説明

コーンカップおよびその製法、それを用いたコーンカップ冷菓、コーンカップの吸湿防止方法、コーンカップ冷菓の製法、コーンカップ冷菓製造装置及び把持具

【課題】 長期冷凍保存してもコーンカップの吸湿、特にコーンカップの開口部周縁の吸湿を防止することができ、風味良好で生産性のよいコーンカップおよびその製法、それを用いたコーンカップ冷菓、コーンカップの吸湿防止方法、コーンカップ冷菓の製法及びコーンカップ冷菓製造装置、さらに、コーンカップ等の被把持部品の把持具を提供する。
【解決手段】 コーンカップ本体2を把持具30で把持するとともに、コーンカップ本体2の開口部4の上方から防湿性食品3’を噴霧して、コーンカップ本体2内面全面乃至コーンカップ本体2外面の開口部4から把持具30で把持された開口部周縁(コーンカップの長さの4.5%〜26%)にかけて防湿性食品被覆層3を形成したコーンカップ1を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期冷凍保存しても、冷菓生地から蒸発した水蒸気や水分によるコーンカップの吸湿、特にコーンカップの開口部周縁の吸湿を防止することができ、風味良好で生産性のよいコーンカップおよびその製法、それを用いたコーンカップ冷菓、コーンカップの吸湿防止方法、コーンカップ冷菓の製法及びコーンカップ冷菓製造装置に関するものである。さらに、コーンカップのような被把持部品の把持具に関する。
【背景技術】
【0002】
コーンカップ冷菓は、澱粉質類を主体とする生地を焼成して製造されるコーンカップに、冷菓生地を収容し、長期冷凍保存の場合には更に包装体に密封して製造される。しかし、長期冷凍保存すると、冷菓生地から蒸発した水蒸気がコーンカップに移行し、該コーンカップが吸湿するので、消費者が喫食する際にコーンカップ特有のパリパリした食感が得られないという問題点があった。特に、コーンカップ開口部周縁では、その問題が顕著に生じた。
【0003】
そこで、従来よりコーンカップ冷菓において、コーンカップ内面全面にチョコレート等の防湿性食品をコーティングすることにより、コーンカップの吸湿を防止する手法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、これらの方法では、製造時のチョコレートの流動性を抑える目的で気泡を含んだチョコレートを使用するので、元来気泡を含みにくいチョコレートに、気泡を安定して含有させる必要があったり、コーンカップの開口部外面にコーティングチョコレートがあふれて汚れるのを防止するために、開口部周縁部はコーティングが不充分となったりするので、長期冷凍保存したとき、コーンカップの開口部周縁においては、充分にコーンカップの吸湿を防止できないという問題点があった。
【0004】
また、特許文献1,2では、上記の問題点を解決するために、コーンカップ内面のチョコレートの厚みを増しつつ、チョコレート層が硬くなるのを防止するために起泡しているが、この方法では、チョコレートはソフトな食感ではあるが、チョコレート風味が強くなりすぎ、収容する冷菓生地本来の風味及び食感が失われるという問題が生じてしまう。
【0005】
その他に、味覚上の変化および外観上の顕著な変化をもたせるため、コーンカップの内外面における開口縁寄りにチョコレートをコーティングしたソフトクリーム用コーンカップが知られている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、このコーンカップでは、開口縁寄りのみをコーティングするので、コーンカップ内面のチョコレートコーティングされていない部分が、吸湿してしまう。また、コーンカップが、モナカタイプの型焼きではなく、薄焼生地を円錘状に丸めたシュガーコーンタイプの場合、コーン底部のすきまから溶けたアイスクリームが流れ出して喫食しづらくなる。また、上記コーンカップの製法は、コーンカップ開口部を下向きに反転させた状態で、液状チョコレート中に降下、浸漬させるものである。しかしながら、この製法では、チョコレートコーティングの量や幅の調整は、チョコレートの物性に大きく依存しており、適当なチョコレートコーティングを施すには、非常に狭い範囲の物性を維持する必要があった。さらに、コーンカップの反転工程、浸漬工程、液切り工程が必要で、工程数が多く煩雑となるので、生産性が大きく低下するという問題点があった。
【0006】
【特許文献1】特許2896587号公報
【特許文献2】特開平5−316931号公報
【特許文献3】特開昭60−156341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、長期冷凍保存しても冷菓生地から蒸発した水蒸気や水分によるコーンカップの吸湿、特にコーンカップの開口部周縁の吸湿を防止することができ、風味良好で、生産性のよいコーンカップおよびその製法、それを用いたコーンカップ冷菓、コーンカップの吸湿防止方法、コーンカップ冷菓の製法及びコーンカップ冷菓製造装置を提供することにある。さらに、コーンカップ等の被把持部品の把持具の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、コーンカップ本体内面全面乃至コーンカップ本体外面の開口部からコーンカップ本体の長さの4.5%〜26%の範囲の開口部周縁にかけて防湿性食品被覆層を形成することにより達成される。
【0009】
すなわち、本発明者は長期冷凍保存しても冷菓生地から蒸発した水蒸気や水分によるコーンカップの吸湿、特にコーンカップ開口部周縁の吸湿を防止することができ、風味良好で、生産性のよいコーンカップについて検討を行った。その結果、コーンカップへの防湿性食品の被覆率に着目し、検討を行ったところ、コーンカップ本体内面全面乃至コーンカップ本体外面の開口部からコーンカップ本体の長さの4.5%〜26%の範囲の開口部周縁にかけて防湿性食品被覆層を形成することにより、課題を解決するコーンカップが得られることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
また、コーンカップを、防湿性食品の被覆層を形成するための補助具である把持具で把持し、コーンカップ本体の開口部の上方から防湿性食品を噴霧し、コーンカップ本体内面全面乃至コーンカップ本体外面の開口部から該把持具で把持された開口部周縁にかけて防湿性食品被覆層を形成し、コーンカップを固化させる工程および装置、または、上記防湿性食品被覆層を形成した後、コーンカップに冷菓生地を収容し、冷却する工程および装置を備えることにより、生産性の点でより良好な効果を得られることを見出した。また、コーンカップ等の被把持部品を一対の把持具で把持して、該被把持部品と把持具との間に適宜の間隙を形成することにより、簡単且つ確実にコーンカップ等の被把持部品の外面開口部周縁の特定箇所に防湿性食品被覆層を形成することが可能となった。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、長期冷凍保存しても冷菓生地から蒸発した水蒸気や水分によるコーンカップの吸湿、特にコーンカップ開口部周縁の吸湿を防止することができる。また、風味のバランスや外観が良い。さらに、生産性のよいコーンカップ及びそれを用いたコーンカップ冷菓を得ることができる。さらに、本発明の把持具によれば、被把持部品と把持具との間に適当な間隙を形成するため、簡単かつ確実に被把持部品の外面開口部周縁の特定箇所に被覆層を形成することができ、生産性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の詳細を図面を参照して説明する。
図1はコーンカップの斜視図、図2は図1線A−Aの断面図、図3はコーンカップ冷菓の斜視図である。
コーンカップ1は、例えば澱粉質類を主体とする生地を焼成して形成したコーンカップ本体2と、特定箇所に形成された防湿性食品被覆層3とから構成される。
【0013】
本発明のコーンカップの形状は、冷菓を収容し得るものであれば特に限定するものではなく、図1に示す円錐形のような錐体や、筒形、柱状等が挙げられ、適宜選択すればよい。また、その大きさは特に限定するものではない。
【0014】
上記防湿性食品被覆層3は、図1及び図2に示すように、コーンカップ本体2の内面全面、開口部4および外面の幅Hに形成される。そのうち、外面の防湿性食品被覆層3は、開口部4からの幅Hを、H=コーンカップ本体2の長さTに対して4.5%〜26%、の範囲に設定することが重要である。すなわち、幅Hをコーンカップ本体2の長さTに対して4.5%未満とすると、吸湿防止性が悪く、逆に幅Hがコーンカップ本体2の長さTに対して26%を超えると、冷菓生地を収容してコーンカップ冷菓とした際に、防湿性食品の比率が大きくなって、コーンカップ冷菓としての本来の風味が損なわれると共に、コーンカップを手で把持しにくくなったり、外面被覆層が喫食中に溶融したり、外観を損なったりする。
上記開口部4からの幅Hは、更に好ましくはコーンカップ本体2の長さTに対して8.7%〜17.5%である。
なお、幅H及び長さTは、図1に示すように、コーンカップに沿った辺の長さではなく、高さの測定で得られた値である。
【0015】
上記防湿性食品被覆層3に用いられる防湿性食品3’は、40℃における粘度が、600〜2500cp(センチポアズ)であることが被覆層形成性及びコーンカップへの付着性の点で良好である。なお、本発明における粘度とは、BM型粘度計(品温40℃、ローターNo3、30秒、30rpm)で、5回測定した平均値である。具体的には、冷菓生地由来の水分の吸湿を防止するものであれば特に限定するものではないが、例えばチョコレート、油脂等が挙げられる。この中でも特にチョコレートは風味及び被覆層形成性の点で好適である。なお、上記チョコレートとは、チョコレート規格品やコーティングチョコレート等のチョコレート類を意味するものである。
【0016】
上記のコーンカップ1は、図3に示すように、冷菓生地150を収容して冷却し、コーンカップ冷菓100として喫食されるものである。
上記コーンカップ冷菓100の中でも、特に図3のような冷菓生地150の少なくとも一部が空気中に露出しているタイプは、長期冷凍保存中に冷菓生地150から水蒸気が発生しやすく、本発明の効果が顕著に得られる点で好適に用いられる。
上記冷菓生地150は、特に限定するものではなく、アイスクリーム類、氷菓等が挙げられる。上記アイスクリーム類は、乳固形分含有量や乳脂肪分含有量によって、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス等に分類されるが、これらのいずれであってもよい。
また、冷菓生地150の材料は、冷菓生地150の種類によって適宜選択して用いればよいが、例えば、牛乳、脱脂粉乳、生クリーム、バター等の乳製品、豆乳等の植物蛋白製品、砂糖、水飴、ぶどう糖等の糖類、植物性油脂等の油脂類、チョコレート原料、安定剤、香料、色素、酸味料、風味原料(卵、コーヒー、茶類、ココア、果汁果肉、ヨーグルト、酒類等)、各種栄養素(蛋白質、食物繊維、ビタミン、ミネラル等)等が挙げられる。
【0017】
次に、本発明のコーンカップやコーンカップ冷菓製造装置、および把持具の一実施形態について、図を用いて説明する。
図4は本発明に用いるコーンカップ冷菓の製造装置の一例を示す説明図、図5は本発明の把持具の把持機構の一例を示す説明図、図6から図8は把持具の説明図である。
【0018】
図4において、コーンカップ冷菓製造装置10は、コーンカップ本体2の開口部4を上方に向けた状態で保持するコーンカップ保持手段であるカップホルダー15と、該ホルダー15を方向Sに搬送する搬送手段であるコンベアベルト20と、コーンカップ本体2に把持具30を着脱する把持機構40(図4には図示せず)と、コーンカップ本体2の開口部4上方から防湿性食品3’を噴霧する防湿性食品噴霧手段である噴霧装置50と、冷菓生地150をコーンカップ1に収容する冷菓生地収容手段である冷菓生地収容装置60と、冷菓生地150を収容したコーンカップ冷菓100を冷却する冷却手段であるクーリングトンネル70とが、コンベアベルト20の進行方向Sに従い順次設置されている。
【0019】
図4において、先ず、カップホルダー15は、合成樹脂などで構成され、その上面にコーンカップ本体2の下部を嵌合する嵌合穴16が複数個形成されている。なお、嵌合穴16の形状はコーンカップ本体2の形状に合わせ、適宜決定すればよい。
カップホルダー15を搬送するコンベアベルト20は、駆動源(図示せず)により方向Sに移動する。
【0020】
次に、図5は把持具30の把持機構40の説明図である。
把持機構40は、把持具30を水平移動させる水平移動機構41と、水平移動機構41を上昇・下降させる垂直移動機構45とを有している。すなわち、垂直移動機構45には水平移動機構41が連結されており、水平移動機構41はピストン部43と該ピストン部43の先端に把持具30を備えている。
上記水平移動機構41のピストン部43は、把持具30をカップホルダー15上面に対して水平方向である方向P−Qに移動する。また、上記垂直移動機構45は、把持具30をカップホルダー15の上面に対して垂直方向である方向X−Yに移動する。
【0021】
そして、把持機構40の直下にコーンカップ本体2が搬送されたとき、垂直移動機構45が矢印Y方向に下降し、かつ、水平移動機構41のピストン部43が矢印P方向に移動して、コーンカップ本体2を把持具30で把持する構成となっている。
また、後述する噴霧装置50によって、コーンカップ本体2の内面全面乃至外面の特定箇所に防湿性食品3’の噴霧が終了すると、水平移動機構41のピストン部43が矢印Q方向に移動し、かつ、垂直移動機構45が矢印X方向に上昇して、コーンカップ1から把持具30を取り外す構成となっている。
【0022】
上記把持具30について、図6を用いて被把持部品が円錐形状のコーンカップである例で説明する。
把持具30は、第1の把持部材30Aと第2の把持部材30Bを対向して組み合わせてコーンカップ本体2を把持する構成となっている。上記各把持部材30A,30Bは合成樹脂、索材ゴムなどで構成される。
第1の把持部材30Aは、一端中央部分に被把持部品であるコーンカップ本体2の外面形状の一部と略相似する形状の凹部35Aが形成されている。第2の把持部材30Bも同様に、一端中央部分に同様な形状の凹部35Bが形成されている。第1の把持部材30Aと第2の把持部材30Bはそれぞれ図5に示す把持機構40の水平移動機構41のピストン部43に止め具などにより取り付けられている(図6の符号36は止め具取り付け孔)。そして、水平移動機構41のピストン部43を矢印P方向に移動させて、凹部35A、35Bを対向させて組み合わせたとき、中央部分に被把持部品であるコーンカップ本体2が嵌合する円筒形状の中空部分が形成される。
【0023】
また、把持部材30Aは、凹部35Aの凹面に沿って、中空部分方向に傾斜するテーパー面350を形成している。把持部材30Bも、同様に凹部35Bの凹面に沿って、中空部分方向に傾斜するテーパー面350を形成している。そして、把持部材30Aと把持部材30Bを組み合わせて形成される中空部分の上面の直径をR,テーパー面の下端部353で形成する円の直径をrとすると、直径R>直径rの関係となる。
【0024】
このように構成される2つの把持部材30A・Bでコーンカップ本体2を把持した状態を図7(a)、(b)を用いて説明する。
円錐形状のコーンカップ本体2の傾斜角度をa°とすると、各把持部材30A・Bで形成するテーパー面下端部353の直径rとコーンカップ本体2の直径とが一致する箇所で、テーパー面下端部353はコーンカップ本体2を挟持する。このとき、被挟持部より上部の把持部材30A・Bで覆われたコーンカップ本体2の寸法をhとすると、寸法hはコーンカップ本体2の外面の防湿性食品被覆層3を形成する寸法(すなわち、図1,2の幅H)に設定される。そして、コーンカップ本体2の開口部4と把持部材30A(B)の凹部35A(B)内面との間隙をwすると、寸法wは2±1mmとなるように設定されていることが、防湿性食品被覆層3が均一に形成される点で望ましい。
【0025】
すなわち、把持具30で把持されることにより、図7(b)に示すように、防湿性食品3’の被覆層を形成する工程において、コーンカップ本体2の外面は、コーンカップ本体2と把持部材30A、30Bとの間隙wから、噴霧された防湿性食品3’が入り込み、コーンカップ本体2外面の開口部4から寸法hの範囲に、防湿性食品3’が付着する。その結果、コーンカップ本体2の内面全体乃至外面の開口部4から寸法hの範囲にかけて一体的に防湿性食品3’を被覆し得るのである。
【0026】
以上の説明は、被把持部品を円錐形状のコーンカップとした場合であったが、多角錐や多角柱形状などいかなる形状の被把持部品であっても、把持具の凹部を被把持部品の外面形状に略相似する形状とし、凹部の下端に中空部分方向へ傾斜するテーパー面を形成することにより、対応できる。
また、上記実施の形態例として、2つの把持部材30A,30Bを組み合わせて1つの被把持部品を把持する場合を説明したが、把持具は3つ以上の把持部材の組み合わせで構成してもよい。例えば、図8に示すように、把持具300を4つの把持部材300A、300B、300C、300Dの組合せとする等、把持部材の数は限定することなく組み合わせることができる。
【0027】
次に、コーンカップ冷菓製造装置10の説明に戻り、図7(b)に示すように、噴霧装置50は、タンク(図示せず)に防湿性食品3’が充填されており、把持部材30A,Bで把持されたコーンカップ本体2が該噴霧装置50の直下に到達すると、噴霧部(図示せず)から所定量の防湿性食品3’をコーンカップ本体2に向けて噴霧する構成となっている。
なお、上記噴霧装置50に設けられたタンクには、防湿性食品3’の流動性を維持させるために、撹拌羽やスクリューをモーターによって回転させる等の撹拌手段や、保温手段等を任意で設けてもよい。
【0028】
図4に戻り、冷菓生地収容装置60は、フリーザー(図示せず)と連結しており、コーンカップ本体2に防湿性食品被覆層3が形成されたコーンカップ1が該冷菓生地収容装置60の直下に到達すると、供給部65から冷菓生地150をコーンカップ1の開口部4に向けて供給、収容する構成となっている。
【0029】
クーリングトンネル70は、例えばその入り口から出口まで通過する時間は約15分、トンネル内の温度は−30℃〜−40℃に設定されている。なお、冷却条件は、コーンカップ冷菓を冷却しうる程度に適宜設定すればよい。
【0030】
以上の説明は、コーンカップ冷菓の製造装置の一例であるが、コーンカップのみの製造装置は、上記のコーンカップ冷菓製造装置10から冷菓生地収容装置60を省けばよく、また、クーリングトンネル70は任意であり、該クーリングトンネル70以外の防湿性食品被覆層3を固化する装置を設置したり、環境を整えたり等適宜行なえばよい。
【0031】
なお、上記実施形態では、コーンカップ保持手段としてカップホルダー15を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、コーンカップ本体2を開口部4を上方にして保持し得るものであればよい。具体的には、金網等が挙げられる。
また、嵌合穴16の個数も、特に限定するものではなく、単数個でも複数個でもよい。
【0032】
また、搬送手段も同様に、上記実施形態におけるコンベアベルト20に限定されるものではなく、コーンカップ保持手段を搬送し得るものであればよい。具体的には、回転円盤等が挙げられる。
【0033】
同様に、把持機構も、上記実施形態における機構40に限定されるものではなく、把持具30をコーンカップ本体2に着脱し得るものであればよい。具体的には、電動アクチュエータ等が挙げられる。
【0034】
同様に、防湿性食品噴霧手段も、上記実施形態における噴霧装置50に限定されるものではなく、コーンカップ本体2の内面全面乃至外面の特定箇所に防湿性食品3’を噴霧し得るものであればよい。具体的には、定量塗布装置等が挙げられる。
【0035】
同様に、冷菓生地収容手段も、上記実施形態における冷菓生地収容装置60に限定されるものではなく、コーンカップ1に冷菓生地150を収容し得るものであればよい。具体的には、ホッパー充填方式、直接充填方式等が挙げられる。
【0036】
同様に、冷却手段も、上記実施形態におけるクーリングトンネル70に限定されるものではなく、コーンカップ冷菓100を冷却し得るものであればよい。具体的には、冷風式、液体窒素浸漬方式、液体窒素スプレー方式、ブライン硬化方式等が挙げられる。
【0037】
次に、図4のコーンカップ冷菓製造装置10を用いてコーンカップ冷菓を製造する方法の一例を説明する。
まず、コンベアベルト20上のカップホルダー15に、コーンカップ本体2の開口部4を上方に向けた状態で複数個整列させる。コンベアベルト20を駆動させ、上記コーンカップ本体2をS方向に搬送する。
そして、上記コーンカップ本体2を把持機構40まで搬送すると、該把持機構40により把持具30を、コーンカップ開口部周縁に取り付ける。このとき、本発明のコーンカップを製造するには、把持具30のテーパー面下端部353が、コーンカップ本体2外面の開口部4からコーンカップ本体2の長さの4.5〜26%の位置を挟持するように設定する。
引き続き、上記把持具30付きコーンカップ本体2を噴霧装置50の直下までコンベアベルト20で搬送したら、コンベアベルト20の駆動を停止させる。そして、噴霧装置50より防湿性食品3’をコーンカップ本体2の開口部4上方より噴霧、被覆し、コーンカップ本体2内面乃至外面開口部周縁に防湿性食品3’を付着させる。このとき、噴霧する防湿性食品3’の40℃における粘度は、600〜2500cpであることが被覆層形成性及びコーンカップ本体2への付着性の点で好適である。
そして、把持具30を取り外すと、コーンカップ本体2内面全面乃至外面の開口部周縁にかけて防湿性食品被覆層3が形成されたコーンカップ1ができる。
【0038】
その後、コーンカップ1を冷菓生地収容装置60の直下まで搬送し、コンベアベルト20を停止する。そして、該装置60から冷菓生地150を収容させて、コーンカップ冷菓100とする。そして、引き続きクーリングトンネル70まで搬送し、該クーリングトンネル70を通過、冷却させることにより、本発明のコーンカップ冷菓100が得られる。なお、この後引き続き、コーンカップ冷菓を適宜包装材料で密封、包装するようにしてもよい。
【0039】
このようにして得られたコーンカップ冷菓100は、コーンカップ本体2の内面全面乃至外面の開口部4から幅Hの範囲にかけて防湿性食品被覆層3が形成されているので、長期冷凍保存中の冷菓生地150から蒸発する水蒸気や水分によるコーンカップの吸湿を防止できる。
【0040】
なお、上記説明はコーンカップ冷菓の製造方法であるが、コーンカップのみを製造する際には、上記冷菓生地収容工程を省けばよい。また、上記冷却工程の代わりに、冷却以外の防湿性食品被覆層固化工程を設けてもよい。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
【0042】
<実施例1>
[コーンカップ冷菓の調製]
まず、図4に示すコーンカップ冷菓製造装置10の搬送手段であるコンベアベルト20上のコーンカップ保持手段であるホルダー15に、円錐形状で図1の長さTが114mm、12g/個のシュガーコーンタイプのコーンカップ本体2を開口部4を上方にして9個整列して配置した。
次に、コンベアベルト20を方向Sに駆動させ、コーンカップ本体2を把持機構40まで搬送したところで、コーンカップ本体2に図6に示す把持具30を、下端部353がコーンカップ本体2外面の開口部4から寸法hが10mmの部分を挟持するように取り付けた。このときコーンカップ開口部4と把持具30の凹部内面との間隔wは、2mmであった。
次に、コーンカップ本体2を噴霧装置50の直下まで搬送し、噴霧装置50より40℃の粘度が2000cp《BM型粘度計(品温40℃、ローターNo3、30秒、30rpm)で5回測定した平均値》のチョコレート3’をコーンカップ本体2の開口部4上方より噴霧した。
噴霧1秒後に把持具30を取り外すと、コーンカップ本体2の内面全面乃至外面の開口部周縁がチョコレート3’で被覆されたコーンカップ1ができた。このとき、コーンカップ本体2外面開口部周縁に形成されたチョコレートの被覆層3の幅Hは、開口部4から10mm(コーンカップ本体2の長さTの約9%)であった。また、コーンカップ1全体のチョコレート被覆量は約6g/個であった。
次に、上記コーンカップ1を冷菓生地収容手段であるアイスクリーム充填装置60まで搬送し、該装置60からアイスクリーム生地150を収容し、コーンカップ1からアイスクリーム生地150が露出するよう図3のように盛り上げ充填した。
次に、−30℃設定の冷却手段であるクーリングトンネル70を900秒間通過させ、コーンカップ冷菓100を製造し、プラスチックフィルムにて個包装した。
【0043】
<比較例1>
実施例1の把持具30を取り付けず、コーンカップ本体2の外面開口部周縁をチョコレートで被覆しない他は、実施例1と同様にコーンカップにアイスクリーム生地150を収容したコーンカップ冷菓を製造した。
なお、比較例1で得られたコーンカップ冷菓は、コーンカップ本体2の内面全面のみチョコレートが被覆されたコーンカップ冷菓であった。
【0044】
<比較例2>
把持具30の下端部353が、コーンカップ本体2外面の開口部4から寸法hが4.5mmの部分を挟持するように把持具30をコーンカップ本体2に取り付ける他は、実施例1と同様にコーンカップ冷菓を製造した。
なお、比較例2で得られたコーンカップ冷菓は、コーンカップ本体2の内面全面乃至外面の開口部4から寸法hが4.5mm(コーンカップの長さTの約4%)にかけてチョコレートが被覆されたコーンカップ冷菓であった。
【0045】
<比較例3>
把持具30の下端部353が、コーンカップ本体2外面の開口部4から寸法hが35mmの部分を挟持するように把持具30をコーンカップ本体2に取り付ける他は、実施例1と同様にコーンカップ冷菓を製造した。
なお、比較例3で得られたコーンカップ冷菓は、コーンカップ本体2内面全面乃至外面の開口部4から寸法hが35mm(コーンカップの長さTの約31%)にかけてチョコレートが被覆されたコーンカップ冷菓であった。
【0046】
6ヶ月間−20〜−25℃で保存後、専門パネラー20名が上記実施例1および比較例1〜3で得られたコーンカップ冷菓の食感及び風味を評価した。その結果、実施例1のコーンカップ冷菓は6ヶ月という長期保存後でもコーンカップの吸湿、特にコーンカップ開口部周縁の吸湿が防止され、特有のパリパリした食感が保たれていた。また、チョコレートとアイスクリームのバランスがよく、風味良好であった。
これに対し、比較例1及び2のコーンカップ冷菓はコーンカップ開口部周縁が吸湿し、食感はグニャグニャとしており、好ましくなかった。また、アイスクリームの風味が強く、風味のバランスが悪かった。
また、比較例3のコーンカップ冷菓は、吸湿は防止できたが、コーンカップ本体2外面のチョコレート被覆幅が大きかったため、チョコレートの風味が強すぎると同時にアイスクリームの風味が弱すぎて、風味のバランスが悪かった。
【0047】
<比較例4>
特許文献3記載のように、実施例1と同様のコーンカップ本体2の開口部4を下向きに直立させ、チョコレート中にそのまま浸漬して、開口部周縁をチョコレートで被覆(6g/個)した後、コンベアに戻し、コーンカップ冷菓を調製したところ、得られたコーンカップ冷菓は、コーンカップ内面、外面の両面とも開口部4から幅10mmの開口部周縁のみがチョコレート被覆されたコーンカップ冷菓であった。
【0048】
比較例4で得られたコーンカップ冷菓の食感及び風味の評価について、実施例1、比較例1〜3と同様に行った。さらに、生産性について実施例1と比較検討した。
その結果、比較例4のコーンカップ冷菓は、コーンカップ開口部周縁の吸湿は防止されたが、コーンカップ内面のチョコレートが被覆されていない部分は吸湿し、コーンカップ本来のパリパリした食感が得られなかった。また、コーンカップ下方は、アイスクリームの風味のみで、風味のバランスが悪く、また、喫食中にコーンカップ底部のすきまから溶けたアイスクリーム生地が流れ出し、食べにくいものであった。
また、実施例1では従来のコーンカップ冷菓製造と同時間でほぼ同じ生産数量を得ることができたのに対し、比較例4は、コーンカップのチョコレート浸漬工程を追加した分工程数が増え、製造時間の延長が必要で、従来のコーンカップ冷菓製造と比較すると同時間で70〜80%の生産数量を得るに留まった。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明のコーンカップの斜視図
【図2】図1線A−A断面図
【図3】本発明のコーンカップ冷菓の斜視図
【図4】コーンカップ冷菓の製造装置の一例を示す説明図
【図5】把持具の把持機構の一例を示す説明図
【図6】把持具の一例を示す斜視図
【図7】(a)把持具の説明図 (b)防湿性食品噴霧の説明図
【図8】4つの部材の組み合わせで把持具を構成した例を示す説明図
【符号の説明】
【0050】
1 コーンカップ
2 コーンカップ本体
3 防湿性食品被覆層
3’ 防湿性食品
4 開口部
10 コーンカップ冷菓製造装置
15 カップホルダー
16 嵌合穴
20 コンベアベルト
30、300 把持具
35 凹部
36 止め具取り付け孔
40 把持機構
41 水平移動機構
43 ピストン部
45 垂直移動機構
50 噴霧装置
60 冷菓生地収容装置
65 供給部
100 コーンカップ冷菓
150 冷菓生地
350 テーパー面
353 テーパー面下端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷菓生地を収容してコーンカップ冷菓にするためのコーンカップであって、コーンカップ本体内面全面乃至コーンカップ本体外面の開口部からコーンカップ本体の長さの4.5%〜26%の範囲の開口部周縁にかけて、防湿性食品被覆層が形成されてなることを特徴とするコーンカップ。
【請求項2】
防湿性食品被覆層を形成する防湿性食品の40℃における粘度が600〜2500cpである請求項1記載のコーンカップ。
【請求項3】
防湿性食品被覆層を形成する防湿性食品はチョコレートである請求項1又は2記載のコーンカップ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のコーンカップに冷菓生地が収容されたコーンカップ冷菓。
【請求項5】
コーンカップの吸湿防止方法であって、コーンカップ本体内面全面乃至コーンカップ本体外面の開口部からコーンカップ本体の長さの4.5%〜26%の範囲の開口部周縁にかけて、防湿性食品被覆層を形成することを特徴とするコーンカップの吸湿防止方法。
【請求項6】
下記工程を順次備えることを特徴とするコーンカップの製法。
(1)コーンカップ本体の開口部を上方にして保持する工程
(2)上記保持されたコーンカップ本体を、把持具で把持する工程
(3)上記把持具で把持されたコーンカップ本体の開口部の上方から防湿性食品を噴霧し、コーンカップ本体内面全面乃至コーンカップ本体外面の開口部から把持具で把持された開口部周縁にかけて防湿性食品被覆層を形成する工程
(4)上記防湿性食品被覆層が形成されたコーンカップから、把持具を取り外し、防湿性食品被覆層を固化させる工程
【請求項7】
下記工程を順次備えることを特徴とするコーンカップ冷菓の製法。
(1)コーンカップ本体の開口部を上方にして保持する工程
(2)上記保持されたコーンカップ本体を、把持具で把持する工程
(3)上記把持具で把持されたコーンカップ本体の開口部の上方から防湿性食品を噴霧し、コーンカップ本体内面全面乃至コーンカップ本体外面の開口部から把持具で把持された開口部周縁にかけて防湿性食品被覆層を形成する工程
(4)上記防湿性食品被覆層が形成されたコーンカップから、把持具を取り外し、コーンカップに冷菓生地を収容する工程
(5)上記冷菓生地が収容されたコーンカップ冷菓を冷却する工程
【請求項8】
コーンカップ本体の開口部を上方にして保持するコーンカップ保持手段と、
上記保持されたコーンカップ本体を保持手段ごと搬送する搬送手段と、
上記搬送手段により搬送されたコーンカップ本体に把持具を着脱する把持機構と、
上記把持具で把持されたコーンカップ本体の開口部の上方から、コーンカップ本体内面全面乃至コーンカップ本体外面の開口部から把持具で把持された開口部周縁にかけて、防湿性食品を噴霧する防湿性食品噴霧手段と、
上記防湿性食品が噴霧されて防湿性食品被覆層が形成された後、把持具が取り外されたコーンカップに、冷菓生地を収容する冷菓生地収容手段と、
上記冷菓生地が収容されたコーンカップ冷菓を冷却する冷却手段を備えてなることを特徴とするコーンカップ冷菓製造装置。
【請求項9】
被把持部品を把持部材で挟持する把持具であって、
少なくとも一端に凹部を有する2つ以上の把持部材からなり、該把持部材の凹部を対向するように組み合わせたとき、被把持部品の少なくとも一部を覆うことができる中空部分を形成すると共に、該中空部分の形状は被把持部品における被挟持部分の外面形状と略相似形状を成し、かつ、各把持部材の凹部の下端は、上記中空部分方向に傾斜するテーパー面を有し、被把持部品は該テーパー面下端部で挟持されるよう構成されていることを特徴とする把持具。
【請求項10】
被把持部品の被挟持部分から上部と把持部材の凹部内面との間には間隙が形成されてなる請求項9記載の把持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−97540(P2007−97540A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295244(P2005−295244)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(393029974)カネボウフーズ株式会社 (64)
【Fターム(参考)】