説明

ゴム組成物及び空気入りタイヤ

【課題】低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性をバランス良く改善できるゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤの提供。
【解決手段】ゴム成分、シリカ及び特定のアミド化合物を含有し、上記ゴム成分100質量%のうち、共役ジエンに基づく構成単位と下式(I)で表される構成単位とを有し、下式(II)で表される化合物によって重合体の少なくとも一端が変性されてなる共役ジエン系重合体の含有量が5質量%以上であり、上記ゴム成分100質量部に対する上記シリカの含有量が5〜150質量部であるゴム組成物。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物及びそれを用いて作製した空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への関心の高まりから、自動車に対して低燃費化の要求が強くなっており、自動車用タイヤに用いるゴム組成物に対しても、低燃費性に優れることが求められている。
【0003】
低燃費性を改善する方法として、充填剤を減量し、ゴム組成物の発熱を抑制する方法が知られている。しかしながら、充填剤を減量すると、ゴム組成物の硬度が低下して操縦安定性が悪化するおそれがあり、また、耐摩耗性やウェットグリップ性能が悪化するおそれもある。したがって、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性をバランス良く改善する方法が求められている。
【0004】
低燃費性を改善する方法として、例えば、特許文献1では、アミノ基及びアルコキシ基を含有する有機ケイ素化合物で変性されたジエン系ゴム(変性ゴム)を用いる方法が提案されている。しかし、変性ゴムを使用した場合、ムーニー粘度が高くなり過ぎて、加工性が低下する場合がある。オイルを増量することで加工性の改善は可能であるが、オイルを増量するとタイヤが軟化するため、操縦安定性が悪化する傾向がある。また、自動車タイヤ用のゴム組成物に要求される性能としては、ウェットグリップ性能や耐摩耗性も挙げられるが、これらの性能は一般的に低燃費性と背反する関係にある。そのため、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性を高次元でバランス良く改善する方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−344955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性をバランス良く改善できるゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ゴム成分、シリカ及び下式(1)で表される化合物を含有し、上記ゴム成分100質量%のうち、共役ジエンに基づく構成単位と下式(I)で表される構成単位とを有し、下式(II)で表される化合物によって重合体の少なくとも一端が変性されてなる共役ジエン系重合体の含有量が5質量%以上であり、上記ゴム成分100質量部に対する上記シリカの含有量が5〜150質量部であるゴム組成物に関する。
【化1】

[式中、X、X及びXは、それぞれ独立に、下式(Ia)で表される基、水酸基、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基を表し、X、X及びXの少なくとも1つが、下式(Ia)で表される基又は水酸基である。]
【化2】

[式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基、シリル基又は置換シリル基を表し、R及びRは結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよい。]
【化3】

[式中、nは1〜10の整数を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜4のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜4のヒドロカルビルオキシ基を表し、R、R及びRの少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、Aは窒素原子を有する官能基を表す。]
【化4】

[式中、R11は、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は水酸基を表す。R12及びR13は、同一若しくは異なって、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は下式(2)で表される基を表し、該アルキル基、該アルケニル基、該アルキニル基、該アリール基が有する水素原子が水酸基又はカルボキシル基で置換されていてもよい。R11とR12、R11とR13、又はR12とR13とで環構造を形成してもよい。pは、0〜8の整数を表す。]
【化5】

[式中、R14は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基を表す。R15は、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は水酸基を表す。qは、0〜10の整数を表す。]
【0008】
式(Ia)のR及びRが炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基であることが好ましい。
【0009】
式(I)のX、X及びXの2つが式(Ia)で表される基又は水酸基であることが好ましい。
【0010】
式(II)のAが下式(IIa)で表される基であることが好ましい。
【化6】

[式中、R及びRは、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜6の基を表し、R及びRは結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよく、R及びRは窒素に二重結合で結合する同一の基であってもよい。]
【0011】
共役ジエン系重合体のビニル結合量が、共役ジエンに基づく構成単位の含有量を100モル%として、10モル%以上80モル%以下であることが好ましい。
【0012】
上記ゴム組成物は、天然ゴム及び/又はブタジエンゴムを含有することが好ましい。
【0013】
シリカのチッ素吸着比表面積が40〜400m/gであることが好ましい。
【0014】
シリカ100質量部に対する式(1)で表される化合物の含有量が0.1〜20質量部であることが好ましい。
【0015】
上記ゴム組成物は、メルカプト基を有するシランカップリング剤を含有することが好ましい。
【0016】
メルカプト基を有するシランカップリング剤が、下式(3)で表される化合物、及び/又は下式(4)で示される結合単位Aと下式(5)で示される結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合した化合物であることが好ましい。
【化7】

[式中、R101は−O−(R111−O)−R112(z個のR111は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。R112は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。zは1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R102及びR103は、同一若しくは異なって、R101と同一の基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基又は−O−R113(R113は水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。)で表される基を表す。R104は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基を表す。]
【化8】

【化9】

[式中、x、yはそれぞれ1以上の整数である。R201は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基若しくはアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基若しくはアルキニレン基、又は該アルキル基若しくは該アルケニル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。R202は水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基若しくはアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基若しくはアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基若しくはアルキニル基を示す。R201とR202とで環構造を形成してもよい。]
【0017】
上記ゴム組成物は、トレッド用ゴム組成物として用いられることが好ましい。
【0018】
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、特定の共役ジエン系重合体と、シリカと、上記式(1)で表される化合物とを配合したゴム組成物であるので、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のゴム組成物は、共役ジエンに基づく構成単位及び下式(I)で表される構成単位を有し、下式(II)で表される化合物によって重合体の少なくとも一端が変性されてなる共役ジエン系重合体と、シリカと、上記式(1)で表される化合物とを含む。
【化10】

[式中、X、X及びXは、それぞれ独立に、下式(Ia)で表される基、水酸基、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基を表し、X、X及びXの少なくとも1つが、下式(Ia)で表される基又は水酸基である。]
【化11】

[式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基、シリル基又は置換シリル基を表し、R及びRは結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよい。]
【化12】

[式中、nは1〜10の整数を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜4のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜4のヒドロカルビルオキシ基を表し、R、R及びRの少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、Aは窒素原子を有する官能基を表す。]
【0021】
上記共役ジエン系重合体は、主鎖及び末端に変性基を有しており、シリカとの相互作用が強いため、シリカを良好に分散させ、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性を改善できるが、その一方で、変性基を有しないゴムと比較して、加工性が劣る傾向がある。これに対し、本発明では、上記共役ジエン系重合体及びシリカとともに、上記式(1)で表される化合物を併用することにより、優れた低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性を確保しながら、良好な加工性も得られ、更に、低燃費性などを相乗的に改善することができる。
【0022】
共役ジエンに基づく構成単位の共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどをあげることができ、これらは1種でもよく、2種以上でもよい。入手容易性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0023】
式(I)で表される構成単位の式(I)のX、X及びXは、それぞれ独立に、式(Ia)で表される基、水酸基、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基を表し、X、X及びXの少なくとも1つは、式(Ia)で表される基又は水酸基である。
【0024】
式(Ia)のR及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基、シリル基又は置換シリル基を表し、R及びRは結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよい。
【0025】
本明細書では、ヒドロカルビル基は炭化水素残基を表す。ここで、炭化水素残基とは、炭化水素から水素を除いた1価の基を表す。置換ヒドロカルビル基は、炭化水素残基の1つ以上の水素原子が置換基で置換されている基を表す。ヒドロカルビルオキシ基は、ヒドロキシル基の水素原子がヒドロカルビル基で置換されている基を表し、置換ヒドロカルビルオキシ基は、ヒドロカルビルオキシ基の1つ以上の水素原子が置換基で置換されている基を表す。また、置換シリル基は、シリル基の1つ以上の水素原子が置換基で置換されている基を表す。
【0026】
及びRの炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などをあげることができる。
【0027】
及びRの炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基、酸素原子を有する基及びケイ素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができ、ケイ素原子を有する基を置換基として有する基としては、トリメチルシリルメチル基などのトリアルキルシリルアルキル基などをあげることができる。
【0028】
及びRの置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基などをあげることができる。
【0029】
及びRが結合した基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜12の2価の基があげられる。例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシジアルキレン基;−CHCH−NH−CH−で表される基、−CHCH−N=CH−で表される基などの含窒素基などをあげることができる。
【0030】
及びRが結合した基としては、含窒素基が好ましく、−CHCH−NH−CH−で表される基、−CHCH−N=CH−で表される基がより好ましい。
【0031】
及びRのヒドロカルビル基としては、アルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が更に好ましく、エチル基、n−ブチル基が特に好ましい。R及びRの置換ヒドロカルビル基としては、アルコキシアルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基がより好ましい。R及びRの置換シリル基としては、トリアルキルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基がより好ましい。
【0032】
及びRとしては、好ましくは、アルキル基、アルコキシアルキル基、置換シリル基又はR及びRが結合した含窒素基であり、より好ましくは、アルキル基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、より更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基である。
【0033】
式(Ia)で表される基としては、非環状アミノ基、環状アミノ基をあげることができる。
【0034】
該非環状アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、ジ(ネオペンチル)アミノ基、エチルメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジ(メトキシメチル)アミノ基、ジ(メトキシエチル)アミノ基、ジ(エトキシメチル)アミノ基、ジ(エトキシエチル)アミノ基などのジ(アルコキシアルキル)アミノ基;ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ基などのジ(トリアルキルシリル)アミノ基などをあげることができる。
【0035】
該環状アミノ基としては、1−ピロリジニル基、1−ピペリジノ基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−ヘプタメチレンイミノ基、1−オクタメチレンイミノ基、1−デカメチレンイミノ基、1−ドデカメチレンイミノ基などの1−ポリメチレンイミノ基をあげることができる。また、環状アミノ基としては、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基、1−イミダゾリジニル基、1−ピペラジニル基、モルホリノ基などもあげることができる。
【0036】
式(Ia)で表される基としては、経済性及び入手容易性から、好ましくは、非環状アミノ基であり、より好ましくは、ジアルキルアミノ基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基であり、より更に好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基である。
【0037】
式(I)のX〜Xのヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基をあげることができる。また、置換ヒドロカルビル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。
【0038】
〜Xのヒドロカルビル基としては、アルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。また、X〜Xの置換ヒドロカルビル基としては、アルコキシアルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基がより好ましい。
【0039】
〜Xのヒドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基又はアルコキシアルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基又は炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、より更に好ましくは、メチル基又はエチル基である。
【0040】
式(I)のX、X及びXの少なくとも1つは、式(Ia)で表される基又は水酸基である。好ましくは、X、X及びXの2つ以上が、式(Ia)で表される基又は水酸基であり、より好ましくは、X、X及びXの2つが、式(Ia)で表される基又は水酸基である。また、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性を高次元でバランス良く得られるという点から、X、X及びXの少なくとも1つが水酸基であることが好ましく、X、X及びXの2つ以上が水酸基であることがより好ましく、X、X及びXの2つが水酸基であることが更に好ましい。
【0041】
低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性をバランス良く高める観点から、式(I)で表される構成単位としては、X、X及びXの2つが非環状アミノ基又は水酸基である構成単位が好ましい。X、X及びXの2つが非環状アミノ基である構成単位としては、ビス(ジアルキルアミノ)アルキルビニルシラン単位が好ましく、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン単位、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン単位、ビス(ジ(n−プロピル)アミノ)メチルビニルシラン単位、ビス(ジ(n−ブチル)アミノ)メチルビニルシラン単位がより好ましい。X、X及びXの2つが水酸基である構成単位としては、ジヒドロキシアルキルビニルシラン単位が好ましく、ジヒドロキシメチルビニルシラン単位がより好ましい。
【0042】
共役ジエン系重合体中の式(I)で表される構成単位の含有量は、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性をバランス良く高める観点から、重合体単位質量あたり、好ましくは、0.001mmol/g重合体以上0.1mmol/g重合体以下である。より好ましくは、0.002mmol/g重合体以上0.07mmol/g重合体以下である。更に好ましくは、0.003mmol/g重合体以上0.05mmol/g重合体以下である。
【0043】
上記共役ジエン系重合体は、下式(II)で表される化合物によって重合体の少なくとも一端が変性されてなる重合体である。
【化13】

[式中、nは1〜10の整数を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜4のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜4のヒドロカルビルオキシ基を表し、R、R及びRの少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、Aは窒素原子を有する官能基を表す。]
【0044】
式(II)のR、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜4のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜4のヒドロカルビルオキシ基を表し、R、R及びRの少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基である。
【0045】
、R及びRのヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基などをあげることができる。また、R、R及びRのヒドロカルビルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシ基をあげることができる。
【0046】
、R及びRのヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基である。また、R、R及びRのヒドロカルビルオキシ基としては、好ましくは、アルコキシ基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜3のアルコキシ基であり、更に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基である。
【0047】
、R及びRとしては、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性をバランス良く高める観点から、好ましくは、R、R及びRの少なくとも2つがヒドロカルビルオキシ基であり、より好ましくは、R、R及びRの3つがヒドロカルビルオキシ基である。
【0048】
式(II)のnは1〜10の整数を表す。低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性をバランス良く高める観点から、好ましくは3以上であり、経済性を高める観点から、好ましくは4以下である。特に好ましくは3である。
【0049】
式(II)のAは窒素原子を有する官能基であり、アミノ基、イソシアノ基、シアノ基、ピリジル基、ピペリジル基、ピラジニル基、モルホリノ基などをあげることができる。
【0050】
Aとしては、下式(IIa)で表される基が好ましい。
【化14】

[式中、R及びRは、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜6の基を表し、R及びRは結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよく、R及びRは窒素に二重結合で結合する同一の基であってもよい。]
【0051】
式(IIa)のR及びRとしては、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基、置換シリル基などをあげることができる。
【0052】
及びRのヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などをあげることができる。
【0053】
及びRの置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基、酸素原子を有する基及びケイ素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;エポキシ基、テトラヒドロフラニル基などのアルキレンオキシド基;グリシジル基、テトラヒドロフルフリル基などのアルキレンオキシドアルキル基をあげることができ、ケイ素原子を有する基を置換基として有する基としては、トリメチルシリルメチル基などのトリアルキルシリルアルキル基などをあげることができる。
【0054】
なお、本明細書において、アルキレンオキシド基は、環状エーテル化合物の環から水素原子を除いた1価の基を表す。また、アルキレンオキシドアルキル基は、アルキル基の1つ以上の水素原子がアルキレンオキシド基で置換されている基を表す。
【0055】
及びRの置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基;トリメトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基などをあげることができる。
【0056】
及びRが結合した基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜12の2価の基があげられる。例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシジアルキレン基;−CHCH−NH−CH−で表される基、−CHCH−N=CH−で表される基などの含窒素基などをあげることができる。
【0057】
及びRが結合した基としては、含窒素基が好ましく、−CHCH−NH−CH−で表される基、−CHCH−N=CH−で表される基がより好ましい。
【0058】
及びRの窒素に二重結合で結合する同一の基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜12の2価の基があげられる。例えば、エチリデン基、1−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基、1−メチルエチリデン基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン基などをあげることができる。
【0059】
及びRのヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基であり、より更に好ましくは、メチル基、エチル基である。R及びRの置換ヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルコキシアルキル基、アルキレンオキシド基、アルキレンオキシドアルキル基である。R及びRの置換シリル基としては、好ましくは、トリアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基であり、より好ましくは、トリアルキルシリル基であり、更に好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基である。
【0060】
及びRとしては、好ましくは、R及びRが結合した含窒素基、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキレンオキシド基、アルキレンオキシドアルキル基、置換シリル基であり、より好ましくは、アルキル基、アルキレンオキシド基、アルキレンオキシドアルキル基、トリアルキルシリル基である。
【0061】
式(IIa)で表される基としては、非環状アミノ基、環状アミノ基をあげることができる。
【0062】
該非環状アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、ジ(ネオペンチル)アミノ基、エチルメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジ(メトキシメチル)アミノ基、ジ(メトキシエチル)アミノ基、ジ(エトキシメチル)アミノ基、ジ(エトキシエチル)アミノ基などのジ(アルコキシアルキル)アミノ基;ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ基などのジ(トリアルキルシリル)アミノ基などをあげることができる。また、ジ(エポキシ)アミノ基、ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ基などのジ(アルキレンオキシド)アミノ基;ジ(グリシジル)アミノ基、ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ基などのジ(アルキレンオキシドアルキル)アミノ基をあげることができる。更には、エチリデンアミノ基、1−メチルプロピリデンアミノ基、1,3−ジメチルブチリデンアミノ基、1−メチルエチリデンアミノ基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデンアミノ基などもあげることができる。
なお、本明細書において、ジ(アルキレンオキシド)アミノ基は、窒素原子に結合している2つの水素原子が2つのアルキレンオキシド基に置換されたアミノ基を表し、ジ(アルキレンオキシドアルキル)アミノ基は、窒素原子に結合している2つの水素原子が2つのアルキレンオキシドアルキル基に置換されたアミノ基を表す。
【0063】
該環状アミノ基としては、1−ピロリジニル基、1−ピペリジノ基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−ヘプタメチレンイミノ基、1−オクタメチレンイミノ基、1−デカメチレンイミノ基、1−ドデカメチレンイミノ基などの1−ポリメチレンイミノ基をあげることができる。また、環状アミノ基としては、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基、1−イミダゾリジニル基、1−ピペラジニル基、モルホリノ基などもあげることができる。
【0064】
式(IIa)で表される基としては、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性、加工性、化合物の長期安定性及び入手容易性から、好ましくは、非環状アミノ基であり、より好ましくは、ジアルキルアミノ基、ジ(アルキレンオキシド)アミノ基、ジ(アルキレンオキシドアルキル)アミノ基、ジ(トリアルキルシリル)アミノ基である。
【0065】
式(II)で表される化合物としては、式(IIa)が、ジアルキルアミノ基、ジ(アルコキシアルキル)アミノ基、ジ(アルキレンオキシド)アミノ基、ジ(アルキレンオキシドアルキル)アミノ基、トリアルキルシリル基などの非環状アミノ基である化合物をあげることができる。
【0066】
式(IIa)がジアルキルアミノ基である化合物としては、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、
[3−(エチルメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、
[3−(エチルメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシランなどの
[3−(ジアルキルアミノ)プロピル]トリアルコキシシラン;
【0067】
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルジメトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]メチルジメトキシシラン、
[3−(エチルメチルアミノ)プロピル]メチルジメトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]エチルジメトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]エチルジメトキシシラン、
[3−(エチルメチルアミノ)プロピル]エチルジメトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルジエトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]メチルジエトキシシラン、
[3−(エチルメチルアミノ)プロピル]メチルジエトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]エチルジエトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]エチルジエトキシシラン、
[3−(エチルメチルアミノ)プロピル]エチルジエトキシシランなどの
[3−(ジアルキルアミノ)プロピル]アルキルジアルコキシシラン;
【0068】
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ジメチルメトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]ジメチルメトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ジエチルメトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]ジエチルメトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ジメチルエトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]ジメチルエトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ジエチルエトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]ジエチルエトキシシランなどの
[3−(ジアルキルアミノ)プロピル]ジアルキルアルコキシシランをあげることができる。
【0069】
式(IIa)がジ(アルコキシアルキル)アミノ基である化合物としては、
{3−[ジ(メトキシメチル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシメチル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシエチル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシエチル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシメチル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシメチル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシエチル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシエチル)アミノ]プロピル}トリエトキシシランなどの
{3−[ジ(アルコキシアルキル)アミノ]プロピル}トリアルコキシシラン;
【0070】
{3−[ジ(メトキシメチル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシメチル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシエチル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシエチル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシメチル)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシメチル)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシエチル)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシエチル)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシメチル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシメチル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシエチル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシエチル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシメチル)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシメチル)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシエチル)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシエチル)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシランなどの
{3−[ジ(アルコキシアルキル)アミノ]プロピル}アルキルジアルコキシシラン;
【0071】
{3−[ジ(メトキシメチル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシメチル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシエチル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシエチル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシメチル)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシメチル)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシエチル)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシエチル)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシメチル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシメチル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシエチル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシエチル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシメチル)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシメチル)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシラン、
{3−[ジ(メトキシエチル)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシラン、
{3−[ジ(エトキシエチル)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシランなどの
{3−[ジ(アルコキシアルキル)アミノ]プロピル}ジアルキルアルコキシシランをあげることができる。
【0072】
式(IIa)がジ(アルキレンオキシド)アミノ基である化合物としては、
{3−[ジ(エポキシ)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ジ(エポキシ)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、
{3−[ジ(エポキシ)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(エポキシ)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(エポキシ)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(エポキシ)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(エポキシ)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ジ(エポキシ)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ジ(エポキシ)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ジ(エポキシ)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシランなどの
式(IIa)がジ(エポキシ)アミノ基である化合物;
【0073】
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシランなどの
式(IIa)がジ(テトラヒドロフラニル)アミノ基である化合物をあげることができる。
【0074】
式(IIa)がジ(アルキレンオキシドアルキル)アミノ基である化合物としては、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシランなどの
式(IIa)がジ(グリシジル)アミノ基である化合物;
【0075】
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシランなどの
式(IIa)がジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ基である化合物をあげることができる。
【0076】
式(IIa)がトリアルキルシリル基である化合物としては、
{3−[ジ(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ジ(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、
{3−[ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ]プロピル}トリエトキシシランなどの
{3−[ジ(トリアルキルシリル)アミノ]プロピル}トリアルコキシシラン;
【0077】
{3−[ジ(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシランなどの
{3−[ジ(トリアルキルシリル)アミノ]プロピル}アルキルジアルコキシシラン;
【0078】
{3−[ジ(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ジ(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシランなどの
{3−[ジ(トリアルキルシリル)アミノ]プロピル}ジアルキルアルコキシシランをあげることができる。
【0079】
これらの中では、[3−(ジアルキルアミノ)プロピル]トリアルコキシシランが好ましく、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン
がより好ましい。
【0080】
また、式(II)で表される化合物としては、式(IIa)が、1−ピペリジノ基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基、1−ピペラジニル基、モルホリノ基などの環状アミノ基である化合物をあげることができる。
【0081】
式(IIa)が1−ピペリジノ基である化合物としては、
3−(1−ピペリジノ)プロピルトリメトキシシラン、
3−(1−ピペリジノ)プロピルトリエトキシシラン、
3−(1−ピペリジノ)プロピルメチルジメトキシシラン、
3−(1−ピペリジノ)プロピルエチルジメトキシシラン、
3−(1−ピペリジノ)プロピルメチルジエトキシシラン、
3−(1−ピペリジノ)プロピルエチルジエトキシシランなどをあげることができる。
【0082】
式(IIa)が1−ヘキサメチレンイミノ基である化合物としては、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピルトリメトキシシラン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピルエチルジメトキシシラン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピルエチルジエトキシシランなどをあげることができる。
【0083】
式(IIa)が1−イミダゾリル基である化合物としては、
N−(3−トリメトキシシリルプロピル)イミダゾール、
N−(3−トリエトキシシリルプロピル)イミダゾールなどをあげることができる。
【0084】
式(IIa)が4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基である化合物としては、
N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、
N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールなどをあげることができる。
【0085】
式(IIa)が1−ピペラジニル基である化合物としては、
3−(1−ピペラジニル)プロピルトリメトキシシラン、
3−(1−ピペラジニル)プロピルトリエトキシシラン、
3−(1−ピペラジニル)プロピルメチルジメトキシシラン、
3−(1−ピペラジニル)プロピルエチルジメトキシシラン、
3−(1−ピペラジニル)プロピルメチルジエトキシシラン、
3−(1−ピペラジニル)プロピルエチルジエトキシシランなどをあげることができる。
【0086】
式(IIa)がモルホリノ基である化合物としては、
3−モルホリノプロピルトリメトキシシラン、
3−モルホリノプロピルトリエトキシシラン、
3−モルホリノプロピルメチルジメトキシシラン、
3−モルホリノプロピルエチルジメトキシシラン、
3−モルホリノプロピルメチルジエトキシシラン、
3−モルホリノプロピルエチルジエトキシシランなどをあげることができる。
【0087】
これらの中では、式(IIa)が1−イミダゾリル基である化合物、式(IIa)が4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基である化合物が好ましく、
N−(3−トリメトキシシリルプロピル)イミダゾール、
N−(3−トリエトキシシリルプロピル)イミダゾール、
N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、
N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール
がより好ましい。
【0088】
上記共役ジエン系重合体は、共役ジエンに基づく構成単位(共役ジエン単位)に加え、さらに、他の単量体に基づく構成単位を有していてもよい。該他の単量体としては、芳香族ビニル、ビニルニトリル、不飽和カルボン酸エステルなどがあげられる。芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンを例示することができる。また、ビニルニトリルとしては、アクリロニトリルなどを、不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチルなどを例示することができる。これらの中では、芳香族ビニルが好ましく、スチレンがより好ましい。
【0089】
上記共役ジエン系重合体は、耐摩耗性の観点から、芳香族ビニルに基づく構成単位(芳香族ビニル単位)を有していることが好ましく、芳香族ビニル単位の含有量としては、共役ジエン単位と芳香族ビニル単位との総量を100質量%として、好ましくは10質量%以上(共役ジエン単位の含有量は90質量%以下)であり、より好ましくは15質量%以上(共役ジエン単位の含有量は85質量%以下)である。また、低燃費性の観点から、芳香族ビニル単位の含有量は、好ましくは50質量%以下(共役ジエン単位の含有量は50質量%以上)であり、より好ましくは45質量%以下(共役ジエン単位の含有量は55質量%以上)である。
【0090】
上記共役ジエン系重合体のビニル結合量は、共役ジエン単位の含有量を100モル%として、低燃費性の観点から、好ましくは80モル%以下であり、より好ましくは70モル%以下である。また、ウェットグリップ性能の観点から、好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは15モル%以上であり、更に好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは40モル%以上である。該ビニル結合量は、赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm−1付近の吸収強度より求められる。
【0091】
上記共役ジエン系重合体の分子量分布は、低燃費性の観点から、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜2である。分子量分布は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定し、MwをMnで除すことにより求められる。
【0092】
上記共役ジエン系重合体の好適な製造方法としては、下記工程A及びBを有する製造方法をあげることができる。
(工程A):炭化水素溶媒中で、アルカリ金属触媒により、共役ジエンと下式(III)で表されるビニル化合物とを含む単量体を重合させ、共役ジエンに基づく単量体単位と下式(III)で表されるビニル化合物に基づく単量体単位とを有する重合体鎖の少なくとも一端に、該触媒由来のアルカリ金属を有する重合体を得る工程。
【化15】

[式中、X、X及びXは、それぞれ独立に、下式(IIIa)で表される基、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基を表し、X、X及びXの少なくとも1つが、下式(IIIa)で表される基である。]
【化16】

[式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基、シリル基又は置換シリル基を表し、R及びRは結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよい。]
(工程B):工程Aで得られた重合体と下式(II)で表される化合物とを反応させる工程。
【化17】

[式中、nは1〜10の整数を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜4のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜4のヒドロカルビルオキシ基を表し、R、R及びRの少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、Aは窒素原子を有する官能基を表す。]
【0093】
(工程A)で用いられるアルカリ金属触媒としては、アルカリ金属、有機アルカリ金属化合物、アルカリ金属と極性化合物との錯体、アルカリ金属を有するオリゴマーなどをあげることができる。該アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどをあげることができる。該有機アルカリ金属化合物としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4−シクロペンチルリチウム、ジメチルアミノプロピルリチウム、ジエチルアミノプロピルリチウム、t−ブチルジメチルシリロキシプロピルリチウム、N−モルホリノプロピルリチウム、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、1,4−ジリチオ−2−ブテン、ナトリウムナフタレニド、ナトリウムビフェニリド、カリウムナフタレニドなどをあげることができる。また、アルカリ金属と極性化合物との錯体としては、カリウム−テトラヒドロフラン錯体、カリウム−ジエトキシエタン錯体などをあげることができ、アルカリ金属を有するオリゴマーとしては、α−メチルスチレンテトラマーのナトリウム塩をあげることができる。これらの中でも、有機リチウム化合物又は有機ナトリウム化合物が好ましく、炭素原子数が2〜20の有機リチウム化合物又は有機ナトリウム化合物がより好ましい。
【0094】
(工程A)で用いられる炭化水素溶媒は、有機アルカリ金属化合物触媒を失活させない溶媒であり、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素などをあげることができる。該脂肪族炭化水素としては、プロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、プロペン、1−ブテン、iso−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどをあげることができる。また、芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンをあげることができ、脂環族炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサンなどがあげられる。これらは単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。これらの中では、炭素原子数が2〜12の炭化水素が好ましい。
【0095】
(工程A)では、共役ジエンと式(III)で表されるビニル化合物とを含む単量体を重合させ、上述のアルカリ金属触媒由来のアルカリ金属を重合体鎖末端に有する共役ジエン系重合体を製造する。該共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンをあげることができ、これらは単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。中でも、入手容易性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0096】
式(III)のX、X及びXは、それぞれ独立に、式(IIIa)で表される基、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基を表し、X、X及びXの少なくとも1つは、式(IIIa)で表される基である。
【0097】
式(IIIa)のR及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基、シリル基又は置換シリル基を表し、R及びRは結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよい。
【0098】
及びRの炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などをあげることができる。
【0099】
及びRの炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基、酸素原子を有する基及びケイ素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができ、ケイ素原子を有する基を置換基として有する基としては、トリメチルシリルメチル基などのトリアルキルシリルアルキル基などをあげることができる。
【0100】
及びRの置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基などをあげることができる。
【0101】
及びRが結合した基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜12の2価の基があげられる。例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシジアルキレン基;−CHCH−NH−CH−で表される基、−CHCH−N=CH−で表される基などの含窒素基などをあげることができる。
【0102】
及びRが結合した基としては、含窒素基が好ましく、−CHCH−NH−CH−で表される基、−CHCH−N=CH−で表される基がより好ましい。
【0103】
及びRのヒドロカルビル基としては、アルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が更に好ましく、エチル基、n−ブチル基が特に好ましい。R及びRの置換ヒドロカルビル基としては、アルコキシアルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基がより好ましい。R及びRの置換シリル基としては、トリアルキルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基がより好ましい。
【0104】
及びRとしては、好ましくは、アルキル基、アルコキシアルキル基、置換シリル基又はR及びRが結合した含窒素基であり、より好ましくは、アルキル基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、より更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基である。
【0105】
式(IIIa)で表される基としては、非環状アミノ基、環状アミノ基をあげることができる。
【0106】
該非環状アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、ジ(ネオペンチル)アミノ基、エチルメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジ(メトキシメチル)アミノ基、ジ(メトキシエチル)アミノ基、ジ(エトキシメチル)アミノ基、ジ(エトキシエチル)アミノ基などのジ(アルコキシアルキル)アミノ基;ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ基などのジ(トリアルキルシリル)アミノ基などをあげることができる。
【0107】
該環状アミノ基としては、1−ピロリジニル基、1−ピペリジノ基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−ヘプタメチレンイミノ基、1−オクタメチレンイミノ基、1−デカメチレンイミノ基、1−ドデカメチレンイミノ基などの1−ポリメチレンイミノ基をあげることができる。また、環状アミノ基としては、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基、1−イミダゾリジニル基、1−ピペラジニル基、モルホリノ基などもあげることができる。
【0108】
式(IIIa)で表される基としては、経済性及び入手容易性から、好ましくは、非環状アミノ基であり、より好ましくは、ジアルキルアミノ基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基であり、より更に好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基である。
【0109】
式(III)のX〜Xのヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基をあげることができる。また、置換ヒドロカルビル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。
【0110】
〜Xのヒドロカルビル基としては、アルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。また、X〜Xの置換ヒドロカルビル基としては、アルコキシアルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基がより好ましい。
【0111】
〜Xのヒドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基又はアルコキシアルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基又は炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、より更に好ましくは、メチル基又はエチル基である。
【0112】
式(III)のX、X及びXの少なくとも1つは、式(IIIa)で表される基である。好ましくは、X、X及びXの2つ以上が、式(IIIa)で表される基であり、より好ましくは、X、X及びXの2つが、式(IIIa)で表される基である。
【0113】
(工程A)で用いられる式(III)で表されるビニル化合物としては、X〜Xの1つが式(IIIa)で表される非環状アミノ基であり、2つがヒドロカルビル基または置換ヒドロカルビル基である化合物として、(ジアルキルアミノ)ジアルキルビニルシラン、{ジ(トリアルキルシリル)アミノ}ジアルキルビニルシラン、(ジアルキルアミノ)ジアルコキシアルキルビニルシランなどをあげることができる。
【0114】
(ジアルキルアミノ)ジアルキルビニルシランとしては、(ジメチルアミノ)ジメチルビニルシラン、(エチルメチルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジメチルビニルシラン、(エチル−n−プロピルアミノ)ジメチルビニルシラン、(エチルイソプロピルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジ(n−プロピル)アミノ)ジメチルビニルシラン、(ジイソプロピルアミノ)ジメチルビニルシラン、(n−ブチル−n−プロピルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジ(n−ブチル)アミノ)ジメチルビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジエチルビニルシラン、(エチルメチルアミノ)ジエチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジエチルビニルシラン、(エチル−n−プロピルアミノ)ジエチルビニルシラン、(エチルイソプロピルアミノ)ジエチルビニルシラン、(ジ(n−プロピル)アミノ)ジエチルビニルシラン、(ジイソプロピルアミノ)ジエチルビニルシラン、(n−ブチル−n−プロピルアミノ)ジエチルビニルシラン、(ジ(n−ブチル)アミノ)ジエチルビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジプロピルビニルシラン、(エチルメチルアミノ)ジプロピルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジプロピルビニルシラン、(エチル−n−プロピルアミノ)ジプロピルビニルシラン、(エチルイソプロピルアミノ)ジプロピルビニルシラン、(ジ(n−プロピル)アミノ)ジプロピルビニルシラン、(ジイソプロピルアミノ)ジプロピルビニルシラン、(n−ブチル−n−プロピルアミノ)ジプロピルビニルシラン、(ジ(n−ブチル)アミノ)ジプロピルビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジブチルビニルシラン、(エチルメチルアミノ)ジブチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジブチルビニルシラン、(エチル−n−プロピルアミノ)ジブチルビニルシラン、(エチルイソプロピルアミノ)ジブチルビニルシラン、(ジ(n−プロピル)アミノ)ジブチルビニルシラン、(ジイソプロピルアミノ)ジブチルビニルシラン、(n−ブチル−n−プロピルアミノ)ジブチルビニルシラン、(ジ(n−ブチル)アミノ)ジブチルビニルシランなどをあげることができる。
【0115】
{ジ(トリアルキルシリル)アミノ}ジアルキルビニルシランとしては、{ジ(トリメチルシリル)アミノ}ジメチルビニルシラン、{ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ}ジメチルビニルシラン、{ジ(トリメチルシリル)アミノ}ジエチルビニルシラン、{ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ}ジエチルビニルシランなどをあげることができる。
【0116】
(ジアルキルアミノ)ジアルコキシアルキルビニルシランとしては、(ジメチルアミノ)ジメトキシメチルビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジメトキシエチルビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジエトキシメチルビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジエトキシエチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジメトキシメチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジメトキシエチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジエトキシメチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジエトキシエチルビニルシランなどをあげることができる。
【0117】
〜Xの2つが式(IIIa)で表される非環状アミノ基であり、1つがヒドロカルビル基または置換ヒドロカルビル基である化合物として、ビス(ジアルキルアミノ)アルキルビニルシラン、ビス{ジ(トリアルキルシリル)アミノ}アルキルビニルシラン、ビス(ジアルキルアミノ)アルコキシアルキルビニルシランなどをあげることができる。
【0118】
ビス(ジアルキルアミノ)アルキルビニルシランとしては、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチル−n−プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルイソプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ(n−プロピル)アミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジイソプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(n−ブチル−n−プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ(n−ブチル)アミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(エチル−n−プロピルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(エチルイソプロピルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジ(n−プロピル)アミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジイソプロピルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(n−ブチル−n−プロピルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジ(n−ブチル)アミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(エチル−n−プロピルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(エチルイソプロピルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(ジ(n−プロピル)アミノ)プロピルビニルシラン、ビス(ジイソプロピルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(n−ブチル−n−プロピルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(ジ(n−ブチル)アミノ)プロピルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(エチル−n−プロピルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(エチルイソプロピルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(ジ(n−プロピル)アミノ)ブチルビニルシラン、ビス(ジイソプロピルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(n−ブチル−n−プロピルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(ジ(n−ブチル)アミノ)ブチルビニルシランなどをあげることができる。
【0119】
ビス{ジ(トリアルキルシリル)アミノ}アルキルビニルシランとしては、ビス{ジ(トリメチルシリル)アミノ}メチルビニルシラン、ビス{ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ}メチルビニルシラン、ビス{ジ(トリメチルシリル)アミノ}エチルビニルシラン、ビス{ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ}エチルビニルシランなどをあげることができる。
【0120】
ビス(ジアルキルアミノ)アルコキシアルキルビニルシランとしては、ビス(ジメチルアミノ)メトキシメチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メトキシエチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エトキシメチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エトキシエチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メトキシメチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メトキシエチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エトキシメチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エトキシエチルビニルシランなどをあげることができる。
【0121】
〜Xの3つが式(IIIa)で表される非環状アミノ基である化合物として、トリ(ジアルキルアミノ)ビニルシランなどをあげることができる。例えば、トリ(ジメチルアミノ)ビニルシラン、トリ(エチルメチルアミノ)ビニルシラン、トリ(ジエチルアミノ)ビニルシラン、トリ(エチルプロピルアミノ)ビニルシラン、トリ(ジプロピルアミノ)ビニルシラン、トリ(ブチルプロピルアミノ)ビニルシランなどをあげることができる。
【0122】
〜Xの2つが式(IIIa)で表される環状アミノ基であり、1つがヒドロカルビル基または置換ヒドロカルビル基である化合物として、ビス(モルホリノ)メチルビニルシラン、ビス(ピペリジノ)メチルビニルシラン、ビス(4,5−ジヒドロイミダゾリル)メチルビニルシラン、ビス(ヘキサメチレンイミノ)メチルビニルシランなどをあげることができる。
【0123】
、X及びXの2つが式(IIIa)で表される基である式(III)で表されるビニル化合物として、好ましくは、X、X及びXの2つが非環状アミノ基であるビニル化合物であり、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性の観点から、より好ましくは、ビス(ジアルキルアミノ)アルキルビニルシランであり、更に好ましくは、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ(n−プロピル)アミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ(n−ブチル)アミノ)メチルビニルシランである。中でも、化合物の入手容易性の観点からは、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ(n−ブチル)アミノ)メチルビニルシランが好ましい。
【0124】
(工程A)では、共役ジエンと式(III)で表されるビニル化合物とに、他の単量体を組み合わせて重合を行ってもよい。他の単量体としては、芳香族ビニル、ビニルニトリル、不飽和カルボン酸エステルなどがあげられる。芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンを例示することができる。また、ビニルニトリルとしては、アクリロニトリルなどを、不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチルなどを例示することができる。これらの中では、芳香族ビニルが好ましく、スチレンがより好ましい。
【0125】
(工程A)の重合は、共役ジエン単位のビニル結合量を調整する剤、共役ジエン系重合体鎖中での共役ジエン単位と共役ジエン以外の単量体に基づく構成単位の分布を調整する剤(以下、総称して「調整剤」と記す。)などの存在下で行ってもよい。このような剤としては、エーテル化合物、第三級アミン、ホスフィン化合物などをあげることができる。該エーテル化合物としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどの脂肪族モノエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどの脂肪族ジエーテル;ジフェニルエーテル、アニソールなどの芳香族エーテルなどがあげられる。該第三級アミンとして、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、キノリンなどをあげることができる。また、該ホスフィン化合物として、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどをあげることができる。これらは単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0126】
(工程A)での重合温度は、通常25〜100℃であり、好ましくは35〜90℃である。より好ましくは50〜80℃である。重合時間は、通常10分〜5時間である。
【0127】
(工程B)において、工程Aで調製された重合体に接触させる式(II)で表される化合物の量は、有機アルカリ金属触媒由来のアルカリ金属1モルあたり、通常、0.1〜3モルであり、好ましくは、0.5〜2モルであり、より好ましくは、0.7〜1.5モルである。
【0128】
(工程B)において、工程Aで調製された重合体と式(II)で表される化合物とを接触させる温度は、通常25〜100℃であり、好ましくは35〜90℃である。より好ましくは50〜80℃である。接触させる時間は、通常、60秒〜5時間であり、好ましくは5分〜1時間であり、より好ましくは15分〜1時間である。
【0129】
上記共役ジエン系重合体の製造方法においては、必要に応じて、アルカリ金属触媒による単量体の重合開始から重合停止において、共役ジエン系重合体の炭化水素溶液にカップリング剤を添加してもよい。カップリング剤としては、下式(IV)で表される化合物をあげることができる。
10ML4−a(IV)
[式中、R10はアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基または芳香族残基を表し、Mはケイ素原子またはスズ原子を表し、Lはハロゲン原子またはヒドロカルビルオキシ基を表し、aは0〜2の整数を表す。]
ここで、芳香族残基は、芳香族炭化水素から芳香環に結合している水素を除いた1価の基を表す。
【0130】
式(IV)で表されるカップリング剤としては、四塩化珪素、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、四塩化スズ、メチルトリクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、トリメチルクロロスズ、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、テトラエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエトキシジエチルシランなどをあげることができる。
【0131】
カップリング剤の添加量は、アルカリ金属触媒由来のアルカリ金属1モル当たり、共役ジエン系重合体の加工性の観点から、好ましくは0.03モル以上であり、より好ましくは0.05モル以上である。また、低燃費性の観点から、好ましくは0.4モル以下であり、より好ましくは0.3モル以下である。
【0132】
共役ジエン系重合体は、公知の回収方法、例えば、(1)共役ジエン系重合体の炭化水素溶液に凝固剤を添加する方法、(2)共役ジエン系重合体の炭化水素溶液にスチームを添加する方法によって、共役ジエン系重合体の炭化水素溶液から回収することができる。回収した共役ジエン系重合体は、バンドドライヤーや押出型ドライヤーなどの公知の乾燥機で乾燥してもよい。
【0133】
また、上記共役ジエン系重合体の製造方法においては、加水分解などにより、重合体の式(Ia)で表される基を水酸基に置換させる処理を行うことが好ましい。該処理は、重合体単独の状態で行ってもよく、後述のような組成物の状態で行ってもよい。加水分解する方法としては、例えば、スチームストリッピングによる方法等の公知の方法が挙げられる。上記処理により、式(I)のX〜Xを水酸基とすることができ、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性をよりバランスよく向上できる。
【0134】
上記共役ジエン系重合体は、ゴム成分として本発明のゴム組成物に用いることができ、他のゴム成分や添加剤などと併用することが好ましい。
【0135】
他のゴム成分としては、従来のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、ブチルゴムなどをあげることができる。また、天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−オクテン共重合体などもあげることができる。これらのゴム成分は、2種以上組み合わせて用いてもよい。中でも、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性をバランス良く改善できるという点から、NR及び/又はBRを使用することが好ましく、NR及びBRの両成分を使用することがより好ましい。
【0136】
ゴム成分100質量%中の上記共役ジエン系重合体の含有量は、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。上記共役ジエン系重合体の含有量が5質量%未満であると低燃費性の改善効果が得られにくい傾向がある。上記共役ジエン系重合体の含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。上記共役ジエン系重合体の含有量が90質量%を超えると、耐摩耗性が低下するとともに、高コストになる傾向がある。
【0137】
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
【0138】
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。5質量%未満であると、耐摩耗性が低下する傾向がある。上記NRの含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。70質量%を超えると、ウェットグリップ性能が低下する傾向がある。
【0139】
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
【0140】
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。5質量%未満であると、耐摩耗性が低下する傾向がある。上記BRの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。60質量%を超えると、ウェットグリップ性能が低下する傾向がある。
【0141】
ゴム成分100質量%中のNR及びBRの合計含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。10質量%未満であると、耐摩耗性が低下する傾向がある。上記合計含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。70質量%を超えると、ウェットグリップ性能が低下する傾向がある。
【0142】
本発明のゴム組成物は、下式(1)で表される化合物を含有する。
【化18】

[式中、R11は、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は水酸基を表す。R12及びR13は、同一若しくは異なって、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は下式(2)で表される基を表し、該アルキル基、該アルケニル基、該アルキニル基、該アリール基が有する水素原子が水酸基又はカルボキシル基で置換されていてもよい。R11とR12、R11とR13、又はR12とR13とで環構造を形成してもよい。pは、0〜8の整数を表す。]
【化19】

[式中、R14は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基を表す。R15は、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は水酸基を表す。qは、0〜10の整数を表す。]
【0143】
11の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜20、更に好ましくは炭素数15〜20)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0144】
11の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜20、更に好ましくは炭素数15〜20)のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基等が挙げられる。
【0145】
11の分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜10)のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
【0146】
11としては、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、水酸基(−OH)が好ましく、上記アルキル基がより好ましい。
【0147】
12及びR13の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜25、より好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜5)のアルキル基としては、例えば、上記R11の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基と同様の基を挙げることができる。
【0148】
12及びR13の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜25、より好ましくは炭素数2〜20、更に好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜5)のアルケニル基としては、例えば、上記R11の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基と同様の基を挙げることができる。
【0149】
12及びR13の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜25、より好ましくは炭素数2〜20、更に好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜5)のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基等が挙げられる。
【0150】
12及びR13の分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜10)のアリール基としては、例えば、上記R11の分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基と同様の基を挙げることができる。
【0151】
12及びR13としては、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、水酸基若しくはカルボキシル基で置換された分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、水酸基若しくはカルボキシル基で置換された分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、上記式(2)で表される基が好ましく、上記アルキル基、水酸基若しくはカルボキシル基で置換された上記アルキル基がより好ましく、上記アルキル基と、水酸基若しくはカルボキシル基で置換された上記アルキル基との組合せが更に好ましい。
【0152】
pは、0〜8の整数を表す。本発明の効果が良好に得られるという理由から、pは0〜3であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0153】
14の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等が挙げられる。
【0154】
15の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜20)のアルキル基としては、例えば、上記R11の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基と同様の基を挙げることができる。
【0155】
15の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜20)のアルケニル基としては、例えば、上記R11の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基と同様の基を挙げることができる。
【0156】
15の分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜10)のアリール基としては、例えば、上記R11の分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基と同様の基を挙げることができる。
【0157】
15としては、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
【0158】
qは、0〜10の整数を表す。本発明の効果が良好に得られるという理由から、qは0〜3であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0159】
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、オクタデカンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)オクタデカンアミド、ε−カプロラクタム、サルコシン、N−ラウロイルサルコシン、N−オクタデシルサルコシン、N,N’−エチレンビスオクタデカンアミド、N−(1−オキソオクタデシル)サルコシンなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0160】
上記式(1)で表される化合物の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは2.5質量部以上、更に好ましくは3.5質量部以上である。0.1質量部未満であると、上記式(1)で表される化合物を配合したことにより得られる効果を充分に得られないおそれがある。また、該含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下である。20質量部を超えると、加硫後の硬度が低下し、操縦安定性が悪化するおそれがある。
【0161】
本発明では、上記式(1)で表される化合物に加えて、更にアミノ酸誘導体を配合することが好ましい。これにより、シリカの分散性を向上させ、各性能の改善効果を高めることができる。
【0162】
上記式(1)で表される化合物に加えて、更にアミノ酸誘導体を配合する場合には、上記式(1)で表される化合物とアミノ酸誘導体との混合物として市販されているSchill+Seilacher社製のHT254等を使用してもよい。
【0163】
上記式(1)で表される化合物とアミノ酸誘導体の合計含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは2.5質量部以上、更に好ましくは3.5質量部以上である。0.2質量部未満であると、上記式(1)で表される化合物及びアミノ酸誘導体を配合したことにより得られる効果を充分に得られないおそれがある。また、該合計含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下である。20質量部を超えると、加硫後の硬度が低下し、操縦安定性が悪化するおそれがある。
【0164】
本発明のゴム組成物はシリカを含有する。上記共役ジエン系重合体及び上記式(1)で表される化合物とともにシリカを配合することで、シリカが良好に分散し、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性をバランス良く改善できる。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0165】
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは45質量部以上である。5質量部未満であると、シリカを配合した効果が充分に得られず、耐摩耗性が低下する傾向がある。また、シリカの含有量は、150質量部以下、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。150質量部を超えると、加工性が悪化する傾向がある。
【0166】
シリカ及びカーボンブラックの合計100質量%中のシリカの含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは85質量%以上であり、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。上記範囲内であれば、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性を高次元でバランス良く改善することができる。
【0167】
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは40m/g以上、より好ましくは50m/g以上、更に好ましくは60m/g以上である。40m/g未満では、補強効果が小さく、耐摩耗性や破壊強度が低下する傾向がある。シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは400m/g以下、より好ましくは360m/g以下、更に好ましくは300m/g以下である。400m/gを超えると、シリカが分散しにくくなり、低燃費性や加工性が悪化する傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
【0168】
シリカを配合する際にシランカップリング剤を併用しても良い。シランカップリング剤としては、メルカプト基を有するシランカップリング剤を好適に使用できる。これにより、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性の改善効果を高めることができる。また、通常、メルカプト基を有するシランカップリング剤を使用した場合、加工性が低下する傾向があるが、本発明では、上記式(1)で表される化合物を使用しているため、メルカプト基を有するシランカップリング剤を使用した場合であっても、良好な加工性を確保することができる。
【0169】
メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、下式(3)で表される化合物、及び/又は下式(4)で示される結合単位Aと下式(5)で示される結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合した化合物を好適に使用できる。
【0170】
下式(3)で表されるシランカップリング剤を配合することにより、ウェットグリップ性能及び転がり抵抗特性(低燃費性)をより向上できる。
【化20】

【0171】
上記式(3)のR101は−O−(R111−O)−R112(z個のR111は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。R112は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。zは1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。
【0172】
111は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)の2価の炭化水素基を表す。
該炭化水素基としては、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基等が挙げられる。なかでも、上記アルキレン基が好ましい。
【0173】
111の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等が挙げられる。
【0174】
111の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基等が挙げられる。
【0175】
111の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基等が挙げられる。
【0176】
111の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜15)のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0177】
zは1〜30(好ましくは2〜20、より好ましくは3〜7、更に好ましくは5〜6)の整数を表す。
【0178】
112は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。なかでも、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
【0179】
112の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0180】
112の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基等が挙げられる。
【0181】
112の炭素数6〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
【0182】
112の炭素数7〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0183】
式(3)のR101の具体例としては、例えば、−O−(C−O)−C1123、−O−(C−O)−C1225、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1429、−O−(C−O)−C1531、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327等が挙げられる。なかでも、−O−(C−O)−C1123、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1531、−O−(C−O)−C1327が好ましい。
【0184】
102及びR103は、同一若しくは異なって、R101と同一の基(すなわち、−O−(R111−O)−R112で表される基)、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基又は−O−R113(R113は水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。)で表される基を表す。なかでも、化学的安定性という理由から、R101と同一の基、−O−R113(R113が分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基の場合)で表される基が好ましい。
【0185】
102及びR103の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基等が挙げられる。
【0186】
113の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキル基としては、例えば、上記R112の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基と同様の基を挙げることができる。
【0187】
113の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜5)のアルケニル基としては、例えば、上記R112の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基と同様の基を挙げることができる。
【0188】
113の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜12)のアリール基としては、例えば、上記R112の炭素数6〜30のアリール基と同様の基を挙げることができる。
【0189】
113の炭素数7〜30(好ましくは7〜13)のアラルキル基としては、例えば、上記R112の炭素数7〜30のアラルキル基と同様の基を挙げることができる。
【0190】
式(3)のR102及びR103の具体例としては、例えば、−O−(C−O)−C1123、−O−(C−O)−C1225、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1429、−O−(C−O)−C1531、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、C−O−、CH−O−、C−O−等が挙げられる。なかでも、−O−(C−O)−C1123、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1531、−O−(C−O)−C1327、C−O−が好ましい。
【0191】
104の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5)のアルキレン基としては、例えば、上記R111の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基と同様の基を挙げることができる。
【0192】
上記式(3)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、エボニックデグッサ社製のSi363等を使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0193】
下式(4)で示される結合単位Aと下式(5)で示される結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合したシランカップリング剤は、結合単位Aと結合単位Bのモル比が上記条件を満たすため、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシランに比べ、加工中の粘度上昇が抑制される。これは結合単位Aのスルフィド部分がC−S−C結合であるため、テトラスルフィドやジスルフィドに比べ熱的に安定であることから、ムーニー粘度の上昇が少ないためと考えられる。
【0194】
また、結合単位Aと結合単位Bのモル比が上記条件を満たすため、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシランに比べ、スコーチ時間の短縮が抑制される。この理由は、結合単位Bはメルカプトシランの構造を持っているが、結合単位Aの−C15部分が結合単位Bの−SH基を覆うことにより、ポリマーと反応しにくくなるためであると考えられる。従って、加硫促進剤を増量したり、スコーチしやすいSBRを配合した場合であっても、良好な加工性が得られる。
【化21】

【化22】

[式中、x、yはそれぞれ1以上の整数である。R201は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基若しくはアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基若しくはアルキニレン基、又は該アルキル基若しくは該アルケニル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。R202は水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基若しくはアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基若しくはアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基若しくはアルキニル基を示す。R201とR202とで環構造を形成してもよい。]
【0195】
201のハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素などが挙げられる。
【0196】
201、R202の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
【0197】
201、R202の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等が挙げられる。該アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
【0198】
201、R202の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基等が挙げられる。該アルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
【0199】
201、R202の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基としては、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基等が挙げられる。該アルケニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
【0200】
201、R202の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基等が挙げられる。該アルキニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
【0201】
201、R202の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基等が挙げられる。該アルキニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
【0202】
上記構造のシランカップリング剤において、結合単位Aの繰り返し数(x)と結合単位Bの繰り返し数(y)の合計の繰り返し数(x+y)は、3〜300の範囲が好ましい。この範囲内であると、結合単位Bのメルカプトシランを、結合単位Aの−C15が覆うため、スコーチタイムが短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。
【0203】
上記構造のシランカップリング剤としては、例えば、Momentive社製のNXT−Z30、NXT−Z45、NXT−Z60等を使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0204】
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上である。0.5質量部未満では、シリカを良好に分散させることが困難となるおそれがある。また、シランカップリング剤の含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。20質量部を超えると、添加量に見合った改善効果が得られず、コストが不必要に増大するおそれがある。また、スコーチタイムが短くなり、混練り工程や押出し工程での加工性が悪化する傾向がある。
【0205】
添加剤としては、公知のものを用いることができ、硫黄などの加硫剤;チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤などの加硫促進剤;ステアリン酸、酸化亜鉛などの加硫活性化剤;有機過酸化物;カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカなどの充填剤;伸展油、滑剤などの加工助剤;老化防止剤を例示することができる。
【0206】
上記カーボンブラックとしては、SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCF及びECFのようなファーネスブラック(ファーネスカーボンブラック);アセチレンブラック(アセチレンカーボンブラック);FT及びMTのようなサーマルブラック(サーマルカーボンブラック);EPC、MPC及びCCのようなチャンネルブラック(チャンネルカーボンブラック);グラファイトなどをあげることができる。これらは1種または2種以上組み合わせて用いることができる。低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性を高次元でバランス良く改善できるという点から、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
【0207】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは5m/g以上、より好ましくは30m/g以上、更に好ましくは50m/g以上、特に好ましくは70m/g以上であり、好ましくは250m/g以下、より好ましくは200m/g以下、更に好ましくは150m/g以下である。また、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、好ましくは5ml/100g以上、より好ましくは80ml/100g以上であり、好ましくは300ml/100g以下、より好ましくは180ml/100g以下である。カーボンブラックのNSAやDBP吸収量が上記範囲の下限未満では、補強効果が小さく耐摩耗性が低下する傾向があり、上記範囲の上限を超えると、分散性が悪く、ヒステリシスロスが増大し低燃費性が低下する傾向がある。該窒素吸着比表面積は、ASTM D4820−93に従って測定され、該DBP吸収量は、ASTM D2414−93に従って測定される。市販品としては、東海カーボン社製商品名シースト6、シースト7HM、シーストKH、エボニックデグッサ社製商品名CK3、SpecialBlack4A等を用いることができる。
【0208】
上記伸展油としては、アロマチック系鉱物油(粘度比重恒数(V.G.C.値)0.900〜1.049)、ナフテン系鉱物油(V.G.C.値0.850〜0.899)、パラフィン系鉱物油(V.G.C.値0.790〜0.849)などをあげることができる。伸展油の多環芳香族含有量は、好ましくは3質量%未満であり、より好ましくは1質量%未満である。該多環芳香族含有量は、英国石油学会346/92法に従って測定される。また、伸展油の芳香族化合物含有量(CA)は、好ましくは20質量%以上である。これらの伸展油は、2種以上組み合わされて用いられてもよい。
【0209】
上記加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤をあげることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3質量部である。
【0210】
上記共役ジエン系重合体に、他のゴム成分や添加剤などを配合してゴム組成物を製造する方法としては、公知の方法、例えば、各成分をロールやバンバリーのような公知の混合機で混練する方法を用いることができる。
【0211】
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を配合する場合、混練温度は、通常50〜200℃であり、好ましくは80〜190℃であり、混練時間は、通常30秒〜30分であり、好ましくは1分〜30分である。
加硫剤、加硫促進剤を配合する場合、混練温度は、通常100℃以下であり、好ましくは室温〜80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を配合した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理を行って用いられる。加硫温度としては、通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃である。
【0212】
本発明のゴム組成物は、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性のバランスに優れており、これらの性能の顕著な改善効果を得ることができる。
【0213】
本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材に好適に用いることができ、特にトレッドに好適に用いることができる。
【0214】
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤのトレッドの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、本発明の空気入りタイヤを製造できる。
【0215】
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ(重荷重用タイヤ)として好適に用いることができる。
【実施例】
【0216】
以下、実施例によって本発明を説明する。
物性評価は次の方法で行った。
【0217】
1.ビニル結合量(単位:モル%)
赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm−1付近の吸収強度より重合体のビニル結合量を求めた。
【0218】
2.スチレン単位の含量(単位:質量%)
JIS K6383(1995)に従って、屈折率から重合体のスチレン単位の含量を求めた。
【0219】
3.分子量分布(Mw/Mn)
下記の条件(1)〜(8)でゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定した。そして、測定したMw、Mnから重合体の分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(1)装置:東ソー社製HLC−8020
(2)分離カラム:東ソー社製GMH−XL(2本直列)
(3)測定温度:40℃
(4)キャリア:テトラヒドロフラン
(5)流量:0.6mL/分
(6)注入量:5μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準:標準ポリスチレン
【0220】
4.転がり抵抗
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定した。そして、比較例1の転がり抵抗指数を100とし、以下に示す計算式により、各配合の転がり抵抗を指数表示した。数値が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1の転がり抵抗)/(各配合の転がり抵抗)×100
【0221】
5.ウェットグリップ性能
製造した試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着させ、湿潤アスファルト路面にて、初速度100km/hからの制動距離を測定した。そして、比較例1のウェットグリップ性能指数を100とし、以下に示す計算式により、各配合のウェットスキッド性能(ウェットグリップ性能)を指数表示した。数値が大きいほどウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能指数)=(比較例1の制動距離)/(各配合の制動距離)×100
【0222】
6.耐摩耗性
製造した試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して実車走行させ、30000km走行前後のトレッドパターンの溝深さの変化を測定した。そして、比較例1の耐摩耗性指数を100とし、以下に示す計算式により、各配合の溝深さの変化を指数表示した。数値が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(比較例1の溝深さの変化)/(各配合の溝深さの変化)×100
【0223】
7.操縦安定性
製造した試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して実車走行させ、ドライバーの官能評価により操縦安定性を評価した。評価は、比較例1を6点とし、10点満点で相対評価を行った。操縦安定性の評点が大きいほど、操縦安定性に優れることを示す。
【0224】
8.ゴム肌
未加硫ゴム組成物を押出し成形し、得られたゴムシートのシート形状を目視により以下の基準で評価した。シート形状が悪いほど、作業性(加工性)が低いことを示す。
◎:シート形状は非常に良好
○:シート形状は良好
△:シート形状は悪い
×:シート形状はかなり悪い
【0225】
9.ムーニー粘度
得られた未加硫ゴム組成物について、JIS K6300−1:2001に準拠したムーニー粘度の測定方法に従い、130℃で測定した。比較例1のムーニー粘度(ML1+4)を100とし、下記計算式により指数表示した(ムーニー粘度指数)。数値が大きいほどムーニー粘度が低く、加工性に優れることを示す。
(ムー二粘度指数)=(比較例1のML1+4)/(各配合のML1+4)×100
【0226】
製造例1(重合体1の合成)
内容積20リットルのステンレス製重合反応器内を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換し、ヘキサン(比重0.68g/cm)10.2kg、1,3−ブタジエン547g、スチレン173g、テトラヒドロフラン6.1ml、エチレングリコールジエチルエーテル5.0mlを重合反応容器内に投入した。次に、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン11.1mmol及びn−ブチルリチウム13.1mmolを、それぞれ、シクロヘキサン溶液及びn−ヘキサン溶液として投入し、重合を開始した。
撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とし、単量体を重合反応容器内に連続的に供給しながら、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合を3時間行った。全重合での1,3−ブタジエンの供給量は821g、スチレンの供給量は259gであった。
次に、得られた重合体溶液を130rpmの撹拌速度で撹拌し、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン11.1mmolを添加し、15分間撹拌した。重合体溶液にメタノール0.54mlを含むヘキサン溶液20mlを加えて、更に重合体溶液を5分間撹拌した。
【0227】
重合体溶液に2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGM)1.8g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学(株)製、商品名:スミライザーTP−D)0.9gを加え、次に、スチームストリッピングによって重合体溶液から重合体1を回収した。重合体1の評価結果を表1に示す。なお、重合反応器内への原料の投入量及び供給量から計算した重合体中の式(I)で表される構成単位の含有量は、重合体単位質量あたり0.006mmol/g重合体であった。
【0228】
製造例2(重合体2の合成)
内容積20リットルのステンレス製重合反応器内を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換し、ヘキサン(比重0.68g/cm)10.2kg、1,3−ブタジエン547g、スチレン173g、テトラヒドロフラン6.1ml、エチレングリコールジエチルエーテル5.0mlを重合反応容器内に投入した。次に、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン11.1mmol及びn−ブチルリチウム13.1mmolを、それぞれ、シクロヘキサン溶液及びn−ヘキサン溶液として投入し、重合を開始した。
撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とし、単量体を重合反応容器内に連続的に供給しながら、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合を3時間行った。全重合での1,3−ブタジエンの供給量は821g、スチレンの供給量は259gであった。
次に、得られた重合体溶液を130rpmの撹拌速度で撹拌し、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン11.1mmolを添加し、15分間撹拌した。重合体溶液にメタノール0.54mlを含むヘキサン溶液20mlを加えて、更に重合体溶液を5分間撹拌した。
【0229】
重合体溶液に2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGM)1.8g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学(株)製、商品名:スミライザーTP−D)0.9gを加え、次に、重合体溶液を、常温、24時間で蒸発させ、更に55℃で12時間減圧乾燥し、重合体2を得た。重合体2の評価結果を表1に示す。なお、重合反応器内への原料の投入量及び供給量から計算した重合体中の式(I)で表される構成単位の含有量は、重合体単位質量あたり0.006mmol/g重合体であった。
【0230】
製造例3(重合体3(非変性SBR)の合成)
内容積20リットルのステンレス製重合反応器内を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換し、ヘキサン(比重0.68g/cm)10.2kg、1,3−ブタジエン547g、スチレン173g、テトラヒドロフラン6.1ml、エチレングリコールジエチルエーテル5.0mlを重合反応容器内に投入した。次に、n−ブチルリチウム13.1mmolをn−ヘキサン溶液として投入し、重合を開始した。
撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とし、単量体を重合反応容器内に連続的に供給しながら、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合を3時間行った。全重合での1,3−ブタジエンの供給量は821g、スチレンの供給量は259gであった。
次に、重合体溶液にメタノール0.54mlを含むヘキサン溶液20mlを加えて、更に重合体溶液を5分間撹拌した。
【0231】
重合体溶液に2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGM)1.8g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学(株)製、商品名:スミライザーTP−D)0.9gを加え、次に、スチームストリッピングによって重合体溶液から重合体3を回収した。重合体3の評価結果を表1に示す。なお、重合体3は合成時に式(III)で表される化合物を使用しなかったため、式(I)で表される構成単位を含有していなかった。
【0232】
【表1】

【0233】
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150B
重合体1〜3:上記製造例1〜3
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3−G(NSA:175m/g)
シランカップリング剤1:デグッサ社製のSi363(下記式で表される化合物)
【化23】

シランカップリング剤2:Momentive社製のNXT−Z45(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%))
シランカップリング剤3:デグッサ社製のSi69
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN339(NSA:96m/g、DBP吸収量:124ml/100g)
アミド化合物:Schill+Seilacher社製のHT254(脂肪酸アミド系加工助剤(脂肪酸アミド(上記式(1)で表される化合物(N−(1−オキソオクタデシル)サルコシン))とアミノ酸誘導体の混合物)(脂肪酸アミドの含有率:25〜50質量%))
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルAH−25
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン3C
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:住友化学(株)製のソクシノールCZ
加硫促進剤2:住友化学(株)製のソクシノールD
【0234】
(実施例及び比較例)
表2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成した後、170℃で12分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
【0235】
得られた未加硫ゴム組成物及び試験用タイヤを使用して、上記試験方法により評価を行った。それぞれの試験結果を表2に示す。
【0236】
【表2】

【0237】
表2に示すように、共役ジエンに基づく構成単位及び上記式(I)で表される構成単位を有し、かつ上記式(II)で表される化合物によって末端が変性された重合体(重合体1、2)と、シリカと、アミド化合物(HT254)とを併用した実施例は、比較例に比べて、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性及び加工性がバランス良く改善された。また、ムーニー粘度は問題ないレベルであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分、シリカ及び下式(1)で表される化合物を含有し、
前記ゴム成分100質量%のうち、共役ジエンに基づく構成単位と下式(I)で表される構成単位とを有し、下式(II)で表される化合物によって重合体の少なくとも一端が変性されてなる共役ジエン系重合体の含有量が5質量%以上であり、
前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が5〜150質量部であることを特徴とするゴム組成物。
【化1】

[式中、X、X及びXは、それぞれ独立に、下式(Ia)で表される基、水酸基、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基を表し、X、X及びXの少なくとも1つが、下式(Ia)で表される基又は水酸基である。]
【化2】

[式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基、シリル基又は置換シリル基を表し、R及びRは結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよい。]
【化3】

[式中、nは1〜10の整数を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜4のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜4のヒドロカルビルオキシ基を表し、R、R及びRの少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、Aは窒素原子を有する官能基を表す。]
【化4】

[式中、R11は、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は水酸基を表す。R12及びR13は、同一若しくは異なって、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は下式(2)で表される基を表し、該アルキル基、該アルケニル基、該アルキニル基、該アリール基が有する水素原子が水酸基又はカルボキシル基で置換されていてもよい。R11とR12、R11とR13、又はR12とR13とで環構造を形成してもよい。pは、0〜8の整数を表す。]
【化5】

[式中、R14は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基を表す。R15は、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は水酸基を表す。qは、0〜10の整数を表す。]
【請求項2】
式(Ia)のR及びRが炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
式(I)のX、X及びXの2つが式(Ia)で表される基又は水酸基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
式(II)のAが下式(IIa)で表される基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
【化6】

[式中、R及びRは、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜6の基を表し、R及びRは結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよく、R及びRは窒素に二重結合で結合する同一の基であってもよい。]
【請求項5】
共役ジエン系重合体のビニル結合量が、共役ジエンに基づく構成単位の含有量を100モル%として、10モル%以上80モル%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項6】
天然ゴム及び/又はブタジエンゴムを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項7】
シリカのチッ素吸着比表面積が40〜400m/gであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項8】
シリカ100質量部に対する式(1)で表される化合物の含有量が0.1〜20質量部であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項9】
メルカプト基を有するシランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項10】
メルカプト基を有するシランカップリング剤が、下式(3)で表される化合物、及び/又は下式(4)で示される結合単位Aと下式(5)で示される結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合した化合物であることを特徴とする請求項9に記載のゴム組成物。
【化7】

[式中、R101は−O−(R111−O)−R112(z個のR111は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。R112は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。zは1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R102及びR103は、同一若しくは異なって、R101と同一の基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基又は−O−R113(R113は水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。)で表される基を表す。R104は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基を表す。]
【化8】

【化9】

[式中、x、yはそれぞれ1以上の整数である。R201は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基若しくはアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基若しくはアルキニレン基、又は該アルキル基若しくは該アルケニル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。R202は水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基若しくはアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基若しくはアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基若しくはアルキニル基を示す。R201とR202とで環構造を形成してもよい。]
【請求項11】
トレッド用ゴム組成物として用いられることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。

【公開番号】特開2013−14732(P2013−14732A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150306(P2011−150306)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】