ゴム組成物
【課題】水分や埃の侵入を防ぎ、さらにはHDDの周辺機器や動作雰囲気中に微量に含まれるシロキサンガスなどのガス遮蔽性にすぐれ、ガスケット成形材料などとして好適に用いられるゴム組成物を提供する。
【解決手段】ゴム100重量部当り、活性炭フィラー20〜70重量部を含有せしめたゴム組成物。このゴム組成物より得られる成形品は、シロキサンガスなどを吸着可能な活性炭フィラーをゴムに配合することにより、ゴムを透過するガスをゴム材料内部にて物理的吸着によりトラップするので、低コストでありながらマイカ等の扁平状充填剤を配合した場合と同等以上のガス遮蔽性にすぐれるといったすぐれた効果を奏する。
【解決手段】ゴム100重量部当り、活性炭フィラー20〜70重量部を含有せしめたゴム組成物。このゴム組成物より得られる成形品は、シロキサンガスなどを吸着可能な活性炭フィラーをゴムに配合することにより、ゴムを透過するガスをゴム材料内部にて物理的吸着によりトラップするので、低コストでありながらマイカ等の扁平状充填剤を配合した場合と同等以上のガス遮蔽性にすぐれるといったすぐれた効果を奏する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物に関する。更に詳しくは、ガスケットの成形材料などとして好適に用いられるゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、例えばハードディスクドライブ(HDD)用ガスケット材においては、水分や埃の侵入を防ぐことに加えて、HDDの周辺機器や動作雰囲気中に微量に含まれるシロキサンガスなどの反応性ガスのガス遮蔽性が求められる。かかる要求に対して、出願人は先にEPDMをベースポリマーとし、これにマイカなどの扁平状充填剤を配合し、流路延長効果を利用してガス透過時間の遅延を可能とする成形品を与え得るゴム組成物を提案している。しかしながら、扁平状充填剤はガス遮蔽効果は高いものの、原料コストが一般の補強性充填剤に比べて高く、また配合時の混練性も悪くなるといった問題があった。
【特許文献1】特開2005−255924号公報
【特許文献2】特開2003−301072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、水分や埃の侵入を防ぎ、さらにはHDDの周辺機器や動作雰囲気中に微量に含まれるシロキサンガスなどのガス遮蔽性にすぐれ、ガスケット成形材料などとして好適に用いられるゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
かかる本発明の目的は、ゴム100重量部当り、活性炭フィラー20〜70重量部を含有せしめたゴム組成物によって達成される。
【発明の効果】
【0005】
本発明のゴム組成物より得られる成形品は、シロキサンガスなどを吸着可能な活性炭フィラーをゴムに配合することにより、ゴムを透過するガスをゴム材料内部にて物理的吸着によりトラップするので、低コストでありながらマイカ等の扁平状充填剤を配合した場合と同等以上のガス遮蔽性にすぐれるといったすぐれた効果を奏する。具体的には、後記シロキサンガス透過性試験法によれば、活性炭のみを用いた場合には、その透過量はマイカ等と同程度の5ng以下、また活性炭を可塑剤、扁平状充填剤と併用した場合にはその透過量は2ng以下となる。また、配合される活性炭フィラー量は実使用におけるガス量を考慮して、十分な吸着容量となるように規定されているので、ガス透過量の経時的変化もみられない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
ゴムとしては、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマーのいずれも用いることができ、例えばHDDガスケット素材として用いられるEPDM、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、好ましくはEPDM、オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることができる。
【0007】
EPDMとしては、プロピレンと共重合されるエチレン含有量が45〜80重量%であり、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどのジエン成分を少量共重合させたものが用いられ、実際には市販品、例えば三井化学製品EPTシリーズのものなどがそのまま用いられる。また、液状のEPDMを用いることもできる。
【0008】
活性炭フィラーとしては、シロキサンガスなどの活性吸着能を有する活性炭であればヤシ系、石炭系、木質系などその種類は特に限定されないが、粒子径が大きすぎると分散性あるいはガスケットとしての強度を低下させるので、好ましくは100メッシュ(JIS Z8801準拠)以下の粒子径のものが用いられる。また、配合量は、ゴム100重量部当り20〜70重量部、好ましくは30〜50重量部の割合で用いられる。活性炭フィラーの割合がこれより少ないと、シロキサンガス遮蔽性に劣り、一方これより多い割合で用いられると加工性やゴム硬度の点で問題となる。
【0009】
以上の各必須成分に加えて、好ましくは通常ゴムに用いられる可塑剤、活性炭フィラー以外の充填剤が添加される。特にEPDMゴム組成物の場合には、活性炭フィラーとプロセスオイルなどの可塑剤を添加した系では、活性炭フィラーのみの添加系と比べてさらなる遮蔽性の向上がみられる。
【0010】
可塑剤としては、通常のゴムに使用されるものであれば特に制限なく使用することができ、例えばプロセスオイル、潤滑油、パラフィン系オイルなどの石油系軟化剤、ひまし油、あまに油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバセートなどのエステル系可塑剤、炭化水素系オリゴマー、ポリαオレフィン、拡散ポンプ油など、好ましくは特に耐熱アウトガス性に優れた重量平均分子量Mw=500以上の高分子量プロセスオイル、例えば市販品である出光興産製品PW380がそのまま用いられる。かかる可塑剤は、ゴム100重量部当り120重量部以下、好ましくは20〜60重量部の割合で用いられる。
【0011】
活性炭フィラー以外の充填剤としては、カーボンブラック、シリカなどの公知の充填剤を用いることができる。ここで、タルク、セリサイトなどの層状鉱物あるいはグラファイト、ミストロンベーパーなどのリン片状黒鉛である扁平状充填剤をさらに用いることにより、さらなるガス遮蔽性を達成せしめることができる。かかる扁平状充填剤は、ゴム100重量部当り40重量部以下、好ましくは5〜20重量部の割合で用いられる。
【0012】
以上の各成分は、混練機、例えばロール、バンバリーミキサ、プラベンダ、ニーダ、高剪断型ミキサ、一軸押出機、二軸押出機などを用いて混練りし、過酸化物架橋の場合にはジクミルパーオキサイド、ジ第3ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン-3などの有機過酸化物架橋剤、架橋助剤、アミン-ケトン系またはイミダゾール類、例えば2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体などの老化防止剤または酸化亜鉛、ハイドロタルサイト等の受酸剤などを添加し、これら必要な成分を同時に混合、混練りし、例えば射出成形、押出成形、圧縮成形、FIPG方式ディスペンサー成形など公知の方法により所望の形状に成形される。過酸化物架橋の場合には、約150〜220℃で約1〜30分間程度加熱される。また、必要に応じて、約100〜200℃で約0.5〜15時間程度の二次架橋も行われる。特にガスケット材料の場合には、化学的架橋剤または電子線や紫外線等の物理的架橋方法により架橋されている必要がある。
【0013】
得られた加硫ゴムは、ガスケット用途、特にハードディスクドライブ用ガスケットという用途の観点から硬度(JIS デュロメータ タイプA)が80未満であることが好ましく、一般には30〜70程度の硬度の加硫物とされる。
【実施例】
【0014】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0015】
実施例1
EPDMポリマー(三井化学製品EPT3045) 100重量部
MTカーボンブラック(N989) 10 〃
ヤシ系活性炭フィラー 40 〃
(クラレケミカル製品PK-D;粒子径100メッシュ)
酸化亜鉛 3 〃
老化防止剤(大内新興化学工業製品ノクラックMB) 1 〃
老化防止剤(同社製品224-S) 0.5 〃
トリアリルイソシアヌレート 2 〃
有機過酸化物(日本油脂製品パークミルD) 3 〃
以上の各成分を、モリヤマ製ニーダを用いて混練を行い、未加硫生地を得た後、圧縮成形機を用い、温度180℃、圧縮時間6分間の条件下でプレス架橋し、さらにこれを加熱オーブンにて150℃、5時間の熱処理を加え、厚さ2mmおよび1mmの炭化水素骨格の架橋ゴム状弾性体テストシートを成形した。このテストシートを用いて、硬度およびシロキサンガス透過性試験を行い、また未加硫生地についての成形性の判定を行った。
〔硬度〕
厚さ2mmのテストシートを3枚重ね合せ、JIS K6253に準拠して測定
〔シロキサンガス透過性試験〕
内径27mm、奥行50mmの円筒状のアルミニウム容器に、オクタメチルシクロテトラシロキサン1000ppmを導入し、直径30mm、厚さ1mmに調製したテストピースを挟んで、内径27mmの開口部を有するSUS製の中空の蓋で固定し、60℃、24時間放置後のシロキサンガス透過量を測定
【0016】
実施例2
実施例1において、ヤシ系活性炭の代わりに石炭系活性炭フィラー(クラレケミカル製品PDX-1;粒子径100メッシュ)が同量用いられた。
【0017】
実施例3
実施例1において、ヤシ系活性炭の代わりに木質系活性炭フィラー(クラレケミカル製品PW-D;粒子径100メッシュ)が同量用いられた。
【0018】
実施例4
実施例1において、さらにプロセスオイル(PW380)30重量部が用いられた。
【0019】
実施例5
実施例2において、さらにプロセスオイル(PW380)30重量部が用いられた。
【0020】
実施例6
実施例3において、さらにプロセスオイル(PW380)30重量部が用いられた。
【0021】
実施例7
実施例4において、MTカーボンブラックの代わりにセリサイト(斐川マイカZ20)が同量用いられた。
【0022】
以上の各実施例で得られた結果は、次の表1に示される。
表1
実施例
測定・評価項目 1 2 3 4 5 6 7
硬度 (ポイント) 68 69 68 58 59 58 57
シリコンガス遮蔽性 (ng) 4.9 4.5 4.5 1.9 1.3 1.5 1.5
【0023】
比較例1
実施例1において、活性炭フィラー量が10重量部に変更されて用いられた。
【0024】
比較例2
実施例2において、活性炭フィラー量が10重量部に変更されて用いられた。
【0025】
比較例3
実施例3において、活性炭フィラー量が10重量部に変更されて用いられた。
【0026】
比較例4
実施例1において、活性炭フィラーの代わりにSRFカーボンブラック(東海カーボン製品シーストS)が同量用いられた。
【0027】
比較例5
実施例1において、MTカーボンブラック量が50重量部に変更され、また活性炭フィラーが用いられなかった。
【0028】
比較例6
実施例4において、MTカーボンブラック量が50重量部に変更され、また活性炭フィラーが用いられなかった。
【0029】
比較例7
実施例1において、活性炭フィラーが用いられず、セリサイト(Z20)10重量部が用いられた。
【0030】
参考例1
実施例1において、活性炭フィラーが用いられず、セリサイト(Z20)40重量部が用いられた。
【0031】
参考例2
実施例4において、活性炭フィラーが用いられず、マイカ(斐川マイカZ20)40重量部が用いられた。
【0032】
以上の比較例および参考例で得られた結果は、次の表2に示される。
表2
比較例 参考例
測定・評価項目 1 2 3 4 5 6 7 1 2
硬度 (ポイント) 48 49 48 65 61 46 47 67 57
シリコンガス遮蔽性 (ng) 13.3 13.6 13.1 12.0 10.1 11.5 9.5 4.7 3.4
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のゴム組成物より得られる成形品は、低コストでありながらシロキサンガスなどのガス遮蔽性にすぐれているため、ハードディスクドライブ用ガスケットなど精密機器に装着されるガスケットとして有効に用いられる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物に関する。更に詳しくは、ガスケットの成形材料などとして好適に用いられるゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、例えばハードディスクドライブ(HDD)用ガスケット材においては、水分や埃の侵入を防ぐことに加えて、HDDの周辺機器や動作雰囲気中に微量に含まれるシロキサンガスなどの反応性ガスのガス遮蔽性が求められる。かかる要求に対して、出願人は先にEPDMをベースポリマーとし、これにマイカなどの扁平状充填剤を配合し、流路延長効果を利用してガス透過時間の遅延を可能とする成形品を与え得るゴム組成物を提案している。しかしながら、扁平状充填剤はガス遮蔽効果は高いものの、原料コストが一般の補強性充填剤に比べて高く、また配合時の混練性も悪くなるといった問題があった。
【特許文献1】特開2005−255924号公報
【特許文献2】特開2003−301072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、水分や埃の侵入を防ぎ、さらにはHDDの周辺機器や動作雰囲気中に微量に含まれるシロキサンガスなどのガス遮蔽性にすぐれ、ガスケット成形材料などとして好適に用いられるゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
かかる本発明の目的は、ゴム100重量部当り、活性炭フィラー20〜70重量部を含有せしめたゴム組成物によって達成される。
【発明の効果】
【0005】
本発明のゴム組成物より得られる成形品は、シロキサンガスなどを吸着可能な活性炭フィラーをゴムに配合することにより、ゴムを透過するガスをゴム材料内部にて物理的吸着によりトラップするので、低コストでありながらマイカ等の扁平状充填剤を配合した場合と同等以上のガス遮蔽性にすぐれるといったすぐれた効果を奏する。具体的には、後記シロキサンガス透過性試験法によれば、活性炭のみを用いた場合には、その透過量はマイカ等と同程度の5ng以下、また活性炭を可塑剤、扁平状充填剤と併用した場合にはその透過量は2ng以下となる。また、配合される活性炭フィラー量は実使用におけるガス量を考慮して、十分な吸着容量となるように規定されているので、ガス透過量の経時的変化もみられない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
ゴムとしては、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマーのいずれも用いることができ、例えばHDDガスケット素材として用いられるEPDM、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、好ましくはEPDM、オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることができる。
【0007】
EPDMとしては、プロピレンと共重合されるエチレン含有量が45〜80重量%であり、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどのジエン成分を少量共重合させたものが用いられ、実際には市販品、例えば三井化学製品EPTシリーズのものなどがそのまま用いられる。また、液状のEPDMを用いることもできる。
【0008】
活性炭フィラーとしては、シロキサンガスなどの活性吸着能を有する活性炭であればヤシ系、石炭系、木質系などその種類は特に限定されないが、粒子径が大きすぎると分散性あるいはガスケットとしての強度を低下させるので、好ましくは100メッシュ(JIS Z8801準拠)以下の粒子径のものが用いられる。また、配合量は、ゴム100重量部当り20〜70重量部、好ましくは30〜50重量部の割合で用いられる。活性炭フィラーの割合がこれより少ないと、シロキサンガス遮蔽性に劣り、一方これより多い割合で用いられると加工性やゴム硬度の点で問題となる。
【0009】
以上の各必須成分に加えて、好ましくは通常ゴムに用いられる可塑剤、活性炭フィラー以外の充填剤が添加される。特にEPDMゴム組成物の場合には、活性炭フィラーとプロセスオイルなどの可塑剤を添加した系では、活性炭フィラーのみの添加系と比べてさらなる遮蔽性の向上がみられる。
【0010】
可塑剤としては、通常のゴムに使用されるものであれば特に制限なく使用することができ、例えばプロセスオイル、潤滑油、パラフィン系オイルなどの石油系軟化剤、ひまし油、あまに油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバセートなどのエステル系可塑剤、炭化水素系オリゴマー、ポリαオレフィン、拡散ポンプ油など、好ましくは特に耐熱アウトガス性に優れた重量平均分子量Mw=500以上の高分子量プロセスオイル、例えば市販品である出光興産製品PW380がそのまま用いられる。かかる可塑剤は、ゴム100重量部当り120重量部以下、好ましくは20〜60重量部の割合で用いられる。
【0011】
活性炭フィラー以外の充填剤としては、カーボンブラック、シリカなどの公知の充填剤を用いることができる。ここで、タルク、セリサイトなどの層状鉱物あるいはグラファイト、ミストロンベーパーなどのリン片状黒鉛である扁平状充填剤をさらに用いることにより、さらなるガス遮蔽性を達成せしめることができる。かかる扁平状充填剤は、ゴム100重量部当り40重量部以下、好ましくは5〜20重量部の割合で用いられる。
【0012】
以上の各成分は、混練機、例えばロール、バンバリーミキサ、プラベンダ、ニーダ、高剪断型ミキサ、一軸押出機、二軸押出機などを用いて混練りし、過酸化物架橋の場合にはジクミルパーオキサイド、ジ第3ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン-3などの有機過酸化物架橋剤、架橋助剤、アミン-ケトン系またはイミダゾール類、例えば2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体などの老化防止剤または酸化亜鉛、ハイドロタルサイト等の受酸剤などを添加し、これら必要な成分を同時に混合、混練りし、例えば射出成形、押出成形、圧縮成形、FIPG方式ディスペンサー成形など公知の方法により所望の形状に成形される。過酸化物架橋の場合には、約150〜220℃で約1〜30分間程度加熱される。また、必要に応じて、約100〜200℃で約0.5〜15時間程度の二次架橋も行われる。特にガスケット材料の場合には、化学的架橋剤または電子線や紫外線等の物理的架橋方法により架橋されている必要がある。
【0013】
得られた加硫ゴムは、ガスケット用途、特にハードディスクドライブ用ガスケットという用途の観点から硬度(JIS デュロメータ タイプA)が80未満であることが好ましく、一般には30〜70程度の硬度の加硫物とされる。
【実施例】
【0014】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0015】
実施例1
EPDMポリマー(三井化学製品EPT3045) 100重量部
MTカーボンブラック(N989) 10 〃
ヤシ系活性炭フィラー 40 〃
(クラレケミカル製品PK-D;粒子径100メッシュ)
酸化亜鉛 3 〃
老化防止剤(大内新興化学工業製品ノクラックMB) 1 〃
老化防止剤(同社製品224-S) 0.5 〃
トリアリルイソシアヌレート 2 〃
有機過酸化物(日本油脂製品パークミルD) 3 〃
以上の各成分を、モリヤマ製ニーダを用いて混練を行い、未加硫生地を得た後、圧縮成形機を用い、温度180℃、圧縮時間6分間の条件下でプレス架橋し、さらにこれを加熱オーブンにて150℃、5時間の熱処理を加え、厚さ2mmおよび1mmの炭化水素骨格の架橋ゴム状弾性体テストシートを成形した。このテストシートを用いて、硬度およびシロキサンガス透過性試験を行い、また未加硫生地についての成形性の判定を行った。
〔硬度〕
厚さ2mmのテストシートを3枚重ね合せ、JIS K6253に準拠して測定
〔シロキサンガス透過性試験〕
内径27mm、奥行50mmの円筒状のアルミニウム容器に、オクタメチルシクロテトラシロキサン1000ppmを導入し、直径30mm、厚さ1mmに調製したテストピースを挟んで、内径27mmの開口部を有するSUS製の中空の蓋で固定し、60℃、24時間放置後のシロキサンガス透過量を測定
【0016】
実施例2
実施例1において、ヤシ系活性炭の代わりに石炭系活性炭フィラー(クラレケミカル製品PDX-1;粒子径100メッシュ)が同量用いられた。
【0017】
実施例3
実施例1において、ヤシ系活性炭の代わりに木質系活性炭フィラー(クラレケミカル製品PW-D;粒子径100メッシュ)が同量用いられた。
【0018】
実施例4
実施例1において、さらにプロセスオイル(PW380)30重量部が用いられた。
【0019】
実施例5
実施例2において、さらにプロセスオイル(PW380)30重量部が用いられた。
【0020】
実施例6
実施例3において、さらにプロセスオイル(PW380)30重量部が用いられた。
【0021】
実施例7
実施例4において、MTカーボンブラックの代わりにセリサイト(斐川マイカZ20)が同量用いられた。
【0022】
以上の各実施例で得られた結果は、次の表1に示される。
表1
実施例
測定・評価項目 1 2 3 4 5 6 7
硬度 (ポイント) 68 69 68 58 59 58 57
シリコンガス遮蔽性 (ng) 4.9 4.5 4.5 1.9 1.3 1.5 1.5
【0023】
比較例1
実施例1において、活性炭フィラー量が10重量部に変更されて用いられた。
【0024】
比較例2
実施例2において、活性炭フィラー量が10重量部に変更されて用いられた。
【0025】
比較例3
実施例3において、活性炭フィラー量が10重量部に変更されて用いられた。
【0026】
比較例4
実施例1において、活性炭フィラーの代わりにSRFカーボンブラック(東海カーボン製品シーストS)が同量用いられた。
【0027】
比較例5
実施例1において、MTカーボンブラック量が50重量部に変更され、また活性炭フィラーが用いられなかった。
【0028】
比較例6
実施例4において、MTカーボンブラック量が50重量部に変更され、また活性炭フィラーが用いられなかった。
【0029】
比較例7
実施例1において、活性炭フィラーが用いられず、セリサイト(Z20)10重量部が用いられた。
【0030】
参考例1
実施例1において、活性炭フィラーが用いられず、セリサイト(Z20)40重量部が用いられた。
【0031】
参考例2
実施例4において、活性炭フィラーが用いられず、マイカ(斐川マイカZ20)40重量部が用いられた。
【0032】
以上の比較例および参考例で得られた結果は、次の表2に示される。
表2
比較例 参考例
測定・評価項目 1 2 3 4 5 6 7 1 2
硬度 (ポイント) 48 49 48 65 61 46 47 67 57
シリコンガス遮蔽性 (ng) 13.3 13.6 13.1 12.0 10.1 11.5 9.5 4.7 3.4
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のゴム組成物より得られる成形品は、低コストでありながらシロキサンガスなどのガス遮蔽性にすぐれているため、ハードディスクドライブ用ガスケットなど精密機器に装着されるガスケットとして有効に用いられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム100重量部当り、活性炭フィラー20〜70重量部を含有せしめてなるゴム組成物。
【請求項2】
活性炭フィラーの粒子径(JIS Z8801準拠)が100メッシュ以下である請求項1記載のゴム組成物。
【請求項3】
ゴムが、天然ゴム、合成ゴムまたは熱可塑性エラストマーである請求項1または2記載のゴム組成物。
【請求項4】
合成ゴムが、EPDMである請求項3記載のゴム組成物。
【請求項5】
さらに可塑剤をゴム100重量部当り、120重量部以下の割合で含有してなる請求項1記載のゴム組成物。
【請求項6】
さらに扁平状充填剤をゴム100重量部当り、40重量部以下の割合で含有してなる請求項1記載のゴム組成物。
【請求項7】
ガスケット成形材料として用いられる請求項1、5または6記載のゴム組成物。
【請求項8】
請求項7記載のゴム組成物から加硫成形されたガスケット。
【請求項9】
ハードディスクドライブ用ガスケットである請求項8記載のガスケット。
【請求項10】
硬度(JIS デュロメータ タイプA)が80未満である請求項8または9記載のガスケット。
【請求項11】
シロキサンガスのガス遮蔽性が求められる用途に用いられる請求項8または9記載のガスケット。
【請求項1】
ゴム100重量部当り、活性炭フィラー20〜70重量部を含有せしめてなるゴム組成物。
【請求項2】
活性炭フィラーの粒子径(JIS Z8801準拠)が100メッシュ以下である請求項1記載のゴム組成物。
【請求項3】
ゴムが、天然ゴム、合成ゴムまたは熱可塑性エラストマーである請求項1または2記載のゴム組成物。
【請求項4】
合成ゴムが、EPDMである請求項3記載のゴム組成物。
【請求項5】
さらに可塑剤をゴム100重量部当り、120重量部以下の割合で含有してなる請求項1記載のゴム組成物。
【請求項6】
さらに扁平状充填剤をゴム100重量部当り、40重量部以下の割合で含有してなる請求項1記載のゴム組成物。
【請求項7】
ガスケット成形材料として用いられる請求項1、5または6記載のゴム組成物。
【請求項8】
請求項7記載のゴム組成物から加硫成形されたガスケット。
【請求項9】
ハードディスクドライブ用ガスケットである請求項8記載のガスケット。
【請求項10】
硬度(JIS デュロメータ タイプA)が80未満である請求項8または9記載のガスケット。
【請求項11】
シロキサンガスのガス遮蔽性が求められる用途に用いられる請求項8または9記載のガスケット。
【公開番号】特開2009−1737(P2009−1737A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166142(P2007−166142)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】
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