説明

ゴムサンプリング装置

【課題】コンベア上の練りゴムからサンプリングを行う場合、サンプリング用シリンダーのストロークを短縮化して生産性を向上させることができるゴムサンプリング装置を提供する。
【解決手段】サンプリング用カッターと、搬送路の上方のサンプリング位置において、カッターを練りゴムの表面に対して往復動させて練りゴムに接近、離間させ、接近時にはカッターによるサンプリングを可能にするサンプリング用シリンダーと、カッターと、サンプリング用シリンダーとを有するカッターユニットと、カッターユニットを、練りゴムの搬送路の側方の待機位置とサンプリング位置との間で旋回させる旋回機構を備え、サンプル片の採取時には、カッターユニットを待機位置からサンプリング位置まで旋回させた後、サンプリング用シリンダーによりカッターを練りゴムに近接させてサンプル片を採取するゴムサンプリング装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の練りゴムからサンプル片を採取するためのゴムサンプリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は従来のゴムサンプリング装置100を備えた練りゴムの処理装置を示している。図3に示すように、練りゴムの処理装置は、押出機から押し出されたシート状の練りゴム101を、クーリングバー106を通過させることにより冷却し、冷却後の練りゴム101をピックアップ装置102によりベルト式のコンベア103へ移動させてコンベア搬送を行う。そして、コンベア搬送の後は、練りゴム101をコンベア103の終端から垂れ下げ、略水平方向に往復動するスタッカー105によって折り畳むようにして重ね置きする。
【0003】
図3に示すように、ゴムサンプリング装置100は、カッターと、カッターを往復動させるためのサンプリング用シリンダーとを備えており、通常、図中のA位置またはB位置に配置されている。
【0004】
ゴムサンプリング装置100がA位置に配置される場合には、ゴムサンプリング装置100のカッターを、コンベア103の端部から垂れ下がる練りゴム101に近接、離間させてサンプリングを行う(例えば、特許文献1)。しかし、A位置に配置される場合、ゴムがつまるためサンプリング用シリンダーとして概ね500mmのストロークが必要となる。
【0005】
一方、ゴムサンプリング装置100がB位置に配置される場合には、ゴムサンプリング装置100をコンベア103の上方に配置し、ゴムサンプリング装置100のカッターをコンベア103上の練りゴム101に対して近接、離間させてサンプリングを行う必要がある。
【0006】
しかし、練りゴム101は、上記のようにピックアップ装置102によりコンベア103上に移されるため、コンベア103上を搬送される練りゴム101のピックアップ装置102でつかまれた部分は2〜3枚分重なった状態になる。
【0007】
そこで、練りゴム101の2〜3枚分重なった部分とゴムサンプリング装置100のカッターとの干渉を避けるために、カッターの待機位置を、練りゴム101から2〜3枚分重なった部分だけ多く離間させる必要があり、サンプリング用シリンダーとして概ね300mmのストロークが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61−284400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、ゴムサンプリング装置100はA位置よりもB位置に配置する方がサンプリング用シリンダーのストロークを短くすることができる。しかし、B位置に配置した場合でも、サンプリング中はコンベア103を停止させる必要があるため、サンプリング時間がロス時間となって生産性が低下する。
【0010】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑み、ゴムサンプリング装置をB位置に配置してコンベア上の練りゴムからサンプリングを行う場合において、サンプリング用シリンダーのストロークを短縮化することにより、コンベアの停止時間をできるだけ短くして生産性を向上させることができるゴムサンプリング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、以下の請求項に示す発明により、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
請求項1に記載の発明は、
コンベアにより搬送されるシート状の練りゴムからサンプル片を採取するゴムサンプリング装置であって、
サンプリング用カッターと、
搬送路の上方のサンプリング位置において、前記カッターを前記練りゴムの表面に対して往復動させて前記練りゴムに接近、離間させ、接近時には前記カッターによるサンプリングを可能にするサンプリング用シリンダーと、
前記カッターと、前記サンプリング用シリンダーとを有するカッターユニットと、
前記カッターユニットを、前記練りゴムの搬送路の側方の待機位置と前記サンプリング位置との間で旋回させる旋回機構と
を備えており、
前記サンプル片の採取時には、前記カッターユニットを前記待機位置から前記サンプリング位置まで旋回させた後、前記サンプリング用シリンダーにより前記カッターを前記練りゴムに近接させて前記サンプル片を採取することを特徴とするゴムサンプリング装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、サンプリング用シリンダーのストロークを短縮化することにより、コンベアの停止時間をできるだけ短くして生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るゴムサンプリング装置の一実施の形態を示す平面図である。
【図2】本発明に係るゴムサンプリング装置の一実施の形態を示すカッターユニットの要部拡大正面図である。
【図3】従来のゴムサンプリング装置を備えた練りゴムの処理装置である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態に基づき、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。
【0016】
図1は本発明に係るゴムサンプリング装置の一実施の形態を示す平面図である。図2は本発明に係るゴムサンプリング装置の一実施の形態を示すカッターユニットの要部拡大正面図である。
【0017】
1.ゴムサンプリング装置の全体構成
図1、図2に示すように、ゴムサンプリング装置10は、コンベア20により搬送されるシート状の練りゴムAからサンプル片を採取する装置であり、カッターユニット30と、コンベア20によって搬送される練りゴムAの搬送路の上方のサンプリング位置と搬送路の側方の待機位置との間でカッターユニット30を旋回動させる旋回機構40とを主要な構成要素として備えている。
【0018】
2.コンベアの構成
図1に示すように、コンベア20は、上流側ベルトコンベア21と、下流側ベルトコンベア22と、上流側および下流側のベルトコンベア21、22との間に配置されるローラコンベア23とで構成されている。
【0019】
コンベア20は、下流側が上向くように配置されることにより、練りゴムAを斜め上方に向かって搬送するようになっている。
【0020】
ローラコンベア23の搬送ローラ23b〜23hは、上流側ベルトコンベア21のローラ21aおよび下流側ベルトコンベア22のローラ22aよりも短尺に形成されている。これにより、上流側および下流側のベルトコンベア21、22の間において、かつローラコンベア23の側方に、ローラのないスペース部24が形成されている。
【0021】
このため、練りゴムAが上流側ベルトコンベア21からローラコンベア23を通って下流側ベルトコンベア22に搬送されるときに、練りゴムAの一側部は、ローラのないスペース部24の上を通過することになる。
【0022】
3.カッターユニット
図2に示すように、カッターユニット30は、カッター31と、受け刃32と、サンプリング用シリンダー33と、サンプル片排出用シリンダー34と、これらの構成要素を支持する枠体35とを備えている。なお、カッターユニット30は、コンベア20の傾斜に対応して傾斜して配置されている。
【0023】
サンプリング用シリンダー33は、カッター31を練りゴムA表面に対してほぼ垂直方向に往復動させて、ローラのないスペース部24の上を通過する練りゴムAの一側部に接近、離間させ、接近時にはカッター31が練りゴムAの一側部の一部分を打ち抜いてサンプル片を採取する。このとき、受け刃32はゴムAの一側部の下方に位置してゴムAを直接受ける。このため、コンベアのベルトを受け刃の代わりにする従来の構成のようにベルトを損傷させることがなくなる。
【0024】
サンプル片排出用シリンダー34は、カッター31及びサンプリング用シリンダー33の間に配設されている。カッター31の刃先が円形等の場合には、打ち抜かれたサンプル片がカッター31内に残るため、カッター31内に残ったサンプル片をサンプル片排出用シリンダー34により下方に押圧してカッター31内からサンプル片を排除する。
【0025】
4.旋回機構
図1に示すように、旋回機構40は、コンベア20の一側方(ローラのないスペース部24の外側方)に配置されている。旋回機構40は、カッターユニット30の枠体35を旋回動自在に装着するために支軸41と、旋回用シリンダー42と、旋回用シリンダー42の往復動をカッターユニット30の旋回動に変換するクランク43とを備えている。
【0026】
そして、旋回機構40は、コンベア20のローラのないスペース部24の上方のサンプリング位置と前記搬送路の外側方の待機位置との間でカッターユニット30を旋回動させるようになっている。なお、待機位置は、本実施の形態では、サンプリング位置から略90°旋回した位置であって、コンベア20の外側方の位置に設定されている。
【0027】
5.ゴムサンプリング装置の動作説明
(1)ゴムサンプリング装置10は、上記の如く構成され、図外のピックアップ装置からコンベア20上に練りゴムAが搬送され、搬送の途中において、練りゴムAの2〜3枚分重なった部分以外の部分がローラのないスペース部24の上方に来た位置で練りゴムAの搬送を停止させる。次いで、旋回用シリンダー42を縮退させて待機位置にあるカッターユニット30をサンプリング位置に旋回移動させる。そして、サンプリング用シリンダー33を伸長させてコンベア20上の練りゴムAにカッター31を押し付けてサンプル片を採取する。
【0028】
(2)次に、サンプリング用シリンダー33を縮退させた後、旋回用シリンダー42を伸長させてサンプリング位置にあるカッターユニット30を待機位置に戻す。
【0029】
(3)そして、サンプル片排出用シリンダー34を進退動させてカッター31に残ったサンプル片を排除すると共にコンベア20による練りゴムAの搬送を再開する。
【0030】
6.本実施の形態の効果
(1)以上のように、本実施の形態におけるゴムサンプリング装置10は、サンプリング位置から待機位置へカッターユニット30を旋回させて退避させるため、前記の練りゴムAの2〜3枚分重なった部分とカッターユニット30のカッター31との干渉を防止できる。
【0031】
このため、カッターの待機位置(サンプリング位置においてカッターが練りゴムAから離間した位置)を、練りゴムAから2〜3枚分重なった部分だけ多く離間させる必要がなくなり、サンプリング用シリンダー33のストローク長を短くすることができ、サンプリング時間の短縮を図ることができる。この結果、ベルトコンベアの停止時間を短縮できて生産性を向上させることができる。
【0032】
(2)なお、本発明者は、本実施の形態のゴムサンプリング装置を用いることにより、従来の装置に較べて、サンプリング時間を約4秒/回短縮することができることを確認している。
【0033】
(3)また、上記のようにローラのないスペース部24の上を通過する練りゴムAの一側部の一部分を打ち抜いてサンプル片を採取するため、コンベアのベルトを受け刃の代わりにする従来の構成のようにベルトを損傷させることがなくなる。
【0034】
以上、実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一及び均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0035】
10、100 ゴムサンプリング装置
20、103 コンベア
21 上流側ベルトコンベア
21a 上流側ベルトコンベアのローラ
22 下流側ベルトコンベア
22a 下流側ベルトコンベアのローラ
23 ローラコンベア
23b〜23h 搬送ローラ
24 ローラのないスペース部
30 カッターユニット
31 カッター
32 受け刃
33 サンプリング用シリンダー
34 サンプル片排出用シリンダー
35 枠体
40 旋回機構
41 支軸
42 旋回用シリンダー
43 クランク
102 ピックアップ装置
105 スタッカー
106 クーリングバー
101、A 練りゴム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアにより搬送されるシート状の練りゴムからサンプル片を採取するゴムサンプリング装置であって、
サンプリング用カッターと、
搬送路の上方のサンプリング位置において、前記カッターを前記練りゴムの表面に対して往復動させて前記練りゴムに接近、離間させ、接近時には前記カッターによるサンプリングを可能にするサンプリング用シリンダーと、
前記カッターと、前記サンプリング用シリンダーとを有するカッターユニットと、
前記カッターユニットを、前記練りゴムの搬送路の側方の待機位置と前記サンプリング位置との間で旋回させる旋回機構と
を備えており、
前記サンプル片の採取時には、前記カッターユニットを前記待機位置から前記サンプリング位置まで旋回させた後、前記サンプリング用シリンダーにより前記カッターを前記練りゴムに近接させて前記サンプル片を採取することを特徴とするゴムサンプリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−44680(P2013−44680A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183974(P2011−183974)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】