説明

ゴムに使用するための特殊な沈降珪酸

本発明は、極度に僅かな微孔性および高いゴム活性を有する沈降珪酸、その製造法およびゴム混合物のための充填剤としての該沈降珪酸の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極度に僅かな微孔性および高いゴム活性を有する沈降珪酸、その製造法およびゴム混合物のための充填剤としての該沈降珪酸の使用に関する。
【0002】
エラストマー混合物中、例えばタイヤトレッド混合物中での沈降珪酸の使用は、久しく公知である(欧州特許第0501227号明細書)。珪酸を強化充填剤としてゴム混合物中に使用するため、例えばなかんずく空気で充填されたタイヤおよび工業用ゴム製品の製造に使用するためには、高度な要件が課されている。この珪酸は、簡単で良好にゴム中に混入可能であり、かつ分散可能であり、カップリング試薬、有利に二官能価有機珪素化合物と関連してゴムとの化学結合を生じなければならず、この場合この化学結合は、ゴム混合物の達成しようと努力される高度な強化を導かなければならない。この強化特性の根拠として殊に高度な静的張力値および低い摩耗値を挙げることができる。珪酸の強化特性には、殊に粒径、表面形態、表面活性ならびにカップリング試薬の結合能が決定的に重要である。
【0003】
ゴムの使用においては、通常、10〜50nmの一次粒径を有する沈降珪酸が使用される。一次粒径は、例えば透過電子分光分析(TEM)の画像評価により測定されることができる(R.H. Lange, J. Bloedorn: "Das Elktronenmikroskop, TEM + REM" Thieme Verlag, Stuttgart, New York (1981))。小さな窒素分子Nの吸着によって測定された表面積、以下、BET表面積と呼称される、(S. Brunauer, P.H. Emmett, E. Teller, "Adsorption of Gases in Multimolecular Layers", J. Am. Chem. Soc. 60, 309 (1938) 参照)は、典型的には50〜200m/g、有利に110〜180m/gの範囲内にある。ゴムについての通常の表面積は、よりいっそう大きなN−セチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド分子の吸着により測定される表面積、以下、CTAB表面積と呼称される、である(Janzen, Kraus, Rubber Chem. Technol. 44, 1287 (1971)参照)。測定の正確な実施のために、さらに明細書の記載に沿って詳細な記載がなされる。BET表面積とCTAB表面積との差は、以下、微孔性と呼称されることができ、珪酸表面積と表現され、この場合この珪酸表面積は、ゴムにとっては受け入れることができず、したがって強化作用を有することができない。通常、市販の活性珪酸のBET/CTAB比は、1.05を上廻り、このことは、微孔性の相応する高い程度を示す。
【0004】
その上、当業者には、低分子量の化合物、例えば二官能価有機珪素化合物および加硫促進剤が微孔性珪酸の細孔中で物理吸着および化学吸着することができ、それによって機能に関連してゴム付着助剤または加硫促進剤としてゴム架橋のためにもはや影響を及ぼし得ないということは公知である。
【0005】
更に、当業者には、カップリング試薬、通常二官能価有機珪素化合物がS. Wolff, "Chemical Aspects of Rubber Reinforcement by Fillers", Rubber Chem. Technol. 69, 325 (1996)から公知であり、この二官能価有機珪素化合物は、ゴムの作用を有する表面をできるだけ均一に定量的に変性する。変性は、物質中または溶剤/懸濁液中の珪酸の予めの被覆(エクスシチュー法(ex-situ))によって(U. Goerl, R. Panenka, "Silanisierte Kieselsaeuren - Eine neue Produktklasse fuer zeitgemaesse Mischungsentwicklung", Kautsch. Gummi Kunstst. 46, 538 (1993))ならびに混合処理中(インシトゥ(in-situ))に(the ACS Meeting, April 4-6, 2000, Dallas, Texas/USAで発表されたH.-D. Luginsland, "Processing of Silica/Silane-Filled Tread Compounds", paper No. 34 )行なうことができ、この場合インシトゥ(in-situ)での変性は、優先的に、また、通常使用される方法である。従って、ゴムの作用を有する表面の迅速で定量的なシラン化を保証するために、有機珪素化合物の結合を行なうことができる反応性シラノール基で意図的に表面の濃度を増加させることが必要である。珪酸の内部凝集構造は、通常、DBP測定により測定される(J. Behr, G. Schramm, "Ueber die Bestimmung der Oelzahl von Kautschukfuellstoffen mit dem Brabender-Plastographen", Gummi Asbest Kunstst. 19, 912 (1966))。高いDBP数は、ゴム中での充填剤の最適な分散液を保証するために必要とされる。4%を上廻る湿分は、有機珪素化合物で珪酸表面の迅速で完全なシラン化を保証するために必要とされる(U. Goerl, A. Hunsche, A. Mueller, H.G. Koban, "Investigation into the Silica/Silane Reaction System", Rubber Chem. Technol. 70, 608 (1997))。
【0006】
特開平14−179844号公報の記載から、珪酸のBET表面積とCTAB表面積との差が15m/g未満であるような、珪酸とのゴム混合物は、公知である。二官能価有機珪素化合物と比較して高い活性のために必要とされる、シラノール基の数の基準としての高いシアーズ数Vおよびゴム中での極めて良好な分散のために必要とされる高いDBP数は、記載されていない。しかし、2つの数値は、僅かな微孔性と共にゴム混合物の高度な強化基準、ひいては良好なタイヤの磨耗率にとって重要である。
【0007】
珪酸の製造に関連して、当業者には、種々の方法が公知である。即ち、一定のpH値での沈殿は、欧州特許第0937755号明細書中に記載されている。一定の陽イオン過剰量の場合に沈殿された珪酸は、ドイツ連邦共和国特許第10124298号明細書中に開示されている。ドイツ連邦共和国特許出願公開第10112441号明細書A1、欧州特許出願公開第0755899号明細書A2および米国特許第4001379号明細書中には、一定のアルカリ数(AZ数)での沈殿が記載された。
【0008】
ゴムに使用するための珪酸は、一般に沈殿を60〜95℃の温度および7〜10の一定のpH値で行なうような方法により製造される。例えば、欧州特許出願公開第0901986号明細書A1参照。
【0009】
本発明の目的は、エラストマー混合物中に混入することができ、このエラストマー混合物の性質を改善する、新規で簡単に分散可能な沈降珪酸を提供することである。更に、相応する珪酸の製造法も提供されるはずである。
【0010】
従って、本発明の対象は、
CTAB表面積
100〜200m/g、および有利な範囲100〜160m/g、100〜130m/gおよび110〜125m/g、
BET/CTAB比
0.8〜1.05、有利な範囲0.90〜1.03、0.93〜1.03および特に有利に0.96〜1.03、
DBP数
210〜280g/(100g)、有利な範囲250〜280g/(100g)、
シアーズ数V
10〜30ml/(5g)、および有利な範囲20〜30ml/(5g)および21〜28(ml/5g)、
湿分
4〜8%を有することによって特徴付けられた、簡単に分散可能な沈降珪酸である。
【0011】
更に、本発明による沈降珪酸は、次の物理的化学的パラメーター:
BET表面積
80〜210m/g、この場合沈降珪酸は、第1の実施態様で80〜110m/gのBET表面積および第2の実施態様で110〜150m/g、有利に110〜129m/gを有し、
シアーズ数VとBET表面積との比
0.140〜0.370ml/(5m)、および有利な範囲0.150〜0.320ml/(5m)、0.170〜0.320ml/(5m)、0.180〜0.300ml/(5m)、特に有利に0.190〜0.280ml/(5m)および0.190〜0.240ml/(5m)、
一次粒径
10〜50nmの有利に1つ以上を有することができる。
【0012】
1つの好ましい実施態様において、本発明による沈降珪酸は、22〜25ml/(5g)、さらに25〜28ml/(5g)のシアーズ数Vを有する。
【0013】
本発明による沈降珪酸は、シラノール基の高い絶対数(シアーズ数V)と共に、公知技術水準の沈降珪酸と比較して著しく高められた、シアーズ数VとBET表面積との高められた比を有する。即ち、本発明による沈降珪酸は、殊に全表面積に関連してシラノール基の極めて高い数を有する。
【0014】
シラノール基の高められた数と共に、本発明による沈降珪酸は、僅かな微孔性、即ち極めて低いBET/CTAB比を示す。
【0015】
記載された特徴の組合せ、殊に高いシアーズ数V/BET比は、本発明による沈降珪酸がエラストマーのための強化充填剤として卓越して好適であることを生じる。この場合、本発明による沈降珪酸は、高められたゴム活性を示し、極めて良好な分散挙動およびよりっそう短い加硫時間を示す。
【0016】
更に、本発明の対象は、
CTAB表面積
100〜200m/g、および有利な範囲100〜160m/g、100〜130m/gおよび110〜125m/g、
BET/CTAB比
0.8〜1.05、有利な範囲0.90〜1.03、0.93〜1.03および特に有利に0.96〜1.03、
DBP数
210〜280g/(100g)、有利な範囲250〜280g/(100g)、
シアーズ数V
10〜30ml/(5g)、および有利な範囲20〜30ml/(5g)および21〜28(ml/5g)、
湿分
4〜8%
ならびに場合によっては次の物理的化学的パラメーター:
BET表面積
80〜210m/g、この場合沈降珪酸は、第1の実施態様で80〜110m/gのBET表面積および第2の実施態様で110〜150m/g、有利に110〜129m/gを有し、
シアーズ数VとBET表面積との比
0.140〜0.370ml/(5m)、および有利な範囲0.150〜0.320ml/(5m)、0.170〜0.320ml/(5m)、0.180〜0.300ml/(5m)、特に有利に0.190〜0.280ml/(5m)および0.190〜0.240ml/(5m)、
一次粒径
10〜50nmの有利に1つ以上を有する本発明による沈降珪酸の製造に使用されることができ、最初に
a)7〜14のpH値を有するアルカリ金属珪酸塩またはアルカリ土類金属珪酸塩の水溶液および/または有機塩基および/または無機塩基の水溶液を装入し、
b)この装入液に攪拌しながら55〜95℃で10〜120分間、有利に10〜60分間同時に水ガラスおよび酸性化剤を計量供給し、
g)得られた懸濁液を80〜98℃の高い温度で1〜120分間、有利に10〜60分間さらに攪拌し、
h)酸性化剤でpH値を約2.5〜5の酸性にし、
i)濾過し、洗浄し、乾燥させ、場合によっては造粒することによって特徴付けられている方法である。
【0017】
前記装入液は、沈殿の最終体積の約20、30、40、50、60、70、80または90%に達することができる。この装入液に供給される塩基性化合物は、殊にアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩およびアルカリ金属珪酸塩の群から選択されている。好ましくは、水ガラスおよび/または苛性ソーダ液が使用される。装入液のpH値は、7〜14、有利に10〜11である。
【0018】
工程b)中での水ガラスおよび酸性化剤の添加は、反応溶液のpH値を一定に維持するかまたは変動可能であるように留めるようにして行なうことができる。しかし、沈殿を一定のアルカリ数で行なうことも可能である。沈殿を一定のpH値で行なう場合には、このpH値は、有利に7〜11の範囲内にある。一定のアルカリ数での沈殿は、有利に15〜40のアルカリ数で行なわれる。
【0019】
工程b)後、本発明による方法は、
c)温度を維持しながら30〜90分間の供給の停止および
d)引続き場合によっては同じ温度で攪拌しながら20〜120分間、有利に20〜80分間の水ガラスおよび酸性化剤の同時の供給のような2つのまでの照準点を有する。
【0020】
工程b)またはd)に続いて、本発明による方法においては、水ガラスの添加は、停止され、望ましいpH値がなお達成されない場合には、次の工程
e)で酸性化剤をさらに添加して、5〜11、有利に7〜10のpH値が達成されるまで酸性化剤が同じかまたは変更された速度で計量供給される。
【0021】
反応に使用される水ガラスの濃度を変更するために、場合によっては
f)pH値は、他の酸性化剤の添加によって3〜11に調節されることができおよび/またはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩およびアルカリ金属珪酸塩の群からの1つ以上の塩基性化合物の供給によって8〜14、有利に9〜10、特に7〜11の値に上昇させることができる。好ましくは、水ガラスおよび/または苛性ソーダ液が使用される。
【0022】
工程e)での酸性化剤の供給または工程f)での塩基性化合物の供給は、40〜98℃で行なうことができる。好ましくは、供給は、55〜95℃で行なわれ、特に好ましくは、工程b)またはd)のためにも選択された温度で行なわれる。
【0023】
場合によっては、工程d)とe)との間には、もう1つの照準点が組み込まれてもよい。
【0024】
更に、場合によっては工程a)〜h)の1つ以上の間に、有機塩または無機塩の付加的な添加が行なわれてもよい。これは、溶液中でかまたは固体として、それぞれ連続的に水ガラスおよび酸性化剤の添加時間に亘ってかまたはバッチ量の添加として実施されることができる。また、塩を1つの成分中または2つの成分中に溶解し、次に同時に前記成分と一緒に添加することも可能である。
【0025】
無機塩としては、有利にアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が使用される。殊に、次のイオン:
Li、Na、K、Rb、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、H、F、Cl、Br、I、SO2−、SO2−、HSO、PO2−、PO3−、NO、NO−、CO2−、HCO、OH、TiO2−、ZrO2−、ZrO4−、AlO、Al2−、BO3−
の全ての組合せが使用されてもよい。
【0026】
有機塩として蟻酸、酢酸およびプロピオン酸の塩は、適当である。陽イオンとしては、記載されたアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンが挙げられる。添加溶液中での前記塩の濃度は、0.01〜5モル/lである。好ましくは、無機塩としてNaSOが使用される。
【0027】
酸性化剤を工程b)およびd)で同じかまたは異なる方法で、即ち同じかまたは異なる濃度および/または流入速度で供給することは、可能である。
【0028】
また、同様に水ガラスは、工程b)およびd)で同じ方法かまたは異なる方法で反応に供給されてもよい。
【0029】
特殊な実施態様において、工程b)およびd)で成分の酸性化剤および水ガラスは、工程d)の流入速度が工程b)の流入速度の125〜140%であるように供給され、この場合前記成分は、2つの工程でそれぞれ等モルの濃度で使用される。好ましくは、前記成分は、同じ濃度および流入速度で添加される。
【0030】
また、水ガラス(珪酸ナトリウム溶液)と共に、別の珪酸塩、例えば珪酸カリウムまたは珪酸カルシウムが使用されてもよい。酸性化剤としては、硫酸と共に、別の酸性化剤、例えばHCl、HNO、HPOまたはCOが使用されてもよい。
【0031】
本発明による珪酸の濾過および長時間乾燥または短時間乾燥は、当業者に常用のことであり、例えば記載された刊行物から確認することができる。
【0032】
好ましくは、沈殿法による珪酸は、流れ型乾燥機、噴霧乾燥機、棚型乾燥機、ベルト型乾燥機、回転管状乾燥機、フラッシュ乾燥機、回転フラッシュ乾燥機またはノズル塔中で乾燥される。この乾燥変法は、噴霧器、一物質流ノズルもしくは二物質流ノズルまたは組み込まれた流動床を用いての運転を含む。乾燥後、場合によっては粉砕および/または造粒は、シリンダーコンパクター(Walzenkompaktor)で実施されてよい。好ましくは、本発明による沈降珪酸は、乾燥工程または微粉砕または造粒の後に15μm超、殊に80μm超、特に有利に200μm超の平均直径を有する粒子形を有する(ISO 2591−1による測定、1988年12月)。特に好ましくは、本発明による沈降珪酸は、15μm超の平均直径を有する粉末の形または80μm超の平均直径を有する本質的に円形の粒子(マイクロビーズ)の形または1mm以上の平均直径を有する顆粒の形で存在する。
【0033】
更に、本発明の対象は、エラストマー混合物、加硫化可能なゴム混合物および/または他の加硫化物の製造のための、
CTAB表面積
100〜200m/g、および有利な範囲100〜160m/g、100〜130m/gおよび110〜125m/g、
BET/CTAB比
0.8〜1.05、有利な範囲0.90〜1.03、0.93〜1.03および特に有利に0.96〜1.03、
DBP数
210〜280g/(100g)、有利な範囲250〜280g/(100g)、
シアーズ数V
10〜30ml/(5g)、および有利な範囲20〜30ml/(5g)および21〜28(ml/5g)、
湿分
4〜8%
ならびに場合によっては次の物理的化学的パラメーター:
BET表面積
80〜210m/g、この場合沈降珪酸は、第1の実施態様で80〜110m/gのBET表面積および第2の実施態様で110〜150m/g、有利に110〜129m/gを有し、
シアーズ数VとBET表面積との比
0.140〜0.370ml/(5m)、および有利な範囲0.150〜0.320ml/(5m)、0.170〜0.320ml/(5m)、0.180〜0.300ml/(5m)、特に有利に0.190〜0.280ml/(5m)および0.190〜0.240ml/(5m)、
一次粒径
10〜50nmの1つ以上を有する本発明による沈降珪酸の使用である。
【0034】
従って、本発明のもう1つの対象は、本発明による珪酸を含有するエラストマー混合物、加硫化可能なゴム混合物および/または他の加硫化物、例えば成形体、例えば空気タイヤ、タイヤトレッド、ケーブル外被、チューブ、駆動ベルト、ベルトコンベヤー、ロール被覆、タイヤ、靴底、パッキンリングおよび緩衝部材である。
【0035】
更に、本発明による珪酸は、通常、珪酸が使用されるような全ての使用分野、例えばバッテリー分離板へ、粘着防止剤として、着色剤および塗料中の艶消剤として、農業用製品および栄養剤の担持剤として、被覆へ、印刷用インキへ、消化粉末へ、プラスチックへ、非インパクトプリンティングの範囲へ、紙料へ、パーソナルケアの範囲へおよび特殊な使用へ使用されてよい。非インパクトプリンティングの範囲、例えばインクジェット法への使用は、
濃稠化のためまたは噴霧および貯蔵を回避するための印刷インキへの本発明による珪酸の使用、
印刷インキの滲みを回避し、輪郭視認性(Bildgrundruhe)およびコントラストを改善し、ドットの鮮鋭度および色の明度を改善する熱昇華のための、充填剤としての紙、塗工顔料、トレーシングペーパー(LIchtpauspapier)、熱転写用紙への本発明による珪酸の使用である。
【0036】
パーソナルケアの範囲の使用は、例えば薬学またはボディーケアの範囲の充填剤または濃稠化剤としての本発明による珪酸の使用である。
【0037】
場合によっては、本発明による珪酸は、式I〜III:
[SiR(RO)(Alk)(Ar)][B] (I)、
SiR(RO)3−n(アルキル) (II)、または
SiR(RO)3−n(アルケニル) (III)
〔上記式中、
Bは、−SCN、−SH、−Cl、−NH、−OC(O)CHCH、−OC(O)CCH)CH(qが1である場合)または−S−(qが2である場合)を表わし、この場合Bは、化学的にAlkに結合しており、
RおよびRは、場合によっては次の基:ヒドロキシ基、アミノ基、アルコラート基、シアン化物基、チオシアン化物基、ハロゲン基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、チオール基、安息香酸基、安息香酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、アクリレート基、メタクリレート基、オルガノシラン基で置換されていてよい、2〜30個のC原子を有する脂肪族基、オレフィン系基、芳香族基またはアリール芳香族基を表わし、この場合RおよびRは、同一かまたは異なる意味を有していてよいし、同一かまたは異なる置換基を有していてよく、
nは、0、1または2であり、
Alkは、1〜6個の炭素原子を有する2価の非分枝鎖状または分枝鎖状炭化水素基を表わし、
mは、0または1であり、
Arは、次の置換基:ヒドロキシ基、アミノ基、アルコラート基、シアン化物基、チオシアン化物基、ハロゲン基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、チオール基、安息香酸基、安息香酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、オルガノシラン基で置換されていてよい6〜12個のC原子、有利に6個のC原子を有するアリール基を表わし、
pは、0または1であり、但し、この場合pとnは、同時には0を意味しないものとし、
qは、1または2であり、
wは、2〜8の数であり、
rは、1、2または3であり、但し、この場合r+n+m+pは、4であるものとし、
アルキルは、1〜20個の炭素原子、有利に2〜8個の炭素原子を有する1価の非分枝鎖状または分枝鎖状の飽和炭化水素を表わし、
アルケニルは、2〜20個の炭素原子、有利に2〜8個の炭素原子を有する1価の非分枝鎖状または分枝鎖状の不飽和炭化水素を表わす〕で示されるシランまたはオルガノシランで変性されていてよい。
【0038】
また、本発明による珪酸は、組成式:
SiR4−n(この場合、nは、1、2、3、4である)、
[SiRO](この場合、xは、0以上、2以下であり、yは、0以上、2以下であり、zは、3以上、10以下であり、但し、この場合、x+yは、2である)、
[SiRN](この場合、xは、0以上、2以下であり、yは、0以上、2以下であり、zは、3以上、10以下であり、但し、この場合、x+yは、2である)、
SiROSiR(この場合、nは、0以上、3以下であり、mは、0以上、3以下であり、oは、0以上、3以下であり、pは、0以上、3以下であり、但し、この場合、n+mは、3であり、o+pは、3である)、
SiRNSiR(この場合、nは、0以上、3以下であり、mは、0以上、3以下であり、oは、0以上、3以下であり、pは、0以上、3以下であり、但し、この場合、n+mは、3であり、o+pは、3である)、
SiR[SiRO]SiR(この場合、nは、0以上、3以下であり、mは、0以上、3以下であり、xは、0以上、2以下であり、yは、0以上、2以下であり、oは、0以上、3以下であり、pは、0以上、3以下であり、zは、1以上、10000以下であり、但し、この場合、n+mは、3であり、x+yは、2であり、o+pは、3である)で示される珪素有機化合物で変性されていてよい。この化合物は、直鎖状シラン化合物、環式シラン化合物および分枝鎖状シラン化合物、直鎖状シラザン化合物、環式シラザン化合物および分枝鎖状シラザン化合物ならびに直鎖状シロキサン化合物、環式シロキサン化合物および分枝鎖状シロキサン化合物である。Rは、1〜20個の炭素原子を有する置換されたアルキル基および/またはアリール基および/または置換されていないアルキル基および/またはアリール基であり、これらの基は、官能性基、例えばヒドロキシ基、アミノ基、ポリエーテル基、例えば酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンおよびハロゲン化物基、例えばフッ化物で置換されていてよい。また、Rは、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基およびアリール基ならびに硫黄含有基のような基を含有していてもよい。Xは、シラノール基、アミノ基、チオール基、ハロゲン基、アルコキシ基、アルケニル基および水素基であることができる。
【0039】
好ましくは、組成式:SiR[SiRO]SiR(この場合、nは、0以上、3以下であり、mは、0以上、3以下であり、xは、0以上、2以下であり、yは、0以上、2以下であり、oは、0以上、3以下であり、pは、0以上、3以下であり、zは、1以上、10000以下であり、但し、この場合、n+mは、3であり、x+yは、2であり、o+pは、3である)で示される直鎖状ポリシロキサンが使用され、この場合Rは、有利にメチルによって表わされる。
【0040】
特に好ましくは、組成式:SiR[SiRO]SiR(この場合、nは、0以上、3以下であり、mは、0以上、1以下であり、xは、0以上、2以下であり、yは、0以上、2以下であり、oは、0以上、3以下であり、pは、0以上、1以下であり、zは、1以上、1000以下であり、但し、この場合、n+mは、3であり、x+yは、2であり、o+pは、3である)で示されるポリシロキサンが使用され、この場合Rは、有利にメチルによって表わされる。
【0041】
場合によっては造粒されたか、非造粒であるか、微粉砕されたか、および/または微粉砕されていない沈降珪酸は、沈降珪酸100部に対して0.5〜50部、殊に沈降珪酸100部に対して1〜15部の混合物の記載された1つ以上のオルガノシランで変性され、この場合沈降珪酸とオルガノシランとの反応は、混合物の製造中に(インシトゥ(in-situ)で)かまたはそれ以外に該混合物の噴霧および引続く熱処理、オルガノシランと珪酸懸濁液との混合および引続く乾燥および熱処理によって実施されることができる(例えば、ドイツ連邦共和国特許第3437473号明細書およびドイツ連邦共和国特許第19609619号明細書)かまたはドイツ連邦共和国特許第19609619号明細書またはドイツ連邦共和国特許第4004781号明細書に記載された方法により実施されることができる。
【0042】
有機珪素化合物としては、原則的に一面でシラノール基含有充填剤へのカップリングを実現させることができ、他面、ポリマーへのカップリングを実現させることができる全ての二官能価シランが適している。有機珪素化合物の通常使用される量は、沈降珪酸の全体量に対して1〜10質量%である。
【0043】
前記の有機珪素化合物の例は、次の通りである:
ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン。他の有機珪素化合物は、WO 99/09036、欧州特許第1108231号明細書、ドイツ連邦共和国特許第10137809号明細書、ドイツ連邦共和国特許第10163945号明細書、ドイツ連邦共和国特許第10223658号明細書中に記載されている。
【0044】
本発明の1つの好ましい実施態様において、シランとしてビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファンが使用されうる。
【0045】
本発明による珪酸は、エラストマー混合物、タイヤまたは加硫化可能なゴム混合物中に強化充填剤としてゴム100部に対して5〜200部の量で粉末、球状製品または顆粒として、シラン変性剤と一緒にならびにシラン変性剤なしに混入されることができる。ゴム混合物およびエラストマー混合物は、本発明の範囲内で等量とみなすことができる。
【0046】
珪酸表面上のシラノール基は、ゴム混合物中または天然ゴム混合物中で可能な化学的反応成分としてカップリング試薬と一緒に機能する。このカップリング試薬は、例えばゴムマトリックス上への珪酸の結合を可能にする二官能価シラン、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファンである。即ち、できるだけ大きい数のシラノール基によって、珪酸とカップリング試薬とのカップリングの高い確率が達成され、それによってゴムマトリックス上への珪酸の結合の高い確率が達成され、このことは、最終的によりいっそう高い強化潜在性を導く。シアーズ数Vは、珪酸のシラノール基数を記載するための1つの基準であり、一方、珪酸のBET表面積は、この珪酸の比表面積であり、この場合この比表面積は、化合物の加工挙動および別のゴム工業的性質に対して大きな影響を及ぼす。しかし、シラノール基の絶対数の記載は、沈降珪酸を十分に特性決定するためには十分ではない。それというのも、高い表面積を有する沈降珪酸は、一般に低い表面積を有する沈降珪酸よりも高い絶対数のシラノール基を有しているからである。従って、シアーズ数V/BETからの商は、重要である。即ち、シラノール基によって発生される強化潜在性は、導入された比表面積単位について表記することができる。
【0047】
専ら本発明による珪酸を充填剤としての記載されたオルガノシランを有するかまたは有しないで含有する混合物と共に、エラストマー混合物またはゴム混合物は、付加的に1つ以上の多少とも強化する充填剤で充填されていてよい。
【0048】
他の充填剤としては、次の材料を使用することができる:
カーボンブラック:この場合に使用することができるカーボンブラックは、フレームカーボンブラック法、ファーネスカーボンブラック法またはガスカーボンブラック法により製造されており、20〜200m/gのBET表面積を有する、例えばSAFカーボンブラック、ISAFカーボンブラック、HSAFカーボンブラック、HAFカーボンブラック、FEFカーボンブラックまたはGPFカーボンブラックである。前記カーボンブラックは、場合によってはヘテロ原子、例えば珪素を含有していてもよい。
例えば、珪素ハロゲン化物の焔内加水分解によって製造された高分散性熱分解法珪酸。この珪酸は、場合によっては別の金属酸化物、例えばAl酸化物、Mg酸化物、Ca酸化物、Ba酸化物、Zn酸化物および酸化チタンとの混合酸化物として存在していてもよい。
他の商業的珪酸。
20〜400m/gのBET表面積および10〜400nmの一次粒径を有する合成珪酸、例えば珪酸アルミニウム、アルカリ土類金属珪酸塩、例えば珪酸マグネシウムまたは珪酸カルシウム。
合成または天然の酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウム。
天然の珪酸塩、例えばカオリン、別の天然に由来する二酸化珪素化合物。
ガラス繊維およびガラス繊維製品(マット、ストランド)または微細なガラス玉。
澱粉および変性された澱粉型。
天然充填剤、例えばクレーおよび珪酸白亜。
【0049】
また、この場合、混合比は、オルガノシランの計量供給の場合と同様に、完成されたゴム混合物の達成すべき特性プロフィールにより左右される。本発明による珪酸と上記の別の記載された充填剤(ならびに混合物)との5〜95%の比は、考慮することができ、前記範囲内でも実現される。
【0050】
特に好ましい実施態様において、場合によってはそれぞれゴム100質量部に対してカーボンブラック0〜100質量部ならびに有機珪素化合物1〜10質量部と一緒に、全部または部分的に本発明による珪酸からなる珪酸10〜150質量部は、前記混合物の製造に使用されてよい。
【0051】
本発明による珪酸、オルガノシランおよび別の充填剤と共に、エラストマーは、ゴム混合物の他の重要な成分を形成する。この場合には、単独のポリマーとしてかまたは別のゴム、例えば天然ゴム、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、殊に溶液重合法により製造された、1〜60質量%、有利に2〜50質量%のスチレン含量を有するスチレン/ブタジエンコポリマー(SBR)、ブチルゴム、イソブチレン/イソプレンコポリマー(IIR)、5〜60質量%、有利に10〜50質量%のアクリルニトリル含量を有するブタジエン/アクリルニトリルコポリマー(NBR)、部分水素化されたかまたは完全に水素化されたNBRゴム(HNBR)、エチレン/プロピレン/ジエンコポリマー(EPDM)ならびに前記ゴムの混合物との混合物(配合物)として、油で希釈されているかまたは希釈されていない天然および合成のエラストマーを挙げることができるであろう。
【0052】
更に、記載されたゴムとのゴム混合物のためには、次の付加的なゴムがこれに該当する:カルボキシゴム、エポキシゴム、トランスポリペンテナマー、ハロゲン化されたブチルゴム、2−クロロ−ブタジエン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−プロピレンコポリマーからのゴム、場合によっては天然ゴムの化学的誘導体ならびに変性された天然ゴム。
【0053】
好ましい合成ゴムは、例えばW. Hofmann, "Kautschuktechnologie", Genter Verlag, Stuttgart 1980に記載されている。
【0054】
本発明によるタイヤの製造には、殊に−50℃を上廻るガラス転移温度を有する、アニオン重合されたLSBRゴム(溶液SBR)ならびにこのLSBRゴムとジエンゴムとの混合物が重要である。
【0055】
本発明による珪酸は、シランを用いてかまたは用いずに、全てのゴムの用途、例えば成形体、空気タイヤ、タイヤトレッド、輸送ベルト、ベルトコンベヤー、パッキンリング、駆動ベルト、チューブ、靴底、ケーブル外被、ロール被覆、緩衝部材等に使用されてよい。
【0056】
前記珪酸の混入および前記珪酸を含有する混合物の製造は、ゴム工業で通常の方法で内部混合機またはローリングミル上で有利に80〜200℃で行なわれる。珪酸の供給形または使用形は、粉末、球状製品または顆粒として生じることができる。また、この場合、本発明による珪酸は、公知の明るい充填剤とは区別されない。
【0057】
本発明によるゴム加硫物は、他のゴム助剤、例えば反応促進剤、老化防止剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン安定剤、加工助剤、可塑剤、粘着剤、発泡剤、染料、顔料、ロウ、希釈剤、有機酸、遅延剤、金属酸化物ならびに活性剤、例えばトリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオールを通常の計量供給物中に含有することができる。前記化合物は、ゴム工業において公知である。
【0058】
ゴム助剤は、なかんずく使用目的により左右される公知の量で使用されてよい。通常の量は、例えば使用されるゴムに対して0.1〜50質量%の量である。架橋剤としては、硫黄または硫黄を供与する物質が使用される。更に、本発明によるゴム混合物は、加硫促進剤を含有することができる。適当な主要促進剤の例は、0.5〜3質量%の量のメルカプトベンズチアゾール、スルフェンアミド、チウラム、ジチオカルバメートである。共促進剤(Cobeschleuniger)の例は、0.5〜5質量%の量のグアニジン、チオ尿素およびチオカルボネートである。硫黄は、通常、使用されるゴムに対して0.1〜10質量%、有利に1〜3質量%の量で使用されてよい。
【0059】
本発明による珪酸は、促進剤および/または硫黄で、しかも過酸化物で架橋可能であるゴム中で使用されてよい。
【0060】
本発明によるゴム混合物の加硫は、100〜200℃、有利に130〜180℃の温度で場合によっては10〜200バールの圧力で行なうことができる。ゴムと充填剤、場合によってはゴム助剤および有機珪素化合物との混合は、公知の混合装置中、例えばロール、内部混合機および混合押出機中で実施されてよい。
【0061】
本発明によるゴム混合物は、成形体の製造、例えば空気タイヤ、夏用タイヤ、冬用タイヤおよび全季節用タイヤのタイヤトレッド、乗用車(PKW)用タイヤ、輸送用車両のタイヤ、オートバイのタイヤ、タイヤ下部構造部材、ケーブル外被、チューブ、駆動ベルト、ベルトコンベヤー、ロール被覆、靴底、パッキンリングおよび緩衝部材の製造に適している。
【0062】
本発明による珪酸は、該珪酸が高分散性であり、ゴム加硫物の僅かな微孔性のためにゴム加硫物に高いゴム活性を備えさせ、それによって高い強度を付与するという利点を有する。
【0063】
更に、公知技術水準による珪酸と同じゴム混合物と比較して、本発明による珪酸は、加硫時間における利点を示す。
【0064】
本発明によるゴム混合物は、殊に乗用車のタイヤトレッドおよびオートバイのタイヤトレッドの製造に適しており、また、良好な磨耗抵抗の際に低減された転がり抵抗および良好な冬期適性を有する輸送用車両のタイヤトレッドの製造に適している。
【0065】
更に、本発明によるゴム混合物は、有機珪素化合物の添加なしに典型的なタイヤトレッド用カーボンブラックとの配合物で建設機械用タイヤ、農業機械用タイヤおよび鉱山機械用タイヤのカット・アンド・チップ(Cut & Chip)挙動の改善にも適している(定義および他の詳細は、Dr. W. NiedermeierのTire Tech 2003 Hamburgに記載された"New insights into the tear mechanism"およびその中の参考文献参照)。
【0066】
本発明による沈降珪酸の反応条件および物理的/化学的データは、次の方法により測定される:
珪酸の湿分の測定
前記方法により、ISO 787−2に関連して、珪酸の揮発性含量(以下、簡略化のために湿分と呼ぶ)は、105℃で2時間の乾燥後に測定される。この乾燥損失は、一般に主に湿度(Wasserfeuchtigkeit)からなる。
【0067】
実施
研磨された蓋を有する乾燥された目盛付きフラスコ(直径8cm、高さ3cm)中に粉末状、球状または顆粒の珪酸10gを0.1mgで正確に計量供給する(計量供給量E)。蓋を開いた際に、試料を105±2℃で2時間乾燥する。引続き、目盛付きフラスコを閉じ、デシケーター中で乾燥剤としてのシリカゲルで室温に乾燥する。検定量Aを質量測定により測定する。
【0068】
%での湿分を((E g − A g)*100%)/(E g)により測定する。
【0069】
珪酸の変更されたシアーズ数の測定
pH6〜pH9の範囲内の水酸化カリウム溶液を用いての珪酸の滴定によって、変更されたシアーズ数(以下、シアーズ数Vと呼ぶ)は、遊離ヒドロキシ基の数に関する基準として定めることができる。
【0070】
測定法は、次の化学反応を基礎とし、この場合”Si”−OHは、珪酸のシラノール基を符号化したものである:
”Si”−OH + NaCl → ”Si”−ONa + HCl
HCl + KOH → KCl + HO。
【0071】
実施
湿分5±1%を有する粉末状、球状または顆粒の珪酸10.00gをIKA−汎用ミルM 20(550W;20000r.p.m.)を用いて60秒間微粉砕する。場合によっては、出発物質の湿分含量は、乾燥箱中での105℃での乾燥によってかまたは均一な湿潤によって調節されなければならず、微粉砕を繰り返さなければならない。こうして処理された珪酸2.50gを室温で250mlの滴定容器中で計量供給し、処理ごとにメタノール60.0mlを添加する。試料を完全に湿潤させた後に、脱イオン水40.0mlを添加し、ウルトラターラックス(Uitra Turrax)T 25撹拌機(攪拌軸KV−18G、直径18mm)を用いて18000r.p.m.の回転数で30秒間分散させる。脱イオン水100mlを用いて、容器縁部および撹拌機に付着する試料粒子を懸濁液中に洗浄除去し、恒温水浴中で25℃で温度処理する。
【0072】
pH測定器(Knick, 型:温度センサーを備えた766 Ph-Meter Calimatic)およびpH電極(Schott社のワンロッド測定ユニット(Einstabmesslkette)、型N7680)を緩衝溶液(pH7.00および9.00)を使用しながら室温で較正する。pH測定器を用いて、最初に懸濁液の出発pH値を25℃で測定し、その後に結果に応じて、水酸化カリウム溶液(0.1モル/l)または塩酸溶液(0.1モル/l)でpH値を6.00に調節する。pH6.00までのmlでのKOH溶液またはHCl溶液の消費量は、V′に相当する。
【0073】
その後に、塩化ナトリウム溶液20.0ml(処理ごとにNaCl250.00gを脱イオン水で1 lになるまで満たす)を供給する。次に、KOH0.1モル/lを用いて、pH値が9.00になるまで滴定を継続させる。pH9.00までのmlでのKOH溶液の消費量は、V′に相当する。
【0074】
引続き、体積V′またはV′を最初に1gの理論的な計量供給量に規格化し、5で拡大し、それからVおよびシアーズ数Vをml/(5g)の単位で生じる。
【0075】
BET表面積の測定
粉末状、球状または顆粒の珪酸の窒素により比表面積(以下、BET表面積と呼ぶ)をISO 5794−1/Annex Dの記載によりAREA計器(Stroehlein社、JUWE)を用いて測定する。
【0076】
CTAB表面積の測定
この方法は、ASTM3765またはNFT45−007(第5.12.1.3章)に関連して、珪酸の”外側”表面上でのCTAB(N−ヘキサデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド)の吸着に基づき、この場合この表面は、”ゴムに対して作用する表面”とも呼ばれる。CTABの吸着は、水溶液中で攪拌しながら超音波処理下に行なわれる。過剰量の吸着されなかったCTABをNDSS(ジオクチルナトリウムスルホスクシネート溶液、”エーロゾル(Aerosol)OT”溶液)を用いての再滴定によってチトロプロセッサー(Titroprozessor)で測定し、この場合終点は、溶液の混濁の最大によって定められており、フォトトローデ(Phototrode)で測定される。実施される全ての操作中の温度は、CTABの晶出を阻止するために23〜25℃である。再滴定は、次の反応方程式に基づく:
(C20H37O)SONa + BrN(CH)(C16H33) →
NDSS CTAB
(C20H37O)SON(CH)(C16H33)+NaBr
装置
それぞれpH電極、工業製品Mettler, 型DG 111およびフォトトローデ(Phototrode)を備えた、チトロプロセッサー(Titroprozessor)METTLER トレド(Toledo)型DL 55およびチトロプロセッサー(Titroprozessor)METTLER トレド(Toledo)型DL 70、
工業製品Mettler, 型DP 550、
ポリプロピレンからなる滴定容器100ml、
蓋を有する滴定フラスコ、150ml、
圧力濾過装置、内容積100ml、
硝酸セルロースからなるメンブランフィルター、孔径0.1μm、47mmφ、例えばWhatman(注文番号7181-004)。
【0077】
試薬
CTAB(脱イオン水中で0.015モル/l)およびNDSS(脱イオン水中で0.00423モル/l)の溶液を直ちに使用可能であるように購入し(Kraft社, Duisburg: 注文番号6056.4700 CTAB溶液0.015モル/l;注文番号6057.4700 NDSS溶液0.00423モル/l)、25℃で貯蔵し、1ヶ月間で使用する。
【0078】
実施
空試験の滴定
CTAB溶液5mlを滴定するためのNDSS溶液の消費量は、1日1回全ての測定順序に対して試験することができる。そのために、フォトトローデ(Phototrode)を滴定の開始前に1000±20mVに調節する(100%の透明度に相当する)。
【0079】
CTAB溶液正確に5.00mlを滴定容器にピペットで注入し、脱塩水50.0mlを添加する。攪拌しながらNDSS溶液を用いての滴定を、当業者に常用の測定方法によりチトロプロセッサー(Titroprozessor)DL55で溶液の混濁が最大になるまで行なう。mlでのNDSS溶液に対する消費量Vを測定する。全ての滴定は、3回の測定として実施することができる。
【0080】
吸着
5±2%の湿分含量を有する粉末状、球状または顆粒の珪酸10.0g(場合によっては湿分含量を乾燥箱中での105℃での乾燥または均一な湿潤化によって調節する)をミル(Krups, モデルKM75、製品番号2030-70)で30秒間微粉砕する。微粉砕された試料正確に500.0mgを、電磁攪拌小棒を備えた滴定容器150ml中に移し、CTAB溶液正確に100.0mlを供給する。この滴定容器を蓋で閉じ、電磁撹拌機で15分間攪拌する。疎水性珪酸をウルトラターラックス(Uitra Turrax)T25撹拌機(攪拌軸KV−18G、直径18mm)で18000r.p.m.で完全に湿潤するまで最大1分間攪拌する。滴定容器をチトロプロセッサー(Titroprozessor)DL70上にねじ止めし、懸濁液のpH値をKOH(0.1モル/l)で9±0.05の値に調節する。滴定容器中の懸濁液を超音波浴(Bandelin, Sonorex RK 106 S, 35kHz)中で25℃で4分間超音波に暴露する。引続き、即座の圧力濾過をメンブランフィルターを通して1.2バールの窒素圧力で行なう。5mlの前濾液を廃棄する。
【0081】
滴定
残りの濾液5.00mlを100mlの滴定容器中にピペットで注入し、脱イオン水で50.00mlになるまで満たす。滴定容器をチトロプロセッサー(Titroprozessor)DL55上にねじ止めし、攪拌しながら滴定をNDSS溶液で混濁が最大になるまで行なう。mlでのNDSS溶液に対する消費量VIIを測定する。全ての混濁は、3回の測定として実施することができる。
【0082】
計算
測定値
=空試験試料の滴定の際のmlでのNDSS溶液の消費量
II =濾液を使用した際のNDSS溶液の消費量
により、
/VII =空試験試料の物質量CTAB/濾液試料中になお存在する物質量CTABが判明する。
【0083】
そのことから、gでのCTAB上に吸着された物質量Nについては、次のことが判明する:
N=((V−VII)*5.5g*5ml)/(V*1000ml)。
【0084】
濾液100mlから5mlのみを滴定したので、定義された湿分の珪酸0.5gを使用し、CTAB1gの場所の需要は、578435*10−3であり、次式から明らかである:
CTAB表面積(水で修正されていない)m/g=(N*20*578.435m/g)/(0.5g)および
CTAB表面積(水で修正されていない)m/g=(V−VII)*636.2785m/g)/V
【0085】
CTAB表面積は、無水珪酸に関連し、そのために次の訂正が実施される。
/gでのCTAB表面積=(CTAB表面積(水で修正されていない)m/g*100%)/(100%−湿分%)。
【0086】
沈降珪酸の吸収能の1つの基準であるDBP吸収率(DBP数)を規格DIN53601に関連して次のように測定する:
実施
湿分含量0〜10%を有する粉末状または球状の珪酸12.50g(場合によっては、湿分含量を乾燥箱中で105℃で乾燥することによって調節する)をブラベンダー−アブソルプトメーター(Brabender-Absorptometer)”E”の混練室(製品番号279061)中に供給する(回転モーメント供給装置(Drehnomentaufnehmer)の出発フィルターの蒸発なしに)。顆粒の場合には、3.15〜1mmの篩分け画分(Retsch社の特殊鋼製篩)を使用する(3.15mmの目開きを有する篩を通してのプラスチックスパチュラを用いての顆粒の温和な圧縮による)。数時間混合しながら(混練機羽根の回転速度125r.p.m.)、室温で”ドシメートブラベンダー(Dosimaten Brabender)”T90/50によってジブチルフタレートを4ml/分の速度で混合物中に滴加する。混入は、僅かな力需要でのみ行なわれ、デジタル表示装置につき追跡される。測定の終結時に、混合物は、ペースト状になり、このことは、力需要の急勾配の上昇により表示される。600ディジット(0.6Nmの回転モーメント)が表示された場合には、電気的接点によって混練機ならびにDBP計量供給部のスイッチは切られる。DBP供給のための同期電動機は、自動計数器と結合されており、したがってmlでのDBPの消費量は、読み取ることができる。
【0087】
評価
DBP吸収率は、g/(100g)で記載され、次の式につき測定されたDBP消費量から計算される。DBPの密度は、典型的には20℃で1.047g/mlである。
【0088】
DBP吸収率g/(100g)=((DBPの消費量ml)*(DBPの密度g/ml)*100)/(12.5g)。
【0089】
DBP吸収率は、乾燥された無水珪酸について定義されている。湿った沈降珪酸を使用する場合には、値は、次の補正表によって補正することができる。含水量に相当する補正値は、実験により測定されたDBP値に加算され、例えば5.8%の含水量は、DBP吸収率に関連して33g/(100g)の上乗せ分を意味する。
【0090】
【表1】

【0091】
pH値の測定
DIN EN ISO 787−9に関連する方法は、珪酸の水性懸濁液のpH値を20℃で測定するために使用される。そのために、試験すべき試料の水性懸濁液が製造される。この懸濁液を短時間振盪した後、この懸濁液のpH値を先に較正されたpH計器により測定する。
【0092】
実施
pH測定の実施前に、pH測定装置(Schott社のワンロッド測定ユニット(Einstabmesslkette)、型N7680)を毎日、緩衝溶液を使用しながら20℃で較正することができる。較正関数は、使用される2つの緩衝溶液が試料の予想されるpH値を含むように選択することができる(pH4.00および7.00、pH7.00およびpH9.00ならびに場合によってはpH7.00および12.00を有する緩衝溶液)。顆粒を使用する場合には、最初に珪酸20.0gをミル(Krups社、型KM 75、製品番号2030-70)により20秒間微粉砕する。
【0093】
湿分含量5±1%(場合によっては、湿分含量は、乾燥箱中で105℃で乾燥するかまたは均一に湿潤させることによって、場合による微粉砕前に調節される)を有する粉末状または球状の珪酸5.00gを、精密天秤上で0.01gで正確に先に正味質量を分銅によって補正した広口瓶中に計量供給する。脱イオン水95.0mlを試料に供給する。引続き、この懸濁液を閉じた容器中で5分間、振盪装置(Gerhardt, Modell LS10, 55W, 段階7)により室温で振盪させる。pH値は、この振盪装置の直後に測定される。そのために、電極を最初に脱イオン水で、次に懸濁液の一部分ですすぎ洗いし、引続き懸濁液中に浸漬する。前記懸濁液中にマグネットフィッシュ(Magnetfisch)を添加した後、一定の攪拌速度で懸濁液の弱い渦巻き流の形成を伴ないながらpH測定を実施する。pH計器が不変の値を表示した際に、pH値を表示装置から読み取る。
【0094】
疎水性珪酸を使用しながら同様に実施するが、しかし、湿分含量5±1%を有する、場合によっては微粉砕された試料5.00gを精密天秤上で0.01gで正確に先に正味質量を分銅によって補正した広口瓶中に計量供給する。処理ごとにメタノール50.0mlおよび脱イオン水50.0mlを添加し、引続き懸濁液を閉じた容器中で5分間、振盪装置(Gerhardt, Modell LS10, 55W, 段階7)により室温で振盪させる。pH値は、同様に攪拌しながらではあるが、しかし、正確に5分後に測定される。
【0095】
フィルターケーキの固体含量の測定
この方法によれば、フィルターケーキの固体含量を揮発性含量の除去によって105℃で測定する。
【0096】
実施
正味質量を分銅によって補正した、乾燥した陶磁器製シャーレ(直径20cm)中にフィルターケーキ100.00gを計量供給する(計量供給量E)。場合によっては、フィルターケーキをスパチュラで微粉砕し、最大1cmの脆い団塊を得ることができる。この試料を105±2℃で乾燥箱中で質量が一定になるまで乾燥させる。引続き、この試料をデシケーター中で乾燥剤としてのシリカゲルで室温に冷却する。検定量Aを質量測定により測定する。
【0097】
%での固体含量を100%−(((E g−A g)*100%)/(E g))により測定する。
【0098】
導電率の測定
珪酸の導電率(LFを水性懸濁液中で実施する。
【0099】
実施
顆粒を使用する場合には、最初に珪酸20.0gをミル(Krups, モデルKM75、製品番号2030-70)で20秒間微粉砕する。湿分含量5±1%(場合によっては、湿分含量は、乾燥箱中で105℃で乾燥するかまたは均一に湿潤させることによって、場合による微粉砕前に調節される)を有する粉末状または球状の珪酸4.00gを、脱イオン水50.0ml中に懸濁させ、1分間100℃に加熱する。20℃に冷却した試料を正確に100mlに増量し、振盪によって均一化する。
【0100】
導電率測定装置LF 530(WTW社)の測定セルを僅かな試料量で洗浄し、その後にこの測定セルLTA01を懸濁液中に浸漬する。ディスプレイに表示される値は、20℃での導電率に相当する。それというのも、外部の温度センサーTFK530は、自動温度補償を実施するからである。温度係数ならびにセル定数kは、全ての測定順序に対して試験することができる。
【0101】
較正溶液としては、塩化カリウム溶液0.01モル/lが使用される(20℃でLF=1278μS/cm)。
【0102】
沈降懸濁液の固体含量の測定
沈降懸濁液の固体含量を質量測定により試料の濾過後に測定する。
【0103】
実施
均質化した沈降懸濁液(V懸濁液)100.0mlを室温で測定シリンダーにより測定する。この試料を陶磁器製吸引漏斗中の円形フィルター(型572、Schleicher & Schuell社)により吸引濾過するが、しかし、フィルターケーキの亀裂形成を回避させるために乾燥するまで吸引濾過しない。引続き、フィルターケーキを脱イオン水100.0mlで洗浄する。洗浄除去されたフィルターケーキを完全に吸引濾過し、正味質量を分銅によって補正した陶磁器製シャーレ中に移し、乾燥箱中で105±2℃で質量が一定になるまで乾燥させる。乾燥された珪酸の質量(m試料)を測定する。固体含量は、次のようにして測定される:
固体含量g/l=(m試料 g)/(V懸濁液 l)
アルカリ数の測定
アルカリ数(AZ)の測定としては、pH値が8.30までのアルカリ溶液または懸濁液の直接の電位差滴定でmlでの塩酸の消費量が当てはまる(試料体積50ml、水50mlおよび0.5モル/lの濃度の使用される塩酸の場合)。それによって、溶液または懸濁液に遊離アルカリ含量が検出される。
【0104】
実施
pH計器(Knick社, 型温度センサーを備えたpH計器Calimatic)およびpH電極()(Schott社のワンロッド測定ユニット(Einstabmesslkette)、型N7680)を2つの緩衝溶液(pH=7.00およびpH=10.00)により室温で較正する。前記のワンロッド測定ユニットを試料50.0mlおよび脱イオン水50.0mlからなる、40℃に温度調節された測定溶液または測定懸濁液中に浸漬する。引続き、滴下法で濃度0.5モル/lの塩酸溶液を、8.30の一定のpH値に調節させるまで添加する。珪酸と遊離アルカリ金属含量との最初に徐々に現れる平衡のために、酸消費量が最終的に読み取られるまで15分間の待ち時間が必要とされる。選択された物質量および濃度の場合、mlでの読み取られた塩酸消費量は、無次元で記載されるアルカリ数に直接相当する。
【0105】
次の実施例は、本発明を詳説するが、しかし、この範囲に制限されるものではない。
【0106】
例1
珪酸1
プロペラ攪拌系および二重ジャケットヒーターを備えた、不銹特殊鋼からなる反応器中に、水1550 lならびに水ガラス141.4kg(密度1.348kg/l、SiO27.0%、NaO8.05%)を装入する。引続き、強力に攪拌しながら92℃で80分間、上記の水ガラス5.505kg/分および硫酸約0.65kg/分(密度1.83kg/l、HSO96%)を供給する。この硫酸の計量供給を、反応媒体中で20のAZ数が占めているように調節する。引続き、水ガラスの添加を停止させ、硫酸を9.0のpH(室温で測定された)が達成されるまでさらに供給する。硫酸の添加を停止させ、得られた懸濁液を90℃で60分間さらに攪拌する。引続き、硫酸の添加量を再び吸収させ、pH値(室温で測定した)を3.5に調節する。得られた懸濁液を膜型フィルタープレスで濾過し、水で洗浄した。固体含量23%を有するフィルターケーキを硫酸水溶液および剪断装置で液化する。引続き、固体含量19%および3.7のpH値を有する珪酸供給量をアンモニアの計量供給下に噴霧乾燥する。
【0107】
得られた粉末Iaは、114m/gのBET表面積および123m/gのCTAB表面積を有する。選択的に得られたノズル塔乾燥されたMicro Bead Produkt Ibは、126m/gのBET表面積および123m/gのCTAB表面積を有する。
【0108】
珪酸II
プロペラ攪拌系および二重ジャケットヒーターを備えた、不銹特殊鋼からなる反応器中に、水1550 lならびに水ガラス141.4kg(密度1.348kg/l、SiO27.0%、NaO8.05%)を装入する。引続き、強力に攪拌しながら92℃で80分間、上記の水ガラス5.505kg/分および硫酸約0.65kg/分(密度1.83kg/l、HSO96%)を供給する。この硫酸の計量供給を、反応媒体中で20のAZ数が占めているように調節する。引続き、水ガラスの添加を停止させ、硫酸を7.0のpH(室温で測定された)が達成されるまでさらに供給する。硫酸の添加を停止させ、得られた懸濁液を90℃で60分間さらに攪拌する。引続き、硫酸の添加量を再び吸収させ、pH値(室温で測定した)を3.5に調節する。得られた懸濁液を膜型フィルタープレスで濾過し、水で洗浄した。固体含量22%を有するフィルターケーキを硫酸水溶液および剪断装置で液化する。引続き、固体含量19%および3.6のpH値を有する珪酸供給量をアンモニアの計量供給下にノズル塔乾燥する。
【0109】
得られたMicro Bead Produktは、116m/gのBET表面積および117m/gのCTAB表面積を有する。
【0110】
珪酸III
プロペラ攪拌系および二重ジャケットヒーターを備えた、不銹特殊鋼からなる反応器中に、水1550 lならびに水ガラス141.4kg(密度1.348kg/l、SiO27.0%、NaO8.05%)を装入する。引続き、強力に攪拌しながら92℃で100分間、上記の水ガラス5.505kg/分および硫酸約0.65kg/分(密度1.83kg/l、HSO96%)を供給する。この硫酸の計量供給を、反応媒体中で20のAZ数が占めているように調節する。引続き、水ガラスの添加を停止させ、硫酸を9.0のpH(室温で測定された)が達成されるまでさらに供給する。硫酸の添加を停止させ、得られた懸濁液を90℃で60分間さらに攪拌する。引続き、硫酸の添加量を再び吸収させ、pH値(室温で測定した)を3.5に調節する。得られた懸濁液を膜型フィルタープレスで濾過し、水で洗浄した。固体含量23%を有するフィルターケーキを硫酸水溶液および剪断装置で液化する。引続き、固体含量19%および3.8のpH値を有する珪酸供給量をアンモニアの計量供給下に噴霧乾燥する。
【0111】
得られた粉末状生成物は、102m/gのBET表面積および104m/gのCTAB表面積を有する。
【0112】
上記珪酸の物理的データは、次の表中に記載されている:
【0113】
【表2】

【0114】
例2
例1からの本発明による沈降珪酸IbおよびIIをS−SBR/BRゴム混合物中で試験した。公知技術水準として、デグッサ社(Degussa AG)の簡単に分散可能な珪酸Ultrasil 7000 GR (Ref) を選択した。ゴム混合物に使用される処方は、次の第1表中に記載されている。この場合、単位phrは、使用された粗製ゴム100部に対する質量含分である。
【0115】
【表3】

【0116】
ポリマーVSL 5025−1は、25質量%のスチレン含量および75質量%のブタジエン含量を有するBayer社の溶液重合されたSBRコポリマーである。このコポリマーは、油37.5phrを含有し、50±4のムーニー粘度(ML1+4/100℃)を有する。ポリマーBuna CB 24は、少なくとも97%のシス−1,4−含量および44±5のムーニー粘度を有するBayer社のシス−1,4−ポリブタジエン(ネオジム型)である。
【0117】
X50−Sは、Degussa社から入手することができる、Si 69[ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン]とカーボンブラックとの50/50混合物である。
【0118】
芳香族油としては、Chemetall社のNaftolen ZDが使用される。Vulkanox 4020は、Bayer社の6PPDであり、Protektor G 3108は、HB-Fuller社のオゾン保護ロウである。Vulkacit D/C (DPG)およびVulkacit CZ/EG (CBS)は、Bayer社の市販製品である。Perkazit TBZTDは、Akzo Chemie社から入手することができる。
【0119】
ゴム混合物は、内部混合機中で第2表中の混合規定に相応して製造される。第3表中には、ゴム試験ために使用される方法が記載されている。混合物は、165℃で20分間加硫される。第4表は、ゴム工業試験の結果を示す。
【0120】
【表4】

【0121】
【表5】

【0122】
【表6】

【0123】
分散係数をメダリア校正(Medaliakorrektur)を含む表面トポグラフィーにより測定した(A. Wehmeier, "Filler Dispersion Analysis by Topography Measurements" Technical Report TR 820, Degussa AG, Advanced Fillers and Pigments Division)。こうして測定された分散係数は、0.95を上廻る規定基準で、例えばDeutschen Institut fuer Katschuktechnologie e.V., Hannover/Deutschland によって測定されたような光学的に測定された分散係数と関連している(DIK-Workshop, 27. - 28. November 1997, Hannover/Germanyに発表されたH. Geisler, "Bestimmung der Mischguete")。
【0124】
【表7】

【0125】
第4表中のデータに確認できるように、本発明による珪酸との混合物KS IbおよびKS IIは、僅かな微孔性、ひいては表面上での僅かな加速吸着性のために、参照混合物REFよりも急速な加硫時間t90%を示す。前記珪酸の好ましいよりいっそう高い活性は、よりいっそう高い張力値100%および300%ならびに高められた強化ファクターに再び反映する。本発明による珪酸との混合物の動的特性データは、同様に改善されている。改善された湿式滑り強さを改善することができる低いボール−リバンド(Ball-Reboud)0℃およびタイヤトレッドの好ましい滑り抵抗を表わす高いボール−リバンド(Ball-Rebound)60℃が見出される。0℃および60℃での動的剛性は、参照混合物と比較して同じ水準であり、一方で、ヒステリシス損失tanδ(60℃)は、有利に低く、このことは、低い滑り抵抗を示す。その上、本発明による珪酸の分散性は、極めて高く、なかんずく公知技術水準による既に簡単に分散可能な珪酸Ultrasil 7000 GRよりも良好であり、それによってタイヤトレッドの耐摩耗性の利点が達成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の物理的化学的パラメーター:
CTAB表面積 100〜200m/g、
BET/CTAB比 0.8〜1.05、
DBP数 210〜280g/(100g)、
シアーズ数V 10〜30ml/(5g)、
湿分 4〜8%を有することを特徴とする、沈降珪酸。
【請求項2】
CTAB表面積が100〜160m/gである、請求項1記載の沈降珪酸。
【請求項3】
BET/CTAB比が0.9〜1.03である、請求項1または2記載の沈降珪酸。
【請求項4】
シアーズ数Vが20〜30ml/(5g)である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の沈降珪酸。
【請求項5】
DBP数が250〜280g/(100g)である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の沈降珪酸。
【請求項6】
BET表面積が80〜110m/gである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の沈降珪酸。
【請求項7】
BET表面積が110〜150m/gである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の沈降珪酸。
【請求項8】
シアーズ数VとBET表面積との比が0.140〜0.370ml/(5m)である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の沈降珪酸。
【請求項9】
沈降珪酸の製造法において、順次に
a)7〜14のpH値を有するアルカリ金属珪酸塩またはアルカリ土類金属珪酸塩の水溶液および/または有機塩基および/または無機塩基の水溶液を装入し、
b)この装入液に攪拌しながら55〜95℃で10〜120分間、同時に水ガラスおよび酸性化剤を計量供給し、
g)得られた懸濁液を80〜98℃で1〜120分間さらに攪拌し、
h)酸性化剤でpH値を2.5〜5の酸性にし、
i)濾過し、乾燥させることを特徴とする、沈降珪酸の製造法。
【請求項10】
工程b)の後で1〜2回次の工程
c)温度を維持しながら30〜90分間の供給の停止および
d)引続き場合によっては同じ温度で攪拌しながら20〜120分間、有利に20〜80分間の水ガラスおよび酸性化剤の同時の供給を付加的に実施する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
b)またはd)の後でpH値を工程e)で酸性化剤の添加によって3〜11に調節する、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
b)またはd)の後でpH値を工程e)で酸の添加によって7〜10に調節する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
pH値を付加的な工程f)で塩基性化合物の添加によって8〜14に上昇させる、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
塩基としてアルカリ金属珪酸塩および/またはアルカリ土類金属珪酸塩および/またはアルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を使用する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
工程a)〜h)の1つの工程中に有機塩または無機塩を添加する、請求項9から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
乾燥のために流れ型乾燥機、噴霧乾燥機、棚型乾燥機、ベルト型乾燥機、回転管状乾燥機、フラッシュ乾燥機、回転フラッシュ乾燥機またはノズル塔を使用する、請求項9から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
乾燥後に造粒をロール圧密成型機を用いて実施する、請求項9から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1から8までのいずれか1項に記載されたかまたは請求項9から17までのいずれか1項の記載により製造された沈降珪酸において、この沈降珪酸の表面が式I〜III:
[SiR(RO)(Alk)(Ar)][B] (I)、
SiR(RO)3−n(アルキル) (II)、または
SiR(RO)3−n(アルケニル) (III)
〔上記式中、
Bは、−SCN、−SH、−Cl、−NH、−OC(O)CHCH、−OC(O)CCH)CH(qが1である場合)または−S−(qが2である場合)を表わし、この場合Bは、化学的にAlkに結合しており、
RおよびRは、場合によっては次の基:ヒドロキシ基、アミノ基、アルコラート基、シアン化物基、チオシアン化物基、ハロゲン基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、チオール基、安息香酸基、安息香酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、アクリレート基、メタクリレート基、オルガノシラン基で置換されていてよい、2〜30個のC原子を有する脂肪族基、オレフィン系基、芳香族基またはアリール芳香族基を表わし、この場合RおよびRは、同一かまたは異なる意味を有していてよいし、同一かまたは異なる置換基を有していてよく、
nは、0、1または2であり、
Alkは、1〜6個の炭素原子を有する2価の非分枝鎖状または分枝鎖状炭化水素基を表わし、
mは、0または1であり、
Arは、次の置換基:ヒドロキシ基、アミノ基、アルコラート基、シアン化物基、チオシアン化物基、ハロゲン基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、チオール基、安息香酸基、安息香酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、アクリレート基、メタクリレート基、オルガノシラン基で置換されていてよい6〜12個のC原子、有利に6個のC原子を有するアリール基を表わし、
pは、0または1であり、但し、この場合pとnは、同時には0を意味しないものとし、
qは、1または2であり、
wは、2〜8の数であり、
rは、1、2または3であり、但し、この場合r+n+m+pは、4であるものとし、
アルキルは、1〜20個の炭素原子、有利に2〜8個の炭素原子を有する1価の非分枝鎖状または分枝鎖状の飽和炭化水素を表わし、
アルケニルは、2〜20個の炭素原子、有利に2〜8個の炭素原子を有する1価の非分枝鎖状または分枝鎖状の不飽和炭化水素を表わす〕で示されるオルガノシランで変性されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載されたかまたは請求項9から17までのいずれか1項の記載により製造された沈降珪酸。
【請求項19】
請求項1から8までのいずれか1項に記載されたかまたは請求項9から17までのいずれか1項の記載により製造された沈降珪酸において、この沈降珪酸の表面が組成式:
SiR4−n(この場合、nは、1、2、3、4である)、
[SiRO](この場合、xは、0以上、2以下であり、yは、0以上、2以下であり、zは、3以上、10以下であり、但し、この場合、x+yは、2である)、
[SiRN](この場合、xは、0以上、2以下であり、yは、0以上、2以下であり、zは、3以上、10以下であり、但し、この場合、x+yは、2である)、
SiROSiR(この場合、nは、0以上、3以下であり、mは、0以上、3以下であり、oは、0以上、3以下であり、pは、0以上、3以下であり、但し、この場合、n+mは、3であり、o+pは、3である)、
SiRNSiR(この場合、nは、0以上、3以下であり、mは、0以上、3以下であり、oは、0以上、3以下であり、pは、0以上、3以下であり、但し、この場合、n+mは、3であり、o+pは、3である)、および/または
SiR[SiRO]SiR(この場合、nは、0以上、3以下であり、mは、0以上、3以下であり、xは、0以上、2以下であり、yは、0以上、2以下であり、oは、0以上、3以下であり、pは、0以上、3以下であり、zは、1以上、10000以下であり、但し、この場合、n+mは、3であり、x+yは、2であり、o+pは、3である)
〔上記式中、
は、1〜20個の炭素原子を有する置換されたアルキル基および/またはアリール基および/または置換されていないアルキル基および/またはアリール基および/またはアルコキシ基および/またはアルケニル基および/またはアルキニル基および/または硫黄含有基を表わし、
Xは、シラノール基、アミノ基、チオール基、ハロゲン基、アルコキシ基、アルケニル基および/または水素基を表わす〕で示される珪素有機化合物で変性されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載されたかまたは請求項9から17までのいずれか1項の記載により製造された沈降珪酸。
【請求項20】
請求項18または19記載の珪酸の製造法において、
沈降珪酸を沈降珪酸100部に対して0.5〜50部、殊に沈降珪酸100部に対して1〜15部の混合物のオルガノシランで変性し、この場合沈降珪酸とオルガノシランとの反応は、混合物の製造中に(インシトゥ(in-situ)で)かまたはそれ以外に該混合物の噴霧および引続く熱処理、オルガノシランと珪酸懸濁液との混合および引続く乾燥および熱処理によって実施されることを特徴とする、請求項18または19記載の珪酸の製造法。
【請求項21】
エラストマー混合物、加硫化可能なゴム混合物および/または加硫化物、例えば空気タイヤ、タイヤトレッド、ケーブル外被、チューブ、駆動ベルト、ベルトコンベヤー、V字形ベルト、ロール被覆、タイヤ、靴底、パッキングおよび緩衝部材への請求項1から20までのいずれか1項に記載の珪酸の使用。
【請求項22】
バッテリー分離板へ、粘着防止剤として、着色剤および塗料中の艶消剤として、農業用製品および栄養剤の担持剤として、被覆へ、印刷用インキへ、消化粉末へ、プラスチックへ、非インパクトプリンティングの範囲へ、紙料へ、パーソナルケアの範囲への請求項1から20までのいずれか1項に記載の珪酸の使用。
【請求項23】
次の物理的化学的パラメーター:
CTAB表面積 100〜200m/g、
BET/CTAB比 0.8〜1.05、
DBP数 210〜280g/(100g)、
シアーズ数V 10〜30ml/(5g)、
湿分 4〜8%
を有する請求項1記載の沈降珪酸を充填剤として含有する、加硫化可能なゴム混合物および加硫化物。

【公表番号】特表2007−527835(P2007−527835A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500109(P2006−500109)
【出願日】平成16年1月8日(2004.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050004
【国際公開番号】WO2004/065443
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(501073862)デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】