説明

ゴム組成物の製造方法

【課題】タイヤの低発熱性を向上できるゴム組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】ゴム成分(A)と、還元剤(B)と、無機充填材(C)を含む充填材と、シランカップリング剤(D)とを含むゴム組成物の製造方法であって、少なくとも、前記ゴム成分(A)と、該還元剤(B)と、該無機充填材(C)を含む充填材の全部又は一部と、該シランカップリング剤(D)の全部又は一部とを混練する第一練り段階と、該第一練り段階の後に、加硫剤を加えて混練する最終練り段階とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低発熱性を向上することが可能なゴム組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低転がり抵抗と湿潤路面で高制動性を両立する技術として、充填材としてシリカ等の無機充填材を用いることが有効である。ここでは、シランカップリング剤をシリカ等の無機充填材と併用することが、更なる低ロス化や耐摩耗性を確保するためには必須である。また、シランカップリング剤は、シリカ表面と相互作用することにより加硫促進剤のシリカ表面への吸着を防ぐ役割もある。
しかし、シランカップリング剤を用いた場合にはゴム中に未反応成分が残ってしまい、混練り中にゴム焦けを起こすことがある。そのため、非イオン性の界面活性剤と組み合わせて、少量のシランカップリング剤を使用することにより、ゴム焦けを起こすことなく、低ロス性、ウェット性、耐摩耗性、加工性などに優れたゴム組成物を得ることができることが知られている(特許文献1参照)。
しかし、この場合、非イオン性界面活性剤のシリカ表面への吸着が早いため、シランカップリング剤とシリカの反応が阻害されてしまう。結果として、シリカとゴム成分の補強性が低下し、ゴム組成物としての耐摩耗性が悪化する。
現状では以上のように、シランカップリング剤とシリカ等の無機充填材との反応が十分ではなく、低発熱性を向上させる観点より改良する余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−130908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような状況下で、シランカップリング剤とシリカ等の無機充填材との反応性を向上させ、低発熱性に優れたゴム組成物の製造方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、混練工程のマスターバッチ練り段階で特定の化合物を配合することにより、上記目的を達成することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、ゴム成分(A)と、還元剤(B)と、無機充填材(C)を含む充填材と、シランカップリング剤(D)とを含むゴム組成物の製造方法であって、少なくとも、該ゴム成分(A)と、該還元剤(B)と、該無機充填材(C)を含む充填材の全部又は一部と、該シランカップリング剤(D)の全部又は一部とを混練する第一練り段階と、該第一練り段階の後に、加硫剤を加えて混練する最終練り段階とを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、シランカップリング剤とシリカ等の無機充填材との反応性を向上させ、シリカ等の無機充填材のゴム組成物中の分散を良好にして、低発熱性に優れたゴム組成物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明を詳細に説明する。
[ゴム組成物の製造方法]
本発明に係るゴム組成物の製造方法は、ゴム成分(A)と、還元剤(B)と、無機充填材(C)を含む充填材と、シランカップリング剤(D)とを含むゴム組成物の製造方法であって、少なくとも、前記ゴム成分(A)と、該還元剤(B)と、該無機充填材(C)を含む充填材の全部又は一部と、該シランカップリング剤(D)の全部又は一部とを混練する第一練り段階と、該第一練り段階の後に、加硫剤を加えて混練する最終練り段階とを有する。
【0008】
第一練り段階におけるゴム組成物の最高温度は、120〜190℃であることが好ましい。この範囲であれば、無機充填材の分散性が好適に向上し、無機充填材とシランカップリング剤との反応性を高めることができるからである。この観点から、130〜175℃であることがより好ましく、140〜170℃であることがさらに好ましい。第一練り段階の混練時間は、10秒から20分であることが好ましく、10秒から10分であることがより好ましく、30秒から5分であることがさらに好ましい。なお、本発明において、ゴム成分(A)のみを予備練りする場合、この段階は第一練り段階に含まない。
【0009】
ゴム組成物は、ゴム成分(A)と、無機充填材(C)を含む充填材との混練りを主体とし、通常、加硫剤及び加硫促進剤を配合する前の工程であるマスターバッチ練り段階と、加硫剤及び加硫促進剤を配合して加硫性ゴム組成物を製造する最終練り段階とに分けて混練りされる。
なお、上述の第一練り段階は、実施形態におけるマスターバッチ練り段階に相当する。マスターバッチ練り段階と最終練り段階との間に、主としてマスターバッチの粘度を下げる目的で、中間練り段階が設けられてもよい。
【0010】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法は、マスターバッチ練り段階において、少なくとも前記ゴム成分(A)と、還元剤(B)と、前記無機充填材(C)の全部又は一部と、前記シランカップリング剤(D)の全部又は一部とを混練することにより、無機充填材(C)とシランカップリング剤(D)との反応により生成するエタノール等のアルコール及びその他の揮発性有機成分を混練り中に揮発させることができる。これにより、マスターバッチ練り工程よりも後に実行される押出工程におけるアルコール等の揮発を抑え、押出成形物にポーラスが発生することを防止することができる。
【0011】
本発明に係るゴム組成物の製造方法では、還元剤(B)、特にアスコルビン酸が、無機充填材(C)とシランカップリング剤(D)との反応を良好に促進すると考えられる。このように、本発明に係るゴム組成物の製造方法によれば、ゴム加工時の作業性に更に優れると共に、より発熱性の低い空気入りタイヤを得ることができる。
本発明に係るゴム組成物の製造方法によれば、還元剤(B)、特にアスコルビン酸が、無機充填材(C)を含む充填材の分散性を良好にすると考えられる。本発明に係るゴム組成物の製造方法によれば、ゴム加工時の作業性に更に優れると共に、より発熱性の低い空気入りタイヤを得ることができる。
【0012】
第一練り段階において、前記ゴム成分(A)、前記無機充填材(C)の全部又は一部及び前記シランカップリング剤(D)の全部又は一部を混練した後に、還元剤(B)を加えて、更に混練してもよい。
【0013】
1回のマスターバッチ練り段階だけでマスターバッチを製造することが困難な場合には、マスターバッチ練り段階を、第1マスターバッチ練り段階と第2マスターバッチ練り段階とに分けてもよい。
例えば、第一練り段階(すなわち、マスターバッチ練り段階)において、第1マスターバッチ練り段階として、ゴム成分(A)、無機充填材(C)の全部又は一部、及びシランカップリング剤(D)の全部又は一部を混練し、冷却して養生の後、第2マスターバッチ練り段階として、還元剤(B)を加えて、更に混練してもよい。
【0014】
なお、中間段階(第2マスターバッチ)でゴム成分や充填剤等を配合し、混練してもよい。第一練り段階より後、かつ最終練り段階より前の中間練り段階を含む際には、中間練り段階におけるゴム組成物の最高温度は120〜190℃であることが好ましく、130〜175℃であることがより好ましく、140〜170℃であることがさらに好ましい。なお、混練時間は10秒から20分であることが好ましく、10秒から10分であることがより好ましく、20秒から5分であることがさらに好ましい。なお、中間練り段階を含む際には、前段階の混練終了後の温度より10℃以上低下させてから次の段階へ進むことが好ましい。
【0015】
また、混練の最終段階とは、加硫系薬品(加硫剤、加硫促進剤)を配合し、混練する工程をいう。混練の最終段階におけるゴム組成物の最高温度は60〜140℃であることが好ましく、80〜120℃であることがより好ましく、100〜120℃であることがさらに好ましい。なお、混練時間は10秒から20分であることが好ましく、10秒から10分であることがより好ましく、20秒から5分であることがさらに好ましい。
混練の第一練り段階、中間段階から最終段階に進む際には、前段階の混練終了後の温度より10℃以上低下させてから次の段階へ進むことが好ましい。
【0016】
本発明のゴム組成物の製造方法において、通常、ゴム組成物に配合されるステアリン酸、亜鉛華等の加硫活性剤、老化防止剤等の各種配合剤は、必要に応じて、マスターバッチ練り段階又は最終練り段階、あるいは上述の中間練り段階において混練りされる。
【0017】
本発明におけるゴム組成物は、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー、ニーダー、二軸押出等を用いて混練りされる。その後、押出工程において押出し加工され、トレッド用部材として成形される。続いて、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。本発明におけるトレッドとは、タイヤの接地部を構成するキャップトレッド及び/又はキャップトレッドの内側に配設されるベーストレッドをいう。
【0018】
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)と、還元剤(B)と、充填材(C)とを含む。
[ゴム成分(A)]
本発明のゴム組成物に用いられるゴム成分(A)は、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種とすることが好ましい。合成ジエン系ゴムとしては、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)等を用いることができる。天然ゴム及び合成ジエン系ゴムは、1種単独でもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
【0019】
[還元剤(B)]
還元剤(B)としては、環状エステル構造とヒドロキシル基とを有する有機化合物を用いることができる。なかでも、アスコルビン酸が好ましい。アスコルビン酸の誘導体を用いることもできる。アスコルビン酸の水溶性誘導体としては、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸−2−硫酸2ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム、アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム、アスコルビル−2−グルコシドなどが挙げられる。
アスコルビン酸の脂溶性誘導体としては、6−ステアリン酸アスコルビル、6−パルミチン酸アスコルビル、2,6−ジパルミチン酸アスコルビル、2,3,5,6−テトラヘキシルデカン酸アスコルビルなどが挙げられる。
【0020】
還元剤(B)は、ゴム組成物100質量部に対して、通常、0.1〜10質量部含まれる。好ましくは、0.2〜5質量部であり、より好ましくは、0.5〜3質量部である。アスコルビン酸の配合量を0.1〜10質量部の範囲とすることにより、ゴム組成物中における充填材(C)の分散効果が高められる。これにより、ゴム組成物の低発熱性を向上することができる。
【0021】
[充填材]
<無機充填材(C)>
従来のゴム組成物に添加することが可能な充填材は、本発明の充填材として使用可能である。本発明においては、充填材には、無機充填材(C)が含まれる。
無機充填材(C)のうち、低転がり性と耐摩耗性の両立の観点からシリカが好ましい。シリカとしては市販のあらゆるものが使用できるが、なかでも湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカを用いるのが好ましく、湿式シリカを用いるのが特に好ましい。シリカのBET比表面積(ISO 5794/1に準拠して測定する)は40〜350m2/gであるのが好ましい。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET比表面積が80〜350m2/gの範囲にあるシリカが更に好ましく、BET比表面積が130m2/gを超え、30m2/g以下であるシリカがさらに好ましく、BET比表面積が135〜350m2/gの範囲にあるシリカが特に好ましい。このようなシリカとしては東ソーシリカ社製、商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積=205m2/g)、「ニップシールKQ」(BET比表面積=240m2/g)、デグッサ社製商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積=175m2/g)等の市販品を用いることができる。
【0022】
無機充填材(C)としてシリカを使用する場合には、充填材中におけるシリカの割合が30質量%以上であることが好ましい。
無機充填材(C)としてシリカが配合されたゴム組成物においては、シリカによるゴム組成物の補強性を高めるため、またはゴム組成物の低発熱性と共に耐摩耗性を高めるために、シランカップリング剤(D)が配合されることが好ましい。シランカップリング剤(D)の詳細については、後述する。
【0023】
本発明のゴム組成物には、シリカのほか、下記一般式(I)で表される無機化合物を用いることができる。
dM1・xSiOy・zH2O (I)
ここで、一般式(I)中、M1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、d、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。
なお、一般式(I)において、x、zがともに0である場合には、該無機化合物はアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物又は金属水酸化物となる。
【0024】
一般式(I)で表される無機化合物としては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが使用できる。
また、一般式(I)中のM1がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一つである場合が好ましい。
【0025】
一般式(I)で表される無機化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これらの無機化合物の平均粒径は、混練作業性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能のバランスなどの観点から、0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.05〜5μmの範囲がより好ましい。また、無機充填材(C)として、シリカ単独で使用してもよいし、シリカと一般式(I)で表される無機化合物の1種以上とを併用してもよい。
【0026】
<カーボンブラック>
本発明において、充填材は、上述した無機充填材(C)に加えて、カーボンブラックを含有してもよい。カーボンブラックとしては、市販ものが使用できる。カーボンブラックを含有することにより、電気抵抗を下げて帯電を抑止する効果を享受できる。
カーボンブラックに特に制限はないが、例えば、高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラックを使用できる。特に、SAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEFグレードのカーボンブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラックのDBP吸収量は、好ましくは80cm3/100g以上、より好ましくは100cm3/100g以上、特に好ましくは110cm3/100g以上である。また、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定する)は、好ましくは85m2/g以上、より好ましくは100m2/g以上、特に好ましくは110m2/g以上である。
【0027】
<充填材の配合量>
充填材は、ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜150質量部使用することが好ましい。ゴム組成物の補強性向上の観点から20質量部以上であることが好ましく、転がり抵抗低減の観点から150質量部以下であることが好ましい。
無機充填材(C)は、ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜120質量部使用することが好ましい。20質量部以上であれば、十分なウェット性能を確保することができ、120質量部以下であれば、転がり抵抗を低減することができる。
充填材中、無機充填材(C)が30質量%以上であることがウェット性能と転がり抵抗の両立の観点から好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。なお、無機充填材(C)としてシリカを使用する場合には、充填材中におけるシリカが30質量%以上であることが好ましい。
【0028】
[シランカップリング剤(D)]
無機充填材(C)と併用可能なシランカップリング剤(D)としては、下記一般式(II)〜(V)で表される化合物からなる群から1種以上選択される化合物を用いることができる。以下、下記一般式(II)〜(V)を順に説明する。
【0029】
【化1】

式中、R1は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基であり、R2は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基であり、R3は同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基であり、aは平均値として2〜6であり、p及びrは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として0〜3である。但しp及びrの双方が3であることはない。
【0030】
一般式(II)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例として、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィド等が挙げられる。
【0031】
【化2】

式中、R4は−Cl、−Br、R9O−、R9C(=O)O−、R910C=NO−、R910CNO−、R910N−、及び−(OSiR910h(OSiR91011)から選択される一価の基(R9、R10及びR11は各々水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、hは平均値として1〜4である。)であり、R5はR4、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、R6はR4、R5、水素原子又は−[O(R12O)j0.5−基(R12は炭素数1〜18のアルキレン基、jは1〜4の整数である。)であり、R7は炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R8は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。
【0032】
上記一般式(III)において、R8、R9、R10及びR11は同一でも異なっていてもよく、好ましくは各々炭素数1〜18の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。また、R5が炭素数1〜18の一価の炭化水素基である場合は、直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。R12は直鎖、環状又は分枝のアルキレン基であることが好ましく、特に直鎖状のものが好ましい。R7は例えば炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数2〜18のアルケニレン基、炭素数5〜18のシクロアルキレン基、炭素数6〜18のシクロアルキルアルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、炭素数7〜18のアラルキレン基を挙げることができる。前記アルキレン基及びアルケニレン基は、直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、前記シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基は、環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよい。このR7としては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、特に直鎖状アルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基を好ましく挙げることができる。
【0033】
上記一般式(III)におけるR5、R8、R9、R10及びR11の炭素数1〜18の一価の炭化水素基の具体例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,ビニル基,プロぺニル基,アリル基,ヘキセニル基,オクテニル基,シクロペンテニル基,シクロヘキセニル基,フェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基,ベンジル基,フェネチル基,ナフチルメチル基等が挙げられる。
上記一般式(III)におけるR12の例としては、メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,オクタメチレン基,デカメチレン基,ドデカメチレン基等が挙げられる。
【0034】
前記一般式(III)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例としては、3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(General Electric Silicones社製、商標:NXTシラン)が特に好ましい。
【0035】
【化3】

式中、R13は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基であり、R14は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基であり、R15は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基である。R16は一般式(−S−R17−S−)、(−R18−Sm1−R19−)及び(−R20−Sm2−R21−Sm3−R22−)のいずれかの二価の基(R17〜R22は各々炭素数1〜20の二価の炭化水素基、二価の芳香族基、又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基であり、m1、m2及びm3は各々平均値として1以上4未満である。)であり、複数あるkは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として1〜6であり、s及びtは各々平均値として0〜3である。但しs及びtの双方が3であることはない。
【0036】
上記一般式(IV)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例として、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH26−S2−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH210−S2−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S3−(CH26−S3−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S4−(CH26−S4−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2.5−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S3−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S4−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH210−S2−(CH210−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S4−(CH26−S4−(CH26−S4−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH26−S2−(CH26−S2−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2−(CH26−S2−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33等で表される化合物が好適に挙げられる。
【0037】
【化4】

式中、R23は炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、複数あるGは同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、複数あるZaは同一でも異なっていてもよく、各々二つの珪素原子と結合することのできる基であり、且つ[−0−]0.5、[−0−G−]0.5又は[−O−G−O−]0.5から選ばれる基であり、複数あるZbは同一でも異なっていてもよく、各々二つの珪素原子と結合することのできる基であり、且つ[−O−G−O−]0.5で表される官能基であり、複数あるZcは同一でも異なっていてもよく、各々−Cl、−Br、−ORe、ReC(=O)O−、RefC=NO−、RefN−、Re−、HO−G−O−(Gは上記表記と一致する)で表される官能基であり、Re及びRfは各々炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基である。m、n、u、v及びwは、1≦m≦20、0≦n≦20、0≦u≦3、0≦v≦2、0≦w≦1であり、且つ(u/2)+v+2w=2又は3である。A部が複数である場合、複数のA部におけるZau、Zbv及びZcwそれぞれにおいて、同一でも異なっていてもよく、B部が複数である場合、複数のB部におけるZau、Zbv及びZcwそれぞれにおいて、同一でも異なってもよい。
【0038】
一般式(V)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例として、一般式(VI)、一般式(VII)及び一般式(VIII)が挙げられる。
【0039】
【化5】

【0040】
【化6】

【0041】
【化7】

式中、Lはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、x=m、y=nである。
【0042】
化学式(VI)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商標「NXT Low−V Silane」、が市販品として入手できる。
また、化学式(VII)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商標「NXT Ultra Low−V Silane」、が同様に市販品として入手することができる。
更に、化学式(VIII)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商標、「NXT−Z」として挙げることができる。
【0043】
本発明において、シランカップリング剤(D)は、上記一般式(II)〜(V)で表される化合物の内、上記一般式(II)で表される化合物が特に好ましい。
本発明においては、シランカップリング剤(D)は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るゴム組成物のシランカップリング剤(D)の配合量は、質量比{シランカップリング剤(D)/無機充填材(C)}が(1/100)〜(20/100)であることが好ましい。(1/100)未満ではゴム組成物の低発熱性向上の効果が発揮しにくくなり、(20/100)を超えると、ゴム組成物のコストが過大となり、経済性が低下するからである。更には質量比(3/100)〜(20/100)であることがより好ましく、質量比(4/100)〜(10/100)であることが特に好ましい。
【0044】
上述したように、シリカなどの無機充填材(C)が配合されたゴム組成物においては、シリカによるゴム組成物の補強性を高めるため、またはゴム組成物の低発熱性と共に耐摩耗性を高めるために、シランカップリング剤(D)を配合すること好ましい。しかし、無機充填材(C)とシランカップリング剤(D)との反応が不十分であると、無機充填材(C)によるゴム組成物の補強性を高める効果が十分に得られないため、耐摩耗性が低下する場合がある。また、ゴム組成物の混練工程において未反応だったシランカップリング剤が混練工程よりも後に実行される押出工程中に反応すると、ゴム組成物の押出成形物中にポーラス(多数の泡又は穴)が発生し、押出成形物の寸度や重量の精度の低下を引き起こす。
これに対して、混練工程における混練段階の回数を増やすと、無機充填材(C)とシランカップリング剤(D)との反応を混練工程で完結させることができ、ポーラスの発生を抑えることが可能である。しかし、混練工程の生産性を著しく低下させるという問題があった。
本発明に係るゴム組成物では、還元剤(B)、特にアスコルビン酸は、無機充填材(C)とシランカップリング剤(D)との反応を良好に促進すると考えられる。このように、本発明に係るゴム組成物によれば、ゴム加工時の作業性に更に優れると共に、より発熱性の低い空気入りタイヤを得ることができる。
【0045】
[加硫剤、加硫促進剤]
本発明に係るゴム組成物には、加硫剤、加硫促進剤が配合される。加硫剤としては、硫黄等が挙げられる。加硫促進剤としては、特に限定されないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアゾリルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等が挙げられる。
【0046】
[有機酸化合物]
ゴム組成物には、有機酸化合物が含まれていてもよい。有機酸化合物としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、カプリル酸、エナント酸、カプロン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ネルボン酸等の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸並びにロジン酸や変性ロジン酸等の樹脂酸などの有機酸、前記飽和脂肪酸及び前記不飽和脂肪酸並びに樹脂酸のアルカリ金属塩又はエステルなどが挙げられる。
【実施例】
【0047】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
[評価方法]
<低発熱性(tanδ指数)>
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度60℃、動歪5%、周波数15Hzでtanδを測定した。比較例1のtanδの逆数を100として下記式にて指数表示した。指数値が大きい程、低発熱性であり、ヒステリシスロスが小さいことを示す。
低発熱性指数={(比較例1の加硫ゴム組成物のtanδ)/(供試加硫ゴム組成物のtanδ)}×100
【0048】
[実施例、比較例]
<実施例1〜8>
混練の第一練り段階において、バンバリーミキサーにて、ゴム成分(A)としてSBR,天然ゴムのいずれか又は両方、還元剤(B)としてアスコルビン酸、充填材(C)としてカーボンブラック、無機充填材(C)としてシリカ、シランカップリング剤(D)、アロマティックオイル、ステアリン酸、老化防止剤6PPDを混練し、混練の第一練り段階におけるゴム組成物の最高温度が150℃になるように調整した。次に、混練の最終練り段階において、表1に記載の残った配合剤を加えて混練し、混練の最終練り段階におけるゴム組成物の最高温度が110℃になるように調整した。還元剤(B)として、アスコルビン酸を用いた。
このゴム組成物から得られた加硫ゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)、耐摩耗性を上記の方法により評価した。結果を表1に示す。
【0049】
<比較例1>
混練の第一練り段階と最終練り段階のいずれでも、アスコルビン酸を加えない以外は、実施例1〜8と同様に混練した。得られた加硫ゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)、耐摩耗性を上記の方法により評価した。結果を表1に示す。
<比較例2〜9>
混練の最終練り段階においてアスコルビン酸を加えたこと以外は、比較例1と同様に混練した。得られた加硫ゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)、耐摩耗性を上記の方法により評価した。表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
[注]表1において、
*1: 旭化成、溶液重合SBR商品名「T2000」
*2: RSS#3
*3: 旭カーボン株式会社製、商品名「#80」
*4: 東ソー・シリカ株式会社製、ニップシールAQ、 BET比表面積205m2/g
*5: ビス(3−トリエトシキシリルプロピル)ジスルフィド(平均硫黄鎖長:2.35)、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si75」(登録商標)
*6: 2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック224」
*7: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*8: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*9: ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーDM」
*10: N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーNS」
【0052】
[評価結果]
表1に示す実施例1〜8のゴム組成物は、アスコルビン酸を配合しない比較例1、及びアスコルビン酸を最終練り段階で添加する比較例2〜9のゴム組成物と比べて、いずれも低発熱性(tanδ指数)が良好であった。
実施例1〜4のゴム組成物は、合成ジエン系ゴム100質量部に対して、アスコルビン酸の配合量を変えて作成されたものである。実施例5〜8のゴム組成物は、天然ゴムと合成ゴムとを50質量部ずつ含み、アスコルビン酸の配合量を変えて作成されたものである。いずれの場合も、0.5〜3質量部の範囲において、アスコルビン酸の配合量が多いほど、低発熱性が良好であった。とりわけ、合成ジエン系ゴム100質量部に対してアスコルビン酸を添加する程、低発熱性が良好であることが判った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分(A)と、還元剤(B)と、無機充填材(C)を含む充填材と、シランカップリング剤(D)とを含むゴム組成物の製造方法であって、
少なくとも、該ゴム成分(A)と、該還元剤(B)と、該無機充填材(C)を含む充填材の全部又は一部と、該シランカップリング剤(D)の全部又は一部とを混練する第一練り段階と、
該第一練り段階の後に、加硫剤を加えて混練する最終練り段階と
を有するゴム組成物の製造方法。
【請求項2】
前記還元剤(B)が前記ゴム成分100質量部に対して、0.1〜10質量部含まれる請求項1に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項3】
前記還元剤(B)がアスコルビン酸である請求項1又は2に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項4】
前記シランカップリング剤(D)が、下記一般式(II)〜(V)で表される化合物からなる群から1種以上選択される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
【化1】

(式中、R1は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基であり、R2は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基であり、R3は同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基であり、aは平均値として2〜6であり、p及びrは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として0〜3である。但しp及びrの双方が3であることはない。)
【化2】

{式中、R4は−Cl、−Br、R9O−、R9C(=O)O−、R910C=NO−、R910CNO−、R910N−、及び−(OSiR910h(OSiR91011)から選択される一価の基(R9、R10及びR11は各々水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、hは平均値として1〜4である。)であり、R5はR4、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、R6はR4、R5、水素原子又は−[O(R12O)j0.5−基(R12は炭素数1〜18のアルキレン基、jは1〜4の整数である。)であり、R7は炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R8は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。}
【化3】

{式中、R13は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基であり、R14は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基であり、R15は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基である。R16は一般式(−S−R17−S−)、(−R18−Sm1−R19−)及び(−R20−Sm2−R21−Sm3−R22−)のいずれかの二価の基(R17〜R22は各々炭素数1〜20の二価の炭化水素基、二価の芳香族基、又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基であり、m1、m2及びm3は各々平均値として1以上4未満である。)であり、複数あるkは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として1〜6であり、s及びtは各々平均値として0〜3である。但しs及びtの双方が3であることはない。}
【化4】

{式中、R23は炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、複数あるGは同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、複数あるZaは同一でも異なっていてもよく、各々二つの珪素原子と結合することのできる基であり、且つ[−0−]0.5、[−0−G−]0.5又は[−O−G−O−]0.5から選ばれる基であり、複数あるZbは同一でも異なっていてもよく、各々二つの珪素原子と結合することのできる基であり、且つ[−O−G−O−]0.5で表される官能基であり、複数あるZcは同一でも異なっていてもよく、各々−Cl、−Br、−ORe、ReC(=O)O−、RefC=NO−、RefN−、Re−、HO−G−O−(Gは上記表記と一致する)で表される官能基であり、Re及びRfは各々炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基である。m、n、u、v及びwは、1≦m≦20、0≦n≦20、0≦u≦3、0≦v≦2、0≦w≦1であり、且つ(u/2)+v+2w=2又は3である。A部が複数である場合、複数のA部におけるZau、Zbv及びZcwそれぞれにおいて、同一でも異なっていてもよく、B部が複数である場合、複数のB部におけるZau、Zbv及びZcwそれぞれにおいて、同一でも異なってもよい。}
【請求項5】
前記無機充填材(C)がシリカである請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項6】
前記充填材中、前記無機充填材(C)が30質量%以上である請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項7】
前記シランカップリング剤(D)が前記一般式(II)で表される化合物である請求項4に記載のゴム組成物の製造方法。

【公開番号】特開2013−108018(P2013−108018A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255501(P2011−255501)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】