説明

ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ

【課題】ブタジエン系重合体ゴムにシリカ及びヒドラジド化合物を配合した、耐摩耗性、低燃費性、及びウェットグリップ性に優れたゴム組成物、及びそれを用いたタイヤを提供すること。
【解決手段】本発明のゴム組成物は、ゴム成分として、(A)質量平均分子量が0.6〜170万である溶液重合した変性ブタジエン重合体及び/又は変性スチレン−ブタジエン共重合体からなる変性ブタジエン系重合体ゴムを10質量%以上含み、補強充填剤として、(B)100〜350m/gのBET比表面積で、表面の含水率が0.50〜5.00質量%のシリカをゴム成分100質量部に対して80〜250質量部含み、また、(C)ヒドラジド化合物をゴム成分100質量部に対して0.2〜4質量部を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物及びそれを用いたタイヤに関するものであり、より詳細には、変性ブタジエン系重合体ゴムに補強充填剤としてシリカ及びヒドラジド化合物とを配合した物性特性に優れるゴム組成物及びそれを用いた、低燃費性(RR)に優れたタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速走行で使用される空気入りタイヤのトレッドゴムには、タイヤの湿潤路面上におけるタイヤの制動・駆動性能(ウェットグリップ性能(WET))共に低燃費性(RR)及び耐摩耗性の向上が安全面からも非常に重要な特性となっている。
【0003】
近年、補強充填剤としてタイヤ用ゴム組成物に広く一般的に配合されるカーボンブラックに替え、シリカを配合することによりウェットグリップ性能等を高めている。高速走行主体を目的としたタイヤでは、ゴム成分100質量部に対し、100質量部以上のシリカを配合したゴム組成物等を開示している(例えば特許文献1参照)。
ところで、シリカは、その表面官能基であるシラノール基の水素結合によりシリカ粒子同士が凝集する傾向にある。このため、ゴム中へのシリカ粒子の分散が不十分になり、シリカ粒子同士の相互作用が大きくなるとゴム収縮が生じ、ゴムの加工性が悪化する。そこで、シリカ表面のシラノール基がアルコキシシランと縮合反応することを利用して種々のアルコキシシランが、シリカ表面処理剤あるいはカップリング剤として用いられている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方、高速走行用のタイヤゴムとしての高分子量のブタジエン重合ゴム又はスチレン−ブタジエン共重合ゴムは、力学的特性に優れ、耐破壊特性や耐摩耗性などに優れるゴム組成物を与えることが知られている。また、このような重合ゴムに補強充填剤としてヒドラジド化合物を加えると、耐テアー性、耐亀裂性が向上し、高速走行タイヤに好適となる一方、耐摩耗性やウェットグリップ性能等に影響を与える。また、ヒドラジド化合物の配合によるゴム分子鎖同士の結合により、上述のシリカの相互作用によるゴム収縮等の影響と相まって高速走行タイヤに必要な低燃費性にも影響を与える問題がある。
このため、反応性及び特性に優れたブタジエン系重合体ゴムと特定の性能を備えたシリカ及びヒドラジド化合物等の充填補強剤を組み合わせた耐摩耗性、低燃費性、ウェットグリップ性能に優れているゴム組成物及びそのタイヤの提供が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−204198号公報
【特許文献2】特表2001−505225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、特性を持たせたブタジエン系重合体ゴムに特定のシリカ及びヒドラジド化合物を配合した、耐摩耗性、低燃費性、及びウェットグリップ性に優れたゴム組成物、及びそれを用いたタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ゴム成分として、(A)質量平均分子量が0.6〜170万である溶液重合した変性ブタジエン重合体及び/又は変性スチレン−ブタジエン共重合体からなる変性ブタジエン系重合体ゴムに、補強充填剤として、特定の比表面積で示した、また、その表面の含水率が一定しているシリカ及びヒドラジド化合物を配合することにより、耐摩耗性、低燃費性、及びウェットグリップ性に優れたゴム組成物及びそのタイヤとなることを見出し、本発明の課題を解決したものである。
即ち、本発明のゴム組成物及びタイヤは、以下の構成又は構造を特徴とするものである。
【0008】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分として、(A)質量平均分子量が0.6〜140万である溶液重合した変性ブタジエン重合体及び/又は変性スチレン−ブタジエン共重合体からなる変性ブタジエン系重合体ゴムを10質量%以上含み、補強充填剤として、(B)100〜350m/gのBET比表面積で、表面の含水率が0.50〜5.00質量%のシリカをゴム成分100質量部に対して80〜250質量部含み、また、(C)ヒドラジド化合物をゴム成分100質量部に対して0.2〜4質量部を含むことを特徴とする。
また、前記変性ブタジエン系重合体ゴムに導入される官能基は、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、アミノ基またはハロゲン原子の少なくとも1つであることが好ましい。
また、前記変性ブタジエン系重合体ゴムに、下記式(I)及び(II)で表わされるアミノ基及び環状のアミノ基からなる群から選択された少なくとも1以上の官能基を有する変性ブタジエン系重合体ゴムをゴム成分100質量部中に10質量部以上含むことが好ましい。
(R)N− ・・・(I)(式中、複数のRは、それぞれ異なっても良い総炭素数1〜12の範囲にある、アルキル基、シクロアルキル基及びアラルキル基を示す。)
=N− ・・・(II)(式中、R=はイレン結合を示し、Rは総炭素数3〜16の範囲にある、アルキレン基、ハロゲン、OH、又はNHの置換基を有するアルキレン基、アルキルオキシアルキレン基、又はアルキルアミノアルキレン基を示す。)
更に、前記ブタジエン系重合体ゴムは、活性部位にヒドロカルビロキシシラン化合物を反応させて得られる変性重合体ゴムであることが好ましい。その活性部位は炭化水素溶媒中でアルカリ金属系又はアルカリ土類金属系の開始剤を用いてアニオン重合させて得られる金属の活性部位である。
補強充填剤として更に、シランカップリング剤をシリカ量に対して、1〜20質量%含むことが好ましい。
本発明はまた、上記記載のゴム組成物を用いたタイヤである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るゴム組成物によれば、特性及び反応性の高い変性ブタジエン系重合体ゴムに、比較的比表面積が大きく、その表面、表層の水分量が適宜にコントロールされたシリカを補強充填剤としたことより、表面の適宜なOH基の存在でシリカ同士の相互作用が抑えられ、シリカはゴム成分中での分散性を十分に発揮し、且つ変性ブタジエン系重合体ゴムとの結合も十分に生じ、その一方で、ゴム分子同士の結合を良くして耐テアーを発揮するヒドラジド化合物を一緒に加えてもゴム組成物の耐摩耗性を低下させることなく高め、その結果、耐摩耗性、低燃費性(RR)及びウエットグリップ(WET)の優れたタイヤを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分として、(A)質量平均分子量が0.6〜170万である溶液重合した変性ブタジエン重合体及び/又は変性スチレン−ブタジエン共重合体からなる変性ブタジエン系重合体ゴムを10質量%以上含み、補強充填剤として、(B)100〜350m/gのBET比表面積で、表面の含水率が0.50〜5.00質量%のシリカをゴム成分100質量部に対して80〜250質量部含み、また、(C)ヒドラジド化合物をゴム成分100質量部に対して0.2〜4質量部を含むものである。
【0011】
<(A)変性ブタジエン系重合体ゴム>
本発明に用いる(A)変性ブタジエン系重合体ゴムは、ブタジエン系モノマーを単独で、又はブタジエン系モノマーとスチレンモノマーと共重合して得られるブタジエン重合体及び/又はスチレン−ブタジエン共重合体の変性物であり、その製造方法に溶液重合法が用いられる。溶液重合法では、溶媒中のモノマー濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
ブタジエン系モノマーとスチレンモノマーを用いて共重合を行う場合、仕込み単量体混合物中のスチレンモノマーの含量は0〜55質量%の範囲、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは6〜45質量%の範囲である。重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
ブタジエン系モノマーとしては、例えば1,3−ブタジエン;イソプレン;1,3−ペンタジエン;2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン;2−フェニル−1,3−ブタジエン;1、3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。モノマーの入手の容易さなどの実用面、及びアニオン重合特性においてリビング性などの点で優れることなどから、1,3−ブタジエンの使用が好適である。
溶液重合法においては、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物、特にリチウム化合物を重合開始剤とし、ブタジエン系モノマー単独又はこれらとスチレンモノマーをアニオン重合させることにより、目的の重合体を製造することができる。
ブタジエン系重合体ゴムの変性は、(1)重合開始剤を用いてモノマーを重合させ、重合活性部位を有する重合体を生成させた後、重合活性部位に官能基を導入する方法や、(2)官能基を有する重合開始剤を用いてモノマーを重合させる方法によって行うことができる。
【0012】
例えば、前者の変性方法では、ハロゲン含有モノマーを混在させ、ポリマー中のハロゲン原子を有機金属化合物によって活性化することも有効である。例えば、イソブチレン単位、パラメチルスチレン単位及びパラブロモメチルスチレン単位を含む共重合体の臭素部分をリチオ化して活性部位とすることも有効である。活性部位は、重合体分子中に存在すればよく、限定されないが、重合体がアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を重合開始剤としたアニオン重合によるものである場合、一般に活性部位は分子の末端に来るもので、このように活性末端を有する重合体が好ましい。
特に、前記活性部位を分子内に有するブタジエン系重合体ゴムでは、官能基を有しているヒドロカルビロキシシラン化合物を反応させて官能基を導入した変性重合体であってもよい。また周期律表の4族、12族、13族、14族及び15族の少なくとも一つに属する元素の化合物からなる縮合促進剤の存在下、前記官能基部位に縮合反応を行なって得られる変性重合体でもよい。
また、後者の変性方法としては、窒素含有官能基を有した重合開始剤、例えば、リチウムアミド化合物を使用して直接官能基を導入することができる。
これにより、本発明の変性ブタジエン系重合体ゴムには、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、アミノ基、水酸基またはハロゲン原子等の官能基が導入される。
【0013】
上記の重合開始剤のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウムおよびリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。これらの重合開始剤の使用量は、好ましくはモノマー100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲である。
【0014】
ヒドロカルビルリチウムとしては、例えばメチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロへキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物などが挙げられるが、これらの中で、特にn−ブチルリチウムが好適である。
【0015】
リチウムアミド化合物としては、例えばリチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミドなどが挙げられる。これらの中で、カーボンブラックに対する相互作用効果及び重合開始能の点から、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミドなどの環状リチウムアミドが好ましく、特にリチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが好適である。
【0016】
前記変性ブタジエン系重合体ゴムに、下記式(I)及び(II)で表わされるアミノ基及び環状のアミノ基からなる群から選択された少なくとも1以上の官能基を有する変性ブタジエン系重合体ゴムを変性ブタジエン系重合体ゴム全体の100質量部に対して10質量部以上含むことが好ましい。
(R)N− ・・・(I)、式中、複数のRは、それぞれ異なっても良い総炭素数1〜12の範囲にある、アルキル基、シクロアルキル基及びアラルキル基を示す。
=N− ・・・(II)、式中、R=はイレン結合を示し、Rは総炭素数3〜16の範囲にある、アルキレン基、ハロゲン、OH、又はNHの置換基を有するアルキレン基、アルキルオキシアルキレン基、又はアルキルアミノアルキレン基を示す。
【0017】
上記リチウムアミド化合物として、式:Li−AM[式中、AMは、上記式(I)で表される置換アミノ基又は式(II)で表される環状アミノ基である]で表されるリチウムアミド化合物を用いることで、式(I)で表される置換アミノ基及び式(II)で表される環状アミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の窒素含有官能基が導入された変性ブタジエン系重合体ゴムが得られる。例えば、リチウムヘキサメチレンイミドを用いた場合、少なくとも一つのヘキサメチレンイミノ基が導入された変性共役ジエン系重合体が得られる。
【0018】
式(I)において、Rは、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、3-フェニル-1-プロピル基及びイソブチル基等が好適に挙げられる。なお、Rは、それぞれ同じでも異なってもよい。一方、式(II)において、Rは、3〜16個のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN-アルキルアミノ-アルキレン基である。ここで、置換アルキレン基には、一置換から八置換のアルキレン基が含まれ、置換基としては、炭素数1〜12の鎖状若しくは分枝状アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基が挙げられる。また、Rとして、具体的には、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オキシジエチレン基、N-アルキルアザジエチレン基、ドデカメチレン基及びヘキサデカメチレン基等が好ましい。
前記リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によってブタジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、ブタジエン系モノマー、又はそれらとスチレンモノマーを、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的の共役ジエン系重合体が得られる。
【0019】
前記炭化水素系溶剤としては、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−へキセン、2−へキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
なお、重合反応の反応温度は、0〜150℃の範囲が好ましく、20〜130℃の範囲が更に好ましい。
【0020】
前記で得られる変性ブタジエン重合体ゴム及び/又は変性スチレン−ブタジエン重合体ゴムからなる変性ブタジエン系重合体ゴムは、質量平均分子量が0.6〜170万のものが用いられる。質量平均分子量が範囲内にあれば、耐摩耗性に優れる空気入りタイヤが得ら、そのゴム組成物の加工性も良い。好ましくは、0.6〜170万、より好ましくは、10〜120万の範囲のものである。尚、変性スチレン−ブタジエン重合体ゴムにあっては、その質量平均分子量が170万〜100万の範囲が好ましく、変性ブタジエン重合体ゴムにあっては、その質量平均分子量が10万〜100万の範囲が好ましい。
なお、前記質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定されたポリスチレン換算の値である。
【0021】
重合体の分子量を調整する製造方法としては、例えば有機溶媒中において、上記有機リチウムなどの触媒の存在下に重合して得られた重合体ゴムにカップリング剤を反応させて分子量を増大させることにより、所望の分子量をもつブタジエン系重合体ゴムを製造する方法を採用することができる。
カップリング剤としては、例えば四塩化スズなどのポリハロゲン化スズ化合物、テトラクロロシランなどのポリハロゲン化ケイ素化合物、1,3,5−トリ(ブロモメチル)ベンゼンなどのポリハロゲン化置換炭化水素化合物、アジピン酸ジエチルなどのポリカルボン酸エステル類、エポキシ化液体ポリブタジエンやエポキシ化植物油などのポリエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリイミン化合物、ポリアルデヒド類、ポリケトン類、ポリカルボン酸無水物、ジグリシジルアミノ基含有多官能化合物などが用いられる。
このように溶液重合法により製造することにより、質量平均分子量をコントロールできる他、ブタジエン部のミクロ構造すなわち、シス、トランス及びビニル結合量やスチレン含量を任意にコントロールすることができ、ゴム組成物の要求特性に合った、所定分子量の変性ブタジエン系重合体ゴムを得ることができる。
【0022】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分全量に対して、上記(A)変性ブタジエン系重合体ゴムを10質量%以上、特に、60質量%以上含むことが好ましい。上記(A)変性ブタジエン系重合体ゴムを含むことによって、後述するシリカ及びヒドラジド化合物との効果が十分に高まる。
ゴム成分としては、上記(A)変性ブタジエン系重合体ゴム以外に、天然ゴム、通常のポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、合成イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴムなどを含めることができる。
(A)変性ブタジエン系重合体ゴム中の変性スチレン−ブタジエン重合体ゴムは、ゴム成分100質量部中に10質量部以上を含むことが好ましく、特に、30〜90質量部が好ましい。
また、(A)変性ブタジエン系重合体ゴム中の変性ブタジエン重合体ゴムは、ゴム成分100質量部中に、0〜30質量部の範囲で含むことが好ましく、特に5〜25質量部の範囲で含むことが好ましい。また、変性ブタジエン重合体ゴムが上記(I)及び(II)のアミノ基又は環状のアミノ基を有する変性ゴムにあっては、ゴム成分100質量部中に10〜30質量部を含むことが好ましく、特に、10〜20質量部が好ましい。
【0023】
<(B)シリカ>
本発明に使用するシリカは、100〜350m/gのBET比表面積で、表面の含水率が0.50〜5.00質量%のシリカである。
シリカは、本発明の目的、その他の補強性、加工性、ウェットグリップ性、耐摩耗性のバランス等の面から、BET法による窒素吸着比表面積(NSA)が100〜350m/gである。好ましくは、150〜350m/gであり、特に200〜300m/gであることがより好ましい。
また、シリカ表面の含水率が0.50〜5質量%であり、好ましくは、0.6〜4.0質量%であり、特に1.0〜3.0質量%であることがより好ましい。このようなシリカは、比較的比表面積が大きいためゴム成分中での分散性が良い。その一方で、シリカ同士の相互作用は、表面の水分量が抑制されて、大きくならないので比較的大きな比表面積でも、加硫ゴムにおいてゴム収縮を生じさせないし、ゴムの加工性を悪化させることがない。また表面の水分量がある程度保持されるのでゴム分子と親和性、結合性があり、ヒドラジド化合物が共存してもゴム組成物の耐摩耗性を向上させ、タイヤにおける低燃費性も向上させることができる。
好適なシリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)製のAQ、VN3、LP、NA等、デグッサ社製のウルトラジルVN3等が挙げられる。
シリカ表面の含水率は、乾燥工程によって調整することができる。シリカ表面の含水率の測定は、シリカを加熱し、減量分にて算出する。
シリカは、ゴム成分100質量部に対して80〜250質量部含む。好ましくは、70〜200質量部であり、特に50〜100質量部であることがより好ましい。
【0024】
<(C)ヒドラジド化合物>
本発明に用いる(C)ヒドラジド化合物は、ゴム成分の主鎖等の部分と架橋することによって、ゴム組成物の耐テアー性を大幅に向上させることができる。ここで、ヒドラジド化合物の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.2〜4質量部を含む。好ましくは、0.5〜2質量部である。この範囲にあれば、十分な耐テアー性と低発熱性が得られる。
【0025】
また、上記ヒドラジド化合物としては、ナフトエ酸ヒドラジド類及びサリチル酸ヒドラジド類が好ましく、具体的には、1-ヒドロキシ-N'-(1-メチルエチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、1-ヒドロキシ-N'-(1-メチルプロピリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、1-ヒドロキシ-N'-(1-メチルブチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、1-ヒドロキシ-N'-(1,3-ジメチルブチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、1-ヒドロキシ-N'-(2,6-ジメチル-4-ヘプチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、3-ヒドロキシ-N'-(1-メチルエチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、3-ヒドロキシ-N'-(1-メチルプロピリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、3-ヒドロキシ-N'-(1-メチルブチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、3-ヒドロキシ-N'-(1,3-ジメチルブチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、3-ヒドロキシ-N'-(2,6-ジメチル-4-ヘプチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、3-ヒドロキシ-N'-(1,2-ジフェニルエチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド等のナフトエ酸ヒドラジド類;N'-(1-メチルエチリデン)-サリチル酸ヒドラジド、N'-(1-メチルプロピリデン)-サリチル酸ヒドラジド、N'-(1-メチルブチリデン)-サリチル酸ヒドラジド、N'-(1,3-ジメチルブチリデン)-サリチル酸ヒドラジド、N'-(2,6-ジメチル-4-ヘプチリデン)-サリチル酸ヒドラジド等のサリチル酸ヒドラジド類が好適に挙げられる。なお、これらヒドラジド化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
本発明のゴム組成物では、上記補強充填剤と共にシランカップリング剤及びカーボンブラックを補強用充填剤として用いることが好ましい。
【0027】
カーボンブラックを配合することによって、ゴム組成物の耐摩耗性を向上することができる。カーボンブラックの使用量は、好ましくはゴム成分100質量部に対して80質量部以下で、カーボンブラックとシリカを合わせた総配合量が120質量部以下であることが好ましい。総配合量をゴム成分100質量部に対して120質量部以下とすることで、低発熱性及び耐摩耗性を十分に向上させる。
【0028】
また、シランカップリング剤はシリカ表面に残存するシラノール基とゴム成分ポリマーと反応して、シリカとゴムとの結合橋として作用し補強相を形成する。
本発明で用いられるシランカップリング剤は、一般的なものでも良く、シランカップリング剤の使用量は、カップリング剤としての効果およびゲル化防止などの点からシリカ量に対して、1〜20質量%が好ましく、特に5〜15質量%の範囲が好ましい。
具体的なシランカップリング剤としては、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリロイルモノスルフィド等が挙げられる。
これらの中で補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドおよび3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが好適である。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0029】
本発明のゴム組成物には、ゴム成分、シリカ、ヒドラジド化合物、カーボンブラック及びシランカップリング剤以外に、その他成分、例えば、特定構造のシリカ以外のシリカ、無機充填材、加硫剤、加硫促進剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤等のゴム業界で通常使用される配合剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。また、上記ゴム組成物は、ゴム成分と、特定構造のシリカとヒドラジド化合物と、適宜選択した各種配合剤とを配合して、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー、インテンシブミキサー等を用いて混練り後、熱入れ、押出等することにより調製することができる。
【0030】
<タイヤ>
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに適用したことを特徴とする。ここで、本発明のタイヤにおいては、本発明のゴム組成物をトレッドに用いることが特に好ましく、上記ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、耐摩耗性に優れると共に、ウエットグリップ性、低燃費性に優れる。なお、本発明のタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスが挙げられる。本発明のゴム組成物をトレッドに用いる場合は、例えばトレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
【実施例】
【0031】
次に、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、ゴム組成物の加硫ゴムの耐摩耗性、低燃費性及びウェットグリップ性(WET)を、下記の方法に従って評価した。
(1)加硫ゴムの耐摩耗性
JIS K 6264−1:2005に準拠し、ランボーン型摩耗試験機を用い、室温にてスリップ率60%の摩耗量を測定した。結果は、各例の摩耗量の逆数を、比較例1において得られた摩耗量の逆数の値を100として指数化した。数値が大きい程、耐摩耗性が優れることを示す。
(2)RR(低燃費性)
低燃費性は、外径1708mmのドラム上に内圧196kPaに調整した供試タイヤを設置し、JATMAで定める最大負荷能力を負荷させた後、80km/hで30分間予備走行させて空気圧を再調整し、200km/hの速度までドラム回転速度を上昇させた後、ドラムを惰行させ、185km/hから20km/hまでドラム回転速度が低下するまでの慣性モーメントから次式で算出したものである。即ち、タイヤの転がり抵抗=ds/dt(ID/RD+It/Rt)−ドラム単体の抵抗。なお、式中IDはドラムの慣性モーメント、Itはタイヤの慣性モーメント、RDはドラム半径、Rtはタイヤ半径である。そして、上式にて求めた50km/hのときの転がり抵抗を代表値として求め、比較例1のタイヤを100として指数表示したものである。ここで、転がり抵抗の値が小さい方が指数として大きくなるようにしたので、指数は大きい値であるほど低燃費性が良好であることを示している。なお、環境は24±2℃にコントロールされた室内で測定している。
(3)ウェットグリップ性
ブリティシュ・ポータブル・スキッドテスターを用いて、湿潤コンクリート路面に対する加硫ゴム試験片の抵抗値を測定した。比較例1を100とした指数表示で、数値が大きいものほど抵抗値が大きくウェットグリップ性がよいことを示す。
【0032】
実施例1〜3及び比較例1〜3
第1表に示す配合組成の9種類のゴム組成物をバンバリーミキサーを用いて調製した。各ゴム組成物について、加硫温度145℃、加硫時間45分間の条件で加硫ゴムサンプルを作製し、耐摩耗性を評価した。その結果を第1表に示す。
【0033】
<変性ブタジエン重合体ゴム(変性BR)の製造例>
乾燥し、窒素置換した約900mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエン50g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.0057mmol、及びヘキサメチレンイミン0.513mmolを加え、更にn−ブチルリチウム(BuLi)0.57mmolを加えた後、撹拌装置を具えた50℃の温水浴中で4.5時間重合を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。次に、この重合反応系に、変性剤(カップリング剤)として四塩化スズ0.100mmolを速やかに加え、更に50℃で30分間攪拌して変性反応を行った。その後、重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して変性ポリブタジエンゴムを得た。得られたBRは、ブタジエン部分のビニル結合量が14%で、ガラス転移温度(Tg)が−95℃で、カップリング効率が65%であった。質量平均分子量は、東ソー株式会社製HLC8020(カラムGMHX×2)を用いてGPC分析により測定し、220、000であった。
なお、得られた変性BRについて、H−NMRスペクトルの積分比からブタジエン部分のビニル結合量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布曲線の全体の面積に対する最も高分子量側のピーク面積の割合からカップリング率を、DSCの曲線の変曲点からガラス転移温度を求めた。
【0034】
<変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(変性SBR)の製造例>
40Lのオートクレーブにシクロヘキサン16L、1,3−ブタジエン2.9kg、スチレン1.1kgを仕込み、テトラヒドロフラン200g添加後、重合温度を70℃に調節し、テトラメチレン−1,4−ジリチウム24mmolを添加して重合を行なった。重合終了後、ジメチルジクロロシラン24mmolでカップリングしてポリマーを得、その後ジ−tert−ブチル−p−クレゾールをポリマー100質量部に対して0.5質量部、伸展油(アロマオイル)をポリマー100質量部に対して60.0質量部加え、乾燥して溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを得た。
得られた溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴムの質量平均分子量は、東ソー株式会社製HLC8020(カラムGMHX×2)を用いてGPC分析により測定し、1、500、000であった。
【0035】
<シリカA>
東ソー_社製(商標名:AQ)シリカ(BET法による窒素吸着比表面積(NSA)が220m/gで、シリカの表面の水分率が3.0質量%である。)
<シリカB>
攪拌機を備えた容量180リットルのジャケット付ステンレス製反応槽に、水93Lとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO160g/L、SiO/NaOモル比3.3)0.6Lを入れ96℃に加熱した。得られた溶液中のNaO濃度は0.005mol/Lであった。
この溶液の温度を96℃に維持しながら、上記と同じのケイ酸ナトリウム水溶液を540ml/分、硫酸(18mol/L)を24ml/分の流量で同時に滴下した。流量を調整しながら、反応溶液中のNaO濃度を0.01mol/L以下の範囲に維持して中和反応を行なった。反応途中から白濁をはじめ、47分目に粘度が上昇してゲル状溶液となった。さらに添加を続けて90分で反応を停止した。反応停止後、反応液温度を96℃に30分間維持した。生じた溶液中のシリカ濃度は55g/Lであった。引き続いて、上記濃度の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加してケイ酸スラリーを得た。得られたケイ酸スラリーをフィルタープレスで濾過、水洗を行なって湿潤ケーキを得た。次いで、湿潤ケーキを乳化装置を用いてスラリーとして、噴霧式乾燥機で乾燥して湿式法シリカBを得た。得られたシリカBは、BET法による窒素吸着比表面積(N2SA)が280m/gで、シリカの表面の水分率が3.0質量%である。
【0036】
<ヒドラジド化合物>
大塚化学(株)製,BMH(ナフトエ酸ヒドラジド),N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-ヒドロキシ-2-ナフトヒドラジド.
【0037】
【表1】

【0038】
[注]
*1.前記製造例にて得られたブタジエン重合体ゴム
*2.前記製造例にて得られた高分子量スチレン−ブタジエン共重合体ゴム
*3.旭カーボン(株)製 N110
*4.前記したシリカA
*5.前記したシリカB
*6.前記したヒドラジド化合物
*7.デグサ社製、商品名「Si69」
*8.N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン:大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
*9.ジフェニルグアニジン:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」
【0039】
表1から、以下に示すことが分かる。
実施例1は、本発明に係わるシリカB及びヒドラジド化合物を含むことにより、比較例1(コントロール)の従来のシリカAと比較して、耐摩耗性及びRRが優れ、ウェットグリップ性も改善する。
比較例2はシリカBのみでは、シリカBの悪い効果がRR性能に出って低下するが、実施例2は比較例2に対してヒドラジド化合物を含むことにより、RRがシリカBの影響を受けないで向上する。比較例3はヒドラジド化合物のみで、通常のシリカAを使用するとヒドラジド化合物による耐摩耗性及びWET性能に影響がでる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のゴム組成物は、変性ブタジエン重合体及び/又は変性スチレン−ブタジエン共重合体からなる変性ブタジエン系重合体ゴムと特定の性能のシリカとヒドラジド化合物とを組み合わせることにより、耐摩耗性及びウェットグリップ性能が良好で、低燃費性のある空気入りタイヤを与えることができる産業上の利用性の高いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分として、(A)質量平均分子量が0.6〜170万である溶液重合した変性ブタジエン重合体及び/又は変性スチレン−ブタジエン共重合体からなる変性ブタジエン系重合体ゴムを10質量%以上含み、
補強充填剤として、(B)100〜350m/gのBET比表面積で、表面の含水率が0.50〜5.00質量%のシリカをゴム成分100質量部に対して80〜250質量部含み、また、(C)ヒドラジド化合物をゴム成分100質量部に対して0.2〜4質量部を含むことを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
前記変性重合体ゴムに導入される官能基がヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、アミノ基またはハロゲン原子の少なくとも1つである請求項1記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記変性ブタジエン系重合体ゴムに、下記式(I)及び(II)で表わされるアミノ基及び環状のアミノ基からなる群から選択された少なくとも1以上の官能基を有する変性ブタジエン系重合体ゴムをゴム成分100質量部中に10質量部以上含む請求項1又は2記載のゴム組成物。
(R)N− ・・・(I)(式中、複数のRは、それぞれ異なっても良い総炭素数1〜12の範囲にある、アルキル基、シクロアルキル基及びアラルキル基を示す。)
=N− ・・・(II)(式中、R=はイレン結合を示し、Rは総炭素数3〜16の範囲にある、アルキレン基、ハロゲン、OH、又はNHの置換基を有するアルキレン基、アルキルオキシアルキレン基、又はアルキルアミノアルキレン基を示す。)
【請求項4】
前記ブタジエン系重合体ゴムは、活性部位にヒドロカルビロキシシラン化合物を反応させて得られる変性重合体ゴムであって、該活性部位が炭化水素溶媒中でアルカリ金属系又はアルカリ土類金属系の開始剤を用いてアニオン重合させて得られる金属の活性部位である請求項1〜3の何れかの項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
補強充填剤として更に、シリカ量に対して、シランカップリング剤を1〜20質量%を含む請求項1〜4の何れかの項に記載のゴム組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの項に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。

【公開番号】特開2013−82788(P2013−82788A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222688(P2011−222688)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】