説明

ゴム組成物、その作製プロセス、およびそれから作られる製品

(a)少なくとも一つのゴム成分;(b)少なくとも一つのシラン反応性充填剤;(c)任意選択で少なくとも一つの活性化剤;および(d)一般式(1):[XSi−](G)[−Y−(CR3−e−Z(1)〔式中、Xは選択された加水分解性基であり;XおよびXは独立して水素もしくは選択された加水分解性基であり;Gは、酸素、硫黄、リン、およびケイ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を任意選択で含有してもよい、二価もしくは多価の、1から約18の炭素原子の炭化水素基であり、Rの各々は、独立して水素、アルキル、アルケニル、アリールもしくはアラルキルであり得る〕の少なくとも一つのシランを含有するゴム組成物がここで提供される。(a)、(b)、任意選択で(c)、および(d)を混合するステップを含有するゴム組成物を作製するプロセスもまた提供される。ゴム組成物から作製される製品(例えばタイヤ)もまた提供される。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不飽和の有機ポリマー、充填剤、およびシランを含有するゴム組成物に関する。本開示はまた、前記ゴム組成物ならびにそれから作られる製品の作製プロセスも提供する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
乗用車のタイヤの回転抵抗を減少させ湿潤状態でのトラクションを改善するための、シリカ/シラン充填剤システムの利用は当分野で周知である。回転抵抗の減少とそれゆえの少ない燃料消費もまた、貨物自動車のタイヤにとって強い興味の対象である。しかしながら、貨物自動車タイヤ接地面合成物のような天然ゴム(NR)含有配合物における、カーボンブラック充填剤に取って代わるシリカの使用は、貧弱な摩耗抵抗のために限定される。現在、貨物自動車タイヤ接地面は、最大の強化および優れた摩耗への抵抗のために、高度に強化されたカーボンブラックを用いる。カーボンブラックをシリカと取り替えることは、天然ゴムのポリマー鎖に対するシリカの非効率的な結合によって阻まれてきている。
【0003】
現在では、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)のような多硫化アルコキシシラン類および3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシランのようなブロック化メルカプト官能性シラン類は、タイヤのためのゴム組成物において、特にスチレンブタジエンラバーもしくはブタジエンラバーを含有するそれらの組成物において、最も効果的で最も広く用いられる結合剤とみなされる。シリカ充填剤入りの加硫物の強化効果および磨耗抵抗は、高濃度の天然ゴムを含有する配合物におけるカーボンブラックの置換を正当化するのに充分であるほど優れてはいない。
【0004】
非硫黄のシランの使用は、充填剤とポリマーとの間のカップリングを改善するために、活性二重結合の使用に焦点を当てる。しかしながら、これら非硫黄のカップリング剤は、不十分なカップリング性能もしくはビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドのような多硫化シラン類によって提供されるものに劣る性能を示してきた。さらに、非硫黄のシランは汎用の充填剤およびエラストマーと非常に反応性が高く、それゆえ使用が難しい。既知の非硫黄のシランを、充填剤とホストであるエラストマーとの結合に最適な量を達成するのに充分な濃度で用いるとき、典型的には、硬化していない充填剤入りエラストマーは、貧弱に分散された充填剤および短いスコーチ時間を硬化中に示す。優れた充填剤の分散と優れた充填剤の強化効果の両方は、満足できる最終用途における性能を達成するために要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さまざまなゴムの用途にとって、増大した濃度のシリカおよび低い濃度のカーボンブラックを用いる一方で、低スコーチ、優れた充填剤の分散、および改善された磨耗抵抗の性能をなおも示している、ゴム組成物を有することは望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここでの一実施態様において、
(a)少なくとも一つのゴム成分;
(b)少なくとも一つのシラン反応性充填剤;
(c)任意選択で少なくとも一つの活性化剤;および
(d)一般式(1):
[XSi−](G)[−Y−(CR3−e−Z (1)
〔式中、
の各々はCl−、Br−、I−、RO−、R(=O)O−、RC=NO−、およびRNO−からなる加水分解性基より独立して選択され、ここで各々のRは水素、直鎖、環状もしくは分岐の、アルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群より独立して選択され、ここで水素以外の各々のRは、1から18の炭素原子を含有し、酸素および硫黄からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を任意選択で含有し、
およびXの各々はXおよびRの群より独立して選択され、ここで各々のRは水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群より独立して選択され、ここで水素以外の各々のRは、1から18の炭素原子を含有し、酸素および硫黄からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を任意選択で含有し、
Gの各々は、任意選択で酸素、硫黄、リン、およびケイ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含有してもよい、二価もしくは多価の、1から約18の炭素原子の炭化水素基であり、
Yの各々は独立して不飽和基であり、
Zの各々は独立して、Fl−、Cl−、Br−、およびI−からなる群より選択されるハロゲン原子であり、
Rの各々は、水素、アルキル、アルケニル、アリールもしくはアラルキルからなる群より独立して選択され、ここで、水素以外の各々のRは1から30の炭素原子を含有し、そして、
下付き文字a、b、c、およびdの各々は、aが0もしくは1、bが1から約5の整数、cが1から3の整数、dが1から約5の整数、そしてeが1から3の整数によって独立して与えられる整数である〕
の少なくとも一つの加水分解性シラン、
を含有するゴム組成物が提供される。
【0007】
(a)、(b)、任意選択で(c)、および(d)を混合することを含有する、上述のゴム組成物を作製するプロセスもまたここで提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
非限定的な例としてタイヤのような硬化された製品において用いられる特定のシラン結合剤が、ゴム組成物に対し改善された性能を提供することが予期せず発見された。
【0009】
ここにおいては、すべての重量パーセントは、他に述べられない無い限り、ここでのゴム組成物の全重量パーセントに基づくことは理解されよう。
【0010】
ここにおいては、ここで述べられるすべての範囲はその間のすべてのサブ範囲を含有し、範囲および/もしくはサブ範囲の任意の組み合わせをさらに含有し得ることもまた、理解されよう。
【0011】
ここでの一実施態様において、
(a)少なくとも一つのゴム成分;
(b)少なくとも一つのシラン反応性充填剤;
(c)任意選択で少なくとも一つの活性化剤;および
(d)一般式(1):
[XSi−](G)[−Y−(CR3−e−Z (1)
〔式中、
の各々はCl−、Br−、I−、RO−、R(=O)O−、RC=NO−、およびRNO−からなる加水分解性基より独立して選択され、ここで各々のRは水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群より独立して選択され、ここで水素以外の各々のRは、1から18の炭素原子を含有し、酸素および硫黄からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を任意選択で含有し、
およびXの各々はXおよびRの群より独立して選択され、ここで各々のRは水素、直鎖、環状もしくは分岐の、アルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群より独立して選択され、ここで水素以外の各々のRは、1から18の炭素原子を含有し、酸素および硫黄からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を任意選択で含有し、
Gの各々は、酸素、硫黄、リン、およびケイ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を任意選択で含有してもよい、二価もしくは多価の、1から約18の炭素原子の炭化水素基であり、
Yの各々は独立して不飽和基であり、
Zの各々は独立して、Fl−、Cl−、Br−、およびI−からなる群より選択されるハロゲン原子であり、
Rの各々は、水素、アルキル、アルケニル、アリールもしくはアラルキルからなる群より独立して選択され、ここで、水素以外の各々のRは1から30の炭素原子を含有し、そして、
下付き文字a、b、およびcの各々は、aが0もしくは1、bが1から約5の整数、cが1から3の整数で、ただし、aが0の時はcが1であり、aが1の時はcが1から3の整数であるという条件であり、dが1から5の整数、そしてeが1から3の整数によって独立して与えられる整数である〕
の少なくとも一つの加水分解性シラン、
を含有するゴム組成物が提供される。
【0012】
ここでの式(1)のシランと関連した一実施態様において、「アルキル」は、直鎖、分岐、および環状のアルキル基を含有し;「アルケニル」は、一つもしくはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含有する任意の直鎖、分岐、および環状のアルケニル基であって、ここで置換の位置は炭素炭素二重結合もしくは基内のどこででもあり得るものを含有し;「アルキニル」は、一つもしくはそれ以上の炭素−炭素三重結合を含有する任意の直鎖、分岐、および環状のアルキニル基であって、ここで置換の位置は炭素炭素三重結合もしくは基内のどこででもあり得るものを含有し;「アリール」は、そこから一つの水素原子が取り除かれた任意の芳香族炭化水素の非限定的な基を含有し;「アラルキル」は、その中で一つもしくはそれ以上の水素原子が同じ数の類似のおよび/もしくは異なった(ここで定義されるような)アリール置換基によって置換されている、上述のアルキル基の任意のものを含有するがそれらには限定されない。アルキルの具体例はメチル、エチル、プロピルおよびイソブチルを含むがそれらには限定されない。アルケニルの具体例はビニル、プロペニル、アリル、メタリル、エチリデニルノルボルナン、エチリデンノルボルニル、およびエチリデンノルボルネニルを含むがそれらには限定されない。アリールの具体例はトリル、キシリル、フェニル、およびナフタレニルを含むがそれらには限定されない。アラルキルの具体例はベンジルおよびフェネチルを含むがそれらには限定されない。
【0013】
ここでの一実施態様において、一般式(1)のXは加水分解性基である。Xのいくつかの非限定的な代表例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、フェノキシ、およびベンジロキシの非限定例のようなアルコキシ基;ヒドロキシ基;クロロ、ブロモ、およびイオドの非限定例のようなハロ基;メチルエチルオキシマト、フェニルメチルオキシマト、およびジメチルオキシマトの非限定例のようなオキシマト基;ジメチルアミノオキシ、ジエチルアミノオキシ、およびメチルフェニルアミノオキシの非限定例のようなアミンオキシ基、ホルミルオキシ、アセトキシ、およびプロパノイルオキシの非限定例のようなアシロキシ基を含有する。
【0014】
式(1)中のXおよびXのいくつかの非限定的な代表例は、Xのために上に列挙された代表例、ならびに水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、およびシクロヘキシルの非限定例のようなアルキル基;ブチル、ヘキシル、オクチル、ラウリル、およびオクタデシルのような高級直鎖アルキル;ビニル、アリル、メタリル、および3−ブテニルの非限定例のようなアルケニル基;フェニル、およびトリルの非限定例のようなアリール基;そして、ベンジル、およびフェネチルの非限定例のようなアラルキル基を含有する。
【0015】
他の実施態様において、式(1)のGは任意の二価もしくは多価の炭化水素であり得、酸素、硫黄、リン、およびケイ素原子からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を任意選択で含有してよい。G基の炭素原子の数は、詳細には1から18であり、より詳細には1から12であり、さらにより詳細には1から8であり、もっとも詳細には1から4である。具体的な一実施態様において、Gのいくつかの代表例はジエチレンシクロヘキサン;1,2,4−トリエチレンシクロヘキサン;ジエチレンベンゼン;フェニレン;−(CH−、式中gは好ましくは1から18で、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、および−CHCHCHCHCHCHCHCH−のような他の端をさらに末端で置換された末端直鎖アルキルを表し、そして、−CH(CHCH(CH)−(ここでiは好ましくは0から15である)のようなそれらのβ置換類似体;−CHCHC(CHCH−;メタリルクロリドから誘導可能な構造、−CHCH(CH)CH−;−CHCH(C)CHCH−および−CHCH(C)CH(CH)−(ここでC6H4の表記は二置換のベンゼン環を示す)のようなジビニルベンゼンから誘導可能な任意の構造;−CHCH(CH)(C)CH(CH)CH−(ここでC6H4の表記は二置換のベンゼン環を示す)のようなジプロペニルベンゼンから誘導可能な任意の構造;−CHCHCHCH−、−CHCHCH(CH)−、および−CHCH(CHCH)−のようなブタジエンから誘導可能な任意の構造;−CHCHCHCH(CH)−、−CHCHCH(CHCH)−、および−CHCH(CHCHCH)−のようなピペリレンから誘導可能な任意の構造;−CHCH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH(CH)−、−CHC(CH)(CHCH)−、−CHCHCH(CH)CH−、−CHCHC(CH−、および−CHCH[CH(CH]−のようなイソプレンから誘導可能な任意の構造;−CHCH−ノルボニル−、−CHCH−シクロヘキシル−の任意の異性体;ノルボルナン、シクロヘキサン、シクロペンタン、テトラヒドロジシクロペンタジエン、もしくはシクロドデセンから2つの水素原子を失うことによって得られる任意のジラジカル;リモネンから誘導できる構造、−CHCH(4−CH−1−C−)CH(ここでCの表記は二位の置換を欠く三置換のシクロヘキサン環の異性体を示す);−CHCH(ビニルC)CHCH−、および−CHCH(ビニルC)CH(CH)−(ここでCの表記は三置換のシクロヘキサン環の異性体を示す)のようなトリビニルシクロヘキサンから誘導可能な任意のモノビニル含有構造;−CHCH[CHCHCH=C(CH]CHCH−、−CHCH[CHCHCH=C(CH]CH(CH)−、−CHC[CHCHCH=C(CH](CHCH)−、−CHCHCH[CHCHCH=C(CH]CH−、−CHCH(C−)(CH)[CHCHCH=C(CH]、および−CHCH[CH(CH)[CHCHCH=C(CH]]−のような三置換のC=Cを含有するミルセンから誘導可能な任意のモノ不飽和の構造;−CHCH(CH=CH)CHCHCHC(CH−、−CHCH(CH=CH)CHCHCH[CH(CH]−、−CHC(=CH−CH)CHCHCHC(CH−、−CHC(=CH−CH)CHCHCH[CH(CH]−、−CHCHC(=CH)CHCHCHC(CH−、−CHCHC(=CH)CHCHCH[CH(CH]−、−CHCH=C(CHCHCHCHC(CH−、および−CHCH=C(CHCHCHCH[CH(CH]−のような三置換のC=Cを欠くミルセンから誘導可能な任意のモノ不飽和の構造;−CHCHOCH−、−CHCHOCHCHOCHCH−、−CHCHSCHCHSCHCH−、−CHCHSi(CHCHCH−、および−CHCHSi(OCHCHCH−のような少なくとも一つのヘテロ原子によって置換された、直鎖のもしくは分岐のアルキレンの任意のもの;からなる群より選択されるものを含むがそれらに限定されない。
【0016】
他の実施態様において、式(1)のYは、式(1)の−CR3−eフラグメントへと結合する少なくとも1つの炭素−炭素二重結合、もしくは式(1)の−CR3−eフラグメントへと結合する少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、2から12の炭素原子の、二価のもしくは多価の不飽和の炭化水素基である。炭素−炭素二重結合もしくは炭素−炭素三重結合は、他の炭素−炭素二重結合および/もしくは炭素−炭素三重結合と結合していても結合していなくてもよく、芳香環構造を含有していても良い。式(1)のbが少なくとも2であるとき、−CR3−eフラグメントは、炭素−炭素二重結合における同じ炭素原子、炭素−炭素二重結合の近接した炭素原子、もしくは異なった炭素−炭素結合炭素原子と結合していてもよい。Yのいくつかの非限定的な代表例は−CH=CH−、−CHCH=CH−、および−CHCH=CH−CH=CH−、および−CH=C(−)のようなアルケニレン基;−C、C−、−CHC、−CHC C−、および−CHCHC C−のようなアルキニレン基;ならびに、フェニレンおよび2−メチルフェニレンのような芳香族基である。
【0017】
さらに他の実施態様において、式(1)のZはハロゲン原子CL−である。
【0018】
ここでのさらなる実施態様において、式(1)のRは水素;詳細には30までの炭素原子の、より詳細には10までの炭素原子の、さらにより詳細には6までの炭素原子の、およびもっとも詳細には3つの炭素原子の、直鎖の、分岐の、もしくは環状の基;一つもしくはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含有する、直鎖の、分岐の、もしくは環状のアルケニル基で、置換の位置が、炭素−炭素二重結合もしくは基内のいずれの場所であってもよく、アルケニル基が、詳細には30までの炭素原子を、より詳細には10までの炭素原子を、さらにより詳細には6までの炭素原子を、もっとも詳細には3までの炭素原子を含有するもの;詳細には30までの炭素原子を、より詳細には20までの炭素原子を、さらにより詳細には12までの炭素原子を、もっとも詳細には8までの炭素原子を含有するアリール基、である。
【0019】
一実施態様において、Rの代表例は、メチル、エチル、プロピル、およびイソブチルの非限定例のようなアルキル基;ビニル、プロペニル、アリル、メタリル、エチリデニルノルボルナン、エチリデンノルボルニル、エチリデニルノルボルネン、およびエチリデンノルボルネニルの非限定例のようなアルケニル基;フェニル、およびナフタレニルの非限定例のようなアリール基;ベンジル、およびフェネチルの非限定例のようなアラルキル基を含む。「環状アルキル」および「環状アルケニル」のいくつかの代表例は、ノルボルニル、ノルボルネニル、エチルノルボルニル、エチルノルボルネニル、エチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキセニル、シクロヘキシルシクロヘキシル、およびシクロドデカトリエニルを含むがそれらには限定されない。
【0020】
ここでの他の実施態様において、一般式(1)のシラン(d)の[−Y−(CR3−e−Z]部分は、−CH=CH−CH−Z、−C CCH−Zおよび−Ar−CH−Z(ここでZはハロゲン原子でそしてArは芳香環を示す)からなる群より選択される。
【0021】
さらに他の実施態様において、Xの各々はRO−であり、ここでRは水素、ならびに詳細には1から6の炭素原子、より詳細には1から3の炭素原子、そしてもっとも詳細には2の炭素原子のアルキル基からなる群より独立して選択され;XおよびXの各々はRO−もりくはR−であり、ここでRは水素、ならびに詳細には1から6の炭素原子、より詳細には1もしくは2の炭素原子、もっとも詳細には1の炭素原子のアルキル基からなる群より独立して選択され;Gは独立して、詳細には1から10の炭素原子の、より詳細には1から3の炭素原子の、もっとも詳細には1の炭素原子の炭化水素であり;Rの各々は独立して、1から10の炭素の、より詳細には1から3の炭素原子の、もっとも詳細には1の炭素原子のアルキル基であり;Yの各々は独立して、詳細には−CH=CH−、−C C−、および−C−から選択される、より詳細には−CH=CH−、および−C−から選択される、もっとも詳細には−C−である不飽和基であり;Zの各々は詳細にはCl−もしくはBr−であり、そしてより詳細にはCl−であり;そして、a、b、c、およびdは整数であり、ここで、aが1、bが1もしくは2、cが1もしくは2、dが1もしくは2、ならびにeが1もしくは2で、より詳細には、aが1、bが1、cが1、dが1、ならびにeが1である。
【0022】
ここでのさらに他の実施態様において、シラン(d)は、3−クロロプロパ−1−イニルトリエトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルトリエトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルトリメトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルジメチルエトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルトリブトキシシラン、3−ブロモプロパ−1−エニルトリエトキシシラン、3−ブロモプロパ−1−エニルトリメトキシシラン、3−ブロモプロパ−1−エニルトリブトキシシラン、3−イオドプロパ−1−エニルトリエトキシシラン、3−イオドプロパ−1−エニルトリメトキシシラン、3−イオドプロパ−1−エニルトリブトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−ジクロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−トリクロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)メチルジエトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)ジメチルエトキシシラン、(p−α−クロロエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−クロロエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−クロロエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−ブロモメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−ブロモメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−ブロモメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−イオドメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−イオドエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−イオドメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−イオドエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−イオドメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−イオドエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−クロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−クロロエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−クロロメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−クロロエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−クロロメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−クロロエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−ブロモメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−ブロモメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−ブロモメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−イオドメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−イオドエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−イオドメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−イオドエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−イオドメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−イオドエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、2,2−ビス−(トリエトキシシリル)−1−(p−クロロメチルフェニル)エタン、2,3−ビス−(トリエトキシシリル)−1−(p−クロロメチルフェニル)プロパン、(CHCHO)SiCHCHCHOCHCH=CHCHCl、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つのシランである。
【0023】
他の実施態様において、シラン(d)は、3−クロロプロパ−1−エニルトリエトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルトリメトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−クロロメチルフェニルエチル)メチルジエトキシシラン、(p−α−クロロプロピルフェニルエチル)ジメチルエトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−クロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−クロロメチルフェニルエチル)メチルジエトキシシラン、(m−α−クロロメチルフェニル)トリエトキシシラン、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0024】
他の実施態様において、本発明のゴム組成物は、シラン反応性充填剤(b)を疎水化しその分散を助ける一つもしくはそれ以上の他の加水分解性の有機シランを、任意選択で含有しても良い。これらの加水分解性の有機シランは、詳細には3から18の炭素原子の、より詳細には6から10の炭素原子の少なくとも一つのアルキル基と、少なくとも一つのRO−加水分解性基(ここで、Rは水素、もしくは、1から10の炭素原子のアルキル、アルケニル、アリール、アラルキルである)とを含有する。これらの加水分解性の有機シランは、詳細には約0.5から約10phrの量で、より詳細には約1から約5phrの量で用いられ得る。
【0025】
具体的な一実施態様において、ここでのゴム組成物は、成分(a)、(b)、任意選択で(c)、および(d)の混合物および/もしくは反応産物を含有する。
【0026】
ここでのさらなる実施態様において、ゴム組成物中のシラン(d)は、一つの官能性によってシラン反応性充填剤(b)へと、そして、別の官能性によってゴム成分(a)(たとえばジエンポリマー)へと結合している。
【0027】
一実施態様において、少なくとも一つの活性化剤が、ゴム配合プロセスにおいて、ゴム成分(a)とシラン(d)との間の結合反応を促進するために用いられ得る。活性化剤は遷移金属塩の中から選択され得る。遷移金属塩は、一般式(1)のシランのZ基の除去を助け、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属炭酸塩、金属水酸化物、および他の適切な金属錯体を含む、化合物である。遷移金属塩のいくつかの非限定的な代表例は、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、および酸化チタンのような金属酸化物、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化チタン、臭化チタン、および塩化第二すずなどの金属ハロゲン化物、ならびに、ステアリン酸亜鉛、酢酸亜鉛、およびオクチル酸第二すずのような金属炭酸塩を含む。
【0028】
ここでの一実施態様において、ゴム成分(a)は、少なくとも一つのジエン系エラストマーおよびゴムからなる群より選択される有機ポリマーであり得る。ここでの一実施態様において、ゴム成分(a)は、当分野に周知の任意のものであり得、それらの多くは「The Vanderbilt Rubber Handbook(バンダービルトゴムハンドブック)」; R.F. Ohm, ed.; R.T. Vanderbilt Company, Inc., Norwalk, CT; 1990、および「Manual For The Rubber Industry」; T. Kempermann, S. Koch, J. Sumner, eds.; Bayer AG, Leverkusen, Germany; 1993に記載される。まださらなる実施態様において、適切なゴム成分(a)(有機ポリマー)のいくつかの非限定的な代表例は、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、ブタジエンの様々なコポリマー、イソプレンの様々なコポリマー、およびこれらのエラストマーの混合物、溶液法のスチレン−ブタジエンゴム(SSBR)、エマルジョン法のスチレン−ブタジエンゴム(ESBR)、エチレン−プロピレン三元重合体(EPDM)、およびアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)を含む。
【0029】
ここでの他の実施態様において、ゴム組成物成分(a)は少なくとも一つのジエン系エラストマー、もしくはゴムで構成される。さらにより具体的な実施態様において、ゴムの作成に適切なモノマーは、非限定的な例としてイソプレンおよび1,3−ブタジエンのような共役ジエン;そして非限定的な例としてスチレンおよびアルファメチルスチレンのような適切なビニル芳香族化合物;そしてそれらの組み合わせである。特定の実施態様において、ゴム成分(a)は硫黄硬化可能なゴムである。さらなる実施態様において、ジエン系エラストマーもしくはゴムを、非限定的な例としての、(天然および/もしくは合成の)シス−1,4−ポリイソプレンゴム、好ましくは天然ゴム、乳化重合で調製されたスチレン/ブタジエン共重合体ゴム、有機溶液重合で調製されたスチレン/ブタジエンゴム、3,4−ポリイソプレンゴム、イソプレン/ブタジエンゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエン三元共重合体ゴム、シス−1,4−ポリブタジエン、中含量ビニルポリブタジエンゴム(35から50パーセントのビニル)、高含量ビニルポリブタジエンゴム(50から75パーセントのビニル)、スチレン/イソプレン共重合体、乳化重合で調製されたスチレン/ブタジエン/アクリロニトリル三元共重合体ゴム、およびブタジエン/アクリロニトリル共重合体ゴムの少なくとも一つから選択してよい。乳化重合により誘導されたスチレン/ブタジエン(ESBR)は、約20から約29パーセントの結合スチレンという比較的汎用のスチレン含有量を有するESBRが、または用途によっては、中程度から比較的高い結合スチレン含有量、すなわち約30から約45パーセントの結合スチレン含有量を有するESBRが、ここでの使用においてジエン系ゴムとみなされる。さらに具体的な実施態様において、三元共重合体において約2から約40重量パーセントの結合アクリロニトリルを含む、乳化重合で調製されたスチレン/ブタジエン/アクリロニトリル三元共重合体ゴムも、ここでの使用ではジエン系ゴムとみなされる。
【0030】
ここでの他の実施態様において、溶液重合で調製されたSBR(SSBR)は、詳細には約5から約50、より詳細には約9から約36、そして最も詳細には約20から約30の重量パーセントの範囲の結合スチレン含有量を典型的には有する。より具体的な実施態様において、ポリブタジエンエラストマーは、例えば少なくとも約90重量パーセントのシス−1,4−含有量を有することによって好都合に特徴づけられよう。
【0031】
ここでのさらに他の実施態様において、ゴム成分(a)は、アルコキシシラン誘導体によって官能化もしくは修飾されたジエンである。シラン官能化有機溶液重合で調製されたスチレン−ブタジエンゴムおよびシラン官能化有機溶液重合で調製された1,4−ポリブタジエンゴムが用いられ得る。それらのゴムは既知であり、たとえば、参照によってここにそのすべての内容を組み入れる米国特許第5,821,290号に見られる。
【0032】
ここでのさらに他の実施態様において、ゴム成分(a)は、すず誘導体によって官能化もしくは修飾されたジエンポリマーである。すず結合のスチレン・ブタジエン共重合体は、たとえば、有機溶媒溶液におけるスチレンと1,3ブタジエンモノマーの共重合反応の間、通常は重合反応の終了時もしくは終了近くにおいて、すず結合剤を導入することによって作製される。そのようなすず結合のスチレン−ブタジエンゴムは、当業者に周知であり、参照によりここにそのすべての内容を組み入れる、米国特許第5,268,439号に見られる。実際問題として、少なくとも約50パーセントの、より詳細には約60から約85パーセントのすずがスチレン−ブタジエンゴムのブタジエン単位に対して結合し、すずジエニル結合を作る。
【0033】
さらになお他の実施態様において、ゴム成分(a)は、天然ゴムおよび合成ポリイソプレンからなる群より選択される。
【0034】
「シラン反応性充填剤」という表現は、ここでは、シラン(d)と反応し、安定的なSi−O−充填剤結合を形成できる物質を意味すると理解されるべきである。シラン反応性充填剤はエラストマーネットワークを強化するためにゴム組成物(a)に添加される物質を含む。強化充填剤は、そのモジュラスがゴム組成物のゴム成分(a)よりも高く、そして、この組成物がひずむとき、ゴム成分(a)からの応力を吸収することができる物質である。一実施態様において、シラン反応性充填剤(b)は、線維、粒子、およびシート状構造を含み、そして無機鉱物、ケイ酸塩、シリカ、粘土、セラミックス、炭素、有機重合体、ケイソウ土から構成されてよい。一実施態様において、シラン反応性充填剤(b)は、個々の粒子、または凝集体もしくは集塊体を形成する粒子の集まりであり得る。シラン反応性充填剤(b)を、シラン(d)と反応しない他の充填剤と混合することができる。これらの充填剤は、ゴム成分(a)を増量するかまたはエラストマーネットワークを強化するために用いられる。適切なシラン反応性シラン(b)物質のいくつかの非限定的な代表例は、シリカ(焼成シリカおよび沈降シリカ)、二酸化チタン、アルミノケイ酸塩、そしてアルミナのような金属酸化物、粘土とタルクとを含むシリカ質の物質の少なくとも一つを含む。ここでの特定の実施態様において、微粒子の沈降シリカは、しばしばシランと結合させて用いられる。一実施態様において、シラン反応性充填剤(b)は単独で、または一つもしくはそれ以上の他の充填剤と組み合わせて用いられる。他の具体的な実施態様において、非限定的な一実施態様として、シリカとカーボンブラックとの組合せは、非限定的例としてタイヤの接地面を含む種々のゴム製品の強化充填剤に利用される。他の実施態様において、アルミナを、単独でまたはシリカと組合せて使用してよい。ここで「アルミナ」の用語は、酸化アルミニウム、もしくはAlを言及する。より具体的な実施態様において、充填剤は、水和したもしくは無水の形態でよい。ゴム組成物におけるアルミナの使用は、既知であり、例えば、参照によりここにそのすべての内容を組み込む米国特許第5,116,886号および欧州特許第631982号に見られる。
【0035】
一実施態様において、ここで使われる「担体」の用語は、高い吸着または吸収の能力を有し、そして自由流動性および乾性を維持しながら約75パーセントまでの液体のシランを担持できる、多孔性もしくは大表面積の充填剤または有機ポリマーを意味する。一実施態様において、担体充填剤または担体ポリマーは、本質的にシランに対して不活性であり、そしてエラストマー組成物に添加されたとき、液体のシランを放出もしくは排出できる。
【0036】
一実施態様において、シラン反応性充填剤(b)は、液体のシランのための担体およびエラストマーのための補強充填剤として使用してよく、ここで、ここでのシラン(d)は、表面と反応するかもしくは結合することができる。他の実施態様において、担体として使用される充填剤は、本発明のシランと非反応性である。特定の実施態様において、充填剤の非反応性の性質は、シラン(d)の、担持されたシランが有機溶媒を使用することで約50パーセント以上が抽出され得るということによって説明される。具体的な実施態様において、抽出手順は参照によりそのすべての内容をここに組み入れる米国特許第6,005,027号に記載される。一実施態様において、担体は、多孔性の有機ポリマー、カーボンブラック、ケイソウ土、およびシリカを含むが、これらに限定されず、これらは、米国特許第6,005,027号に記載されるように、105℃で測定した時と500℃で測定した時とのシリカの3502cm−2の赤外吸光度の間で1.3未満の比較的小さい差によって特徴付けられる。一実施態様において、担体に担持できるシラン(d)の量は、約0.1パーセントと約70パーセントとの間である。他の実施態様において、シラン(d)は、約10パーセントと約50パーセントとの間の濃度で担体上に担持される。
【0037】
一実施態様において、シラン反応性充填剤(b)は、シラン(d)がその充填剤の表面と反応する充填剤を含む。ここでの具体的な実施態様において、微粒子の沈降シリカは、特にシリカが反応性の表面シラノールを持つとき、シラン反応性充填剤(b)として有用である。ここでのさらなる実施態様において、ここでのシラン反応性充填剤(b)は水和した形態あってよい。
【0038】
ここでの非限定的な一実施態様において、シラン反応性充填剤(b)と混合される他の充填剤は、カーボンブラックもしくは有機重合体の場合のように、混合されるシラン(d)に対し本質的に不活性であってよく、または、例えば金属のヒドロキシ表面官能性を有する担体(例えば表面のシラノール官能性を有するシリカおよび他のシリカの微粒子)を、金属のヒドロキシ表面官能性を有する強化充填剤(例えばアルミナ、シリカおよび他のシリカの充填剤)と組み合わせる場合、少なくとも二つのシラン反応性充填剤は一緒に混合され、それらの反応性であり得る。
【0039】
ここでの一実施態様において、沈降シリカはシラン反応性充填剤(b)として利用される。より具体的な実施態様において、ここでのシリカ充填剤は、詳細には約40から約600m/gまでの範囲の、そしてより詳細には約50から約300m/gまでの範囲の、そして最も具体的には約100から約150m/gまでの範囲の、窒素ガスを使用して測定されるBrunauer、EmmettおよびTeller(BET)表面積を持つことによって特徴付けられる。表面積を測定するBET法は、Journal of the American Chemical Society, Volume 60, page 304 (1930)、に記載されており、これがここで用いた方法である。さらに他の具体的な実施態様において、シリカは、典型的には、詳細には約100から約350まで、より詳細には約150から約300まで、そして最も詳細には約200から約250までの範囲でフタル酸ジブチル(DBP)吸収値を持つことによって特徴付けられる。もっと具体的な実施態様において、シラン反応性充填剤(b)ならびに前述のアルミナおよびアルミノケイ酸塩の充填剤は、約100から約220m/gまでの範囲でCTAB表面積を持つと予想される。CTAB表面積は、pH9を持つ臭化セチルトリメチルアンモニウムによって測定される外部表面積であり;この測定のための方法はASTM D 3849に記載されている。
【0040】
水銀細孔度−比表面積(mercury porosity surface area)は、水銀圧入法によって測定される具体的な比表面積である。この技術において、水銀は、揮発性物質を除去するための熱処理の後に試料の細孔に浸透される。より具体的な実施態様において、測定条件は、100mgの試料を使用し、105℃および周囲の大気圧で2時間、揮発物質を除去し、そして大気圧から2000barの範囲で圧力を測定する。他の実施態様において、そのような評価は、Winslow, et al., ASTM bulletin, p.39 (1959)に記載される方法、またはDIN 66133によって行ってよい;そのような評価に、CARLO−ERBA細孔計2000を使用してよい。一実施態様において、選び出されたシラン反応性充填剤(b)(例えばシリカ)の平均水銀細孔度比表面積は、詳細には約100から約300m/gまで、より詳細には約150から約275m/gまで、そして最も詳細には約200から約250m/gまでの範囲であるべきである。
【0041】
一実施態様において、そのような水銀細孔度評価による、シラン反応性充填剤(b)(例えばシリカ、アルミナおよびアルミノケイ酸塩の非限定例)に適切な細孔径分布は:細孔の5パーセントもしくはそれ以下が約10nm以下の直径を有し;細孔の約60から約90パーセントまでが約10から約100nmまでの直径を有し;細孔の10から約30パーセントまでが約100から約1,000nmまでの直径を有し;そして細孔の約5から約20パーセントまでが約1,000nmを超える直径を有する、とここでは考えられる。第二の実施態様において、電子顕微鏡法によって測定される、例えば約0.01から約0.05μmまでの範囲で平均究極粒径をシラン反応性充填剤(b)(例えばシリカ)は持つと予想されるが、粒子(例えばシリカ)は、径がさらに小さいか、恐らくより大きくてもよい。一実施態様において、ここでの使用を考慮することができる種々の市販シリカは、HI−SIL、特にHI−SIL 210および243の商標でPPG Industriesから入手できるシリカ;例えばZEOSIL 1165MPのRhone−Poulencから入手可能なシリカ;例えばVN2およびVN3などのDegussaから入手可能なシリカ、そして、例えばHUBERSIL−8745のHuberから入手可能なシリカである。
【0042】
一実施態様において、シリカ、アルミナおよび/またはアルミノケイ酸塩のようなシリカの充填剤と、さらにカーボンブラック補強顔料との両方を含むゴム組成物が、補強顔料としてシリカで主として強化されることが望まれる場合、より詳細にはカーボンブラックに対するそのようなシリカの充填剤の重量比は、少なくとも約3/1、そして好ましくは少なくとも約10/1、それ故に約3/1から約30/1の範囲である。より具体的な実施態様において、シラン反応性充填剤(b)は、約15から約95重量パーセンまでの沈降シリカ、アルミナおよび/またはアルミノケイ酸塩と、これに対応して約5から約85重量パーセントまでのCTAB値が約80から約150までの範囲であるカーボンブラックを含有してよい。具体的な一実施態様において、代替的に、シラン反応性充填剤(b)は、約60から約95重量パーセントまでの前記シリカ、アルミナおよび/またはアルミノケイ酸塩と、これに対応して約40から約5重量パーセントまでのカーボンブラックを含有してよい。他の具体的な実施態様において、シリカの充填剤およびカーボンブラックは、加硫ゴムの製造の際、前もって混合するか、一緒に混合してよい。
【0043】
一実施態様において、ここで定義されるような成分(a)、(b)、任意選択で(c)、および(d)の有効量を混合することを含有するゴム組成物を作製するプロセスが提供される。ここでの一実施態様において、シラン(d)の有効量は、ここでのゴム組成物の全重量に基づいて、詳細には約0.2から約20まで、より詳細には、約0.5から約15まで、そして最も詳細には、約2から約10重量パーセントまでのシラン(d)である。他の実施態様において、シラン反応性充填剤(b)の有効量は、詳細には約2から約70まで、より詳細には約5から約50まで、そして最も詳細には約20から約40重量パーセントまでのシラン反応性充填剤(b)であり、ここで前記重量パーセントはここでのゴム組成物の全重量に基づく。さらに他の実施態様において、反応で生成する混合物は、ゴム成分(a)の有効量は、ここでのゴム組成物の全重量に基づいて、詳細には約30から約98重量パーセントまで、より詳細には、約50から約95重量パーセントまで、そして最も詳細には約60から約80重量パーセントまでのゴム成分(a)である。ここでの他の実施態様において、ここに記載されるゴム組成物の作製のためのプロセスは、ゴム組成物を成型の前、その最中および/もしくはその後にゴム組成物を硬化するステップをさらに含有する。ここでの一実施態様において、加硫ゴム組成物は、それらの妥当な高さのモジュラスおよび高い引き裂き抵抗に寄与するのに充分な量のシラン反応性充填剤(b)を含むべきである。具体的な実施態様において、シラン反応性充填剤(b)の合計重量は、ゴム成分(a)100部当たり約5から約100部(phr)と少なくてよいが、しかしより詳細には約25から約85phrまで、そして最も詳細には約50から約70phrまでである。
【0044】
一実施態様において、シラン(d)は、シラン反応性充填剤(b)の粒子、凝集体、および/もしくは集塊体と前もって混合または前もって反応させてもよいし、またはゴム(a)とシラン反応性充填剤(b)との加工中もしくは混合中にゴム混合物に対して添加してもよい。他の実施態様において、シラン(d)とシラン反応性充填剤(b)とが、ゴム成分(a)とシラン反応性充填剤(b)との加工混合物に対して別々に添加されるなら、シラン(d)はシラン反応性充填剤(b)とその場で結合すると考えられる。
【0045】
一実施態様において、実際上、硫黄加硫ゴム産物は、典型的にはゴムと様々な成分とを連続的で段階的な方法によって熱機械的に混合し、続いて配合ゴムを成形し、硬化して加硫産物を生成させることによって作製される。より具体的な実施態様において、最初に、ゴム成分(a)および種々の成分の前述の混合のために、硫黄および硫黄加硫促進剤(まとめて「加硫剤」)を典型的には除外したゴムおよび種々のゴム配合成分が、適切なミキサー中における、少なくとも一つの、そして、任意選択で二つもしくはそれ以上の予備の熱機械的な混合段階で通常は混合される。そのような予備の混合は、非生産的な混合(non−productive mixing)、または非生産的な混合の工程もしくは段階と呼ばれる。より具体的な実施態様において、そのような予備混合は、詳細には約130℃から約180℃まで、そしてより詳細には約140℃から約160℃までの範囲の温度で、通常は行われる。
【0046】
一実施態様において、そのような予備の混合段階の後に続いて、しばしば生産的な混合段階と呼ばれる最終混合段階において、加硫剤と、任意選択で一つもしくはそれ以上の追加的な成分とが、典型的には約50℃から約130℃の範囲の温度でゴム配合物または組成物と混合され、この温度は、しばしばゴム組成物のスコーチ(scorching)と呼ばれる硫黄硬化性ゴムの時期尚早の硬化を防ぐかまたは遅らせるために、予備の混合段階の温度より低い。
【0047】
他の実施態様において、ゴム組成物は、しばしば中間的なミル混合のプロセスの後でもしくはプロセスの途中で、前述の種々の混合工程の間に、例えば約50℃もしくはそれ以下の温度に典型的には冷却される。
【0048】
ここでの他の実施態様において、ゴム組成物の成型および硬化が望まれる場合、ゴム組成物は所望の鋳型に入れられ、少なくとも約130℃、そして約200℃にまで加熱され、ゴムの加硫を引き起こすことになる。
【0049】
熱機械的な混合によって意味することは、ゴム配合物またはゴムとゴム配合成分との組成物がゴムミキサーにおいて高い煎断条件下で混合され、ここでそれらが、主としてゴムミキサー中のゴム混合物内部のせん断および関連する摩擦が原因で、混合の結果として自発的に発熱することである。一実施態様において、混合と硬化のプロセスにおける種々のステップで、幾つかの化学反応が起り得る。
【0050】
一実施態様において、例えば硫黄源の独立した添加は、ゴム混合物への、それの添加量によって、および他の成分の添加と比較し添加の順序によってコントロールされる。
【0051】
ここでの他の実施態様において、ここでのゴム組成物は:
a)少なくとも一つの予備混合操作において、第一の実施態様では約140℃から約180℃までの温度で、第二の実施態様では約150℃から約170℃までの温度で、そのような混合操作のために、第一の実施態様では約1から約20分までの、第二の実施態様では約4から約15分までの、合計の混合時間で:
i)約100重量部の共役ジエン単独重合体、共役ジエン共重合体、および少なくとも一つの共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体からなる群より選択される少なくとも一つの硫黄加硫ゴム、
ii)第一の実施態様では約5から約100重量部のシラン反応性充填剤(b)、そして第二の実施態様では約25部から約85部のシラン反応性充填剤(b)であって、ここで、シラン反応性充填剤(b)は、詳細には0から約85重量パーセントまでのカーボンブラックを含む、および、
iii)第一の実施態様では約0.05から約20のゴムの重量部の、第二の実施態様では約2から10のゴムの重量部の、上述の一般式(1)の少なくとも一つのシラン(d)、
iv)任意選択で、第一の実施態様では約0.01から約15重量部の活性化剤(c)、第二の実施態様では約1から約5重量部の活性化剤(c)、
を熱機械的に混合するステップ;
b)最終の熱機械的な混合工程において、ゴム組成物(a)を混合するのに充分な時間、例えば、第一の実施態様では約1から約30分間、第二の実施態様においては約1から約5分間、約50℃から約130℃までの温度で、ステップ(a)からの混合物と0から5重量部の硬化剤とを配合するステップ;および、
c)任意選択で、約5から約60分までの間に約130から約200℃までの範囲の温度で、前記混合物を硬化すステップ;
を含有するプロセスによって作製される。
【0052】
ここでのゴム組成物は、混合成分(a)(様々な硫黄加硫成分ゴム)のようなゴム配合分野において既知の方法によって、例えば硫黄、活性剤、遅延剤および促進剤のような硬化助剤;油、例えば粘着付与樹脂などの樹脂、シリカ、可塑剤、充填剤、顔料、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、酸化防止剤、およびオゾン劣化防止剤のような加工添加物;素練り促進剤;そして例えばカーボンブラックのような強化材などのような種々の一般に使用される添加物物質と共に、配合されてよい。前述の添加物は、(硫黄加硫性)ゴム組成物および硬化ゴム組成物(硫黄加硫物)の意図される用途に応じて、選択され、そして汎用の量で一般に使用される。
【0053】
加硫は、追加的な硫黄加硫剤の存在下で行ってよい。具体的な一実施態様において、適切な硫黄加硫剤の幾つかの非限定的例は、例えば元素硫黄(遊離の硫黄)、またはアミノジスルフィド、重合性ポリスルフィドもしくは硫黄オレフィン付加物の非限定的例のような硫黄供与加硫剤を含み、それらは最終の、すなわち生産的なゴム組成物混合ステップにおいて汎用的に添加される。他の具体的な実施態様において、硫黄加硫剤(それらは当分野に一般的である)は、約0.4から約3phrまで、またはある状況においては約8phrまでの範囲の、約1.5から約2.5phrまで、そしてある場合には、最も具体的には約2から約2.5phrまでの範囲の量で、生産的な混合段階で使用されるか、または添加され、これが、一般的に適切である。
【0054】
所望なら、加硫促進剤、すなわち追加的な硫黄供与体も使用してよい。加硫促進剤の非限定的な例は、ベンゾチアゾール、アルキルチウラムジスルフィド、グアニジン誘導体、およびチオカルバマートを含む。他のそのような促進剤の代表例は、メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、ベンゾチアゾールジスルフィド、ジフェニルグアニジン、ジチオカルバミン酸亜鉛、アルキルフェノールジスルフィド、ブチルキサントゲン酸亜鉛、N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N,N−ジフェニルチオ尿素、ジチオカルバミルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、2−メルカプトトルイミダゾール亜鉛、ジチオビス(N−メチルピペラジン)、ジチオビス(N−ベータ−ヒドロキエチルピペラジン)、ジチオビス(ジベンジルアミン)、およびそれらの組合せであるが、これらに限定されない。他の実施態様において、他の追加的な硫黄供与体は、例えばチウラム誘導体およびモルホリン誘導体を含む。より具体的な実施態様において、そのような供与体の典型は、例えばジモルホリンジスルフィド、ジモルホリンテトラスルフィド、テトラメチルチウラムテトラスルフィド、ベンゾチアジル−2,N−ジチオモルホリド、チオプラスト、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、ジスルフィドカプロラクタム、およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0055】
促進剤は、加硫に必要な時間および/または温度を制御するために使用され、そして加硫物の性能を改善する。一実施態様において、単一の促進剤系、すなわち一次促進剤を使用してよい。他の実施態様において、汎用的にそしてより具体的には、一次促進剤を約0.5から約4phrまで、好ましくは約0.8から約1.5phrまでの範囲の合計量で使用する。より具体的な実施態様において、一次および二次の促進剤の組合せを、加硫物を活性化し、その特性を改善する目的で二次促進剤と一緒により少ない量(例えば、約0.05から約3phrまで)で使用してよい。さらに他の実施態様において、遅延作用促進剤も使用してよい。さらに他のる実施態様において、加硫遅延剤も使用してよい。一実施態様において、適切なタイプの促進剤は、アミン、ジスルフィド、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、ジチオカルバマート、キサントゲン酸塩、およびそれらの組合せという非限定的例のようなものである。より具体的な実施態様において、一次促進剤はスルフェンアミドである。他の具体的な実施態様において、二次促進剤を使用するならば、二次促進剤は、より具体的にはグアニジン、ジチオカルバマートまたはチウラム化合物である。
【0056】
粘着付与剤樹脂を、使用するならば、約0.5から約10phrまで、通常は約1から約5phrの量で使用してよい。具体的な一実施態様において、加工助剤の典型的な量は、約1から約50phrまでを含有する。適切な加工助剤は、非限定的例として、芳香族、ナフテン酸および/またはパラフィンの加工オイル、およびそれらの組合せを含んでよい。より具体的な他の実施態様において、酸化防止剤の典型的な量は、約1から約5phrまでである。代表的な酸化防止剤は、非限定的例として、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、その他に、例えばVanderbilt Rubber Handbook (1978)、344−346ページに開示される酸化防止剤を含む。さらに他の実施態様において、オゾン劣化防止剤の典型的な量は、約1から約5phrまでである。ステアリン酸の非限定的な例を含む、任意選択での脂肪酸の典型的な量は、約0.5から約3phrまでである。一実施態様において、酸化亜鉛の典型的な量は、約2から約5phrである。まだ他の具体的な実施態様において、例えばマイクロクリスタリンワックスのようなワックスの典型的な量は、約1から約5phrまでである。素練り促進剤の典型的な量は、約0.1から約1phrまでである。適切な素練り促進剤は、非限定的な例として、ペンタクロロチオフェノール、ジベンズアミドジフェニルジスルフィドおよびそれらの組合せを含む。
【0057】
ここでのゴム組成物は、さまざまな目的に使用できる。具体的な一実施態様において、少なくとも一つの要素がここに記載された硬化ゴム組成物である製品が提供される。他の具体的な一実施態様において、少なくとも一つの要素、例えば接地面がここに記載された硬化ゴム組成物を含むタイヤが提供される。さらに他の実施態様においてここでのゴム組成物は、たとえば、靴底部、ホース、ケーブル外被、ガスケット、および他の工業製品のような製品の製造に用いられ得る。そのような物品は、当業者に容易に明白である種々の既知のそして汎用の方法によって形成され、成形され、成型され、硬化され得る。
【0058】
本発明は、以下の実施例を参照することによって一層よく理解されよう。ここでは、部と百分率は特に示されない限り、重量に基づく。
【実施例】
【0059】
実施例1
結合剤の合成
3−クロロプロペニルトリエトキシシランの作製
250mlの3口丸底フラスコに、還流冷却器、添加ロート、およびスターラーバーが備えられた。塩化プロパルギル(50g、0.671モル)と0.15gの1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金(0)錯体(キシレン溶液中の3重量%)とをフラスコに添加した。トリエトキシシラン(115.6g、0.705モル)を、添加ロートから反応混合液に対して、滴下した。フラスコはすぐに暖かくなった。添加の完了後、フラスコを1時間100℃で保った。最終産物の103gは、蒸留(108℃/49 mmHg)によって異性体の混合物として精製された。NMRは1:0.13の比率の二つの異性体であることを示した。
【0060】
(p−クロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシランと(p−メチルフェニルエチル)トリエトキシシランの作製
250mlの3口丸底フラスコに、還流冷却器、添加ロート、およびスターラーバーが備えられた。塩化ビニルベンジル(76g、0.5モル)と0.15gの白金−テトラビニルテトラメチル−シクロテトラシロキサン錯体(0.104M)をフラスコに添加した。フラスコを95℃に加熱した後、トリエトキシシラン(82g、0.5モル)を、添加ロートから反応混合液に対して滴下した。添加完了後、フラスコを1時間100℃で保った。蒸留(130℃/0.3 mmHg)後、精製産物の82gがGC/MSおよびNMR分析によって特性解析される異性体の混合物として得られた。そのすべての内容を参照によりここに組み入れる米国特許第3,925,435号(Union Carbide Corp.)の実施例の手順に従い、(p−メチルフェニルエチル)トリエトキシシラン(二つの異性体の混合物)が、(トリクロロシランとp−ビニルトルエンとの間のヒドロシリル化産物である)(p−メチルフェニルエチル)トリクロロシランのエステル交換によって作製された。
【0061】
実施例2〜5;比較例1〜4
ゴム組成物の作製
以下の実施例において、反応物の量は、特に示されていない限り、ゴム成分100部当たりの部(phr)である。以下のゴム組成物は、天然ゴムをベースとして作製され、高分散性の沈降シリカによって強化されており、前記組成物は貨物自動車のタイヤにおける接地面配合物を意図されている。これらの例のゴム組成物の配合は以下の表1に記載される。比較例1のゴム組成物はカーボンブラックを強化充填剤として含む。残りのゴム組成物(比較例2〜4および実施例2〜5)はシリカを強化充填剤として含む。試験されたシリカ結合剤はシリコンの等モル量で用いられた。比較例2〜4および実施例2〜5のゴム組成物はシラン成分以外は同じ配合を持つ。
【0062】
【表1】

【0063】
表1の表記は以下のように定義される:NR:天然ゴム(SMR−L);シリカ:RhodiaからのZeosil1165MP;CB:カーボンブラック(N−220);プロセスオイル:Sun OilからのSundex8125;ZnO:ZincCorpからのKadox720C;ステアリン酸:Witco、CromptonからのIndustreneR;6PPD:(UniroyalからのFlexzone 7P);ワックス:Uniroyal、CromptonからのSunproof Improved;Naugurd Q:Uniroyalから;Sulfur:HarwickからのRubbermakers Sulfer 104;TBBS:Uniroyal、CromptonからのDelacS;DPG:Uniroyal、Cromptonから。
【0064】
シラン(1)のSilquestA−1289と(2)の3−クロロプロピルトリエトキシシランは、Momentive Performance Materialsから入手可能である;
(3)の3−クロロプロペニルトリエトキシシランは実施例1のように作製された;
(4)((p−メチルフェニル)エチル)トリエトキシシランは実施例1のように作製された;
(5)(p−クロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシランは実施例1のように作製された;
(6)(p−クロロメチルフェニルエチル)トリメトキシシランはGelestからのもの;
(7)(p−クロロメチルフェニル)トリエトキシシランはGelestからのもの。
【0065】
ゴムのマスターバッチの混合は、1550立方センチメーター(cc)のチャンバ容量でクルップ(Krupp)ミキサーを用いて2つのパスの手順で実施された。第一のパスでは、ミキサーを30rpm、冷却水を全開にして、ミキサーを回転させた。ゴムポリマーはミキサーへ添加され、60秒間ラムダウン(ram down)混合された。シリカの半分とシランのすべてが、酢酸エチルビニル(EVA)バッグ中の約35−40グラムのこの部分のシリカを伴い、添加され、60秒間ラムダウン混合された。ミキサーの開口部がこそげ落とされ、ゴムのマスターバッチの温度を140℃に上げるのに必要なように、ミキサーの混合速度を90rpmにまで増加した。マスターバッチは放り出され(ミキサーから放出され)、約60℃から65℃にセットされたロールミル上でシートが形成され、シートは室温にまで冷された。
【0066】
第二のパスでは、第一のパスからのシートがミキサーに加えられ、60秒間ラムダウン混合された。硬化剤以外の成分の残りは一緒に加えられ、60秒間ラムダウン混合された。ミキサーの開口部はこそげ落とされ、ゴムのマスターバッチの温度が135℃と140℃の間に上昇するのに必要なように、ミキサーの混合速度を90rpmまで増加した。ゴムのマスターバッチは5分間混合され、クルップミキサーの速度は、温度が135℃と140℃の間に維持されるように調節された。
【0067】
ゴムのマスターバッチと硬化剤は60℃と65℃の間に加熱されたロールミル上で混合された。硫黄と促進剤がゴムのマスターバッチへと添加され、ロールミル上で完全に混合され、シートを形成するようにされた。シートは硬化前に室温へと冷された。
【0068】
ゴム組成物の測定と試験
ゴム組成物の特性解析のために行われた測定と用いられた試験は以下に記載される。ゴム組成物の特性解析は、下に示されるように、硬化の前と後になされた。
【0069】
組成物のレオロジー特性は、Monsanto R−100振動円板レオメーターおよびMonsanto M1400ムーニー粘度系によって測定された。力学的特性を測定するための検体は、149℃において(t90+1)分間硬化された6mmのプラークから切り取られた。プラークの形状の硬化ゴム組成物の硬化および試験はASTM標準にしたがって実施された。さらに微小歪み動的試験はReometricsのダイナミックアナライザ(ARES−Reometrics Inc.)上で実施された。Payne効果の歪み掃引(strain sweep)は、10Hzで60℃において、0.01%の動的歪み振幅から約25%のせん断歪み振幅までで実施された。動的パラメーター、G’initial、ΔG’、G’’max、およびtanδmaxは、微小歪みにおけるゴム配合物の非線形反応より抽出された。場合によっては、35%の歪み振幅(60℃)における15分間の動的振幅の後に、tanδの定常状態が測定された。動的特性の温度依存性はまた、−80℃から80℃で、微小歪み振幅(1もしくは2%)で、10Hzの周波数で、測定された。
【0070】
具体的な硬化の手順および測定の手順は以下のようであった:
硬化手順/測定 試験標準
ムーニー粘度およびスコーチ ASTM D1646
振動円板レオメトリー ASTM D2084
試験プラークの硬化 ASTM D3182
応力−歪み特性 ASTM D412
発熱性 ASTM D623
【0071】
これらの実験的試験は、カーボンブラックを用いたもの(比較例1)もしくはA−1289のような汎用のシラン結合剤を用いたもの(比較例2)のような既知のゴム組成物と比較した、本発明のゴム組成物における、改善された(充填剤/ポリマー)結合性能を証明した。
【0072】
表1のゴム配合物の硬化の前後に測定された様々な特性のデータが下の表2、3、および4に示される。
【0073】
【表2】

【0074】
【表3】

【0075】
【表4】

【0076】
ここでの発明によるシラン(d)によって得られる強化粉末の利点は当業者には容易に明らかになるであろう。
【0077】
表2、3、および4に示されるデータの検定は以下の見解を導く:ムーニー粘度はすべて低く、これは組成物の未硬化の状態においての優れた加工能と、スコーチ時間が優れた安全マージンを提供するのに充分に長い事とを示す。
【0078】
比較例1および2(カーボンブラック、およびA−1289のための対照の組成物)と比較して、実施例3および4はすべてにわたって有意により優れた性質を持つ。特に、より大きい歪み(M300)におけるモジュラス値および(M300/M100)比の両方は、実施例3および4のものが、比較例1および2のものに比べ相当に高く、これは前者の、後者に比べてより優れた強化を示している。
【0079】
比較例3および実施例2の組成物に対する結果はまた、本発明の利点を明確に証明した。より少ない反応性のクロロプロピルシランが用いられた比較例3のゴム組成物において、M300および(M300/M100)比が比較的低い一方、本発明によるより多い反応性の塩化アリルを含むシランが用いられた実施例2のゴム組成物において、より高いM300および(M300/M100)比が得られ、より優れた強化を示す。
【0080】
同様の比較は、非反応性トリル基を有するシランを用いた比較例4のゴム組成物と、本発明による塩化ベジル官能性を有するシランを用いた実施例3および4のゴム組成物との間でもなされた。実施例3および4の組成物は、有意により優れた全体にわたる特性を持つ:M300モジュラスおよびM300/100比が相当により高く、エラストマーと充填剤との間のより優れた強化を示す;Tandeltaが相当により小さく、より優れた転がり抵抗を示す。実施例3および4の組成物の磨耗減量(DIN)(mm)は対照組成物(カーボンブラックの比較例1およびシランA−1289の比較例2)のそれよりもかなり小さく、改善された磨耗減量を示す。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明のゴム組成物は、タイヤ接地面の製造における使用に特に有利であり、低い転がり抵抗と高い耐摩耗性を示し、それは特に接地面が天然ゴムもしくは合成ポリイソプレンをベースとする場合にである。
【0082】
本発明は多くの例示的実施態様を参照して記載されてきたが、本発明の範囲を離れることなく、さまざまな変更を施すことができたり、その要素を等価物で置き換えることができることは、当業者には理解されよう。さらに、特定の状況や物質を本発明の教示に適応させるためにその本質的な範囲から離れることなく、多くの修正がなされ得る。それゆえ、本発明はここに記載される特定の例示的な実施態様のいずれにも限定されないことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム組成物であって、
(a)少なくとも一つのゴム成分;
(b)少なくとも一つのシラン反応性充填剤;
(c)任意選択で少なくとも一つの活性化剤;および
(d)一般式(1):
[XSi−](G)[−Y−(CR3−e−Z (1)
〔式中、
の各々はCl−、Br−、I−、RO−、R(=O)O−、RC=NO−、およびRNO−からなる加水分解性基より独立して選択され、ここで各々のRは水素、直鎖、環状もしくは分岐の、アルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群より独立して選択され、ここで水素以外の各々のRは、1から18の炭素原子を含有し、酸素および硫黄からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を任意選択で含有し、
およびXの各々はXおよびRの群より独立して選択され、ここで各々のRは水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群より独立して選択され、ここで水素以外の各々のRは、1から18の炭素原子を含有し、酸素および硫黄からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を任意選択で含有し、
Gの各々は、酸素、硫黄、リン、およびケイ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を任意選択で含有してもよい、二価もしくは多価の、1から約18の炭素原子の炭化水素基であり、
Yの各々は独立して不飽和基であり、
Zの各々は独立して、Fl−、Cl−、Br−、およびI−からなる群より選択されるハロゲン原子であり、
Rの各々は、水素、アルキル、アルケニル、アリールもしくはアラルキルからなる群より独立して選択され、ここで、水素以外の各々のRは1から30の炭素原子を含有し、そして、
下付き文字a、b、およびcの各々は、aが0もしくは1、bが1から約5の整数、cが1から3の整数、ただし、aが0の時はcが1であり、aが1の時はcが1から3の整数であるという条件であり、dが1から5の整数、そしてeが1から3の整数によって独立して与えられる整数である〕
の少なくとも一つの加水分解性シラン、
を含有する、ゴム組成物。
【請求項2】
ゴム成分(a)が少なくとも一つのジエン系エラストマーもしくはジエン系ラバーからなる群より選択される有機ポリマーである、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
ゴム成分(a)が共役ジエン、ビニル芳香族化合物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーから作成される、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項4】
ゴム成分(a)が硫黄硬化性ゴムである、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項5】
ゴム成分(a)が、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエンのコポリマー、イソプレンのコポリマー、溶液法のスチレン−ブタジエンゴム、エマルジョン法のスチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン三元重合体、およびアクリロニトリル−ブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも一つである、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項6】
シラン反応性充填剤(b)が少なくとも一つの金属酸化物である、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項7】
シラン反応性充填剤(b)が、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、アルミノケイ酸塩の物質、およびアルミのシリカ質の物質からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項8】
シラン反応性充填剤(b)が、焼成シリカおよび/もしくは沈降シリカである、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項9】
シラン反応性充填剤(b)が、シリカとカーボンブラックとの組み合わせである、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項10】
一般式(1)のシラン(d)の[−Y−(CR3−e−Z]部分が、−CH=CH−CH−Z、−C CCH−Zおよび−Ar−CH−Z(ここでZはハロゲン原子でそしてArは芳香環を示す)からなる群より選択される、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項11】
シラン(d)が、3−クロロプロパ−1−イニルトリエトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルトリエトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルトリメトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルジメチルエトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルトリブトキシシラン、3−ブロモプロパ−1−エニルトリエトキシシラン、3−ブロモプロパ−1−エニルトリメトキシシラン、3−ブロモプロパ−1−エニルトリブトキシシラン、3−イオドプロパ−1−エニルトリエトキシシラン、3−イオドプロパ−1−エニルトリメトキシシラン、3−イオドプロパ−1−エニルトリブトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−ジクロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−トリクロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)メチルジエトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)ジメチルエトキシシラン、(p−α−クロロエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−クロロエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−クロロエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−ブロモメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−ブロモメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−ブロモメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−イオドメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−イオドエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−イオドメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−イオドエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−イオドメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−イオドエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−クロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−クロロエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−クロロメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−クロロエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−クロロメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−クロロエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−ブロモメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−ブロモメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−ブロモメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−イオドメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−イオドエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−イオドメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−イオドエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−イオドメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−イオドエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、2,2−ビス−(トリエトキシシリル)−1−(p−クロロメチルフェニル)エタン、2,3−ビス−(トリエトキシシリル)−1−(p−クロロメチルフェニル)プロパン、(CHCHO)SiCHCHCHOCHCH=CHCHCl、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つのシランである、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項12】
前記ゴム組成物が(a)、(b)、任意選択で(c)、および(d)の混合物および/もしくは反応産物を含有している、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項13】
シラン(d)が一つの官能性を介してシラン反応性充填剤(b)と、別の官能性を介してゴム成分(a)と結合している、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項14】
ラバー組成物を作製するためのプロセスであって、
(a)少なくとも一つのゴム成分;
(b)少なくとも一つのシラン反応性充填剤;
(c)任意選択で少なくとも一つの活性化剤;および
(d)一般式(1):
[XSi−](G)[−Y−(CR3−e−Z (1)
〔式中、
の各々はCl−、Br−、I−、RO−、R(=O)O−、RC=NO−、およびRNO−からなる加水分解性基より独立して選択され、ここで各々のRは水素、直鎖、環状もしくは分岐の、アルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群より独立して選択され、ここで水素以外の各々のRは、1から18の炭素原子を含有し、酸素および硫黄からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を任意選択で含有し、
およびXの各々はXおよびRの群より独立して選択され、ここで各々のRは水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群より独立して選択され、ここで水素以外の各々のRは、1から18の炭素原子を含有し、酸素および硫黄からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を任意選択で含有し、
Gの各々は、酸素、硫黄、リン、およびケイ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を任意選択で含有してもよい、二価もしくは多価の、1から約18の炭素原子の炭化水素基であり、
Yの各々は独立して不飽和基であり、
Zの各々は独立して、Fl−、Cl−、Br−、およびI−からなる群より選択されるハロゲン原子であり、
Rの各々は、水素、アルキル、アルケニル、アリールもしくはアラルキルからなる群より独立して選択され、ここで、水素以外の各々のRは1から30の炭素原子を含有し、そして、
下付き文字a、b、およびcの各々は、aが0もしくは1、bが1から約5の整数、cが1から3の整数、ただし、aが0の時はcが1であり、aが1の時はcが1から3の整数であるという条件であり、dが1から5の整数、そしてeが1から3の整数によって独立して与えられる整数である〕
の少なくとも一つの加水分解性シラン、
を混合するステップを含有し、
ここで、(a)、(b)、任意選択で(c)、および(d)が有効量で存在する、
プロセス。
【請求項15】
ゴム成分(a)が少なくとも一つのジエン系エラストマーもしくはジエン系ラバーからなる群より選択される有機ポリマーである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
ゴム成分(a)が共役ジエン、ビニル芳香族化合物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーから作成される、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
ゴム成分(a)が硫黄硬化性ゴムである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項18】
ゴム成分(a)が、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエンのコポリマー、イソプレンのコポリマー、溶液法のスチレン−ブタジエンゴム、エマルジョン法のスチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン三元重合体、およびアクリロニトリル−ブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも一つである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項19】
シラン反応性充填剤(b)が少なくとも一つの金属酸化物である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項20】
シラン反応性充填剤(b)が、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、アルミノケイ酸塩の物質、およびアルミのシリカ質の物質からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項21】
シラン反応性充填剤(b)が、焼成シリカおよび/もしくは沈降シリカである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項22】
シラン反応性充填剤(b)が、シリカとカーボンブラックとの組み合わせである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項23】
一般式(1)のシラン(d)の[−Y−(CR3−e−Z]部分が、−CH=CH−CH−Z、−C CCH−Zおよび−Ar−CH−Z(ここでZはハロゲン原子でそしてArは芳香環を示す)からなる群より選択される、請求項14に記載のプロセス。
【請求項24】
シラン(d)が、3−クロロプロパ−1−イニルトリエトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルトリエトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルトリメトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルジメチルエトキシシラン、3−クロロプロパ−1−エニルトリブトキシシラン、3−ブロモプロパ−1−エニルトリエトキシシラン、3−ブロモプロパ−1−エニルトリメトキシシラン、3−ブロモプロパ−1−エニルトリブトキシシラン、3−イオドプロパ−1−エニルトリエトキシシラン、3−イオドプロパ−1−エニルトリメトキシシラン、3−イオドプロパ−1−エニルトリブトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−ジクロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−トリクロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)メチルジエトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)ジメチルエトキシシラン、(p−α−クロロエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−クロロエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−クロロメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−クロロエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−ブロモメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−ブロモメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−ブロモメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−イオドメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−イオドエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(p−イオドメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−イオドエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(p−イオドメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−イオドエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(p−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−クロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−クロロエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−クロロメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−クロロエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−クロロメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−クロロエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−クロロプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−ブロモメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−ブロモメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−ブロモメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−ブロモエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−ブロモプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−イオドメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−イオドエチルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリエトキシシラン、(m−イオドメチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−イオドエチルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリメトキシシラン、(m−イオドメチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−イオドエチルフェニルエチル)トリブトキシシラン、(m−α−イオドプロピルフェニルエチル)トリブトキシシラン、2,2−ビス−(トリエトキシシリル)−1−(p−クロロメチルフェニル)エタン、2,3−ビス−(トリエトキシシリル)−1−(p−クロロメチルフェニル)プロパン、(CHCHO)SiCHCHCHOCHCH=CHCHCl、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つのシランである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項25】
前記ゴム組成物が(a)、(b)、任意選択で(c)、および(d)の混合物および/もしくは反応産物を含有している、請求項14に記載のプロセス。
【請求項26】
シラン(d)が一つの官能性を介してシラン反応性充填剤(b)と、別の官能性を介してゴム成分(a)と結合している、請求項14に記載のプロセス。
【請求項27】
ゴム組成物を硬化するステップをさらに含有する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項28】
少なくとも一つの要素が請求項1の硬化ゴム組成物である、製品。
【請求項29】
少なくとも一つの要素が請求項27の硬化ゴム組成物である、製品。
【請求項30】
少なくとも一つの要素が請求項28の硬化ゴム組成物を含む、タイヤ。
【請求項31】
少なくとも一つの要素が請求項29の硬化ゴム組成物を含む、タイヤ。

【公表番号】特表2010−518229(P2010−518229A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549096(P2009−549096)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/001587
【国際公開番号】WO2008/097587
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(508229301)モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド (120)
【Fターム(参考)】