説明

コーン用容器

【課題】製造から流通過程において蓋体が外れにくく、かつ蓋体の取り外しを小さな力で行いうるようにする。
【解決手段】容器本体2の本体スカート部6に、蓋体3の蓋体スカート部12に嵌合する外向きの複数の突出部7が互いに空隙8を隔てて設けられ、これら複数の突出部7が内向きに後退S可能とされている。本体スカート部6の外径が全周にわたって均一にされている従来のコーン用容器に比して、本体スカート部6が撓み易くなり、蓋体3の取り外しを小さい力で行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトクリーム、ソーダアイス、ラクトアイス等(以下アイス等という)を容入したコーンを収容する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の容器としては、カップ状の容器本体及びこれに嵌合するカップ状の蓋体を備え、容器本体にコーンを収容し、蓋体でアイス等の外側を覆うものが広く用いられている。
【0003】
容器本体は、筒状の本体胴部の口縁を基部としてその外側に、ほぼ軸方向かつ容器本体の底部側に延在する本体スカート部とを備え、蓋体は、筒状の蓋体胴部の口縁からほぼ軸方向かつ蓋体胴部の延長方向に向けて延在する蓋体スカート部を備えており、蓋体の蓋体スカート部が、容器本体の本体スカート部の外周に嵌合可能にされている。容器本体及び蓋体は、可撓性の樹脂シートから成形される。
【0004】
このようなコーン用容器では、製造から流通過程において蓋体が外れないようにする目的で、容器本体と蓋体との嵌合支持を固くすると、蓋体の取り外し時に大きな力を要するため、嵌合が外れた瞬間の蓋体の運動が大きくなり、取り外し時の蓋体とアイス等との干渉によってアイス等が中途で折れたり、崩れたりするという欠点があった。このため、特許文献1が開示する容器では、容器本体と蓋体との嵌合部の外周面を、シュリンクフィルムで包装するようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−249195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シュリンクフィルムの使用は包装時の加熱を要し、包装の際にアイス等が溶けたり、変質するおそれがあるため、蓋体の取り外しを小さな力で行いうる他の構造が要請されている。
【0007】
そこで本発明の目的は、製造から流通過程において蓋体が外れにくく、かつ蓋体の取り外しを小さな力で行いうる新規な構造の容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコーン用容器は、カップ状の容器本体及びこれに嵌合するカップ状の蓋体を備え、前記容器本体は、その口縁の外側にほぼ軸方向に延在する本体スカート部を備え、前記蓋体は、その口縁にほぼ軸方向に向けて延在する蓋体スカート部を備え、前記蓋体スカート部が前記本体スカート部の外周に嵌合可能にされているコーン用容器であって、
前記本体スカート部には、前記蓋体スカート部に嵌合する外向きの複数の突出部が互いに周方向に空隙を隔てて設けられ、これら複数の突出部が内向きに後退可能とされていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、容器本体の本体スカート部に、蓋体の蓋体スカート部に嵌合する外向きの複数の突出部が互いに空隙を隔てて設けられ、これら複数の突出部が内向きに後退可能とされているので、本体スカート部の外径が全周にわたって均一にされている従来のコーン用容器に比して、本体スカート部が撓み易くなり、蓋体の取り外しを小さい力で行うことができる。
【0010】
好適には、蓋体スカート部には内向きに突出した係合部が設けられ、当該係合部は前記嵌合の際に前記本体スカート部に係合する。この場合には、製造から流通過程において蓋体を外れにくくすることができる。
【0011】
好適には、前記本体スカート部は、前記容器本体の口縁を基部とし且つ軸方向に関し前記容器本体の底部に向かう側に延在する。この場合には、嵌合を円滑にするための本体スカート部のテーパー勾配によって、同時に成形時の型抜き性を良好にすることができる。
【0012】
好適には、前記複数の突出部の間は、内向きに凹陥する可撓リブによって接続されている。この場合には、複数の突出部の間の間隙が可撓リブによって塞がれるので、突出部のエッジの露出量を抑制でき、喫食の際の感触を良好にすることができる。
【0013】
好適には、前記蓋体スカート部は、把持用のタブを有し、当該タブを把持して外側に引くことによって前記複数の突出部の少なくとも1つが後退させられる。この場合には、タブによって開封を容易化でき、また、タブが有ることによってユーザに適切な開封方法を指示することができる。
【0014】
また好適には、前記蓋体はミシン目を有し、前記蓋体スカート部を把持して外側に引くことによって前記蓋体が前記ミシン目に沿って破断可能とされている。この場合には、ミシン目に沿った破断の操作と、蓋体の取り外し操作が同時に行われないので、蓋体の取り外しの際に蓋体に作用する力を更に小さくでき、取り外し時の蓋体とアイス等との干渉を更に効果的に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態について、以下に図面に従って説明する。本発明の実施形態のコーン用容器1(以下適宜「容器1」という)は、図1及び図2に示される容器本体2と、図3及び図4に示される蓋体3とからなる。容器本体2と蓋体3とは両者が不透明であっても、少なくともいずれか一方が透明又は半透明であってもよい。
【0016】
容器本体2及び蓋体3は、シート状のポリスチレン(PS)を真空成形または圧空成形してなる。なお容器本体2及び蓋体3には、他にポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)など、他の種類のシート状の熱可塑性樹脂材料を用いてもよい。
【0017】
図1及び図2において、容器本体2は平面視でほぼ円形のカップ状をなしている。容器本体2は、図2中上方ほど拡径した筒状の本体胴部4、円盤形の底部5、及び本体胴部4の口縁の外側にほぼ軸方向に延在する本体スカート部6を備えている。本体スカート部6は、本体胴部4の口縁を基部とし、且つ軸A方向に関し底部5に近い側に延在している。本体スカート部6には、外径すなわち軸Aからの距離が本体胴部4よりも大きくされた複数の突出部7が、互いに周方向に空隙8を隔てて設けられている。
【0018】
互いに隣接する2つの突出部7の間の空隙8は、V溝状に内向きに凹陥する可撓リブ9によって接続されている。図2に示されるように、軸A方向に関する突出部7の末端の軸方向位置hは、可撓リブ9の末端の軸方向位置と等しくされている。
【0019】
容器本体2が有する可撓性により、各突出部7は開封時に負荷される力によって弾性変形可能とされており、その結果、複数の突出部7の外周面から構成される輪郭は、少なくとも1つの突出部7の内向きの変形によって縮小可能となっている。可撓リブ9の底部と、本体胴部4の外周面との間には、間隙iが設けられており、突出部7の後退の際に可撓リブ9と本体胴部4とが干渉しないようにされている。可撓リブ9の断面形状は、弧状など他の形状でもよい。
【0020】
容器本体2の口縁の近傍には、開口部に向うに従って内径が小さくされたアンダーカット部10が形成されている。このアンダーカット部10によって、複数の容器本体2を保管時等に積み重ねた場合の相互の張り付き(スタック)が抑制される。
【0021】
他方、図3及び図4において、蓋体3は、平面視でほぼ円形のカップ状をなしている。蓋体3は、ほぼ半球形のドーム部11と、当該ドーム部11の口縁にほぼ軸A方向に向けて延在する蓋体スカート部12とを備えている。
【0022】
蓋体スカート部12は、ドーム部11の口縁を基部とし、且つ図4中下側(すなわち、軸方向に関し容器本体2の底部5に近い側)に延在している。
【0023】
蓋体スカート部12には、内向きに突出した複数個の係合部14が、互いに周方向に間隙を置いて設けられている。蓋体スカート部12のうち係合部14を除いた部分の内径は、周方向に均一にされている。なお、本実施形態では複数の係合部14を設けたが、本発明における係合部は周方向に連続した単一のものであってもよい。
【0024】
蓋体3の蓋体スカート部12は、外向きに延在する把持用のタブ15を有する。タブ15の中央部には、多数の滑り止めリブ16が形成されている。蓋体スカート部12の下端部、及びタブ15の周縁部の外周を囲むように、図4中上向きのリップ部17が形成されている。
【0025】
以上のとおり構成された容器1では、図4に示されるように、アイス等Cを容入したコーンDなどの内容物を容器本体2内に収容した状態で、蓋体3を容器本体2に嵌合させる。このとき、蓋体3の蓋体スカート部12の係合部14が、容器本体2の本体スカート部6の突出部7の外周面7aを乗り越えることによって、蓋体スカート部12が本体スカート部6の外周に嵌合する。嵌合時には、本体スカート部6の突出部7の外周面(弧状面)7aは、蓋体スカート部12に対面することになる。
【0026】
開封する際には、図5に示されるように、ユーザが蓋体3のタブ15を把持して矢印P方向に外側に引くと、蓋体3の蓋体スカート部12によって、タブ15の反対側に位置する突出部7が内側(軸Aに近づく方向)に押され、これによって、一部の突出部7が、図中二点鎖線aに示される位置から、内側に向けて矢印S方向に縮小する。
【0027】
これによって、容器本体2に対する蓋体3の矢印P方向への相対移動が許容され、蓋体3の係合部14のうちタブ15の近傍の幾つかが、容器本体2の突出部7と係合を解かれ、係合部14と突出部7との間に、水平方向(径方向)の隙間bが生じる。したがって、この状態からタブ15を上向きに引き上げることにより、蓋体3を容器本体2から容易に取り外すことができる。
【0028】
以上のとおり、本実施形態では、容器本体2の本体スカート部6に、蓋体3の蓋体スカート部12に嵌合する外向きの複数の突出部7が互いに空隙8を隔てて設けられ、これら複数の突出部7が内向きに後退可能とされているので、本体スカート部の外径が全周にわたって均一にされている従来のコーン用容器に比して、本体スカート部6が撓み易くなり、蓋体3の取り外しを小さい力で行うことができる。
【0029】
また本実施形態では、蓋体スカート部12に内向きに突出した係合部14が設けられ、係合部14は嵌合の際に本体スカート部6に係合するので、製造から流通過程において蓋体3を外れにくくすることができる。
【0030】
また本実施形態では、本体スカート部6は、容器本体2の口縁を基部とし且つ軸A方向に関し容器本体2の底部5に向かう側に延在するので、嵌合を円滑にするための本体スカート部6のテーパー勾配(図2において鉛直線Bに対する勾配α)によって、同時に成形時の型抜き性を良好にすることができる。
【0031】
また本実施形態では、複数の突出部7の間が、内向きに凹陥する可撓リブ9によって接続されているので、複数の突出部7の間の間隙が可撓リブ9によって塞がれ、突出部7のエッジの露出量を抑制でき、喫食の際の感触を良好にすることができる。
【0032】
また本実施形態では、蓋体スカート部12は、把持用のタブ15を有し、当該タブ15を把持して外側に引くことによって複数の突出部7の少なくとも1つが後退させられるので、タブ15によって開封を容易化でき、また、タブ15が有ることによってユーザに適切な開封方法を指示することができる。
【0033】
なお、本発明における蓋体は、ミシン目を設けて破断可能としても良い。図6に示される変形例では、蓋体103はその全周にわたるミシン目118を有し、蓋体スカート部106のタブ115を把持して外側に引くことによって、蓋体103がミシン目118に沿って破断可能とされ、且つ破断によってその下側部分119が除去可能とされている。この場合には、ミシン目118に沿った破断の操作と、蓋体103の取り外し操作が同時に行われないので、蓋体103の取り外しの際に蓋体103に作用する力を更に小さくでき、取り外し時の蓋体103とアイス等との干渉を更に効果的に抑制できる。
【0034】
なお、上記実施形態及びその変形例では、シュリンクフィルムを用いずに包装できるという利点があるが、容器1における容器本体2と蓋体3との結合部の外周を、シュリンクフィルムや粘着テープで被覆してもよく、かかる構成も本発明の範疇に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係るコーン用容器の容器本体を示す平面図である。
【図2】図1の容器本体のII−II線断面を示す正面図である。
【図3】蓋体を示す平面図である。
【図4】コーン用容器の仕様状態を示す正面図である。
【図5】コーン用容器から蓋体を取り外す際の作用を示す平面図である。
【図6】変形例のコーン用容器を示す正面図である。
【符号の説明】
【0036】
1,101 コーン用容器
2,102 容器本体
3,103 蓋体
6,106 本体スカート部
7 突出部
7a 外周面
8 空隙
9 可撓リブ
12 蓋体スカート部
14 係合部
15,115 タブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ状の容器本体及びこれに嵌合するカップ状の蓋体を備え、前記容器本体は、その口縁の外側にほぼ軸方向に延在する本体スカート部を備え、前記蓋体は、その口縁にほぼ軸方向に向けて延在する蓋体スカート部を備え、前記蓋体スカート部が前記本体スカート部の外周に嵌合可能にされているコーン用容器であって、
前記本体スカート部には、前記蓋体スカート部に嵌合する外向きの複数の突出部が互いに周方向に空隙を隔てて設けられ、これら複数の突出部が内向きに後退可能とされていることを特徴とするコーン用容器。
【請求項2】
請求項1に記載のコーン用容器であって、
前記蓋体スカート部には内向きに突出した係合部が設けられ、当該係合部は前記嵌合の際に前記本体スカート部に係合することを特徴とするコーン用容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコーン用容器であって、
前記本体スカート部は、前記容器本体の口縁を基部とし且つ軸方向に関し前記容器本体の底部に近い側に延在することを特徴とするコーン用容器。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のコーン用容器であって、
前記複数の突出部の間が、内向きに凹陥する可撓リブによって接続されていることを特徴とするコーン用容器。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のコーン用容器であって、
前記蓋体スカート部は、把持用のタブを有し、当該タブを把持して外側に引くことによって前記複数の突出部の少なくとも1つが後退させられることを特徴とするコーン用容器。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のコーン用容器であって、
前記蓋体はミシン目を有し、前記蓋体スカート部を把持して外側に引くことによって前記蓋体が前記ミシン目に沿って破断可能とされていることを特徴とするコーン用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−296944(P2008−296944A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143655(P2007−143655)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(591007295)厚木プラスチック株式会社 (9)
【Fターム(参考)】