説明

ゴム製歯付ベルトおよび歯付ベルト用ゴム組成物

【課題】歯付ベルトの歯部のゴム硬度及びモジュラスを高くして歯欠け等を防止し、長寿命のゴム製歯付ベルト及び歯付ベルト用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】このゴム製歯付ベルト3は、ベルト長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部7、及び、心線9が埋設された背部4を含む、ゴムを基材としたベルト本体10と、複数の歯部7の表面を被覆する歯布11とを有する。歯部7を構成するゴム組成物は、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを100:100〜100:180の質量比で混合した不飽和カルボン酸金属塩を含む水素化ニトリルゴムのみからなるポリマー100質量部に対し、短繊維が3〜7質量部で配合される。そして、ポリマー100質量部に対し、粉末状の無機充填剤が10質量部以下で配合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、一般産業用で高負荷をベルトによって伝達する機械の同期伝動用等に使用される歯布被覆のゴム製歯付ベルト、及び、そのゴム製歯付ベルトの歯部に使用する歯付ベルト用ゴム組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯付ベルトの故障形態として、心線の屈曲疲労及びゴムの耐熱性不足によるベルト切断がある。心線については、材質、心線構成の細径化等の改良、心線処理剤の耐熱性改良が実施されている。また、ゴムの耐熱性改良についても水素添加ニトリルゴムの使用等により故障は減少している。
【0003】
ゴムの耐熱性改良には、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを混合したゴム組成物が歯付ベルトの歯部に使用されていた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このゴム組成物は、ゴム硬度及びモジュラスが所定のレベルまで高くならず、そのため歯欠け等が発生し、高負荷で走行試験をしたときに短時間で寿命となっていた。特に、高負荷馬力を伝達する一般産業用機械に使用される歯付ベルトは、高負荷の為、負荷を受ける歯底部の摩耗が大きく、その歯底部の摩耗から歯欠けが発生し易い。
【0004】
また、優れた耐動的疲労性を得るために、主鎖が完全飽和ゴムである合成ゴムに、有機過酸化物、及びエチレン性不飽和カルボン酸金属塩を混合したゴム組成物を、歯付ベルトの歯部に使用したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、このゴム組成物は、主鎖が完全飽和した合成ゴムを使用しているため、ポリマー間の架橋反応が不十分であり、その結果、歯部の剛性を十分に高めることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−101728号公報
【特許文献2】特開2000−27949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するものであり、歯付ベルトの歯部のゴム硬度及びモジュラスを高くして歯欠け等を防止し、長寿命のゴム製歯付ベルト及び歯付ベルト用ゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明のゴム製歯付ベルトは、ベルト長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部、及び、心線が埋設された背部を含むゴム組成物を基材としたベルト本体と、前記複数の歯部の表面を被覆する歯布とを有するゴム製歯付ベルトであって、前記歯部を構成するゴム組成物は、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを100:100〜100:180の質量比で混合した不飽和カルボン酸金属塩を含む水素化ニトリルゴムからなるポリマー100質量部に対し、短繊維が3〜7質量部で配合され、ポリマー100質量部に対し、粉末状の無機充填剤が10質量部以下で配合される。
【0008】
上記構成によれば、歯部を構成するゴム組成物において、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを100:100〜100:180の質量比で混合することで、歯部の硬度が十分に高くなる。また、ポリマー100質量部に対して短繊維の配合量を3〜7質量部とすることで、ゴム製歯付ベルトの長手方向における歯部のモジュラスを高めることができる。それらの結果、ゴム製歯付きベルトの歯欠け等を防止し、ゴム製歯付ベルトの長寿命化が期待できる。
また、粉末状の無機充填剤の配合量を10質量部以下とすることで、歯部を構成するゴム組成物の発熱を低く抑えることができる。
【0009】
上記ゴム製歯付ベルトにおいて、好ましくは、ポリマー100質量部に対し、粉末状の無機充填剤が5質量部以下で配合される。このように構成すれば、歯部を構成するゴム組成物の発熱をさらに低く抑えることができる。
【0010】
上記ゴム製歯付ベルトにおいて、好ましくは、粉末状の無機充填剤がカーボンブラックである。つまり、本発明では、ゴム組成物を黒色に着色できる程度にカーボンブラックが配合される。
【0011】
上記ゴム製歯付ベルトにおいて、好ましくは、前記歯布が、経糸と複数種類の緯糸とで織成された多重織構造を有し、前記経糸がナイロン繊維であり、前記複数種類の緯糸のうち前記歯布の表面側に位置する緯糸がフッ素系繊維である。
【0012】
上記構成によれば、歯布を織成する緯糸のうち、歯布の表面側に位置する緯糸をフッ素系繊維とすることによって、歯布と歯付プーリとの間の摩擦を低減することができる。
また、歯布の裏面側(歯部との接着側)に位置する緯糸にフッ素系繊維以外の繊維を使用すれば、歯布と歯部のゴムとの接着力を高めることが可能となる。
また、ベルト歯表面の歯布がフッ素系繊維とすることで摩擦係数は小さくなり、ベルト歯部と歯付プーリとの噛み合い時、或いは歯付プーリからのかみ抜け時の発音を抑制することができる。
【0013】
歯布が経糸と複数種類の緯糸とで織成された多重織構造を有するゴム製歯付ベルトにおいて、好ましくは、複数種類の緯糸のうち歯布の表面側に位置する緯糸がフッ素系繊維であり、その繊維の周囲に、加硫温度で融解する融点を有する低融点繊維が配されている。
【0014】
上記構成によれば、ベルト本体のゴムを高温で硬化(加硫)させるときに、低融点繊維が融解し、歯布を構成する繊維間に流れ込んだ後、融点以下まで冷却することで低融点繊維が結晶化する。そのため、歯付プーリへのかみ込み時、或いは、歯付プーリからのかみ抜け時に、歯布表面に生じる衝撃や摩耗によってフッ素系繊維が切断・飛散するのが抑制される。これによりベルト本体をより長期間保護して、ベルトの歯欠けを防止することができ、高負荷走行時の長寿命化が可能となる。
【0015】
また、この発明の歯付ベルト用ゴム組成物は、ベルト長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部、及び、心線が埋設された背部を含むゴム組成物を基材としたベルト本体を有するゴム製歯付ベルトの前記歯部に使用するゴム組成物であって、前記ゴム組成物は、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを100:100〜100:180の質量比で混合した不飽和カルボン酸金属塩を含む水素化ニトリルゴムからなるポリマー100質量部に対し、短繊維が3〜7質量部で配合され、ポリマー100質量部に対し、粉末状の無機充填剤が10質量部以下で配合される。
【0016】
上記構成によれば、歯部を構成するゴム組成物において、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを100:100〜100:180の質量比で混合することで、歯部の硬度が十分に高くなる。また、ポリマー100質量部に対して短繊維の配合量を3〜7質量部とすることで、ゴム製歯付ベルトの長手方向における歯部のモジュラスを高めることができる。それらの結果、歯付ベルト用ゴム組成物を使用したゴム製歯付きベルトの歯欠け等を防止し、ゴム製歯付ベルトの長寿命化が期待できる。
また、粉末状の無機充填剤の配合量を10質量部以下とすることで、歯部を構成するゴム組成物の発熱を低く抑えることができる。
【0017】
上記ゴム組成物において、好ましくは、ポリマー100質量部に対し、粉末状の無機充填剤が5質量部以下で配合される。このように構成すれば、歯部を構成するゴム組成物の発熱をさらに低く抑えることができる。
【0018】
上記ゴム組成物において、好ましくは、粉末状の無機充填剤がカーボンブラックである。つまり、本発明では、ゴム組成物を黒色に着色できる程度にカーボンブラックが配合される。
【0019】
上記ゴム組成物において、好ましくは、ゴム組成物の加硫物の特性として、JIS K6394に準じて測定された70℃の貯蔵弾性率(E´)が200〜300MPa、かつ、損失係数(Tanδ)が0.1〜0.2の範囲である。
【0020】
上記構成によれば、歯部に使用するゴム組成物の加硫物において、70℃のE´が200〜300MPa、かつ、Tanδが0.1〜0.2の範囲とすることによって、加硫物のモジュラスが高くなり、ゴム製歯付ベルトにおいて高負荷が歯部に加わった場合でも歯欠け等の不具合を起こすことが無く、さらに歯付プーリへのかみ込み時、或いは、歯付プーリからのかみ抜け時の歯部の変形による発熱が低く抑えられる。
【発明の効果】
【0021】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、歯付ベルトの歯部のゴム硬度及びモジュラスを高くして歯欠け等を防止し、長寿命のゴム製歯付ベルト及び歯付ベルト用ゴム組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係るゴム製歯付ベルトの断面斜視図である。
【図2】本発明のゴム製歯付ベルトで、歯部に使用するゴム組成物の加硫物の70°C温度条件下でのE´とTanδとの関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態の歯付ベルト3は、ベルト長手方向(X方向)に沿って所定間隔で配置された複数の歯部7、及び、複数の心線9が埋設された背部4とを有するベルト本体10と、複数の歯部7の表面を被覆する歯布11とを有する。また、歯部7を構成するゴム組成物には、短繊維5が埋設されており、短繊維5は歯布に近い側は歯部7の外形状に沿って配向し、心線9に近づくにつれて短繊維5は心線9とほぼ平行となるように配向している。
【0025】
複数の歯部7と背部4とを有するベルト本体10は、ゴム組成物を基材とする。このベルト本体10に使用されるポリマーは、水素化ニトリルゴム(HNBR)を始めとして、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン(ACSM)などの耐熱老化性の改善されたものが使用されるが、少なくとも歯部7に使用されるポリマーは、不飽和カルボン酸金属塩を含んだ水素化ニトリルゴムのみを使用する。
【0026】
前述した少なくとも歯部7を構成するゴム組成物としては、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との質量比が100:100〜100:180としたポリマーが好適に用いられる。水素化ニトリルゴム100に対する不飽和カルボン酸金属塩の質量比率が100未満の場合は、歯部7に十分な硬度が得られないため、歯付ベルト3は歯欠け等の不具合により耐久性が低下する。一方、水素化ニトリルゴム100に対する不飽和カルボン酸金属塩の質量比率が180を超えると、歯部7の硬度が過剰に高くなるため、歯部7の変形は少ないものの、歯付ベルト3の屈曲性が低下する。なお、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との質量比は、さらに好ましくは100:100〜100:170である。
【0027】
水素化ニトリルゴムとは、従来のニトリルゴムの利点である耐油性を維持しつつ、熱老化中の硫黄の再結合反応によるゴム弾性の老化を防ぐため、従来のニトリルゴムが有する不飽和結合(炭素・炭素二重結合)を化学的に水素化することによって、熱老化中の再結合反応を起こりにくくし、耐熱性を改良したものである。不飽和カルボン酸金属塩とは、1つ又は2つ以上のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸と金属とがイオン結合したものである。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸などのモノカルボン酸や、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸が例示できる。また、金属としては、マグネシウム、チタン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、鉛、ニッケルなどが例示できる。
【0028】
本発明で使用する水素化ニトリルゴムは、ヨウ素価が7〜30mg/100mgの範囲、好ましくは11〜28mg/100mgの範囲の不飽和ゴムである。ここで、不飽和ゴムとは、ポリマー分子鎖中に炭素・炭素二重結合(C=C結合)からなる不飽和結合を有するゴムをいう。また、ヨウ素価とは、不飽和結合の量を表す指標であり、ヨウ素価が高いほど、ポリマー分子鎖中に含まれる不飽和結合の量が多いことを表す。ヨウ素価の測定方法としては、測定試料に対して過剰のヨウ素を加えて完全に反応(ヨウ素と不飽和結合との反応)させ、残ったヨウ素の量を酸化還元滴定により定量することで求められる。水素化ニトリルゴムのヨウ素価が7mg/100mg未満では、水素化ニトリルゴム同士の架橋反応が十分ではなく、歯部の剛性が低くなるため、ベルト走行時に歯欠け等の不具合が発生するおそれがある、一方、水素化ニトリルゴムのヨウ素価が30mg/100mgを超えると、不飽和結合の量が過剰に多くなり、歯部の耐熱性の低下や酸化による劣化が進行してベルト寿命が短くなるおそれがある。
【0029】
また、短繊維5の配合量は、上記した不飽和カルボン酸金属塩を含む水素化ニトリルゴムのみからなるポリマー100質量部に対し3〜7質量部で配合される。短繊維5の配合量が3質量部未満では、歯部7を構成するゴム組成物の貯蔵弾性率(E´)が低いため、高負荷走行条件では歯部7の変形量が大きくなり、歯欠けが発生する。短繊維の配合量が7質量部を超えると、歯部7を構成するゴム組成物のE´が過剰に高くなるため、歯部7はほとんど変形しなくなり、変形による噛み合い位置の調整ができず、歯部7への損傷が大きくなる。短繊維5の種類は特に限定されるものではないが、例えばアラミド繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維、ポリビニルアルコール繊維、炭素繊維等のモジュラスの高い繊維が好適に使用できる。
【0030】
また、粉末状の無機充填剤の配合量は、上記した不飽和カルボン酸金属塩を含む水素化ニトリルゴムのみからなるポリマー100質量部に対し10質量部以下で配合される。粉末状の無機充填剤の配合量が10質量部を超えると、歯部7を構成するゴム組成物の発熱が大きくなり、前記ゴム組成物の耐熱性が低下するため、熱老化により歯欠けや亀裂が発生する。
【0031】
本実施形態では、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを100:100〜100:180の質量比で混合した不飽和カルボン酸金属塩を含む水素化ニトリルゴムのみからなるポリマーを使用するので、歯付ベルト3の歯部7に使用されるゴム組成物の硬度は十分に高い。従って、カーボンブラックやシリカなどの粉末状の無機充填剤を必ずしも配合する必要はない。特に、カーボンブラックは歯部7を構成するゴム組成物を黒色に着色できる程度に配合されていればよく、好ましくは10質量部以下である。さらに好ましくは5質量部以下である。このカーボンブラックは、着色剤として使用しており、ゴム組成物を黒色に着色するにはカーボンブラックが最適である。本実施形態では、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを100:100〜100:180の質量比で混合することによって歯部の硬度が十分に高くなっているので、カーボンブラックやシリカ等の粉末状の無機充填剤の配合量を少なくすることが可能となっている。具体的には、従来では、特許文献1(特開2008−101728号公報)の表1に示されるように、カーボンブラックの配合量が40質量部となっているのに対して、本実施形態では、カーボンブラックの配合量が10質量部以下となっている。
【0032】
本実施形態の歯部7を構成するゴム組成物の硬度は、JIS−A硬度で95度〜98度であることが好ましい。また、20%伸張時のモジュラスが少なくとも20MPa以上であることが好ましい。このような高モジュラスなゴムとして、例えば、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩である、ポリメタクリル酸亜鉛を高度に微分散させたもの(例えば、日本ゼオン製、商品名「ZSC」等)に、カーボンブラック、シリカ、及び、短繊維を配合して補強したものが好適に用いられる。これにより、歯付ベルト3のモジュラスが高まり、高負荷走行時においても歯部7と歯付プーリとのかみ合いが維持される。
【0033】
また、本実施形態の歯部7に使用するゴム組成物の加硫物は、JIS K6394に準じて測定された70°C雰囲気温度下でのE´が200〜300MPaであり、かつ、損失係数(Tanδ)が0.1〜0.2の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、歯欠け等の不具合は起こりにくくなり、歯部7の変形が抑制されることで、歯付プーリとのかみ合いに支障を来たさず、耐久性が向上する。
【0034】
E´とは、周期振動を与える動的状態の試験から得られる弾性率であり、歪と同位相の弾性応力の比率として定義される。E´が高いほど物体は変形しにくくなり、高負荷条件のような強い外部の力でも変形量は小さくなるので、亀裂や切断などは発生しにくい。一方、E´が低くなると物体は変形しやすくなるため、小さな外部力でも物体は容易に切断、破壊が起こる。
Tanδとは、損失弾性率(E´´)をE´で除したものであり、振動1サイクルの間に熱として散逸されるエネルギーと貯蔵される最大エネルギーとの比の尺度となっている。即ち、Tanδはゴム組成物に加えられる振動エネルギーが熱として散逸され易さを表すものであり、Tanδが大きくなるほど外部から加えられるエネルギーの多くが熱に変換されるため、ゴム組成物は自己発熱により温度が高くなり、耐熱性が低下する。一方、Tanδが低いほど発熱量は低く抑えられるため、ゴム組成物の耐熱性は向上する。
【0035】
ベルト本体10の背部4には、それぞれベルト長手方向に延在する複数の心線9が、ベルト幅方向(Y方向)に並べて埋設されている。この心線9は、化学繊維からなる下撚りコードを多数本撚り合わせた太径撚糸心線である。また、心線9を構成する化学繊維としては、例えば、PBO繊維、ポリアリレート繊維、アラミド繊維、炭素繊維等を好適に使用できる。
【0036】
歯布11は、ベルト幅方向に延在する経糸6とベルトの長手方向に延在する緯糸8とを織成してなる繊維織物を基材とする。また、この繊維織物は、平織物や綾織物、朱子織物などからなる。この繊維織物を構成する繊維材料としては、例えば、アラミド繊維、ウレタン弾性糸、脂肪族繊維(6ナイロン、66ナイロン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等)等を使用できる。
【0037】
本実施形態の繊維織物として、2種類の緯糸8と1種類の経糸6とで織成された多重織(2重織)構造のものを採用することもできる。この場合、経糸6をナイロン繊維とし、緯糸8にはフッ素系繊維、ナイロン繊維、及び、ウレタン弾性糸を使用することが好ましい。また、緯糸8のうちの、歯布11の表面側(歯付プーリとのかみ合い側)に位置する(露出する)緯糸8としては、歯布11と歯付プーリとの間の摩擦を低減するために、摩擦係数が低いフッ素系繊維(例えば、PTFE繊維)を使用することが好ましい。一方、歯布11の裏面側(歯部7との接着側)に位置する緯糸8には、フッ素系繊維以外の繊維(ナイロン繊維やウレタン弾性糸)を使用することで、歯布11と歯部7を構成するゴムとの接着力を高めることが可能となる。
【0038】
また、フッ素系繊維の周囲には、ゴムを基材とするベルト本体10の加硫温度で融解する融点を有する低融点繊維が配されていることが好ましい。具体的には、フッ素系繊維と低融点繊維とが混撚されている、又は、フッ素系繊維が低融点繊維によってカバーされているなどの形態が含まれる。なお、ベルト本体10の加硫条件(加硫温度や加硫時間)は、特に限定されるものではなく、加硫剤や加硫促進剤の種類や加硫手段等を考慮して、通常、ムーニー粘度計やその他の加硫挙動測定機を用いて測定した加硫曲線を参照して決定される。このようにして決定される一般的な加硫条件は、加硫温度100〜200°Cで、加硫時間1分〜5時間程度である。必要により二次加硫を行っても良い。
【0039】
この場合、ベルト本体10の加硫時に低融点繊維が融解し、歯布11を構成する繊維間に流れ込んだ後、融点以下まで冷却することで低融点繊維が結晶化する。そのため、歯付プーリへのかみ込み時、或いは、歯付プーリからのかみ抜け時に、歯布11の表面に生じる衝撃や摩耗によってフッ素系繊維が切断・飛散するのが抑制される。これにより、ベルト本体10をより長期間保護して、ベルトの歯欠けを防止することができ、高負荷走行時の長寿命化が可能となる。
【0040】
ここで、低融点繊維としては、融点が165℃未満、好ましくは150℃未満の、例えば、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、又は、オレフィン系繊維を使用することができる。
【0041】
低融点繊維として使用可能なポリアミド系繊維としては、W−アミノカルボン酸成分又はジカルボン成分とジアミンとの組み合わせからなる、共重合ポリアミド類のものがある。
【0042】
ポリエステル系繊維としては芯鞘型複合繊維が好ましい。融点がベルト本体10の加硫温度よりも高い芯成分のポリエステル系ポリマーは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、それらの共重合体であり、加硫温度よりも融点の低い鞘成分の共重合ポリエステルは、二塩基酸とジオールとの重縮合反応で得られ、その例としては、テレフタル酸とジエチレングリコールとをベースに、共重合成分として、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ブタンジオール、へキサンジオール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられ、その組み合わせ及び共重合比率により融点を調整可能である。
【0043】
オレフィン系繊維としては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維(例えば、高密度ポリエチレン繊維、中密度ポリエチレン繊維、低密度ポリエチレン繊維、直鎖状低密度ポリエチレン繊維、超高分子量ポリエチレン繊維)などが挙げられる。
【0044】
また、これらを共重合させたものでも良く、さらには、ベルト本体10の加硫温度で融解する繊維であれば、その撚糸方法や構成について特に限定されるものではない。さらに、これら低融点繊維の表面に、接着処理剤との親和性を上げることを目的として、プラズマ処理等がなされても良い。
【0045】
この歯布11は、以下のような工程を含む一連の接着処理を経て、歯部7を構成するゴムに接着される。
【0046】
(1)歯布11を構成する繊維織物を、レゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス処理液(以下、RFL処理液という)に含浸し、乾燥させる。
【0047】
ここで、RFL処理液には、硫黄化合物の水分散物、キノンオキシム系化合物、メタアクリレート系化合物、マレイミド系化合物のうち少なくとも1つの加硫助剤、又は、これらの加硫助剤を水に分散させたものを添加することが好ましい。
【0048】
硫黄化合物の水分散物としては、例えば、硫黄の水分散物やテトラメチルチウラムジスルフィドなどが採用され得る。キノンオキシム系化合物としては、例えば、p−キノンジオキシムなどが採用され得る。メタアクリレート系化合物としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレートやトリメチロールプロパントリメタクリレートなどが採用され得る。マレイミド系化合物としては、例えば、N,N´−m−フェニレンビスマレイミドやN,N´−(4,4´−ジフェニルメタンビスマレイミド)などが採用され得る。
【0049】
なお、上述した「当該加硫助剤を水に分散させたもの」における「水」は、例えばアルコールなどのメタノールを若干程度含むものであっても良い。これによれば、「当該加硫助剤」が水に対して不溶性の場合であっても、「当該加硫助剤」の水に対する親和性が向上して「当該加硫助剤」が分散し易くなる。
【0050】
このように、RFL処理液に加硫助剤を添加することで以下の効果が期待される。即ち、RFL処理液中に含まれるゴムラテックス成分と外層ゴム(後記(2)のゴム糊処理や(3)のコート処理で使用されるゴム糊又は圧延ゴムを意味する。コート処理が省略される場合は歯部7を構成するゴムを意味する。)との層間の化学的結合力が強化されることで、接着性が向上し、歯布11の剥離が抑制される。更に期待される効果として、RFL処理液中に含まれるゴムラテックス成分自身の化学的結合力(架橋の力)が強化され、その結果、接着層の凝集破壊による剥離(即ち、層間剥離)よりも、接着対象である上記外層ゴムの破壊による剥離が先行すると考えられる。
【0051】
また、RFL処理液に加硫助剤を添加する場合、繊維織物の含浸処理を2回に分けて実行しても良い。この場合、まず、1回目のRFL含浸処理においては、RFL処理液には、前述した何れの加硫助剤も添加しないこととする。これは、1回目の処理工程においては、ゴムラテックス成分の架橋よりもRFの熱硬化を優先するためである。
【0052】
一方、2回目のRFL含浸処理においては、1回目のRFL処理液と比較してゴムラテックス成分を多く含み、硫黄化合物の水分散物、キノンオキシム系化合物、メタアクリレート系化合物、マレイミド系化合物のうち少なくとも1つの加硫助剤、又は、加硫助剤を水に分散させたものを添加したRFL処理液を使用する。なお、1回目の含浸処理と2回目の含浸処理とで、RFL処理液のゴムラテックス成分の割合に差を設けるのは、親和性の異なる繊維とゴムの両方に対する、RFL層の接着性を高める為である。
【0053】
(2)繊維織物に、ゴム組成物を溶剤に溶かしたゴム糊からなる接着処理剤を付着させた後にベーキング処理する、2種類のゴム糊処理(P1処理、S1処理)を行う。
【0054】
(3)繊維織物の表面に、ゴム糊と圧延ゴムとをこの順にコーティングする。本工程は、コート処理とも称される。「この順に」とあるのは、詳細には「繊維織物から歯部7へ向かって、この順に」を意味する。ここで、RFL処理液に加硫助剤を添加した場合には、このコート処理で使用するゴム糊と圧延ゴムにも、RFL処理液に添加した加硫助剤と同一のものを添加することが好ましい。これにより、RFL処理液で処理された繊維織物とゴム糊の間の接着力の著しい改善が期待できる。
【0055】
なお、上記(1)〜(3)の処理は、全てを行う必要はなく、必要に応じて、いずれか1つ、或いは、2以上の複数を組み合わせて行う。例えば、(1)の処理においてRFL処理液に加硫助剤を添加する場合には、この処理のみで繊維織物とゴム間の接着力がかなり高められることから、(2)のゴム糊処理を省略しても良い。
【実施例】
【0056】
(耐久試験)
次に、2軸高負荷走行試験を用いた耐久試験を行って、本発明の実施例に係る歯付ベルトの技術的効果を検証した。
【0057】
[試験条件]
試験機:2軸高負荷走行試験機
評価ベルト:ベルト歯数:100歯、歯形状:丸歯、歯ピッチ:14mm、ベルト幅:20mm、ベルトピッチライン:1400mm
駆動プーリ歯数:28歯
従動プーリ歯数:28歯
設定張力:530N
回転数:1800rpm
負荷:従動プーリに対して4181N
測定温度:25℃(室温)
【0058】
ベルトの心線については、原糸繊度が167tex、構成が3/6、撚係数が2.0である、アラミド繊維からなる心線を使用した。
【0059】
その他、本耐久試験で使用されるベルトの、ゴム配合、歯布構成を、表1、表2、及び、表3にそれぞれ示す。また、表1及び表2には、使用されている15種類のゴム配合(実施例:R−0〜R−6、R−14、比較例:R−7〜R−13)のそれぞれについて、硬度(JIS−A硬度)及びM20(20%伸張モジュラス:MPa)も併記している。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
表3に示すように、2種類の歯布のうち、F−1の緯糸には、フッ素系繊維であるPTFE繊維が配合されている。また、F−2の歯布には、緯糸にPTFE繊維だけでなく、ゴム加硫温度で融解する融点を有する低融点繊維である、ポリエステル系繊維が配合されている。具体的には、本試験で使用したベルトのゴム加硫条件は、加硫温度165°C、加硫時間30分である。一方で、今回使用したポリエステル系繊維(ユニチカ株式会社製「コルネッタ」)は、芯部融点が256°C、鞘部融点が160°Cである。
【0064】
また、歯布接着処理に用いられる、RFL処理液の配合、ゴム糊処理(P1処理及びS1処理)の配合、及び、コート処理用ゴム配合を、表4、表5、及び表6にそれぞれ示す。
【0065】
【表4】

【0066】
【表5】

【0067】
【表6】

【0068】
そして、表1〜表6に示す、ゴム配合、歯布構成、及び、歯布接着処理により16種類(実施例1〜9、比較例1〜7)のベルトを予備成型工法にて作製した。予備成型工法とは、歯型を有する金型によって歯布と歯部とを予め成型してから、得られた予備成形体の上に心線を螺旋状にスピニングを行い、その上に背部とを、構成する未加硫ゴムを巻いた後、全体を加硫缶で加硫する工法のことである。この予備成型工法においては加硫前に歯布と歯部が予め成型される為、加硫時に背部を構成する未加硫ゴムを心線の間から内側(腹側)へ流動させ、歯布を緊張させて歯部を形成する必要がない。そのため、心線間距離(ピッチ)を狭くすることが可能となる。従って、高モジュラスのベルトを作製する場合には、ベルト幅方向の心線ピッチをほぼ心線径まで狭くすることが可能となる、この予備成型工法が適している。これら16種類のベルトについて、上述した試験条件で耐久試験を行った。その結果を表7及び表8に示す。
【0069】
また、上記した16種類のベルトに係るゴム組成物の加硫物の特性として、70°C温度条件下で、E´及びTanδを測定した。JIS K6394に準じてサンプルを作製した。加硫としては、ベルトと同様に加硫温度165°C、加硫時間30分で行った。粘弾性の測定条件は、下記の通りである。
【0070】
[測定条件]
試験機名:(株)上島製作所製 粘弾性測定装置 VR7121
試料サイズ:厚み2mm×幅4mm×長さ40mm
測定温度範囲:−40°C〜150°C
昇温速度:1℃/min
初期歪:1%
動歪:0.5%
周波数:10Hz
歪方向:短繊維平行方向
【0071】
E´、及び、Tanδの測定方法としては、上記した試料サイズのサンプルを、粘弾性測定装置のチャック部にチャック間距離15mmとしてチャッキングし、初期歪1%を与えた。次に、−40°Cの雰囲気温度で5分間程度放置し、10Hzの周波数を1.6秒間与えることで0.5%歪をさらに与えた。次に、1°Cずつ昇温させ、1°Cにつき0.5%の動歪を与えながら150°C迄昇温させた。そして、70°C時点でのE´及びTanδを求めた。その結果を表7及び表8に示す。
【0072】
【表7】

【0073】
【表8】

【0074】
[考察]
歯部を構成するゴム組成物として、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを100:100〜100:180の質量比で混合した不飽和カルボン酸金属塩を含む水素化ニトリルゴムのみからなるポリマー100質量部に対し、短繊維が3〜7質量部、粉末状の無機充填剤(カーボンブラック及びシリカ)が10質量部以下で配合された実施例1〜9は、走行寿命が100時間を越え、比較例1〜7に比べて高負荷での耐久性が良いことが分かった。
【0075】
また、実施例1〜4は、歯部を構成するゴム組成物としてカーボンブラックの配合量のみを変えたものだが、ベルト寿命はカーボンブラックの配合量が少ないほど向上している。これは、カーボンブラックの配合量を少なくすることでTanδが低下し、歯部の変形による発熱が小さくなったためだと考えられる。
【0076】
比較例1〜5は、上記した実施例1〜9と比較して、E´が200MPa未満と低いため、高負荷走行条件での歯部の変形量が大きくなり、亀裂や歯欠けが発生してベルト寿命が短くなったと考えられる。
【0077】
比較例6は、歯部を構成するゴム組成物としてシリカがポリマー100質量部に対し15質量部配合されているものであり、E´は200MPa以上であるが、Tanδは0.21と高かった。このため、歯部の変形による発熱が大きくなり、歯欠け及び心線剥離が発生し、ベルト寿命が短くなったと考えられる。
【0078】
比較例7は、歯部を構成するゴム組成物としてカーボンブラックがポリマー100質量部に対し15質量部配合されているものであり、E´は200MPa以上であるが、Tanδは0.22と高かった。このため、歯部の変形による発熱が大きくなり、歯欠け及び心線剥離が発生し、ベルト寿命が短くなったと考えられる。
【0079】
実施例8及び9は、それぞれ実施例2及び6と歯布の条件以外は同じであるが、走行試験においてベルト寿命が短くなっている。これは、実施例8及び9では緯糸に低融点繊維が使用されていない歯布F−1を用いているのに対し、実施例2及び6では、緯糸に低融点繊維であるポリエステル系繊維を使用した歯布F−2を用いていることが要因である。即ち、緯糸のフッ素系繊維(PTFE繊維)の周りに低融点繊維が配されることによって、フッ素系繊維の切断・飛散が抑制され、ベルト本体のゴムが長期間に亘って保護されるからであると考えられる。
【0080】
このように、ゴム製歯付ベルトの歯部に使用するゴム組成物の加硫物の70°C温度条件下でのE´を200〜300MPa、かつ、Tanδを0.1〜0.2の範囲にすることによって、ベルトの寿命が長くなることが分かった(図2参照)。また、このゴム組成物に加えて、緯糸に低融点繊維であるポリエステル系繊維を使用した歯布を使用することによって、ベルト寿命はさらに向上することが分かった。
【0081】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及び実施例に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態及び実施例の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明を利用すれば、歯付ベルトの歯部のゴム硬度及びモジュラスを高くして歯欠け等を防止し、長寿命のゴム製歯付ベルト及び歯付ベルト用ゴム組成物を得ることができる。
【符号の説明】
【0083】
3 ゴム製歯付ベルト
4 背部
5 短繊維
6 経糸
7 ベルト歯部
8 緯糸
9 心線
11 歯布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部、及び、心線が埋設された背部を含むゴム組成物を基材としたベルト本体と、前記複数の歯部の表面を被覆する歯布とを有するゴム製歯付ベルトであって、
前記歯部を構成するゴム組成物は、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを100:100〜100:180の質量比で混合した不飽和カルボン酸金属塩を含む水素化ニトリルゴムからなるポリマー100質量部に対し、短繊維が3〜7質量部で配合され、
前記ポリマー100質量部に対し、粉末状の無機充填剤が10質量部以下で配合されることを特徴とする、ゴム製歯付ベルト。
【請求項2】
前記ポリマー100質量部に対し、粉末状の無機充填剤が5質量部以下で配合されることを特徴とする、請求項1に記載のゴム製歯付ベルト。
【請求項3】
前記粉末状の無機充填剤がカーボンブラックであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のゴム製歯付ベルト。
【請求項4】
前記歯布が、経糸と複数種類の緯糸とで織成された多重織構造を有し、前記経糸がナイロン繊維であり、前記複数種類の緯糸のうち歯布の表面側に位置する緯糸がフッ素系繊維であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム製歯付ベルト。
【請求項5】
前記複数種類の緯糸のうち歯布の表面側に位置する緯糸がフッ素系繊維であり、その繊維の周囲に、加硫温度で融解する融点を有する低融点繊維が配されていることを特徴とする、請求項4に記載のゴム製歯付ベルト。
【請求項6】
ベルト長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部、及び、心線が埋設された背部を含むゴム組成物を基材としたベルト本体を有するゴム製歯付ベルトの前記歯部に使用するゴム組成物であって、
前記ゴム組成物は、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを100:100〜100:180の質量比で混合した不飽和カルボン酸金属塩を含む水素化ニトリルゴムからなるポリマー100質量部に対し、短繊維が3〜7質量部で配合され、
前記ポリマー100質量部に対し、粉末状の無機充填剤が10質量部以下で配合されることを特徴とする、歯付ベルト用ゴム組成物。
【請求項7】
前記ポリマー100質量部に対し、粉末状の無機充填剤が5質量部以下で配合されることを特徴とする、請求項6に記載の歯付ベルト用ゴム組成物。
【請求項8】
前記粉末状の無機充填剤がカーボンブラックであることを特徴とする、請求項6又は7に記載の歯付ベルト用ゴム組成物。
【請求項9】
前記ゴム組成物の加硫物の特性として、JIS K6394に準じて測定された70℃の貯蔵弾性率(E´)が200〜300MPa、かつ、損失係数(Tanδ)が0.1〜0.2の範囲であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の歯付ベルト用ゴム組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−122719(P2011−122719A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184848(P2010−184848)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】