説明

ゴム用老化防止剤

【課題】加硫ゴム組成物の老化防止効果持続性を向上させるためのゴム用老化防止剤が求められていた。
【解決手段】ゴム用老化防止物質をゼオライトに担持して得られるゴム用老化防止剤。固体NMR測定において、ゴム用老化防止物質を担持したゼオライトに含まれる29Siに基づくピークのケミカルシフトが、ゴム用老化防止物質を担持しないゼオライトに含まれる29Siに基づくピークのケミカルシフトと比較して異なることが好ましく、ゼオライトが、酸素原子の員環数最小値が8以上である細孔を含むゼオライトであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム用老化防止剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ゴム用老化防止物質として、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−238803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のゴム用老化防止物質自体をそのままの状態で含む加硫ゴム組成物では、その老化防止効果が、持続性の面において、必ずしも十分に満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、このような状況下鋭意検討した結果、本発明に至った。
1.ゴム用老化防止物質をゼオライトに担持して得られるゴム用老化防止剤(以下、「本発明ゴム用老化防止剤」と記すこともある。);
2.固体NMR測定において、ゴム用老化防止物質を担持したゼオライトに含まれる29Siに基づくピークのケミカルシフトが、ゴム用老化防止物質を担持しないゼオライトに含まれる29Siに基づくピークのケミカルシフトと比較して異なることを特徴とする前項1記載のゴム用老化防止剤;
3.ゼオライトが、酸素原子の員環数最小値が8以上である細孔を含むゼオライトであることを特徴とする前項1又は2記載のゴム用老化防止剤;
4.ゴム用老化防止物質が、式(I)で示される化合物であることを特徴とする前項1〜3のいずれかの前項記載のゴム用老化防止剤

(式(I)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜13のアルキル基を表す。);
4.ゴム用老化防止物質10質量部に対して、ゼオライト1質量部〜100質量部を含有することを特徴とする前項1〜3のいずれかの前項記載のゴム用老化防止剤;
等を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物では、その老化防止効果の持続性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明ゴム用老化防止剤(1)の固体NMR測定の結果を示す図である。
【図2】加硫ゴム組成物の中でのゴム用老化防止物質の移行量を測定するための方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<ゴム用老化防止物質>
本発明における「ゴム用老化防止物質」は、ゴム製品の老化を防ぎ、その寿命を長くする目的で配合される有機物質である。本発明における「ゴム用老化防止物質」としては、特に限定されないが、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の第436頁〜第443頁に記載されるもの等を挙げることができる。具体的には例えば、N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、アニリンとアセトンの反応生成物(TMDQ)、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−)ジヒドロキノリン)(松原産業社製「アンチオキシダントFR」)、合成ワックス(パラフィンワックス等)、植物性ワックス、式(I)で示される化合物、又は、式(II)で示される化合物等が挙げられる。
好ましくは、例えば、比較的低分子量(具体的には例えば、分子量が150〜400程度)である物質等が挙げられる。
より好ましくは、例えば、式(I)で示される化合物、又は、式(II)で示される化合物を挙げることができる。
【0009】

(式(I)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜13のアルキル基を表す。)
【0010】

(式(II)中、Rは、水素原子又は、炭素数1〜13のアルキル基を表す。Rは、水素原子又は、炭素数1〜13のアルコキシ基を表す)
【0011】
より具体的には例えば、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、ETMDQ(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等を挙げることができる。
【0012】
<ゼオライト>
本発明における「ゼオライト」は、一般に沸石とも呼ばれ、組成式M・xAl・ySiO・zHO(尚、前記の組成式におけるMは、金属に限らず、1〜13属の元素を示す。n,m,x,y,zは、整数を示す。)、CAS登録番号1318−02−1である含水アルミノケイ酸塩である。
本発明における「ゼオライト」としては、特に限定されないが、例えば、その結晶構造中に比較的大きな空隙を持つものがよい。
好ましい「ゼオライト」としては、例えば、酸素原子の員環数最小値が8以上である細孔を含むゼオライト等を挙げることができる。好ましくは、例えば、酸素原子の員環数最小値が12以上である細孔を含むゼオライトを挙げることができる。より好ましくは、例えば、酸素原子の員環数最小値が12以上の細孔のみを含むゼオライト等を挙げることができる。
ここで「細孔」とは、ゼオライトの外部から他物質(分子)が進入可能な筒状の部位を意味するものである。具体的には例えば、小野嘉夫・鈴木勲 著「吸着の科学と応用」第121頁に記載されているゼオライトの細孔等を挙げることができる。
また「酸素原子の員環数最小値」とは、ゼオライトの細孔を形成する円周上を、酸素原子の数が最小となるように数えた場合の酸素原子の数を意味するものである。
【0013】
本発明における「ゼオライト」としては、具体的には例えば、Ch. Baerlocher、Lynne B. McCusker、D.H. Olson著“Atlas of Zeolite Framework Types”(ELSEVIER)に纏められているFramework Type Codeに基づき、DON、SFH、SFN、CFI、AFI、MTW、VFI、GON、MFI、MOR、LTL、IFR、SFE、ATS、SSY、FAU、BEA、EMT、ISV、BEC、UTL等に分類されるゼオライト等を挙げることができる。好ましくは、例えば、FAU、UTL、BEA等に分類されるゼオライトが挙げられる。
FAUに分類されるゼオライトとしては、例えば、Faujasite、USY型ゼオライト、Y型ゼオライト、X型ゼオライト等を挙げることができる。またUTLに分類されるゼオライトとしては、例えば、IM−12型ゼオライト、ITQ−15型ゼオライト等が挙げられる。
【0014】
本発明ゴム用老化防止剤は、ゴム用老化防止物質をゼオライトに担持して得られる。
本発明ゴム用老化防止剤におけるゼオライトの含有量としては、例えば、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、ゼオライト1質量部〜100質量部を含有するとよい。より好ましくは、例えば、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、1質量部〜50質量部を含有するとよい。特に好ましくは、例えば、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、2質量部〜30質量部を含有するとよい。
【0015】
本発明ゴム用老化防止剤の製造方法は、ゴム用老化防止物質をゼオライトに担持できる方法であれば、特に限定されないが、例えば、下記(1)の方法や、下記(2)の方法等を挙げることができる。
【0016】
<本発明ゴム用老化防止剤の製造方法>
(1):ゴム用老化防止物質を溶媒に溶解した後、得られた溶液にゼオライトを添加して混合物を得る。次いで、当該混合物から溶媒を除去して、固形分を乾固(及び粉砕)する。ここで「溶媒」としては、ゴム用老化防止物質を溶解でき、且つ、蒸留除去が可能であるものであれば、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒等を挙げることができる。
【0017】
(2):ゴム用老化防止物質を溶融した後、得られた溶融液にゼオライトを添加して混合物を得る。次いで、当該混合物を乾固(及び粉砕)する方法。
【0018】
上記(1)の方法及び上記(2)の方法において、ゼオライトの添加量としては、例えば、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、1質量部〜100質量部を挙げることができる。好ましくは、例えば、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、1質量部〜50質量部が挙げられる。より好ましくは、例えば、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、2質量部〜30質量部を挙げることができる。
【0019】
因みに、ゴム用老化防止物質がゼオライトに担持されていることは、例えば、固体NMR測定により、容易に確認することができる。具体的には例えば、ゴム用老化防止物質をゼオライトに担持する前後において、ゼオライトに含まれる29Siに基づくピークのケミカルシフトの変化有無を観測すればよい。
ゴム用老化防止物質がゼオライトに担持されることにより、ゴム用老化防止物質の官能基とゼオライト表面の官能基との相互作用が生じ、その結果、ゼオライトに含まれる29Siに基づくピークのケミカルシフトの変化が起きる。そして、当該変化が存在することを固体NMR測定により確認すればよい。一方、ゴム用老化防止物質がゼオライトに担持されていなければ、ゴム用老化防止物質の官能基とゼオライト表面の官能基との相互作用が生ぜず、その結果、ゼオライトに含まれる29Siに基づくピークのケミカルシフトの変化が起きない。そして、当該変化が存在しないことを固体NMR測定により確認すればよい。
【0020】
<本発明ゴム用老化防止剤の利用>
本発明ゴム用老化防止剤を含むゴム組成物は、ゴム用老化防止物質とゼオライトとゴム成分とを含む。本発明ゴム用老化防止剤を含むゴム組成物は、本発明ゴム用老化防止剤とゴム成分とを混練して得られることが好ましい。混練は公知の手法で行なうことができる。本発明ゴム用老化防止剤を含むゴム組成物は、例えば、より一定の品質であり、より均一な加硫ゴム組成物を製造するために用いられるようなマスターバッチ(通常、加硫ゴム組成物を製造する前の、ゴム成分と多量の本発明ゴム用老化防止剤とが予備混練された粉粒体である、高濃度のゴム用老化防止物質を含有するゴム組成物等を挙げることができる。)であってもよい。本発明ゴム用老化防止剤を含むゴム組成物は、更に、充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、架橋剤、加硫促進剤成分等を含む混練したゴム組成物であってもよい。
【0021】
本発明ゴム用老化防止剤を含むゴム組成物中の本発明ゴム用老化防止剤の含有量としては、例えば、ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部〜990質量部を挙げることができる。
本発明ゴム用老化防止剤を含むゴム組成物が更に、充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、架橋剤、加硫促進剤成分等を含む混練したゴム組成物である場合、本発明ゴム用老化防止剤を含むゴム組成物中の本発明ゴム用老化防止剤の含有量としては、例えば、ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部〜50質量部を挙げることができ、好ましくは、例えば、1質量部〜30質量部を挙げることができる。より好ましくは、例えば、2質量部〜20質量部をあげることができる。
本発明ゴム用老化防止剤を含むゴム組成物が加硫ゴム組成物を製造するために用いられるようなマスターバッチである場合、本発明ゴム用老化防止剤を含むゴム組成物中の本発明ゴム用老化防止剤の含有量としては、例えばゴム成分100質量部に対して、11質量部〜990質量部を挙げることができ、好ましくは、例えば、31質量部〜990質量部を挙げることができ、より好ましくは、例えば、51質量部〜600量部を挙げることができ、特に好ましくは、例えば、60質量部〜500質量部を挙げることができる。
【0022】
ゴム成分としては、例えば、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴム及びその他の変性天然ゴム、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソプレン・イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン・プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ハロゲン化ブチルゴム(HR)等の各種の合成ゴム等を挙げることができる。好ましくは、例えば、天然ゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム等の高不飽和性ゴム等が挙げられる。より好ましくは、天然ゴム等を挙げることができる。また、天然ゴムとスチレン・ブタジエン共重合ゴムとの併用、天然ゴムとポリブタジエンゴムとの併用等、数種のゴム成分を組み合わせることも有効である。
【0023】
天然ゴムとしては、例えば、RSS#1、RSS#3、TSR20、SIR20等のグレードの天然ゴム等を挙げることができる。
エポキシ化天然ゴムとしては、例えば、エポキシ化度10モル%〜60モル%のもの(具体的には例えば、クンプーラン ガスリー社製ENR25、ENR50等)等を挙げることができる。
脱蛋白天然ゴムとしては、例えば、総窒素含有率が0.3質量%以下である脱蛋白天然ゴム等を挙げることができる。
変性天然ゴムとしては、例えば、天然ゴムに予め4−ビニルピリジン、N,N−ジアルキルアミノエチルアクリレート(具体的には例えば、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート等)、2−ヒドロキシアクリレート等を反応させた極性基を含有する変性天然ゴム等を挙げることができる。
【0024】
スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)としては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の第210頁〜第211頁に記載されている乳化重合SBR及び溶液重合SBR等を挙げることができる。トレッド用ゴム組成物としては、例えば、溶液重合SBRを好ましく挙げることができる。更には、例えば、日本ゼオン社製「ニッポール(登録商標)NS116」等の4,4’−ビス−(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンを用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、JSR社製「SL574」等のハロゲン化スズ化合物を用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、旭化成社製「E10」、「E15」等のシラン変性溶液重合SBRの市販品、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(トリアルコキシシラン化合物等)及びアミノシラン化合物のいずれかを単独で用いて、又は、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物や、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物等、の異なった複数の化合物を2種以上用いて、それぞれ分子末端を変性して得られる分子末端に窒素、スズ、ケイ素のいずれか、又は、それら複数の元素を有する溶液重合SBR等をより好ましく挙げることができる。
また、乳化重合SBR及び溶液重合SBRに重合した後、プロセスオイルやアロマオイル等のオイルを添加した油展SBRも、トレッド用ゴム組成物として好ましく挙げることができる。
【0025】
ポリブタジエンゴム(BR)としては、例えば、シス1,4結合が90%以上の高シスBR、シス結合が35%前後の低シスBR等の溶液重合BR等を挙げることができる。好ましくは、例えば、高ビニル含量の低シスBR等が挙げられる。更には、例えば、日本ゼオン製「Nipol(登録商標)BR 1250H」等スズ変性BRや、4,4’−ビス−(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、ハロゲン化スズ化合物、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(トリアルコキシシラン化合物等)、アミノシラン化合物のいずれかを単独で用いて、又は、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物や、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物等、の異なった複数の化合物を2種以上用いて、それぞれ分子末端を変性して得られる分子末端に窒素、スズ、ケイ素のいずれか、又は、それら複数の元素を有する溶液重合BR等をより好ましく挙げることができる。
これらBRは、トレッド用ゴム組成物やサイドウォール用ゴム組成物として好ましく挙げることができる。尚、通常は、SBR及び/又は天然ゴムのブレンドで使用される。ブレンド比率としては、トレッド用ゴム組成物の場合には、総ゴム質量に対して、SBR及び/又は天然ゴムが60質量%〜100質量%、BRが0質量%〜40質量%等を挙げることができる。また、サイドウォール用ゴム組成物の場合には、総ゴム質量に対して、SBR及び/又は天然ゴムが10質量%〜70質量%、BRが90質量%〜30質量%等を挙げることができる。好ましくは、総ゴム質量に対して、天然ゴム40質量%〜60質量%と、BR60質量%〜40質量%とのブレンド等が挙げられる。この場合、変性SBRと非変性SBRとのブレンドや、変性BRと非変性BRとのブレンドも好ましく挙げられる。
【0026】
充填剤としては、例えば、ゴム分野で通常使用されているカーボンブラック、シリカ、タルク、クレイ、酸化チタン等を挙げることができる。好ましくは、例えば、カーボンブラック、シリカ等が挙げられる。より好ましくは、例えば、カーボンブラック等を挙げることができる。
カーボンブラックとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の第494頁に記載されるものを挙げることができる。好ましくは、例えば、HAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)、FEF(Fast Extrusion Furnace)、MAF、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi-Reinforcing Furnace)等のカーボンブラックが挙げられる。
タイヤトレッド用ゴム組成物の場合には、CTAB(Cetyl Tri-methyl Ammonium Bromide)表面積40m2/g〜250m2/g、窒素吸着比表面積20m2/g〜200m2/g、粒子径10nm〜50nmのカーボンブラックを好ましく挙げることができる。より好ましくは、例えば、CTAB表面積70m2/g〜180m2/gであるカーボンブラック等が挙げられる。具体的には例えば、ASTMの規格において、N110、N220、N234、N299、N326、N330、N330T、N339、N343、N351等を挙げることができる。また、カーボンブラックの表面にシリカを0.1質量%〜50質量%付着させた表面処理カーボンブラックも好ましく挙げることができる。より好ましくは、例えば、カーボンブラックとシリカとの併用等、数種の充填剤の組み合わせが挙げられる。
タイヤトレッド用ゴム組成物の場合には、例えば、カーボンブラック単独又はカーボンブラックとシリカとの両方を好ましく挙げることができる。
カーカス用ゴム組成物・サイドウォール用ゴム組成物の場合には、CTAB表面積20m2/g〜60m2/g、粒子径40nm〜100nmのカーボンブラックを好ましく挙げることができる。具体的には例えば、ASTMの規格において、N330、N339、N343、N351,N550、N568、N582、N630、N642、N660、N662、N754、N762等を挙げることができる。
【0027】
かかる充填剤の使用量としては、特に限定されるものではないが、例えば、ゴム成分100質量部に対して5質量部〜100質量部を挙げることができる。カーボンブラックのみを充填剤として使用する場合には、例えば、ゴム成分100質量部に対して30質量部〜80質量部が好ましく挙げられる。またトレッド部材用途においてカーボンブラックとシリカとを充填剤として併用する場合には、例えば、ゴム成分100質量部に対してカーボンブラック5質量部〜60質量部が好ましく挙げられる。
【0028】
充填剤として使用するシリカとしては、例えば、CTAB比表面積50m/g〜180m/gのシリカ、窒素吸着比表面積50m2/g〜300m2/gのシリカ等を挙げることができる。具体的には例えば、東ソー・シリカ社製「AQ」、「AQ−N」、デグッサ社製「ウルトラジル(登録商標)VN3」、「ウルトラジル(登録商標)360」、「ウルトラジル(登録商標)7000」、ローディア社製「ゼオシル(登録商標)115GR」、「ゼオシル(登録商標)1115MP」、「ゼオシル(登録商標)1205MP」、「ゼオシル(登録商標)Z85MP」、日本シリカ社製「ニップシール(登録商標)AQ」等の市販品等を挙げることができる。また、例えば、pHが6〜8であるシリカやナトリウムを0.2質量%〜1.5質量%含むシリカ、真円度が1〜1.3の真球状シリカ、ジメチルシリコーンオイル等のシリコーンオイル、エトキシシリル基を含有する有機ケイ素化合物、エタノールやポリエチレングリコール等のアルコールで表面処理したシリカ、二種類以上の異なった窒素吸着比表面面積を有するシリカ等を配合することも好ましい。
【0029】
かかる充填剤の使用量としては、特に限定されるものではないが、例えば、ゴム成分100質量部に対して10質量部〜120質量部を挙げることができる。
また、シリカを配合する場合には、例えば、ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック5質量部〜50質量部を配合することがよい。シリカ/カーボンブラックの配合比率としては、例えば、0.7/1〜1/0.1の範囲を挙げることができる。
また、充填剤としてシリカを用いる場合には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、オクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル(ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)エトキシシリル}プロピル]エステル及びオクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)メチルシリル}プロピル]エステルフェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン及び3−イソシアナートプロピルトリエトキシシランからなる群から選択される1種以上のシランカップリング剤等、シリカと結合可能なケイ素等の元素又はアルコシキシラン等の官能基を有する化合物を添加することが好ましい。具体的には例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社製「Si−75」)、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)等を挙げることができる。
これらの化合物の添加時期は特に限定されないが、シリカと同時期にゴムに配合することがよい。配合量としては、例えば、シリカの質量に対して2質量%〜10質量%を挙げることができる。好ましくは、例えば、7質量%〜9質量%が挙げられる。
前記の化合物をゴムに配合する際の配合温度としては、例えば、80℃〜200℃を挙げることができる。好ましくは、例えば、110℃〜180℃が挙げられる。
尚、充填剤としてシリカを用いる場合には、例えば、シリカ、シリカと結合可能なケイ素等の元素又はアルコシキシラン等の官能基を有する化合物に加えて、エタノール、ブタノール、オクタノール等の1価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール等の2価以上のアルコール、N−アルキルアミン、アミノ酸、分子末端がカルボキシル変性又はアミン変性された液状ポリブタジエン、等を配合してもよい。
【0030】
酸化亜鉛の使用量としては、例えば、ゴム成分100質量部に対して1質量部〜15質量部を挙げることができる。好ましくは、例えば、1質量部〜8質量部が挙げられる。
【0031】
ステアリン酸の使用量としては、例えば、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部〜10質量部を挙げることができる。好ましくは、例えば、1質量部〜5質量部が挙げられる。
【0032】
架橋剤としては、例えば、硫黄等を挙げることができる。硫黄としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を挙げることができる。好ましくは、粉末硫黄等が挙げられる。また、ベルト用部材等の硫黄量が多いタイヤ部材に用いる場合には、例えば、不溶性硫黄等を好ましく挙げることができる。尚、上記の硫黄には加硫促進剤は含まれないものとする。硫黄の使用量としては、例えば、ゴム成分100質量部に対して0.3質量部〜5質量部を挙げることができる。好ましくは、例えば、0.5質量部〜3質量部が挙げられる。
【0033】
加硫促進剤としては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の第412頁〜第413頁に記載されるチアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤等を挙げることができる。
【0034】
具体的には例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)等を挙げることができる。また、公知の加硫剤であるモルフォリンジスルフィドを用いることもできる。
充填剤としてカーボンブラックを用いる場合には、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)のいずれかとジフェニルグアニジン(DPG)とを併用することが好ましい。
充填剤としてシリカとカーボンブラックとを併用する場合には、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)のいずれかとジフェニルグアニジン(DPG)とを併用することが好ましい。
【0035】
硫黄と加硫促進剤との比率としては、特に制限されないが、例えば、質量比で硫黄/加硫促進剤=2/1〜1/2を挙げることができる。
天然ゴムを主とするゴム部材において耐熱性を向上させる方法である硫黄/加硫促進剤の質量比を1以下にするEV加硫は、耐熱性向上が必要な用途において好ましく用いられる。
【0036】
その他として、ゴム分野で通常用いられている各種の配合剤を配合してもよい。かかる配合剤としては、例えば、オイル;ステアリン酸等の脂肪酸類;日塗化学社製のクマロン樹脂G−90(軟化点80℃〜100℃)、神戸油化学工業社製のプロセスレジンAC8(軟化点95℃)等のクマロン・インデン樹脂;テルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;三菱ガス化学社製「ニカノール(登録商標)HP−100」(軟化点105〜125℃)等のキシレン・ホルムアルデヒド樹脂;荒川化学社製の「エステルガム」シリーズ、「ネオトール」シリーズ等のロジン誘導体;水素添加ロジン誘導体;ノボラック型アルキルフェノール系樹脂;レゾール型アルキルフェノール系樹脂;C5系石油樹脂;液状ポリブタジエン;を挙げることができる。
【0037】
上記のオイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂等を挙げることができる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等を挙げることができる。
【0038】
<本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物>
本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物は、通常、本発明ゴム用老化防止剤とゴム成分と架橋剤とを混練して得られるゴム組成物を熱処理して得られる。熱処理における温度条件としては、例えば、120℃〜180℃を挙げることができる。熱処理は、通常、常圧又は加圧下で行えばよい。
【0039】
本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物は、タイヤ用として好適に用いられる。タイヤとしては、例えば、空気入りタイヤ、ソリッドタイヤ等を挙げることができる。
また、本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物は、タイヤを構成する各部材、即ち、本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物で被覆されたスチールコードを含むタイヤ用ベルト、本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物で被覆されたカーカス繊維コードを含むタイヤ用カーカス、本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物を含むタイヤ用サイドウォール、タイヤ用インナーライナー、タイヤ用キャップトレッド又はタイヤ用アンダートレッドとしても好適に用いられる。
【0040】
本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物は、タイヤ等のゴム材料の長寿命化を図ることができる。また、当該加硫ゴム組成物は、上記のタイヤ用途のみならず、エンジンマウント、ストラットマウント、ブッシュ、エグゾーストハンガー等の自動車用防振ゴムとしても使用できる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例、参考例及び比較例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<ゴム用老化防止物質>
A1:住友化学社製 アンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
<ゼオライト>
B1:ユニオン昭和社製 HiSiv−6000(FAU−USY型)
B2:ユニオン昭和社製 モレキュラーシーブ 13X(FAU−X型)
B3:NE CHEMCAT社製 H−Mordenite(MOR型)
B4: ユニオン昭和社製 HiSiv−3000(MFI型)
【0042】
実施例1 (本発明ゴム用老化防止剤の製造例)
200mlビーカーにゴム用老化防止物質(A1)3質量部を仕込み、これにアセトン80mlを添加することにより、ゴム用老化防止物質(A1)のアセトン溶液を得た。得られたアセトン溶液を、9質量部のゼオライト(B1)が入った200mlビーカー内に加え、更に、前記のアセトン溶液が入った200mlビーカーを20mlのアセトンで洗浄して生じた洗浄液も加えることにより、混合物を得た。得られた混合物を25℃、大気下で5日間攪拌した。攪拌終了後、得られた混合物を25日間乾燥することにより、青紫色の固体として本発明ゴム用老化防止剤(1)を得た。
【0043】
実施例2 (本発明ゴム用老化防止剤の製造例)
ゴム用老化防止物質(A1)の量を3質量部、ゼオライト(B1)の量を3質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明ゴム用老化防止剤(2)を得た。
【0044】
実施例3 (本発明ゴム用老化防止剤の製造例)
ゼオライト(B1)をゼオライト(B2)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明ゴム用老化防止剤(3)を得た。
【0045】
実施例4 (本発明ゴム用老化防止剤の製造例)
ゼオライト(B1)をゼオライト(B3)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明ゴム用老化防止剤(4)を得た。
【0046】
実施例5 (本発明ゴム用老化防止剤の製造例)
ゼオライト(B1)をゼオライト(B4)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明ゴム用老化防止剤(5)を得た。
【0047】
尚、本発明ゴム用老化防止剤中のゴム用老化防止物質の含有率は、下記の方法で確認した。
<ゴム用老化防止物質の抽出方法>
1. 1M KCl水溶液:アセトン=1:1(質量比)溶液を調製した。
2. 本発明ゴム用老化防止剤0.5gをビーカーに秤量した。
3. 上記2.のビーカーに、上記1.で得られた溶液100mLを加え、得られた混合物に超音波照射を行った(照射時間を30分間、60分間、90分間とした)。
4. 上記3.で得られた混合物を吸引ろ過した。また、ゴム用老化防止物質の色(赤色)が消えるまでろ物を洗浄した。このような操作を行い、ろ液を回収した。
5. 上記4.で回収されたろ液から、エバポレーターを用いて溶媒を減圧蒸留除去することにより、濃縮物を得た。
6. 上記5.で得られた濃縮物に、ジメチルホルムアミドを加えることにより、50mLの溶液を得た。
7. 上記6.で得られた溶液を、液体クロマトグラフィー(LC)(移動相:燐酸バッファー/アセトニトリル/水系)に供した。
8.以下の式により、本発明ゴム用老化防止剤中のゴム用老化防止物質の含有率を算出した。
<算出式>
本発明ゴム用老化防止剤中のゴム用老化防止物質の含有率(実測値)(%)
=((LC上でのゴム用老化防止物質のUV検出ピーク面積)-5385.7)/1324900
【0048】
実施例で得られた本発明ゴム用老化防止剤について、上記の抽出方法で確認されたゴム用老化防止物質の含有率と、理論値とを比較した。理論値は、下記の方法で計算した値である。
<計算式>
ゴム用老化防止物質の含有率(理論値)(%)
=100×(ゴム用老化防止物質の仕込み量)/(ゴム用老化防止物質の仕込み量+ゼオライトの仕込み量)
例えば、実施例2で得られた本発明ゴム用老化防止剤(2)について得られた値を表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
<固体NMR測定によるゼオライトへのゴム用老化防止物質の担持確認>
実施例1で得られた本発明ゴム用老化防止剤(1)0.5gをビーカーに秤量した。前記ビーカーに、ヘプタン100gを加え、得られた混合物に30分間超音波照射を行った。得られた混合物を吸引ろ過した。得られたろ物をヘプタン5mLで一度洗浄した後、これを回収した。次いで、回収されたろ物を乾燥した後、得られたろ物について下記条件での固体NMR測定を行った。その結果を図1に示す。
ゼオライトへのゴム用老化防止物質の担持前後を比較すると、ゼオライトに含まれる29Siに基づくピークのケミカルシフトの変化が観測させたことから、ゼオライトへのゴム用老化防止物質の担持が確認できた。
【0051】
[固体NMR測定条件]
装置:ECA400[日本電子〈株〉製]
MAS:6kHz
測定:29Si CPMAS
contact time:8ms
積算:10000回
【0052】
参考例1 (基本ゴム組成物の製造例)
10Lのニーダーに市販の天然ゴム(製品名:SMR−CV60)とブタジエンゴム(製品名:JSR BR01、JSR株式社製)との両者をそれぞれ50質量部投入し、2分間混練した。得られた混練物に、表2に示す材料を加えた後、更に10分間混練することにより、基本ゴム組成物としてのゴム組成物を得た。尚、混練機からのゴム組成物の排出温度は95℃であった。
【0053】
【表2】

【0054】
比較例1 (本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物の製造例)
参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)]0.8質量部と、硫黄1.5質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質とゼオライトとの両者を含まない)を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
次に、参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、ゴム用老化防止物質(A1)3質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含み、ゼオライトを含まない)を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
【0055】
参考例2 (ゴム用老化防止物質の移行量測定方法)
本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質とゼオライトとの両者を含まない)及び本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含み、ゼオライトを含まない)を用いて、ゴム用老化防止物質の移行量を測定した。
本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質とゼオライトとの両者を含まない)から製造されるシート4枚と、本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含み、ゼオライトを含まない)から製造されるシート4枚とについて、各シートの初期重量を測定した。
図2は、加硫ゴム組成物の中でのゴム用老化防止物質の移行量を測定するための方法を説明する図である。重量測定後の8枚のシート(本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物から製造されるシート1〜4、本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物から製造されるシート5〜8)を積層した後、当該積層物の全体をアルミホイル9で包み、更にその上からアルミラミネート10で包んだ。このようにして得られたアルミホイル及びアルミラミネート梱包体の上に、約3kgの錘11を載せた。
錘が載せられた梱包体を25℃の恒温室内に6日間放置した後、アルミホイル及びアルミラミネート梱包を開封して各シートを取り出し、そして各シートの重量を測定した。
ゴム用老化防止物質の移行量は、本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物から製造されるシートの初期重量からの重量変化とした。尚、別途、各シートの加硫ゴム組成物からゴム用老化防止物質を抽出・定量した結果、前記の重量変化はゴム用老化防止物質の移行によるものであることが確認された。
【0056】
実施例6 (本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物の製造例)
参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、実施例1で得られた本発明ゴム用老化防止剤(1)12質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
【0057】
(本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物の製造例)
一方、参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)]0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、ゼオライト(B1)9質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含まず、ゼオライトを含む)を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物及び本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含まず、ゼオライトを含む)を用いて、参考例2と同様にして、ゴム用老化防止物質の移行量を測定した。
【0058】
実施例7 (本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物の製造例)
参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、実施例2で得られた本発明ゴム用老化防止剤(2)6質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
【0059】
(本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物の製造例)
一方、参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)]0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、ゼオライト(B1)3質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含まず、ゼオライトを含む)を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物及び本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含まず、ゼオライトを含む)を用いて、参考例2と同様にして、ゴム用老化防止物質の移行量を測定した。
【0060】
実施例8 (本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物の製造例)
参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、実施例3で得られた本発明ゴム用老化防止剤(3)12質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
【0061】
(本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物の製造例)
一方、参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)]0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、ゼオライト(B2)9質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含まず、ゼオライトを含む)を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物及び本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含まず、ゼオライトを含む)を用いて、参考例2と同様にして、ゴム用老化防止物質の移行量を測定した。
【0062】
実施例9 (本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物の製造例)
参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、実施例4で得られた本発明ゴム用老化防止剤(4)12質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
【0063】
(本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物の製造例)
一方、参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)]0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、ゼオライト(B3)9質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含まず、ゼオライトを含む)を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物及び本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含まず、ゼオライトを含む)を用いて、参考例2と同様にして、ゴム用老化防止物質の移行量を測定した。
【0064】
実施例10 (本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物の製造例)
参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、実施例5で得られた本発明ゴム用老化防止剤(5)12質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
【0065】
(本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物の製造例)
一方、参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)]0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、ゼオライト(B4)9質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含まず、ゼオライトを含む)を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物及び本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含まず、ゼオライトを含む)を用いて、参考例2と同様にして、ゴム用老化防止物質の移行量を測定した。
【0066】
比較例2 (本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物の製造例)
参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、本発明ゴム用老化防止剤(A1)3質量部と、ゼオライト(B1)3質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質とゼオライトとの両者を含む)を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
【0067】
(本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物の製造例)
一方、参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)]0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、ゼオライト(B1)3質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含まず、ゼオライトを含む)を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質とゼオライトとの両者を含む)及び本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含まず、ゼオライトを含む)を用いて、参考例2と同様にして、ゴム用老化防止物質の移行量を測定した。
【0068】
【表3】

【0069】
得られた結果を表4に纏めた。
表4の中に記載された「ゴム用老化防止物質の移行速度」は、比較例1で得られた本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含み、ゼオライトを含まない)におけるゴム用老化防止物質の移行量を100とした時の、実施例6〜10及び比較例2におけるゴム用老化防止物質の相対的な移行量である。数値が小さいほどゴム用老化防止物質の移行速度が遅く、加硫ゴム組成物における老化防止効果の持続性が向上することを意味する。また、比較例2と実施例7との比較で明らかなように、ゼオライトとゴム用老化防止物質とを別々に加えた場合には、ゴム用老化防止物質をゼオライトに担持させた形態(即ち、本発明ゴム用老化防止剤)として加えた場合と比較して、ゴム用老化防止物質の移行速度が低下しないことも確認された。
【0070】
【表4】

【0071】
参考例3 (加硫ゴム組成物の製造例)
下記の第1工程及び第2工程により得られる加硫ゴム組成物は、アンダートレッド用として好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1502(住友化学社製)100質量部、ISAF−HM(旭カーボン社製、商品名「旭#80」)35質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛3質量部、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩1質量部、実施例1で得られた本発明ゴム用老化防止剤(1)8質量部、及び、ワックス(日本精蝋製「OZOACE−0355」)2質量部を、160℃〜175℃の範囲内で、5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより、ゴム組成物を得る。
(手順2)
オープンロール機で60℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られたゴム組成物と、加硫促進剤であるN−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)2質量部、加硫促進剤であるジフェニルグアニジン(DPG)0.5質量部、加硫促進剤であるジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)0.8質量部及び硫黄1質量部とを、混練することにより、ゴム混練物を得る。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られたゴム混練物を145℃で熱処理することにより、加硫ゴム組成物を得る。
【0072】
参考例4 (加硫ゴム組成物の製造例)
下記の第1工程及び第2工程により得られる加硫ゴム組成物は、ベルト用として好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、市販の天然ゴム(RSS#1)100質量部、HAF(旭カーボン社製、商品名「旭#70」)45質量部、ステアリン酸3質量部、酸化亜鉛5質量部、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩1質量部、含水シリカ(東ソー・シリカ社製「Nipsil(登録商標)AQ」10質量部、実施例1で得られた本発明ゴム用老化防止剤(1)16質量部、レゾルシン2質量部及びナフテン酸コバルト2質量部を、160℃〜175℃の範囲内で、5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより、ゴム組成物を得る。
(手順2)
オープンロール機で60℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られたゴム組成物と、加硫促進剤であるN,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DCBS)1質量部、硫黄6質量部及びメトキシ化メチロールメラミン樹脂(住友化学社製「スミカノール507AP」)3質量部とを、混練することにより、ゴム混練物を得る。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られたゴム混練物を145℃で熱処理することにより、加硫ゴム組成物を得る。
【0073】
参考例5 (加硫ゴム組成物の製造例)
下記の第1工程及び第2工程により得られる加硫ゴム組成物は、インナーライナー用として好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、ハロゲン化ブチルゴム(エクソンモービル社製「Br−IIR2255」)100質量部、GPF 60質量部、ステアリン酸1質量部、酸化亜鉛3質量部、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩1質量部及びパラフィンオイル(出光興産社製「ダイアナプロセスオイル」)10質量部を、160℃〜175℃の範囲内で、5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより、ゴム組成物を得る。
(手順2)
オープンロール機で60℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られたゴム組成物と、実施例1で得られた本発明ゴム用老化防止剤(1)2質量部、加硫促進剤であるジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)1質量部及び硫黄2質量部とを、混練することにより、ゴム混練物を得る。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られた混練物を145℃で熱処理することにより、加硫ゴム組成物を得る。
【0074】
参考例6 (加硫ゴム組成物の製造例)
下記の第1工程及び第2工程により得られる加硫ゴム組成物は、サイドウォール用として好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、市販の天然ゴム(RSS#3)40質量部、ポリブタジエンゴム(宇部興産社製「BR150B」)60質量部、FEF50質量部、ステアリン酸2.5質量部、酸化亜鉛3質量部、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩1質量部、実施例1で得られた本発明ゴム用老化防止剤(1)16質量部、アロマチックオイル(コスモ石油社製「NC−140」)10質量部及びワックス(大内新興化学工業社製の「サンノック(登録商標)ワックス」)2質量部を、160℃〜175℃の範囲内で、5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより、ゴム組成物を得る。
(手順2)
オープンロール機で60℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られたゴム組成物と、加硫促進剤であるN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)0.75質量部及び硫黄1.5質量部とを、混練することにより、ゴム混練物を得る。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られたゴム混練物を145℃で熱処理することにより、加硫ゴム組成物を得る。
【0075】
参考例7 (加硫ゴム組成物の製造例)
下記の第1工程及び第2工程により得られる加硫ゴム組成物は、カーカス用として好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、市販の天然ゴム(TSR20)70質量部、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1502(住友化学社製)30質量部、N339(三菱化学社製)60質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛5質量部、プロセスオイル(出光興産社製「ダイアナプロセスPS32」)7質量部およびS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩1質量部を、160℃〜175℃の範囲内で、5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより、ゴム組成物を得る。
(手順2)
オープンロール機で60℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られたゴム組成物と、加硫促進剤であるN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)1質量部、硫黄3質量部、実施例1で得られた本発明ゴム用老化防止剤(1)8質量部を混練することにより、ゴム混練物を得る。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られたゴム混練物を145℃で熱処理することにより、加硫ゴムを得る。
【0076】
参考例8 (加硫ゴム組成物の製造例)
下記の第1工程及び第2工程により得られる加硫ゴム組成物は、キャップトレッド用として好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1500(JSR社製)100質量部、シリカ(商品名:「ウルトラシル(登録商標)VN3−G」デグッサ社製)78.4質量部、カーボンブラック(商品名「N−339」三菱化学社製)6.4質量部、シランカップリング剤(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド:商品名「Si−69」デグッサ社製)6.4質量部、プロセスオイル(商品名「NC−140」コスモ石油社製)47.6質量部、実施例1で得られた本発明ゴム用老化防止剤(1)12質量部、酸化亜鉛2質量部、ステアリン酸2質量部及びS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩3質量部を、70℃〜120℃の範囲内で、5分間、80rpmのミキサーの回転数で混練し、引き続き70℃〜120℃の範囲内で、5分間、100rpmのミキサーの回転数で混練することにより、ゴム組成物を得る。
(手順2)
オープンロール機で30℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られたゴム組成物と、加硫促進剤であるN−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)1質量部、加硫促進剤であるジフェニルグアニジン(DPG)1質量部、ワックス(商品名「サンノック(登録商標)N」大内新興化学工業社製)1.5質量部及び硫黄1.4質量部とを、混練することにより、ゴム混練物を得る。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られたゴム混練物を160℃で熱処理することにより、加硫ゴム組成物を得る。
【0077】
参考例9 (加硫ゴム組成物の製造例)
参考例8において、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1500(JSR社製)に代えて溶液重合SBR(「アサプレン(登録商標)」旭化成ケミカルズ社製)を用いること以外は、参考例8と同様にして、加硫ゴム組成物を得る。得られた加硫ゴム組成物はキャップトレッドとして好適である。
【0078】
参考例10 (加硫ゴム組成物の製造例)
参考例8において、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1500(JSR社製)に代えてSBR#1712(JSR社製)を用い、プロセスオイルの使用量を21質量部に変更し、酸化亜鉛を仕込むタイミングを手順2に変更すること以外は、参考例8と同様にして、加硫ゴム組成物を得る。得られた加硫ゴム組成物はキャップトレッドとして好適である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物では、その老化防止効果の持続性が向上する。
【符号の説明】
【0080】
1,2,3,4 本発明ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物から製造されるシート
5,6,7,8 本発明ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物から製造されるシート
9 アルミホイル
10 アルミラミネート
11 錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム用老化防止物質をゼオライトに担持して得られるゴム用老化防止剤。
【請求項2】
固体NMR測定において、ゴム用老化防止物質を担持したゼオライトに含まれる29Siに基づくピークのケミカルシフトが、ゴム用老化防止物質を担持しないゼオライトに含まれる29Siに基づくピークのケミカルシフトと比較して異なることを特徴とする請求項1記載のゴム用老化防止剤。
【請求項3】
ゼオライトが、酸素原子の員環数最小値が8以上である細孔を含むゼオライトであることを特徴とする請求項1又は2記載のゴム用老化防止剤。
【請求項4】
ゴム用老化防止物質が、式(I)で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの請求項記載のゴム用老化防止剤。

(式(I)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜13のアルキル基を表す。)
【請求項5】
ゴム用老化防止物質10質量部に対して、ゼオライト1質量部〜100質量部を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかの請求項記載のゴム用老化防止剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−95856(P2013−95856A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240203(P2011−240203)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】