説明

ゴルフシューズ

【課題】 従来のゴルフシューズでは、足甲部周方向に沿って延設されたベルト部の先端に面ファスナーを設けるため、足甲部を締め付け過ぎる傾向がある。
【解決手段】 左右甲被1a,1bの間の甲開き部2の周縁部に介設され、足甲部3に周方向の伸縮性を与える伸縮部4と、この伸縮部4の足甲部周方向両側の所要位置に設けた一方の面ファスナー5a,5bと、裏面に前記一方の面ファスナ5a,5bと係脱可能な他方の面ファスナー6を設けた砂避け片7とを備えたゴルフシューズGである。砂避け片7は、甲開き部2の前端部裏面側に一端が取り付けられた舌片8が、甲開き部2の後端部上方で折り返され、つま先部9の方向に向けて延設させた構成としている。
【効果】 足を挿入したときに決定された最適な足甲部周方向のサイズをさらに締付けることなく、最適なサイズを維持したまま面ファスナーによる係止が行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足の形状の個人差にかかわらず、足甲部の締付け具合を最適に保つことが可能なゴルフシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
人の足の形状は千差万別であり、つま先から踵までの足長が同じであっても、足甲部の高さが高い人もいれば、低い人もいる。
【0003】
そこで、従来より、例えば図6に示すような構成の靴紐61を備えたゴルフシューズが利用されている。図6のゴルフシューズは、複数の靴紐通し62を有する左右の甲被63(図6では左側半分のみを図示している。)と、その左右の甲被63の内側に接するように配置された舌片64とを備え、左右の靴紐通し62に靴紐61を交互に通して締付けることにより、左右の甲被63を緊締するものである。そして、靴紐61の締付け具合を調節することにより、足甲部の高さの個人差に対応している。
【0004】
また、ゴルフシューズでは、バンカーからのショットを行うときなどに靴の中に砂が入り込み易いため、従来より、例えば図7に示すような構成の砂避け片71を備えたシューズも利用されている。砂避け片71は、図7に示すように舌片72や左右甲被の靴紐通しの部分の上面を覆うものであり、これによって舌片72や靴紐通しの部分に砂が入り込むのを防いでいる。なお、71aは、砂避け片71の上方に設けられた2つの孔であり、靴紐73を通すことにより、砂避け片71の外側からでも靴紐73が結べるように構成されている。
【0005】
しかしながら、上記のような靴紐61で足甲部を緊締する構成のゴルフシューズは、靴を履くときに、靴紐61の締付け具合を確認しながら靴紐通し62に順に通していく必要があり、締付け具合の調整が難しく、かつ、時間がかかるという問題があった。
【0006】
また、靴を脱ぐときには、靴紐61の結び目を解き、左右甲被63を広げる必要があるため、手間がかかる上、次に靴を履くときは、再び靴紐61の締付け具合を調節しなければならないという問題があった。
【0007】
そこで、例えば特許文献1には、図8に示すような構成の面ファスナー81,82を用いた構成のゴルフシューズが提案されている。図8の例では、足甲部の周方向に沿って延設された2本のベルト部83の先端部の裏面に縫合して取付けられている面ファスナー81には、鈎型あるいはキノコ型等の素子を有する面ファスナー雄材が使用されており、足甲部の左側に縫合して取付けられている面ファスナー82には、面ファスナー81と係止可能なループ形の素子を有する編み部材をフィルム等の基材に積層した面ファスナー雌材が使用されている。なお、84は、靴の中に砂が入りにくいように、ベルト部83の一部を覆う砂避け片を示している。
【特許文献1】実開平3−16408号公報
【0008】
上記のような構成のゴルフシューズによれば、靴紐で緊締するのではなく、面ファスナー81,82を係止させる位置を適宜調節することにより足甲部の締付け具合を調整することができるので、その調整が容易に行えるという利点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、図8に示すような構成の従来のゴルフシューズは、足甲部の周方向に沿って延設されたベルト部83を、足甲部周方向に引っ張りながら面ファスナー81,82を互いに係止させるため、足甲部を必要以上に締め付け過ぎてしまうという問題があった。そのため、プレーの開始時点では適切な締め付け具合と思って面ファスナー81,82の係止位置を決めていても、プレーの後半になると徐々に締め付けがきつくなり、足の血行を悪くさせている場合があった。
【0010】
また、図8に示すような構成のゴルフシューズは、砂避け片84が風になびいて裏返ると、ベルト部83の隙間から甲開き部を通って砂が入り込むという問題があった。この点は、図7に示すような靴紐73を用いた構成のゴルフシューズにおいても、孔71aを設ける位置が足甲部の上方寄りとなっていれば、同様の問題が生じていた。
【0011】
本発明が解決しようとする問題点は、靴紐を利用した従来のゴルフシューズでは、足甲部の締付け具合の調整が難しく、靴を脱ぐときに解いた靴紐を履くときに再び結ぶ必要があって手間がかかるという点、及び、面ファスナーを利用した従来のゴルフシューズでは、足甲部周方向に沿って延設されたベルト部の先端に面ファスナーを設けるため、足甲部を締め付け過ぎる傾向がある点である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の問題点を解決するために、本発明のゴルフシューズは、
左右甲被の間の甲開き部の周縁部に介設され、足甲部に周方向の伸縮性を与える伸縮部と、
この伸縮部の足甲部周方向両側の所要位置に設けた一方の面ファスナーと、
裏面に前記一方の面ファスナと係脱可能な他方の面ファスナーを設けた砂避け片と、
を備えたゴルフシューズであって、
前記砂避け片は、前記甲開き部の前端部裏面側に一端が取り付けられた舌片が、前記甲開き部の後端部上方で折り返され、つま先部の方向に向けて延設されたものであること、 を最も主要な特徴点としている。
【0013】
また、本発明のゴルフシューズは、
左右甲被の間の甲開き部の周縁部に介設され、足甲部に周方向の伸縮性を与える伸縮部と、
この伸縮部の足甲部周方向両側の所要位置に設けた一方の面ファスナーと、
裏面に前記一方の面ファスナと係脱可能な他方の面ファスナーを設けた砂避け片と、
を備えたゴルフシューズであって、
前記砂避け片は、その一端が足甲部周方向に沿って甲被に固定され、他端が足甲部周方向と直交する向きに延設されたものであっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明のゴルフシューズは、甲開き部の周縁部に介設した伸縮部が足甲部の周方向に伸縮性を有するため、足を挿入した時点でその人の足甲部の高さに応じて伸縮部が伸びることによって最適なサイズが決定され、その後、砂避け片を足甲部の上方から被せると、伸縮部の足甲部周方向両側の所要位置に設けた一方の面ファスナーと、砂避け片の裏面に設けた他方の面ファスナーが係止され、砂避け片が足甲部に固定される。
【0015】
このとき、砂避け片は、甲開き部の前端部裏面側に一端が取り付けられた舌片が甲開き部の後端部上方で折り返され、つま先部の方向に向けて延設されたものであるため、従来の面ファスナーを用いたゴルフシューズのように足甲部の周方向に不要な力を加えるおそれがない。従って、足を挿入したときに決定された最も適切な足甲部周方向のサイズをさらに締付けることなく、最適なサイズを維持したまま面ファスナーによる固定を行うことができる。
【0016】
また、本発明では、甲開き部を覆う砂避け片は、その一端が足甲部周方向に沿って縫合等の手段により甲被と固定して、砂避け片を着脱するときの支点とし、一方の他端は足甲部周方向と直交する向きに延設して、面ファスナーによって足甲部と係止するように構成することも可能であり、その場合でも、上記と同様の効果が得られる。
【0017】
なお、上記の場合、砂避け片の上下何れの端を甲被と固定しても良いが、砂避け片の上側の端を縫合等により甲被と固定し、下側の端をその裏面に取り付けた面ファスナーにより足甲部と係脱自在となるように構成する方が、砂避け片の係脱を行う際に、靴の中に砂が入り難いので、望ましい。
【0018】
上記本発明のゴルフシューズにおいて、砂避け片に、足甲部の形状に沿うように弧状の芯材が内包されている場合は、平坦な砂避け片を足甲部の形状に沿わせるようにするために、足甲部の周方向に沿う方向に面ファスナーを係止する動作を防止できるので、足を挿入したときに決定された最も適切な足甲部周方向のサイズを、さらに確実に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のゴルフシューズは、左右甲被の間の甲開き部の周縁部に介設され、足甲部に周方向の伸縮性を与える伸縮部と、この伸縮部の足甲部周方向両側の所要位置に設けた一方の面ファスナーと、裏面に前記一方の面ファスナと係脱可能な他方の面ファスナーを設けた砂避け片と、を備えたゴルフシューズであって、足の形状の個人差にかかわらず、足甲部の締付け具合を最適なものとし、足を挿入したときに決定された最も適切な足甲部周方向のサイズをさらに締付けることなく、最適なサイズを維持したまま面ファスナーによる固定を行うという目的を、前記砂避け片を、前記甲開き部の前端部裏面側に一端が取り付けられた舌片が、前記甲開き部の後端部上方で折り返され、つま先部の方向に向けて延設されたものとすることによって実現した。
【0020】
人の足甲部の高さには個人差があるが、本発明の「伸縮部」は、ゴルフシューズに足を挿入したときに、その人の足甲部の高さに追従して足甲部の周方向に伸縮するため、足を挿入した時点で最も適切でかつ自然な足甲部周方向のサイズを決定できる。伸縮部の材質は特に限定されないが、例えば、ゴムバンドや伸縮性の高い繊維からなる布帛などを使用することができる。また、足甲部の周方向と直交する向きに2〜10条の蛇腹形の皺を持たせた生地を用いても良い。
【0021】
本発明の「弧状の芯材」は、砂避け片の形状を最初から足甲部の形状に沿うものとするための部材であり、例えば、樹脂、金属など所要の素材で構成することができる。また、形状は、砂避け片の全域に内包させるように、弧状に曲げられた凹面状の部材としても良いし、例えば砂避け片の中央部又は先端部付近にのみ内包させるように、弧状に曲げられた棒状の部材としても良い。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図5を用いて説明する。
図1は本発明のゴルフシューズの一実施形態を示す図で、砂避け片7を持ち上げた状態で上方側からみた平面図、図2は砂避け片7を折り返した状態の平面図である。
【0023】
本実施例のゴルフシューズGは、図1に示すように、左右甲被1a,1bの間の甲開き部2の周縁部に介設され、足甲部3に周方向の伸縮性を与える伸縮部4と、この伸縮部4の足甲部周方向両側の所要位置に設けた一方の面ファスナー5a,5bと、裏面に前記一方の面ファスナ1a,1bと係脱可能な他方の面ファスナー6を設けた砂避け片7と、を備えている。
【0024】
左右甲被1a,1bは、皮革や合成皮革あるいはこれらと同効の素材と合成繊維の織物を組み合わせて形成したものである。
【0025】
甲開き部2は、左右甲被1a,1bが足甲部3の位置で切り欠かれたものであり、本実施例では、U字状に切り欠かれた甲開き部2を採用している。なお、本発明においては、甲開き部2は、U字状に限られることはなく、V字状、短冊状など所要の形状が採用できる。
【0026】
伸縮部4は、図1に示すように、左右甲被1a,1bの間の甲開き部2の周縁部に介設される部材であり、本実施例ではゴムバンドを使用している。ゴルファーがゴルフシューズに足を挿入したときに、伸縮部4は、その人の足甲部の高さに追従して足甲部3の周方向(図3の紙面上で言えば上下方向)に伸縮する。そのため、ゴルファーが足を挿入した時点で最も適切で、かつ、その人にとって自然な足甲部周方向のサイズを自動的に決定することができる。なお、伸縮部4は、甲開き部2の周縁部の生地に縫合することにより介設したものである。
【0027】
一方の面ファスナー5a,5bは、伸縮部4の足甲部周方向両側に設けている。本実施例では、図1に示すように、角を丸めた平行四辺形状のものを採用しているが、面ファスナー5a,5bの形状、設ける位置及び数は、これに限定されるものではない。例えば円形の面ファスナーを、伸縮部4の足甲部周方向両側に3箇所ずつ設けても良い。
【0028】
砂避け片7の裏面には、一方の面ファスナ5a,5bと係脱可能な他方の面ファスナー6が設けられている。図1の例では、伸縮部4の足甲部周方向両側に縫合して取り付ける一方の面ファスナー5a,5bには、鈎型の素子を有する面ファスナー雄材を使用し、砂避け片7の裏面に縫合して取り付ける他方の面ファスナー6には、一方の面ファスナー5a,5bと係合可能なループ形の素子を有する編み部材をフィルム等の基材に積層した面ファスナー雌材を使用している。もっとも、面ファスナーの雄材と雌材は、逆転させても良い。なお、10は、砂避け片7に内包させた弧状の芯材を示しているが、その詳細は後述する。
【0029】
本実施例では、砂避け片7は、図1及び図2に示すように、甲開き部2の前端部裏面側に一端が取り付けられた舌片8が、甲開き部2の後端部上方で折り返され、つま先部9の方向に向けて延設されたものを採用している。
【0030】
次に、以上のように構成された本発明のゴルフシューズの作用・効果について、説明する。本発明のゴルフシューズでは、甲開き部2の周縁部に介設した伸縮部4が足甲部3の周方向に伸縮性を有するため、ゴルファーがプレーを開始する前に足を挿入した時点で、その人の足甲部の高さに応じて伸縮部が伸びることによって最適なサイズが自然と決定される。
【0031】
そして、その後、甲開き部2の前端部裏面側に一端が取り付けられた舌片8を延設した砂避け片7を、甲開き部2の後端部上方で折り返して足甲部3の上面に覆うように被せると、伸縮部4の足甲部周方向両側の所要位置に設けた一方の面ファスナー5a,5bと、砂避け片7の裏面に設けた他方の面ファスナー6が係止され、砂避け片7が足甲部3に固定される。
【0032】
面ファスナーを利用した従来のゴルフシューズでは、足甲の周方向に沿って延設されたベルト部の先端に面ファスナーを設けるため、無意識の内に足甲部を締め付け過ぎるという問題点があったが、本発明では、砂避け片7は、甲開き部2の前端部裏面側に一端が取り付けられた舌片8が甲開き部2の後端部上方で折り返され、つま先部9の方向に向けて延設されたものであるため、足を挿入したときに決定された最も適切な足甲部周方向のサイズをさらに締付けることなく、最適なサイズを維持したまま一方の面ファスナー5a,5bと他方の面ファスナー6を係止させることができる。
【0033】
また、本発明によれば、砂避け片7は、一方の面ファスナー5a,5bと他方の面ファスナー6の係止により足甲部3にしっかりと固定されるため、砂避け片7が風になびいて裏返り、甲開き部2と舌片8の隙間から靴の内部に砂や雑草が入り込むという問題が生じることもない。また、一方の面ファスナー5a,5bと他方の面ファスナー6の係脱によって靴を脱いだり履いたりできるので、従来の靴紐を用いたゴルフシューズのように、靴を脱いだり履いたりするときに手間取ることもない。
【0034】
図3は、本実施例の靴下の側面図である。図3に示すように、本実施例では、甲開き部2の前端部裏面側に一端が取り付けられた舌片8が、甲開き部2の後端部上方で折り返され、つま先部9の方向に延設させて砂避け片7を構成している。
【0035】
ここで、本発明では、以下のような構成の砂避け片(図示はしない)も採用できる。例えば、足開き部2の前端部表面側よりもさらにつま先部9寄りの所要の位置に、砂避け片の一端を足甲部周方向に沿って縫合等の手段により固定し、砂避け片の他端をつま先部9側から踵部11側に向けて足甲部周方向と直交する向きに延設させた構成としても良い。また、本実施例のように舌片8を折り返すのではなく、舌片8の上端部付近の位置に、砂避け片の一端を足甲部周方向に沿って縫合等の手段により固定し、砂避け片の他端を、踵部11側からつま先部9側に向けて足甲部周方向と直交する向きに延設させた構成としても良い。
【0036】
上記何れの構成によっても、ゴルファーが足を挿入したときに決定された最も適切な足甲部周方向のサイズをさらに締付けることなく、最適なサイズを維持したまま一方の面ファスナー5a,5bと他方の面ファスナー6を係止させることができるという同様の効果が得られる。
【0037】
図4は、本実施例のゴルフシューズGの底面部を表した図面である。図3及び図4に示すように、ゴルフシューズGの底面には、ゴム、合成樹脂又はこれらの組み合わせからなる素材で形成された靴底が、甲被1a,1bの下方に接着又は縫着されている。
【0038】
12a,12b,12c,12d,12e,12f,12gは、ゴルファーが安定してスイング動作が行えるように地面をしっかりと捉えるために設けられた円形の鋲を示している。円形の鋲12a乃至12gの内部には、6個の突起が放射状に等間隔に取り付けられている。また、13a及び13cは、歩行動作が円滑に行えるように、かかと部11とつま先部9の底面に設けたラバーを示している。
【0039】
また、ゴルフシューズGの底面部の周縁部にもトラック状の鋲14を設けており、安定感を高めるようにしている。また、底面部の中央部付近には、つま先部9の方向に尖った「く」の字状の鋲15bを中心として、全体としてつま先部9の方向に尖った形を形成するように、トラック状の鋲15a,15cを取り付けている。
【0040】
図5は、砂避け片7に弧状の芯材10を内包させた本発明のより望ましい実施形態を説明する図である。
【0041】
前述したように、本発明のゴルフシューズGは、左右甲被1a,1bの間の甲開き部2の周縁部に介設され、足甲部3に周方向の伸縮性を与える伸縮部4と、この伸縮部4の足甲部周方向両側の所要位置に設けた一方の面ファスナー5a,5bと、裏面に前記一方の面ファスナ5a,5bと係脱可能な他方の面ファスナー6を設けた砂避け片7とを備え、前記砂避け片7を、甲開き部2の前端部裏面側に一端が取り付けられた舌片8が、甲開き部2の後端部上方で折り返され、つま先部9の方向に向けて延設された構成としたので、足の形状の個人差にかかわらず、足甲部3の締付け具合を最適なものとし、足を挿入したときに決定された最も適切な足甲部周方向のサイズをさらに締付けることなく、最適なサイズを維持したまま面ファスナー5a,5b,6による固定を行うという目的を達成することができる。
【0042】
しかしながら、砂避け片7は、合成皮革等の素材で構成される薄い部材であるため、上記のように構成していても、ゴルファーが、砂避け片7を足甲部3に固定するときに、例えば最初に右側の面ファスナー5bのみを係止させ、足甲部3の周方向に力を加えて、左側の面ファスナー5aを係止させる場合には、足を挿入したときに決定された最も適切な足甲部周方向のサイズが縮小され、不要な締め付けを行ってしまうおそれがある。
【0043】
そこで、上記の問題点を解決するために、本実施例のゴルフシューズGでは、砂避け片7の中央部よりもやや先端部寄りの位置の内部に、足甲部3の周方向の形状に沿うように金属製の棒状の部材を弧状に曲げた、弧状の芯材10を足甲部3の周方向に向きに内包させた。
【0044】
このようにすれば、ゴルファーが、平坦な砂避け片7を足甲部3の形状に沿わせるようにするために、例えば最初に右側の面ファスナー5bのみを係止させ、足甲部3の周方向に力を加えて、左側の面ファスナー5aを係止させるような動作を行うことを防止でき、左右の面ファスナー5a,5bは同時に他方の面ファスナー6と係止されるので、足を挿入したときに決定された最も適切な足甲部周方向のサイズを、さらに確実に維持することができる。
【0045】
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範囲内で、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。例えば、図1の実施例では、U字状に切り欠かれた甲開き部2に伸縮部4を介設しているが、甲開き部2の形状はV字状、短冊状等どのような形状であっても良い。
【0046】
以上説明したように、本発明のゴルフシューズは、左右甲被の間の甲開き部の周縁部に介設され、足甲部に周方向の伸縮性を与える伸縮部と、この伸縮部の足甲部周方向両側の所要位置に設けた一方の面ファスナーと、裏面に前記一方の面ファスナと係脱可能な他方の面ファスナーを設けた砂避け片と、を備え、前記砂避け片は、前記甲開き部の前端部裏面側に一端が取り付けられた舌片が、前記甲開き部の後端部上方で折り返され、つま先部の方向に向けて延設された構成としたので、足を挿入したときに決定された最も適切な足甲部周方向のサイズをさらに締付けることなく、最適なサイズを維持したまま面ファスナーによる固定を行うことができる。また、砂避け片の一端が足甲部周方向に沿って甲被と固定され、他端が足甲部周方向と直交する向きに延設された構成の本発明のゴルフシューズも、同様の効果が得られる。
【0047】
そして、このようにすることで、足の形状の個人差によらず最適な足甲部の締付け具合を維持できるので、ラウンド中にあっても足の血流を損なうことがなく、従来のゴルフシューズと比較すると、長時間履いても疲労感を感じさせないという効果も得られる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のゴルフシューズは、男女や年齢層を問わず適用できるものであり、特にシニアのゴルファーに最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】砂避け片を持ち上げた状態の本発明のゴルフシューズの一実施例の平面図である。
【図2】砂避け片を折り返した状態の本実施例のゴルフシューズの平面図である。
【図3】砂避け片を折り返した状態の本実施例のゴルフシューズの側面図である。
【図4】本実施例のゴルフシューズの底面図である。
【図5】砂避け片に内包させる弧状の芯材の構成を説明する図である。
【図6】靴紐を備えた従来のゴルフシューズの説明図である。
【図7】砂避け片を備えた従来のゴルフシューズの説明図である。
【図8】面ファスナーを備えた従来のゴルフシューズの説明図である。
【符号の説明】
【0050】
G ゴルフシューズ
1a,1b 甲被
2 甲開き部
3 足甲部
4 伸縮部
5a,5b 一方の面ファスナー
6 他方の面ファスナー
7 砂避け片
8 舌片
9 つま先部
10 弧状の芯材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右甲被の間の甲開き部の周縁部に介設され、足甲部に周方向の伸縮性を与える伸縮部と、
この伸縮部の足甲部周方向両側の所要位置に設けた一方の面ファスナーと、
裏面に前記一方の面ファスナと係脱可能な他方の面ファスナーを設けた砂避け片と、
を備えたゴルフシューズであって、
前記砂避け片は、前記甲開き部の前端部裏面側に一端が取り付けられた舌片が、前記甲開き部の後端部上方で折り返され、つま先部の方向に向けて延設されたものであることを特徴とするゴルフシューズ。
【請求項2】
左右甲被の間の甲開き部の周縁部に介設され、足甲部に周方向の伸縮性を与える伸縮部と、
この伸縮部の足甲部周方向両側の所要位置に設けた一方の面ファスナーと、
裏面に前記一方の面ファスナと係脱可能な他方の面ファスナーを設けた砂避け片と、
を備えたゴルフシューズであって、
前記砂避け片は、その一端が足甲部周方向に沿って甲被に固定され、他端が足甲部周方向と直交する向きに延設されたものであることを特徴とするゴルフシューズ。
【請求項3】
前記砂避け片には、足甲部の形状に沿うように弧状の芯材が内包されていることを特徴とする請求項1又は2記載のゴルフシューズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−34334(P2009−34334A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201186(P2007−201186)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(506327195)株式会社金子企画室 (2)
【Fターム(参考)】