説明

ゴルフクラブ展示具

【課題】ゴルフクラブの取り外し等が簡単に行えると共に、長期に亘り安定して使用することができ、また展示具自体に高級感が得られて展示されているゴルフクラブの印象を高めることが可能なゴルフクラブ展示具を提供する。
【解決手段】パター等のゴルフクラブの磁性体からなるシャフトが嵌装可能な溝を有する本体と、該本体内で溝の底面側に配置されたマグネットと、を備え、本体の溝内にシャフトを嵌装すると共に該シャフトをマグネットで吸着させることにより、ゴルフクラブを所定状態で展示する。前記本体は、縦長に形成されて該本体に縦方向に一本の溝が形成されると共に該溝の長手方向に複数個のマグネットが配置され、また、溝の内面に緩衝材が設けられたり、本体が傾動手段によって支持部材に傾動可能に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばゴルフクラブとしてのパター等を販売のために展示するゴルフクラブ展示具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺物としてのゴルフクラブの展示具としては、例えば特許文献1に開示されている。この展示具は、板状の表示部とその長手方向両端部に設けた取付部とで細長くて四角い有底箱状に形成され、取付部に切込溝を設けると共に、一方の切込溝にスポンジ等からなるずれ止め部材を取り付けたものである。そして、ゴルフクラブのシャフトを各取付部の切込溝に押し込んでずれ止め部材でズレを防止することにより、ゴルフクラブを所定状態で展示するようにしたものである。
【特許文献1】 特開2002−366043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような展示具にあっては、表示部や取付部が紙で形成され、各取付部の切込溝に紙の変形を利用して押し込む構成であるため、展示具自体の耐久性が劣り、例えば展示されているクラブを客が何回が取り出しているうちに破損したり劣化する虞がある等、展示具を長期に亘り安定して使用することが困難である。また、展示具自体が紙製であるがゆえに、全体に高級感に乏しく見栄えの面でも劣り、該展示具により展示される高級ゴルフクラブの印象を低下させ易い。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ゴルフクラブの取り外し等が簡単に行えると共に、長期に亘り安定して使用することができるゴルフクラブ展示具を提供することにある。また、他の目的は、前記目的に加え、展示具自体に高級感が得られて展示されているゴルフクラブの印象を高めることが可能なゴルフクラブ展示具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、ゴルフクラブの磁性体からなるシャフトが嵌装可能な溝を有すると共に、該溝の底面側にマグネットが配置された本体を備え、前記本体の溝内に前記シャフトを嵌装すると共に該シャフトをマグネットで吸着させることにより、前記ゴルフクラブを所定状態で展示してなることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、前記本体が縦長に形成され、該本体に縦方向に一本の溝が形成されると共に該溝の長手方向に複数個のマグネットが配置されていることを特徴とし、請求項3に記載の発明は、前記本体が略方形状に形成され、該本体に縦方向に複数本の溝が形成されると共に各溝の長手方向に複数個のマグネットがそれぞれ配置されていることを特徴とする。さらに、請求項4に記載の発明は、前記溝の内面に緩衝材が設けられていることを特徴とし、請求項5に記載の発明は、前記本体が傾動手段によって支持手段に傾動可能に取り付けられていることを特徴とする。また、請求項6に記載の発明は、前記本体が樹脂、金属等の剛性材で形成され、その溝内面が曲面で形成されて光の反射機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、本体に形成された溝内にゴルフクラブの磁性体からなるシャフトが嵌装すると共に、このシャフトをマグネットで吸着させてゴルフクラブを所定状態で展示するため、マグネットによりゴルフクラブの取り外し等が簡単に行えると共に、本体によりゴルフクラブを長期に亘り安定して支持することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、本体が縦長に形成され、該本体に縦方向に一本の溝が形成されると共に、該溝に複数個のマグネットが配置されているため、一本の縦溝を有する本体により1本のゴルフクラブを確実に安定展示することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、本体が略方形状に形成され、この本体に縦方向に複数本の溝が形成されると共に各溝の長手方向に複数個のマグネットが配置されているため、一つの本体に複数本のゴルフクラブを同時に展示できると共に、溝間の間隔寸法を所定に設定することにより、ゴルフクラブの展示効率を高めることもできる。
【0010】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、溝の内面に緩衝材が設けられているため、緩衝材によりゴルフクラブのシャフトへの傷付きを確実に防止できると共にシャフトの滑り等も防止して、一層安定した展示状態を得ることができる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項1ないし4に記載の発明の効果に加え、本体が傾動手段によって支持手段に傾動可能に取り付けられているため、ゴルフクラブの展示角度を所望に設定できて、展示の見栄えを向上させて高級ゴルフクラブの印象低下を一層防止したり、展示効率自体の一層の向上を図ることができる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明によれば、請求項1ないし5に記載の発明の効果に加え、本体が樹脂、金属等の剛性材で形成され、その溝内面が曲面で形成されて光の反射機能を有するため、剛性を有する本体に高級感が得られると共に溝内面の光反射機能でゴルフクラブを浮かび上がらせること等ができて、展示されているゴルフクラブの印象をより一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明に係わるゴルフクラブ展示具の一実施形態を示し、図1がその一部を破断した斜視部、図2がその側面図、図3がその正面図、図4が本体の変形例を示す要部拡大図である。
【0014】
図1に示すように、ゴルフクラブ展示具1(以下、展示具1という)は、本体2と、この本体2を支持する支持装置3(支持手段)等によって構成されている。前記本体2は、図2〜図4に示すように、例えばアクリル材等からなる透明な樹脂材によって所定長さの角柱状に形成され、その前面2aには、長手方向に沿って断面略半円弧形状で平滑な曲面形状の溝4が形成されている。また、この溝4の底面側の本体2内には、その長手方向に沿って略等間隔で例えば4個の円盤状のマグネット5が埋め込まれると共に、溝4の内面には、シリコン等の弾性を有する樹脂からなる緩衝材6が固着されている。なお、溝4の内径は、ゴルフクラブとしてのパター7のシャフト7aが嵌装し得る大きさでかつ長手方向の全域において略同一内径に設定されている。
【0015】
そして、この本体2の背面2bの長手方向の略中央部には、前記支持装置3が連結されている。この支持装置3は、図1に示すように、本体2の背面2bに固着された支持パイプ3aと、この支持パイプ3aの端部が所定角度を有して固定された水平方向の横パイプ3bと、この横パイプ3bの例えば長手方向両端部に下方に向けて延設された縦パイプ3cと、この縦パイプ3cの下端部に固定されその上面に人工芝等のクッション材3eが固着された基板3d等で構成されている。
【0016】
この時、支持装置3の横パイプ3bには、複数本の支持パイプ3aが長手方向に沿って略等間隔で固定されることにより、支持装置3に複数の本体2が支持されて、展示具1に複数本のパター7が展示可能となっている。また、支持装置3の縦パイプ3cの高さ寸法は、一般的なパター7のシャフト7aの上部が本体2の溝4に嵌装し得る寸法に設定され、横パイプ3bの長さは、展示するパター7の本数に応じて適宜に設定されている。なお、この例では、支持装置3を横パイプ3bや縦パイプ3c等により構成したが、例えば支持装置3としての支持パイプ3aを展示場の壁面に直接固定したり、各パイプの代わりに角材を使用する等、支持装置3の構成として他の適宜の構造を採用することができる。
【0017】
このように構成された展示具1は、図1に示すように、支持装置3に予め本体2を支持させ、その基板3dを展示場の所定位置の床面上に載置することにより設置される。この時、本体2は、支持パイプ3aの横パイプ3bに対する固定角度を所定に設定することにより、本体2の上部が後方側に位置し下部が前方側に位置するように若干傾斜状態とされており、この傾斜状態の本体2に対して、その前方の基板3dのクッション材3e上にパータ7のヘッド7bを載置すると共に、パター7のシャフト7aを後方側が回動させてその上部を本体2の溝4に嵌装する。
【0018】
このシャフト7aの溝4への嵌装により、スチール製の磁性体からなるシャフト7aが溝4の底面に配置されているマグネット5により、緩衝材6を介して吸着されて溝4内に保持され、パター7が図1に示すように展示具1によって展示される。つまり、この展示具1によれば、パター7をセットする場合は、ヘッド7bをクッション材3e上においてシャフト7aを溝4内に入れるだけで行うことができ、また、パター7を取り出す場合は、シャフト7aをマグネット5の吸着力以上の力で前方に引っ張ることによって行うことができ、パター7の展示具1へのセットや取り出しが略ワンタッチで行えることになる。
【0019】
ところで、以上の例においては、細長い角柱状に形成した本体2の長手方向(縦方向)に1本の溝4を形成し、この本体2を横パイプ3bに複数個並設状態で支持させたが、例えば図5に示すように、本体2を所定面積を有する正面視で略方形状に形成し、この本体2に複数本(図では3本)の溝4を所定間隔を有して縦方向に形成して、前記支持パイプ3aの本数を低減させることもできる。また、図1の二点鎖線で示すように、支持装置3の横パイプ3bを上下に複数設けて、この横パイプ3bに本体2を固定することにより、1本のパター7のシャフト7aを上下2つの本体2で支える構成としても良く、この場合、上下の本体2の角度は異なるように設定しても良いし同一に設定しても良い。
【0020】
このように、上記実施形態の展示具1にあっては、本体2の前面2aに溝4を形成すると共に、この溝4の底面側にマグネット5が配置されているため、溝4内に磁性体からなるシャフト7aを嵌装することで該シャフト7aをマグネット4に吸着させてパター7を所定状態で展示できると共に、マグネット5によりパター7の取り外しも簡単に行うことができる。また、本体2が、アクリル材からなる角柱形状に形成されているため、本体2自体に所定の剛性を確保できると共に、シャフト7aのセットや取り外し時に、従来のように溝を変形させる必要がなくなり、本体2(すなわち展示具1)の耐久性を大幅に高めて、パター7を長期に亘り安定して展示することができる。
【0021】
また、本体2を縦長に形成し縦方向に一本の溝4が形成されると共に、溝4に複数個のマグネット5が配置されているため、一本の縦溝を有する本体2により1本のパター7を確実に支持して安定展示することができる。この時、図5に示すように、本体2を略方形状に形成して、この本体に縦方向に複数本の溝4を形成するようにすれば、一つの本体2に複数本のパター7を同時に展示できたり、溝4間の間隔寸法を所定に設定することにより、パター7の展示効率を高めることができると共に、支持装置4の構成を簡略化して安価な展示具1を得ることが可能となる。また、上下2つの本体2で1本のシャフト7aを支えるようにすれば、パター7の展示状態をより一層安定化させることができる。
【0022】
さらに、本体2の溝4の内面に緩衝材6が設けられているため、この緩衝材6によりパター7のシャフト7aへの傷付きを確実に防止できると共に、シャフト7aの滑り等も防止して一層安定した展示状態を得ることができる。また、本体2がアクリル樹脂等の透明材で形成され、その溝4内面が曲面で形成されているため、溝4の内面に光の反射機能を持たせることができて、剛性を有する本体2によって高級感が得られると共に光反射機能でパター7を浮かび上がらせることができる等、展示されているパター7の印象を一層高めることが可能となる。
【0023】
図6は、本発明に係わる展示具の他の実施形態を示す側面図である。以下、上記実施形態と同一部位には、同一符号を付して説明する。この実施形態の展示具1の特徴は、前記本体2を支持装置3に対して傾動可能に連結した点にある。すなわち、本体2の背面2bに支持棒3fの一端を固定しこの支持棒3fの他端を金属球3gに固定すると共に、金属球3gの外周面を支持装置3の縦パイプ3c上端に固定され上面が球面形状に形成されたマグネット3hに吸着させる。この金属球3gのマグネット3hへの吸着により金属球3gがマグネット3hの内周面に沿って360度傾動可能となり、この金属球3gの傾動により、本体2が例えば図6の二点鎖線イや三点鎖線ロで示す位置に設定される。
【0024】
この展示具1においても、本体2の溝4に設けたマグネット5によりパター7のシャフト7aを吸着できて、上記実施形態と同様の作用効果が得られる他に、本体2の角度を前後方向や左右方向に傾動させることができ、パター7の展示角度を最適位置に設定できることになる。この例の場合、本体2の傾動機構は、金属球3gとマグネット3hの使用に限らず、例えば本体2を屈曲可能なフレキシブル部材(図示せず)で支持させることで、本体2を所定方向に傾動させることもできる。
【0025】
なお、本発明に係わる展示具1は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、次のような変形例も包含するものである。すなわち、上記実施形態においては、透明なアクリル材からなる本体2の溝4内面を平滑な曲面としたが、例えば溝4の内面に微細凹凸部を設けて展示用照明装置の光を乱反射させて光による演出効果を一層高めたり、本体2にパター7の種類やメーカ等の文字を刻印、印刷してその意匠性を高めたり、あるいは、本体2として透明材ではなく、半透明やステンレス材を使用したり適宜の色彩を施して、その意匠性を高めること等もできる。
【0026】
また、上記各実施形態における、本体2の形状、溝4の本数や形状等の形態、マグネット5の個数や形状、支持装置3の構成等も一例であって、例えば断面三角形状の溝4を使用したり、板状の1枚のマグネット5を使用する等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、ゴルフクラブとしてのパターの展示に限らず、例えばシャフトがスチールのウッドやアイアン等の他のゴルフクラブ等の展示にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】 本発明に係わるゴルフクラブ展示具の一実施形態を示す展示状態の側面図
【図2】 同本体部分の正面図
【図3】 同図2のA−A線矢視図
【図4】 同図2のB−B線矢視図
【図5】 同本体の変形例を示す図2と同様の正面図
【図6】 本発明に係わるゴルフクラブ展示具の他の実施形態を示す側面図
【符号の説明】
【0029】
1・・・ゴルフクラブ展示具、2・・・本体、2a・・・前面、2b・・・背面、3・・・支持装置、3a・・支持パイプ、3b・・・横パイプ、3c・・・縦パイプ、3d・・・基板、3e・・・クッション材、3f・・・支持棒、3g・・・金属球、3h・・・マグネット、5・・・マグネット、6・・・緩衝材、7・・・パター、7a・・・シャフト、7b・・・ヘッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブの磁性体からなるシャフトが嵌装可能な溝を有すると共に、該溝の底面側にマグネットが配置された本体を備え、
前記本体の溝内に前記シャフトを嵌装すると共に該シャフトをマグネットで吸着させることにより、前記ゴルフクラブを所定状態で展示してなることを特徴とするゴルフクラブ展示具。
【請求項2】
前記本体が縦長に形成され、該本体に縦方向に一本の溝が形成されると共に該溝の長手方向に複数個のマグネットが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブ展示具。
【請求項3】
前記本体が略方形状に形成され、該本体に縦方向に複数本の溝が形成されると共に該各溝の長手方向に複数個のマグネットがそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブ展示具。
【請求項4】
前記溝の内面に緩衝材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のゴルフクラブ展示具。
【請求項5】
前記本体が傾動手段によって支持手段に傾動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のゴルフクラブ展示具。
【請求項6】
前記本体が樹脂、金属等の剛性材で形成され、その溝内面が曲面で形成されて光の反射機能を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のゴルフクラブ展示具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−568(P2008−568A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199987(P2006−199987)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(503386539)有限会社日伸工芸 (2)