説明

ゴム混合物

【課題】加硫の後に顕著に低いヒステリシス損失を含む改善された動的挙動を有するゴム混合物を提供する。
【解決手段】明細書に記載の特定のゴム(A)少なくとも1種と、酸化物性充填剤(B)少なくとも1種と、明細書に記載の一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミド(C)少なくとも1種とを含むゴム混合物によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム混合物、その製造及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、R3−X1−C(O)−N=N−C(O)−X1−R4と(R13-a(R2aSi−RI−NH2との反応によるケイ素含有のアゾジカルバミドの製造方法を開示している。
【0003】
特許文献2は、一般式Y−X−CO−N=N−CO−X1−Zの化合物及び該化合物を充填剤を含有するゴムコンパウンド中で用いる使用を開示している。
【0004】
特許文献3は、さらに、硫黄含有のシランと一緒にイソプレンゴム中で使用される、一般式A−CO−N=N−CO−Z−Gの化合物を開示している。
【0005】
特許文献4は、コーティング剤と一緒にイソプレンゴム中で使用される、一般式A−CO−N=N−CO−Z−Gの化合物を開示している。
【0006】
オルガノ(アルキルポリエーテルシラン)を含む公知のゴム混合物の欠点は、高いヒステリシス損失を含む粗悪な動的挙動である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE102010003387.1
【特許文献2】DE2704506
【特許文献3】US20090234066A1
【特許文献4】US20090186961A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、加硫の後に顕著に低いヒステリシス損失を含む改善された動的挙動を有するゴム混合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ゴム混合物であって、
(A)エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(EPDM)、エチレン−プロピレンコポリマー(EPM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロポリエチレン(CM)、クロロイソブテン−イソプレン(クロロブチル)ゴム(CIIR)、クロロスルホニルポリエチレン(CSM)、エチレン−ビニルアセテートコポリマー(EAM)、アルキルアクリレートコポリマー(ACM)、ポリエステルポリウレタン(AU)、ポリエーテルポリウレタン(EU)、ブロモ−イソブテン−イソプレン(ブロモブチル)ゴム(BIIR)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CFM)、イソブテン−イソプレンゴム(ブチルゴム、IIR)、イソブテンゴム(IM)、ポリイソプレン(IR)、熱可塑性ポリエステルポリウレタン(YAU)、熱可塑性ポリエーテルポリウレタン(YEU)、ポリマー鎖上にメチル基を有するシリコーンゴム(MQ)、水素化されたアクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)又はカルボキシル化されたアクリロニトリル−ブタジエンゴム(XNBR)、好ましくはエチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(EPDM)の群から選択される少なくとも1種のゴムと、
(B)少なくとも1種の酸化物性充填剤と、
(C)一般式I
【化1】

[式中、
1は、互いに独立して、置換もしくは非置換のC1〜C18−アルキル基、好ましくはC1〜C10−アルキル基、より好ましくはC1〜C6−アルキル基、最も好ましくはC1−アルキル基、C5〜C18−シクロアルキル基、好ましくはC6−シクロアルキル基、又はC6〜C18−アリール基、好ましくはフェニルであり、
2は、互いに独立して、−OH、置換もしくは非置換のC1〜C18−アルコキシ基、好ましくはCH3−O−、C25−O−、C37−O−、C1225−O−、C1429−O−、C1633−O−、C1837−O−、より好ましくはC25−O−、C5〜C18−シクロアルコキシ基、又はアルキルポリエーテル基O(CH2−CH2−O)n−R3もしくはO(CH(CH3)−CH2−O)n−R3(式中、nの平均は、1〜18であり、かつR3は、互いに独立して、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和の、一価のC1〜C32−炭化水素鎖である)であり、
Iは、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和の、脂肪族の、芳香族のもしくは脂肪族と芳香族の混合型の、二価のC1〜C30−炭化水素、好ましくはC1〜C20−炭化水素、より好ましくはC1〜C10−炭化水素、最も好ましくはC1〜C7−炭化水素であり、前記炭化水素は、所望であれば、F−、Cl−、Br−、I−、−CNもしくはHS−で置換されていてよく、
aは、互いに独立して、1、2もしくは3である]で示される少なくとも1種のケイ素含有のアゾジカルバミドと、
を含むことを特徴とするゴム混合物を提供する。
【0010】
Iは、好ましくは、
【化2】

であってよい。
【0011】
一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドは、好ましくは:
【化3】

であってよい。
【0012】
一般式I
【化4】

で示されるケイ素含有のアゾジカルバミドは、一般式II
5−X1−C(O)−N=N−C(O)−X1−R4 (II)
で示されるアゾビスカルボキシ化合物と、一般式III
(R13-a(R2aSi−RI−NH2 (III)
[前記式中、
1、R2、RI及びaは、上述と同じ意味を有し、かつ
1は、互いに独立して、O、NH又はN−A1であり、その際、A1は、C1〜C12−アルキル基又はアリール基であり、かつ
4及びR5は、互いに独立して、H、C1〜C18−アルキル基、ベンジル基(−CH2−C65)又はアルキルポリエーテル基(CH2−CH2−O)m−R5もしくは(CH(CH3)−CH2−O)m−R5であり、その際、mの平均は、1〜18である]で示されるアミノシランとの反応によって製造することができる。反応条件は、DE102010003387.1に記載されている。
【0013】
一般式IIIで示され、その式中、R2がアルキルポリエーテル基O(CH2−CH2−O)n−R3もしくはO(CH(CH3)−CH2−O)n−R3であるアミノシランは、一般式IIIで示され、その式中、R2が−OH、置換もしくは非置換のC1〜C18−アルコキシ基又はC5〜C18−シクロアルコキシ基であるアミノシランと、HO(CH2−CH2−O)n−R3もしくはHO(CH(CH3)−CH2−O)n−R3とのエステル交換反応によって製造することができる。該エステル交換反応の反応条件は、例えばEP1285926A1に記載されている。
【0014】
一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドは、代替的に、DE102010003387.1の一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドのエステル交換反応によって製造することができる。該エステル交換反応の反応条件は、例えばEP1285926A1に記載されている。
【0015】
前記のケイ素含有のアゾジカルバミドは、複数の一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドから構成される混合物であってよい。
【0016】
本発明のゴム混合物は、さらに、一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドの加水分解又は縮合によって生成されるオリゴマーを含有してよい。
【0017】
一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドは、純粋な形態で混合プロセスに添加されるか、あるいは有機もしくは無機の不活性担体上に吸収された形態で、あるいは有機もしくは無機の担体と予備反応された形態で添加されるか、のいずれかであってよい。好ましい担体材料は、沈降シリカもしくはフュームドシリカ、ワックス、熱可塑性樹脂、天然もしくは合成のケイ酸塩、天然もしくは合成の酸化物、例えば酸化アルミニウム又はカーボンブラックであってよい。一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドは、また、使用されるべき酸化物性充填剤と予備反応された形態で混合プロセスに添加することもできる。
【0018】
好ましいワックスは、50℃〜200℃の、好ましくは70℃〜180℃の、特に好ましくは90℃〜150℃の、非常に特に好ましくは100℃〜120℃の融点、溶融範囲又は軟化範囲を有するワックスであってよい。
【0019】
使用されるワックスは、オレフィン系ワックスであってよい。
【0020】
使用されるワックスは、飽和の及び不飽和の炭化水素鎖を有してよい。
【0021】
使用されるワックスは、ポリマー又はオリゴマー、好ましくはエマルジョンSBR及び/又は溶液SBRを含んでよい。
【0022】
使用されるワックスは、長鎖アルカン及び/又は長鎖カルボン酸を含んでよい。
【0023】
使用されるワックスは、エチレン−ビニルアセテート及び/又はポリビニルアルコールを含んでよい。
【0024】
一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドは、有機物質と物理的に混合された形態で、又は有機物質混合物と物理的に混合された形態で、混合プロセスに添加することができる。前記の有機物質又は有機物質混合物は、ポリマー又はオリゴマーを含んでよい。ポリマー又はオリゴマーは、ヘテロ原子を含むポリマー又はオリゴマー、例えばエチレン−ビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコールであってよい。
【0025】
以下の酸化物性充填剤は、本発明のゴム混合物のために使用することができる:
− 例としては、ケイ酸塩の溶液の沈殿(沈降シリカ)又はハロゲン化ケイ素の火炎加水分解(フュームドシリカ)を介して製造されるアモルファスシリカ。該アモルファスシリカの比表面積は、5〜1000m2/g、好ましくは20〜400m2/g(BET表面積)であってよく、かつその一次粒度は、10〜400nmであってよい。該シリカは、適宜、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化亜鉛及び酸化チタンなどの他の金属酸化物との混合酸化物の形態を採ってもよい。
【0026】
− 合成ケイ酸塩、例えばアルミニウムケイ酸塩又はアルカリ土類金属ケイ酸塩、例えばマグネシウムケイ酸塩又はカルシウムケイ酸塩。該合成ケイ酸塩のBET表面積は、20〜400m2/gであってよく、かつその一次粒径は、10〜400nmであってよい。
【0027】
− 合成もしくは天然のアルミニウム酸化物及び合成もしくは天然のアルミニウム水酸化物。
【0028】
− 天然のケイ酸塩、例えばカオリン及び他の天然産生シリカ。
【0029】
− ガラス繊維及びガラス繊維製品(マット、ストランド)又はガラスマイクロビーズ。
【0030】
ケイ酸塩の溶液の沈殿を介して製造されたBET表面積20〜400m2/gを有するアモルファスシリカ(沈降シリカ)を使用することが好ましいことがある。使用できるアモルファスシリカの量は、それぞれゴム100部に対して、5〜150質量部である(phr)。
【0031】
挙げられた充填剤は、単独もしくは混合物で使用することができる。
【0032】
特に好ましい一実施態様において、該ゴム混合物は、それぞれゴム100質量部に対して、10〜150質量部の酸化物性充填剤と一緒に、適宜、0〜100質量部のカーボンブラックと、また、1〜20質量部の一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドとを含有してよい。
【0033】
使用できるさらなる充填剤は、カーボンブラック、例えばフレームブラック、ファーネスブラック、ガスブラック又はサーマルブラック、又は合成もしくは天然の炭酸カルシウム、例えば沈降炭酸カルシウムである。前記カーボンブラックのBET表面積は、20〜200m2/gであってよい。前記カーボンブラックは、適宜、ケイ素などのヘテロ原子を含んでもよい。
【0034】
本発明によるゴム混合物の製造のための好ましい材料は、第三のモノマーを含有してよいエチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(EPDM)(エチレン−プロピレン−ターポリマー)である。
【0035】
本発明によるゴム混合物は、さらに、天然ゴム又は合成ゴムを含有してよい。好ましい合成ゴムは、例として、W.Hofmann,Kautschuktechnologie[Rubber technology],Center Verlag,Stuttgart 1980において記載されている。前記ゴムは、とりわけ
− ポリブタジエン(BR);
− ポリイソプレン(IR);
− スチレン−ブタジエンコポリマー(SBR)、例えばエマルジョンSBR(E−SBR)又は溶液SBR(S−SBR)[該スチレン−ブタジエンコポリマーは、1〜60質量%の、好ましくは2〜50質量%の、特に好ましくは10〜40質量%の、非常に特に好ましくは15〜35質量%のスチレン含有率を有してよい];
− クロロプレン(CR);
− イソブチレン−イソプレンコポリマー(IIR);
− ブタジエン−アクリロニトリルコポリマーであって、アクリロニトリル含有率が5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%(NBR)、特に好ましくは10〜45質量%(NBR)、非常に特に好ましくは19〜45質量%(NBR)であるコポリマー;
− 部分的に水素化された又は完全に水素化されたNBRゴム(HNBR);
− 前記のゴムであって、また官能基、例えばカルボキシ基、シラノール基もしくはエポキシ基、例えばエポキシ化NR、カルボキシ官能化されたNBR又はシラノール(−SiOH)官能化もしくはシリルアルコキシ(−Si−OR)官能化されたSBR;
又は前記ゴムの混合物を含む。
【0036】
本発明によるゴム混合物は、他のゴム助剤、例えば反応促進剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン劣化防止剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、増量剤、有機酸、遅延剤、金属酸化物及びまた活性化剤、例えばトリエタノールアミンもしくはヘキサントリオールを含んでよい。
【0037】
本発明のゴム混合物は、更なるシランを含んでよい。本発明のゴム混合物に添加することができる更なるシランは、エトキシシリル基を有するメルカプトオルガニルシラン及び/又はエトキシシリル基を有するチオシアナトオルガニルシラン及び/又はエトキシシリル基を有するブロックトメルカプトオルガニルシラン及び/又はエトキシシリル基を有するポリスルフィド性アルコキシシランである。
【0038】
本発明のゴム混合物に添加することができる更なるシランは、C817−O−基、C1021−O−基、C1225−O−基、C1429−O−基、C1633−O−基又はC1837−O−基をケイ素上に有するメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)である。
【0039】
本発明のゴム混合物に添加することができる更なるシランは、C817−O−基、C1021−O−基、C1225−O−基、C1429−O−基、C1633−O−基又はC1837−O−基をケイ素上に有するチオシアナトオルガニル(アルコキシシラン)である。
【0040】
本発明のゴム混合物に添加することができる更なるシランは、C817−O−基、C1021−O−基、C1225−O−基、C1429−O−基、C1633−O−基又はC1837−O−基をケイ素上に有するブロックトメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)である。
【0041】
本発明のゴム混合物に添加することができる更なるシランは、二官能性アルコール(ジオール)をケイ素上に有するブロックトメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)(例えばGeneral Electric社製のNXT LowV又はNXT Ultra−LowV)である。
【0042】
本発明のゴム混合物に添加することができる更なるシランは、C817−O−基、C1021−O−基、C1225−O−基、C1429−O−基、C1633−O−基又はC1837−O−基をケイ素上に有するポリスルフィド性アルコキシシランである。
【0043】
本発明のゴム混合物に添加することができる更なるシランは、式
【化5】

で示されるポリスルフィド性アルコキシシランである。
【0044】
本発明のゴム混合物に添加することができる更なるシランは、3−メルカプトプロピル(トリエトキシシラン)(例えばEvonik Degussa GmbH社製のSi 263)、3−チオシアナトプロピル(トリエトキシシラン)(例えばEvonik Degussa GmbH社製のSi 264)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(例えばEvonik Degussa GmbH社製のSi 69)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えばEvonik Degussa GmbH社製のSi 266)である。
【0045】
本発明のゴム混合物に添加することができる更なるシランは、アルキルポリエーテルアルコール含有のメルカプトオルガニルシラン(例えばEvonik Degussa GmbH社製のSi 363)及び/又はアルキルポリエーテルアルコール含有のチオシアナトオルガニルシラン及び/又はアルキルポリエーテルアルコール含有のブロックトメルカプトオルガニルシラン及び/又はアルキルポリエーテルアルコール含有のポリスルフィド性シランである。
【0046】
経済的な理由のために又はゴム工学の理由のために、必要な又は望ましい更なるシランの割合を最小限にすることが好ましいといえる。
【0047】
使用されるゴム助剤の量は、とりわけ意図される目的に応じて知られた量であってよい。使用される加工助剤に関連して、慣用の量は、ゴムに対して、0.001〜50質量%の、好ましくは0.001〜30質量%の、特に好ましくは0.01〜30質量%の、非常に好ましくは0.1〜30質量%の量(phr)であってよい。
【0048】
本発明のゴム混合物は、硫黄で加硫可能なゴム混合物であってよい。
【0049】
本発明のゴム混合物は、ペルオキシドにより架橋可能なゴム混合物であってよい。
【0050】
使用することができる架橋剤は、硫黄又は硫黄供与物質であってよい。使用される硫黄の量は、ゴムに対して、0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%であってよい。
【0051】
一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドは、無機材料(例えばガラスビーズ、ガラス破片、ガラス表面、ガラス繊維、金属、酸化物性充填剤、シリカ)と有機材料(例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、エラストマー)との間の接着促進剤として、又は架橋剤として、そして酸化物表面のための表面改質剤として使用することができる。一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドは、充填されたゴム混合物中のカップリング試薬として使用することができ、一例はシールである。
【0052】
経済的な理由のために又はゴム工学の理由のために、必要な又は望ましいゴム助剤の割合を最小限にすることが好ましいといえる。
【0053】
本発明のゴム混合物は、更なる加硫促進剤を含んでよい。
【0054】
使用することができる加硫促進剤の量は、使用されるゴムに対して、0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
【0055】
本発明のゴム混合物は、
(D)チウラムスルフィド促進剤及び/又はカルバメート促進剤及び/又はメルカプトベンゾチアゾール及び/又はジチオホスフェート及び/又は相応の亜鉛塩と、
(E)適宜、窒素含有の補助活性化剤と、
(F)適宜、更なるゴム助剤
とを含んでよい。
【0056】
さらに、本発明は、本発明のゴム混合物の製造方法であって、該方法が、エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(EPDM)、エチレン−プロピレンコポリマー(EPM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロポリエチレン(CM)、クロロイソブテン−イソプレン(クロロブチル)ゴム(CIIR)、クロロスルホニルポリエチレン(CSM)、エチレン−ビニルアセテートコポリマー(EAM)、アルキルアクリレートコポリマー(ACM)、ポリエステルポリウレタン(AU)、ポリエーテルポリウレタン(EU)、ブロモ−イソブテン−イソプレン(ブロモブチル)ゴム(BIIR)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CFM)、イソブテン−イソプレンゴム(ブチルゴム、IIR)、イソブテンゴム(IM)、ポリイソプレン(IR)、熱可塑性ポリエステルポリウレタン(YAU)、熱可塑性ポリエーテルポリウレタン(YEU)、ポリマー鎖上にメチル基を有するシリコーンゴム(MQ)、水素化されたアクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)又はカルボキシル化されたアクリロニトリル−ブタジエンゴム(XNBR)、好ましくはエチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(EPDM)の群から選択される少なくとも1種のゴムと、少なくとも1種の酸化物性充填剤と、一般式Iの少なくとも1種のケイ素含有のアゾジカルバミドとを混合することを含むことを特徴とする前記製造方法を提供する。
【0057】
本発明の方法は、25℃を上回る温度で実施することができる。
【0058】
本発明の方法は、80℃〜220℃の、好ましくは100℃〜200℃の、特に好ましくは110℃〜180℃の温度範囲で実施することができる。
【0059】
該方法は、連続的に又はバッチ式に実施することができる。
【0060】
一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドの添加と、また充填剤の添加も、組成物の温度が100〜220℃であるときに実施することができる。しかしながら、40〜100℃のより低い温度で、例えばさらなるゴム助剤を一緒に用いて実施することもできる。
【0061】
ゴムと充填剤と、適宜、ゴム助剤と、一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドとの配合は、ローラ、内部ミキサ及び混合押出機などの慣用の混合アセンブリにおいて又はその上で実施することができる。これらのゴム混合物は、通常は、内部ミキサ中で、1もしくはそれより多くの連続的な熱機械的混合ステージから始まって製造することができ、前記混合ステージにおいては、ゴムと、充填剤と、一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドと、ゴム助剤とが、100〜180℃で混合によって導入される。個々の成分の添加の順序と添加の時点は、ここで、生ずる混合物の特性に決定的な影響を及ぼすことがある。架橋性の化学物質は、通常は、内部ミキサ中で又はローラ上で40〜110℃において、こうして得られたゴム混合物と混和し、そして加工することで、粗製混合物として知られるものが得られ、それに、後続のプロセス工程、例えば成形及び加硫がなされる。
【0062】
本発明のゴム混合物の加硫は、80〜220℃の、好ましくは130〜190℃の温度で、適宜、10〜200バールの圧力下で実施することができる。
【0063】
本発明のゴム混合物は、シール、バイブレータ、ガラスランチャンネル、ラジエータ、園芸ホース及び器具ホース、配管、ウォッシャー、ベルト、電気的絶縁並びにスピーカーコーンの縁の製造のために、電気ケーブル接続部、異形材、ワイヤの外側ケーシング、屋根用メンブレン、ジオメンブレン、ゴム製機械部品、プラスチックの耐衝撃性改良、熱可塑性樹脂、加硫物及び多くの他の用途に使用することができる。本発明のゴム混合物は、あらゆる乗り物でのウェザーシールのために使用することができる。これは、ドアシール、窓シール、トランクシール及びフードシールを含む。
【0064】
本発明のゴム混合物は、自動車における冷却システム循環ホースにおいて使用することができる。さらに、ターボチャージャー搭載エンジンでのブーストエア配管として使用することができる。
【0065】
さらに、本発明は、本発明のゴム混合物から加硫を介して得ることができる成形品を提供する。
【0066】
本発明のゴム混合物は、顕著に低いヒステリシス損失を伴う改善された動的挙動の利点を有する。
【実施例】
【0067】
以下の化合物を、ゴム混合物において使用する:
比較例のための化合物:
化合物1:Evonik Carbon Black GmbH社製のCarbon Black Corax(登録商標)N 550
化合物2:ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドは、Evonik Degussa GmbHからSi 266(登録商標)として入手することができる。
【0068】
本発明の実施例のための化合物:
化合物3:DE102010003387.1に記載される方法を基礎とする方法によって製造した(EtO)(RO)2Si−CH2−CH2−CH2−NH−CO−N=N−CO−NH−CH2−CH2−CH2−Si(EtO)(RO)2[式中、Etは、エチルであり、かつRは、C1327(OCH2CH25である]:
【0069】
アルゴン雰囲気下に、100gの3−アミノプロピル(トリエトキシシラン)(451ミリモル)及びエトキシル化されたイソトリデカノール(903ミリモル)を混合し、そして130℃に加熱する。真空(400ミリバール絶対圧)下で、エタノール(903ミリモル)を留去する。該生成物を、n−ペンタン中に溶解させ、そして0℃に冷却する。撹拌しつつ、DIAD(ジイソプロピルアゾジカルボキシレート;モル比1:2のDIAD/シラン)を、−5℃〜5℃の温度を維持しながら前記溶液中に添加する。その後に、該溶液を0℃で30分にわたり撹拌し、次いで室温で180分にわたり撹拌する。揮発性物質(ペンタン、イソプロパノール)を、真空(6ミリバール絶対圧)下で回転蒸発器上で除去する。生成物は、99%を上回る収率で、鮮紅色の粘性の液体として、85モル%を上回る目的物質の純度(NMR)で得られる。
【0070】
実施例1:ゴム混合物
ゴム混合物のために使用される主要な混合仕様を、以下の第1表に示す。そこで使用されるphr単位は、使用される粗製ゴム100部に対する質量割合である。
【0071】
ゴム混合物の製造及びその加硫のための一般的な方法は、書籍:"Rubber Technology Handbook",W.Hofmann,Hanser Verlag 1994に記載されている。
【0072】
第1表:主要な混合仕様
【表1】

【0073】
ポリマーのBuna(登録商標)EP G 5455は、Lanxess社製のパラフィン油を50phr含有する、中不飽和度(ENB含量=4.3)を有するエチレン−プロピレン−ターポリマーである。そのムーニー粘度(UML(1+4)125℃)は、46である。
【0074】
ULTRASIL(登録商標)7000 GRは、Evonik Degussa GmbH社製の高分散性のシリカであり、そのBET表面積は、170m2/gである。
【0075】
Sasol社製のLipoxol 4000は、ポリエチレングリコール4000であり、Holly Corporation社製のSunpar 150は、パラフィン油であり、Lanxess社製のVulkacit Mercapto Cは、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)であり、Perkacit TBzTD(テトラベンジルチウラムテトラスルフィド)は、Flexsys N.V社製の製品であり、RheinChemie社製のRhenocure TP/Sは、33%シリカに結合された67%亜鉛ジアルキルジチオホスフェートである。
【0076】
ゴム混合物は、第2表の混合仕様に従って内部ミキサ中で製造される。
【0077】
第2表
【表2】

【0078】
【表3】

【0079】
第3表は、ゴム試験のための方法を整理している。
【0080】
第3表
【表4】

【0081】
第4表は、試験された化合物の結果を示している。
【0082】
第4表
【表5】

【0083】
第4表のデータから理解できるように、一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドを含有する混合物3は、より一層低いヒステリシス損失を伴う著しく改善された動的挙動をもたらす。ムーニースコーチは、カーボンブラック化合物と比較して改善されている。一般式Iのアゾジカルバミドを含有する混合物3は、改善された引張強さ、より高いモジュラス500%及び高いレベルでの破断点伸びを伴う補強における改善さえも示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム混合物であって、
(A)エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(EPDM)、エチレン−プロピレンコポリマー(EPM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロポリエチレン(CM)、クロロイソブテン−イソプレン(クロロブチル)ゴム(CIIR)、クロロスルホニルポリエチレン(CSM)、エチレン−ビニルアセテートコポリマー(EAM)、アルキルアクリレートコポリマー(ACM)、ポリエステルポリウレタン(AU)、ポリエーテルポリウレタン(EU)、ブロモ−イソブテン−イソプレン(ブロモブチル)ゴム(BIIR)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CFM)、イソブテン−イソプレンゴム(ブチルゴム、IIR)、イソブテンゴム(IM)、ポリイソプレン(IR)、熱可塑性ポリエステルポリウレタン(YAU)、熱可塑性ポリエーテルポリウレタン(YEU)、ポリマー鎖上にメチル基を有するシリコーンゴム(MQ)、水素化されたアクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)又はカルボキシル化されたアクリロニトリル−ブタジエンゴム(XNBR)の群から選択される少なくとも1種のゴムと、
(B)少なくとも1種の酸化物性充填剤と、
(C)一般式I
【化1】

[式中、
1は、互いに独立して、置換もしくは非置換のC1〜C18−アルキル基、C5〜C18−シクロアルキル基又はC6〜C18−アリール基であり、
2は、互いに独立して、−OH、置換もしくは非置換のC1〜C18−アルコキシ基、C5〜C18−シクロアルコキシ基、又はアルキルポリエーテル基O(CH2−CH2−O)n−R3もしくはO(CH(CH3)−CH2−O)n−R3(式中、nの平均は、1〜18であり、かつR3は、互いに独立して、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和の、一価のC1〜C32−炭化水素鎖である)であり、
Iは、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和の、脂肪族の、芳香族のもしくは脂肪族と芳香族の混合型の、二価のC1〜C30−炭化水素であり、前記炭化水素は、所望であれば、F−、Cl−、Br−、I−、−CNもしくはHS−で置換されていてよく、
aは、互いに独立して、1、2もしくは3である]で示される少なくとも1種のケイ素含有のアゾジカルバミドと、
を含むゴム混合物。
【請求項2】
前記ゴムが、エチレン−プロピレン−ジエンコポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載のゴム混合物。
【請求項3】
さらに、天然ゴム又は合成ゴムなどの更なるポリマーを含有する、請求項1に記載のゴム混合物。
【請求項4】
前記のケイ素含有のアゾジカルバミドが、複数の一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドから構成される混合物であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム混合物。
【請求項5】
前記の一般式Iのケイ素含有のアゾジカルバミドが、有機又は無機の不活性担体上に吸収されていることを特徴とする、請求項1に記載のゴム混合物。
【請求項6】
さらにシランを含むことを特徴とする、請求項1に記載のゴム混合物。
【請求項7】
チウラムスルフィド促進剤及び/又はカルバメート促進剤及び/又はメルカプトベンゾチアゾール及び/又はジチオホスフェート及び/又は相応の亜鉛塩(D)を含有することを特徴とする、請求項1に記載のゴム混合物。
【請求項8】
窒素含有の補助活性化剤(E)を含むことを特徴とする、請求項7に記載のゴム混合物。
【請求項9】
一般式Iの化合物:
【化2】

を好ましくは含有する、請求項1に記載のゴム混合物。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載のゴム混合物の製造方法であって、該方法が、エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(EPDM)、エチレン−プロピレンコポリマー(EPM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロポリエチレン(CM)、クロロイソブテン−イソプレン(クロロブチル)ゴム(CIIR)、クロロスルホニルポリエチレン(CSM)、エチレン−ビニルアセテートコポリマー(EAM)、アルキルアクリレートコポリマー(ACM)、ポリエステルポリウレタン(AU)、ポリエーテルポリウレタン(EU)、ブロモ−イソブテン−イソプレン(ブロモブチル)ゴム(BIIR)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CFM)、イソブテン−イソプレンゴム(ブチルゴム、IIR)、イソブテンゴム(IM)、ポリイソプレン(IR)、熱可塑性ポリエステルポリウレタン(YAU)、熱可塑性ポリエーテルポリウレタン(YEU)、ポリマー鎖上にメチル基を有するシリコーンゴム(MQ)、水素化されたアクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)又はカルボキシル化されたアクリロニトリル−ブタジエンゴム(XNBR)、好ましくはエチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(EPDM)の群から選択される少なくとも1種のゴムと、少なくとも1種の酸化物性充填剤と、一般式Iの少なくとも1種のケイ素含有のアゾジカルバミドとを混合することを含むことを特徴とする前記製造方法。
【請求項11】
請求項1から9までのいずれか1項に記載のゴム混合物を、成形品の製造のために用いる使用。
【請求項12】
請求項1から9までのいずれか1項に記載のゴム混合物を、シール、ウェザーシール、ドアシール、窓シール、トランクシール、フードシール、バイブレータ、ガラスランチャンネル、ラジエータ、ホース、園芸ホース及び器具ホース、配管、ウォッシャー、ベルト、電気的絶縁、スピーカーコーンの縁、電気ケーブル接続部、異形材、ワイヤの外側ケーシング、屋根用メンブレン、ジオメンブレン、空気バネシステム、ローラ被覆、コンベヤベルト、ゴム製機械部品、プラスチックの耐衝撃性改良物、熱可塑性樹脂、冷却システム循環ホース及びターボチャージャー搭載エンジンでのブーストエア配管において用いる使用。

【公開番号】特開2012−214758(P2012−214758A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−73909(P2012−73909)
【出願日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】