説明

コールドスプレー皮膜の形成方法

【課題】 高硬度かつ高緻密の皮膜を得ることができ、しかも皮膜の全厚にわたって均一な性状のものを得ることができるコールドスプレー皮膜の形成方法を提供すること。
【解決手段】 溶射材料の融点または軟化温度よりも低い温度のガスを超音速流にして、前記超音速流に前記溶射材料を投入し、固相状態のまま基材に高速で衝突させて皮膜を形成するコールドスプレー皮膜の形成方法において、粒径5〜50μmの皮膜原料粉末と粒径100〜1000μmのピーニング粉末を混合した原料粉末を用いて皮膜を形成することを特徴とするコールドスプレー皮膜の形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶射材料の融点または軟化温度よりも低い温度のガスを超音速流にして、前記超音速流に前記溶射材料を投入し、固相状態のまま基材に高速で衝突させて皮膜を形成するコールドスプレー皮膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、製鉄プロセスの鋳型やロールは、長寿命化を図るために、その表面に耐食性および耐摩耗性に優れた皮膜を形成する技術が知られており、この皮膜形成方法としては、Ni系の金属をめっきしたり、溶射する手段が用いられている。しかし、めっきによる皮膜は、耐摩耗性に優れたサーメット材料を大面積に施工できない、硬度をHV300以上に高くするとクラックが発生し易くなる、という不都合がある。一方、溶射による皮膜は、溶射中に酸化するため、緻密質の金属、合金、サーメットの皮膜の形成が困難であり、導電性、熱伝導率が低いという問題点がある。
【0003】
近年、上述した皮膜形成方法の問題点を解消するための新しい溶射プロセスとして「コールドスプレー」が注目されている。このコールドスプレーとは、非特許文献1および非特許文献2に説明されているように、材料粉末の融点又は軟化温度よりも低い温度のガスを超音速流にして、前記超音速流のガス中に前記材料の粒子を投入し、固相状態のまま基材に衝突させて皮膜を形成する技術である。ここで、材料粉末は、金属、合金、金属間化合物、セラミックスなどであり、作動ガスの温度の上限を融点以下または軟化温度以下とするものである。なお、材料粉末の軟化温度とは、材料粉末の強度又は硬さが室温での強度又は硬さの半分となる温度と定義する。
コールドスプレーは、非特許文献1、2に記載されているように、図2に示した構成により、材料粉末を超音速で基材の表面に固体状態で衝突させて皮膜を成膜する技術である。即ち、ガス源(空気、窒素、ヘリウムなど)から供給される高圧の作動ガスは2つの経路に分岐され、一方の作動ガスはガス加熱器を経て室温以上、材料粉末の融点又は軟化温度よりも低い温度に加熱された後、コールドスプレー装置の作動ガス供給孔に供給される。また、他方の作動ガスは粉末供給装置へ送給され、キャリアガスとして材料粉末と共に、コールドスプレー装置の粉末供給孔に供給される。この作動ガス供給孔、粉末供給孔からコールドスプレー用ノズルの入口部に供給された作動ガスおよび材料粉末は、先細部、のど部を経て超音速流となり、末広部の先端のノズル出口から噴出される。
このコールドスプレーでは、従来のプラズマ溶射法、フレーム溶射法、高速フレーム溶射法などに比べ、材料粒子を加熱・加速する作動ガスの温度が著しく低く、原料粉末をあまり加熱せずに固相状態のまま基材へ高速(300〜1000m/sの速度範囲)で衝突させ、そのエネルギーにより基材と粒子に塑性変形を生じさせて成膜させている。これによって得た皮膜は、緻密で密度、熱伝導率・導電性が高く、酸化や熱変質も少なく、密着性も良好であるという優れた性質を有する。
【非特許文献1】榊、「新しい溶射プロセス コールドスプレー(Cold Spray)」、 溶射技術、第20巻、第2号、産報出版株式会社、 2000年8月30日発行、p32〜41
【非特許文献2】榊、「コールドスプレーテクノロジー」、溶射技術、第21巻、第3号 産報出版株式会社、2002年2月5日発行、p29〜38
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記コールドスプレーによる皮膜形成方法は、成膜操業面および得られた皮膜性能面で満足すべきものであるが、製品皮膜としてより一層の耐摩耗性、高熱伝導率、導電性が要求されるものがある。例えば、製鉄プロセスの連続鋳造用鋳型やコンダクターロール等である。
本発明は、このような要求に応えるためになされたもので、高硬度かつ高緻密であるため耐摩耗性、熱伝導率、導電性に優れる皮膜を得ることができ、しかも皮膜の全厚にわたって均一な性状のものを得ることができるコールドスプレー皮膜の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の要旨は次の通りである。
(1) 溶射材料の融点または軟化温度よりも低い温度のガスを超音速流にして、前記超音速流に前記溶射材料を投入し、固相状態のまま基材に高速で衝突させて皮膜を形成するコールドスプレー皮膜の形成方法において、粒径5〜50μmの皮膜原料粉末と粒径100〜1000μmのピーニング粉末を混合した原料粉末を用いて皮膜を形成することを特徴とするコールドスプレー皮膜の形成方法。
(2) 溶射材料の融点または軟化温度よりも低い温度のガスを超音速流にして、前記超音速流に前記溶射材料を投入し、固相状態のまま基材に高速で衝突させて皮膜を形成するコールドスプレー皮膜の形成方法において、ノズルのど部前方のガス・粉末供給部および/またはのど部の後方の末広部または末広部に続く平行部に複数設けた粉末供給孔から粒径5〜50μmの皮膜原料粉末と粒径100〜1000μmのピーニング粉末を別々の粉末供給孔から供給し、皮膜を形成することを特徴とするコールドスプレー皮膜の形成方法。
(3) ノズルのど部前方のチャンバー部またはのど部の後方の末広部または末広部に続く平行部に設けた粉末供給孔から粒径5〜50μmの皮膜原料粉末を供給し、ノズル噴出孔周辺のスリット部に設けた粉末供給孔から粒径100〜1000μmのピーニング粉末を別々に供給し、皮膜を形成することを特徴とする(2)に記載のコールドスプレー皮膜の形成方法。
(4) 溶射材料の融点または軟化温度よりも低い温度のガスを超音速流にして、前記超音速流に前記溶射材料を投入し、固相状態のまま基材に高速で衝突させて皮膜を形成するコールドスプレー皮膜の形成方法において、原料成膜用ノズルとショットピーニング用のノズルを個々に有することを特徴とする(2)または(3)に記載のコールドスプレー皮膜の形成方法。
(5) ピーニング粉末のビッカース硬度が皮膜原料粉末のビッカース硬度よりも、400HV以上大きいことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のコールドスプレー皮膜の形成方法。
(6) ピーニング粒が高硬度のFe基合金又はWCであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項記載のコールドスプレー皮膜の形成方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の方法によれば、スプレーとほぼ同時に成膜された皮膜にピーニング効果が付与され、しかも皮膜全厚にわたってこの効果が継続することから、極めて緻密なかつ高硬度の均一な性状の皮膜を効率よく得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
まず、本発明においてはコールドスプレーにて皮膜を形成する際に、溶射粉末として、粒径5〜50μmの皮膜原料粉末と粒径100〜1000μmのピーニング粉末(粒径によっては粒子形態となるが、これを含めて粉末と称する)を混合した粉末を用いる。皮膜原料粉末は、溶射後の皮膜を構成する成分の粉末であり、Cu、Al、Cr、Ni、Mo、Fe、Nb、などの金属、およびこれらの合金の何れかを選択すればよい。該皮膜原料粉末は、粒径5〜50μmのものが最適であるが、これは通常のコールドスプレーにおいて使用する原料粉末の粒径範囲と変わることはないし、この粒径のものであれば、通常のスプレー条件のもとで基材上に所望の皮膜を形成し得る。
【0008】
また、ピーニング粉末は、前記皮膜原料粉末と混合または別々に噴射されるが、皮膜原料粉末は基材に衝突して少なくともその一部が基材上に残って皮膜を形成するのに対し、該ピーニング粉末の方は、粒径の関係から飛行速度が遅いため皮膜原料粉末より僅かに遅れて基材に衝突し、既に形成されている皮膜に当って付着することなく落下するものである。このためピーニング粉末としては、通常のショットピーニングに用いられるピーニング粉末である、高硬度のFe基合金(例えば、1C−1.5Cr−Feなど)やWC粒子が好ましい。該ピーニング粉末の粒径は、前記皮膜原料粉末の粒径より大きくすることが必要で、その粒径範囲は100〜1000μmである。このような粒径および成分の粒子とすることで、皮膜が緻密化でき、密度・硬度が上昇するピーニング効果を発揮するものである。ピーニング粉末の粒径が100μmよりも小さいと皮膜内にピーニング粉末が残存してしまい、1000μmよりも大きい粉末は粒径が大きすぎて成膜用ノズルから供給することが難しい。
更に、ピーニング粉末と皮膜原料粉末との混合割合は、皮膜原料粉末の量を多めにすることが必要であるが、大体ピーニング粉末の混合割合を5容積%〜20容積%の範囲内とすることが望ましい。
【0009】
なお、ピーニング粉末の硬度は皮膜原料粉末の硬度より大きくすることが必要であるが、両者の硬度差は、ビッカース硬度でピーニング粉末が皮膜原料粉末よりも、400HV以上大きいことが、良好なピーニング効果を発揮する上で望ましい。400HV未満の硬度差であると、ピーニング粉末の硬度が低すぎて、皮膜に衝突してもピーニング作用が発揮されないおそれがある。また、この硬度差は最大3000HVを超えないことが好ましい。本発明では、皮膜原料粉末が硬度の低い多少軟質の材料であっても、ピーニング粉末の混合で充分な硬度をもつ皮膜とすることができ、従前では実用性が低いとされていた程度の低い硬度の皮膜材料粉末であっても皮膜として形成し得る。
【0010】
上記の混合粉末を実際に基材に対し噴射してその表面に皮膜を形成する場合には、適宜のコールドスプレー装置のガンを使用することになるが、この設備として従前の図2に示すコールドスプレー装置のガンを用いてもよい。図2の装置においては、粉末供給装置の位置で皮膜原料粉末とピーニング粉末が混合され、これがキャリアガスである作動ガスによって粉末供給孔からスプレー装置に送られ、ノズルに供給された所定圧力の作動ガスによって、先細部およびのど部を経て超音速流となり、末広部の先端のノズル出口から基材上に噴射される。
【0011】
本発明を既存のコールドスプレー装置を用いて実施する場合に限ることなく、より本発明を実施する上で好適なコールドスプレー装置のガンの一例を図1に示す。
図示するように、コールドスプレー用ノズルの噴射部は、基本的には、先細部1、のど部3、末広部2および平行部19から構成される。末広部2の出口側(噴射方向)の肉厚の平行部には、2個の粉末供給孔4が噴射軸を挟んで対向して設けられている。更に、平行部は、粉末供給孔4よりも出口側に噴射ノズル部分5を取り付けた構造であり、長尺のパイプから形成された噴射ノズル部分5は、交換可能に平行部の肉厚部にナット20を介して、気密性を保ち、取付けられている。
また、コールドスプレー用ノズルの先細部1とガス・粉末供給部7は、ガス流れを整えるハニカム形状の整流子21、ガスケット6を介して、ナット8にて固定される。ガス・粉末供給部7には作動ガス供給孔9、粉末供給孔10、温度測定孔11および圧力測定孔12が設けられており、それぞれ適宜なガス供給源、粉末供給源、測温機構および圧力測定機構に接続している。なお、本発明において、ガス流れを整えるためのハニカム形状の整流子21を設けることが好ましいが、必須ではなく、また、ハニカム形状に限定されるものでもない。
また、整流子21を詰まらせないように、図2のようにパイプを挿入して、皮膜原料および/またはピーニング粉末が作動ガスと混合される位置を先細部1まで持ってきても良い。
【0012】
図1の装置を使用して本発明の皮膜形成方法を実施する場合には、まず、作動ガス供給孔9から作動ガスが、粉末供給孔4または10からはピーニング粉末および所望の皮膜原料粉末が供給される。作動ガスの温度および圧力は、温度測定孔11および圧力測定孔12を通して測定されており、それらが設定範囲、具体的には0〜700℃、1〜6MPaの範囲に収まるように制御されている。
【0013】
作動ガスは、先細部1の出口側で速度を増し、のど部3で音速に達し、更に末広部2で膨張して圧力が大気圧程度まで下がり、加速して超音速となるが、作動ガスが末広部2で膨張し、圧力が低下するため、粉末供給口4の位置で負圧となる。したがって、この粉末供給口4からは0.2MPa程度の低い圧力で供給ガスとともにピーニング粉末および皮膜原料粉末を供給できる。ピーニング粉末は、皮膜原料粉末と混合された後、噴射ノズル部分5で作動ガスにより加速・加熱されて超音速流となって出口から噴出し、基材上に衝突して皮膜を緻密化する。成膜中においては、先に基材に衝突した皮膜原料粉末が皮膜を作り、僅かに遅れて到達するピーニング粉末がこの皮膜上に衝突して該皮膜をピーニングし、その硬度を高め皮膜を緻密にする。所定の厚みまで複数回の混合粉末の噴射により上記のピーニングが繰り返される結果、皮膜はその厚み全長にわたって均一な硬度の緻密な性状となる。
【0014】
図1のコールドスプレー設備においては、コールドスプレー用ノズルの末広部よりも出口側の平行部に2個の粉末供給口4を設けているが、該粉末供給口4は1個でも良く、場合によっては3個以上でも良い。また、複数の供給口4を設ける場合には、その全てからピーニング粉末を供給せずに、少なくとも1個の供給口からピーニング粉末を供給し、他の少なくとも1個の供給口から皮膜原料粉末を供給するという使い方も可能である。
また、ピーニング粉末は図4に示すように、(a)ノズル噴出孔周辺のスリット部22に設けた粉末供給孔4もしくは9、または、(b)別に設けた近接したノズルから供給しても良い。この場合、ピーニング粉末速度は低くても良いため0.2MPa程度の低い圧力の供給ガスでよい。
前記のように1つのノズルから皮膜原料粉末とピーニング粉末を供給する場合には装置の設置が簡単であり、成膜条件の設定も容易であるメリットがある。一方で、成膜用とピーニング用に別々のノズルを設ける場合には、皮膜内部へピーニング粉末が混入する可能性が低くなるメリットが得られる。
上記のコールドスプレー用ノズルを用いて、形成した皮膜の空隙率は2%以下、金属酸化物は0.001〜1%とすることができる。皮膜の空隙率、酸化物量をこのような低い範囲に特定することによって、緻密で酸化が少なく、導電率が原料粉末の90%以上であるという、優れた特性を有する皮膜を得ることができる。
【0015】
本発明による皮膜緻密化過程を図3を用いて説明する。
皮膜原料粉末とピーニング粉末は同時に噴射される。(a)皮膜原料粉末は軟質であるため基材に衝突した際に塑性変形して少なくともその一部が基材上に残って皮膜を形成する。(b)ピーニング粉末は、粒径の関係から飛行速度が遅いこと、また硬質であるため塑性変形しない。このため基材に衝突した際も、既に形成されている皮膜に当って皮膜を緻密化するが、付着することなく落下する。(c)この過程が成膜中に繰り返されて緻密皮膜を形成することができる。
【実施例】
【0016】
図1に示すコールドスプレー用ノズルのガンを使用して、作動ガス供給孔9から温度400℃、圧力4MPaの窒素ガスを、粉末供給孔10からは表1に示す組成、粒径および硬度の粉末を供給すると共に、粉末供給孔4からは表1に示す組成、粒径および硬度のピーニング粒を室温、圧力0.2MPaの窒素ガスと共に供給し、基材上に成膜させた。比較例として、ピーニング粉末を含まない皮膜原料粉末を供給孔4から供給し上記の条件で噴射し成膜したものを示す。
表1の評価項目に示す如く、比較例の皮膜に比べ、本発明の皮膜が高硬度化されかつ高い緻密性を有していることがわかる。
【0017】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明方法を実施するに好適なコールドスプレー装置のガンの一例を示すもので、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図2】従来のコールドスプレー設備の概要図である。
【図3】本発明方法による皮膜緻密化過程の概要図である。
【図4】本発明方法を実施するに好適なコールドスプレー装置の一例を示すもので、(a)はスリットを設けたノズル、(b)はノズル2個を近接させた図である。
【符号の説明】
【0019】
1 先細部 2 末広部
3 のど部 4 ピーニング粉末供給孔
5 ノズル部 6 ガスケット
7 ガス・粉末供給部 8 ナット
9 作動ガス供給孔 10 原料粉末供給孔
11 温度測定孔 12 圧力測定孔
13 皮膜原料粉末 14 ピーニング粉末
15 基材 16 原料成膜用ガン
17 ショットピーニング用ガン 18 チャンバー
19 平行部 20 ナット
21 整流子 22 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶射材料の融点または軟化温度よりも低い温度のガスを超音速流にして、前記超音速流に前記溶射材料を投入し、固相状態のまま基材に高速で衝突させて皮膜を形成するコールドスプレー皮膜の形成方法において、粒径5〜50μmの皮膜原料粉末と粒径100〜1000μmのピーニング粉末を混合した原料粉末を用いて皮膜を形成することを特徴とするコールドスプレー皮膜の形成方法。
【請求項2】
溶射材料の融点または軟化温度よりも低い温度のガスを超音速流にして、前記超音速流に前記溶射材料を投入し、固相状態のまま基材に高速で衝突させて皮膜を形成するコールドスプレー皮膜の形成方法において、ノズルのど部前方のガス・粉末供給部および/またはのど部の後方の末広部または末広部に続く平行部に複数設けた粉末供給孔から粒径5〜50μmの皮膜原料粉末と粒径100〜1000μmのピーニング粉末を別々の粉末供給孔から供給し、皮膜を形成することを特徴とするコールドスプレー皮膜の形成方法。
【請求項3】
ノズルのど部前方のチャンバー部またはのど部の後方の末広部または末広部に続く平行部に設けた粉末供給孔から粒径5〜50μmの皮膜原料粉末を供給し、ノズル噴出孔周辺のスリット部に設けた粉末供給孔から粒径100〜1000μmのピーニング粉末を別々に供給し、皮膜を形成することを特徴とする請求項2に記載のコールドスプレー皮膜の形成方法。
【請求項4】
溶射材料の融点または軟化温度よりも低い温度のガスを超音速流にして、前記超音速流に前記溶射材料を投入し、固相状態のまま基材に高速で衝突させて皮膜を形成するコールドスプレー皮膜の形成方法において、原料成膜用ノズルとショットピーニング用のノズルを個々に有することを特徴とする請求項2または3に記載のコールドスプレー皮膜の形成方法。
【請求項5】
ピーニング粉末のビッカース硬度が皮膜原料粉末のビッカース硬度よりも、400HV以上大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のコールドスプレー皮膜の形成方法。
【請求項6】
ピーニング粒が高硬度のFe基合金又はWCであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のコールドスプレー皮膜の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−52449(P2006−52449A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235735(P2004−235735)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【Fターム(参考)】