説明

ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ

【課題】従来の変性合成ゴムを用いたゴム組成物に比べて、さらに低発熱性、耐摩耗性及び破壊特性を向上させたゴム組成物を提供する。
【解決手段】(A)分子中に極性基を有する変性天然ゴムと、(B)変性共役ジエン系重合体と、(C)補強性充填材とを含むゴム組成物であって、前記(B)変性共役ジエン系重合体が、(a)活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、分子内に1級アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と、1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物を反応させて変性を行う工程、及び(b)チタン化合物からなるチタン系縮合促進剤の存在下、前記2官能性ケイ素化合物が関与する縮合反応を行う工程を施すことにより得られた重合体であることを特徴とするゴム組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物及び該ゴム組成物を用いたタイヤに関し、さらに詳しくは、特にタイヤのトレッドに用いることで、タイヤの低燃費性を向上させつつ、タイヤに十分優れた耐摩耗性及び破壊特性を付与することが可能なゴム組成物、及びそれを用いたタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、自動車の低燃費化に対する要求が強くなりつつあり、転がり抵抗の小さいタイヤが求められている。そのため、タイヤのトレッド等に使用するゴム組成物として、tanδが低く(以下、低ロス性とする)、低発熱性に優れたゴム組成物が求められている。また、トレッド用のゴム組成物においては、低ロス性に加え、安全性及び経済性の観点から、耐摩耗性及び破壊特性に優れることが求められる。これに対して、ゴム成分にカーボンブラックやシリカ等の補強性充填材を配合したゴム組成物の低ロス性、耐摩耗性及び破壊特性を改良するには、ゴム組成物中の補強性充填材とゴム成分との親和性を向上させることが有効である。
【0003】
例えば、ゴム組成物中の補強性充填材とゴム成分との親和性を向上させ、補強性充填材による補強効果を向上させるために、末端変性により補強性充填材との親和性を向上させた合成ゴム(例えば、特許文献1〜5参照)や、主鎖の変性により補強性充填材との親和性を向上させた合成ゴム(例えば、特許文献6及び7参照)等が開示されている。
【0004】
【特許文献1】国際公開第2003/046020号パンフレット
【特許文献2】特表2004−513987号公報
【特許文献3】特開平11−29603号公報
【特許文献4】特開2003−113202号公報
【特許文献5】特公平6−29338号公報
【特許文献6】特表2003−534426号公報
【特許文献7】特開2002−201310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが、上記特許文献1〜7に記載の変性合成ゴムを用いたゴム組成物の低発熱性、耐摩耗性及び破壊特性について検討したところ、該ゴム組成物は、一般的な合成ゴムを用いたゴム組成物に比べて低発熱性、耐摩耗性及び破壊特性に優れるものの、十分とは言えず、依然として改良の余地があることが分った。
【0006】
本発明は、このような状況下になされたもので、従来の変性合成ゴムを用いたゴム組成物に比べて、更に低発熱性、耐摩耗性及び破壊特性を向上させたゴム組成物、及びこのゴム組成物を用いてなる低燃費性、耐摩耗性及び破壊特性に優れるタイヤを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ゴム成分として、分子中に極性基を有する変性天然ゴムと、特定の工程を施すことにより得られた変性共役ジエン系重合体とを含むものを用いることにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、
[1](A)分子中に極性基を有する変性天然ゴムと、(B)変性共役ジエン系重合体と、(C)補強性充填材とを含むゴム組成物であって、
前記(B)変性共役ジエン系重合体が、(a)活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、分子内に1級アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と、1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物を反応させて変性を行なう工程、及び(b)チタン化合物からなるチタン系縮合促進剤の存在下、前記2官能性ケイ素原子を含む化合物が関与する縮合反応を行なう工程を施すことにより得られた重合体であることを特徴とするゴム組成物、
[2](A)変性天然ゴムの極性基が、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、アルコキシシリル基及びスズ含有基から選ばれる少なくとも一種である上記[1]に記載のゴム組成物、
[3](A)変性天然ゴムの極性基含有量が、変性天然ゴムのゴム成分に対して、0.001〜0.5mmol/gである上記[1]又は[2]に記載のゴム組成物、
[4](B)変性共役ジエン系重合体が、さらに、(c)共役ジエン系重合体の活性末端に結合してなる、2官能性ケイ素原子を含む化合物由来の基を加水分解処理し、該基中の保護された1級アミノ基を遊離のアミノ基に変換する脱保護工程を施すことにより得られた重合体である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のゴム組成物、
[5](B)変性共役ジエン系重合体において、(a)工程で用いる2官能性ケイ素原子を含む化合物が、一般式(I)
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R3〜R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)で表されるケイ素化合物、一般式(II)
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、R7〜R11は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R12は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、を示す。)で表されるケイ素化合物及び、一般式(III)
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R3〜R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R13は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)で表されるケイ素化合物のいずれかである上記[1]〜[4]のいずれかに記載のゴム組成物、
[6]一般式(I)におけるAがハロゲン原子又は炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基である上記[5]に記載のゴム組成物、
[7](B)変性共役ジエン系重合体において、活性末端を有する共役ジエン系重合体が、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、共役ジエン化合物単独、又は共役ジエン化合物と芳香族化ビニル化合物をアニオン重合させて得られたものである上記[1]〜[6]のいずれかに記載のゴム組成物、
[8]共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン中から選ばれる少なくとも一種である上記[7]に記載のゴム組成物、
[9]芳香族ビニル化合物がスチレンである上記[7]又は[8]に記載のゴム組成物、
[10]芳香族ビニル化合物の重合単位の含有量が共役ジエン系重合体の0〜55質量%であり、該共役ジエン系重合体のビニル結合含有量が、共役ジエンの重合単位の7〜65質量%である上記[7]〜[9]のいずれかに記載のゴム組成物、
[11](B)変性共役ジエン系重合体において、(b)工程で用いる縮合促進剤が、チタンのアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩、又はこれらの混合塩の中から選ばれる少なくとも1種である上記[1]〜[10]のいずれかに記載のゴム組成物、
[12](A)変性天然ゴムと(B)変性共役ジエン系重合体との含有割合が、質量比で10:90〜90:10である上記[1]〜[11]のいずれかに記載のゴム組成物、及び
[13]上記[1]〜[12]のいずれかに記載のゴム組成物を、タイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とするタイヤ、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来の変性合成ゴムを用いたゴム組成物に比べて、更に低発熱性、耐摩耗性及び破壊特性を向上させたゴム組成物、及びこのゴム組成物を用いてなる低燃費性、耐摩耗性及び破壊特性に優れるタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
まず、本発明のゴム組成物について説明する。
本発明のゴム組成物は、(A)分子中に極性基を有する変性天然ゴムと、(B)後で説明する特定の工程が施されて得られた変性共役ジエン系重合体とを含むゴム成分と、(C)補強性充填材を含有することを特徴とする。
本発明のゴム組成物において、ゴム成分を構成する(A)変性天然ゴムは、未変性の天然ゴムに比べて、(C)補強性充填材に対する親和性が高く、また(B)変性共役ジエン系重合体は、未変性の共役ジエン系重合体に比べて、(C)補強性充填材に対する親和性が高い。
そして、(A)変性天然ゴム及び(B)変性共役ジエン系重合体と、(C)補強性充填材を含む本発明のゴム組成物は、(A)変性天然ゴム及び(B)変性共役ジエン系重合体の相乗効果により、ゴム成分に対する(C)補強性充填材の分散性が著しく高く、(C)補強性充填材の補強効果が十分に発揮されて、破壊特性及び耐摩耗性に優れる上、低発熱性(低ロス性)が大幅に向上している。
【0017】
[ゴム成分]
((A)変性天然ゴム)
本発明のゴム組成物において、ゴム成分を構成する一つの成分である(A)変性天然ゴムの製造には、原料として、天然ゴムラテックスを用いてもよいし、天然ゴム、天然ゴムラテックス凝固物及び天然ゴムカップランプの中から選択される少なくとも一種の固形天然ゴム原材料を用いてもよい。
上記天然ゴムラテックスとしては、特に限定されず、例えば、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、界面活性剤や酵素で処理した脱タンパク質ラテックス、及びこれらを組み合せたもの等を用いることができる。
【0018】
変性天然ゴムの製造において、例えば、天然ゴムラテックスを原料とする場合は、極性基含有変性天然ゴムラテックスを製造し、更に凝固及び乾燥させることで、極性基含有変性天然ゴムを得ることができる。ここで、極性基含有変性天然ゴムラテックスの製造方法としては、特に限定されず、例えば、(A1)天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させる方法、(A2)天然ゴムラテックスに極性基含有メルカプト化合物を添加し、該極性基含有メルカプト化合物を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子に付加させる方法、(A3)天然ゴムラテックスに極性基含有オレフィン及びメタセシス触媒を加え、該メタセシス触媒によって天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子に極性基含有オレフィンを反応させる方法などが挙げられる。
【0019】
上記天然ゴムラテックスに添加される極性基含有単量体は、分子内に少なくとも一つの極性基を有し、天然ゴム分子とグラフト重合できる限り特に制限されるものでない。ここで、該極性基含有単量体は、天然ゴム分子とグラフト重合するために、分子内に炭素−炭素二重結合を有することが好ましく、極性基含有ビニル系単量体であることが好ましい。上記極性基の具体例としては、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、アルコキシシリル基、及びスズ含有基等を好適に挙げることができる。これら極性基を含有する単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0020】
上記アミノ基を含有する単量体としては、1分子中に第1級、第2級及び第3級アミノ基から選ばれる少なくとも1つのアミノ基を含有する重合性単量体が挙げられる。該アミノ基を有する重合性単量体の中でも、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等の第3級アミノ基含有単量体が特に好ましい。これらアミノ基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。ここで、第1級アミノ基含有単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、4−ビニルアニリン、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
また、第2級アミノ基含有単量体としては、(1)アニリノスチレン、β−フェニル−p−アニリノスチレン、β−シアノ−p−アニリノスチレン、β−シアノ−β−メチル−p−アニリノスチレン、β−クロロ−p−アニリノスチレン、β−カルボキシ−p−アニリノスチレン、β−メトキシカルボニル−p−アニリノスチレン、β−(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニル−p−アニリノスチレン、β−ホルミル−p−アニリノスチレン、β−ホルミル−β−メチル−p−アニリノスチレン、α−カルボキシ−β−カルボキシ−β−フェニル−p−アニリノスチレン等のアニリノスチレン類、(2)1−アニリノフェニル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−3−メチル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−3−クロロ−1,3−ブタジエン、3−アニリノフェニル−2−メチル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−3−メチル−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−3−クロロ−1,3−ブタジエン等のアニリノフェニルブタジエン類、(3)N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド等のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
【0022】
更に、第3級アミノ基含有単量体としては、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレート及びN,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。上記N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル等が挙げられ、これらの中でも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が特に好ましい。
【0023】
また、上記N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド化合物又はメタクリルアミド化合物等が挙げられ、これらの中でも、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が特に好ましい。
【0024】
上記ニトリル基を含有する単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。これらニトリル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0025】
上記ヒドロキシル基を含有する単量体としては、1分子中に少なくとも1つの第1級、第2級及び第3級ヒドロキシル基を有する重合性単量体が挙げられる。かかる単量体としては、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体、ヒドロキシル基含有ビニルエーテル系単量体、ヒドロキシル基含有ビニルケトン系単量体等が挙げられる。ここで、ヒドロキシル基含有単量体の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数は、例えば、2〜23である)のモノ(メタ)アクリレート類;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有不飽和アミド類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、m−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルアルコール等のヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物類等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物が好ましく、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体が特に好ましい。ここで、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のエステル、アミド、無水物等の誘導体が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸等のエステルが特に好ましい。これらヒドロキシル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0026】
上記カルボキシル基を含有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラコン酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸類;フタル酸、コハク酸、アジピン酸等の非重合性多価カルボン酸と、(メタ)アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和化合物とのモノエステルのような遊離カルボキシル基含有エステル類及びその塩等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸類が特に好ましい。これらカルボキシル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0027】
上記エポキシ基を含有する単量体としては、(メタ)アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらエポキシ基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0028】
上記含窒素複素環基を含有する単量体において、該含窒素複素環としては、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミン等が挙げられる。なお、該含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。ここで、含窒素複素環基としてピリジル基を含有する単量体としては、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等のピリジル基含有ビニル化合物等が挙げられ、これらの中でも、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が特に好ましい。これら含窒素複素環基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0029】
上記アルコキシシリル基を含有する単量体としては、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジベンジロキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルベンジロキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、6−トリメトキシシリル−1,2−ヘキセン、p−トリメトキシシリルスチレン等が挙げられる。これらアルコキシシリル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0030】
上記スズ含有基を有する単量体としては、アリルトリ−n−ブチルスズ、アリルトリメチルスズ、アリルトリフェニルスズ、アリルトリ−n−オクチルスズ、(メタ)アクリルオキシ−n−ブチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリメチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリフェニルスズ、(メタ)アクリルオキシ−n−オクチルスズ、ビニルトリ−n−ブチルスズ、ビニルトリメチルスズ、ビニルトリフェニルスズ、ビニルトリ−n−オクチルスズ等のスズ含有単量体を挙げることができる。これらスズ含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0031】
上記極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させる場合は、上記極性基含有単量体の天然ゴム分子へのグラフト重合を、乳化重合で行うのがよい。ここで、該乳化重合においては、一般的に、天然ゴムラテックスに水及び必要に応じて乳化剤を加えた液中に、上記極性基含有単量体を加え、更に重合開始剤を加えて、所定の温度で撹拌して極性基含有単量体を重合させることが好ましい。なお、上記極性基含有単量体の天然ゴムラテックスへの添加においては、予め天然ゴムラテックス中に乳化剤を加えてもよいし、極性基含有単量体を乳化剤で乳化した後に天然ゴムラテックス中に加えてもよい。なお、天然ゴムラテックス及び/又は極性基含有単量体の乳化に使用できる乳化剤としては、特に限定されず、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のノニオン系の界面活性剤が挙げられる。
【0032】
上記重合開始剤としては、特に制限はなく、種々の乳化重合用の重合開始剤を用いることができ、その添加方法についても特に制限はない。一般に用いられる重合開始剤の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。なお、重合温度を低下させるためには、レドックス系の重合開始剤を用いることが好ましい。かかるレドックス系重合開始剤において、過酸化物と組み合せる還元剤としては、例えば、テトラエチレンペンタミン、メルカプタン類、酸性亜硫酸ナトリウム、還元性金属イオン、アスコルビン酸等が挙げられる。レドックス系重合開始剤における過酸化物と還元剤との好ましい組み合せとしては、tert−ブチルハイドロパーオキサイドとテトラエチレンペンタミンとの組み合せ等が挙げられる。上記(A)変性天然ゴムを用いて、ゴム組成物の加工性を低下させることなく低ロス性及び耐摩耗性を向上させるには、各天然ゴム分子に上記極性基含有単量体が少量且つ均一に導入されることが重要であるため、上記重合開始剤の添加量は、上記極性基含有単量体に対し1〜100mol%の範囲が好ましく、10〜100mol%の範囲が更に好ましい。
【0033】
上述した各成分を反応容器に仕込み、30〜80℃程度で10分〜7時間程度反応させることで、天然ゴム分子に上記極性基含有単量体がグラフト共重合した変性天然ゴムラテックスが得られる。また、該変性天然ゴムラテックスを凝固させ、洗浄後、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー等の乾燥機を用いて乾燥することで(A)変性天然ゴムが得られる。ここで、変性天然ゴムラテックスを凝固するのに用いる凝固剤としては、特に限定されるものではないが、ギ酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩が挙げられる。
【0034】
上記天然ゴムラテックスに添加されて、該天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子に付加反応する極性基含有メルカプト化合物は、分子内に少なくとも一つのメルカプト基と該メルカプト基以外の極性基とを有する限り特に制限されるものでない。上記極性基の具体例としては、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、含窒素複素環基、合酸素複素環基、アルコキシシリル基、及びスズ含有基等を好適に挙げることができる。これら極性基を含有するメルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0035】
上記アミノ基を含有するメルカプト化合物としては、1分子中に第1級、第2級及び第3級アミノ基から選ばれる少なくとも1つのアミノ基を有するメルカプト化合物が挙げられる。該アミノ基を有するメルカプト化合物の中でも、第3級アミノ基含有メルカプト化合物が特に好ましい。ここで、第1級アミノ基含有メルカプト化合物としては、4−メルカプトアニリン、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトプロピルアミン、3−メルカプトプロピルアミン、2−メルカプトブチルアミン、3−メルカプトブチルアミン、4−メルカプトブチルアミン等が挙げられる。また、第2級アミノ基含有メルカプト化合物としては、N−メチルアミノエタンチオール、N−エチルアミノエタンチオール、N−メチルアミノプロパンチオール、N−エチルアミノプロパンチオール、N−メチルアミノブタンチオール、N−エチルアミノブタンチオール等が挙げられる。更に、第3級アミノ基含有メルカプト化合物としては、N,N−ジメチルアミノエタンチオール、N,N−ジエチルアミノエタンチオール、N,N−ジメチルアミノプロパンチオール、N,N−ジエチルアミノプロパンチオール、N,N−ジメチルアミノブタンチオール、N,N−ジエチルアミノブタンチオール等のN,N−ジ置換アミノアルキルメルカプタン等が挙げられる。これらアミノ基含有メルカプト化合物の中でも、2−メルカプトエチルアミン及びN,N−ジメチルアミノエタンチオール等が好ましい。これらアミノ基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0036】
上記ニトリル基を有するメルカプト化合物としては、2−メルカプトプロパンニトリル、3−メルカプトプロパンニトリル、2−メルカプトブタンニトリル、3−メルカプトブタンニトリル、4−メルカプトブタンニトリル等が挙げられ、これらニトリル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0037】
上記ヒドロキシル基を含有するメルカプト化合物としては、1分子中に少なくとも1つの第1級、第2級又は第3級ヒドロキシル基を有するメルカプト化合物が挙げられる。該ヒドロキシル基含有メルカプト化合物の具体例としては、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、3−メルカプト−2−プロパノール、4−メルカプト−1−ブタノール、4−メルカプト−2−ブタノール、3−メルカプト−1−ブタノール、3−メルカプト−2−ブタノール、3−メルカプト−1−ヘキサノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプトベンジルアルコール、2−メルカプトフェノール、4−メルカプトフェノール等が挙げられ、これらの中でも、2−メルカプトエタノール等が好ましい。これらヒドロキシル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0038】
上記カルボキシル基を含有するメルカプト化合物としては、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸、メルカプトマロン酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸等が挙げられ、これらの中でも、メルカプト酢酸等が好ましい。これらカルボキシル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0039】
上記含窒素複素環基を含有するメルカプト化合物において、該含窒素複素環としては、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミン等が挙げられる。なお、該含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。ここで、含窒素複素環基としてピリジル基を含有するメルカプト化合物としては、2−メルカプトピリジン、3−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン、5−メチル−2−メルカプトピリジン、5−エチル−2−メルカプトピリジン等が挙げられ、また、他の含窒素複素環基を含有するメルカプト化合物としては、2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール等が挙げられ、これらの中でも、2−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン等が好ましい。これら含窒素複素環基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0040】
上記アルコキシシリル基を含有するメルカプト化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が好ましい。これらアルコキシシリル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0041】
上記スズ含有基を有するメルカプト化合物としては、2−メルカプトエチルトリ−n−ブチルスズ、2−メルカプトエチルトリメチルスズ、2−メルカプトエチルトリフェニルスズ、3−メルカプトプロピルトリ−n−ブチルスズ、3−メルカプトプロピルトリメチルスズ、3−メルカプトプロピルトリフェニルスズ等のスズ含有メルカプト化合物を挙げることができる。これらスズ含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0042】
上記極性基含有メルカプト化合物を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子に付加させる場合は、一般に、天然ゴムラテックスに水及び必要に応じて乳化剤を加えた溶液中に、上記極性基含有メルカプト化合物を加え、所定の温度で撹拌することで、上記極性基含有メルカプト化合物を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子の主鎖の二重結合に付加反応させる。なお、上記極性基含有メルカプト化合物の天然ゴムラテックスヘの添加においては、予め天然ゴムラテックス中に乳化剤を加えてもよいし、極性基含有メルカプト化合物を乳化剤で乳化した後に天然ゴムラテックスに加えてもよい。また、必要に応じて、更に有機過酸化物を添加することもできる。なお、天然ゴムラテックス及び/又は極性基含有メルカプト化合物の乳化に使用できる乳化剤としては、特に限定されず、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のノニオン系の界面活性剤が挙げられる。
【0043】
ゴム組成物の加工性を低下させることなく低ロス性及び耐摩耗性を向上させるには、各天然ゴム分子に上記極性基含有メルカプト化合物が少量且つ均一に導入されることが重要であるため、上記変性反応は、撹拌しながら行うことが好ましく、例えば、天然ゴムラテックス及び極性基含有メルカプト化合物等の上記成分を反応容器に仕込み、30〜80℃程度で10分〜24時間程度反応させることで、天然ゴム分子に上記極性基含有メルカプト化合物が付加した変性天然ゴムラテックスが得られる。
【0044】
上記天然ゴムラテックスに添加される極性基含有オレフィンは、分子内に少なくとも一つの極性基を有し、また、天然ゴム分子とクロスメタセシス反応するために炭素−炭素二重結合を有する。ここで、上記極性基の具体例としては、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、アルコキシシリル基、及びスズ含有基等を好適に挙げることができる。これら極性基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0045】
上記アミノ基を含有するオレフィンとしては、1分子中に第1級、第2級及び第3級アミノ基から選ばれる少なくとも1つのアミノ基を含有するオレフィンが挙げられる。該アミノ基を有するオレフィンの中でも、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等の第3級アミノ基含有オレフィンが特に好ましい。これらアミノ基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。ここで、第1級アミノ基含有オレフィンとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、4−ビニルアニリン、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0046】
また、第2級アミノ基含有オレフィンとしては、(1)アニリノスチレン、β−フェニル−p−アニリノスチレン、β−シアノ−p−アニリノスチレン、β−シアノ−β−メチル−p−アニリノスチレン、β−クロロ−p−アニリノスチレン、β−カルボキシ−p−アニリノスチレン、β−メトキシカルボニル−p−アニリノスチレン、β−(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニル−p−アニリノスチレン、β−ホルミル−p−アニリノスチレン、β−ホルミル−β−メチル−p−アニリノスチレン、α−カルボキシ−β−カルボキシ−β−フェニル−p−アニリノスチレン等のアニリノスチレン類、(2)1−アニリノフェニル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−3−メチル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−3−クロロ−1,3−ブタジエン、3−アニリノフェニル−2−メチル−1,3−ブタジエン、1−アニリノフェニル−2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−3−メチル−1,3−ブタジエン、2−アニリノフェニル−3−クロロ−1,3−ブタジエン等のアニリノフェニルブタジエン類、(3)N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド等のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
【0047】
更に、第3級アミノ基含有オレフィンとしては、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレート及びN,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。上記N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル等が挙げられ、これらの中でも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が特に好ましい。
【0048】
また、上記N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド化合物又はメタクリルアミド化合物等が挙げられ、これらの中でも、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が特に好ましい。
【0049】
上記ニトリル基を含有するオレフィンとしては、(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。これらニトリル基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0050】
上記ヒドロキシル基を含有するオレフィンとしては、1分子中に少なくとも1つの第1級、第2級及び第3級ヒドロキシル基を有するメタセシス反応性オレフィンが挙げられる。かかるオレフィンとしては、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系オレフィン、ヒドロキシル基含有ビニルエーテル系オレフィン、ヒドロキシル基含有ビニルケトン系オレフィン等が挙げられる。ここで、ヒドロキシル基含有オレフィンの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数は、例えば、2〜23である)のモノ(メタ)アクリレート類;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有不飽和アミド類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、m−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルアルコール等のヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物類等が挙げられる。
【0051】
これらの中でも、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系オレフィン、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物が好ましく、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系オレフィンが特に好ましい。ここで、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系オレフィンとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のエステル、アミド、無水物等の誘導体が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸等のエステルが特に好ましい。これらヒドロキシル基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0052】
上記カルボキシル基を含有するオレフィンとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラコン酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸類;フタル酸、コハク酸、アジピン酸等の非重合性多価カルボン酸と、(メタ)アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和化合物とのモノエステルのような遊離カルボキシル基含有エステル類及びその塩等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸類が特に好ましい。これらカルボキシル基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0053】
上記エポキシ基を含有するオレフィンとしては、(メタ)アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらエポキシ基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0054】
上記含窒素複素環基を含有するオレフィンにおいて、該含窒素複素環としては、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミン等が挙げられる。なお、該含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。ここで、含窒素複素環基としてピリジル基を含有するオレフィンとしては、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等のピリジル基含有ビニル化合物等が挙げられ、これらの中でも、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が特に好ましい。これら含窒素複素環基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0055】
上記アルコキシシリル基を含有するオレフィンとしては、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジベンジロキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルベンジロキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、6−トリメトキシシリル−1,2−ヘキセン、p−トリメトキシシリルスチレン等が挙げられる。これらアルコキシシリル基含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0056】
上記スズ含有基を有するオレフィンとしては、アリルトリ−n−ブチルスズ、アリルトリメチルスズ、アリルトリフェニルスズ、アリルトリ−n−オクチルスズ、(メタ)アクリルオキシ−n−ブチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリメチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリフェニルスズ、(メタ)アクリルオキシ−n−オクチルスズ、ビニルトリ−n−ブチルスズ、ビニルトリメチルスズ、ビニルトリフェニルスズ、ビニルトリ−n−オクチルスズ等のスズ含有単量体を挙げることができる。これらスズ含有オレフィンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0057】
メタセシス触媒によって天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子に極性基含有オレフィンを反応させる場合は、一般に、天然ゴムラテックスに水及び必要に応じて乳化剤を加えた液中に、上記極性基含有オレフィンを加え、更にメタセシス触媒を加えて、所定の温度で撹拌して天然ゴム分子と極性基含有オレフィンをメタセシス反応させる。ここで、上記極性基含有オレフィンの天然ゴムラテックスへの添加においては、予め天然ゴムラテックス中に乳化剤を加えてもよいし、極性基含有オレフィンを乳化剤で乳化した後に天然ゴムラテックス中に加えてもよい。なお、天然ゴムラテックス及び/又は極性基含有オレフィンの乳化に使用できる乳化剤としては、特に限定されず、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のノニオン系の界面活性剤が挙げられる。
【0058】
上記メタセシス触媒としては、天然ゴム分子と上記極性基含有オレフィンとのメタセシス反応に対して触媒作用を有する限り特に制限されず、種々のメタセシス触媒を用いることができる。該メタセシス触媒は、遷移金属を含有するが、天然ゴムラテックス中で使用するため、水に対する安定性が高いことが好ましい。そのため、メタセシス触媒を構成する遷移金属は、ルテニウム、オスミウム及びイリジウムのいずれかであることが好ましい。上記メタセシス触媒として、具体的には、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロライド[RuCl2(=CHPh)(PCy32]の他、RuCl2(=CH−CH=CPh2)(PPh32、RuCl2(=CHPh)(PCp32、RuCl2(=CHPh)(PPh32、RuCl2(=CHPh)[Cy2PCH2CH2N(CH33+Cl]2等を挙げることができる。なお、化学式中、Cyはシクロヘキシル基を示し、Cpはシクロペンチル基を示し、Phはフェニル基を示す。上記メタセシス触媒の添加量は、上記極性基含有オレフィンに対し1〜500mol%の範囲が好ましく、10〜100mol%の範囲が更に好ましい。
【0059】
上述した各成分を反応容器に仕込み、30〜80℃程度で10分〜24時間程度反応させることで、天然ゴム分子に上記極性基が導入された変性天然ゴムラテックスが得られる。
また、原料として、天然ゴム、天然ゴムラテックス凝固物及び天然ゴムカップランプの中から選択される少なくとも一種の天然ゴム原材料を用いる場合は、極性基含有化合物を機械的せん断力を与えて、天然ゴム原材料にグラフト重合又は付加させることにより変性天然ゴムが得られる。
上記天然ゴム原材料としては、乾燥後の各種固形天然ゴム、各種天然ゴムラテックス凝固物(アンスモークドシートを包含する)又は天然ゴムカップランプを用いることができ、これら天然ゴム原材料は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0060】
上記極性基含有化合物を天然ゴム原材料中の天然ゴム分子にグラフト重合させる場合、該極性基含有化合物は、分子内に炭素−炭素二重結合を有することが好ましく、極性基含有ビニル系単量体であることが好ましい。一方、極性基含有化合物を天然ゴム原材料中の天然ゴム分子に付加反応させる場合、該極性基含有化合物は、分子内にメルカプト基を有することが好ましく、極性基含有メルカプト化合物であることが好ましい。
【0061】
上記天然ゴム原材料と極性基含有化合物との混合物に機械的せん断力を与える手段としては、二軸押出混練装置及びドライプリブレーカーが好ましい。ここで、極性基含有化合物を天然ゴム原材料中の天然ゴム分子にグラフト重合させる場合は、上記機械的せん断力を与えられる装置内に天然ゴム原材料及び極性基含有化合物(好ましくは、極性基含有ビニル系単量体)と共に重合開始剤を投入し、機械的せん断力を与えることで、天然ゴム原材料中の天然ゴム分子に極性基含有化合物をグラフト重合により導入することができる。また、極性基含有化合物を天然ゴム原材料中の天然ゴム分子に付加反応させる場合は、上記機械的せん断力を与えられる装置内に天然ゴム原材料及び極性基含有化合物(好ましくは、極性基含有メルカプト化合物)を投入し、必要に応じて有機過酸化物等を更に投入して、機械的せん断力を与えることで、天然ゴム原材料中の天然ゴム分子の主鎖の二重結合に極性基含有化合物を付加反応させることができる。ここで使用する極性基含有化合物としては、上述した極性基含有単量体、極性基含有メルカプト化合物、極性基含有オレフィン等が挙げられる。
【0062】
上述した各成分を機械的せん断力を与えられる装置内に仕込み、機械的せん断力を与えることで、天然ゴム分子に上記極性基含有化合物がグラフト重合又は付加した(A)変性天然ゴムが得られる。なお、この際、天然ゴム分子の変性反応を加温して行ってもよく、好ましくは30〜160℃、より好ましくは50〜130℃の温度で行うことで、十分な反応効率で変性天然ゴムを得ることができる。
【0063】
上記(A)変性天然ゴムの極性基含有量は、変性天然ゴム中のゴム成分に対して0.001〜0.5mmol/gの範囲が好ましく、0.002〜0.3mmol/gの範囲が更に好ましく、0.003〜0.2mmol/gの範囲がより一層好ましい。(A)変性天然ゴムの極性基含有量が0.001mmol/g未満では、ゴム組成物の低ロス性及び耐摩耗性を十分に改良できないことがある。また、(A)変性天然ゴムの極性基含有量が0.5mmol/gを超えると、粘弾性、S−S特性(引張試験機における応力−歪曲線)等の天然ゴム本来の物理特性を大きく変えてしまい、天然ゴム本来の優れた物理特性が損なわれると共に、ゴム組成物の加工性が大幅に悪化するおそれがある。
【0064】
((B)変性共役ジエン系重合体)
本発明のゴム組成物において、ゴム成分を構成するもう一つの成分である(B)変性共役ジエン系重合体は、以下に示す(a)工程及び(b)工程を施すことにより、得られた重合体である。
<(a)工程>
本発明における(a)工程は、活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、分子内に1級アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物(以下、アルコキシシラン化合物と称することがある)を反応させて変性を行なう工程である。
【0065】
当該(a)工程において用いられる活性末端を有する共役ジエン系重合体は、ジエン系モノマーを単独で、又は他のモノマーと共重合して得られるものであり、その製造方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、特に溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
また、共役ジエン系重合体の分子中に存在する活性部位の金属はアルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種であることが好ましく、アルカリ金属が好ましく、特にリチウム金属が好ましい。
【0066】
上記溶液重合法においては、例えば有機アルカリ金属化合物、特にリチウム化合物を重合開始剤とし、共役ジエン化合物単独又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物をアニオン重合させることにより、目的の重合体を製造することができる。
さらには、ハロゲン含有モノマーを混在させ、ポリマー中のハロゲン原子を有機金属化合物によって活性化することも有効である。例えば、イソブチレン単位、パラメチルスチレン単位及びパラブロモメチルスチレン単位を含む共重合体の臭素部分をリチオ化して活性部位とすることも有効である。
【0067】
上記共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン;イソプレン;1,3−ペンタジエン;2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン;2−フェニルー1,3−ブタジエン;1,3−ヘキサジエン;などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが特に好ましい。
また、これらの共役ジエン化合物との共重合に用いられる芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン;α−メチルスチレン;1−ビニルナフタレン;3−ビニルトルエン;エチルビニルベンゼン;ジビニルベンゼン;4−シクロへキシルスチレン;2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、スチレンが特に好ましい。
【0068】
さらに、単量体として共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、それぞれ1,3−ブタジエン及びスチレンの使用が、単量体の入手の容易さなどの実用性面、及びアニオン重合特性がリビング性などの点で優れることなどから、特に好適である。
また、溶液重合法を用いた場合には、溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。尚、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、仕込み単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の含量は0〜55質量%の範囲が好ましい。
【0069】
重合開始剤のリチウム化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。
【0070】
上記ヒドロカルビルリチウムとしては、炭素数2〜20のヒドロカルビル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルーフエニルリチウム、4−フェニルーブチルリチウム、シクロへキシルリチウム、シクロベンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応性生物などが挙げられるが、これらの中で、特にn−ブチルリチウムが好適である。
【0071】
一方、リチウムアミド化合物としては、例えばリチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミドなどが挙げられる。これらの中で、カーボンブラックに対する相互作用効果及び重合開始能の点から、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミドなどの環状リチウムアミドが好ましく、特にリチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが好適である。
【0072】
これらのリチウムアミド化合物は、一般に、二級アミンとリチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することができるが、重合系中(in−situ)で調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は、好ましくは単量体100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲で選定される。
【0073】
前記リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によって共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、共役ジエン化合物又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的の共役ジエン系重合体が得られる。
【0074】
前記炭化水素系溶剤としては、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−へキセン、2−へキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0075】
また、所望により用いられるランダマイザーとは共役ジエン系重合体のミクロ構造の制御、例えばブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン部分の1,2結合、イソプレン重合体における3,4結合の増加など、あるいは共役ジエン化合物一芳香族ビニル化合物共重合体における単量体単位の組成分布の制御、例えばブタジエンースチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化などの作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイサーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。具体的には、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピぺリジノエタンなどのエーテル類及び三級アミン類などを挙げることができる。また、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシドなどのカリウム塩類、ナトリウム−t−アミレートなどのナトリウム塩類も用いることができる。
【0076】
これらのランダマイザーは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で選択される。
【0077】
この重合反応における温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
【0078】
この重合においては、重合開始剤、溶媒、単量体など、重合に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物などの反応阻害物質を除去したものを用いることが望ましい。
尚、エラストマーとして重合体を得る場合は、得られる重合体又は共重合体の、示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)が−95℃〜−15℃であることが好ましい。ガラス転移温度を上記範囲にすることによって、粘度が高くなるのを抑え、取り扱いが容易な重合体を得ることができる。
【0079】
本発明においては、まず、上記のように得られた共役ジエン系重合体に対して、その活性末端に分子内に1級アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物を反応させる変性反応を行なう。
分子内に1級アミノ基が保護され、1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物(以下「変性剤」と略称することがある)としては、例えば一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)のいずれかが挙げられる。
【0080】
【化4】

【0081】
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R3〜R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)
【0082】
【化5】

【0083】
(式中、R7〜R11は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R12は炭素数1〜12の2価に炭化水素基を示す。)
【0084】
【化6】

(式中、R1、R2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R3〜R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R13は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)
【0085】
上記式(I)〜(III)において、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の炭化水素基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種イコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロぺニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が好ましく、エチル基、メチル基、tert−ブチル基がより好ましい。
炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数7〜12のアリーレンアルキレン基等が挙げられる。
上記炭素数1〜12アルキレン基は、直鎖状、分枝状のいずれであってもよく、具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状アルキレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、2−メチルトリメチレン基、イソペンチレン基、イソへキシレン基、イソオクチレン基、2−エチルへキシレン基、イソデシレン基などの分枝状のアルキレン基が挙げられる。
炭素数6〜12のアリーレン基としては、例えばフェニレン基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、ナフチレン基、等が挙げられ、炭素数7〜12のアリーレンアルキレン基としては、例えばフェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、キシリレン基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、特にトリメチレン基が好ましい。
【0086】
Aの反応性基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基が好ましく、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、中でも塩素が好ましい。
炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基などを挙げることができる。
上記炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基,n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基,sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、各種ヘキソキシ基、各種オクトキシ基、各種デシロキシ基、各種ドデシロキシ基,各種テトラデシロキシ基、各種ヘキサデシロキシ基、各種オクタデシロキシ基、各種イコシロキシ基などが挙げられる。炭素数6〜20のアリーロキシ基としては、例えばフェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられ、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジロキシ基、フェネチロキシ基、ナフチルメトキシ基等が挙げられる。これらの中で1〜4のアルコキシ基が好ましく、特にエトキシ基が好ましい。
その他の反応性基としては、カルボニル基、酸無水物残基、各ジヒドロイミダゾリニル基、N−メチルピロリドニル基、イソシアネート基等を含有する基が挙げられる。
また、式(I)のR3,R4およびR5の2つが結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって、4〜7員環を形成してもよく、同様に式(II)のR9,R10およびR11の2つが結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって、4〜7員環を形成してもよい。この4〜7員環としては炭素数4〜7のメチレン基を有するものを挙げることができる。
【0087】
保護された1級アミノ基及びケイ素原子に結合したアルコキシ基を少なくとも有する2官能性ケイ素原子を含む化合物としては、例えばN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン、および1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタンなどを挙げることができる。
また、前記Aがハロゲン原子である化合物として例えば、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルメトキシクロロシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルエトキシクロロシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルメトキシクロロシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルエトキシクロロシランなどが挙げられる。
好ましくは、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタンである。
これらの変性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。またこの変性剤は部分縮合物であってもよい。
ここで、部分縮合物とは、変性剤のSiORの一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものをいう。
上記の変性反応においては、使用する重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性を有するものが好ましい。
【0088】
リビング重合鎖末端、例えばP-Li+と一般式(I)f=1のときの変性剤の反応は、下記反応式
【0089】
【化7】

【0090】
で表すことができる。なお、Pは共役ジエン化合物あるいは共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物の(共)重合体鎖を示している。
【0091】
同様に、リビング重合鎖末端、例えばP- Li+と一般式(II)の変性剤の反応は、下記反応式
【0092】
【化8】

【0093】
で表すことができる。
【0094】
上記変性剤による変性反応において、該変性剤の使用量は、好ましくは0.5〜200mmol/kg・共役ジエン系重合体である。同含有量は、さらに好ましくは1〜100mmol/kg・共役ジエン系重合体であり、特に好ましくは2〜50mmol/kg・共役ジエン系重合体である。ここで、共役ジエン系重合体とは、製造時または製造後、添加される老化防止剤などの添加剤を含まないポリマーのみの質量を意味する。変性剤の使用量を上記範囲にすることによって、充填剤の分散性に優れ、加硫後の機械特性、耐摩耗性、低発熱性が改良される。
なお、上記変性剤の添加方法は、特に制限されず、一括して添加する方法、分割して添加する方法、あるいは、連続的に添加する方法などが挙げられるが、一括して添加する方法が好ましい。
また、変性剤は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制して低発熱性を改良しうる点から、重合開始末端あるいは重合終了末端に導入されていることが好ましい。
【0095】
<(b)工程>
本発明における(b)工程は、チタン化合物からなるチタン系縮合促進剤の存在下、前記2官能性ケイ素化合物が関与する縮合反応を行う工程である。
ここで用いる縮合促進剤は、上記変性反応前に添加することもできるが、変性反応後、および縮合反応開始前に添加することが好ましい。変性反応前に添加した場合、活性末端との直接反応が起こり、活性末端にヒドロカルビロキシ基が導入されない場合がある。
また、縮合反応開始後に添加した場合、縮合促進剤が均一に分散せず触媒性能が低下する場合がある。
縮合促進剤の添加時期としては、通常、変性反応開始5分〜5時間後、好ましくは変性反応開始15分〜1時間後である
【0096】
本発明の(b)工程で用いる縮合促進剤は、チタン(Ti)のアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩が好ましく用いられる。
具体的な縮合促進剤としては、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンオリゴマー、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、ビス(オレート)ビス(2−エチルヘキサノエート)チタン、チタンジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタントリブトキシステアレート、チタントリプロポキシステアレート、チタントリプロポキシアセチルアセトネート、チタンジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリプロポキシ(エチルアセトアセテート)、チタンプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタントリブトキシアセチルアセトネート、チタンジブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリブトキシエチルアセトアセテート、チタンブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラキス(アセチルアセトネート)、チタンジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタンオキサイド、ビス(ラウレート)チタンオキサイド、ビス(ナフテート)チタンオキサイド、ビス(ステアレート)チタンオキサイド、ビス(オレエート)チタンオキサイド、ビス(リノレート)チタンオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)チタン、テトラキス(ラウレート)チタン、テトラキス(ナフテート)チタン、テトラキス(ステアレート)チタン、テトラキス(オレエート)チタン、テトラキス(リノレート)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ステアレート)、チタンオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタンテトラ(ラクテート)などが挙げられる。中でも、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)が好ましい。
【0097】
この縮合促進剤の使用量としては、上記化合物のモル数が、反応系内に存在するヒドロカルビロキシ基総量に対するモル比として、0.1〜10となることが好ましく、0.5〜5が特に好ましい。縮合促進剤の使用量を上記範囲にすることによって縮合反応が効率よく進行する。
本発明における縮合反応は、水の存在下で行うことが好ましく、反応に有効な水の量は、反応系内に存在するヒドロカルビロキシ基総量に対するモル比として0.1以上であることが好ましい。
水としては、単体やアルコールなどの溶液、炭化水素溶媒中の分散ミセルなどの形態にて使用してもよい。また、直接変性重合体又はその溶液を水や蒸気に接触させてもよい。さらに、固体表面の吸着水や水和物の水和水などの、反応系内で水を放出し得る化合物が潜在的に含んだ水分も有効に用いることができる。したがって、吸着水をもつ固体や、水和物など、容易に水を放出することができる化合物を、前記縮合促進剤と併用することができる。
【0098】
縮合反応の温度は、20〜180℃が好ましく、30〜160℃がより好ましく、50〜150℃がさらに好ましい。
温度を上記範囲にすることによって、縮合反応を効率よく進行完結することができ、得られる変性共役ジエン系重合体の経時変化によるポリマーの老化反応などによる品質の低下などを抑えることができる。
縮合反応時間は、通常、5分〜10時間、好ましくは15分〜5時間程度である。縮合反応時間を上記範囲にすることによって縮合反応を円滑に完結することができる。
なお、縮合反応時の反応系の圧力は、通常、0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜10MPaである。
縮合反応の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いても、多段連続式反応器などの装置を用いて連続式で行ってもよい。また、この縮合反応と脱溶媒を同時に行っても良い。
【0099】
本発明の変性共役ジエン系重合体の変性剤由来のアミノ基は、保護されていても、脱保護して1級アミノ基に変換されていても、いずれの場合でも好適である。もし脱保護処理を行なう場合には以下の手順を用いることができる。
すなわち、該保護アミノ基上のシリル保護基を加水分解することによって遊離したアミノ基に変換する。これを脱溶媒処理することにより、1級アミノ基を有する乾燥したポリマーが得られる。なお、該縮合処理を含む段階から、脱溶媒して乾燥ポリマーまでのいずれかの段階において必要に応じて変性剤由来の保護1級アミノ基の脱保護処理を行うことができる。
本発明においては、上記の如く縮合処理したのち、さらに(c)脱保護工程を施し、共役ジエン系重合体の活性末端に結合してなる、2官能性ケイ素原子を含む化合物由来の基を加水分解処理し、該基中の保護された1級アミノ基を遊離基のアミノ基に変換することにより、目的の変性共役ジエン系重合体を得ることができる。
【0100】
本発明において得られる変性共役ジエン系重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは10〜150、より好ましくは15〜100である。ムーニー粘度の値を上記範囲にすることによって、混練り作業性および加硫後の機械的特性のすぐれたゴム組成物を得ることができる。
【0101】
本発明のゴム組成物においては、ゴム成分として、前述した(A)変性天然ゴムは一種用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよく、また、(B)変性共役ジエン系重合体は一種用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記(A)変性天然ゴムと(B)変性共役ジエン系重合体の含有割合は、質量比で10:90〜90:10であることが好ましく、20:80〜80:20であることがより好ましい。(A)変性天然ゴムと(B)変性共役ジエン系重合体との合計に占める(A)変性天然ゴムの割合が10質量%未満では、(A)変性天然ゴムを使用する効果が十分に発揮されないおそれがあり、一方、(A)変性天然ゴムと(B)変性共役ジエン系重合体との合計に占める(B)変性共役ジエン系重合体の割合が10質量%未満では、(B)変性共役ジエン系重合体を使用する効果が十分に発揮されないおそれがある。
【0102】
さらに、本発明のゴム組成物におけるゴム成分としては、前記の(A)変性天然ゴムと(B)変性共役ジエン系重合体との合計含有量が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。また、当該(A)成分及び(B)成分と併用される他のゴム成分としては、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレンーα−オレフィンージエン共重合ゴム、アクリロニトリルーブタジエン共重合ゴム、クロロブレンゴム、ハロゲン化ブチルゴムおよびこれらの混合物などが挙げられる。また、その一部が多官能型、例えば四塩化スズ、四塩化珪素のような変性剤を用いることにより分岐構造を有しているものでもよい。
【0103】
[(C)補強性充填材]
本発明のゴム組成物において、(C)成分として用いられる補強性充填材としては、特に制限はなく、ゴム組成物の補強性を向上させることが可能な公知の充填材を使用することができる。該補強性充填材として、具体的には、カーボンブラック、シリカ及び下記一般式(IV):
mM・xSiOy・zH2O ・・・ (IV)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムの中から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり;m、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]で表される無機化合物等を挙げることができる。
【0104】
上記カーボンブラックとしては、特に限定されるものではなく、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが挙げられる。また、上記シリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカ及びコロイダルシリカ等が好適に挙げられる。更に、上記式(IV)の無機化合物としては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23);ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O);ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3];炭酸アルミニウム[Al2(CO33]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等を挙げることができる。これら補強性充填材は、一種単独で用いてもよし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0105】
本発明のゴム組成物において、上記(C)補強性充填材の配合量は特に制限はないが、前述した(A)変性天然ゴム及び(B)変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対して、5〜100質量部の範囲が好ましく、10〜70質量部の範囲が更に好ましい。(C)補強性充填材の配合量が5質量部未満では、充分な補強性が得られない場合があり、100質量部を超えると、加工性が悪化する場合がある。
【0106】
[他の配合剤]
本発明のゴム組成物においては、(A)変性天然ゴムと、(B)変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分及び(C)補強性充填材の他に、ゴム業界で通常使用される配合剤、例えば、軟化剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、シランカップリング剤等を目的に応じて適宜配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。本発明のゴム組成物は、前記ゴム成分に、(C)補強性充填材と、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
【0107】
[タイヤ]
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とする。ここで、本発明のタイヤにおいては、上記ゴム組成物をトレッドゴムに用いることが特に好ましく、上記ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、低燃費性に優れる上、破壊特性及び耐摩耗性が高い。なお、本発明のタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスが挙げられる。
【実施例】
【0108】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
製造例1 変性天然ゴムAの製造
(1)天然ゴムラテックスの変性反応工程
フィールドラテックスをラテックスセパレーター[斎藤遠心工業製]を用いて回転数7500rpmで遠心分離して、乾燥ゴム濃度60質量%の濃縮ラテックスを得た。この濃縮ラテックス1000gを、撹拌機及び温調ジャケットを備えたステンレス製反応容器に投入し、予め10mLの水と90mgの乳化剤[エマルゲン1108,花王株式会社製]をN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート3.0gに加えて乳化したものを990mLの水と共に添加し、これらを窒素置換しながら常温で30分間撹拌した。次に、重合開始剤としてtert−ブチルハイドロパーオキサイド1.2gとテトラエチレンペンタミン1.2gとを加え、40℃で30分間反応させることにより、変性天然ゴムラテックスを得た。
【0109】
(2)凝固及び乾燥工程
上記変性天然ゴムラテックスにギ酸を加えpHを4.7に調整し、変性天然ゴムラテックスを凝固させた。このようにして得られた固形物をクレーパーで5回処理し、シュレッダーに通してクラム化した後、熱風式乾燥機により110℃で210分間乾燥して変性天然ゴムAを得た。このようにして得られた変性天然ゴムAの質量から、単量体として加えたN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートの転化率が100%であることが確認された。また、該変性天然ゴムAを石油エーテルで抽出し、更にアセトンとメタノールの2:1混合溶媒で抽出することによりホモポリマーの分離を試みたが、抽出物を分析したところホモポリマーは検出されず、添加した単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。従って、得られた変性天然ゴムAの極性基含有量は、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.027mmol/gである。
【0110】
製造例2 変性天然ゴムBの製造
単量体としてN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート3.0gの代わりに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.1gを加える以外は、上記製造例1と同様にして変性天然ゴムBを得た。また、変性天然ゴムAと同様にして、変性天然ゴムBを分析したところ、添加した単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。従って、変性天然ゴムBの極性基含有量は、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.027mmol/gである。
【0111】
製造例3 変性天然ゴムCの製造
単量体としてN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート3.0gの代わりに、4−ビニルピリジン1.7gを加える以外は、上記製造例1と同様にして変性天然ゴムCを得た。また、変性天然ゴムAと同様にして、変性天然ゴムCを分析したところ、添加した単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。従って、変性天然ゴムCの極性基含有量は、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.027mmol/gである。
【0112】
製造例4 変性天然ゴムDの製造
フィールドラテックスに水を添加して、乾燥ゴム濃度30質量%のラテックスを得た。このラテックス2000gを、撹拌機及び温調ジャケットを備えたステンレス製反応容器に投入し、予め10mLの水と90mgの乳化剤[エマルゲン1108,花王株式会社製]を2−メルカプトエチルアミン1.2gに加えて乳化したものを添加し、撹拌しながら60℃で8時間反応させることにより、変性天然ゴムラテックスDを得た。その後、製造例1と同様に凝固及び乾燥することにより変性天然ゴムDを得た。また、得られた変性天然ゴムDの極性基含有量を熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析計を用いて分析したところ、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.021mmol/gであった。
【0113】
製造例5 変性天然ゴムEの製造
極性基含有メルカプト化合物として2−メルカプトエチルアミン1.2gの代わりに、2−メルカプトピリジン1.8gを加える以外は、上記製造例4と同様にして変性天然ゴムEを得た。また、得られた変性天然ゴムEの極性基含有量を熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析計を用いて分析したところ、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.022mmol/gであった。
【0114】
製造例6 変性天然ゴムFの製造
上記濃縮ラテックス1000gを、撹拌機及び温調ジャケットを備えたステンレス製反応容器に投入し、予め10mLの水と90mgの乳化剤[エマルゲン1108,花王株式会社製]をN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート3.0gに加えて乳化したものを990mLの水と共に添加し、これらを窒素置換しながら30分間撹拌した。次に、メタセシス触媒としてビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロライド3.0gを加え、40℃で7時間反応させることにより、変性天然ゴムラテックスFを得た。その後、製造例1と同様に凝固及び乾燥することにより変性天然ゴムFを得た。このようにして得られた変性天然ゴムFの質量から、添加したN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートの転化率が84%であることが確認された。また、該変性天然ゴムFを石油エーテルで抽出し、更にアセトンとメタノールの2:1混合溶媒で抽出することにより天然ゴム分子に導入されていないオレフィン同士の反応物の分離を試みたところ、天然ゴム分子に導入されていないオレフィン同士の反応物が仕込みオレフィン量の6%検出された。従って、上記変性天然ゴムFの極性基含有量は、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.021mmol/gである。
【0115】
製造例7 変性天然ゴムGの製造
フィールドラテックスにギ酸を加えpHを4.7に調整し、該ラテックスを凝固させ、更に、得られた固形物をクレーパーで5回処理し、シュレッダーに通してクラム化した。次に、得られた凝固物の乾燥ゴム含有量を求め、乾燥ゴム量換算で600gの凝固物と、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート3.0gと、tert−ブチルハイドロパーオキサイド(t−BHPO)1.2gとを混練機内で室温にて30rpmで2分間練り込み、均一に分散させた。次に、得られた混合物にテトラエチレンペンタミン(TEPA)1.2gを均一に加えながら、神戸製鋼製二軸混練押出機[同方向回転スクリュー径=30mm,L/D=35,ベントホール3ヶ所]を用い、バレル温度120℃、回転数100rpmで機械的せん断力を加えながら押し出すことにより、乾燥した変性天然ゴムGを得た。また、得られた変性天然ゴムGの質量から、単量体として加えたN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートの転化率は、83%であった。更に、該変性天然ゴムGを石油エーテルで抽出し、更にアセトンとメタノールの2:1混合溶媒で抽出することによりホモポリマーの分離を試みたところ、ホモポリマーが仕込みモノマー量の7%検出された。従って、上記変性天然ゴムGの極性基含有量は、天然ゴム原材料中の固形ゴム成分に対して0.021mmol/gである。
【0116】
製造例8 天然ゴムHの製造
上記天然ゴムラテックスを変性反応工程を経ずに、直接、凝固及び乾燥させて天然ゴムHを調製した。
【0117】
<変性剤の合成>
製造例9:N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランの合成
窒素雰囲気下、攪拌機を備えたガラスフラスコ中のジクロロメタン溶媒400ml中にアミノシラン部位として36gの3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(Gelest社製)を加えた後、さらに保護部位として塩化トリメチルシラン(Aldrich社製)48ml、トリエチルアミン53mlを溶液中に加え、17時間室温下で攪拌し、その後反応溶液をエバポレーターにかけることにより溶媒を取り除き、反応混合物を得、さらに得られた反応混合物を665Pa条件下で減圧蒸留することにより、130〜135℃留分としてN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを40g得た。
【0118】
製造例10:1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラ−シクロペンタンの製造
アミノシラン部位として2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラ−シクロペンタン28g、保護部位として塩化トリメチルシラン24mlを用いた以外は、製造例9に準拠して行い、1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラ−シクロペンタンを得た。
【0119】
製造例11:3−(2,2,5,5−テトラメチル(1−アザ−2,5−ジシラ・シクロペンタン)−1−イル)−プロピルメチルジエトキシシランの製造
保護部位として1,2−ビス−(クロロ−ジメチルシリル)−エタン(Gelest社製)を44ml用いた以外は、製造例9に準拠して行い、3−(2,2,5,5−テトラメチル(1−アザ−2,5−ジシラ・シクロペンタン)−1−イル)−プロピルメチルジエトキシシランを得た。
【0120】
製造例12:N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシランの製造
アミノシラン部位として3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン31.5gを用いた以外は、製造例9に準拠して行い、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシランを得た。
【0121】
製造例13:N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルエチルジエトキシシランの製造
アミノシラン部位として3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン38.6gを用いた以外は、製造例9に準拠して行い、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルエチルジエトキシシランを得た。
【0122】
製造例14:N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノブチルメチルジエトキシシランの製造
アミノシラン部位として4−アミノブチルメチルジエトキシシラン38.6gを用いた以外は、製造例9に準拠して行い、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノブチルメチルジエトキシシランを得た。
【0123】
製造例15:N,N−ビス(トリメチルシリル)−p−アミノフェニルメチルジメトキシシランの製造
アミノシラン部位としてp−アミノフェニルメチルジメトキシシラン38.6gを用いた以外は、製造例9に準拠して行い、N,N−ビス(トリメチルシリル)−p−アミノフェニルメチルジメトキシシランを得た。
【0124】
製造例16:N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノウンデシルメチルジエトキシシランの製造
アミノシラン部位として11−アミノウンデシルメチルジエトキシシラン37.1gを用いた以外は、製造例9に準拠して行い、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノウンデシルメチルジエトキシシランを得た。
【0125】
<変性SBRの製造>
製造例17 変性SBR Iの製造
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,750g、テトラヒドロフラン41.3g、スチレン125g、1,3−ブタジエン375gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム215mgを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン10gを追加し、更に5分重合させた。リアクターからポリマー溶液を、メタノール1gを添加したシクロヘキサン溶液30g中に少量サンプリングした後、合成例1で得られたN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1129mgを加えて、変性反応を15分間行った。この後、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン8.11gを加え、更に15分間攪拌した。最後に反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熟ロールによりゴムを乾燥し、変性SBR Iを得た。得られた変性SBR Iの物性を第1表に示す。
【0126】
製造例18 変性SBR Jの製造
製造例17において、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタンをチタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)に変更した以外は、製造例17と同様にして、変性SBR Jを得た。得られた変性SBR Jの物性を第1表に示す。
【0127】
製造例19 変性SBR Kの製造
製造例17において、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタンをテトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタンに変更した以外は、製造例17と同様にして、変性SBR Kを得た。得られた変性SBR Kの物性を第1表に示す。
【0128】
製造例20 変性SBR Lの製造
製造例17において、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを製造例10で得られた1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラ−シクロペンタンに変更した以外は、製造例17と同様にして、変性SBR Lを得た。得られた変性SBR Lの物性を第1表に示す。
【0129】
製造例21 変性SBR Mの製造
製造例17において、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを製造例11で得られた3−(2,2,5,5−テトラメチル(1−アザ−2,5−ジシラ・シクロペンタン)−1−イル)−プロピルメチルジエトキシシランに変更した以外は、製造例17と同様にして、変性SBR Mを得た。得られた変性SBR Mの物性を第1表に示す。
【0130】
製造例22 変性SBR Nの製造
製造例17において、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを製造例12で得られたN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシランに変更した以外は、製造例17と同様にして、変性SBR Nを得た。得られた変性SBR Nの物性を第1表に示す。
【0131】
製造例23 変性SBR Oの製造
製造例17において、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを製造例13で得られたN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルエチルジエトキシシランに変更した以外は、製造例17と同様にして、変性SBR Oを得た。得られた変性SBR Oの物性を第1表に示す。
【0132】
製造例24 変性SBR Pの製造
製造例17において、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを製造例14で得られたN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノブチルメチルジエトキシシランに変更した以外は、製造例17と同様にして、変性SBR Pを得た。得られた変性SBR Pの物性を第1表に示す。
【0133】
製造例25 変性SBR Qの製造
製造例17において、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを製造例15で得られたN,N−ビス(トリメチルシリル)−p−アミノフェニルメチルジメトキシシランに変更した以外は、製造例17と同様にして、変性SBR Qを得た。得られた変性SBR Qの物性を第1表に示す。
【0134】
製造例26 変性SBR Rの製造
製造例17において、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを製造例16で得られたN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノウンデシルメチルジエトキシシランに変更した以外は、製造例17と同様にして、変性SBR Rを得た。得られた変性SBR Rの物性を第1表に示す。
【0135】
【表1】

[注]
1)結合スチレン含量(ポリマー中の質量%)
270MHz1H−NMRによって求めた。
2)共役ジオレフィン部分のビニル含量(ジオレフィン部分全体に対する%)
270MHz1H−NMRによって求めた。
3)ムーニー粘度[ML1+4、100℃]
JIS K6300に従って、Lローター、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃で求めた。
【0136】
<ゴム組成物の調製及び評価>
各例で得られたゴム組成物について、下記の方法でムーニー粘度、引張強さ(Tb)、tanδ及び耐摩耗性を測定し、評価した。
(1)ムーニー粘度
JIS K 6300−1994に準拠し、130℃にてゴム組成物のムーニー粘度[ML1+4、130℃]を測定した。
(2)引張強さ
各ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対し、JIS K 6301−1995に準拠して引張試験を行い、引張強さ(Tb)を測定した。引張強さが大きい程、耐破壊性が良好であることを示す。
(3)tanδ
各ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対し、粘弾性測定装置[レオメトリックス社製]を用い、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzで損失正接(tanδ)を測定した。tanδが小さい程、低ロス性に優れることを示す。
(4)耐摩耗性
ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対し、ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%での摩耗量を測定し、コントロールの摩耗量の逆数を100として指数表示した。指数値の大きいほど、摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れることを示す。
【0137】
実施例1〜60及び比較例1〜10
第2表の配合処方における配合Iに従って、まず第1ステージの各成分を混練りしたのち、これと第2ステージの各成分を混練りすることにより、各ゴム組成物を調製し、その性能を評価した。結果を第3表に示す。
【0138】
【表2】

[注]
*1 東ソー・シリカ社製、商標「ニプシルAQ」
*2 デグッサ社製, 商標Si69, ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド.
*3 N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン.
*4 N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド.
*5 ジフェニルグアニジン.
*6 ジベンゾチアジルジスルフィド.
*7 N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
【0139】
【表3】

【0140】
【表4】

【0141】
【表5】

【0142】
【表6】

【0143】
【表7】

【0144】
【表8】

【0145】
【表9】

【0146】
【表10】

【0147】
【表11】

【0148】
【表12】

【0149】
実施例61〜110及び比較例11〜20
前記第2表の配合処方における配合IIに従って、まず第1ステージの各成分を混練りしたのち、これと、第2ステージの各成分を混練りすることにより、各ゴム組成物を調製し、その性能を評価した。結果を第4表に示す。
【0150】
【表13】

【0151】
【表14】

【0152】
【表15】

【0153】
【表16】

【0154】
【表17】

【0155】
【表18】

【0156】
【表19】

【0157】
【表20】

【0158】
【表21】

【0159】
【表22】

【産業上の利用可能性】
【0160】
本発明のゴム組成物は、従来の変性合成ゴムを用いたゴム組成物に比べて、さらに低発熱性、耐摩耗性及び破壊特性を向上させた組成物であって、低燃費性、耐摩耗性及び破壊特性に優れるタイヤを与えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子中に極性基を有する変性天然ゴムと、(B)変性共役ジエン系重合体と、(C)補強性充填材とを含むゴム組成物であって、
前記(B)変性共役ジエン系重合体が、(a)活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、分子内に1級アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と、1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物を反応させて変性を行なう工程、及び(b)チタン化合物からなるチタン系縮合促進剤の存在下、前記2官能性ケイ素原子を含む化合物が関与する縮合反応を行なう工程を施すことにより得られた重合体であることを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
(A)変性天然ゴムの極性基が、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、アルコキシシリル基及びスズ含有基から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
(A)変性天然ゴムの極性基含有量が、変性天然ゴムのゴム成分に対して、0.001〜0.5mmol/gである請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
(B)変性共役ジエン系重合体が、さらに、(c)共役ジエン系重合体の活性末端に結合してなる、2官能性ケイ素原子を含む化合物由来の基を加水分解処理し、該基中の保護された1級アミノ基を遊離のアミノ基に変換する脱保護工程を施すことにより得られた重合体である請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項5】
(B)変性共役ジエン系重合体において、(a)工程で用いる2官能性ケイ素原子を含む化合物が、一般式(I)
【化1】

(式中、R1、R2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R3〜R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)で表されるケイ素化合物、一般式(II)
【化2】

(式中、R7〜R11は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R12は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。)で表されるケイ素化合物、及び一般式(III)
【化3】

(式中、R1、R2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R3〜R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R13は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)で表されるケイ素化合物のいずれかである請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項6】
一般式(I)におけるAがハロゲン原子又は炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基である請求項5に記載のゴム組成物。
【請求項7】
(B)変性共役ジエン系重合体において、活性末端を有する共役ジエン系重合体が、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、共役ジエン化合物単独、又は共役ジエン化合物と芳香族化ビニル化合物をアニオン重合させて得られたものである請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項8】
共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン中から選ばれる少なくとも一種である請求項7に記載のゴム組成物。
【請求項9】
芳香族ビニル化合物がスチレンである請求項7又は8に記載のゴム組成物。
【請求項10】
芳香族ビニル化合物の重合単位の含有量が共役ジエン系重合体の0〜55質量%であり、該共役ジエン系重合体のビニル結合含有量が、共役ジエンの重合単位の7〜65質量%である請求項7〜9のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項11】
(B)変性共役ジエン系重合体において、(b)工程で用いる縮合促進剤が、チタンのアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩、又はこれらの混合塩の中から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜10のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項12】
(A)変性天然ゴムと(B)変性共役ジエン系重合体との含有割合が、質量比で10:90〜90:10である請求項1〜11のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載のゴム組成物を、タイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とするタイヤ。

【公開番号】特開2009−263479(P2009−263479A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113740(P2008−113740)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】