ゴムロールの製造方法
【課題】耐久性及び表面性に優れたゴムロールの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】芯金の外周に弾性層を具備するゴムロールの製造方法であって、前記芯金の外周にハロゲンを有さないゴム基材を含むゴム組成物を硬化させて弾性体を成形する工程と、前記弾性体の軸方向端部を加工する工程と、加工された弾性体を具備する前記芯金をめっき処理する工程と、めっき処理後に前記弾性体の表面を研磨して弾性層とする工程とを具備する。
【解決手段】芯金の外周に弾性層を具備するゴムロールの製造方法であって、前記芯金の外周にハロゲンを有さないゴム基材を含むゴム組成物を硬化させて弾性体を成形する工程と、前記弾性体の軸方向端部を加工する工程と、加工された弾性体を具備する前記芯金をめっき処理する工程と、めっき処理後に前記弾性体の表面を研磨して弾性層とする工程とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動改札機、現金預金支払機、両替機、プリンター、複写機等において用いるゴムロールの製造方法に関し、かかるゴムロールは、特に電子写真式複写機及びプリンター、またはトナージェット式複写機及びプリンター等の画像形成装置に用いられる帯電ロール、転写ロール、現像ロール、トナー供給ロール、クリーニングロール等の導電性ゴムロールとして好適なものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真式複写機及びプリンターなどの画像形成装置に用いられるゴムロールの芯金は、防錆を目的としてめっきが施されている。しかしながら、ゴムを芯金につける際に、メッキ処理部を剥がす加工を行うことがあった。また、芯金の外周に形成した弾性層を所定の大きさに突っ切りする際に、芯金の表面に傷がつき、長期間使用すると芯金に錆が発生するなどの問題があった。
【0003】
そこで、めっきせずに先にゴム部と金属部とを加硫接着して成形品とし、この段階で仕上げ工程を行い、その後に最終工程としてメッキ処理を施すというゴム金属一体成形品の後メッキ処理方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1の実施例で製造されるクロロプレンゴムからなるゴム成形品は、芯金に錆が発生するという問題があった。また、所望のゴムロール特性が得られなかった。
【特許文献1】特開平2−066196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情に鑑み、耐久性及び表面性に優れたゴムロールの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、芯金の外周に弾性層を具備するゴムロールの製造方法であって、前記芯金の外周にハロゲンを有さないゴム基材を含むゴム組成物を硬化させて弾性体を成形する工程と、前記弾性体の軸方向端部を加工する工程と、加工した弾性体を具備する前記芯金をめっき処理する工程と、めっき処理後に前記弾性体の表面を研磨して弾性層とする工程とを具備することを特徴とするゴムロールの製造方法にある。
【0006】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載のゴムロールの製造方法において、前記ゴム基材として、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1つを用いることを特徴とするゴムロールの製造方法にある。
【0007】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載のゴムロールの製造方法において、前記弾性層にイソシアネート化合物を含有する表面処理液を用いて含浸処理することにより、当該弾性層の表層部に表面処理層を設ける工程を具備することを特徴とするゴムロールの製造方法にある。
【0008】
本発明の第4の態様は、第1又は第2の態様に記載のゴムロールの製造方法において、前記弾性層の表面にコート層を設ける工程を具備することを特徴とするゴムロールの製造方法にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、耐久性及び表面性に優れたゴムロールの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明にかかるゴムロールの製造方法は、芯金の外周に弾性層を具備するゴムロールの製造方法であって、芯金の外周にハロゲンを有さないゴム基材を含むゴム組成物を硬化させて弾性体を成形する工程と、弾性体の軸方向端部を加工する工程と、加工した弾性体を具備する芯金をめっき処理する工程と、めっき処理後に弾性体の表面を研磨して弾性層とする工程とを具備する。前述した工程を具備することにより、芯金の錆が防止されて耐久性に優れたゴムロールを製造することができる。また、弾性層の表面性に優れたゴムロールを製造することができる。
【0011】
本発明のゴムロールの製造方法により製造されるゴムロールは、芯金の外周に弾性層を具備するものである。かかるゴムロールの芯金は、弾性層により被覆されている覆部が無めっき、弾性層に被覆されていない露出部がめっきされたものとなっている。このゴムロールは、弾性層の表層部に表面処理層を具備していてもよく、弾性層の表面にコート層を具備していてもよい。
【0012】
以下、本発明のゴムロールの製造方法について説明する。
【0013】
まず、芯金の外周にハロゲンを有さないゴム基材を含むゴム組成物を硬化させて弾性体を成形する。
【0014】
芯金としては、SUM、SUS、アルミ等が挙げられる。
【0015】
ここで用いるゴム基材は、ハロゲンを有さないものであれば特に限定されないが、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、
エチレンプロピレンゴム(EPDM)が挙げられる。これらのゴム基材は併用してもよく、用途・目的に応じて、種類、組み合わせを適宜選択する。ハロゲンを有さないゴム基材を用いて弾性体を成形することにより、芯金が錆びるのを防止することができる。ハロゲンを有するゴム基材を用いて弾性体を成形すると、ハロゲンにより芯金が酸化されてしまう。
【0016】
上述したゴム基材に、必要に応じて、導電性付与剤、発泡剤、発泡助剤、加硫剤、加硫促進剤、充填剤等を混合したゴム組成物を硬化させることにより弾性体を成形する。なお、弾性体はインジェクション成形、押出成形などにより成形すればよい。
【0017】
弾性体は、ソリッド(無発泡)でもスポンジ(発泡体)でもよい。
【0018】
弾性体に導電性を付与する場合は、導電性付与剤を添加する。導電性付与剤としては、カーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックは、種々の性質を持ったものがあるが、カーボン微粉末を用いるのが好ましい。なお、カーボンブラックを添加して発泡弾性体を成形する場合は、カーボンブラックを十分に分散させることが好ましい。カーボンブラックの分散性が不良であると、成形される弾性体の圧縮永久ひずみが大きくなりやすいためである。また、カーボンブラックを多量に添加する場合には、圧縮永久ひずみに影響を与え難い、例えば、吸油量が小さいもの、粒径が大きいもの、ストラクチャーを形成し難いものなどを用いるのが好ましい。
【0019】
また、上述したゴム基材からなる弾性体の外周に第2の弾性体を設けてもよい。なお、第2の弾性体のゴム基材は特に限定されない。
【0020】
次に、弾性体の軸方向端部を加工する。弾性体の軸方向端部を突っ切り等することにより、所定の幅の弾性体とする。後述するめっき処理の前に、弾性体の軸方向端部を加工することにより、弾性体の加工の際に芯金の表面に傷がついたとしても、当該傷部にもめっき処理が施される。このため、傷から芯金に錆が発生する虞がなく、長期間に亘って安定して使用できるゴムロールとすることができる。
【0021】
次いで、芯金をめっき処理する。ここでいうめっき処理とは、脱脂及び酸処理を行った後に、めっきし、最後に洗浄して乾燥を行う処理のことである。めっきは、無電解めっき液による無電解めっきである。かかる無電解めっき液は、析出金属の他に、必要に応じて安定剤、還元剤、錯化剤、還元補助剤、界面活性剤等を含有する。析出金属としては、ニッケル、ニッケル−タングステン合金、ニッケル−PTFE複合、銅、スズ、金等が挙げられる。なお、めっきは複数回行ってもよい。また、脱脂及び酸処理は、それぞれ1回以上行えばよく、例えば、脱脂を1回以上行った後に酸処理を1回以上行っても、脱脂の後に酸処理を行うという操作を繰り返してもよい。なお、脱脂や酸処理の後には、適宜、水洗又は湯洗を行う。
【0022】
めっきの際には、外周に弾性体を具備する芯金を無電解めっき液中に浸漬させる。すなわち、無電解めっき液中にロール形状物全体(芯金及び弾性体)を浸漬させる。
【0023】
めっき処理により、芯金は、弾性体により被覆されている覆部が無めっき、弾性体に被覆されていない露出部がめっきされた状態となる。芯金の露出部には、例えば、厚さ1〜10μmのめっき層が形成される。
【0024】
次いで、弾性体の表面を研磨して弾性層とする。めっき処理後に弾性体の表面を研磨することにより、弾性体の表面に付着した無電解めっき液の成分(主に析出金属)が除去された状態となる。すなわち、弾性体の表面の研磨により、めっき処理の洗浄だけでは十分に除去することができなった成分を完全に除去することができる。かかる弾性層の表面は、表面性、例えば、被着体に対する濡れ性(タック)に優れたものとなる。また、導電性を付与した弾性層の場合、表面に付着した析出金属による電気抵抗値のばらつきが発生することなく、電気抵抗値が安定したものとなる。
【0025】
このようにして製造したゴムロールは、芯金とゴム基材の接着性に優れたものである。
【0026】
本発明のゴムロールの製造方法によれば、芯金の露出部のみにめっきを行うことになるため、無電解めっき液が少量でよく、ゴムロールのコストが低下する。
【0027】
また、シリコーンゴムをゴム基材として用いて弾性体を成形した場合は、全体をめっきした芯金に弾性体を被覆するという方法に比べて工程が少なく、よりコストを低下させることができる。めっきした芯金とシリコーンゴムとは接着性が悪く、弾性体に被覆される覆部の芯金のめっきを除去する工程が必要となるが、この工程が不要となるためである。
【0028】
なお、弾性層の表層部に表面処理層を設けてゴムロールとしてもよく、弾性層の表面にコート層を設けてゴムロールとしてもよい。上述した方法により製造された弾性層は、表面性に優れるものであるので、表面処理層やコート層を設ける際にムラが発生することがない。また、コート層を設ける場合には、弾性層とコート層との接着性に優れたものとなる。
【0029】
弾性層の表層部に表面処理層を設ける場合は、弾性層にイソシアネート化合物を含有する表面処理液を用いて含浸処理を行う。ここで、含浸処理とは、弾性層に表面処理液を含浸させた後、有機溶剤を除去し、イソシアネート化合物等の含有成分を硬化させる処理のことをいう。弾性層に含浸したイソシアネート化合物が、他のイソシアネート化合物、他の含有成分(フッ素系ポリマー等)、弾性層を構成するゴム基材などと反応し、これらの架橋構造が弾性層の内部に形成される。これにより、処理液を含浸させる前の弾性層に比べて、耐摩耗性に優れたゴムロールとなる。
【0030】
表面処理層は、弾性体を表面処理液に浸漬させる又は表面処理液をスプレー塗布などにより塗布し、乾燥硬化させることにより形成することができ、表面処理液は導電性弾性体の表層部に含浸されて表面処理層となる。弾性体の表層部に表面処理液を含浸・硬化させて表面処理層を設けることで、表面処理層は、弾性体の表層部に含浸されて一体的に設けられる。このような表面処理層は、主にイソシアネート成分が硬化して形成されたもので、イソシアネート成分の密度が表面から内部に向かって漸次疎になるように一体的に形成される。
【0031】
ここで、表面処理液は、有機溶剤に、少なくともイソシアネート成分を溶解させたものである。
【0032】
表面処理液に含まれるイソシアネート成分としては、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)及び3,3−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)などのイソシアネート化合物、および前記の多量体および変性体などを挙げることができる。さらに、ポリオールとイソシアネートからなるプレポリマーを挙げることができる。
【0033】
また、表面処理液には、ポリエーテル系ポリマー、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーから選択されるポリマーを含有させてもよく、導電性付与材としてさらにアセチレンブラック、ケッチェンブラック、トーカブラック等のカーボンブラックを添加してもよい。
【0034】
さらに、表面処理液は、イソシアネート成分、および必要に応じて含有されるこれらポリエーテル系ポリマー、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーを溶解する有機溶剤を含有する。有機溶剤としては特に限定されないが、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン等の有機溶剤を用いればよい。
【0035】
また、弾性層の表面にコート層を設ける場合は、例えば、弾性体にコーティング剤を塗布し、乾燥硬化させることにより、コート層13を成形する。コーティング剤としては、ウレタン、アクリルウレタン、ナイロン、NBR等の周知の材料を用いることができる。なお、コーティング剤を塗布する方法としては、ディップコート法、ゴムロールコート法、スプレーコート法等を用いるのが好適である。
【0036】
本発明のゴムロールの製造方法により製造されるゴムロールは、自動改札機、現金預金支払機、両替機、プリンター、複写機等において用いることができ、電子写真式複写機及びプリンター、またはトナージェット式複写機及びプリンター等の画像形成装置に用いられる帯電ロール、転写ロール、現像ロール、トナー供給ロール、クリーニングロール等の導電性ゴムロールとして特に好適である。
【0037】
以下本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
(実施例1)
シリコーンゴムに、カーボンブラック、加硫剤、加硫促進剤を添加してゴムロールミキサーで混練りしてゴム組成物を得た。このゴム組成物をφ6mm×240mmのSUM材からなる芯金に押出し成形後、200℃で30分間加硫を行い、芯金の外周に内径φ6mm、外径φ9mmの弾性体を得た。得られた弾性体の軸方向端部を突っ切りすることにより、内径φ6mm×外径φ9mm×176mmの弾性体を具備するロール形状物を得た。このとき、芯金は弾性体の軸方向端部からそれぞれ32mm露出した状態とした。
【0039】
そして、ロール形状物(の芯金)を脱脂及び酸処理を60℃で複数回行った後、90℃に保ったニッケルを含む無電解めっき液に浸漬させた。無電解めっき液から取り出したロール形状物を水洗した後、110℃で10分間乾燥させた。最後に、ロール形状物の弾性体表面を研磨加工して弾性層とし、実施例1のゴムロールを得た。
【0040】
(実施例2)
シリコーンゴムの代わりにウレタンゴムを用いた以外は実施例1と同様にして実施例2のゴムロールを得た。
【0041】
(実施例3)
シリコーンゴムの代わりにアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例3のゴムロールを得た。
【0042】
(比較例1)
SUM材からなる芯金の全体をめっき処理した後に、芯金の弾性体が被覆する部分のめっきを除去し、当該芯金の外周に弾性体を成形するようにした以外は、実施例1と同様にして比較例1のゴムロールを得た。
【0043】
(比較例2)
SUM材からなる芯金の全体をめっき処理した後に、当該芯金の外周に弾性体を成形するようにした以外は、実施例2と同様にして比較例2のゴムロールを得た。
【0044】
(比較例3)
SUM材からなる芯金の全体をめっき処理した後に、当該芯金の外周に弾性体を成形するようにした以外は、実施例3と同様にして比較例3のゴムロールを得た。
【0045】
(比較例4)
シリコーンゴムの代わりにエピクロロヒドリンゴムを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例4のゴムロールを得た。
【0046】
(比較例5)
SUM材からなる芯金の全体をめっき処理した後に、当該芯金の外周に弾性体を成形するようにした以外は、比較例4と同様にして比較例5のゴムロールを得た。
【0047】
(試験例1)耐久試験
実施例1〜3及び比較例1〜5のゴムロールをHH環境(50℃×90%)下で放置した。1日毎にゴムロールを平面状で転がして、ゴムロールの弾性層表面の膨れ発生の有無を目視により確認した。なお、実施例1〜3及び比較例4のゴムロールは各5本、比較例1〜3及び5のゴムロールは各3本確認し、1本も膨れが発生していない場合を○、1本以上で膨れが発生した場合を×とした。結果を表1に示す。
【0048】
7日放置後の各ゴムロールの表面の形状を真円度・円筒形状測定機(Roncorder EC1850;小坂研究所社製)により測定した。図1〜8に測定結果を示す。
【0049】
また、7日放置後の実施例1〜3及び比較例1のゴムロールの芯金の外観を目視により観察した。各ゴムロールの芯金の写真を図9〜12に示す。
【0050】
さらに、7日間放置後の実施例1〜3及び比較例1のゴムロールの弾性層を剥いで芯金と弾性層の接着状態を確認した。このときのゴムロールの写真を図13〜16に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
ゴム基材として、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRを用いた実施例1〜3のゴムロールは、比較例1〜3のゴムロールと同様にゴムロール表面に変化がなかった。また、実施例1〜3及び比較例1〜3のゴムロールは、図1〜6に示すように、表面に凹凸がほとんどなく、芯金の表面に錆が発生していないことが確認された。これより、本発明の製造方法により製造したゴムロールは、芯金の全体にめっき処理をした後に弾性体を被覆させて成形したゴムロールと同様に、耐久性に優れたものであることがわかった。
【0053】
これに対し、エピクロルロヒドリンゴムを用いた比較例4と比較例5のゴムロールは、いずれもすぐに表面に膨れが発生しており、図7及び8の写真においても表面に凹凸が確認された。芯金に錆が発生したためであると考えられる。
【0054】
また、図9〜11に示すように、実施例1〜3のゴムロールの芯金では目視による錆は確認されなかった。これに対し、エピクロルヒドリンゴムからなる比較例1のゴムロールの芯金では錆が確認された。図12〜15に示すように、実施例1〜3のゴムロールでは、芯金と弾性層との接着性が高く、弾性層をはがすことができなかったのに対し、図16に示すように、比較例1のゴムロールは、弾性層が容易に剥がれて、芯金の表面は薄茶色となっており錆が確認された。これより、ハロゲンを有さないゴム基材からなる実施例1〜3のゴムロールは、錆が発生することなく、耐久性に優れるものであることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例1のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図2】比較例1のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図3】実施例2のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図4】比較例2のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図5】実施例3のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図6】比較例3のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図7】比較例4のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図8】比較例5のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図9】実施例1のゴムロールの芯金の写真である。
【図10】実施例2のゴムロールの芯金の写真である。
【図11】実施例3のゴムロールの芯金の写真である。
【図12】比較例1のゴムロールの芯金の写真である。
【図13】実施例1の接着状態の確認試験後のゴムロールの写真である。
【図14】実施例2の接着状態の確認試験後のゴムロールの写真である。
【図15】実施例3の接着状態の確認試験後のゴムロールの写真である。
【図16】比較例1の接着状態の確認試験後のゴムロールの写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動改札機、現金預金支払機、両替機、プリンター、複写機等において用いるゴムロールの製造方法に関し、かかるゴムロールは、特に電子写真式複写機及びプリンター、またはトナージェット式複写機及びプリンター等の画像形成装置に用いられる帯電ロール、転写ロール、現像ロール、トナー供給ロール、クリーニングロール等の導電性ゴムロールとして好適なものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真式複写機及びプリンターなどの画像形成装置に用いられるゴムロールの芯金は、防錆を目的としてめっきが施されている。しかしながら、ゴムを芯金につける際に、メッキ処理部を剥がす加工を行うことがあった。また、芯金の外周に形成した弾性層を所定の大きさに突っ切りする際に、芯金の表面に傷がつき、長期間使用すると芯金に錆が発生するなどの問題があった。
【0003】
そこで、めっきせずに先にゴム部と金属部とを加硫接着して成形品とし、この段階で仕上げ工程を行い、その後に最終工程としてメッキ処理を施すというゴム金属一体成形品の後メッキ処理方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1の実施例で製造されるクロロプレンゴムからなるゴム成形品は、芯金に錆が発生するという問題があった。また、所望のゴムロール特性が得られなかった。
【特許文献1】特開平2−066196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情に鑑み、耐久性及び表面性に優れたゴムロールの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、芯金の外周に弾性層を具備するゴムロールの製造方法であって、前記芯金の外周にハロゲンを有さないゴム基材を含むゴム組成物を硬化させて弾性体を成形する工程と、前記弾性体の軸方向端部を加工する工程と、加工した弾性体を具備する前記芯金をめっき処理する工程と、めっき処理後に前記弾性体の表面を研磨して弾性層とする工程とを具備することを特徴とするゴムロールの製造方法にある。
【0006】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載のゴムロールの製造方法において、前記ゴム基材として、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1つを用いることを特徴とするゴムロールの製造方法にある。
【0007】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載のゴムロールの製造方法において、前記弾性層にイソシアネート化合物を含有する表面処理液を用いて含浸処理することにより、当該弾性層の表層部に表面処理層を設ける工程を具備することを特徴とするゴムロールの製造方法にある。
【0008】
本発明の第4の態様は、第1又は第2の態様に記載のゴムロールの製造方法において、前記弾性層の表面にコート層を設ける工程を具備することを特徴とするゴムロールの製造方法にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、耐久性及び表面性に優れたゴムロールの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明にかかるゴムロールの製造方法は、芯金の外周に弾性層を具備するゴムロールの製造方法であって、芯金の外周にハロゲンを有さないゴム基材を含むゴム組成物を硬化させて弾性体を成形する工程と、弾性体の軸方向端部を加工する工程と、加工した弾性体を具備する芯金をめっき処理する工程と、めっき処理後に弾性体の表面を研磨して弾性層とする工程とを具備する。前述した工程を具備することにより、芯金の錆が防止されて耐久性に優れたゴムロールを製造することができる。また、弾性層の表面性に優れたゴムロールを製造することができる。
【0011】
本発明のゴムロールの製造方法により製造されるゴムロールは、芯金の外周に弾性層を具備するものである。かかるゴムロールの芯金は、弾性層により被覆されている覆部が無めっき、弾性層に被覆されていない露出部がめっきされたものとなっている。このゴムロールは、弾性層の表層部に表面処理層を具備していてもよく、弾性層の表面にコート層を具備していてもよい。
【0012】
以下、本発明のゴムロールの製造方法について説明する。
【0013】
まず、芯金の外周にハロゲンを有さないゴム基材を含むゴム組成物を硬化させて弾性体を成形する。
【0014】
芯金としては、SUM、SUS、アルミ等が挙げられる。
【0015】
ここで用いるゴム基材は、ハロゲンを有さないものであれば特に限定されないが、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、
エチレンプロピレンゴム(EPDM)が挙げられる。これらのゴム基材は併用してもよく、用途・目的に応じて、種類、組み合わせを適宜選択する。ハロゲンを有さないゴム基材を用いて弾性体を成形することにより、芯金が錆びるのを防止することができる。ハロゲンを有するゴム基材を用いて弾性体を成形すると、ハロゲンにより芯金が酸化されてしまう。
【0016】
上述したゴム基材に、必要に応じて、導電性付与剤、発泡剤、発泡助剤、加硫剤、加硫促進剤、充填剤等を混合したゴム組成物を硬化させることにより弾性体を成形する。なお、弾性体はインジェクション成形、押出成形などにより成形すればよい。
【0017】
弾性体は、ソリッド(無発泡)でもスポンジ(発泡体)でもよい。
【0018】
弾性体に導電性を付与する場合は、導電性付与剤を添加する。導電性付与剤としては、カーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックは、種々の性質を持ったものがあるが、カーボン微粉末を用いるのが好ましい。なお、カーボンブラックを添加して発泡弾性体を成形する場合は、カーボンブラックを十分に分散させることが好ましい。カーボンブラックの分散性が不良であると、成形される弾性体の圧縮永久ひずみが大きくなりやすいためである。また、カーボンブラックを多量に添加する場合には、圧縮永久ひずみに影響を与え難い、例えば、吸油量が小さいもの、粒径が大きいもの、ストラクチャーを形成し難いものなどを用いるのが好ましい。
【0019】
また、上述したゴム基材からなる弾性体の外周に第2の弾性体を設けてもよい。なお、第2の弾性体のゴム基材は特に限定されない。
【0020】
次に、弾性体の軸方向端部を加工する。弾性体の軸方向端部を突っ切り等することにより、所定の幅の弾性体とする。後述するめっき処理の前に、弾性体の軸方向端部を加工することにより、弾性体の加工の際に芯金の表面に傷がついたとしても、当該傷部にもめっき処理が施される。このため、傷から芯金に錆が発生する虞がなく、長期間に亘って安定して使用できるゴムロールとすることができる。
【0021】
次いで、芯金をめっき処理する。ここでいうめっき処理とは、脱脂及び酸処理を行った後に、めっきし、最後に洗浄して乾燥を行う処理のことである。めっきは、無電解めっき液による無電解めっきである。かかる無電解めっき液は、析出金属の他に、必要に応じて安定剤、還元剤、錯化剤、還元補助剤、界面活性剤等を含有する。析出金属としては、ニッケル、ニッケル−タングステン合金、ニッケル−PTFE複合、銅、スズ、金等が挙げられる。なお、めっきは複数回行ってもよい。また、脱脂及び酸処理は、それぞれ1回以上行えばよく、例えば、脱脂を1回以上行った後に酸処理を1回以上行っても、脱脂の後に酸処理を行うという操作を繰り返してもよい。なお、脱脂や酸処理の後には、適宜、水洗又は湯洗を行う。
【0022】
めっきの際には、外周に弾性体を具備する芯金を無電解めっき液中に浸漬させる。すなわち、無電解めっき液中にロール形状物全体(芯金及び弾性体)を浸漬させる。
【0023】
めっき処理により、芯金は、弾性体により被覆されている覆部が無めっき、弾性体に被覆されていない露出部がめっきされた状態となる。芯金の露出部には、例えば、厚さ1〜10μmのめっき層が形成される。
【0024】
次いで、弾性体の表面を研磨して弾性層とする。めっき処理後に弾性体の表面を研磨することにより、弾性体の表面に付着した無電解めっき液の成分(主に析出金属)が除去された状態となる。すなわち、弾性体の表面の研磨により、めっき処理の洗浄だけでは十分に除去することができなった成分を完全に除去することができる。かかる弾性層の表面は、表面性、例えば、被着体に対する濡れ性(タック)に優れたものとなる。また、導電性を付与した弾性層の場合、表面に付着した析出金属による電気抵抗値のばらつきが発生することなく、電気抵抗値が安定したものとなる。
【0025】
このようにして製造したゴムロールは、芯金とゴム基材の接着性に優れたものである。
【0026】
本発明のゴムロールの製造方法によれば、芯金の露出部のみにめっきを行うことになるため、無電解めっき液が少量でよく、ゴムロールのコストが低下する。
【0027】
また、シリコーンゴムをゴム基材として用いて弾性体を成形した場合は、全体をめっきした芯金に弾性体を被覆するという方法に比べて工程が少なく、よりコストを低下させることができる。めっきした芯金とシリコーンゴムとは接着性が悪く、弾性体に被覆される覆部の芯金のめっきを除去する工程が必要となるが、この工程が不要となるためである。
【0028】
なお、弾性層の表層部に表面処理層を設けてゴムロールとしてもよく、弾性層の表面にコート層を設けてゴムロールとしてもよい。上述した方法により製造された弾性層は、表面性に優れるものであるので、表面処理層やコート層を設ける際にムラが発生することがない。また、コート層を設ける場合には、弾性層とコート層との接着性に優れたものとなる。
【0029】
弾性層の表層部に表面処理層を設ける場合は、弾性層にイソシアネート化合物を含有する表面処理液を用いて含浸処理を行う。ここで、含浸処理とは、弾性層に表面処理液を含浸させた後、有機溶剤を除去し、イソシアネート化合物等の含有成分を硬化させる処理のことをいう。弾性層に含浸したイソシアネート化合物が、他のイソシアネート化合物、他の含有成分(フッ素系ポリマー等)、弾性層を構成するゴム基材などと反応し、これらの架橋構造が弾性層の内部に形成される。これにより、処理液を含浸させる前の弾性層に比べて、耐摩耗性に優れたゴムロールとなる。
【0030】
表面処理層は、弾性体を表面処理液に浸漬させる又は表面処理液をスプレー塗布などにより塗布し、乾燥硬化させることにより形成することができ、表面処理液は導電性弾性体の表層部に含浸されて表面処理層となる。弾性体の表層部に表面処理液を含浸・硬化させて表面処理層を設けることで、表面処理層は、弾性体の表層部に含浸されて一体的に設けられる。このような表面処理層は、主にイソシアネート成分が硬化して形成されたもので、イソシアネート成分の密度が表面から内部に向かって漸次疎になるように一体的に形成される。
【0031】
ここで、表面処理液は、有機溶剤に、少なくともイソシアネート成分を溶解させたものである。
【0032】
表面処理液に含まれるイソシアネート成分としては、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)及び3,3−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)などのイソシアネート化合物、および前記の多量体および変性体などを挙げることができる。さらに、ポリオールとイソシアネートからなるプレポリマーを挙げることができる。
【0033】
また、表面処理液には、ポリエーテル系ポリマー、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーから選択されるポリマーを含有させてもよく、導電性付与材としてさらにアセチレンブラック、ケッチェンブラック、トーカブラック等のカーボンブラックを添加してもよい。
【0034】
さらに、表面処理液は、イソシアネート成分、および必要に応じて含有されるこれらポリエーテル系ポリマー、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーを溶解する有機溶剤を含有する。有機溶剤としては特に限定されないが、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン等の有機溶剤を用いればよい。
【0035】
また、弾性層の表面にコート層を設ける場合は、例えば、弾性体にコーティング剤を塗布し、乾燥硬化させることにより、コート層13を成形する。コーティング剤としては、ウレタン、アクリルウレタン、ナイロン、NBR等の周知の材料を用いることができる。なお、コーティング剤を塗布する方法としては、ディップコート法、ゴムロールコート法、スプレーコート法等を用いるのが好適である。
【0036】
本発明のゴムロールの製造方法により製造されるゴムロールは、自動改札機、現金預金支払機、両替機、プリンター、複写機等において用いることができ、電子写真式複写機及びプリンター、またはトナージェット式複写機及びプリンター等の画像形成装置に用いられる帯電ロール、転写ロール、現像ロール、トナー供給ロール、クリーニングロール等の導電性ゴムロールとして特に好適である。
【0037】
以下本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
(実施例1)
シリコーンゴムに、カーボンブラック、加硫剤、加硫促進剤を添加してゴムロールミキサーで混練りしてゴム組成物を得た。このゴム組成物をφ6mm×240mmのSUM材からなる芯金に押出し成形後、200℃で30分間加硫を行い、芯金の外周に内径φ6mm、外径φ9mmの弾性体を得た。得られた弾性体の軸方向端部を突っ切りすることにより、内径φ6mm×外径φ9mm×176mmの弾性体を具備するロール形状物を得た。このとき、芯金は弾性体の軸方向端部からそれぞれ32mm露出した状態とした。
【0039】
そして、ロール形状物(の芯金)を脱脂及び酸処理を60℃で複数回行った後、90℃に保ったニッケルを含む無電解めっき液に浸漬させた。無電解めっき液から取り出したロール形状物を水洗した後、110℃で10分間乾燥させた。最後に、ロール形状物の弾性体表面を研磨加工して弾性層とし、実施例1のゴムロールを得た。
【0040】
(実施例2)
シリコーンゴムの代わりにウレタンゴムを用いた以外は実施例1と同様にして実施例2のゴムロールを得た。
【0041】
(実施例3)
シリコーンゴムの代わりにアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例3のゴムロールを得た。
【0042】
(比較例1)
SUM材からなる芯金の全体をめっき処理した後に、芯金の弾性体が被覆する部分のめっきを除去し、当該芯金の外周に弾性体を成形するようにした以外は、実施例1と同様にして比較例1のゴムロールを得た。
【0043】
(比較例2)
SUM材からなる芯金の全体をめっき処理した後に、当該芯金の外周に弾性体を成形するようにした以外は、実施例2と同様にして比較例2のゴムロールを得た。
【0044】
(比較例3)
SUM材からなる芯金の全体をめっき処理した後に、当該芯金の外周に弾性体を成形するようにした以外は、実施例3と同様にして比較例3のゴムロールを得た。
【0045】
(比較例4)
シリコーンゴムの代わりにエピクロロヒドリンゴムを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例4のゴムロールを得た。
【0046】
(比較例5)
SUM材からなる芯金の全体をめっき処理した後に、当該芯金の外周に弾性体を成形するようにした以外は、比較例4と同様にして比較例5のゴムロールを得た。
【0047】
(試験例1)耐久試験
実施例1〜3及び比較例1〜5のゴムロールをHH環境(50℃×90%)下で放置した。1日毎にゴムロールを平面状で転がして、ゴムロールの弾性層表面の膨れ発生の有無を目視により確認した。なお、実施例1〜3及び比較例4のゴムロールは各5本、比較例1〜3及び5のゴムロールは各3本確認し、1本も膨れが発生していない場合を○、1本以上で膨れが発生した場合を×とした。結果を表1に示す。
【0048】
7日放置後の各ゴムロールの表面の形状を真円度・円筒形状測定機(Roncorder EC1850;小坂研究所社製)により測定した。図1〜8に測定結果を示す。
【0049】
また、7日放置後の実施例1〜3及び比較例1のゴムロールの芯金の外観を目視により観察した。各ゴムロールの芯金の写真を図9〜12に示す。
【0050】
さらに、7日間放置後の実施例1〜3及び比較例1のゴムロールの弾性層を剥いで芯金と弾性層の接着状態を確認した。このときのゴムロールの写真を図13〜16に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
ゴム基材として、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRを用いた実施例1〜3のゴムロールは、比較例1〜3のゴムロールと同様にゴムロール表面に変化がなかった。また、実施例1〜3及び比較例1〜3のゴムロールは、図1〜6に示すように、表面に凹凸がほとんどなく、芯金の表面に錆が発生していないことが確認された。これより、本発明の製造方法により製造したゴムロールは、芯金の全体にめっき処理をした後に弾性体を被覆させて成形したゴムロールと同様に、耐久性に優れたものであることがわかった。
【0053】
これに対し、エピクロルロヒドリンゴムを用いた比較例4と比較例5のゴムロールは、いずれもすぐに表面に膨れが発生しており、図7及び8の写真においても表面に凹凸が確認された。芯金に錆が発生したためであると考えられる。
【0054】
また、図9〜11に示すように、実施例1〜3のゴムロールの芯金では目視による錆は確認されなかった。これに対し、エピクロルヒドリンゴムからなる比較例1のゴムロールの芯金では錆が確認された。図12〜15に示すように、実施例1〜3のゴムロールでは、芯金と弾性層との接着性が高く、弾性層をはがすことができなかったのに対し、図16に示すように、比較例1のゴムロールは、弾性層が容易に剥がれて、芯金の表面は薄茶色となっており錆が確認された。これより、ハロゲンを有さないゴム基材からなる実施例1〜3のゴムロールは、錆が発生することなく、耐久性に優れるものであることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例1のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図2】比較例1のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図3】実施例2のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図4】比較例2のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図5】実施例3のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図6】比較例3のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図7】比較例4のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図8】比較例5のゴムロールの表面の測定結果の写真である。
【図9】実施例1のゴムロールの芯金の写真である。
【図10】実施例2のゴムロールの芯金の写真である。
【図11】実施例3のゴムロールの芯金の写真である。
【図12】比較例1のゴムロールの芯金の写真である。
【図13】実施例1の接着状態の確認試験後のゴムロールの写真である。
【図14】実施例2の接着状態の確認試験後のゴムロールの写真である。
【図15】実施例3の接着状態の確認試験後のゴムロールの写真である。
【図16】比較例1の接着状態の確認試験後のゴムロールの写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金の外周に弾性層を具備するゴムロールの製造方法であって、前記芯金の外周にハロゲンを有さないゴム基材を含むゴム組成物を硬化させて弾性体を成形する工程と、前記弾性体の軸方向端部を加工する工程と、加工した弾性体を具備する前記芯金をめっき処理する工程と、めっき処理後に前記弾性体の表面を研磨して弾性層とする工程とを具備することを特徴とするゴムロールの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のゴムロールの製造方法において、前記ゴム基材として、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1つを用いることを特徴とするゴムロールの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のゴムロールの製造方法において、前記弾性層にイソシアネート化合物を含有する表面処理液を用いて含浸処理することにより、当該弾性層の表層部に表面処理層を設ける工程を具備することを特徴とするゴムロールの製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のゴムロールの製造方法において、前記弾性層の表面にコート層を設ける工程を具備することを特徴とするゴムロールの製造方法。
【請求項1】
芯金の外周に弾性層を具備するゴムロールの製造方法であって、前記芯金の外周にハロゲンを有さないゴム基材を含むゴム組成物を硬化させて弾性体を成形する工程と、前記弾性体の軸方向端部を加工する工程と、加工した弾性体を具備する前記芯金をめっき処理する工程と、めっき処理後に前記弾性体の表面を研磨して弾性層とする工程とを具備することを特徴とするゴムロールの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のゴムロールの製造方法において、前記ゴム基材として、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムからなる群から選択される少なくとも1つを用いることを特徴とするゴムロールの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のゴムロールの製造方法において、前記弾性層にイソシアネート化合物を含有する表面処理液を用いて含浸処理することにより、当該弾性層の表層部に表面処理層を設ける工程を具備することを特徴とするゴムロールの製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のゴムロールの製造方法において、前記弾性層の表面にコート層を設ける工程を具備することを特徴とするゴムロールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−91020(P2010−91020A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262266(P2008−262266)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(000227412)シンジーテック株式会社 (99)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(000227412)シンジーテック株式会社 (99)
【Fターム(参考)】
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