説明

ゴムローラの押出し成形機

【課題】芯金周囲のゴム材料にバリが生じたとしても、安定してゴムコーラの成形を行うことのできるゴムローラの押出し成形機を提供する。
【解決手段】ゴムローラの押出し成形機100は、芯金1を連続してクロスヘッド3に送り込むとともに、溶融状態のゴム材料2をクロスヘッド送り込み、ゴム形成体7をクロスヘッド3の出口3aから押し出す。押出し成形機3には、ゴム形成体7の外径を測定する外径測定器10と、各芯金1の端部が、外径測定装置10を通過する端部通過期間を測定する芯金位置計算器13と、が設けられている。また、芯金1とゴム材料2との少なくとも一方のクロスヘッド3への送り込み速度の制御を行う制御系は、フィードバック制御を、端部通過期間以外の期間に行う第1のモードと、該第1のモードとは異なる第2のモードと、により行う。端部通過期間以外の期間に端部通過期間に行う第1のモードによる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムローラを製造するための押出し成形機、およびゴムローラの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置に用いられる帯電ローラや現像ローラなどには、芯金を中心とする円柱状のゴム部材であるゴムローラが用いられる。一般的に、ゴムローラの製造過程において、押出し成形機が用いられる。
【0003】
一般的な押出し成形機は、クロスヘッドに、溶融状態のゴム材料と、所定の長さの芯金と、が同時に送り込まれ、芯金の外周に所定の厚さのゴム材料が均等に被覆されたゴム形成体がクロスヘッドの出口から押し出される構成である。このような押出し成形機では、クロスヘッドの出口から、各芯金について1つのゴム形成体が連続的に得られる。
【0004】
ゴム形成体におけるゴム材料の厚さは、芯金のクロスヘッドへの送り速度や、ゴム材料のクロスヘッドへの送り速度を変化させることにより調整可能である。ゴムローラは、たとえば、図6(a)に示すようなクラウン形状と呼ばれるゴム材料52の中央部が膨らんだ形状に成形される。
【0005】
押出し成形機でゴム形成体の両端部のゴム材料は、後の別工程にて除去され、ゴムローラが完成する。したがって、図6(a)に示すように、完成したゴムローラ57では芯金51の両端部が露出している。
【0006】
近年、電子写真装置の高性能化に伴い、ゴムローラの形状精度の向上が求められている。ゴムローラの形状精度を向上させるための押出し成形機のフィードバック制御の技術が特許文献1および特許文献2に開示されている。
【0007】
特許文献1および特許文献2に開示された押出し成形機のフィードバック制御では、クロスヘッドの出口の近傍におけるゴム形成体の外径を測定する測定器による測定結果に基づいて芯金の送り速度やゴム材料の送り速度を制御する。これにより、ゴムローラの形状誤差の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−066808号公報
【特許文献2】特開2010−058278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1および特許文献2に開示された押出し成形機のフィードバック制御では、ゴム材料の物性や温度等の環境のばらつきに起因するゴム形成体の形状の誤差を低減することができる。
【0010】
しかし、一般にクロスヘッドに複数本の芯金を連続的に供給してゴムローラを製造する場合、図6(a)に示すように各芯金51の端面同士が当接している部分51aに対応する部分に、ゴム材料が急峻に盛り上がるバリ52aが発生しやすい。このようなバリ52aが生じたゴム材料の部分は外径が大きくなっている。そのため、特許文献1や特許文献2に開示された押出し成形機においては、バリ52aの外径に応じてフィードバック制御がかり、芯金の送り速度の大きな変動や操作量の飽和を生じ、正常な押出し成形動作が阻害されたることがあった。また、このような場合に、正常な押出し成形動作への復帰に時間がかかったりすることがあった。
【0011】
そこで、本発明は、芯金周囲のゴム材料にバリが生じたとしても、安定してゴムコーラの成形を行うことのできるゴムローラの押出し成形機、および安定してゴムローラを製造することのできるゴムローラの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、所定の長さの芯金の複数本を、該芯金の軸方向に連続してクロスヘッドに送り込むとともに、溶融状態のゴム材料を該クロスヘッドに送り込み、該各芯金の周りを該ゴム材料で覆った状態のゴム形成体を前記クロスヘッドの出口から押し出すゴムローラの押出し成形機であって、前記クロスヘッドの前記出口の近傍に設けられ、前記ゴム形成体の外径を測定する外径測定手段と、前記外径測定手段を通過している前記各芯金の位置を計算し、該各芯金の端部が前記外径測定手段を通過する端部通過期間を検出する芯金位置計算手段と、前記芯金と前記ゴム材料との少なくとも一方の前記クロスヘッドへの送り込み速度の制御を行う制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記外径測定手段の測定結果を前記送り込み速度の制御にフィードバックするフィードバック制御を、第1のモードと、該第1のモードとは異なる第2のモードと、により行い、前記端部通過期間以外の期間に前記第1のモードによる制御を行い、前記端部通過期間に前記第2のモードによる制御に切り替えるゴムローラの押出し成形機が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、所定の長さの芯金の複数本を、該芯金の軸方向に連続してクロスヘッドに送り込むとともに、溶融状態のゴム材料を該クロスヘッドに送り込み、該各芯金の周りを該ゴム材料で覆った状態のゴム形成体を前記クロスヘッドの出口から押し出すゴムローラの押出し成形機を用いたゴムローラの製造方法であって、前記押出し成形機は、前記クロスヘッドの前記出口の近傍に設けられ、前記ゴム形成体の外径を測定する外径測定手段と、前記外径測定手段を通過している前記各芯金の位置を計算し、該各芯金の端部が前記外径測定手段を通過する端部通過期間を検出する芯金位置計算手段と、前記芯金と前記ゴム材料との少なくとも一方の前記クロスヘッドへの送り込み速度の制御を行う制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記外径測定手段の測定結果を前記送り込み速度の制御にフィードバックするフィードバック制御を、第1のモードと、該第1のモードとは異なる第2のモードと、により行い、前記端部通過期間以外の期間に前記第1のモードによる制御を行い、前記端部通過期間に前記第2のモードによる制御に切り替えるものであり、所定の長さの芯金の複数本を、該芯金の軸方向に連続して該クロスヘッドに送り込むとともに、溶融状態のゴム材料を該クロスヘッドに送り込み、該各芯金の周りを該ゴム材料で覆った状態のゴム形成体を前記クロスヘッドの出口から押し出す工程を有し、前記工程において、前記芯金の端部が、前記押出し成形機の外径測定手段を通過する期間以外の期間に前記第1のモードによる制御を行い、前記端部通過期間においては前記第2のモードによる制御を行うゴムローラの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、芯金周囲のゴム材料にバリが生じたとしても、安定してゴムコーラの成形を行うことのできるゴムローラの押出し成形機、および安定してゴムローラを製造することのできるゴムローラの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るゴムローラの押出し成形機の概略構成図である。
【図2】図1に示した押出し成形機の制御系のブロック図である。
【図3】図2に示した制御系の制御機能のシミュレーション結果を示した図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る制御系の制御機能のシミュレーション結果を示した図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る制御系の制御機能のシミュレーション結果を示した図である。
【図6】一般的なゴムローラの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るゴムローラの押出し成形機100の概略構成図である。押出し成形機100は、芯金1の全周にわたってゴム材料を均等に被覆して、中心に芯金1が入ったゴム形成体7を製造するための装置である。
【0017】
押出し成形機100には、芯金1と溶融状態のゴム材料が送り込まれるクロスヘッド3と、該クロスヘッド3に芯金1を送り込むローラ6と、該クロスヘッド3にゴム材料2を送り込むシリンダ4と、が設けられている。
【0018】
ローラ6は、複数本の芯金1を軸方向に連続的にクロスヘッド3に送り込む。シリンダ4は内部にスクリュ5を備え、スクリュ5の回転により溶融状態のゴム材料をクロスヘッド3内に送り込む。
【0019】
芯金1は、クロスヘッド3内に送り込まれると、シリンダ4からクロスヘッド内に送り込まれた溶融状態のゴム材料2に全周を覆われる。そして、芯金1は、クロスヘッド3の出口3aから、表面にゴム材料2が付着した状態のゴム形成体7として送り出される。
【0020】
押出し成形機100では、各芯金1の長手方向の中央部においてゴム材料2の外径が大きい、いわゆるクラウン形状のゴム形成体7を形成する。そのために、芯金1のローラ6による送り速度や、ゴム材料2のシリンダ4からの送り速度を変化させる。
【0021】
芯金1に付着するゴム材料2の厚さは、ローラ6によるクロスヘッド3への芯金1の送り速度を速くすると薄くなり、ローラ6によるクロスヘッド3への芯金1の送り速度を遅くすると厚くなる。
【0022】
また、芯金1に付着するゴム材料2の厚さは、シリンダ4からクロスヘッド3へのゴム材料2の送り速度を速くすると厚くなり、シリンダ4からクロスヘッド3へのゴム材料2の送り速度を遅くすると薄くなる。
【0023】
このように、芯金1に付着するゴム材料2の厚さは、クロスヘッド3への芯金1の送り速度と、クロスヘッド3へのゴム材料2の送り速度と、によって制御することができる。
【0024】
しかし、芯金の周囲のゴム材料2の厚さの変化の応答の速さは、クロスヘッド3へのゴム材料2の送り速度より、クロスヘッド3への芯金1の送り速度の方が早い。そのため、芯金1に付着するゴム材料2の厚さは、ローラ6によるクロスヘッド3への芯金1の送り速度を制御することにより調整することがより有効である。
【0025】
ローラ6によるクロスヘッド3への芯金1の送り速度は、ローラ6に接続されたモータ8の回転速度によって調整する。モータ8はエンコーダ9を備え、該エンコーダ9によってモータ8の回転速度や回転数を検出可能である。
【0026】
ゴム材料2のシリンダ4からの送り速度は、スクリュ5の回転速度によって制御可能である。スクリュ5は誘導モータ(不図示)を備え、誘導モータによってスクリュ5の回転速度を検出可能である。
【0027】
クロスヘッド3の出口3aから送り出されたゴム形成体7は、引取機15によって、1つの芯金1あたり1つずつ受け取られ、順次パレット(不図示)に載置される。
【0028】
次に、押出し成形機100におけるフィードバック(FB)制御について説明する。FB制御系は、外径測定器10、制御演算器11、ドライバ12、芯金位置計算器13、制御切替器14等により構成されている。
【0029】
外径測定器10は、クロスヘッド3の出口3aの近傍に配置され、該出口3aから送り出されたゴム形成体7の外径を測定し、その測定結果を制御演算器11に伝達する。また、芯金位置計算器13は、エンコーダ9で検出したモータの回転数または回転数に基づいて、各芯金1の送り速度を計算する。
【0030】
制御演算器11は、ゴム形成体7の目標外径と、外径測定器10によるゴム形成体7の実測外径と、の差分である外径誤差が小さくなるようにドライバ12を介してモータ8の回転速度または回転数を制御する。これにより、芯金1は、ゴム形成体7の実測外径が目標外径に近づくようにローラ6によってクロスヘッド3内に送り込まれるようになる。
【0031】
ゴム形成体7を受け取る引取機15には、通過センサ16が接続されている。通過センサ16は、芯金1の端部(ゴム形成体7の端部)が外径測定器10を通過するときにタイミング信号を発生する。通過センサ16は制御切替器14に接続されており、通過センサ16が発生したタイミング信号は制御切替器14に伝達される。
【0032】
押出し成形機100では、通過センサ16により、芯金1の端部が外径測定器10を通過中か否かを判別することができる。
【0033】
各芯金の端面同士が当接部に対応する部分においては、図6bに示すようにバリ52aが生じ、芯金周囲のゴム材料の層の外径が他の部分とは大きく異なっている。そのため、押出し成形機の単一のフィードバック制御では、各芯金の端部同士の当接部に対応する部分おける外径の変化に対応して芯金の送り速度の大きな変化や操作量の飽和を生じ、正常な押出し成形動作の阻害されることがある。あるいは、このような場合に、正常な押出し成形動作への復帰時間がかかってしまうことがある。
【0034】
これに対し、押出し成形機100では、複数の補償モードによって芯金1の送り速度を制御することができ、制御切替器14によって補償モードを第1のモードと第2のモードとに切り替えることが可能である。これにより、各芯金1の端面同士の当接部分に対応する部分のバリ52aの発生部分における外径の大きな変化に対して、他の部分とは異なるフィードバック制御を行うことで、上記した課題の解決を図ることができる。
【0035】
制御切替器14は、通過センサ16により芯金1の端部以外の部分が外径測定器10を通過している端部通過期間と判断すると補償モードを第2のモードとする。一方、制御切替器14は、通過センサ16により芯金1の端部が外径測定器10を通過している端部通過期間以外の期間での補償モードを第1のモードとする。
【0036】
各芯金の長さは、A4サイズの用紙に対応するもので240mm以上260mm以下であり、A3サイズの用紙に対応するもので330mm以上380mm以下である。芯金の外径は4mm以上8mm以下である。本実施形態では、芯金1の両端部は、芯金1の長さに関わらず芯金1の両端から10mmまでの間の部分とした。
【0037】
芯金1の両端部は、芯金1の両端から10mmまでの間の部分に限らず、芯金1の両端から所定の距離までの部分として規定することができる。本実施形態においては、当該所定の距離としては1mm以上200mm以下の間が適当である。当該所定の距離は、芯金の外径に応じて決定され、芯金の外径の10%以上500%以下であることが適当である。
【0038】
図2は、押出し成形機100の制御系のブロック図である。記号Cは制御演算器11の伝達関数を示し、記号Aはドライバ12およびモータ8の伝達関数を示し、記号Eはエンコーダ9および芯金位置計算器13の伝達関数を示し、記号Bは制御切替器14の伝達関数を示している。記号Pは当該制御系の成形動特性の伝達関数を示している。
【0039】
伝達関数Cでは、目標外径rと実測外径との誤差である外径誤差eが入力されると、操作量uが出力される。PID制御における伝達関数Cは以下のように示される。
【0040】
【数1】

【0041】
ここで、係数Kpは比例ゲイン、係数Kiは積分ゲイン、係数Tdは微分時定数を示している。また、sはラプラス演算子である。
【0042】
記号oは、芯金1を一定の速度で送るためのオフセット信号である。伝達関数Aでは、操作量uまたは信号oが入力されると、芯金の送り速度wが出力される。伝達関数Pでは、芯金1の送り速度wが入力されると、外径xが出力される。
【0043】
実際には、ゴム材料2の送り速度の変化による外径変化量dの要因も加わり、外径測定器10が測定する実測外径yとなる。実測外径yは、フィードバックされて、新たに外径誤差eが伝達関数Cに入力される。
【0044】
押出し成形機100の制御系では、補償モードが第1のモードのときに以上の動作を繰り返す。一方、補償モードが第2のモードのときには、上記の伝達関数Cにおける各係数、比例ゲインKp、積分ゲインKi、微分時定数Tdを全てゼロにする。これにより、押出し成形機100では、ゴム形成体7の目標外径rに対する外径誤差eを低減することができる。
【0045】
図3は、本実施形態に係る制御機能のシミュレーション結果を示している。
【0046】
図3(a)は、目標外径rと実測外径yの時間変化の波形を重ねて示している。実測外径yには、芯金1の両端部は、約5秒ごとに外径測定器10を通過するため、約5秒ごとにゴム材料2のバリが発生している。
【0047】
図3(b)は、目標外径rと実測外径yとの差分である外径誤差eの時間変化の波形を示している。本図から、ゴム材料7のバリが外径測定器10を通過するタイミングで比較的大きな外径誤差eが発生していることがわかる。
【0048】
図3(c)は、FB操作量uの時間変化の波形を示している。0から10秒までの期間は一般的なPID制御における波形を示し、10秒以降の期間は本実施形態に係る制御を適用した際の波形を示している。10秒以降の期間では、芯金1の位置計算器Eの結果から芯金1の端部が外径測定器10を通過する端部通過期間を制御切替器14が特定し、制御切替器14の指令によって、上記の伝達関数における比例ゲインKp、積分ゲインKi、微分時定数Tdをゼロにする。
【0049】
図3(b)に示すように、10秒以降の期間では、0から10秒までの期間に比べて、破線で示した部分において外径誤差eが小さくなっていることがわかる。また、図3(c)に示すように、10秒以降の期間では、0から10秒までの期間に比べて、FB操作量uの変化が抑制されていることがわかる。これにより、本実施形態では、芯金1の送り速度の大きな変化やFB操作量uの飽和を防止することができる。
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係る制御機能のシミュレーション結果を示している。本実施形態に係る押出し成形機は、以下に示す制御方法以外の構成は、第1の実施形態に係る押出し成形機100と共通している。
【0050】
本実施形態では、芯金1の端部が外径測定器10を通過する端部通過期間において、比例ゲインKp、積分ゲインKiおよび微分時定数Tdをゼロにするとともに、積分器の出力をゼロにリセットする。
【0051】
図4は、図3に対応する図である。図4では、図3と同様に0秒から10秒までの期間は一般的なPID制御における波形を示し、10秒以降の期間は本実施形態に係る制御を適用した際の波形を示している。
【0052】
図4(b)に示すように、10秒以降の期間では、0から10秒までの期間に比べて、破線で示した部分において外径誤差eが小さくなっていることがわかる。また、図4(c)に示すように、10秒以降の期間では、0から10秒までの期間に比べて、FB操作量uの変化が抑制されていることがわかる。これにより、本実施形態では、芯金1の送り速度の大きな変化やFB操作量uの飽和を防止することができる。
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係る制御機能のシミュレーション結果を示している。本実施形態に係る押出し成形機は、以下に示す制御方法以外の構成は、第1の実施形態に係る押出し成形機100と共通している。
【0053】
本実施形態では、芯金1の端部が外径測定器10を通過する端部通過期間において伝達関数Cの出力を一定値に保持する。
【0054】
図5は、図3に対応する図である。図5では、図3と同様に0秒から10秒までの期間は一般的なPID制御における波形を示し、10秒以降の期間は本実施形態に係る制御を適用した際の波形を示している。
【0055】
図5(b)に示すように、10秒以降の期間では、0から10秒までの期間に比べて、破線で示した部分において外径誤差eが小さくなっていることがわかる。また、図5(c)に示すように、10秒以降の期間では、0から10秒までの期間に比べて、FB操作量uの変化が抑制されていることがわかる。これにより、本実施形態では、芯金1の送り速度の大きな変化やFB操作量uの飽和を防止することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 芯金
2 ゴム材料
3 クロスヘッド
4 シリンダ
5 スクリュ
6 ローラ
7 ゴム形成体
8 モータ
9 エンコーダ
100 押出し成形機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の長さの芯金の複数本を、該芯金の軸方向に連続してクロスヘッドに送り込むとともに、溶融状態のゴム材料を該クロスヘッドに送り込み、該各芯金の周りを該ゴム材料で覆った状態のゴム形成体を前記クロスヘッドの出口から押し出すゴムローラの押出し成形機であって、
前記クロスヘッドの前記出口の近傍に設けられ、前記ゴム形成体の外径を測定する外径測定手段と、
前記外径測定手段を通過している前記各芯金の位置を計算し、該各芯金の端部が前記外径測定手段を通過する端部通過期間を検出する芯金位置計算手段と、
前記芯金と前記ゴム材料との少なくとも一方の前記クロスヘッドへの送り込み速度の制御を行う制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記外径測定手段の測定結果を前記送り込み速度の制御にフィードバックするフィードバック制御を、第1のモードと、該第1のモードとは異なる第2のモードと、により行い、前記端部通過期間以外の期間に前記第1のモードによる制御を行い、前記端部通過期間に前記第2のモードによる制御に切り替えるゴムローラの押出し成形機。
【請求項2】
前記制御手段はPID制御を行い、前記第2のモードでは、PID制御の伝達関数の係数をすべてゼロにする、請求項1に記載のゴムローラの押出し成形機。
【請求項3】
前記制御手段はPID制御を行い、前記第2のモードでは、PID制御の伝達関数の積分器の出力をゼロにする、請求項1または2に記載のゴムローラの押出し成形機。
【請求項4】
前記制御手段はPID制御を行い、前記第2のモードでは、PID制御の伝達関数の出力を一定値に保持する、請求項1から3のいずれか1項に記載のゴムローラの押出し成形機。
【請求項5】
前記各芯金の前記端部は、該各芯金の両端から、1mm以上200mm以下の部分である、請求項1から4のいずれか1項に記載のゴムローラの押出し成形機。
【請求項6】
所定の長さの芯金の複数本を、該芯金の軸方向に連続してクロスヘッドに送り込むとともに、溶融状態のゴム材料を該クロスヘッドに送り込み、該各芯金の周りを該ゴム材料で覆った状態のゴム形成体を前記クロスヘッドの出口から押し出すゴムローラの押出し成形機を用いたゴムローラの製造方法であって、
前記押出し成形機は、
前記クロスヘッドの前記出口の近傍に設けられ、前記ゴム形成体の外径を測定する外径測定手段と、
前記外径測定手段を通過している前記各芯金の位置を計算し、該各芯金の端部が前記外径測定手段を通過する端部通過期間を検出する芯金位置計算手段と、
前記芯金と前記ゴム材料との少なくとも一方の前記クロスヘッドへの送り込み速度の制御を行う制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記外径測定手段の測定結果を前記送り込み速度の制御にフィードバックするフィードバック制御を、第1のモードと、該第1のモードとは異なる第2のモードと、により行い、前記端部通過期間以外の期間に前記第1のモードによる制御を行い、前記端部通過期間に前記第2のモードによる制御に切り替えるものであり、
所定の長さの芯金の複数本を、該芯金の軸方向に連続して該クロスヘッドに送り込むとともに、溶融状態のゴム材料を該クロスヘッドに送り込み、該各芯金の周りを該ゴム材料で覆った状態のゴム形成体を前記クロスヘッドの出口から押し出す工程を有し、
前記工程において、
前記芯金の端部が、前記押出し成形機の外径測定手段を通過する期間以外の期間に前記第1のモードによる制御を行い、前記端部通過期間においては前記第2のモードによる制御を行うことを特徴とするゴムローラの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−49228(P2013−49228A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189347(P2011−189347)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】