説明

ゴム輪の取付け構造

【課題】管端接合時の外圧を受けゴム輪が取付面側より剥離,抜け出し,捻じれ,裂断等するのを防止して、所定の位置において水封止するようにしたゴム輪の取付け構造を提供する。
【解決手段】インサート部分を含む取付基体側と、接続管の圧入の際に外圧が作用する傾斜翼片を含むその他の部分とを具備するゴム輪の取付け構造であって、前記インサート部分の断面形状が蟻溝形を呈するとともに、前記ゴム輪のインサート部分の上部が当該ゴム輪の外端下部よりも前記接続管の軸方向に対して拡幅していて、前記取付基体側のインサート部分が変形を生じないように、該インサート部分と同形の凹溝に周回取り付けされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はボックスカルバート、アーチカルバート、ヒューム管などの端部間の接続部内に圧入介在するゴム輪の取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボックスカルバートなどの端部間の接続部内に圧入介在するゴム輪については、特開平5−263457号公報に記載されている。
【0003】
しかしながら、上記の公報が開示するゴム輪は全体をゴムの性質を生かして均一質にて形成して取付基体側を管端面に取付けるようにしているので、圧入に際してゴム輪の外端面が外圧を受けると、図5に示すように管端面から剥離、抜け出し、捻じれ、裂断等Hを生じて所定の位置に圧入介在しないという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−263457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ゴム輪の外端面が外圧を受けてもゴム輪の取付基体側が管端面より剥離、抜け出し、捻じれ、裂断等を生じないようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はゴム輪がボックスカルバート、アーチカルバート、ヒューム管などの接続管の一側の端部に周回取付けされるインサート部分を含む取付基体側と、接続管の圧入の際に外圧が作用する傾斜翼片を含むその他の部分とを具備し、隣接する接続管の端部間の接続部内に圧入介在するゴム輪の取付け構造であって、前記インサート部分の断面形状が蟻溝形を呈するとともに、前記ゴム輪のインサート部分の上部が当該ゴム輪の外端下部よりも前記接続管の軸方向に対して拡幅していて、前記取付基体側のインサート部分が変形を生じないように、インサート部分を該インサート部分の断面形状と同形の凹溝に周回取り付けしたことを特徴とするものである。
さらに本発明は前記ゴム輪の取付基体側の一定厚をデュロメータ硬さで65〜85HAの範囲にて変形の生じない強硬度としたことを特徴とするものである。
さらに本発明は前記ゴム輪が接続管の一側の雄管端の外面、または雌管端の内面に周回取り付けされていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明はゴム輪のインサート部分を含む取付基体側の一定厚を変形が生じないようにするとともに、各傾斜翼片を含むその他の部分を変形可能な通常の弾性体にて形成したので、圧入に際してゴム輪の外端面に外圧が加わっても変形に基づくゴム輪の取付基体側が剥離、抜け出し、捻じれ、裂断等を生ずることが確実に防止されて、所定の位置に圧入介在して水封止するという効果を生ずる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(実施例1)(a)乃至(f)はゴム輪の各種取付例を示す部分断面図
【図2】管端部を接合しつつある状態にて取付基体側に変形が生じないことを示す部分断面図
【図3】(実施例2)その他の部分を外端面に向って順次弾性化させた例を示すゴム輪の断面図
【図4】(実施例3)カラー接続の例を示す部分断面図
【図5】従来例のゴム輪において、嵌合時の外圧を受けて取付基体側が変形し剥離、抜け出しした状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は単一のゴム輪の中で硬度を2分3分等にわけることができることに着目して成されたもので、ゴム輪のインサート部分を含む周回取付基体側の一定厚tをデュロメータ硬さにおいて65〜85HAの変形の生じない強硬度(剛性)にした。
さらにゴム輪1の取付基体側の一定厚t以外のその他の部分Sは外端面に向って順次弾性化した。
本発明はこれにより、圧入に際してゴム輪の外端面が外圧を受けてもゴム輪の変形に伴う剥離、抜け出し、捻じれ、裂断等を防止するようにして実現した。
【実施例1】
【0010】
図1はゴム輪1の各種の取付例を示すものである。
同図の(a)はボックスカルバート2の成形時に雄管端2aの外表にゴム輪1の取付基体側をインサートにて周回取付けした例を示す。1aはそのインサート部分である。
同図の(b)はボックスカルバート2の成形時に雄管端2aの外表にゴム輪1の取付基体側をインサートにて周回取付けしたインサート部分1aの他の形状例を示す。
同図の(c)はゴム輪1の取付基体側の一定厚tをインサート部分1aの少し外までとした例を示すものである。
同図の(d)は雄管端2aの外表に凹溝2bを設けてゴム輪1の取付基体側を嵌込み取付けした例を示すものである。
同図の(e)は雄管端2aの外表に設けた蟻溝に同形に形成したゴム輪1の取付基体側を嵌込み、またはインサートしたゴム台1bの上面上にゴム輪1を接着取付けした例を示すものである。
同図の(f)は雌管端2cの内面にゴム輪1をインサート取付けした例を示すものである。1cはインサート部分を示している。
【0011】
ゴム輪1はインサート取付け部分を含んで取付基体側の一定厚tをJIS規格、K6253の5デュロメータ硬さ試験による硬度単位HAで65〜85HAの範囲、つまり変形を生じない強硬度にして、その他の部分Sは各傾斜翼片1dを含めて45〜64HAの通常の弾性体にて弾性変形するように形成する。
なお1eはゴム輪1のその他の部分Sの内部中間に設けた中空部である。
【0012】
取付基体側の一定厚tは、インサート部分1aなど溝内の部分は全厚であり、接着取付けを考慮して管端面から或る程度突出する幅の部分までとすることもある。
またインサート部分1aは図1(a)に示すように中間に狭小幅部1fを有して抜け出さない形状にしている。
【0013】
図2に示すように、ボックスカルバート2を隣接のカルバート2cに前進嵌めする際、ゴム輪1の外端面は該カルバート2cにより外圧を受けるが、取付基体側の一定厚tが変形しない65〜85HAの強硬度にて形成されているので、インサート部分1aの変形に基づく剥離、抜け出し、捻じれ、裂断等の生ずることが確実に防止されて、所定の位置に圧入し介在して水封止をすることとなる。
【実施例2】
【0014】
図3、4はゴム輪1の取付基体側の一定厚tを変形しない65〜85HAの強硬度とし、その他の部分Sを外端面に向って順次弾性化させた例を示すものである。
【実施例3】
【0015】
図4はカラー3を用いた接続例であり、ボックスカルバート2の雄管端2aの外面に実施例1または実施例2と同じようにしてゴム輪1を周回取付けして、カラー3内に進入させて接続するのである。
ゴム輪1の取付基体側の一定厚tは変形しない65〜85HAの強硬度にしてあるので、カラー3の接触圧を受けるも所定位置に圧入して介在することとなる。
【0016】
各種のゴム輪による実験によれば、ゴム輪1の取付基体側の一定厚tの硬度を65HAより低硬度にすると外圧を受けた際に容易に変形が生じやすく、85HAより硬度の高いものは製造や取扱い性に難点が生ずるものとなった。
汎用的には75乃至85HAの硬度とすることが望ましく、ゴム輪1の形状、大きさや使用場所の温度環境等の諸条件を勘案してそのゴム輪1に適切な硬度を選択するのである。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明のゴム輪1はボックスカルバートやヒューム管等の雄雌嵌合、カラー接合などの接続部内に圧入介在させるあらゆる継手部へ適用することができるものである。
【符号の説明】
【0018】
1はゴム輪
1aはインサート部分
1bはゴム台
1cはインサート部分
1dは傾斜翼片
1eは中空部
1fは狭小幅部
tは取付基体側の一定厚
sはその他の部分
2はボックスカルバート
2aは雄管端
2bは凹溝
2cは雌管端
3は継手用のカラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム輪がボックスカルバート、アーチカルバート、ヒューム管などの接続管の一側の端部に周回取付けされるインサート部分を含む取付基体側と、接続管の圧入の際に外圧が作用する傾斜翼片を含むその他の部分とを具備し、隣接する接続管の端部間の接続部内に圧入介在するゴム輪の取付け構造であって、
前記インサート部分の断面形状が蟻溝形を呈するとともに、前記ゴム輪のインサート部分の上部が当該ゴム輪の外端下部よりも前記接続管の軸方向に対して拡幅していて、
前記取付基体側のインサート部分が変形を生じないように、インサート部分を該インサート部分の断面形状と同形の凹溝に周回取り付けしたことを特徴とする、
ゴム輪の取付け構造。
【請求項2】
請求項1において、前記ゴム輪の取付基体側の一定厚をデュロメータ硬さで65〜85HAの範囲としたことを特徴とする、ゴム輪の取付け構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記ゴム輪が接続管の一側の雄管端の外面に周回取り付けされていることを特徴とする、ゴム輪の取付け構造。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、前記ゴム輪が接続管の一側の雌管端の内面に周回取り付けされていることを特徴とする、ゴム輪の取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−257087(P2009−257087A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186476(P2009−186476)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【分割の表示】特願2003−285922(P2003−285922)の分割
【原出願日】平成15年8月4日(2003.8.4)
【出願人】(000229128)日本ゼニスパイプ株式会社 (31)
【Fターム(参考)】