体をその一端側だけで壁面の出隅部に確実に固定することができる。
【0037】
特に、このコーナーパーツ33は、羽根部材37における幅木31と接触する面に複数の縦溝37aが形成されているので、その縦溝37aが形成された部分に接着剤Aを塗布した状態で、幅木31の端部をカバー部35と羽根部材37との間に差し込んで装着すると、複数の縦溝37aが形成された羽根部材37のアンカー効果によって、幅木31に対する羽根部材37の接着力が向上する。従って、コーナーパーツ33が装着された幅木31を壁面に釘止めすると、コーナーパーツ33に掃除機等をぶつけることによって、コーナーパーツ33の端部に外力が加わっても、その外力によって、コーナーパーツ33が幅木31から外れることがなく、十分な固定性能を確保することができる。
【0038】
また、このコーナーパーツ33は、羽根部材37が、カバー部35から幅木31の延出方向に張り出しており、その張出部分に複数の縦溝37aが形成されているので、羽根部材37に接着剤を塗布しやすく、幅木31の装着作業性がよいと共に、カバー部35の長さを短くすることができるので、コンパクトな印象を与えることができる。
【0039】
また、樹脂成形品であるコーナーパーツ33は、パーツ本体34を構成しているカバー部35の前面に、幅木31の正面に形成された溝部32に嵌合する窪み部35aが形成されており、その窪み部35aにリブ38が連結されているので、リブ38が変形することによって、リブ38の連結部が白化したとしても、目立ちにくく、体裁を損ねることもない。
【0040】
図13(a)、(b)は、他の実施形態を示している。同図に示すように、このコーナーパーツ33Aは、パーツ本体34Aの両端部が共に幅木31a、31bの端部に装着されるカバー部35A、36Aである点で、パーツ本体34の一端側が幅木31の端部に装着されるカバー部35で、パーツ本体34の他端側が縦枠21の切溝21aに挿入される板状部36であるコーナーパーツ33とは相違している。
【0041】
ただし、このコーナーパーツ33Aは、同図に示すように、一方のカバー部35Aとの間に幅木31aの端部を挟み込む、他方のカバー部36Aの裏面から張り出した羽根部材37Aを有しており、その羽根部材37Aの基端部が、リブ38Aによって、一方のカバー部35Aに連結されているが、他方のカバー部36Aとの間に幅木31bの端部を挟み込む羽根部材を有しておらず、他方のカバー部36Aに装着される幅木31bは、カバー部36Aの裏面に接着固定されるようになっている。
【0042】
従って、このコーナーパーツ33Aを取り付けるには、まず、羽根部材37Aの張出部における縦溝37Aaの形成面に接着剤を塗布した状態で、幅木31aの端部をカバー部35Aと羽根部材37Aとの間に差し込んで幅木31aの端面をリブ38Aに当接させた状態で接着固定すると共に、コーナーパーツ33Aをコーナー下地材14に被せたときのカバー部36Aの先端から縦枠21の側面までの距離だけ突出させた状態で幅木31bをカバー部36Aの裏面に接着固定し、図14に示すように、カバー部36A側の幅木31bの端面を縦枠21の側面に当接させるように、コーナーパーツ33Aを位置決めした状態でコーナー下地材14に被せ、カバー部35A側の幅木31aを壁下地材11の下地ボード(石膏ボード)13に釘止めすることによって取り付けることになる。
【0043】
図15(a)、(b)は、さらに他の実施形態を示している。同図に示すように、このコーナーパーツ33Bは、パーツ本体34Bの両端部が共に幅木31a、31bの端部に装着されるカバー部35B、36Bである点で、上述したコーナーパーツ33Aと同様であるが、一方のカバー部35B側に羽根部材37B1が設けられているだけでなく、他方のカバー部36B側にも、羽根部材37B2が設けられている点で、コーナーパーツ33Aとは異なっている。
【0044】
一方のカバー部35B側の羽根部材37B1は、その先端側がカバー部35Bから幅木31aの延出方向に張り出しているが、他方のカバー部36B側の羽根部材37B2は、カバー部36Bから張り出しておらず、双方の羽根部材37B1、37B2の基端部同士が相互に連結されていると共に、双方の羽根部材37B1、37B2の基端部における上端縁が、リブ38Bによって、パーツ本体34B(カバー部35B、36B)の裏面に連結されている。
【0045】
このコーナーパーツ33Bを取り付ける場合も、上述したコーナーパーツ33Aの場合と同様に、カバー部35B側の羽根部材37B1の張出部における縦溝37Baの形成面に接着剤を塗布した状態で、幅木31aの端部をカバー部35Bと羽根部材37B1との間に差し込んで幅木31aの端面をリブ38Bに当接させた状態で接着固定すると共に、コーナーパーツ33Bをコーナー下地材14に被せたときのカバー部36Bの先端から縦枠21の側面までの距離だけ突出させるように、幅木31bをカバー部36Bと羽根部材37B2との間に差し込んで接着固定し、図16に示すように、カバー部36B側の幅木31bの端面を縦枠21の側面に当接させるように、コーナーパーツ33Bを位置決めした状態でコーナー下地材14に被せ、カバー部35B側の幅木31aを壁下地材11の下地ボード(石膏ボード)13に釘止めすることによって取り付けることになる。
【0046】
なお、このコーナーパーツ33Bの場合、一方のカバー部35B側の羽根部材37B1は、他方のカバー部36Bの裏面に連設されていないが、図17に示すように、羽根部材37B1を延ばして他方のカバー部36Bの裏面に連設してもよく、他方のカバー部36B側の羽根部材37B2の上端縁と他方のカバー部36Bとを連結するリブを省略することも可能である。
【0047】
また、上述した実施形態では、羽根部材37の上端縁がカバー部35の窪み部35aと略同一高さに位置している場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図18(a)に示すように、羽根部材37の高さをカバー部35と同一高さに設定し、羽根部材37をカバー部35の上面板に連結する構成を採用することもできる。
【0048】
その場合は、同図(b)に示すように、カバー部35の上面板がリブの役割を果たすことになるので、リブを省略することも可能であり、同図(c)に示すように、羽根部材37の下端縁をカバー部35の裏面に連結することも可能である。
【0049】
また、上述した各実施形態では、幅木用のコーナーパーツについて説明したが、これに限定されるものではなく、廻り縁用のコーナーパーツについても同様の構成を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のコーナーパーツは、一端側を十分に固定することができない場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 内壁
11 壁下地材
12 間柱
13 下地ボード
14 コーナー下地材
15 張出片
15a 凹条
16 リブ
17 壁仕上材(クロス)
20 ドア枠
21 縦枠
21a 切溝
22 上枠
31、31a、31b 幅木
32 溝部
33、33A、33B コーナーパーツ
34、34A、34B パーツ本体
35、35A、35B カバー部
35a 窪み部
36 板状部
36A、36B カバー部
37、37A、37B1、37B2 羽根部材
37a、37Aa、37Ba 縦溝
38、38A、38B リブ
A 接着剤
F パッキン材
C コーキング剤
P パテ
S 隙間調整部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の壁面における出隅部に装着される幅木用または廻り縁用のコーナーパーツであって、
少なくとも、一端側に幅木または廻り縁の端部表面を覆うカバー部を有する平面L字型のパーツ本体と、
前記パーツ本体に連設された、前記カバー部との間に幅木の端部を挟み込む羽根部材と、
前記羽根部材の基端部を前記カバー部に連結するリブと
を備えていることを特徴とするコーナーパーツ。
【請求項2】
室内の壁面における出隅部において、その両側に配設される幅木または廻り縁を直角に連結するコーナーパーツであって、
幅木または廻り縁の端部表面を覆う一対のカバー部が略90度の角度をなすように相互に連設されたパーツ本体と、
前記パーツ本体における一方の前記カバー部との間に幅木または廻り縁の端部を挟み込む、他方の前記カバー部の裏面から張り出した羽根部材と、
前記羽根部材の基端部を一方の前記カバー部に連結するリブと
を備えていることを特徴とするコーナーパーツ。
【請求項3】
室内の壁面における出隅部において、その両側に配設される幅木または廻り縁を直角に連結するコーナーパーツであって、
幅木または廻り縁の端部表面を覆う一対のカバー部が略90度の角度をなすように相互に連設されたパーツ本体と、
それぞれの前記カバー部との間に、室内の壁面における出隅部の両側に配設される幅木または廻り縁の端部をそれぞれ挟み込む羽根部材と、
一方の前記羽根部材の基端部を、その羽根部材との間に幅木または廻り縁の端部を挟み込む一方の前記カバー部に連結するリブとを備えていることを特徴とするコーナーパーツ。
【請求項4】
一方の前記羽根部材には、幅木または廻り縁と接触する面に複数の溝または凹部が形成されている請求項1、2または3に記載のコーナーパーツ。
【請求項5】
一方の前記羽根部材が、前記カバー部から幅木または廻り縁の延出方向に張り出しており、その張出部分に複数の前記溝または前記凹部が形成されている請求項1、2、3または4に記載のコーナーパーツ。
【請求項6】
前記パーツ本体の前面に溝部が形成されており、その溝部に前記リブが連結されている請求項1、2、3、4または5に記載のコーナーパーツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−97520(P2012−97520A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247984(P2010−247984)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)