説明

コールセンタシステム

【課題】よりセキュリティが強化されたコールセンタシステムを提供する。
【解決手段】業務管理装置130は、認証処理対象の在宅業務端末200から認証情報を受信したことに対応して、在宅業務端末200に対応するGPS端末202の位置情報を受信する。次いで、業務管理装置130は、認証が許可される在宅業務端末の認証情報と、その在宅業務端末に対応するGPS端末の位置情報とを関連付けて記憶する認証情報記憶部を参照して、認証処理対象の在宅業務端末200から受信した認証情報とGPS端末202の位置情報とに対応する認証情報及び位置情報が、認証情報記憶部に関連付けられて記憶されているかどうかを判定し、関連付けて記憶されている場合には認証処理対象の在宅業務端末200の認証を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
公衆網を介して受信した着呼を、通話機能を有するいずれかの業務端末に転送し、当該着呼の発信元と当該業務端末との間に通話チャネルを形成するコールセンタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の問い合わせなどに対応するオペレータは、コールセンタに在席し、受付業務を行っていた。しかし、近年、各種の通信機器の発達、及び人材の有効活用の観点から、在宅オペレータによるコールセンタの運営が増加傾向にある。
【0003】
特許文献1には、インターネットとIP電話網を利用して、在宅エージェント用端末装置と常駐エージェント用端末装置とを自由に自動的に選択して、顧客の端末装置と接続制御することができる在宅コールセンタシステムが開示されている。
【0004】
特許文献2には、在宅型コールセンタにおいて、正当な在宅オペレータ以外の者に参照されることを防止し、セキュリティを確保することを目的として、サーバコンピュータが、在宅オペレータが操作する第一の端末からの仮のログイン要求を受け付け、第一の端末に認証用固有データを送信し、在宅オペレータが所持している第二の端末から受信したデータが、認証用固有データと同一のデータであること若しくは同一性を有するデータであることをもって、第一の端末の正式なログインを許可する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−281649号公報
【特許文献2】特開2007−58742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなコールセンタシステムにおいて、顧客データ等の秘密データを取り扱う業務を行う場合には、セキュリティを確保することが重要となる。
【0007】
特許文献2では、在宅型コールセンタにおけるセキュリティの確保を課題とした認証方法が開示されている。しかし、特許文献2に記載の認証方式では、オペレータは、第一の端末及び第二の端末を準備しておけば、どのような場所でもログインすることができる。しかし、オペレータによりログインが試みられる場所が必ずしもセキュリティが確保された場所とは限らない。
【0008】
本発明は、よりセキュリティが強化されたコールセンタシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコールセンタシステムは、公衆網を介して受信した発信元からの着呼を認証済みの業務端末に転送することにより、前記発信元と前記業務端末との間に通話チャネルを形成するコールセンタシステムであって、認証処理対象の業務端末から認証情報を受信したことに対応して、当該業務端末に対応するGPS端末の位置情報を受信する位置情報取得部と、認証が許可される業務端末の認証情報と当該業務端末に対応するGPS端末の位置情報とを関連付けて記憶する認証情報記憶部と、前記認証処理対象の業務端末から受信した前記認証情報と前記GPS端末の位置情報とに対応する認証情報及び位置情報が、前記認証情報記憶部に関連付けられて記憶されている場合に前記認証処理対象の業務端末の認証を許可する認証部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、業務端末から提供される認証情報の他に、当該業務端末に対応するGPS端末の位置情報も利用して認証を行うので、例えばセキュリティが確保された所定の場所以外からはログインできないようにすることができるため、セキュリティを強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係るコールセンタシステムのシステム構成を示す図である。
【図2】ACD管理装置が管理する業務シフトデータの一例を示す図である。
【図3】業務管理装置の機能ブロックを示す図である。
【図4】認証情報記憶部に記憶される業務端末の認証に必要な認証情報の一例を示す図である。
【図5】在宅業務端末がログオン要求を行った際の在宅業務端末と業務管理装置との間、及び業務管理装置とACD管理装置との間の処理内容を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」と称す。)について、以下図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るコールセンタシステムのシステム構成を示す図である。
【0014】
図1において、コールセンタ1には、PBX(Private Branch eXchange)100、多機能電話機110、ACD(Automatic Call Distributor)管理装置120、業務管理装置130、業務端末180が配置され、各在宅受付者宅2には、専用線やインターネット等の網310に接続された在宅業務端末200と、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)端末202とが配置される。さらに、網310には、各GPS端末202から定期的に各GPS端末202の位置情報および時刻情報を取得して、記憶する位置情報管理装置140が接続されている。なお、本実施形態では、ACD管理装置120、業務管理装置130、位置情報管理装置140は、それぞれ単体の装置として説明するが、これらの装置のいずれか、或いはすべてを一台の装置で構成しても構わない。
【0015】
PBX100は、いわゆる構内交換機のことであり、一般的には内線電話(多機能電話機110)同士の接続や、公衆網300との接続を制御するものである。本実施形態では、公衆網300を介した顧客からの着信を、コールセンタ1で業務を行う受付者(以下、「センタ受付者」と称す。)あるいは自宅などの遠隔地で業務を行う受付者(以下、「在宅受付者」と称す。)に網310を介して繋ぐべくACD管理装置120に接続する機能を有する。
【0016】
ACD管理装置120は、PBX100を介して受信した顧客からの着信をセンタ受付者あるいは在宅受付者に適切に分配、接続する装置である。本実施形態では、ACD管理装置120は、センタ受付者が使用する業務端末180、あるいは在宅受付者が使用する在宅業務端末200に顧客の着信を分配する機能を有する。また、ACD管理装置120は、図2に示すような各受付者のタイムスケジュールを示す業務シフトデータを管理する。業務シフトデータには、図2に示すように、業務端末ID(項目100I)に関連付けて、業務時間(項目102I)、ログオン状況(項目104I)、着呼が受け付け可能かどうかを示す受付状態(項目106I)が登録されている。ACD管理装置120は、図2に示すような業務シフトデータを参照して、ログオン中で、且つ通話中でない業務端末の中から、現在の勤務時間帯に属する業務端末を適宜選択し、顧客からの着信を分配する。
【0017】
業務端末180及び在宅業務端末200は、それぞれ受付者がオペレータ業務を行う際に使用する端末であり、それぞれ音声による通話機能を有する。例えば、コールセンタが製品を販売するメーカの商品に関する問い合わせを受け付ける部署であれば、受付者が業務端末180或いは在宅業務端末200を操作して、商品情報を蓄積するデータベース(図示せず)にアクセスして、必要な情報を参照して、顧客の対応を行う。
【0018】
GPS端末202は、所謂GPS機能を有する携帯電話機等の無線端末であり、定期的にGPS衛星等から自己の位置情報と時刻情報とを取得し、取得した位置情報と時刻情報とを自己のGPS端末IDとともに位置情報管理装置140に送信する。
【0019】
位置情報管理装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク装置等の記憶装置、中央処理装置(CPU(Central Processing Unit))を備え、ROMや記憶装置に記憶されたプログラムをCPUがRAM上に展開して実行することで機能するコンピュータである。また、位置情報管理装置140は、通信インタフェースを備え、網310を介してGPS端末202や業務管理装置130と通信を行う。さらに、位置情報管理装置140は、記憶装置に位置情報データベース142を構築し、各GPS端末202の現在の位置情報を管理する。より具体的には、位置情報管理装置140は、各GPS端末202から定期的にGPS端末IDと関連付けられた位置情報と時刻情報とを取得し、各GPS端末202の最新の位置情報をGPS端末IDと時刻情報とに関連付けて位置情報DB142に登録する。
【0020】
業務管理装置130は、各業務端末180からのログオン要求に伴い、各業務端末180から提供される業務端末の業務端末IDとパスワードとを示す認証情報に基づいて各業務端末180のログオンを許可するかどうかの認証を行う。また、業務管理装置130は、各在宅業務端末200からのログオン要求に伴い、各在宅業務端末200から当該業務端末の業務端末IDとパスワードとを示す認証情報を受信し、さらに各業務端末IDに対応する各GPS端末の位置情報を位置情報管理装置140から受信し、受信した認証情報と位置情報とに基づいて各在宅業務端末200のログオンを許可するかどうかの認証を行う。
【0021】
なお、本実施形態では、位置情報に基づく認証は、在宅業務端末200のみに対して行う例について説明するが、業務端末180に対しても位置情報に基づく認証を行っても構わない。
【0022】
図3は、業務管理装置130の機能ブロックを示す図である。図3において、CPU10は、ROM12や記憶装置30に記憶された各種プログラムをRAM14に展開して、バス90を介して各部を制御し、各業務端末180,200の認証処理などを行う。
【0023】
記憶装置30は、プログラム40として、位置情報取得部42と認証部44とを記憶する。さらに、記憶装置30は、データベース50として、認証情報記憶部52を記憶する。
【0024】
認証情報記憶部52には、図4に示すように、ログオンを許可する業務端末180,200の業務端末ID(項目100I)とパスワード(項目102I)とが関連付けて登録されるとともに、在宅業務端末200の場合には、業務端末ID(項目100I)とパスワード(102I)と関連付けて在宅業務端末200に対応するGPS端末のGPS端末ID(104I)と位置情報(106I)が登録される。
【0025】
位置情報取得部42は、在宅業務端末200からのログオン要求に伴い、在宅業務端末200から業務端末の業務端末IDとパスワードとを示す認証情報を通信インタフェース70を介して受信した場合に、位置情報管理装置140にアクセスして、受信した業務端末IDに対応するGPS端末202の位置情報を取得し、認証部44に提供する。
【0026】
認証部44は、業務端末180からのログオン要求に伴い、業務端末180から提供される業務端末の業務端末IDとパスワードとを示す認証情報に基づいて業務端末180のログオンを許可するかどうかの認証を行う。また、認証部44は、在宅業務端末200から受信した業務端末の業務端末ID及びパスワードを示す認証情報と、位置情報取得部42から提供された位置情報とに基づいて、在宅業務端末200のログオンを許可するかどうかの認証を行う。さらに、認証部44は、ログオン認証を許可した業務端末については、その業務端末の業務端末IDをACD管理装置120に通知する。ACD管理装置120は、業務管理装置130からの業務端末IDの通知を受けて、業務シフトデータの更新を行う。すなわち、ACD管理装置120は、通知を受けた業務端末IDに対するログオン状況を着呼を受け付け可能であることを示す「ログオン」に変更する。
【0027】
図5は、在宅業務端末200がログオン要求を行った際の在宅業務端末200と業務管理装置130との間、及び業務管理装置130とACD管理装置120との間の処理内容を示すシーケンス図である。
【0028】
まず、在宅受付者が在宅業務端末200の電源をオンすることで、在宅業務端末200が起動処理を開始し、在宅受付者に対して認証情報として業務端末IDとパスワードの入力を要求する。在宅受付者からの業務端末ID及びパスワードの入力を受けて、在宅業務端末200は、入力された業務端末IDとパスワードとを示したログオン要求を業務管理装置130に対して行う(S100)。業務管理装置130は、業務端末IDとパスワードとを受信したことに対応して、認証情報記憶部52を参照し、業務端末IDに対応するGPS端末IDが登録されている場合には、登録されたGPS端末IDに対応する位置情報を位置情報管理装置140から取得する(S102)。より具体的には、業務管理装置130は、登録されたGPS端末IDに対する位置情報を位置情報管理装置140に対して要求する。位置情報管理装置140は、要求されたGPS端末IDに対する位置情報を位置情報データベース142から検索し、該当する位置情報を業務管理装置130に送信する。業務管理装置130は、位置情報管理装置140からの応答として、位置情報を受信する。
【0029】
位置情報を受信後、業務管理装置130は、受信した業務端末IDとパスワードと位置情報とに基づいて在宅業務端末200の認証を行う(S104)。より具体的には、業務管理装置130は、認証情報記憶部52を参照して、業務端末IDに対応するパスワードと位置情報とが一致するかどうかを判定し、一致する場合には、在宅業務端末200のログインを許可する。なお、位置情報については測定誤差を考慮して、完全一致でなくても、例えば、認証情報記憶部52に記憶された位置情報を中心として予め定められた範囲内の位置に、受信した位置情報が含まれる場合には、一致すると判定しても構わない。
【0030】
認証後、ログオンを許可する場合には、業務管理装置130は、ログオンの許可を示す応答を在宅業務端末200に対して行う(S106)。在宅業務端末200は、許可を受けて、起動処理を継続して(S108)、受け付け業務用のシステムの起動が完了した時点で、起動完了通知を業務管理装置130に対して行う(S110)。次いで、業務管理装置130は、ACD管理装置120に対して、在宅業務端末200のログインが完了したことを通知する(S112)。ACD管理装置120は、ログイン完了通知を受けて、在宅業務端末200の業務端末IDに対する業務シフトデータのログオン状況を「ログオン」に変更し、正常にログオン処理が終了したことをログオン応答として業務管理装置130に通知する(S114)。業務管理装置130は、ログオン応答を受けて、在宅業務端末200に対してログオン応答を行う(S116)。なお、ここで、勤務時間内のログオンであれば、在宅業務端末200は、受け付け業務を即座に開始する。また、勤務時間前のログオンであれば、在宅業務端末200は、勤務時間が開始するまで待機状態となる。
【0031】
一方、業務管理装置130は、認証の結果、パスワードや位置情報の不一致により、在宅業務端末200の認証に失敗した場合には(S105)、ログオンの拒否を示す応答を在宅業務端末200に対して行う(S107)。在宅業務端末200は、拒否を受けて、受け付け業務用のシステムの起動処理を中断して、電源をオフする(S109)。
【0032】
以上の通り、本実施形態では、予め在宅受付者に対してGPS端末202の携帯を義務づけておき、業務端末IDとパスワードの他に、GPS端末202の位置情報も利用して、ログオン認証を行う。このようにGPS端末202の位置情報を認証に用いることで、第三者が、たとえ業務端末IDとパスワードとを入手して、不正にログオンを試みたとしても、GPS端末202を保持していなければ、ログオンすることができない。したがって、不正ログオンを容易に行えないようにすることができるため、セキュリティを強化することができる。
【0033】
また、在宅受付者も例えばセキュリティが確保された所定の場所以外からはログオンできないようにすることができるため、セキュリティを強化することができる。
【0034】
さらに、本実施形態では、在宅受付者は、GPS端末202を携帯していれば、業務端末IDとパスワードの入力操作のみを行えばログオン認証が行えるため、認証操作を複雑化することなく、セキュリティを強化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、業務端末から提供される認証情報の他に、当該業務端末に対応するGPS端末の位置情報も利用して認証が行われるので、例えばセキュリティが確保された所定の場所以外からはログインできないようにすることができる。よって、本発明は、公衆網を介して受信した着呼を、通話機能を有するいずれかの業務端末に転送し、当該着呼の発信元と当該業務端末との間に通話チャネルを形成するコールセンタシステム等に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 コールセンタ
10 CPU
12 ROM
14 RAM
30 記憶装置
40 プログラム
42 位置情報取得部
44 認証部
50 データベース
52 認証情報記憶部
70 通信インタフェース
110 多機能電話機
120 ACD管理装置
130 業務管理装置
140 位置情報管理装置
142 位置情報データベース
180 業務端末
200 在宅業務端末
202 GPS端末
300 公衆網
310 網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆網を介して受信した発信元からの着呼を認証済みの業務端末に転送することにより、前記発信元と前記業務端末との間に通話チャネルを形成するコールセンタシステムであって、
認証処理対象の業務端末から認証情報を受信したことに対応して、当該業務端末に対応するGPS端末の位置情報を受信する位置情報取得部と、
認証が許可される業務端末の認証情報と当該業務端末に対応するGPS端末の位置情報とを関連付けて記憶する認証情報記憶部と、
前記認証処理対象の業務端末から受信した前記認証情報と前記GPS端末の位置情報とに対応する認証情報及び位置情報が、前記認証情報記憶部に関連付けられて記憶されている場合に前記認証処理対象の業務端末の認証を許可する認証部と、
を備えることを特徴とするコールセンタシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−278543(P2010−278543A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126639(P2009−126639)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】