コールセンタシステム

【課題】 突発的に問い合わせなどが急増した場合でも、適切に対応する。
【解決手段】 落雷や台風などの気象状況を監視する気象システム2を備え、第1のコールセンタC1と第2のコールセンタC2とが相互に着信転送自在に接続され、各コールセンタC1、C2に、気象システム2から取得された該コールセンタC1、C2の担当地域A1、A2の気象状況が、所定の気象状況であって、該コールセンタC1、C2への着信をオペレータが対応できない状態で、所定の気象状況と無関係な用件の着信があった場合に、この着信を他のコールセンタC2、C1に転送する構内交換機3を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、顧客などからの電話に対応するコールセンタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの企業では、顧客などからの問い合わせや要望などに対応するために、多くのオペレータが常駐しているコールセンタ(カスタマセンタ)が設けられている。また、各コールセンタが担当すべき地域が割り当てられ、所定の地域からは、所定のコールセンタに電話するようになっている場合がある。
【0003】
このようなコールセンタでは、顧客からの電話に適切に対応し、かつ、業務の効率化を図るために、着信に対する応答率が高く(例えば、90%)維持されるように、人員の数や配置、回線数などを決定している。また、すべての受付端末の状態を管理し、接続しようとする受付端末が輻輳している場合に、代替用の受付端末に着信呼を接続することで、接続サービスの低下を防ぐ、というコールセンタ受付けサービスシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−174514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、着信数を想定・予測してオペレータの数やその配置を決定しているが、想定以上の電話がかかってくる場合がある。特に、落雷や台風などの自然災害によって突発的な停電が発生すると、停電に対する問い合わせなどが急増する場合がある。このような場合、応答率が低下し、問い合わせなどに対して適正な対応ができずに、サービスが低下することとなる。
【0006】
そこでこの発明は、突発的に問い合わせなどが急増した場合でも、適切に対応することを可能にするコールセンタシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、担当地域ごとにコールセンタが設けられたコールセンタシステムであって、落雷や台風などの気象状況を監視する気象監視設備を備え、前記各コールセンタが相互に着信転送自在に接続され、前記各コールセンタに、前記気象監視設備から取得された該コールセンタの担当地域の気象状況が、所定の気象状況であって、該コールセンタへの着信をオペレータが対応できない状態で、前記所定の気象状況と無関係な用件の着信があった場合に、この着信を他のコールセンタに転送する処理手段を備える、ことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、気象監視設備によって各地域の気象状況が監視され、各コールセンタにおいて、担当地域の気象状況が所定の気象状況、例えば落雷が発生し、オペレータによる対応ができない状態で、落雷とは無関係な用件の着信があった場合には、処理手段によってこの着信が他のコールセンタに転送される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、あるコールセンタでオペレータによる対応ができない場合には、着信が他のコールセンタに転送されるため、あるコールセンタで突発的に問い合わせなどが急増した場合でも、問い合わせなどに適切に対応することが可能となる。しかも、あるコールセンタの担当地域の気象状況とは無関係な用件のみ、例えば、一般的な問い合わせや申し込みなどのみが転送され、この担当地域の気象状況に関係する用件、例えば、落雷による停電に関する問い合わせなどは転送されない。このため、転送された着信に対して、転送先のコールセンタで適正な対応ができるとともに、その地域に特有な問い合わせなどに対しては、その(元の)コールセンタで対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態に係るコールセンタシステムを示す概略構成図である。
【図2】図1のコールセンタシステムの構内交換機の概略構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0012】
図1は、この発明の実施の形態に係るコールセンタシステム1を示す概略構成図である。このコールセンタシステム1は、2つのコールセンタC1、C2が設けられ、第1のコールセンタC1は、第1の地域A1を担当地域とし、第2のコールセンタC2は、第2の地域A2を担当地域とする。また、全地域の落雷や台風などの気象状況を監視、予測する気象システム(気象監視設備)2を備え、この気象システム2からの気象情報が、通信網NWを介して逐次各コールセンタC1、C2に送信されるようになっている。
【0013】
ここで、コールセンタC1、C2は、同等の構成のため、以下、主として第1のコールセンタC1の構成について説明する。
【0014】
第1のコールセンタC1は、構内交換機(PBX:Private Branch eXchange、処理手段)3と複数のオペレータ端末4とを備えている。構内交換機3は、図2に示すように、主として、自動音声応答部(IVR;Interactive Voice Response Unit)31と、交換機部32と、記憶部33と、中央制御部34とを備えている。
【0015】
自動音声応答部31は、音声認識機能や音声案内機能などを備え、通信網NWを介して顧客Kから着信があると、音声案内を発信し、この音声案内に従って顧客Kが音声などで回答すると、この回答を解析してデジタル情報を中央制御部34に伝送するものである。具体的には、着信があると、「故障修理、停電のお問い合わせは「1」を、ご意見、ご相談については「2」を、その他の申し込みについては「3」を、電気の使用開始、終了については「0」をダイヤルしてください」、という音声案内を発信する。そして、顧客Kからダイヤル入力や音声入力がされると、その番号を中央制御部34に伝送する。このような自動応答は、すべての回線が使用中や、すべてのオペレータが対応中で、この着信に対応できない場合であっても、行われるようになっている。
【0016】
ここで、後述するように、この実施の形態では、ダイヤル「1」の「故障修理、停電のお問い合わせ」のみが、落雷や台風などの所定の気象状況と関係を有する用件で、その他は、所定の気象状況と無関係な用件となっている。つまり、落雷や台風などが発生して、機器の故障や停電などが発生すると、「故障修理、停電のお問い合わせ」が急増するため、このような用件を所定の気象状況と関係を有する用件としている。一方、「ご意見、ご相談」や「その他の申し込み」などは、落雷や台風などの発生とは係りない一般的な用件であり、いずれのコールセンタC1、C2でも対応可能なため、所定の気象状況と無関係な用件とし、後述するように、転送対象としている。
【0017】
交換機部32は、中央制御部34からの指令に従って、回線・呼を接続する交換機機能部である。すなわち、顧客Kから着信を所定のオペレータ端末4と接続したり、その接続を解除したりする。さらに、顧客Kから着信を第2のコールセンタC2に転送する機能を備え、コールセンタC1、C2間で相互に着信転送自在となっている。
【0018】
記憶部33は、気象システム2から受信した気象情報や、後述するようにして中央制御部34で算出された応答率などを記憶するメモリである。
【0019】
中央制御部34は、各オペレータ端末4、自動音声応答部31、交換機部32および記憶部33を管理、制御などする演算処理部であり、気象システム2から受信した気象情報や、自動音声応答部31からの情報などに基づいて、交換機部32を制御などする。すなわち、通常時においては、顧客Kから着信があると、対応可能な(空状態の)オペレータ端末4を検索し、このオペレータ端末4と着信とを接続するように、交換機部32に接続指令を伝送する。また、このようにして接続した状況に基づいて、応答率を逐次算出して記憶部33に記憶する。
【0020】
一方、気象システム2から気象情報を受信する度に、気象情報を記憶部33に記憶することで、気象状況の履歴を作成する。そして、気象システム2から受信した担当地域A1の気象状況が、所定の気象状況であって、第1のコールセンタC1への着信をオペレータが対応できない状態で、所定の気象状況と無関係な用件の着信があった場合には、この着信を第2のコールセンタC2に転送するように、交換機部32に転送指令を伝送する。
【0021】
すなわち、この実施の形態では、
(イ)担当地域A1の気象状況が、落雷や台風などの所定の気象状況で、
(ロ)第1のコールセンタC1への着信をオペレータが対応できない状態、つまり、すべてのオペレータ端末4が対応中・使用中の状態で、
(ハ)所定の気象状況と無関係な用件の着信、つまり、上記の「ご意見、ご相談」や「その他の申し込み」などの着信があった場合、
(ニ)この着信を第2のコールセンタC2に転送する、
ものである。
【0022】
なぜなら、落雷や台風などが発生すると、上記のように、「故障修理、停電のお問い合わせ」が急増し、全体の応答率が低下する一方、「ご意見、ご相談」や「その他の申し込み」などは、第2のコールセンタC2でも対応可能である。このため、このような着信を転送して、第1のコールセンタC1で「故障修理、停電のお問い合わせ」に対応し、第2のコールセンタC2では「ご意見、ご相談」などに対応することで、全体の応答率を高くすることができるからである。
【0023】
従って、上記(イ)、(ロ)のような状況、状態であっても、用件が「故障修理、停電のお問い合わせ」の場合には、第2のコールセンタC2に転送せずに、第1のコールセンタC1のオペレータ端末4の空を待って、着信とオペレータ端末4とを接続する。
【0024】
オペレータ端末4は、オペレータが顧客Kなどと会話をするための端末であり、マイク、スピーカの他に、顧客Kに関する情報や回答事例集などを表示するためのディスプレイと、顧客Kからの問い合わせ内容やその回答などを入力するためのキーボードなどとを備えている。また、オペレータ端末4の使用状態は、構内交換機3でリアルタイムに監視できるようになっている。
【0025】
次に、このような構成のコールセンタシステム1の作用などについて説明する。
【0026】
まず、第1の地域A1の顧客Kから第1のコールセンタC1に着信があると、中央制御部34によって空状態のオペレータ端末4が検索され、交換機部32によってこのオペレータ端末4と着信とが接続される。これにより、顧客Kとオペレータとの会話が可能となる。一方、気象システム2によって各地域A1、A2の気象状況が逐次、監視、予測され、気象情報が各コールセンタC1、C2に送信され、各記憶部33に記憶される。
【0027】
続いて、担当地域A1で落雷や台風などが発生し、第1のコールセンタC1の全オペレータ端末4が対応中の状態で、第1の地域A1の顧客Kから「ご意見、ご相談」や「その他の申し込み」などの着信があると、中央制御部34および交換機部32によって、この着信が第2のコールセンタC2に転送される。そして、第2のコールセンタC2の中央制御部34によって空状態のオペレータ端末4が検索され、このオペレータ端末4と着信とが接続される。これにより、顧客Kと第2のコールセンタC2のオペレータとの会話が可能となるものである。
【0028】
以上のように、このコールセンタシステム1によれば、例えば、第1のコールセンタC1でオペレータによる対応ができない場合には、着信が第2のコールセンタC2に転送されるため、第1のコールセンタC1で突発的に問い合わせなどが急増した場合でも、問い合わせなどに適切に対応することが可能となる。しかも、第1のコールセンタC1の担当地域A1の気象状況とは無関係な用件のみ、つまり、「ご意見、ご相談」や「その他の申し込み」などのみが転送され、この担当地域A1の気象状況に関係する用件、つまり、「故障修理、停電のお問い合わせ」は転送されない。このため、転送された着信に対して、転送先の第2のコールセンタC2で適正な対応ができるとともに、第1の地域A1に特有な問い合わせに対しては、第1のコールセンタC1で対応することが可能となる。
【0029】
このようにして、顧客Kからの着信がつながりやすくなり、顧客Kの満足度を高めることができる。しかも、コールセンタC1、C2においてオペレータ・人員を増やす必要がないため、コストを低減・抑制することができる。
【0030】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、2つのコールセンタC1、C2が設けられている場合について説明したが、3つ以上のコールセンタが設けられている場合であっても、同様に適用することができる。
【0031】
また、上記の実施の形態では、全オペレータ端末4が対応中の場合に、着信を転送しているが、(イ)担当地域A1の気象状況が、落雷や台風などで、(ハ)「ご意見、ご相談」や「その他の申し込み」などの着信があった場合には、(ニ)この着信を転送するようにしてもよい。すなわち、落雷や台風などが発生した場合には、着信が急増するという前提の下に、「ご意見、ご相談」などの着信を予め転送することで、応答率が下がるのを未然に防止するようにしてもよい。
【0032】
さらに、各コールセンタの応答率を相互に監視・確認可能とし、転送先のコールセンタの応答率が所定値の(対応に余裕がある)コールセンタに対して、着信を転送するようにしてもよい。また、気象システム2に代わって、落雷予測システムなどを用いてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 コールセンタシステム
C1 第1のコールセンタ
C2 第2のコールセンタ
2 気象システム(気象監視設備)
3 構内交換機(処理手段)
31 自動音声応答部
32 交換機部
33 記憶部
34 中央制御部
4 オペレータ端末
NW 通信網
K 顧客


【特許請求の範囲】
【請求項1】
担当地域ごとにコールセンタが設けられたコールセンタシステムであって、
落雷や台風などの気象状況を監視する気象監視設備を備え、
前記各コールセンタが相互に着信転送自在に接続され、
前記各コールセンタに、
前記気象監視設備から取得された該コールセンタの担当地域の気象状況が、所定の気象状況であって、該コールセンタへの着信をオペレータが対応できない状態で、前記所定の気象状況と無関係な用件の着信があった場合に、この着信を他のコールセンタに転送する処理手段を備える、
ことを特徴とするコールセンタシステム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−81107(P2013−81107A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220442(P2011−220442)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】