説明

ゴム組成物、その架橋物及びそれらの製造方法

【課題】環境保護の観点からタイヤに対する省燃費化、省資源化、耐摩耗性の改善の要求のために、スコーチ性に優れ、低粘度のゴム組成物を与え、その架橋物の転がり抵抗に相当する損失正接を低減し、ウエットグリップに相当する低温部の損失正接の低下が少ないゴム組成物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】不飽和基含有ゴムに、シランカップリング剤により表面処理された表面処理シリカ系フィラー、シリカ系フィラー及びシランカップリング剤を含むゴム組成物及びその架橋物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和基含有ゴム、シランカップリング剤処理フィラー、シリカ系フィラーおよびシランカップリング剤を含むゴム組成物とその製造方法に関し、さらにそれを架橋してなる架橋物、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保護の観点からタイヤに対する省燃費化、省資源化が強く求められている。省燃費化はシリカ配合とすることで一定の成果を上げているが、シリカを配合するとゴム組成物としての粘度が上昇するために、シランカップリング剤を添加することにより粘度の上昇を緩和している。またシランカップリング剤は、シリカ表面のシラノールと反応することによりシリカ同士の相互作用を低減し、ゴムの損失正接や動的弾性率を下げることが知られている。
【0003】
省資源化としては、耐摩耗性の改善によるタイヤの長寿命化などの取り組みがなされている。シリカ配合では耐摩耗性を向上させるためにシリカとポリマーを化学的に結合させることが必要であり、一般的にはビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドが用いられている。
【0004】
しかし近年の環境悪化に対して従来技術ではその効果が不十分であり、より一層の省燃費化、省資源化が求められている。
【0005】
上記の問題を解決すべく、シリカとシランカップリング剤の反応性が高く、また加工性が良いとされるカップリング剤なども提案されているが、実用的には経済性などの観点から問題が多い(特許文献1参照)。
【0006】
またゴムラテックスとカーボンブラックを水中で分散させ、凝固させたゴム成分を使用するといった提案がなされているが、水分を蒸発させ乾固するためには多くの熱エネルギーが必要であり、経済性や環境といった観点から問題がある(特許文献2参照)。
【0007】
同様に熱雰囲気下でシリカをスルフィド系シランカップリング剤で反応させる処理シリカが知られているが、当該シリカ含有組成物では、組成物の粘度上昇があり、成形性に問題があった。(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】公開特許公報、2008−110997
【特許文献2】公開特許公報、2006−225598
【特許文献3】公開特許公報、2006−249387
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の点に鑑み、スコーチ性に優れ、低粘度のゴム組成物を与え、その架橋物の転がり抵抗に相当する損失正接を低減し、ウエットグリップに相当する低温部の損失正接の低下が少ないゴム組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討の結果、不飽和基含有ゴムに、シランカップリング剤により表面処理された表面処理シリカ系フィラー、シリカ系フィラー及びシランカップリング剤を含むゴム組成物が、低粘度のゴム組成物を与え、その架橋物は転がり抵抗に相当する損失正接を低減し、ウエットグリップに相当する低温部の損失正接の低下が少ないゴム組成物及び架橋物が得られることを見出し、本発明に到った。
【0011】
即ち、本発明は
(a)不飽和基含有ゴム100重量部に対して、
(b)シリカ系フィラー100重量部に対して10〜20重量部の表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理された表面処理シリカ系フィラーを5〜50重量部、
(c)BET比表面積が20〜300m/gであるシリカ系フィラーを10〜200重量部、
(d)シランカップリング剤B)を1〜30重量部と
を含有する組成物、該組成物を加硫してなる加硫物及びそれらの製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により得られるゴム組成物は低粘度であるために加工性に優れ、該組成物を架橋してなる架橋物は転がり抵抗に相当する損失正接である60℃のtanδが低下する一方で、ウエットグリップに相当する低温部の損失正接である0℃のtanδの低下が少ない。一般的には、60℃のtanδが低下するほど、即ち、転がり抵抗が好ましくなるほど、同様に0℃のtanδの低下が大きくなる、即ち、ウエットグリップが悪化する傾向にあるため、本発明の架橋物はタイヤのトレッド、防振ゴムなどのゴム部品に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のゴム組成物について詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は少なくとも(a)不飽和基含有ゴム、(b)シリカ系フィラー100重量部に対して10〜20重量部の表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理された表面処理シリカ系フィラー、(c)BET比表面積が20〜300m/gであるシリカ系フィラー、(d)シランカップリング剤B)を少なくとも含有する。
【0014】
本発明で用いる(a)不飽和基含有ゴムは、天然ゴム、イソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン−ターポリマー、ブチルゴム、エポキシ化天然ゴムなどであり、中でも天然ゴム、イソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムが好ましい。また、これら不飽和基含有ゴムは1種または2種以上のブレンドでも良い。
【0015】
本発明の(b)シリカ系フィラー100重量部に対して10〜20重量部の表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理された表面処理シリカ系フィラーにおいて、シランカップリング剤A)で処理されるシリカ系フィラーは、クレー、マイカ、乾式シリカ、湿式シリカなどが挙げられるが、BET比表面積が20〜300m/gのシリカ系フィラーが好ましい。シランカップリング剤A)で処理されるシリカ系フィラーは、BET比表面積が20〜250m/gの湿式シリカがより好ましく、BET比表面積が50〜250m/gの湿式シリカが特に好ましい。比表面積がこれらの範囲にあるシリカ系フィラーは、ゴム組成物の混練時の混練り応力の掛かりが適切でありシリカ系フィラーとシランカップリング剤との反応促進効果が得られるために好ましい。
【0016】
シリカ系フィラーに表面処理を行う表面処理剤であるシランカップリング剤A)としては、ビニルシラン系シランカップリング剤、アミノシラン系シランカップリング剤、エポキシシラン系シランカップリング剤、メタクリロキシシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、保護化メルカプトシラン系シランカップリング剤が例示される。(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、保護化メルカプトシラン系シランカップリング剤であることが好ましく、またこれらのシランカップリング剤を2種以上併用してもよい。
【0017】
本発明のビニル系シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が例示される。
【0018】
本発明のアミノ系シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
【0019】
本発明のエポキシ系シランカップリング剤としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
【0020】
本発明のメタクリロキシ系シランカップリング剤としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
【0021】
本発明の(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤としては、下記一般式(I)で表される(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤が例示される。
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜4の一価のアルコキシ基または炭素数3〜40のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、xは2〜6、は0、1、または2の整数である。)
は炭素数1〜3の一価のアルコキシ基または炭素数4〜24のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基であることが好ましく、炭素数1〜2の一価のアルコキシ基または炭素数4〜18のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基であることがより好ましい。
は炭素数1〜8の一価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜4の一価の炭化水素基であることがより好ましい。
は炭素数1〜6の二価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数2〜4の二価の炭化水素基であることがより好ましい。
具体的には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(略称TESPD)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(略称TESPT)などのビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(略称TESPP)が例示される。
【0022】
本発明のメルカプト系シランカップリング剤としては、下記一般式(II)で表されるメルカプト系シランカップリング剤が例示される。
【化2】

(式中、Rは炭素数1〜4の一価のアルコキシ基または炭素数3〜40のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、は0、1、または2の整数である。)
は炭素数1〜3の一価のアルコキシ基または炭素数4〜24のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基であることが好ましく、炭素数1〜2の一価のアルコキシ基または炭素数4〜18のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基であることがより好ましい。
は炭素数1〜8の一価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜4の一価の炭化水素基であることがより好ましい。
は炭素数1〜6の二価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数2〜4の二価の炭化水素基であることがより好ましい。
具体的には3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
【0023】
本発明の保護化メルカプト系シランカップリング剤としては、下記一般式(III)で表される保護化メルカプト系シランカップリング剤が例示される。
【化3】

(式中、Rは炭素数1〜4の一価のアルコキシ基または炭素数3〜40のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、R10は炭素数1〜18の一価の炭化水素基、は0、1、または2の整数である。)
は炭素数1〜3の一価のアルコキシ基または炭素数4〜24のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基であることが好ましく、炭素数1〜2の一価のアルコキシ基または炭素数4〜18のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基であることがより好ましい。
は炭素数1〜8の一価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜4の一価の炭化水素基であることがより好ましい。
は炭素数1〜6の二価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数2〜4の二価の炭化水素基であることがより好ましい。
10は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数8〜18の一価の炭化水素基であることがより好ましい。
具体的には3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどが好ましいものとして挙げられる。
【0024】
本発明で表面処理された表面処理シリカ系フィラーとしては、(ポリ)スルフィド系シラン系シランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、保護化メルカプトシラン系シランカップリング剤等の硫黄含有シランカップリング剤のみを表面処理剤として表面処理されたシリカ系フィラーであることが好ましい。
【0025】
本発明の(b)シリカ系フィラー100重量部に対して10〜20重量部の表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理された表面処理シリカ系フィラー100重量部を溶剤にて抽出処理した時に、式(1)により求められる残渣率の値が0.4以下であることが好ましく、0.3以下がより好ましく、0.2以下が特に好ましい。但し、表面処理剤はシランカップリング剤を含む、シリカ系フィラーの表面処理に用いられる全てを含む。
【数1】

例えば、100gのシリカに対し15.0gのシランカップリング剤の割合で処理した場合、溶剤にて抽出された残量が1.0gであったとすると、表面処理されたシリカ100重量部あたりの添加された表面処理剤の総量は15.0/(15.0+100)となる。よって残渣率は1.0/{15.0/(15.0+100)×100}≒0.077となる。
【0026】
表面処理シリカ系フィラーを抽出処理する際に用いる溶剤は、表面処理剤を抽出できるものであって、かつ表面処理剤と容易に反応せず、更に表面処理剤同士の反応を促進しない溶剤が好ましい。好ましい溶媒としてはケトン類や脂肪族炭化水素類が挙げられる。具体的にはアセトン、メチルエチルケトン(2−ブタノン)、ヘキサン、シクロヘキサンなどが例示することができ、モレキュラーシーブスなどで脱水処理されている事がより好ましい。
【0027】
本発明で用いる(b)シリカ系フィラー100重量部に対して10〜20重量部の表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理された表面処理シリカ系フィラーの製造方法としては、シリカ系フィラー100重量部に対して、シランカップリング剤を10〜20重量部を混合して反応させて得られ、10〜18重量部であることが好ましく、12〜18重量部であることがより好ましい。この範囲であればシリカ系フィラーとシランカップリング剤の反応が十分に進む点で好ましい。
【0028】
シリカ系フィラーに表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理する際にヒドロキシ酸を添加することが好ましい。
【0029】
ヒドロキシ酸を具体的に例示すると、乳酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸などの飽和脂肪族ヒドロキシ酸又は不飽和脂肪族ヒドロキシ酸、サリチル酸、マンデル酸、クレオソート酸、クマル酸などの芳香族ヒドロキシ酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。本発明で用いられるヒドロキシ酸は乳酸及び/又はサリチル酸が好ましい。
【0030】
上記ヒドロキシ酸の配合量は、シリカ系フィラー100重量部に対して、0.1〜10重量部であり、0.1〜5重量部であることが好ましい。0.1〜10重量部の範囲であれば、シリカ系フィラーとシランカップリング剤A)との反応を促進する効果が得られるため好ましい。
【0031】
本発明のゴム組成物においては、(a)不飽和基含有ゴム100重量部に対して、(b)シリカ系フィラー100重量部に対して10〜20重量部の表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理された表面処理シリカ系フィラーを5〜50重量部を含有することが好ましく、10〜50重量部を含有することがより好ましく、15〜50重量部を含有することが特に好ましい。この範囲であれば、ゴム組成物の粘度が下がり、シリカ系フィラーとシランカップリング剤の反応が十分に進む点で好ましい。
【0032】
本発明で用いる(c)BET比表面積が20〜300m/gのシリカ系フィラーとしては、BET比表面積が20〜300m/gのクレー、マイカ、乾式シリカ、湿式シリカなどが挙げられるが、BET比表面積が20〜250m/gの湿式シリカが好ましく、BET比表面積が50〜250m/gの湿式シリカがより好ましい。比表面積がこれらの範囲にあるシリカ系フィラーは、シリカ系フィラーとシランカップリング剤との反応性及び架橋ゴムの補強性の点で好ましい。本発明に使用されるシリカ系フィラーとしては、東ソーシリカ社製のニプシルVN−3、AQ、ER、E743、オリエンタルシリカ社製のトクシル255、UR、GU、233、デグサ社製のウルトラジルVN3、VN2など市販のシリカが用いられる。また、作業性の観点からはグラニュール、マイクロパールといった粒状〜塊状のシリカ系フィラーが特に好ましく、例えば東ソーシリカ社製のニプシルAQ、ER−R、ローディア社製のゼオシル115GR、1165MPなどが挙げられる。
【0033】
本発明のゴム組成物においては、(a)不飽和基含有ゴム100重量部に対して、(c)BET比表面積が20〜300m/gであるシリカ系フィラーを10〜200重量部を含有することが好ましく、10〜120重量部を含有することがより好ましく、15〜100重量部を含有することが特に好ましい。この範囲であれば、この範囲であれば、ゴム組成物の粘度上昇が抑えられ、架橋物の補強性も良好であり好ましい。
【0034】
また、本発明に用いる(d)シランカップリング剤B)としては、先述のシランカップリング剤A)と同様に特に限定されることはないが、ビニルシラン系シランカップリング剤、アミノシラン系シランカップリング剤、エポキシシラン系シランカップリング剤、メタクリロキシシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、保護化メルカプトシラン系シランカップリング剤が例示される。(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、保護化メルカプトシラン系シランカップリング剤であることが好ましく、またこれらのシランカップリング剤を2種以上併用してもよい。
【0035】
本発明のビニル系シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が例示される。
【0036】
本発明のアミノ系シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
【0037】
本発明のエポキシ系シランカップリング剤としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
【0038】
本発明のメタクリロキシ系シランカップリング剤としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
【0039】
本発明の(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤としては、下記一般式(I)で表される(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤が例示される。
【化4】

(式中、Rは炭素数1〜4の一価のアルコキシ基または炭素数3〜40のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、xは2〜6、は0、1、または2の整数である。)
は炭素数1〜3の一価のアルコキシ基または炭素数4〜24のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基であることが好ましく、炭素数1〜2の一価のアルコキシ基または炭素数4〜18のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基であることがより好ましい。
は炭素数1〜8の一価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜4の一価の炭化水素基であることがより好ましい。
は炭素数1〜6の二価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数2〜4の二価の炭化水素基であることがより好ましい。
具体的には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(略称TESPD)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(略称TESPT)などのビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(略称TESPP)が例示される。
【0040】
本発明のメルカプト系シランカップリング剤としては、下記一般式(II)で表されるメルカプト系シランカップリング剤が例示される。
【化5】

(式中、Rは炭素数1〜4の一価のアルコキシ基または炭素数3〜40のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、は0、1、または2の整数である。)
は炭素数1〜3の一価のアルコキシ基または炭素数4〜24のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基であることが好ましく、炭素数1〜2の一価のアルコキシ基または炭素数4〜18のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基であることがより好ましい。
は炭素数1〜8の一価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜4の一価の炭化水素基であることがより好ましい。
は炭素数1〜6の二価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数2〜4の二価の炭化水素基であることがより好ましい。
具体的には3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
【0041】
本発明の保護化メルカプト系シランカップリング剤としては、下記一般式(III)で表される保護化メルカプト系シランカップリング剤が例示される。
【化6】


(式中、Rは炭素数1〜4の一価のアルコキシ基または炭素数3〜40のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、R10は炭素数1〜18の一価の炭化水素基、は0、1、または2の整数である。)
は炭素数1〜3の一価のアルコキシ基または炭素数4〜24のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基であることが好ましく、炭素数1〜2の一価のアルコキシ基または炭素数4〜18のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基であることがより好ましい。
は炭素数1〜8の一価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜4の一価の炭化水素基であることがより好ましい。
は炭素数1〜6の二価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数2〜4の二価の炭化水素基であることがより好ましい。
10は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数8〜18の一価の炭化水素基であることがより好ましい。
具体的には3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどが好ましいものとして挙げられる。
【0042】
本発明に用いるシランカップリング剤B)を具体的に例示すると、ダイソー社製のカブラス2A、カブラス2B、カブラス4、デグサ社製のSi−75、Si−69、Si−363、モメンティブ社製のA−1289、NXT、NXT−LowV、A−189、信越化学社製のKBE−846などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本発明のゴム組成物においては、(a)不飽和基含有ゴム100重量部に対して、(d)シランカップリング剤B)を1〜30重量部を含有することが好ましく、1〜20重量部を含有することがより好ましく、1〜10重量部を含有することが特に好ましい。この範囲であれば、この範囲であれば、ゴム組成物の粘度が下がり、架橋物の転がり抵抗に相当する損失正接の低減が十分に得られる。
【0044】
本発明のゴム組成物には、混練中の加工性を向上させるために、本分野に使用される加硫促進剤、老化防止剤、充填剤、補強剤、加工助剤、可塑剤、軟化剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用しても良い。特に制限は無いが、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸の金属塩、パラフィンワックス、フタル酸誘導体、ステアリン酸誘導体、パラフィン系・ナフテン系・アロマ系といった各種プロセスオイル、ポリエチレングリコール類などが挙げられる。
【0045】
本発明のゴム組成物の製造にはゴム業界で一般的に用いられる混練機が用いられ、具体的にはオープンロール、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、インターミックスなどが挙げられる。混練温度は60〜200℃で混練することが好ましく、100〜180℃で混練することがより好ましい。この範囲であれば、BET比表面積が20〜300m/gのシリカ系フィラーとシランカップリング剤B)の反応が十分に進み、ゴムのゲル化が進行することがないため加工性も良好である。混練時間は特に制限はないが、例えば1分〜1時間である。
【0046】
本発明のゴム組成物の製造方法としては、(a)不飽和基含有ゴム成分と(c)シリカ系フィラーを混練する前に(a)不飽和基含有ゴム成分と(b)シリカ系フィラー100重量部に対して10〜20重量部の表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理された表面処理シリカ系フィラーとを予め混練させる、又は(a)不飽和基含有ゴム成分と(c)BET比表面積が20〜300m/gであるシリカ系フィラーと共に(b)シリカ系フィラー100重量部に対して10〜20重量部の表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理された表面処理シリカ系フィラーを混練することにより、(a)不飽和基含有ゴム成分への(c)BET比表面積が20〜300m/gであるシリカ系フィラー等の配合剤の取り込み速度を向上できる点で好ましい。
具体的には(a)不飽和基含有ゴム成分及び(b)シリカ系フィラー100重量部に対して10〜20重量部の表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理された表面処理シリカ系フィラーを混練後に、(c)BET比表面積が20〜300m/gであるシリカ系フィラー及び(d)シランカップリング剤を配合し混練するゴム組成物の製造方法、又は(a)不飽和基含有ゴム成分、(b)シリカ系フィラー100重量部に対して10〜20重量部の表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理された表面処理シリカ系フィラー及び(c)BET比表面積が20〜300m/gであるシリカ系フィラーの少なくとも一部を混練後に、(c)BET比表面積が20〜300m/gであるシリカ系フィラー及び(d)シランカップリング剤を配合し混練するゴム組成物の製造方法を例示することができる。
【0047】
本発明のゴム組成物には、更に架橋剤を含有することができ、本発明に用いられる架橋剤としては、硫黄、セレン、有機過酸化物、モルホリンジスルフィド、チウラム系化合物、オキシム系化合物等の架橋剤が特に好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0048】
上記架橋剤の含有量は、(a)不飽和基含有ゴム100重量部に対して、0.1〜20量部含有することが好ましく、0.2〜10重量部含有することがより好ましく、0.5〜5重量部含有することが特に好ましい。
【0049】
本発明の架橋用ゴム組成物の製造は、本発明のゴム組成物に前述の架橋剤を加え、140℃未満で混練することが好ましい。
【0050】
このように調製された架橋用ゴム組成物は押出成形機、カレンダーロール、またはプレスにより意図する形状に成形し、好ましくは140〜240℃で、1分〜3時間加熱して架橋物を得る。また、架橋の際には金型を用いても良い。
【0051】
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0052】
以下に実施例及び比較例で用いた配合剤を示す。
【0053】
*1 JSR株式会社製 「SL552」
*2 JSR株式会社製 「BR01」
*3 東ソーシリカ株式会社製 「ニプシルAQ」BET比表面積 215m/g
*4 ダイソー株式会社製 「カブラスNSW−134G」
原料シリカのBET比表面積 197m/g、表面処理剤残渣率0.02
上記シリカ100重量部にCABRUS−4を15重量部反応させたもの
*5 ダイソー株式会社製 「カブラスSW−134」
原料シリカのBET比表面積 118m/g、表面処理剤残渣率0.01
上記シリカ100重量部にCABRUS−4を15重量部反応させたもの
*6 日本サンオイル株式会社製 「Sunthene415」
*7 日油株式会社製 「ステアリン酸さくら」
*8 大内新興化学工業株式会社製 「ノクラックPA」
*9 ダイソー株式会社製 「カブラス2」
*10 堺化学工業株式会社製 「酸化亜鉛二号」
*11 大内新興化学工業株式会社製 「ノクセラーD」
*12 大内新興化学工業株式会社製 「ノクセラーCZ」
*13 鶴見化学工業株式会社製 「コロイド硫黄」
*14 東海カーボン株式会社製 「シースト6」
【0054】
表面処理シリカ系フィラーの製造
実施例4、6及び比較例4で使用する表面処理シリカ系フィラーは以下の製造例で記載されたものを使用する。尚、表面処理シリカ系フィラー100重量部に対する残渣率を以下の溶媒抽出試験を行い、以下の式(1)より求めた。
【数2】

攪拌子を入れた100mlのガラス瓶に表面処理シリカ10.0gを秤量し、メチルエチルケトン(2−ブタノン)を50ml添加してマグネティックスターラーにて500rpmで10分間攪拌した。それをNo.5Cの濾紙にて減圧濾過し、残渣を5mlのメチルエチルケトンで5回リンスして残存する溶液を洗浄した。この濾液をロータリーエバポレーターにて10toll、65℃の条件で30分間減圧濃縮し、その濃縮残渣の重量から溶媒抽出量を求めた。
【0055】
製造例1
2Lヘンシェルミキサー(カワタ製スーパーミキサーピッコロ)にシリカ(OrientalSilicasCorporation社製 「TOKUSIL233」BET比表面積 162m/g)200gと1gのDL−乳酸を仕込み、600rpmにて攪拌しながら、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(ダイソー株式会社製「CABRUS−4」)30gを1分間かけて添加した。これを1時間攪拌して、表面処理シリカを得た。これを処理シリカ2とした。試験に用いた時の残渣率は0.02であった。
【0056】
製造例2
2Lヘンシェルミキサー(カワタ製スーパーミキサーピッコロ)にシリカ(東ソーシリカ株式会社製 「ニプシルAQ」BET比表面積 215m/g)200gと2gのステアリン酸を仕込み、600rpmにて攪拌しながら、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(ダイソー株式会社製「CABRUS−4」)30gを1分間かけて添加した。これを1時間攪拌して、表面処理シリカを得た。これを処理シリカ4とした。試験に用いた時の残渣率は0.46であった。
【0057】
製造例3
2Lヘンシェルミキサー(カワタ製スーパーミキサーピッコロ)にシリカ(東ソーシリカ株式会社製 「ニプシルAQ」BET比表面積 215m/g)200gと1gのDL−乳酸を仕込み、600rpmにて攪拌しながら、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(ダイソー株式会社製「CABRUS−4」)16gを1分間かけて添加した。これを1時間攪拌して、表面処理シリカを得た。これを処理シリカ5とした。試験に用いた時の残渣率は0.01であった。
【0058】
ゴム組成物の製造
表1、表2中の配合(1)〜配合(3)に示される配合剤を50mlのブラベンダーにてゴム分22gベースとし、配合(1)を混練する第一工程を30秒間行い、第一工程後の配合物に配合(2)を加えた後に、混練する第二工程を30秒間行い、第二工程後の配合物に配合(3)を加えた後に、混練する第三工程を180秒間行った。混練はブラベンダーの電熱温調機の設定温度を80℃とし、ローター回転数は60rpmで行った。排出時の温度は約130℃であった。混練後、通水により冷却した6インチロールにダンプし冷却した。上記を2回実施し、一まとめにした。尚、混練時間はシェア(混練中のトルク)が掛かってからの時間とし、第二工程で配合剤添加後シェアが掛かるまでの時間(秒)を測定した。また、得られたゴム組成物に対して加工性試験を行った。結果は表3、表4に示す。
【0059】
架橋用ゴム組成物及び架橋物の製造
次いで、得られたゴム組成物に表1、表2中の配合(4)を添加し、30〜50℃にて10分間混練後、約2mmの厚みのシートを架橋特性試験用サンプルとして架橋特性試験を行った。また、前述シートを160℃で20分間熱プレス架橋して得られた架橋シートを粘弾性特性試験用サンプルとして粘弾性特性試験を行った。結果は表3、表4に示す。
【0060】
加工性試験
未架橋ゴム組成物を東洋精機製ムーニー粘度計AM−3、L型ローターを用いてJIS K6300に準拠して100℃でのムーニー粘度(ML1+4)試験を実施した。
【0061】
架橋特性試験
上島製作所製加硫試験機FDRを用い160℃でのスコーチ時間(T10)を測定した。
【0062】
粘弾性特性試験
架橋シートから幅4×長さ40×厚み2mmの試験片を打ち抜き、セイコーインスツル株式会社製DMS6100にて、初期荷重1000mN、引張歪10μm、10Hzの加振条件下で測定した。なお測定温度範囲は−20℃〜80℃とし、2℃/分の速度で昇温した。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
【表4】

【0067】
本発明のゴム組成物は、ポリマーへのフィラー取り込み速度が向上しており、シリカ等のフィラー添加後のシェアが掛かるまでの時間が短く、生産性向上に繋がる事が示唆され、また、ムーニー粘度(ML1+4)が低く、加工性に優れる。また、その架橋物は低燃費性の指標である60℃のtanδが低下しており、且つ、0℃のtanδの低下が軽減されているため、非常に好ましい。(指標としては60℃のtanδと0℃のtanδの比によって表され、この値が大きいほどバランスの良い架橋物といえる。)
一方、比較例1はポリマー、シリカ、カップリング剤をそれぞれ個別に混練する一般的な混練方法である、いわゆるインテグラルブレンド法による試験による結果である。比較例1と実施例とを比較すると、また第二工程において、シリカ及び各種配合剤添加後のシェアが掛かるまでの時間が長いため好ましくなく、更に低燃費性の指標である60℃のtanδが悪化している。また、表面処理された表面処理シリカ系フィラーのみを用いた比較例2においてはムーニー粘度(ML1+4)大幅に上昇しており加工性の悪化が示唆されている。表面処理された表面処理シリカ系フィラーの替わりにカーボンブラックを用いた比較例3についても60℃のtanδの低下が不十分である。表面処理剤の量が十分ではない表面処理された表面処理シリカ系フィラーを用いた比較例4においてはtanδのバランス(0℃tanδ/60℃tanδ)が十分でなく望ましい特性が発揮されていない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明により得られるゴム組成物は低粘度やフィラーの取り込み性といった加工面で有利に働き、スコーチ性に優れ、ウェットグリップと低燃費性の指標となるtanδのバランスに優れたゴム組成物および架橋物を提供できる。従って、タイヤのトレッド、防振ゴムなどの動的に使用されるゴム部品の製造には好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)不飽和基含有ゴム成分100重量部に対し、(b)シリカ系フィラー100重量部に対して10〜20重量部の表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理された表面処理シリカ系フィラー5〜50重量部と、(c)BET比表面積が20〜300m/gであるシリカ系フィラーを10〜200重量部と、(d)シランカップリング剤B)1〜30重量部を含有するゴム組成物。
【請求項2】
前記表面処理剤であるシランカップリング剤A)が、下記一般式(I)で表されるシランカップリング剤である請求項1に記載のゴム組成物。
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜4の一価のアルコキシ基または炭素数3〜40のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、xは2〜6、は0、1、または2の整数である。)
【請求項3】
前記表面処理剤であるシランカップリング剤A)が、下記一般式(II)で表されるシランカップリング剤である請求項1に記載のゴム組成物。
【化2】

(式中、Rは炭素数1〜4の一価のアルコキシ基または炭素数3〜40のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、は0、1、または2の整数である。)
【請求項4】
前記表面処理剤であるシランカップリング剤A)が、下記一般式(III)で表されるシランカップリング剤である請求項1に記載のゴム組成物。
【化3】

(式中、Rは炭素数1〜4の一価のアルコキシ基または炭素数3〜40のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、R10は炭素数1〜18の一価の炭化水素基、は0、1、または2の整数である。)
【請求項5】
前記表面処理剤であるシランカップリング剤A)が一般式(I)、(II)及び(III)から選択される2種類以上を併用してなる請求項1に記載のゴム組成物。
【化4】

(式中、Rは炭素数1〜4の一価のアルコキシ基または炭素数3〜40のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、xは2〜6、は0、1、または2の整数である。)
【化5】

(式中、Rは炭素数1〜4の一価のアルコキシ基または炭素数3〜40のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、は0、1、または2の整数である。)
【化6】

(式中、Rは炭素数1〜4の一価のアルコキシ基または炭素数3〜40のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、R10は炭素数1〜18の一価の炭化水素基、は0、1、または2の整数である。)
【請求項6】
前記(d)シランカップリング剤B)が一般式(I)、(II)及び(III)から選択される少なくとも1種類以上である請求項1〜5いずれかに記載のゴム組成物。
【化7】

(式中、Rは炭素数1〜4の一価のアルコキシ基または炭素数3〜40のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、xは2〜6、は0、1、または2の整数である。)
【化8】

(式中、Rは炭素数1〜4の一価のアルコキシ基または炭素数3〜40のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、は0、1、または2の整数である。)
【化9】

(式中、Rは炭素数1〜4の一価のアルコキシ基または炭素数3〜40のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、R10は炭素数1〜18の一価の炭化水素基、は0、1、または2の整数である。)
【請求項7】
(b)シリカ系フィラー100重量部に対して10〜20重量部の表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理された表面処理シリカ系フィラー100重量部を抽出処理に付した時に、式(1)で求められる値が0.4以下となることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のゴム組成物。
【数1】

【請求項8】
表面処理剤が硫黄含有シランカップリング剤のみである請求項1〜7いずれかに記載のゴム組成物。
【請求項9】
(b)シリカ系フィラー100重量部に対して10〜20重量部の表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理された表面処理シリカ系フィラーがヒドロキシ酸を添加されたものである請求項1〜8いずれかに記載のゴム組成物。
【請求項10】
請求項1〜9いずれかに記載のゴム組成物の製造方法において、(a)不飽和基含有ゴム成分及び(b)シリカ系フィラー100重量部に対して10〜20重量部の表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理された表面処理シリカ系フィラーを混練後に、(c)BET比表面積が20〜300m/gであるシリカ系フィラー及び(d)シランカップリング剤B)を配合し混練するゴム組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜9いずれかに記載のゴム組成物の製造方法において、(a)不飽和基含有ゴム成分、(b)シリカ系フィラー100重量部に対して10〜20重量部の表面処理剤であるシランカップリング剤A)により表面処理された表面処理シリカ系フィラー及び(cBET比表面積が20〜300m/gであるシリカ系フィラーの一部を混練後に、(c)BET比表面積が20〜300m/gであるシリカ系フィラー及び(d)シランカップリング剤B)を配合し混練するゴム組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項10又は11記載の製造方法で製造されたゴム組成物。
【請求項13】
請求項1〜9、12いずれかに記載のゴム組成物を架橋して得られる架橋物。
【請求項14】
請求項13に記載の架橋物を用いてなるタイヤ。
【請求項15】
請求項13に記載の架橋物を用いてなる防振ゴム。

【公開番号】特開2013−95806(P2013−95806A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238028(P2011−238028)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000108993)ダイソー株式会社 (229)
【Fターム(参考)】