説明

ゴム組成物

【課題】タイヤ製造に用いられる加硫ゴムが有する粘弾性特性を改善させるためのゴム組成物が求められていた。
【解決手段】式(I)で表される化合物とゴム成分と充填剤とを含むゴム組成物。[Aは、置換基を有していてもよいアルカンジイル基、置換基を有していてもよいシクロアルカンジイル基、又は、−B−Ar−B−基を表し、アルカンジイル基に含まれる−CH−は−NH−、−O−又は−S−で置き換わっていてもよい。B及びBは単結合又はアルカンジイル基を表す。Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表す。Xは、−CO−NH−、−CO−O−、−CO−又は単結合を表す。R及びRは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基を表すか、互いに結合してアルカンジイル基を形成する。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の要請から、自動車の燃費向上(すなわち、低燃費化)が求められている。そして、自動車用タイヤの分野においては、タイヤ製造に用いられる加硫ゴムが有する粘弾性特性を改善させることにより、自動車の燃費が向上することが知られている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】日本ゴム協会編「ゴム技術入門」丸善株式会社、124頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のゴム組成物では、ゴム組成物から得られる加硫ゴムの粘弾性特性が必ずしも十分に満足できるものではない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
[1] 式(I)で表される化合物とゴム成分と充填剤とを含むゴム組成物。

[式(I)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基、又は、−B−Ar−B−基を表し、炭素数2〜12のアルカンジイル基に含まれる−CH−は−NH−、−O−又は−S−で置き換わっていてもよく、*はXとの結合手を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
Arは、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。
は、−CO−NH−、−CO−O−、−CO−又は単結合を表し、*はAとの結合手を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表すか、互いに結合して炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する。]
【0006】
[2] R及びRが、水素原子である[1]記載のゴム組成物。
【0007】
[3] Aが、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基である[1]又は[2]記載のゴム組成物。
【0008】
[4] Xが単結合を表し、A−B−Ar−B−基(Bが単結合を表し、Bが単結合又はアルキレン基を表す。)を表す[1]〜[3]のいずれか記載のゴム組成物。
【0009】
[5] ゴム成分が、天然ゴムである[1]〜[4]のいずれか記載のゴム組成物。
【0010】
[6] さらに、硫黄成分を含む[1]〜[5]のいずれか記載のゴム組成物。
【0011】
[7] [6]記載のゴム組成物を熱処理して得られる加硫ゴム。
【0012】
[8] [6]記載のゴム組成物を加工して製造されるタイヤ。
【0013】
[9] [7]記載の加硫ゴムで被覆されたスチールコードを含むタイヤ用ベルト。
【0014】
[10] [7]記載の加硫ゴムで被覆されたカーカス繊維コードを含むタイヤ用カーカス。
【0015】
[11] [7]記載の加硫ゴムを含むタイヤ用サイドウォール、タイヤ用インナーライナー、タイヤ用キャップトレッド又はタイヤ用アンダートレッド。
【0016】
[12] [7]記載の加硫ゴムを含むタイヤ。
【0017】
[13] 式(I)で表される化合物とゴム成分と充填剤と硫黄成分とを混練する工程と、前工程により得られた混練物を熱処理する工程とを有する加硫ゴムが有する粘弾性特性の改善方法。

[式(I)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基、又は、−B−Ar−B−基を表し、炭素数2〜12のアルカンジイル基に含まれる−CH−は−NH−、−O−又は−S−で置き換わっていてもよく、*はXとの結合手を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
Arは、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。
は、−CO−NH−、−CO−O−、−CO−又は単結合を表し、*はAとの結合手を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表すか、互いに結合して炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する。]
【0018】
[14] 加硫ゴムが有する粘弾性特性を改善させるための式(I)で表される化合物の使用。

[式(I)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基、又は、−B−Ar−B−基を表し、炭素数2〜12のアルカンジイル基に含まれる−CH−は−NH−、−O−又は−S−で置き換わっていてもよく、*はXとの結合手を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
Arは、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。
は、−CO−NH−、−CO−O−、−CO−又は単結合を表し、*はAとの結合手を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表すか、互いに結合して炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する。]
【0019】
[15] 式(I)で表される化合物を有効成分として含有する加硫ゴム粘弾性特性改善剤。

[式(I)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基、又は、−B−Ar−B−基を表し、炭素数2〜12のアルカンジイル基に含まれる−CH−は−NH−、−O−又は−S−で置き換わっていてもよく、*はXとの結合手を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
Arは、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。
は、−CO−NH−、−CO−O−、−CO−又は単結合を表し、*はAとの結合手を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表すか、互いに結合して炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する。]
【発明の効果】
【0020】
本発明のゴム組成物によれば、ゴム組成物から得られる加硫ゴムの粘弾性特性を改善させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明において「粘弾性特性を改善させる」とは、例えば、後述の加硫ゴムの損失係数(tanδ)を改変させること等をいう。
【0022】
<式(I)で示される化合物(以下、「化合物(I)」という場合がある。)>
化合物(I)に含まれる二つの−X−A−NH基は、同一の基を表す。
における炭素数2〜12のアルカンジイル基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の直鎖状のアルカンジイル基;イソプロピレン基、イソブチレン基、2−メチルトリメチレン基、イソペンチレン基、イソへキシレン基、イソオクチレン基、2−エチルへキシレン基、イソデシレン基等の分岐状のアルカンジイル基;が挙げられる。中でも、アルカンジイル基の炭素数は3〜12が好ましく、3〜6がより好ましい。また、直鎖状のアルカンジイル基(ポリメチレン基)が好ましい。
【0023】
アルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素等のハロゲン原子、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。置換基を有するアルカンジイル基としては、例えば以下の基が挙げられる。*は結合手を表す。

【0024】
炭素数2〜12のアルカンジイル基に含まれる−CH−は−NH−、−O−又は−S−で置き換わっていてもよい。アルカンジイル基に含まれる−CH−は−NH−、−O−又は−S−で置き換わる場合、アルカンジイルの炭素数は3〜12であることが好ましく、−NH基、−X−基と結合する−CH−は、−NH−、−O−又は−S−で置き換わらない。アルカンジイル基に含まれる−CH−が−NH−、−O−又は−S−で置き換わる場合、ヘテロ原子同士が互いに隣り合うことはない。
−NH−、−O−又は−S−を含むアルカンジイル基としては、例えば下記の基が挙げられる。*は結合手を表す。

【0025】
における炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロドデシレン基等が挙げられる。
炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基等の炭素数1〜7のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数3〜4のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等の炭素数7〜11のアリールオキシカルボニル基;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等の炭素数2〜7のアシルオキシ基;等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基としては、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、メチルシクロヘキシレン基、t−ブチルシクロヘキシレン基が好ましい。
【0026】
及びBにおける炭素数1〜6のアルカンジイル基としては、上記の炭素数2〜12のアルカンジイル基のうち炭素数2〜6のアルカンジイル基と同じものと、メチレン基とが挙げられる。
Arにおける炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等が挙げられる。
【0027】
炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホ基、ハロゲン原子、−COM、−SOM(Mは、Na等のアルカリ金属、NH等の有機塩基類のカチオンを表す。)等が挙げられる。
【0028】
としては、炭素数2〜12のアルカンジイル基又は−B−Ar−B−基が好ましく、−B’−Ar’−B’−基(B’は単結合を表し、Ar’はフェニレン基を表し、B’は単結合又はメチレン基を表し、*はXとの結合手を表す。)がより好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
は、−CO−NH−、−CO−O−、−CO−又は単結合を表し、*はAとの結合手を表す。Xは、−CO−NH−又は単結合であることが好ましい。
【0029】
及びRにおけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。
及びRにおける炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
及びRにおける炭素数6〜12のアリール基としては、炭素数6〜12の単環式又は縮合多環式芳香族炭化水素を示し、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
及びRにおける炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
及びRが、互いに結合して形成する炭素数1〜12のアルカンジイル基としては上記と同じ基が挙げられ、炭素数3又は4のアルカンジイル基であることが好ましい。また、R及びRが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に形成する環状構造としては、例えばシクロペンテン環、シクロヘキセン環等が挙げられる。
が水素原子であり、Rが水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、R及びRが水素原子であることがより好ましい。
【0030】
以下に化合物(I)の具体例を示す。

【0031】

【0032】
化合物(I)は、メタノール、エタノール等の低級アルコール又は水とともに溶媒和物を形成していてもよい。
化合物(I)は、例えば下記の式に示される方法により製造できる。

(式中、A、Ar、B、R及びRは上記と同じ意味を表す。
、P及びPは、それぞれ独立に、tert-ブトキシカルボニル基等の保護基を表す。
WSCI HClは、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を表す。)
上記の製造方法において、製造の便宜上、保護基を使用してもよい。保護基を使用した場合には、その保護基を汎用される方法にて除去することができる。
【0033】
本発明のゴム組成物は、化合物(I)とゴム成分と充填剤とを含む。本発明のゴム組成物は、化合物(I)とゴム成分と充填剤とを混練して得られるゴム組成物であることが好ましい。本発明のゴム組成物は、さらに、硫黄成分を含むことが好ましく、さらに加硫促進剤及び酸化亜鉛を含むことがより好ましい。
【0034】
ゴム成分としては、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴムおよびその他の変性天然ゴムのほか、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソプレン・イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン・プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ハロゲン化ブチルゴム(HR)等の各種の合成ゴムが例示され、天然ゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム等の高不飽和性ゴムが好ましく用いられる。特に好ましくは天然ゴムである。また、天然ゴムとスチレン・ブタジエン共重合ゴムの併用、天然ゴムとポリブタジエンゴムの併用等、数種のゴム成分を組み合わせることも有効である。
【0035】
天然ゴムの例としては、RSS#1、RSS#3、TSR20、SIR20等のグレードの天然ゴムを挙げることができる。エポキシ化天然ゴムとしては、エポキシ化度10〜60モル%のものが好ましく、例えばクンプーラン ガスリー社製ENR25やENR50が例示できる。脱蛋白天然ゴムとしては、総窒素含有率が0.3重量%以下である脱蛋白天然ゴムが好ましい。変性天然ゴムとしては天然ゴムにあらかじめ4−ビニルピリジン、N,N,−ジアルキルアミノエチルアクリレート(例えばN,N,−ジエチルアミノエチルアクリレート)、2−ヒドロキシアクリレート等を反応させた極性基を含有する変性天然ゴムが好ましく用いられる。
【0036】
SBRの例としては、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の210〜211頁に記載されている乳化重合SBRおよび溶液重合SBRを挙げることができる。とりわけトレッド用ゴム組成物としては溶液重合SBRが好ましく用いられ、更には日本ゼオン社製「ニッポール(登録商標)NS116」等の4,4’−ビス−(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンを用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、JSR社製「SL574」等のハロゲン化スズ化合物を用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、旭化成社製「E10」、「E15」等シラン変性溶液重合SBRの市販品や、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(トリアルコキシシラン化合物等)、アミノシラン化合物のいずれかを単独で用いて、または、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物や、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物等、前記記載の異なった複数の化合物を2種以上用いて、それぞれ分子末端を変性して得られる分子末端に窒素、スズ、ケイ素のいずれか、またはそれら複数の元素を有する溶液重合SBRが、特に好ましく用いられる。また、乳化重合SBRおよび溶液重合SBRに重合後プロセスオイルやアロマオイル等のオイルを添加した油展SBRは、トレッド用ゴム組成物等として好ましく用いることができる。
【0037】
BRの例としては、シス1,4結合が90%以上の高シスBRやシス結合が35%前後の低シスBR等の溶液重合BRが例示され、高ビニル含量の低シスBRは好ましく用いられる。更には日本ゼオン製「Nipol(登録商標)BR 1250H」等スズ変性BRや、4,4’−ビス−(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、ハロゲン化スズ化合物、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(トリアルコキシシラン化合物等)、アミノシラン化合物のいずれかを単独で用いて、または、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物や、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物等、前記記載の異なった複数の化合物を2種以上用いて、それぞれ分子末端を変性して得られる分子末端に窒素、スズ、ケイ素のいずれか、またはそれら複数の元素を有する溶液重合BRが、特に好ましく用いられる。これらBRは、トレッド用ゴム組成物やサイドウォール用ゴム組成物として好ましく用いることができ、通常はSBRおよび/または天然ゴムとのブレンドで使用される。ブレンド比率は、トレッド用ゴム組成物においては、総ゴム重量に対して、SBRおよび/または天然ゴムが60〜100重量%、BRは0〜40重量%が好ましく、サイドウォール用ゴム組成物においては、総ゴム重量に対して、SBRおよび/または天然ゴムが10〜70重量%、BRは90〜30重量%が好ましく、更には総ゴム重量に対し、天然ゴム40〜60重量%、BR60〜40重量%のブレンドが特に好ましい。この場合、変性SBRと非変性SBRとのブレンドや、変性BRと非変性BRとのブレンドも好ましい。
【0038】
充填剤としては、ゴム分野で通常使用されているカーボンブラック、シリカ、タルク、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化チタン等が例示され、カーボンブラック及びシリカが好ましく用いられ、更にはカーボンブラックが特に好ましく使用される。カーボンブラックとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の494頁に記載されるものが挙げられ、HAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)、ISAF-HM(Intermediate SAF-High Modulus)、FEF(Fast Extrusion Furnace)、MAF、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi-Reinforcing Furnace)等のカーボンブラックが好ましい。タイヤトレッド用ゴム組成物にはCTAB表面積40〜250m2/g、窒素吸着比表面積20〜200m2/g、粒子径10〜50nmのカーボンブラックが好ましく用いられ、CTAB表面積70〜180m2/gであるカーボンブラックが更に好ましく、その例としてはASTMの規格において、N110、N220、N234、N299、N326、N330、N330T、N339、N343、N351等である。またカーボンブラックの表面にシリカを0.1〜50重量%付着させた表面処理カーボンブラックも好ましい。更には、カーボンブラックとシリカの併用等、数種の充填剤を組み合わせることも有効であり、タイヤトレッド用ゴム組成物においてはカーボンブラック単独あるはカーボンブラックとシリカの両方を用いることが好ましい。カーカス、サイドウォール用ゴム組成物においてはCTAB表面積20〜60m2/g、粒子径40〜100nmのカーボンブラックが好ましく用いられ、その例としてはASTMの規格において、N330、N339、N343、N351,N550、N568、N582、N630、N642、N660、N662、N754、N762等である。かかる充填剤の使用量は特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり5〜100重量部の範囲が好ましい。特に好ましくはカーボンブラックのみを充填剤として使用する場合には30〜80重量部であり、トレッド部材用途においてシリカと併用して用いる場合には5〜50重量部である。
【0039】
シリカとしては、CTAB比表面積50〜180m/gや、窒素吸着比表面積50〜300m2/gのシリカが例示され、東ソー・シリカ(株)社製「AQ」、「AQ−N」、デグッサ社製「ウルトラジル(登録商標)VN3」、「ウルトラジル(登録商標)VN3−G」、「ウルトラジル(登録商標)360」、「ウルトラジル(登録商標)7000」、ローディア社製「ゼオシル(登録商標)115GR」、「ゼオシル(登録商標)1115MP」、「ゼオシル(登録商標)1205MP」、「ゼオシル(登録商標)Z85MP」、日本シリカ社製「ニップシール(登録商標)AQ」等の市販品が好ましく用いられる。また、pHが6〜8であるシリカやナトリウムを0.2〜1.5重量%含むシリカ、真円度が1〜1.3の真球状シリカ、ジメチルシリコーンオイル等のシリコーンオイルやエトキシシリル基を含有する有機ケイ素化合物、エタノールやポリエチレングリコール等のアルコールで表面処理したシリカ、二種類以上の異なった窒素吸着比表面面積を有するシリカを配合することも好ましく用いられる。
【0040】
かかる充填剤の使用量は特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり10〜120重量部の範囲が好ましい。またシリカを配合する場合、カーボンブラックを5〜50重量部配合することが好ましく、シリカ/カーボンブラックの配合比率は0.7/1〜1/0.1が特に好ましい。また通常充填剤としてシリカを用いる場合にはビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、オクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル(ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)エトキシシリル}プロピル]エステル及びオクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)メチルシリル}プロピル]エステルフェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシランおよび3−イソシアナートプロピルトリエトキシシランからなる群から選択される1種以上のシランカップリング剤等、シリカと結合可能なケイ素等の元素またはアルコシキシラン等の官能基を有する化合物を添加することが好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社製「Si−75」)、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)が特に好ましい。これらの化合物の添加時期は特に限定されないが、シリカと同時期にゴムに配合することが好ましく、配合量はシリカに対して、好ましくは2〜10重量%、更に好ましくは7〜9重量%である。配合する場合の配合温度は80〜200℃が好ましく、更に好ましくは110〜180℃の範囲である。更には充填剤としてシリカを用いる場合には、シリカ、シリカと結合可能なケイ素等の元素またはアルコシキシラン等の官能基を有する化合物に加えて、エタノール、ブタノール、オクタノール等の1価アルコールやエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール等の2価以上のアルコール、N−アルキルアミン、アミノ酸、分子末端がカルボキシル変性またはアミン変性された液状ポリブタジエン、等を配合することも好ましい。
【0041】
水酸化アルミニウムとしては、窒素吸着比表面積5〜250m2/g、DOP給油量50〜100ml/100gの水酸化アルミニウムが例示される。
【0042】
硫黄成分としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、及び高分散性硫黄等が挙げられる。通常は粉末硫黄が好ましく、ベルト用部材等の硫黄量が多いタイヤ部材に用いる場合には不溶性硫黄が好ましい。
【0043】
加硫促進剤の例としては、ゴム工業便覧<第四版>(平成6年1月20日社団法人 日本ゴム協会発行)の412〜413ページに記載されているチアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が挙げられる。
【0044】
具体的には、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)が挙げられる。充填剤としてカーボンブラックを用いる場合には、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、またはジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)とジフェニルグアニジン(DPG)とを併用することが好ましく、充填剤としてシリカとカーボンブラックとを併用する場合には、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)のいずれかとジフェニルグアニジン(DPG)とを併用することが好ましい。
【0045】
硫黄と加硫促進剤との比率は特に制限されないが、重量比で硫黄/加硫促進剤=2/1〜1/2の範囲が好ましい。また天然ゴムを主とするゴム部材において耐熱性を向上させる方法である硫黄/加硫促進剤の比を1以下にするEV加硫は、耐熱性向上が特に必要な用途においては、本発明でも好ましく用いられる。
【0046】
各成分を混練する手順としては、ゴム成分と充填剤とを混練し(以下、「手順1」と記載することもある。)、次いで、手順1で得られた組成物と硫黄成分とを混練する(以下、「手順2」と記載することもある。)という手順が挙げられる。手順1で得られる混練物及び手順2で得られる混練物のいずれも本発明のゴム組成物である。
【0047】
化合物(I)は、手順2で配合してもよいが、充填剤や酸化亜鉛とともに、手順1で配合することが好ましい。化合物(I)の使用量は、ゴム成分100重量部あたり0.1〜10重量部の範囲が好ましい。より好ましくは0.3〜3重量部の範囲である。手順1で配合する場合の配合温度は80〜200℃が好ましく、更に好ましくは110〜180℃の範囲である。手順2で配合する場合の配合温度は50〜100℃が好ましい。
【0048】
化合物(I)は、予め担持剤と配合しておくことも可能である。かかる担持剤としては先に例示した充填剤および日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の510〜513頁に記載されている「無機充てん剤、補強剤」が挙げられる。カーボンブラック、シリカ、焼成クレー、水酸化アルミニウムが好ましい。かかる担持剤の使用量は特に限定されるものではないが、化合物(I)100重量部あたり10〜1000重量部の範囲が好ましい。
化合物(I)の融点が高い場合は、混練時に十分な分散性を確保するために、化合物(I)を粒径100μm以下の粒子に粉砕することが好ましい。
たとえば、化合物(I)をカーボンブラック、シリカ、焼成クレー又は水酸化アルミニウムと混合し、得られた混合物を粉砕することにより、化合物(I)からなる粒径100μm以下の粒子を製造することができる。
【0049】
ゴム分野で通常用いられている粘弾性特性を改善させる剤を配合し混錬することも可能である。かかる剤としては、例えば、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、特開昭63−23942号公報記載のジチオウラシル化合物、特開昭60−82406号公報記載の5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン(NQ−58)等のニトロソキノリン化合物、田岡化学製「タッキロール(登録商標)AP、V−200」、ペンウォールト社製「バルタック2、3、4、5、7、710」等の特開2009−138148号公報記載のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、およびビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、オクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)エトキシシリル}プロピル]エステル及びオクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)メチルシリル}プロピル]エステルフェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(バイエル社製「KA9188」)、1,6−ヘキサメチレンジチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン(フレキシス社製「パーカリンク900」)、1−ベンゾイル−2−フェニルヒドラジド、1−又は3−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、特開2004−91505号公報記載の1−又は3−ヒドロキシ−N’−(1−メチルプロピリデン)−2−ナフトエン酸ヒドラジド、1−又は3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド及び1−又は3−ヒドロキシ−N’−(2−フリルメチレン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド等のカルボン酸ヒドラジド誘導体、特開2000−190704号公報記載の3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジフェニルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド及び3−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、特開2006−328310号公報記載のビスメルカプトオキサジアゾール化合物、特開2009−40898号公報記載のピリチオン塩化合物、特開2006−249361号公報記載の水酸化コバルト化合物が挙げられる。
【0050】
中でも、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン(NQ−58)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社製「Si−75」)、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)−ヘキサン(バイエル社製「KA9188」)、ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン(フレキシス社製「パーカリンク900」)、田岡化学製「タッキロール(登録商標)AP、V−200」等のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物が好ましい。
【0051】
酸化亜鉛を配合するときは手順1で配合することが、加硫促進剤を配合するときは手順2で配合することが、それぞれ好ましい。
【0052】
ゴム分野で通常用いられている各種の配合剤を配合し、混練することも可能である。かかる配合剤としては、例えば、住友化学株式会社製「アンチゲン(登録商標)6C」等の老化防止剤;オイル;ステアリン酸等の脂肪酸類;日鉄化学(株)のクマロン樹脂NG4(軟化点81〜100℃)、神戸油化学工業(株)のプロセスレジンAC5(軟化点75℃)等のクマロン・インデン樹脂;テルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;三菱瓦斯化学(株)「ニカノール(登録商標)A70」(軟化点70〜90℃)等のロジン誘導体;水素添加ロジン誘導体;ノボラック型アルキルフェノール系樹脂;レゾール型アルキルフェノール系樹脂;C5系石油樹脂;液状ポリブタジエン;が挙げられる。これら配合剤は、手順1及び手順2のいずれでも配合し得る。
【0053】
オイルとしては、プロセスオイル、植物油脂等が挙げられる。プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が挙げられ、例えば、アロマチックオイル(コスモ石油社製「NC−140」)、プロセスオイル(出光興産社製「ダイアナプロセスPS32」)等が挙げられる。
【0054】
老化防止剤としては、例えば日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の436〜443頁に記載されるものが挙げられる。中でもN−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、アニリンとアセトンの反応生成物(TMDQ)、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−)ジヒドロキノリン)(松原産業社製「アンチオキシダントFR」)、合成ワックス(パラフィンワックス等)、植物性ワックスが好ましく用いられる。
ワックスとしては、大内新興化学工業社製の「サンノック(登録商標)ワックス」、日本精蝋製の「OZOACE−0355」等が挙げられる。
【0055】
ゴム分野で通常用いられているモルフォリンジスルフィド等の加硫剤を配合し、混練することも可能である。これらは手順2で配合することが好ましい。
【0056】
また、しゃく解剤やリターダーを配合し、混練してもよく、さらには、一般の各種ゴム薬品や軟化剤等を必要に応じて配合し、混練してもよい。
【0057】
リターダーとしては、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、N−ニトロソジフェニルアミン、N−(シクロヘキシルチオ)−フタルイミド(CTP)、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト等が例示され、N−(シクロヘキシルチオ)−フタルイミド(CTP)が好ましく用いられる。
【0058】
リターダーは、手順1で配合し、混錬してもよいが、手順2で配合し、混錬することが好ましい。
【0059】
かかるリターダーの使用量は特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり0.01〜1重量部の範囲が好ましい。特に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
【0060】
手順1における温度条件は200℃以下が好ましい。より好ましくは120〜180℃である。手順2における温度条件は60〜120℃が好ましい。
【0061】
手順2で得られたゴム組成物を熱処理することにより、本発明の加硫ゴムが得られる。
【0062】
熱処理における温度条件は120〜180℃が好ましい。熱処理は、通常、常圧又は加圧下で行われる。
【0063】
本発明の加硫ゴムは、特定の状態に加工されたゴム組成物を熱処理して得られる加硫ゴムを含む。
【0064】
ここで、「特定の状態に加工されたゴム組成物」とは、例えばタイヤの分野においては、「スチールコードに被覆されたゴム組成物」「カーカス繊維コードに被覆されたゴム組成物」「トレッド用部材の形状に加工されたゴム組成物」等が挙げられる。また、それぞれ熱処理して得られるベルト、カーカス、インナーライナー、サイドウォール、トレッド(キャップトレッド又はアンダートレッド)等の各部材は、通常、その他の部材とともに、タイヤの分野で通常行われる方法により、さらにタイヤの形状に成型され、すなわちゴム組成物をタイヤに組み込んで、ゴム組成物を含む生タイヤの状態で熱処理される。かかる熱処理は、通常、加圧下で行われる。
【0065】
トラックやバス、ライトトラック、建設用大型タイヤに適したトレッド部材に好適なゴム配合のうち、ゴム成分としては、天然ゴム単独または天然ゴムを主成分としSBRおよび/またはBRとのブレンドが好ましい。また、充填剤としては、カーボンブラック単独またはシリカを主成分とするカーボンブラックとのブレンドが好ましく用いられる。更に、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン(NQ−58)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si−69)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(Si−75)、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)−ヘキサン(バイエル社製「KA9188」)、ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン(フレキシス社製「パーカリンク900」)、田岡化学製「タッキロール(登録商標)AP、V−200」等のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、等の粘弾性改善剤を併用することが好ましい。
【0066】
乗用車タイヤに適したトレッド部材に好適なゴム配合のうち、ゴム成分としては、ケイ素化合物で分子末端を変性した溶液重合SBR単独または前記末端変性の溶液重合SBRを主成分とし、非変性の溶液重合SBR、乳化重合SBR、天然ゴムおよびBRからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムとのブレンドが好ましい。また、充填剤としては、シリカを主成分とするカーボンブラックとのブレンドが好ましく用いられる。更に、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン(NQ−58)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si−69)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(Si−75)、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)−ヘキサン(バイエル社製「KA9188」)、ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン(フレキシス社製「パーカリンク900」)、田岡化学製「タッキロール(登録商標)AP、V−200」等のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、等の粘弾性改善剤を併用することが好ましい。
【0067】
サイドウォール部材に好適なゴム配合のうち、ゴム成分としては、BRを主成分とし、非変性の溶液重合SBR、乳化重合SBRおよび天然ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムとのブレンドが好ましい。また、充填剤としては、カーボンブラック単独またはカーボンブラックを主成分とするシリカとのブレンドが好ましく用いられる。更に、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン(NQ−58)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si−69)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(Si−75)、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)−ヘキサン(バイエル社製「KA9188」)、ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン(フレキシス社製「パーカリンク900」)、田岡化学製「タッキロール(登録商標)AP、V−200」等のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、等の粘弾性改善剤を併用することが好ましい。
【0068】
カーカス、ベルト部材に好適なゴム配合のうち、ゴム成分としては、天然ゴム単独または天然ゴムを主成分とするBRとのブレンドが好ましい。また、充填剤としては、カーボンブラック単独またはカーボンブラックを主成分とするシリカとのブレンドが好ましく用いられる。更に、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン(NQ−58)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si−69)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(Si−75)、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)−ヘキサン(バイエル社製「KA9188」)、ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン(フレキシス社製「パーカリンク900」)、田岡化学製「タッキロール(登録商標)AP、V−200」等のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、等の粘弾性改善剤を併用することが好ましい。
【0069】
かくして得られる加硫ゴムを用いて、通常の方法によってタイヤが製造される。すなわち、加硫処理前の段階のゴム組成物をトレッド用部材に押出し加工し、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形し、生タイヤが成形され、この生タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤが得られる。
タイヤとしては、空気入りタイヤ及びソリッドタイヤ等が挙げられる。
【0070】
このようにして得られるタイヤが装着された自動車の燃費は向上し、低燃費化が達成できる。
化合物(I)をゴム組成物に添加すると、それを加硫して得られる加硫ゴムが有する粘弾性特性を改善させることができる。また、加硫ゴムは、タイヤ用途のみならず、防振ゴム用途、ゴムベルト用途、制振剤用途及び免震ゴム用途としても使用できる。かかる防振ゴムとしては、例えば、エンジンマウント、ストラットマウント、ブッシュ、エグゾーストハンガー等の自動車用防振ゴム等が挙げられる。防振ゴムは、通常、混練物を防振ゴムが有する形状に加工した後に、熱処理に供することにより得られる。ゴムベルト用途としては、例えば、伝動ベルト、コンベヤベルト、Vベルト等が挙げられる。
化合物(I)は老化防止性能も有するため、ゴム用老化防止剤として使用することができる。化合物(I)をゴム用老化防止剤としてゴム組成物に添加する場合、化合物(I)と、ゴム分野で通常用いられている老化防止剤とを併用してもよい。
化合物(I)を含むゴム組成物から得られる加硫ゴムは、リバージョン防止性能に優れる。
【実施例】
【0071】
以下、実施例、試験例及び製造例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
製造例1:(Z)−3−(4−アミノフェニルカルバモイル)アクリル酸の製造

窒素雰囲気下、反応容器に1,4−フェニレンジアミン25.17g(0.233mol)とテトラヒドロフラン230mlを仕込んだ。そこへ氷冷下、無水マレイン酸22.84g(0.233mol)をテトラヒドロフラン50mlに溶解した溶液を約1時間で滴下した後、室温で一晩撹拌した。反応終了後、析出した結晶を濾取し、テトラヒドロフラン40mlで2回洗浄し、40℃で5時間乾燥して粗製の(Z)−3−(4−アミノフェニルカルバモイル)アクリル酸を橙色の粉末として46.92g得た。粗製の(Z)−3−(4−アミノフェニルカルバモイル)アクリル酸46.92gにメタノール250mlを加えて50℃で1時間撹拌し冷却後、ろ過しメタノール20mlで2回洗浄した。得られた結晶を乾燥して(Z)−3−(4−アミノフェニルカルバモイル)アクリル酸を黄橙色粉末として42.67g得た。収率88.8%
【0073】
製造例2:N,N’−ビス(4−アミノフェニル)マレアミドの製造

窒素雰囲気下、反応容器に製造例1で合成した(Z)−3−(4−アミノフェニルカルバモイル)アクリル酸13.85g(67.2mmol)に、1,4−フェニレンジアミン6.90g(67.2mmol)、ジメチルアミノピリジン0.82gとジメチルホルムアミド130mlを仕込んだ。そこへ氷冷下、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩12.88g(67.2mmol)を加え、室温で終夜撹拌した。反応終了後、水560ml加え、酢酸エチル500mlで4回抽出した。有機層を合一し、食塩水500mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去し赤色粘性物15.0gを得た。これにクロロホルム50mlを加えて減圧濃縮を3回繰り返し、得られた残留物にメタノール80mlを加えて析出した固体を濾別した。濾液を減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)マレアミドを濃赤色固体として5.30g得た。収率26.6%。
H−NMR(300.13MHz,DMSO−d6)δppm:10.75(2H,s),7.30(4H,d,J=8.7Hz),6.52(4H,d,J=8.7Hz),6.29(2H,s),4.95(4H,s)
【0074】
実施例1:ゴム組成物の製造
<手順1>
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、天然ゴム(RSS#1)100重量部、HAF(旭カーボン社製、商品名「旭#70」)45重量部、ステアリン酸3重量部、酸化亜鉛5重量部、老化防止剤(N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン:商品名「アンチゲン(登録商標)6C」住友化学株式会社製)1重量部および製造例2で得たN,N’−ビス(4−アミノフェニル)マレアミド1重量部を混練配合し、ゴム組成物を得た。本手順1は、各種成分投入後5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより実施し、その時のゴム温度は160〜170℃であった。
<手順2>
オープンロール機で60〜80℃の温度にて、手順1により得られたゴム組成物と、加硫促進剤(N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)1重量部および硫黄2重量部とを混練配合し、ゴム組成物を得た。
【0075】
実施例2:加硫ゴムの製造
実施例1の手順2で得たゴム組成物を145℃で加硫処理し、加硫ゴムを得た。
【0076】
実施例3:ゴム組成物の製造
実施例1において、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)マレアミドに替えて、市販されている4,4’−ジアミノスチルベン二塩酸塩(東京化成工業株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。
【0077】
実施例4:加硫ゴムの製造
実施例3の手順2で得たゴム組成物を145℃で加硫処理し、加硫ゴムを得た。
【0078】
参考例1
実施例1において、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)マレアミドを用いない以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。
【0079】
参考例2
参考例1の手順2で得たゴム組成物を145℃で加硫処理し、加硫ゴムを得た。
【0080】
以下のとおり、スコーチタイム、粘弾性特性を測定した。
(1)スコーチタイム
JIS−K6300−1に準拠し、125℃にて測定した。
スコーチタイムの値は、大きいほどゴム焼けが起こりにくく、加工安定性が良好であることを示す。
【0081】
試験例1
参考例1で得たゴム組成物を対照として、参考例1で得たゴム組成物のスコーチタイムを100として、実施例1および実施例3で得たゴム組成物について、スコーチタイムの相対値を指数表示したところ、それぞれ89、91であった。
【0082】
(2)粘弾性特性
株式会社上島製作所製の粘弾性アナライザを用いて測定した。
条件:温度−5℃〜80℃(昇温速度:2℃/分)
初期歪10%、動的歪2.5%、周波数10Hz
【0083】
参考例2で得た加硫ゴムを対照として、実施例2および実施例4で得た加硫ゴムについて、参考例2で得た加硫ゴムに対する粘弾性特性(60℃でのtanδ)の低下率(%)を測定したところ、それぞれ33%、17%の低下率であった。
【0084】
実施例5
実施例1の手順2で得たゴム組成物で、黄銅メッキ処理が施されたスチールコードを被覆することにより、ベルトが得られる。得られるベルトを用いて、通常の製造方法に従い、生タイヤを成形し、得られた生タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、加硫タイヤが得られる。
【0085】
実施例6
実施例1の手順2で得たゴム組成物を押し出し加工し、トレッド用部材を得る。得られたトレッド用部材を用いて、通常の製造方法に従い、生タイヤを成形し、得られた生タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、加硫タイヤが得られる。
【0086】
実施例7
実施例1の手順2で得たゴム組成物を押し出し加工して、カーカス形状に応じた形状のゴム組成物を調製し、ポリエステル製のカーカス繊維コードの上下に貼り付けることにより、カーカスが得られる。得られたカーカスを用いて、通常の製造方法に従い、生タイヤを成形し、得られた生タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、加硫タイヤが得られる。
【0087】
実施例8
実施例1の手順2において、更にN−(シクロヘキシルチオ)−フタルイミド(CTP)0.2重量部を混錬配合する以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物が得られる。
【0088】
実施例9
実施例8の手順2で得たゴム組成物を145℃で加硫処理し、加硫ゴムを得る。
【0089】
実施例10:ゴム組成物の製造
<手順1>
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1502(住友化学社製)100重量部、ISAF−HM(旭カーボン社製、商品名「旭#80」)45重量部、ステアリン酸2重量部、酸化亜鉛3重量部、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)マレアミド1重量部、老化防止剤(N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD):商品名「アンチゲン(登録商標)6C」住友化学株式会社製)1重量部およびワックス(日本精蝋製「OZOACE−0355」)2重量部を混練配合し、ゴム組成物を得る。該工程は、各成分投入後5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより実施し、その時のゴム温度は160〜175℃である。
<手順2>
オープンロール機で60〜80℃の温度にて、手順1により得られたゴム組成物と、加硫促進剤N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)3重量部および硫黄2重量部とを混練配合し、ゴム組成物を得る。
【0090】
実施例11:加硫ゴムの製造
実施例10の手順2で得られるゴム組成物を145℃で熱処理することにより加硫ゴムが得られる。かかる加硫ゴムは、キャップトレッド用として好適である。
【0091】
実施例12:ゴム組成物の製造
<手順1>
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1502(住友化学社製)100重量部、ISAF−HM(旭カーボン社製、商品名「旭#80」)35重量部、ステアリン酸2重量部、酸化亜鉛3重量部、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)マレアミド1重量部、老化防止剤(N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD):商品名「アンチゲン(登録商標)6C」住友化学株式会社製)1重量部およびワックス(日本精蝋製「OZOACE−0355」)2重量部を混練配合し、ゴム組成物を得る。該工程は、各成分投入後5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより実施し、その時のゴム温度は160〜175℃である。
<手順2>
オープンロール機で60〜80℃の温度にて、手順1により得られたゴム組成物と、加硫促進剤N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)2重量部、加硫促進剤ジフェニルグアニジン(DPG)0.5重量部、加硫促進剤ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)0.8重量部および硫黄1重量部とを混練配合し、ゴム組成物を得る。
【0092】
実施例13:加硫ゴムの製造アンダートレッド用
実施例12の手順2で得たゴム組成物を145℃で熱処理することにより加硫ゴムが得られる。かかる加硫ゴムは、アンダートレッド用として好適である。
【0093】
実施例14:ゴム組成物の製造
<手順1>
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、天然ゴム(RSS#1)100重量部、HAF(旭カーボン社製、商品名「旭#70」)45重量部、ステアリン酸3重量部、酸化亜鉛5重量部、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)マレアミド1重量部、含水シリカ(東ソー・シリカ(株)社製「Nipsil(登録商標)AQ」10重量部、老化防止剤FR(松原産業社製「アンチオキシダントFR」)2重量部、レゾルシン2重量部およびナフテン酸コバルト2重量部を混練配合し、ゴム組成物を得る。該工程は、各成分投入後5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより実施し、その時のゴム温度は160〜175℃である。
<手順2>
オープンロール機で60〜80℃の温度にて、手順1により得られたゴム組成物と、加硫促進剤N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)1重量部、硫黄6重量部およびメトキシ化メチロールメラミン樹脂(住友化学社製「スミカノール507AP」)3重量部とを混練配合し、ゴム組成物を得る。
【0094】
実施例15:加硫ゴムの製造
実施例14の手順2で得られるゴム組成物を145℃で熱処理することにより加硫ゴムが得られる。かかる加硫ゴムは、ベルト用として好適である。
【0095】
実施例16:ゴム組成物の製造
<手順1>
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、ハロゲン化ブチルゴム(エクソンモービル社製「Br−IIR2255」)100重量部、GPF 60重量部、ステアリン酸1重量部、酸化亜鉛3重量部、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)マレアミド1重量部およびパラフィンオイル(出光興産社製「ダイアナプロセスオイル」)10重量部を混練配合し、ゴム組成物を得る。該工程は、各成分投入後5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより実施し、その時のゴム温度は160〜175℃である。
<手順2>
オープンロール機で60〜80℃の温度にて、手順1により得られたゴム組成物と、老化防止剤(アニリンとアセトンの縮合物(TMDQ))1重量部、加硫促進剤ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)1重量部および硫黄2重量部とを混練配合し、ゴム組成物を得る。
【0096】
実施例17:加硫ゴムの製造
実施例16の手順2で得られるゴム組成物を145℃で熱処理することにより加硫ゴムが得られる。かかる加硫ゴムは、インナーライナー用として好適である。
【0097】
実施例18:ゴム組成物の製造
<手順1>
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、天然ゴム(RSS#3)40重量部、ポリブタジエンゴム(宇部興産社製「BR150B」)60部、FEF50重量部、ステアリン酸2.5重量部、酸化亜鉛3重量部、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)マレアミド1重量部、老化防止剤(N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD):商品名「アンチゲン(登録商標)6C」住友化学株式会社製)2重量部、アロマチックオイル(コスモ石油社製「NC−140」)10重量部およびワックス(大内新興化学工業社製の「サンノック(登録商標)ワックス」)2重量部を混練配合し、ゴム組成物を得る。該工程は、各成分投入後5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより実施し、その時のゴム温度は160〜175℃である。
<手順2>
オープンロール機で60〜80℃の温度にて、手順1により得られたゴム組成物と、加硫促進剤N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)0.75重量部および硫黄1.5重量部とを混練配合し、ゴム組成物を得る。
【0098】
実施例19:加硫ゴムの製造
実施例18の手順2で得られるゴム組成物を145℃で熱処理することにより加硫ゴムが得られる。かかる加硫ゴムは、サイドウォール用として好適である。
【0099】
実施例20:ゴム組成物の製造
<手順1>
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、天然ゴム(TSR20)70重量部、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1502(住友化学社製)30重量部、N339(三菱化学社製)60重量部、ステアリン酸2重量部、酸化亜鉛5重量部、プロセスオイル(出光興産社製「ダイアナプロセスPS32」)7重量部およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)マレアミド1重量部を混練配合し、ゴム組成物を得る。該工程は、各成分投入後5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより実施し、その時のゴム温度は160〜175℃である。
<手順2>
オープンロール機で60〜80℃の温度にて、手順1により得られたゴム組成物と、加硫促進剤N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)1重量部、硫黄3重量部、老化防止剤(N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD):商品名「アンチゲン(登録商標)6C」住友化学株式会社製)1重量部および老化防止剤(アニリンとアセトンの縮合物(TMDQ))1重量部とを混練配合し、ゴム組成物を得る。
【0100】
実施例21:加硫ゴムの製造
実施例20の手順2で得られるゴム組成物を145℃で熱処理することにより加硫ゴムが得られる。かかる加硫ゴムは、カーカス用として好適である。
【0101】
実施例22:ゴム組成物の製造
<手順1>
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1500(JSR社製)100重量部、シリカ(商品名:「ウルトラジル(登録商標)VN3−G」デグッサ社製)78.4重量部、カーボンブラック(商品名「N−339」三菱化学社製)6.4重量部、シランカップリング剤(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド:商品名「Si−69」デグッサ社製)6.4重量部、プロセスオイル(商品名「NC−140」コスモ石油社製)47.6重量部、老化防止剤(N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD):商品名「アンチゲン(登録商標)6C」住友化学株式会社製)1.5重量部、酸化亜鉛2重量部、ステアリン酸2重量部、およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)マレアミド3重量部を混練配合し、ゴム組成物を得る。該工程は、70℃〜120℃の温度範囲で操作され、各成分投入後5分間、80rpmのミキサーの回転数で混練し、引き続き5分間、100rpmのミキサーの回転数で混練することにより実施する。
<手順2>
オープンロール機で30〜80℃の温度にて、手順1により得られるゴム組成物と、加硫促進剤N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)1重量部、加硫促進剤ジフェニルグアニジン(DPG)1重量部、ワックス(商品名「サンノック(登録商標)N」大内新興化学工業社製)1.5重量部および硫黄1.4重量部とを混練配合し、ゴム組成物を得る。
【0102】
実施例23:加硫ゴムの製造
実施例22の手順2で得られるゴム組成物を160℃で熱処理することにより加硫ゴムが得られる。かかる加硫ゴムは、キャップトレッド用として好適である。
【0103】
実施例24:ゴム組成物の製造
実施例22において、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1500(JSR社製)に替えて溶液重合SBR(「アサプレン(登録商標)」旭化成ケミカルズ株式会社製)を用いる以外は実施例22と同様にしてゴム組成物が得られる。
【0104】
実施例25:加硫ゴムの製造
実施例24の手順2で得られるゴム組成物を160℃で熱処理することにより加硫ゴムが得られる。かかる加硫ゴムは、キャップトレッド用として好適である。
【0105】
実施例26:ゴム組成物の製造
実施例22において、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1500(JSR社製)に替えてSBR#1712(JSR社製)を用い、プロセスオイルの使用量を21重量部に変更し、酸化亜鉛を仕込むタイミングを手順2に変更する以外は実施例22と同様にしてゴム組成物が得られる。
【0106】
実施例27:加硫ゴムの製造
実施例26の手順2で得られるゴム組成物を160℃で熱処理することにより加硫ゴムが得られる。かかる加硫ゴムは、キャップトレッド用として好適である。
【0107】
実施例28:ゴム組成物の製造
<手順1>
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、天然ゴム(RSS#1)100重量部、HAF(旭カーボン社製、商品名「旭#70」)45重量部、ステアリン酸3重量部、酸化亜鉛5重量部および4,4’−ジアミノスチルベン二塩酸塩(東京化成工業株式会社製)1重量部を混練配合し、ゴム組成物を得る。本手順1は、各種成分投入後5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより実施し、その時のゴム温度は160〜170℃である。
<手順2>
オープンロール機で60〜80℃の温度にて、手順1により得られるゴム組成物と、加硫促進剤(N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)1重量部および硫黄2重量部とを混練配合し、ゴム組成物を得る。
実施例29:加硫ゴムの製造
【0108】
実施例28の手順2で得られるゴム組成物を160℃で熱処理することにより加硫ゴムが得られる。得られる加硫ゴムは、粘弾性特性が改善され、さらに老化防止性能にも優れる。
【0109】
実施例30:ゴム組成物の製造
<手順1>
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、天然ゴム(RSS#1)100重量部、HAF(旭カーボン社製、商品名「旭#70」)50重量部、ステアリン酸3重量部、酸化亜鉛5重量部および老化防止剤(N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD):商品名「アンチゲン(登録商標)6C」住友化学株式会社製)1重量部を混練配合し、ゴム組成物を得る。本手順1は、各種成分投入後5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより実施し、その時のゴム温度は160〜170℃である。
<手順2>
オープンロール機で60〜80℃の温度にて、手順1により得られるゴム組成物と、4,4’−ジアミノスチルベン二塩酸塩(東京化成工業株式会社製)1重量部、加硫促進剤(ジベンゾチアジルジスルフィド)1重量部および硫黄1重量部とを混練配合し、ゴム組成物を得る。
【0110】
実施例31:加硫ゴムの製造
実施例30の手順2で得られるゴム組成物を170℃で熱処理することにより加硫ゴムが得られる。得られる加硫ゴムは、リバージョン防止性能に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明のゴム組成物によれば、ゴム組成物から得られる加硫ゴムの粘弾性特性を改善させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物とゴム成分と充填剤とを含むゴム組成物。

[式(I)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基、又は、−B−Ar−B−基を表し、炭素数2〜12のアルカンジイル基に含まれる−CH−は−NH−、−O−又は−S−で置き換わっていてもよく、*はXとの結合手を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
Arは、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。
は、−CO−NH−、−CO−O−、−CO−又は単結合を表し、*はAとの結合手を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表すか、互いに結合して炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する。]
【請求項2】
及びRが、水素原子である請求項1記載のゴム組成物。
【請求項3】
が、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基である請求項1又は2記載のゴム組成物。
【請求項4】
が単結合を表し、A−B−Ar−B−基(Bが単結合を表し、Bが単結合又はアルキレン基を表す。)を表す請求項1〜3のいずれか記載のゴム組成物。
【請求項5】
ゴム成分が、天然ゴムである請求項1〜4のいずれか記載のゴム組成物。
【請求項6】
さらに、硫黄成分を含む請求項1〜5のいずれか記載のゴム組成物。
【請求項7】
請求項6記載のゴム組成物を熱処理して得られる加硫ゴム。
【請求項8】
請求項6記載のゴム組成物を加工して製造されるタイヤ。
【請求項9】
請求項7記載の加硫ゴムで被覆されたスチールコードを含むタイヤ用ベルト。
【請求項10】
請求項7記載の加硫ゴムで被覆されたカーカス繊維コードを含むタイヤ用カーカス。
【請求項11】
請求項7記載の加硫ゴムを含むタイヤ用サイドウォール、タイヤ用インナーライナー、タイヤ用キャップトレッド又はタイヤ用アンダートレッド。
【請求項12】
請求項7記載の加硫ゴムを含むタイヤ。
【請求項13】
式(I)で表される化合物とゴム成分と充填剤と硫黄成分とを混練する工程と、前工程により得られた混練物を熱処理する工程とを有する加硫ゴムが有する粘弾性特性の改善方法。

[式(I)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基、又は、−B−Ar−B−基を表し、炭素数2〜12のアルカンジイル基に含まれる−CH−は−NH−、−O−又は−S−で置き換わっていてもよく、*はXとの結合手を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
Arは、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。
は、−CO−NH−、−CO−O−、−CO−又は単結合を表し、*はAとの結合手を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表すか、互いに結合して炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する。]
【請求項14】
加硫ゴムが有する粘弾性特性を改善させるための式(I)で表される化合物の使用。

[式(I)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基、又は、−B−Ar−B−基を表し、炭素数2〜12のアルカンジイル基に含まれる−CH−は−NH−、−O−又は−S−で置き換わっていてもよく、*はXとの結合手を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
Arは、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。
は、−CO−NH−、−CO−O−、−CO−又は単結合を表し、*はAとの結合手を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表すか、互いに結合して炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する。]
【請求項15】
式(I)で表される化合物を有効成分として含有する加硫ゴム粘弾性特性改善剤。

[式(I)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基、又は、−B−Ar−B−基を表し、炭素数2〜12のアルカンジイル基に含まれる−CH−は−NH−、−O−又は−S−で置き換わっていてもよく、*はXとの結合手を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
Arは、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。
は、−CO−NH−、−CO−O−、−CO−又は単結合を表し、*はAとの結合手を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表すか、互いに結合して炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する。]

【公開番号】特開2013−47329(P2013−47329A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−164473(P2012−164473)
【出願日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】