ゴルフボール
【課題】ヘッドスピードが低い初心者等が打撃をしても飛距離を伸ばすことが可能であり、且つ打感を向上することができるゴルフボールを提供する。
【解決手段】最内層1、及びこれを覆う最外層5を有するコア10と、コア10を覆うカバー7と、を備え、最外層5の径方向内方の表面のJIS−C硬度が85〜100であり、最内層1の径方向外方の表面のJIS−C硬度が、最外層5の径方向内方の表面のJIS−C硬度よりも25以上低く、最内層1の中心のJIS−C硬度が50以下である。
【解決手段】最内層1、及びこれを覆う最外層5を有するコア10と、コア10を覆うカバー7と、を備え、最外層5の径方向内方の表面のJIS−C硬度が85〜100であり、最内層1の径方向外方の表面のJIS−C硬度が、最外層5の径方向内方の表面のJIS−C硬度よりも25以上低く、最内層1の中心のJIS−C硬度が50以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層構造のゴルフボールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴルフボールは、高い反発性及び打撃時のソフトフィーリングを兼ね備えた種々のものが提案されており、その一種にボールを複数の層で構成する多層構造のゴルフボールがある。一般に、多層構造のゴルフボール、特に3層構造以上のゴルフボールでは、目的とする性能を創出するため、硬度の異なる層を組み合わせている。例えば、硬度の低いコアに、硬度の高い中間層を被覆し、その外側をカバーで覆うと、高反発のゴルフボールを構成することができる。このようなゴルフボールとしては、例えば、特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,485,378号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、高反発材料からなる層をゴルフボールの外層に配置すると、ヘッドスピードが低い初心者等が打撃しても飛距離を伸ばすことができるという利点がある。しかしながら、高反発材料は硬度が必然的に硬くなる為反発性能が大きすぎると、打感が硬くなるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ヘッドスピードが低い初心者等が打撃をしても飛距離を伸ばすことが可能であり、且つ打感を向上することができるゴルフボールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るゴルフボールは、最内層、及びこれを覆う最外層を有するコアと、前記コアを覆うカバーと、を備え、前記最外層の径方向内方の表面のJIS−C硬度が85〜100であり、前記最内層の径方向外方の表面のJIS−C硬度が、前記最外層の径方向内方の表面のJIS−C硬度よりも25以上低く、前記最内層の中心のJIS−C硬度が50以下である。
【0007】
この構成によれば、最外層の径方向内方の表面のJIS−C硬度が85〜100と高いため、打撃時に高い反発性能を得ることができる。したがって、クラブのヘッドスピードの低い使用者であっても、飛距離を伸ばすことができる。その一方で、最内層の径方向外方の表面のJIS−C硬度が、最外層の径方向内方の表面のJIS−C硬度よりも25以上低く、且つ最内層の中心のJIS−C硬度が50以下としているため、打感を柔らかくすることができる。このように、ヘッドスピードの低い使用者にとっては、打感を柔らかくすることができるが、ヘッドスピードが低い限りにおいては、最内層の硬度が低くなっても、反発には大きい影響を与えることはない。よって、このような使用者にとって、本発明に係るゴルフボールは、高い反発性能と良好な打感を提供することができる。
【0008】
また、最内層と最外層との間の硬度差が大きいので、次のような利点がある。まず、ドライバーで打撃を行った場合、打撃力は、クラブフェース面の法線方向に大きく作用し変形が大きくなる。その一方で、クラブフェース面に平行な方向(ボールの接線方向)に作
用する摩擦力は小さい。本発明のようにカバー及び中間層の硬度がコアよりも高いゴルフボールでは、相対的に外部が硬いため、打撃を受けた際の変形時には上記摩擦力が小さくなる。その結果、バックスピンを低減することができる(効果1)。また、バックスピンを生じさせる摩擦力は、ボールへの打撃が始まってからボールの球面方向に捻り力を付与するのであるが、ボールがクラブフェース面から離れる過程においては、ボールの弾性力により捻れたボールが元に戻ろうとする。この際、コアの硬度がカバー及び中間層よりも低いと打撃による衝撃力が長く持続するため、上記のような硬度差を設けると、捻り戻り作用がさらに大きくなる。その結果、バックスピンが低減される(効果2)。よって、これら2つの効果により、バックスピンの量は少なくなる。また、打撃時の摩擦力が小さいため、飛び出し角が大きくなる。
【0009】
さらに、上記ゴルフボールにおいては、高いヘッドスピードで打撃を行うと、コアの変形がさらに大きくなり、反発が低下するが、これによって、規則に定められた規定の反発係数を遵守することができる。
【0010】
上記ゴルフボールにおいては、最外層の層厚を3mm以上とすることができる。このように、高い硬度を有する最外層の層厚を設定することで、高い反発性能を得ることができ、低いヘッドスピードにおいても飛距離を伸ばすことができる。
【0011】
上記ゴルフボールにおいては、最内層を、内芯部と、この内芯部を覆う包囲層とで構成することができる。このとき、包囲層の径方向外方の表面のJIS−C硬度を70以下とすることができる。上記のように、コアの中心部、つまり、内芯部の中心のJIS−C硬度が50以下であるのに対し、最外層の硬度はこれよりも25以上となっており、硬度差が大きくなっている。そのため、コアの中心付近の大きい変形に最外層が追随できず、最外層が損傷するおそれがある。これに対して、最内層を、内芯部と包囲層とで構成し、包囲層の硬度を70以下とすると、最外層とコアの中心部との間の大きい硬度差を包囲層によって緩和することができる。このため、コアの中心部の大きい変形によっても最外層の損傷を防止することができ、耐久性を向上することができる。
【0012】
上記ゴルフボールにおいては、最内層の径を36mm以下とすることができる。なお、この径は、最内層が一層で形成されている場合も、内芯部と包囲層とで形成されている場合も同じである。
【0013】
また、包囲層は、内芯部の表面から突出し、径方向外方の先端が最外層に達する少なくとも一つの支持部と、支持部の間に形成される凹部に充填される充填層とで構成することができる。
【0014】
この構成によれば、支持部によって、内芯部を支持することができる。したがって、ボールを製造する際には、支持部によって内芯部をボールの中心に保持することができ、偏芯を防止することができる。なお、支持部の間に充填される充填層は、支持部と同一材料或いは異なる材料とすることができる。また、支持部は内芯部と一体的に形成することもできる。
【0015】
また、支持部を複数設ける場合、複数の支持部をコアの表面に沿って点対称となるように形成することができる。このようにすると、支持部が点対称に配置されるため、ボールを製造する際に金型からの型抜きを容易に行うことができる。また、ボールの重量バランスも向上することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るゴルフボールによれば、ヘッドスピードが低い初心者等が打撃をしても飛
距離を伸ばすことが可能であり、且つ打感を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るゴルフボールの第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のゴルフボールの硬度の測定方法を示す断面図である。
【図3】図1のゴルフボールの作用効果のメカニズムを示す図である。
【図4】図1のゴルフボールの作用効果のメカニズムを示す図である。
【図5】本発明に係るゴルフボールの第2実施形態を示す断面図である。
【図6】図5のゴルフボールの内芯部(a)、内芯部とリブからなる半成品(b)、内芯部とリブと充填層とからなる半成品(c)をそれぞれ示す斜視図である。
【図7】図5のゴルフボールにおける内芯部とリブとからなる半成品の他の例を示す斜視図である。
【図8】図7の正面図である。
【図9】図8の半成品の他の例を示す一部正面図である。
【図10】図8の半成品のさらに他の例を示す正面図である。
【図11】図5に示すゴルフボールの製造方法の一例を示す図である。
【図12】図5に示すゴルフボールの製造方法の一例を示す図である。
【図13】図5に示すゴルフボールの製造方法の他の例を示す図である。
【図14】本発明のゴルフボールの他の例を示す断面図である。
【図15】本発明のゴルフボールの他の例を示す断面図である。
【図16】本発明のゴルフボールの他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
本発明に係るゴルフボールの一実施形態を、図面を参照して説明する。図1は本実施形態に係るゴルフボールの断面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係るゴルフボールは、最内層1及び最外層5からなる球状のコア10を、カバー7で被覆したいわゆるスリーピースのゴルフボールである。ゴルフボールの直径は、規則(R&A、及びUSGA参照)の定めるところにより、42.67mm以上にする必要がある。但し、空力特性等を考慮するとボール径はできるだけ小さくすることが好ましく、例えば42.7〜43.7mmとすることができる。
【0020】
最内層1は、球状に形成され、ゴム組成物で形成されている。最内層1の直径は36mm以下にすることが好ましく、18〜36mmにすることがさらに好ましく、23〜33mmにすることが特に好ましい。また、最内層1の中心の硬度は、例えば、JIS−C硬度で50以下にすることができる。この硬度は、20〜50とすることが好ましく、25〜45にすることがさらに好ましい。
【0021】
最外層5は、ゴム組成物又はエラストマーで構成されている。最外層5の層厚は、例えば、3mm以上にすることができる。この層厚は、3〜10mmにすることが好ましく、3〜8mmにすることがさらに好ましい。また、最外層5の径方向内方の表面の硬度は、JIS−C硬度で85〜100であることが好ましく、90〜100であることがさらに好ましく、90〜95であることが特に好ましい。このとき、最外層5の径方向内方の表面と、最内層1の径方向外方の表面との硬度差、つまり両層1,5の境界付近の硬度差が、JIS−C硬度で、例えば25以上とすることができる。この硬度差は、25〜70であることが好ましく、30〜70であることがさらに好ましく、30〜50であることが
特に好ましい。この観点から、最内層1の径方向外方の表面のJIS−C硬度は、57.0〜70であることが好ましく、57.0〜67.0であることがさらに好ましい。
【0022】
カバー7は、エラストマーで構成されている。そして、その表面には図示を省略する所定のディンプルが形成されている。カバー7の層厚は0.3〜2.6mmとするのが好ましく、1.2〜2.0mmとするのがさらに好ましい。この範囲外も可能ではあるが、その理由は、カバー7の層厚が0.3mmより小さくなると、カバー7の耐久性が著しく低下するとともに成形が困難になる一方、2.6mmを越えると打感が硬くなり過ぎるからである。また、その表面の硬度はJIS−C硬度で75〜99とするのが好ましく、85〜95であることがさらに好ましい。なお、カバー7の硬度85より小さくする場合には、反発性能を低下させないために、カバーの層厚を1.2より小さくすることが好ましい。また、ここでいう、カバー7の層厚とは、ディンプルが形成されていない径方向の最も外側の任意の一点から、中間層5と接する任意の一点までの距離を法線に沿って計測した値である。
【0023】
上述した硬度は、次のように測定することができる。以下、図2を参照しつつ説明する。まず、ボールを2分割する。そして、最外層5については、当該部材よりも径方向内方に配置されている他の部材との界面から約1mm外側、つまり図2の破線A上のポイントにおいて硬度を測定する。また、最内層1については、当該部材よりも径方向外方に配置されている他の部材との界面から約1mm内側、つまり図2の破線B上のポイントにおいて硬度を測定する。すなわち、本実施形態のゴルフボールは、最内層1、最外層5、及びカバー7が一体となっており、厳密に表面の硬度を計測することは困難であるので、上記のように、最外層5の内方表面から約1mm外側、及び最内層1の外方表面から約1mm内側を測定することとしている。したがって、硬度を測定するのに当たって、本発明におけるカバー7を除く各部材の「表面」とは、最外層5については、その内方表面から約1mm外側で測定してもよいことを意味し、最内層1については、その外方表面から約1mm内側で測定してもよいことを意味する。また、最内層1については、上述した表面硬度に加えて、ボールを2分割したときの中心付近Xを測定し、これを中心硬度として定義する。また、カバー7については、径方向外方の表面においてディンプルとディンプルの間の硬度を測定する。但し、上記測定において、部材の層厚が1mm未満の場合はその中間を測定する。また、計測値のバラツキを考慮して、少なくとも4箇所以上でなるべく等間隔に離して計測しその平均値とした方が、望ましい。なお、測定機器としては、例えばASKER CL−150(高分子計器株式会社製)を用いることができ、この場合、ボールが針の重みでずれないようしっかりと固定したうえで測定を行なう。
【0024】
次に、上記ゴルフボールの各部材を構成する材料について詳細に説明する。
【0025】
最内層1は、基材ゴム、架橋材、不飽和カルボン酸の金属塩、充填剤等を配合した公知のゴム組成物で製造することができる。基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、EPDM等を使用できるが、シス1,4結合を少なくとも40%以上、好ましくは80%以上を有するハイシスポリブタジエンを使用することが特に好ましい。
【0026】
架橋剤としては、例えばジクミルパーオキサイドやt−ブチルパーオキサイドのような有機過酸化物を使用することができるが、ジクミルパーオキサイドを使用するのが特に好ましい。配合量は、基材ゴム100重量部に対して0.3〜5重量部であり、好ましくは0.5〜2重量部である。
【0027】
不飽和カルボン酸の金属塩としては、アクリル酸又はメタクリル酸のような炭素数3〜8の一価又は二価の不飽和カルボン酸の金属塩を使用することが好ましいが、アクリル酸
亜鉛を使用するとボールの反発性能を向上することができ、特に好ましい。配合量は、基材ゴム100重量部に対して1〜40重量部にするのが好ましい。
【0028】
充填剤は、コア1に通常配合されるものを使用することができ、例えば酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を使用することができる。また、必要に応じて老化防止剤、またはしゃく解剤、軟化材等を配合してもよい。
【0029】
なお、最内層1を構成する材料は、上記ゴム組成物の他、公知のエラストマーを用いることができる。
【0030】
最外層5は、ゴム組成物またはエラストマー或いはその混合物で構成されており、ゴム組成物で形成する場合には、上記した最内層1と同様の材料で構成することができる。但し、本実施形態においては、不飽和カルボン酸や有機過酸化物の配合量を最内層1の場合と異ならせる等して、最内層1の硬度と最外層5の硬度とが異なるように設定される。例えば、最外層5における不飽和カルボン酸および有機過酸化物の配合量を多くすることにより、最外層5の硬度を最内層1の硬度よりも高くすることができる。
【0031】
最外層5をエラストマーで構成する場合には、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)のようなスチレン系熱可塑性エラストマー;ポリエチレンまたはポリプロピレンをハードセグメントとし、ブタジエンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴムをソフトセグメントとするオレフィン系熱可塑性エラストマー;結晶ポリ塩化ビニルをハードセグメントとし、非晶ポリ塩化ビニルまたはアクリロニトリル・ブタジエンゴムをソフトセグメントとする塩化ビニル系熱可塑性エラストマー;ポリウレタンをハードセグメントとし、ポリエーテルまたはポリエステルをソフトセグメントとするウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリエステルをハードセグメントとし、ポリエーテルまたはポリエステルをソフトセグメントとするポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリアミドをハードセグメントとし、ポリエーテルまたはポリエステルをソフトセグメントとするポリアミド系熱可塑性エラストマー;アイオノマー樹脂などを使用することができる。
【0032】
カバー7は、公知のエラストマーで構成され、上記最外層5と同じものを使用することができる。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、最外層5の径方向内方の表面のJIS−C硬度が85〜100と高いため、打撃時に高い反発性能を得ることができる。したがって、クラブのヘッドスピードの低い初心者などであっても、飛距離を伸ばすことができる。その一方で、最内層1の径方向外方の表面のJIS−C硬度が、最外層5の径方向内方の表面のJIS−C硬度よりも25以上低く、且つ最内層5の中心のJIS−C硬度が50以下としているため、打感を柔らかくすることができる。このように、ヘッドスピードの低い使用者にとっては、最内層1の硬度を低くすることで打感を柔らかくすることができるが、ヘッドスピードが低い限りにおいては、最内層1の硬度が低くなっても、反発には大きい影響を与えることはない。よって、このような使用者にとって、本実施形態に係るゴルフボールは、高い反発性能と良好な打感を提供することができる。
【0034】
また、最内層1と最外層5との間の硬度差が大きいので、次のような利点がある。最外層5の硬度が最内層1の硬度よりも大きいことから、次の効果を得ることができる。以下では、図3及び図4を用いて作用効果のメカニズムを説明するが、各図においては便宜上、カバーを省略している。まず、図3に示すように、ドライバーで打撃を行った場合、打
撃力は、クラブフェース面Sの法線方向Nに大きく作用し変形が大きくなる。その一方で、クラブフェース面に平行な方向V(ボールの接線方向)に作用する摩擦力Xは小さい。しかも、最外層5の硬度が最内層1よりも高いことから、相対的に径方向外方が硬いため、打撃を受けた際の変形時には上記摩擦力Xが小さくなる。その結果、バックスピンは低減されることになる(効果1)。このとき、摩擦力が小さいことから、飛び出し方向Fの飛び出し角αが大きくなる。一方、図4に示すように、ボールがクラブフェース面Sから離れる過程での変形が元に戻る際には、捻り戻り作用によりバックスピンBを減らす方向に力Kが作用する(効果2)。このとき、最内層1の硬度が最外層5よりも低いことに起因して打撃による衝撃力が長く維持されるため、捻り戻り作用による力Kが大きくなる。よって、これら2つの効果により、バックスピンの量は少なくなり、飛び出し角が大きくなる。
【0035】
さらに、上記ゴルフボールにおいては、高いヘッドスピードで打撃を行うと、最内層1の変形がさらに大きくなり、反発が低下することが考えられるが、これによって、例えば、USGAの規則に定められた規定の反発係数を遵守することができる。
【0036】
(第2実施形態)
本発明に係るゴルフボールの第2実施形態を、図面を参照して説明する。図5は本実施形態に係るゴルフボールの断面図である。
【0037】
本実施形態に係るゴルフボールが第1実施形態と相違するのは、最内層1が3層で形成されている点である。これ以外の点は、第1実施形態と同じであるため、以下では、主として相違点のみを説明する。
【0038】
図5に示すように、本実施形態に係るゴルフボールにおいては、最内層1が、球状の内芯部11、リブ(支持部)3、及び充填層4で形成されており、内芯部11が、リブ3と、充填層4とよりなる包囲層により被覆されている。これをさらに最外層5及びカバー7で被覆している。すなわち、本実施形態に係るゴルフボールは、いわゆるファイブピースゴルフボールである。
【0039】
図6は、内芯部11(a)、この内芯部11にリブ3を配置した半成品(b)、及びこれにさらに充填層4を被覆した半成品(c)を示す斜視図である。各リブ3は、ゴム組成物又はエラストマーで構成されており、内芯部11の表面に描かれ相互に直交する大円に沿って延びている。そして、これらリブ3によって内芯部11の表面には8個の凹部18が形成されている。内芯部11の径は、35mm以下とすることが好ましく、好適には17mm〜35mmであり、さらに好ましくは、22mm〜32mmである。内芯部11の中心の硬度は、第1実施形態の最内層の中心の硬度と同じであるが、内芯部11の径方向外方の表面のJIS−C硬度は、60より小さい硬度であることが好ましく、好適には25〜55であり、さらに好ましくは、25〜45である。また、リブ3の高さは、1〜10mmであることが好ましく、2〜8mmにすることがさらに好ましい。なお、リブ3の高さは上記範囲外も可能ではあるが、リブ3の高さを10mm以内にしておくと、製造時にリブが倒れるのを防止することができる。
【0040】
また、図5に示すように、各リブ3は、内芯部11側にいくにしたがってその幅が増大するように断面台形状に形成されている。リブ3の径方向外方の上端部の幅aは1.5〜3.0mmにすることが好ましく、またリブ3の径方向内方の下端部の幅bは7〜12mmにすることが好ましい(なお、幅bが12mmの場合の内芯部の径は16.97mmとなりうる)。これ以外も可能ではあるが、このようにリブ3の各端部の下限を設定すると、後述するように、製造時に充填層用の材料を充填する際に、成形型を締めるときの圧力からくる材料の充填圧によってリブ3が変形するのを防止することができる。その結果、
内芯部11を成形型の中心に正確に保持することができる。このようなリブ3の形状によって、各凹部18は3つのリブ3と、僅かに露出する内芯部11の表面とによって囲まれる三角錐状に形成されている。そして、この内芯部11の露出部分は、充填層4と接触している。
【0041】
充填層4は、リブ3の高さとほぼ同じ層厚を有し、リブ3によって囲まれる8つの凹部18に充填されてその外形が略球形をなしている。このとき、充填層4は、各凹部18に充填されることにより三角錐状に形成されている。また、図6(c)に示すように、リブ3の上端面は充填層4から露出した状態になっており、最外層5に接触している。また、リブ3及び充填層4の硬度は、内芯部11よりも大きくすることが好ましく、両者の硬度を同じにしてもよい。あるいは充填層4の硬度をリブ3の硬度よりも高くすることもできる。すなわち、径方向の外方から内方に向かって硬度が低くなることが好ましい。リブ3及び充填層4の径方向外方の表面の硬度は、JIS−C硬度で70以下とすることができる。具体的には、41.0〜70であることが好ましく、52.0〜67.0であることがさらに好ましい。なお、硬度の測定方法は、第1実施形態で示したとおりである。
【0042】
内芯部11を構成する材料は、第1実施形態で説明したゴム組成物とすることができる。また、リブ3及び充填層4は、第1実施形態で説明したゴム組成物またはエラストマーで構成することができる。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、リブ3の径方向外方の端部が最外層5に接触しているため、内芯部11は、リブ3によって最外層5に支持されることになる。さらに充填層4の径方向内方の端部が内芯部11に接触しているため、充填層4によっても内芯部1が支持されることになる。したがって、内芯部11がボールの中心に強固に保持されるため、製造時に偏芯が生じるのを防止することができる。
【0044】
また、上記ゴルフボールにおいては、最内層1を、内芯部11と、この内芯部11を覆うリブ3及び充填層4とで構成しているため、次の効果を得ることができる。すなわち、内芯部の中心のJIS−C硬度が50以下であるのに対し、最外層5の硬度はこれよりも25以上となっており、硬度差が大きくなっている。そのため、打撃時の内芯部11の中心付近の大きい変形に最外層5が追随できず、最外層5が損傷するおそれがある。これに対して、内芯部11と最外層5との間に、JIS−C硬度が70以下であるリブ3と充填層4とを設けることによって、上述した大きい硬度差を緩和することができる。このため、内芯部11の中心部の大きい変形によっても最外層5の損傷を防止することができ、耐久性を向上することができる。
【0045】
ところで、上述したリブは、種々の形状にすることができるが、製造時に充填層4を効率よく成形する観点からは、次のような切欠部をリブ3に形成することが好ましい。図7に示すように、リブ3の一部に切欠部31を形成することもできる。この例では、各リブ3は大円上の交点付近に切欠部31を有している。より詳細には、図8に示すように、切欠部31は、大円の交点Pを通る内芯部11の法線nと垂直な平面Hに沿って延びる面31aを有するように形成されている。すなわち、この切欠部31は、上記平面Hでリブ3を切り取ることによって形成される。なお、この切欠部31の深さD、つまり切欠部31がない仮想的なリブ3の上端から切欠部31の最深部までの長さは、1.2〜3.6mmにすることが好ましい。
【0046】
このように切欠部31を形成することにより、大円の交点Pを中心として配置される4つの凹部18が連通し、充填層用の材料を切欠部31を介して各凹部18に容易に行き渡らせることができる。この場合、図9に示すように、平面Hからリブ3の中央側へ1〜3度傾斜した平面H1、つまり内芯部11の法線nと正面視において91〜93°の角度を
なす平面に沿って切欠部31の面31aを形成するようにしてもよい。このようにすると、上記傾斜が抜き勾配となり、例えば成形型が上型と下型の2つの型から構成されている場合に、リブ3を成形型から容易に取り出すことができる。
【0047】
また、リブ3において各交点Pによって区切られた各円弧セクションSの中間に切欠部を設けることもできる。すなわち、図10に示すように、円弧セクションSの円弧方向の中心点を通るコア1の法線m上の一点Qから両端の交点P側へ延びる2つの面32aを有するように切欠部32を形成することもできる。この場合、面32aと法線mとが正面視で45〜48度をなすようにすることが好ましい。このようにすると、上記したように、リブ3を成形型から容易に抜き出すことができる。
【0048】
なお、円弧セクションSは、図7、図8,または図9に示す切欠部31、及び図10に示す切欠部32の両方を有するようにしてもよい。
【0049】
次に、上記のように構成されたゴルフボールの製造方法の一例について図11〜図13を参照しつつ説明する。まず、ゴム組成物を成形型内で、例えば130〜165℃で5〜25分間、プレスして内芯部11を形成する。このとき、内芯部11は上述のようにエラストマーによって構成してもよく、この場合、プレス成形の他、射出成形で内芯部11を形成することができる。次に、こうして成形された内芯部11を、図11(a)に示す第1の成形型2内に配置する。第1の成形型2は、上型2a及び下型2bから構成されており、それぞれにキャビティが形成されている。各キャビティは、内芯部11の表面と対応する半球状の受入部21と、この受入部の壁面に形成された溝22とから構成されている。溝22は、受入部21の大円に沿って深さが略同一に形成されているが、3つの大円の各交点部分の溝は他の部分に比べて浅くなっている。これにより、リブ3に上記切欠部が形成されるようになっている。また、溝22の表面は荒研磨により粗く仕上げられており、これによって成形されたリブ3の表面に微細な凹凸を形成することができ、充填層5との密着性を向上することができる。
【0050】
そして、図11(b)に示すように、第1の成形型2の受入部21に内芯部11を配置するとともに、溝22にリブ用の材料である未加硫のゴム組成物を配置し、例えば140〜165℃で5〜25分間全加硫してプレス成形を行い、内芯部11の表面に複数のリブ3を形成する。
【0051】
続いて、内芯部11及びリブ3からなる半成品を第1の成形型2から取り出し、第2の成形型6内に配置する。図12(a)に示すように、この第2の成形型6は、上型6a及び下型6bからなり、これらには上記リブ3の最外径と対応する半球状のキャビティ61がそれぞれ形成されている。すなわち、このキャビティ61の壁面にリブ3の上端面が接するようになっている。また、上型6a及び下型6bのキャビティ61は、第1の成形型2と同様に表面が粗く仕上げられるとともに、各キャビティ61の周囲には複数の凹状のバリを溜める部分62が形成されている。
【0052】
そして、図12(a)に示すように、下型6bのキャビティ61に未加硫のゴム組成物N2を挿入するとともに、上記のように形成した半成品の上部にゴム組成物N2を配置し、この半成品を上型6a及び下型6bの間に配置する。続いて、図12(b)に示すように、上型6a及び下型6bを当接させ、ゴム組成物N2を140〜165℃で5〜25分間全加硫してプレス成形を行い、充填層4を形成する。
【0053】
このとき、内芯部11の上部及び下型6aのキャビティ141に配置されたゴム組成物N2は、半成品の表面にプレスされながら、凹部18に充填されていく。上記したように隣接する各凹部18は切欠部31を介して連通しているため、ゴム組成物N2はすべての
凹部18に行き渡り、均一に充填される。なお、充填層4は、図13に示すように、射出成形により形成することもできる。この場合、リブ3に切欠部がなければ、すべての凹部18に対してゲート81を設けなければゴム組成物N2が均一に充填されないが、上記のようにリブ3に切欠部31を設けることにより、1箇所のゲート81からゴム組成物を注入しても、切欠部31を介して各凹部18にゴム組成物が均一に充填される。
【0054】
このように、リブ3に切欠部31が形成され、隣接する凹部18が切欠部31を介して連通しているため、ゴム組成物N2が内芯部11の表面のいずれの位置からプレスされても、すべての凹部18に行き渡って充填される。したがって、充填層4を容易に被覆することができ、製造時間を大幅に短縮することができる。なお、ここでは、充填層4をゴム組成物を用いて構成しているが、エラストマーを用いることもできる。この場合、射出成形によって充填層4を形成することができる。このとき、半成品は、リブ3によって、金型に支持されているため、内芯部11を金型の中心に保持することができる。これにより、内芯部11の偏心を防止することができる。
【0055】
こうして充填層4の成形が完了すると、内芯部11、リブ3及び充填層4からなる半成品を第2の成形型6から取り出す。これに続いて、この半成品の表面に、最外層5、カバー7を順にプレス成形或いは射出成形により被覆すると、本実施形態のゴルフボールが完成する。
【0056】
なお、上記の説明では、切欠部が形成された充填層4を有するゴルフボールの製造方法について説明したが、切欠部がないものもほぼ同様の方法で製造することができる。但し、切欠部がない場合には、各凹部に最外層の材料が充填されるように材料を配置してプレス成形したり、射出成形の場合には各凹部に対応する複数のゲートを設ける必要がある。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、第2実施形態では、内芯部11をリブ3及び充填層4で被覆しているが、図14に示すように、内芯部11を1つの層で被覆することもできる。すなわち、リブ及び充填層を一体化した包囲層30で、内芯部11を被覆することもできる。この場合、包囲層30の材料、硬度は、上述したリブ3及び充填層4のいずれかと同じにすることができる。このような構成によっても、最外層5と最内層1の中心部との間の大きい硬度差を包囲層30によって緩和することができる。このため、最内層1の中心部付近の大きい変形によっても最外層5の損傷を防止することができ、耐久性を向上することができる。
【0058】
また、図15に示すように、内芯部11とリブ3とを一体化することができ、これによりフォーピースのゴルフボールとすることもできる。材料及び硬度は、上述した内芯部11と同じにすることができる。
【0059】
リブ3の形状は、種々の形態があり、上述した断面三角状のほか、棒状、円筒状などにすることができる。また、内芯部11を支持するために、内芯部11を挟んで対称な位置に配置されることが好ましい。例えば、図16(a)に示すように、内芯部11を挟んで2つのリブ3を配置することができる。図16(b)は図16(a)の内芯部とリブとを一体化したものである。図16(c)は、4つのリブ3を設けたものであり、図16(d)は内芯部11とリブとを一体化したものである。
【実施例】
【0060】
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、この実施例に限定されない。
【0061】
まず、本発明の実施例1〜7に係る7種類のゴルフボールと、比較例に係る1種類のゴルフボールとを作製した。実施例1に係るゴルフボールは、上記第1実施形態と同様の形態、すなわち、図1に示すような形状をしたスリーピースのゴルフボールである。実施例2に係るゴルフボールは、図14に示すような形状のフォーピースのゴルフボールである。また、実施例3〜7及び比較例に係るゴルフボールは、上記第2実施形態と同様の形態、すなわち、図5に示すような形状のファイブピースのゴルフボールである。各実施例及び比較例に係るゴルフボールの各部材の寸法やJIS−C硬度は、表1に記載されている通りであり、また、実施例7を除く、各実施例及び比較例において、最外層はアイオノマー(HPF-1000、Dupont社製)により形成されており、カバーはアイオノマー(Surlyn9910,Sulryn8940,Surlyn8320からなり、これらの重量比は、Surlyn9910:Sulryn8940:Surlyn8320=8:7:5である。全てDupont社製)により形成されている。各実施例及び比較例に係るゴルフボールの最内層、内芯部、リブ、充填層、包囲層、および実施例7の最外層はゴム組成物を材料としており、各ゴム組成物の配合は、表2に示している通りである。なお、これらのボールは、直径42.7mm、重量45.5gで製造されている。
【0062】
表1中の各部材のJIS−C硬度は、上述した方法で測定されており、具体的には、まず、最内層及び内芯部は、その中心部と表面(境界から1mm内側のポイント)の2つのポイントで測定し、表1に中心部/表面の形式で記載した。また、表1中のリブ、充填層、及び包囲層のJIS−C硬度は、最外層との境界から1mm内側のポイントで測定しており、最外層のJIS−C硬度は、最内層(リブ、充填層、又は包囲層)との境界から1mm外側のポイントで測定している。また、表1中の「硬度差」とは、最外層と最内層とのJIS−C硬度の差を示している。
【0063】
以上のように作製した各実施例及び比較例に係るゴルフボールに対して、反発係数及びコンプレッションを測定し、衝突速度が38m/sのときの反発係数を「反発係数1」、衝突速度が42m/sのときの反発係数を「反発係数2」として表1に示し、この反発係数1と反発係数2の差を「反発係数の差」として表1に示した。また、表1中の「Comp.」とは、コンプレッションを意味している。以下、反発係数及びコンプレッションの測定方法を説明する。
【0064】
(反発係数)
反発係数の測定方法について説明すると、まず、エアーガンにより、エアガンの発射口から水平方向に距離2mだけ離れた地点に垂直に設置された厚さ約5cmの固定した鉄板に向けて、各実施例及び比較例に係るゴルフボールを発射する。そして、鉄板に衝突して反射した各ゴルフボールの衝突前後のボールの速度を測定し、衝突前の速度に対する、衝突後の速度の比を反発係数とする。
【0065】
(コンプレッション)
コンプレッションとは、圧縮試験機にてボールを所定の大きさだけ変形させるのに要する力をいう。具体的には、圧縮試験機として、精密万能試験機 オートグラフ AG-5000D(島津製作所製)を使用し、10mm/minでボールを2.54mm圧縮変形させた時の荷重を測定している。このように測定したコンプレッションが小さいと、ドライバーなどショットの打感が柔らかく感じられ、同数値が大きい程硬く感じられることとなる。結果は、表1に示す通りである。
【0066】
(打感)
ヘッドスピードが40m/s程度の女子プロや、シニアのトップアマチュア、10名に実打をしてもらった。この結果、非常に柔らかいと感じたものを「◎」、柔らかいと感じたものを「○」、やや柔らかいと感じたものを「△」、硬いと感じたものを「×」として、最も多い評価結果を、表1に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
表1に示したように、各実施例では最外層よりも内側の層の硬度がかなり低くなっているが、衝突速度が42m/s程度では、その影響が出ておらず、比較例と比べても遜色のない値が得られている。また、より遅い衝突速度である38m/sでは、比較例よりも実施例の方が高い反発係数となっている。したがって、各実施例に係るゴルフボールでは、ヘッドスピードの低い使用者に対して、打撃後のボールの初速を速くすることができ、ひいては飛距離を伸ばすことができる。
【0070】
また、コンプレッション及び打感について、各実施例では、最外層とそれよりも内側の層との境界の硬度が大きく、内側の層の硬度が低いため、表1によれば、コンプレッションが小さく良好な打感を得ている。一方、比較例では、境界の硬度差が16と小さく、内側の層の硬度が高いため、打感が悪くなっており、コンプレッションも高い値となっている。
【0071】
以上より、本実施例に係るゴルフボールでは、ヘッドスピードの低い使用者に対して、良好な打感を提供できるとともに、飛距離を伸ばすことができる。
【符号の説明】
【0072】
1 最内層
10 コア
11 内芯部
3 リブ(支持部)
4 充填層
5 最外層
7 カバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層構造のゴルフボールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴルフボールは、高い反発性及び打撃時のソフトフィーリングを兼ね備えた種々のものが提案されており、その一種にボールを複数の層で構成する多層構造のゴルフボールがある。一般に、多層構造のゴルフボール、特に3層構造以上のゴルフボールでは、目的とする性能を創出するため、硬度の異なる層を組み合わせている。例えば、硬度の低いコアに、硬度の高い中間層を被覆し、その外側をカバーで覆うと、高反発のゴルフボールを構成することができる。このようなゴルフボールとしては、例えば、特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,485,378号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、高反発材料からなる層をゴルフボールの外層に配置すると、ヘッドスピードが低い初心者等が打撃しても飛距離を伸ばすことができるという利点がある。しかしながら、高反発材料は硬度が必然的に硬くなる為反発性能が大きすぎると、打感が硬くなるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ヘッドスピードが低い初心者等が打撃をしても飛距離を伸ばすことが可能であり、且つ打感を向上することができるゴルフボールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るゴルフボールは、最内層、及びこれを覆う最外層を有するコアと、前記コアを覆うカバーと、を備え、前記最外層の径方向内方の表面のJIS−C硬度が85〜100であり、前記最内層の径方向外方の表面のJIS−C硬度が、前記最外層の径方向内方の表面のJIS−C硬度よりも25以上低く、前記最内層の中心のJIS−C硬度が50以下である。
【0007】
この構成によれば、最外層の径方向内方の表面のJIS−C硬度が85〜100と高いため、打撃時に高い反発性能を得ることができる。したがって、クラブのヘッドスピードの低い使用者であっても、飛距離を伸ばすことができる。その一方で、最内層の径方向外方の表面のJIS−C硬度が、最外層の径方向内方の表面のJIS−C硬度よりも25以上低く、且つ最内層の中心のJIS−C硬度が50以下としているため、打感を柔らかくすることができる。このように、ヘッドスピードの低い使用者にとっては、打感を柔らかくすることができるが、ヘッドスピードが低い限りにおいては、最内層の硬度が低くなっても、反発には大きい影響を与えることはない。よって、このような使用者にとって、本発明に係るゴルフボールは、高い反発性能と良好な打感を提供することができる。
【0008】
また、最内層と最外層との間の硬度差が大きいので、次のような利点がある。まず、ドライバーで打撃を行った場合、打撃力は、クラブフェース面の法線方向に大きく作用し変形が大きくなる。その一方で、クラブフェース面に平行な方向(ボールの接線方向)に作
用する摩擦力は小さい。本発明のようにカバー及び中間層の硬度がコアよりも高いゴルフボールでは、相対的に外部が硬いため、打撃を受けた際の変形時には上記摩擦力が小さくなる。その結果、バックスピンを低減することができる(効果1)。また、バックスピンを生じさせる摩擦力は、ボールへの打撃が始まってからボールの球面方向に捻り力を付与するのであるが、ボールがクラブフェース面から離れる過程においては、ボールの弾性力により捻れたボールが元に戻ろうとする。この際、コアの硬度がカバー及び中間層よりも低いと打撃による衝撃力が長く持続するため、上記のような硬度差を設けると、捻り戻り作用がさらに大きくなる。その結果、バックスピンが低減される(効果2)。よって、これら2つの効果により、バックスピンの量は少なくなる。また、打撃時の摩擦力が小さいため、飛び出し角が大きくなる。
【0009】
さらに、上記ゴルフボールにおいては、高いヘッドスピードで打撃を行うと、コアの変形がさらに大きくなり、反発が低下するが、これによって、規則に定められた規定の反発係数を遵守することができる。
【0010】
上記ゴルフボールにおいては、最外層の層厚を3mm以上とすることができる。このように、高い硬度を有する最外層の層厚を設定することで、高い反発性能を得ることができ、低いヘッドスピードにおいても飛距離を伸ばすことができる。
【0011】
上記ゴルフボールにおいては、最内層を、内芯部と、この内芯部を覆う包囲層とで構成することができる。このとき、包囲層の径方向外方の表面のJIS−C硬度を70以下とすることができる。上記のように、コアの中心部、つまり、内芯部の中心のJIS−C硬度が50以下であるのに対し、最外層の硬度はこれよりも25以上となっており、硬度差が大きくなっている。そのため、コアの中心付近の大きい変形に最外層が追随できず、最外層が損傷するおそれがある。これに対して、最内層を、内芯部と包囲層とで構成し、包囲層の硬度を70以下とすると、最外層とコアの中心部との間の大きい硬度差を包囲層によって緩和することができる。このため、コアの中心部の大きい変形によっても最外層の損傷を防止することができ、耐久性を向上することができる。
【0012】
上記ゴルフボールにおいては、最内層の径を36mm以下とすることができる。なお、この径は、最内層が一層で形成されている場合も、内芯部と包囲層とで形成されている場合も同じである。
【0013】
また、包囲層は、内芯部の表面から突出し、径方向外方の先端が最外層に達する少なくとも一つの支持部と、支持部の間に形成される凹部に充填される充填層とで構成することができる。
【0014】
この構成によれば、支持部によって、内芯部を支持することができる。したがって、ボールを製造する際には、支持部によって内芯部をボールの中心に保持することができ、偏芯を防止することができる。なお、支持部の間に充填される充填層は、支持部と同一材料或いは異なる材料とすることができる。また、支持部は内芯部と一体的に形成することもできる。
【0015】
また、支持部を複数設ける場合、複数の支持部をコアの表面に沿って点対称となるように形成することができる。このようにすると、支持部が点対称に配置されるため、ボールを製造する際に金型からの型抜きを容易に行うことができる。また、ボールの重量バランスも向上することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るゴルフボールによれば、ヘッドスピードが低い初心者等が打撃をしても飛
距離を伸ばすことが可能であり、且つ打感を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るゴルフボールの第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のゴルフボールの硬度の測定方法を示す断面図である。
【図3】図1のゴルフボールの作用効果のメカニズムを示す図である。
【図4】図1のゴルフボールの作用効果のメカニズムを示す図である。
【図5】本発明に係るゴルフボールの第2実施形態を示す断面図である。
【図6】図5のゴルフボールの内芯部(a)、内芯部とリブからなる半成品(b)、内芯部とリブと充填層とからなる半成品(c)をそれぞれ示す斜視図である。
【図7】図5のゴルフボールにおける内芯部とリブとからなる半成品の他の例を示す斜視図である。
【図8】図7の正面図である。
【図9】図8の半成品の他の例を示す一部正面図である。
【図10】図8の半成品のさらに他の例を示す正面図である。
【図11】図5に示すゴルフボールの製造方法の一例を示す図である。
【図12】図5に示すゴルフボールの製造方法の一例を示す図である。
【図13】図5に示すゴルフボールの製造方法の他の例を示す図である。
【図14】本発明のゴルフボールの他の例を示す断面図である。
【図15】本発明のゴルフボールの他の例を示す断面図である。
【図16】本発明のゴルフボールの他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
本発明に係るゴルフボールの一実施形態を、図面を参照して説明する。図1は本実施形態に係るゴルフボールの断面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係るゴルフボールは、最内層1及び最外層5からなる球状のコア10を、カバー7で被覆したいわゆるスリーピースのゴルフボールである。ゴルフボールの直径は、規則(R&A、及びUSGA参照)の定めるところにより、42.67mm以上にする必要がある。但し、空力特性等を考慮するとボール径はできるだけ小さくすることが好ましく、例えば42.7〜43.7mmとすることができる。
【0020】
最内層1は、球状に形成され、ゴム組成物で形成されている。最内層1の直径は36mm以下にすることが好ましく、18〜36mmにすることがさらに好ましく、23〜33mmにすることが特に好ましい。また、最内層1の中心の硬度は、例えば、JIS−C硬度で50以下にすることができる。この硬度は、20〜50とすることが好ましく、25〜45にすることがさらに好ましい。
【0021】
最外層5は、ゴム組成物又はエラストマーで構成されている。最外層5の層厚は、例えば、3mm以上にすることができる。この層厚は、3〜10mmにすることが好ましく、3〜8mmにすることがさらに好ましい。また、最外層5の径方向内方の表面の硬度は、JIS−C硬度で85〜100であることが好ましく、90〜100であることがさらに好ましく、90〜95であることが特に好ましい。このとき、最外層5の径方向内方の表面と、最内層1の径方向外方の表面との硬度差、つまり両層1,5の境界付近の硬度差が、JIS−C硬度で、例えば25以上とすることができる。この硬度差は、25〜70であることが好ましく、30〜70であることがさらに好ましく、30〜50であることが
特に好ましい。この観点から、最内層1の径方向外方の表面のJIS−C硬度は、57.0〜70であることが好ましく、57.0〜67.0であることがさらに好ましい。
【0022】
カバー7は、エラストマーで構成されている。そして、その表面には図示を省略する所定のディンプルが形成されている。カバー7の層厚は0.3〜2.6mmとするのが好ましく、1.2〜2.0mmとするのがさらに好ましい。この範囲外も可能ではあるが、その理由は、カバー7の層厚が0.3mmより小さくなると、カバー7の耐久性が著しく低下するとともに成形が困難になる一方、2.6mmを越えると打感が硬くなり過ぎるからである。また、その表面の硬度はJIS−C硬度で75〜99とするのが好ましく、85〜95であることがさらに好ましい。なお、カバー7の硬度85より小さくする場合には、反発性能を低下させないために、カバーの層厚を1.2より小さくすることが好ましい。また、ここでいう、カバー7の層厚とは、ディンプルが形成されていない径方向の最も外側の任意の一点から、中間層5と接する任意の一点までの距離を法線に沿って計測した値である。
【0023】
上述した硬度は、次のように測定することができる。以下、図2を参照しつつ説明する。まず、ボールを2分割する。そして、最外層5については、当該部材よりも径方向内方に配置されている他の部材との界面から約1mm外側、つまり図2の破線A上のポイントにおいて硬度を測定する。また、最内層1については、当該部材よりも径方向外方に配置されている他の部材との界面から約1mm内側、つまり図2の破線B上のポイントにおいて硬度を測定する。すなわち、本実施形態のゴルフボールは、最内層1、最外層5、及びカバー7が一体となっており、厳密に表面の硬度を計測することは困難であるので、上記のように、最外層5の内方表面から約1mm外側、及び最内層1の外方表面から約1mm内側を測定することとしている。したがって、硬度を測定するのに当たって、本発明におけるカバー7を除く各部材の「表面」とは、最外層5については、その内方表面から約1mm外側で測定してもよいことを意味し、最内層1については、その外方表面から約1mm内側で測定してもよいことを意味する。また、最内層1については、上述した表面硬度に加えて、ボールを2分割したときの中心付近Xを測定し、これを中心硬度として定義する。また、カバー7については、径方向外方の表面においてディンプルとディンプルの間の硬度を測定する。但し、上記測定において、部材の層厚が1mm未満の場合はその中間を測定する。また、計測値のバラツキを考慮して、少なくとも4箇所以上でなるべく等間隔に離して計測しその平均値とした方が、望ましい。なお、測定機器としては、例えばASKER CL−150(高分子計器株式会社製)を用いることができ、この場合、ボールが針の重みでずれないようしっかりと固定したうえで測定を行なう。
【0024】
次に、上記ゴルフボールの各部材を構成する材料について詳細に説明する。
【0025】
最内層1は、基材ゴム、架橋材、不飽和カルボン酸の金属塩、充填剤等を配合した公知のゴム組成物で製造することができる。基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、EPDM等を使用できるが、シス1,4結合を少なくとも40%以上、好ましくは80%以上を有するハイシスポリブタジエンを使用することが特に好ましい。
【0026】
架橋剤としては、例えばジクミルパーオキサイドやt−ブチルパーオキサイドのような有機過酸化物を使用することができるが、ジクミルパーオキサイドを使用するのが特に好ましい。配合量は、基材ゴム100重量部に対して0.3〜5重量部であり、好ましくは0.5〜2重量部である。
【0027】
不飽和カルボン酸の金属塩としては、アクリル酸又はメタクリル酸のような炭素数3〜8の一価又は二価の不飽和カルボン酸の金属塩を使用することが好ましいが、アクリル酸
亜鉛を使用するとボールの反発性能を向上することができ、特に好ましい。配合量は、基材ゴム100重量部に対して1〜40重量部にするのが好ましい。
【0028】
充填剤は、コア1に通常配合されるものを使用することができ、例えば酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を使用することができる。また、必要に応じて老化防止剤、またはしゃく解剤、軟化材等を配合してもよい。
【0029】
なお、最内層1を構成する材料は、上記ゴム組成物の他、公知のエラストマーを用いることができる。
【0030】
最外層5は、ゴム組成物またはエラストマー或いはその混合物で構成されており、ゴム組成物で形成する場合には、上記した最内層1と同様の材料で構成することができる。但し、本実施形態においては、不飽和カルボン酸や有機過酸化物の配合量を最内層1の場合と異ならせる等して、最内層1の硬度と最外層5の硬度とが異なるように設定される。例えば、最外層5における不飽和カルボン酸および有機過酸化物の配合量を多くすることにより、最外層5の硬度を最内層1の硬度よりも高くすることができる。
【0031】
最外層5をエラストマーで構成する場合には、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)のようなスチレン系熱可塑性エラストマー;ポリエチレンまたはポリプロピレンをハードセグメントとし、ブタジエンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴムをソフトセグメントとするオレフィン系熱可塑性エラストマー;結晶ポリ塩化ビニルをハードセグメントとし、非晶ポリ塩化ビニルまたはアクリロニトリル・ブタジエンゴムをソフトセグメントとする塩化ビニル系熱可塑性エラストマー;ポリウレタンをハードセグメントとし、ポリエーテルまたはポリエステルをソフトセグメントとするウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリエステルをハードセグメントとし、ポリエーテルまたはポリエステルをソフトセグメントとするポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリアミドをハードセグメントとし、ポリエーテルまたはポリエステルをソフトセグメントとするポリアミド系熱可塑性エラストマー;アイオノマー樹脂などを使用することができる。
【0032】
カバー7は、公知のエラストマーで構成され、上記最外層5と同じものを使用することができる。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、最外層5の径方向内方の表面のJIS−C硬度が85〜100と高いため、打撃時に高い反発性能を得ることができる。したがって、クラブのヘッドスピードの低い初心者などであっても、飛距離を伸ばすことができる。その一方で、最内層1の径方向外方の表面のJIS−C硬度が、最外層5の径方向内方の表面のJIS−C硬度よりも25以上低く、且つ最内層5の中心のJIS−C硬度が50以下としているため、打感を柔らかくすることができる。このように、ヘッドスピードの低い使用者にとっては、最内層1の硬度を低くすることで打感を柔らかくすることができるが、ヘッドスピードが低い限りにおいては、最内層1の硬度が低くなっても、反発には大きい影響を与えることはない。よって、このような使用者にとって、本実施形態に係るゴルフボールは、高い反発性能と良好な打感を提供することができる。
【0034】
また、最内層1と最外層5との間の硬度差が大きいので、次のような利点がある。最外層5の硬度が最内層1の硬度よりも大きいことから、次の効果を得ることができる。以下では、図3及び図4を用いて作用効果のメカニズムを説明するが、各図においては便宜上、カバーを省略している。まず、図3に示すように、ドライバーで打撃を行った場合、打
撃力は、クラブフェース面Sの法線方向Nに大きく作用し変形が大きくなる。その一方で、クラブフェース面に平行な方向V(ボールの接線方向)に作用する摩擦力Xは小さい。しかも、最外層5の硬度が最内層1よりも高いことから、相対的に径方向外方が硬いため、打撃を受けた際の変形時には上記摩擦力Xが小さくなる。その結果、バックスピンは低減されることになる(効果1)。このとき、摩擦力が小さいことから、飛び出し方向Fの飛び出し角αが大きくなる。一方、図4に示すように、ボールがクラブフェース面Sから離れる過程での変形が元に戻る際には、捻り戻り作用によりバックスピンBを減らす方向に力Kが作用する(効果2)。このとき、最内層1の硬度が最外層5よりも低いことに起因して打撃による衝撃力が長く維持されるため、捻り戻り作用による力Kが大きくなる。よって、これら2つの効果により、バックスピンの量は少なくなり、飛び出し角が大きくなる。
【0035】
さらに、上記ゴルフボールにおいては、高いヘッドスピードで打撃を行うと、最内層1の変形がさらに大きくなり、反発が低下することが考えられるが、これによって、例えば、USGAの規則に定められた規定の反発係数を遵守することができる。
【0036】
(第2実施形態)
本発明に係るゴルフボールの第2実施形態を、図面を参照して説明する。図5は本実施形態に係るゴルフボールの断面図である。
【0037】
本実施形態に係るゴルフボールが第1実施形態と相違するのは、最内層1が3層で形成されている点である。これ以外の点は、第1実施形態と同じであるため、以下では、主として相違点のみを説明する。
【0038】
図5に示すように、本実施形態に係るゴルフボールにおいては、最内層1が、球状の内芯部11、リブ(支持部)3、及び充填層4で形成されており、内芯部11が、リブ3と、充填層4とよりなる包囲層により被覆されている。これをさらに最外層5及びカバー7で被覆している。すなわち、本実施形態に係るゴルフボールは、いわゆるファイブピースゴルフボールである。
【0039】
図6は、内芯部11(a)、この内芯部11にリブ3を配置した半成品(b)、及びこれにさらに充填層4を被覆した半成品(c)を示す斜視図である。各リブ3は、ゴム組成物又はエラストマーで構成されており、内芯部11の表面に描かれ相互に直交する大円に沿って延びている。そして、これらリブ3によって内芯部11の表面には8個の凹部18が形成されている。内芯部11の径は、35mm以下とすることが好ましく、好適には17mm〜35mmであり、さらに好ましくは、22mm〜32mmである。内芯部11の中心の硬度は、第1実施形態の最内層の中心の硬度と同じであるが、内芯部11の径方向外方の表面のJIS−C硬度は、60より小さい硬度であることが好ましく、好適には25〜55であり、さらに好ましくは、25〜45である。また、リブ3の高さは、1〜10mmであることが好ましく、2〜8mmにすることがさらに好ましい。なお、リブ3の高さは上記範囲外も可能ではあるが、リブ3の高さを10mm以内にしておくと、製造時にリブが倒れるのを防止することができる。
【0040】
また、図5に示すように、各リブ3は、内芯部11側にいくにしたがってその幅が増大するように断面台形状に形成されている。リブ3の径方向外方の上端部の幅aは1.5〜3.0mmにすることが好ましく、またリブ3の径方向内方の下端部の幅bは7〜12mmにすることが好ましい(なお、幅bが12mmの場合の内芯部の径は16.97mmとなりうる)。これ以外も可能ではあるが、このようにリブ3の各端部の下限を設定すると、後述するように、製造時に充填層用の材料を充填する際に、成形型を締めるときの圧力からくる材料の充填圧によってリブ3が変形するのを防止することができる。その結果、
内芯部11を成形型の中心に正確に保持することができる。このようなリブ3の形状によって、各凹部18は3つのリブ3と、僅かに露出する内芯部11の表面とによって囲まれる三角錐状に形成されている。そして、この内芯部11の露出部分は、充填層4と接触している。
【0041】
充填層4は、リブ3の高さとほぼ同じ層厚を有し、リブ3によって囲まれる8つの凹部18に充填されてその外形が略球形をなしている。このとき、充填層4は、各凹部18に充填されることにより三角錐状に形成されている。また、図6(c)に示すように、リブ3の上端面は充填層4から露出した状態になっており、最外層5に接触している。また、リブ3及び充填層4の硬度は、内芯部11よりも大きくすることが好ましく、両者の硬度を同じにしてもよい。あるいは充填層4の硬度をリブ3の硬度よりも高くすることもできる。すなわち、径方向の外方から内方に向かって硬度が低くなることが好ましい。リブ3及び充填層4の径方向外方の表面の硬度は、JIS−C硬度で70以下とすることができる。具体的には、41.0〜70であることが好ましく、52.0〜67.0であることがさらに好ましい。なお、硬度の測定方法は、第1実施形態で示したとおりである。
【0042】
内芯部11を構成する材料は、第1実施形態で説明したゴム組成物とすることができる。また、リブ3及び充填層4は、第1実施形態で説明したゴム組成物またはエラストマーで構成することができる。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、リブ3の径方向外方の端部が最外層5に接触しているため、内芯部11は、リブ3によって最外層5に支持されることになる。さらに充填層4の径方向内方の端部が内芯部11に接触しているため、充填層4によっても内芯部1が支持されることになる。したがって、内芯部11がボールの中心に強固に保持されるため、製造時に偏芯が生じるのを防止することができる。
【0044】
また、上記ゴルフボールにおいては、最内層1を、内芯部11と、この内芯部11を覆うリブ3及び充填層4とで構成しているため、次の効果を得ることができる。すなわち、内芯部の中心のJIS−C硬度が50以下であるのに対し、最外層5の硬度はこれよりも25以上となっており、硬度差が大きくなっている。そのため、打撃時の内芯部11の中心付近の大きい変形に最外層5が追随できず、最外層5が損傷するおそれがある。これに対して、内芯部11と最外層5との間に、JIS−C硬度が70以下であるリブ3と充填層4とを設けることによって、上述した大きい硬度差を緩和することができる。このため、内芯部11の中心部の大きい変形によっても最外層5の損傷を防止することができ、耐久性を向上することができる。
【0045】
ところで、上述したリブは、種々の形状にすることができるが、製造時に充填層4を効率よく成形する観点からは、次のような切欠部をリブ3に形成することが好ましい。図7に示すように、リブ3の一部に切欠部31を形成することもできる。この例では、各リブ3は大円上の交点付近に切欠部31を有している。より詳細には、図8に示すように、切欠部31は、大円の交点Pを通る内芯部11の法線nと垂直な平面Hに沿って延びる面31aを有するように形成されている。すなわち、この切欠部31は、上記平面Hでリブ3を切り取ることによって形成される。なお、この切欠部31の深さD、つまり切欠部31がない仮想的なリブ3の上端から切欠部31の最深部までの長さは、1.2〜3.6mmにすることが好ましい。
【0046】
このように切欠部31を形成することにより、大円の交点Pを中心として配置される4つの凹部18が連通し、充填層用の材料を切欠部31を介して各凹部18に容易に行き渡らせることができる。この場合、図9に示すように、平面Hからリブ3の中央側へ1〜3度傾斜した平面H1、つまり内芯部11の法線nと正面視において91〜93°の角度を
なす平面に沿って切欠部31の面31aを形成するようにしてもよい。このようにすると、上記傾斜が抜き勾配となり、例えば成形型が上型と下型の2つの型から構成されている場合に、リブ3を成形型から容易に取り出すことができる。
【0047】
また、リブ3において各交点Pによって区切られた各円弧セクションSの中間に切欠部を設けることもできる。すなわち、図10に示すように、円弧セクションSの円弧方向の中心点を通るコア1の法線m上の一点Qから両端の交点P側へ延びる2つの面32aを有するように切欠部32を形成することもできる。この場合、面32aと法線mとが正面視で45〜48度をなすようにすることが好ましい。このようにすると、上記したように、リブ3を成形型から容易に抜き出すことができる。
【0048】
なお、円弧セクションSは、図7、図8,または図9に示す切欠部31、及び図10に示す切欠部32の両方を有するようにしてもよい。
【0049】
次に、上記のように構成されたゴルフボールの製造方法の一例について図11〜図13を参照しつつ説明する。まず、ゴム組成物を成形型内で、例えば130〜165℃で5〜25分間、プレスして内芯部11を形成する。このとき、内芯部11は上述のようにエラストマーによって構成してもよく、この場合、プレス成形の他、射出成形で内芯部11を形成することができる。次に、こうして成形された内芯部11を、図11(a)に示す第1の成形型2内に配置する。第1の成形型2は、上型2a及び下型2bから構成されており、それぞれにキャビティが形成されている。各キャビティは、内芯部11の表面と対応する半球状の受入部21と、この受入部の壁面に形成された溝22とから構成されている。溝22は、受入部21の大円に沿って深さが略同一に形成されているが、3つの大円の各交点部分の溝は他の部分に比べて浅くなっている。これにより、リブ3に上記切欠部が形成されるようになっている。また、溝22の表面は荒研磨により粗く仕上げられており、これによって成形されたリブ3の表面に微細な凹凸を形成することができ、充填層5との密着性を向上することができる。
【0050】
そして、図11(b)に示すように、第1の成形型2の受入部21に内芯部11を配置するとともに、溝22にリブ用の材料である未加硫のゴム組成物を配置し、例えば140〜165℃で5〜25分間全加硫してプレス成形を行い、内芯部11の表面に複数のリブ3を形成する。
【0051】
続いて、内芯部11及びリブ3からなる半成品を第1の成形型2から取り出し、第2の成形型6内に配置する。図12(a)に示すように、この第2の成形型6は、上型6a及び下型6bからなり、これらには上記リブ3の最外径と対応する半球状のキャビティ61がそれぞれ形成されている。すなわち、このキャビティ61の壁面にリブ3の上端面が接するようになっている。また、上型6a及び下型6bのキャビティ61は、第1の成形型2と同様に表面が粗く仕上げられるとともに、各キャビティ61の周囲には複数の凹状のバリを溜める部分62が形成されている。
【0052】
そして、図12(a)に示すように、下型6bのキャビティ61に未加硫のゴム組成物N2を挿入するとともに、上記のように形成した半成品の上部にゴム組成物N2を配置し、この半成品を上型6a及び下型6bの間に配置する。続いて、図12(b)に示すように、上型6a及び下型6bを当接させ、ゴム組成物N2を140〜165℃で5〜25分間全加硫してプレス成形を行い、充填層4を形成する。
【0053】
このとき、内芯部11の上部及び下型6aのキャビティ141に配置されたゴム組成物N2は、半成品の表面にプレスされながら、凹部18に充填されていく。上記したように隣接する各凹部18は切欠部31を介して連通しているため、ゴム組成物N2はすべての
凹部18に行き渡り、均一に充填される。なお、充填層4は、図13に示すように、射出成形により形成することもできる。この場合、リブ3に切欠部がなければ、すべての凹部18に対してゲート81を設けなければゴム組成物N2が均一に充填されないが、上記のようにリブ3に切欠部31を設けることにより、1箇所のゲート81からゴム組成物を注入しても、切欠部31を介して各凹部18にゴム組成物が均一に充填される。
【0054】
このように、リブ3に切欠部31が形成され、隣接する凹部18が切欠部31を介して連通しているため、ゴム組成物N2が内芯部11の表面のいずれの位置からプレスされても、すべての凹部18に行き渡って充填される。したがって、充填層4を容易に被覆することができ、製造時間を大幅に短縮することができる。なお、ここでは、充填層4をゴム組成物を用いて構成しているが、エラストマーを用いることもできる。この場合、射出成形によって充填層4を形成することができる。このとき、半成品は、リブ3によって、金型に支持されているため、内芯部11を金型の中心に保持することができる。これにより、内芯部11の偏心を防止することができる。
【0055】
こうして充填層4の成形が完了すると、内芯部11、リブ3及び充填層4からなる半成品を第2の成形型6から取り出す。これに続いて、この半成品の表面に、最外層5、カバー7を順にプレス成形或いは射出成形により被覆すると、本実施形態のゴルフボールが完成する。
【0056】
なお、上記の説明では、切欠部が形成された充填層4を有するゴルフボールの製造方法について説明したが、切欠部がないものもほぼ同様の方法で製造することができる。但し、切欠部がない場合には、各凹部に最外層の材料が充填されるように材料を配置してプレス成形したり、射出成形の場合には各凹部に対応する複数のゲートを設ける必要がある。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、第2実施形態では、内芯部11をリブ3及び充填層4で被覆しているが、図14に示すように、内芯部11を1つの層で被覆することもできる。すなわち、リブ及び充填層を一体化した包囲層30で、内芯部11を被覆することもできる。この場合、包囲層30の材料、硬度は、上述したリブ3及び充填層4のいずれかと同じにすることができる。このような構成によっても、最外層5と最内層1の中心部との間の大きい硬度差を包囲層30によって緩和することができる。このため、最内層1の中心部付近の大きい変形によっても最外層5の損傷を防止することができ、耐久性を向上することができる。
【0058】
また、図15に示すように、内芯部11とリブ3とを一体化することができ、これによりフォーピースのゴルフボールとすることもできる。材料及び硬度は、上述した内芯部11と同じにすることができる。
【0059】
リブ3の形状は、種々の形態があり、上述した断面三角状のほか、棒状、円筒状などにすることができる。また、内芯部11を支持するために、内芯部11を挟んで対称な位置に配置されることが好ましい。例えば、図16(a)に示すように、内芯部11を挟んで2つのリブ3を配置することができる。図16(b)は図16(a)の内芯部とリブとを一体化したものである。図16(c)は、4つのリブ3を設けたものであり、図16(d)は内芯部11とリブとを一体化したものである。
【実施例】
【0060】
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、この実施例に限定されない。
【0061】
まず、本発明の実施例1〜7に係る7種類のゴルフボールと、比較例に係る1種類のゴルフボールとを作製した。実施例1に係るゴルフボールは、上記第1実施形態と同様の形態、すなわち、図1に示すような形状をしたスリーピースのゴルフボールである。実施例2に係るゴルフボールは、図14に示すような形状のフォーピースのゴルフボールである。また、実施例3〜7及び比較例に係るゴルフボールは、上記第2実施形態と同様の形態、すなわち、図5に示すような形状のファイブピースのゴルフボールである。各実施例及び比較例に係るゴルフボールの各部材の寸法やJIS−C硬度は、表1に記載されている通りであり、また、実施例7を除く、各実施例及び比較例において、最外層はアイオノマー(HPF-1000、Dupont社製)により形成されており、カバーはアイオノマー(Surlyn9910,Sulryn8940,Surlyn8320からなり、これらの重量比は、Surlyn9910:Sulryn8940:Surlyn8320=8:7:5である。全てDupont社製)により形成されている。各実施例及び比較例に係るゴルフボールの最内層、内芯部、リブ、充填層、包囲層、および実施例7の最外層はゴム組成物を材料としており、各ゴム組成物の配合は、表2に示している通りである。なお、これらのボールは、直径42.7mm、重量45.5gで製造されている。
【0062】
表1中の各部材のJIS−C硬度は、上述した方法で測定されており、具体的には、まず、最内層及び内芯部は、その中心部と表面(境界から1mm内側のポイント)の2つのポイントで測定し、表1に中心部/表面の形式で記載した。また、表1中のリブ、充填層、及び包囲層のJIS−C硬度は、最外層との境界から1mm内側のポイントで測定しており、最外層のJIS−C硬度は、最内層(リブ、充填層、又は包囲層)との境界から1mm外側のポイントで測定している。また、表1中の「硬度差」とは、最外層と最内層とのJIS−C硬度の差を示している。
【0063】
以上のように作製した各実施例及び比較例に係るゴルフボールに対して、反発係数及びコンプレッションを測定し、衝突速度が38m/sのときの反発係数を「反発係数1」、衝突速度が42m/sのときの反発係数を「反発係数2」として表1に示し、この反発係数1と反発係数2の差を「反発係数の差」として表1に示した。また、表1中の「Comp.」とは、コンプレッションを意味している。以下、反発係数及びコンプレッションの測定方法を説明する。
【0064】
(反発係数)
反発係数の測定方法について説明すると、まず、エアーガンにより、エアガンの発射口から水平方向に距離2mだけ離れた地点に垂直に設置された厚さ約5cmの固定した鉄板に向けて、各実施例及び比較例に係るゴルフボールを発射する。そして、鉄板に衝突して反射した各ゴルフボールの衝突前後のボールの速度を測定し、衝突前の速度に対する、衝突後の速度の比を反発係数とする。
【0065】
(コンプレッション)
コンプレッションとは、圧縮試験機にてボールを所定の大きさだけ変形させるのに要する力をいう。具体的には、圧縮試験機として、精密万能試験機 オートグラフ AG-5000D(島津製作所製)を使用し、10mm/minでボールを2.54mm圧縮変形させた時の荷重を測定している。このように測定したコンプレッションが小さいと、ドライバーなどショットの打感が柔らかく感じられ、同数値が大きい程硬く感じられることとなる。結果は、表1に示す通りである。
【0066】
(打感)
ヘッドスピードが40m/s程度の女子プロや、シニアのトップアマチュア、10名に実打をしてもらった。この結果、非常に柔らかいと感じたものを「◎」、柔らかいと感じたものを「○」、やや柔らかいと感じたものを「△」、硬いと感じたものを「×」として、最も多い評価結果を、表1に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
表1に示したように、各実施例では最外層よりも内側の層の硬度がかなり低くなっているが、衝突速度が42m/s程度では、その影響が出ておらず、比較例と比べても遜色のない値が得られている。また、より遅い衝突速度である38m/sでは、比較例よりも実施例の方が高い反発係数となっている。したがって、各実施例に係るゴルフボールでは、ヘッドスピードの低い使用者に対して、打撃後のボールの初速を速くすることができ、ひいては飛距離を伸ばすことができる。
【0070】
また、コンプレッション及び打感について、各実施例では、最外層とそれよりも内側の層との境界の硬度が大きく、内側の層の硬度が低いため、表1によれば、コンプレッションが小さく良好な打感を得ている。一方、比較例では、境界の硬度差が16と小さく、内側の層の硬度が高いため、打感が悪くなっており、コンプレッションも高い値となっている。
【0071】
以上より、本実施例に係るゴルフボールでは、ヘッドスピードの低い使用者に対して、良好な打感を提供できるとともに、飛距離を伸ばすことができる。
【符号の説明】
【0072】
1 最内層
10 コア
11 内芯部
3 リブ(支持部)
4 充填層
5 最外層
7 カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最内層、及びこれを覆う最外層を有するコアと、
前記コアを覆うカバーと、を備え、
前記最外層の径方向内方の表面のJIS−C硬度が85〜100であり、
前記最内層の径方向外方の表面のJIS−C硬度が、前記最外層の径方向内方の表面のJIS−C硬度よりも25以上低く、
前記最内層の中心のJIS−C硬度が50以下である、ゴルフボール。
【請求項2】
前記最外層の層厚が3mm以上である、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項3】
前記最内層は、内芯部と、当該内芯部を覆う包囲層と、を備えており、
前記包囲層の径方向外方の表面のJIS−C硬度が70以下である、請求項1または2に記載のゴルフボール。
【請求項4】
前記最内層の径は、36mm以下である、請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。
【請求項5】
前記包囲層は、
前記内芯部の表面から突出し、径方向外方の先端が前記最外層に達する少なくとも一つの支持部と、
前記支持部の間に形成される凹部に充填される充填層と、
を備えている、請求項3に記載のゴルフボール。
【請求項6】
前記支持部が複数設けられ、当該複数の支持部が前記内芯部の表面に沿って点対称となるように形成されている、請求項5に記載のゴルフボール。
【請求項1】
最内層、及びこれを覆う最外層を有するコアと、
前記コアを覆うカバーと、を備え、
前記最外層の径方向内方の表面のJIS−C硬度が85〜100であり、
前記最内層の径方向外方の表面のJIS−C硬度が、前記最外層の径方向内方の表面のJIS−C硬度よりも25以上低く、
前記最内層の中心のJIS−C硬度が50以下である、ゴルフボール。
【請求項2】
前記最外層の層厚が3mm以上である、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項3】
前記最内層は、内芯部と、当該内芯部を覆う包囲層と、を備えており、
前記包囲層の径方向外方の表面のJIS−C硬度が70以下である、請求項1または2に記載のゴルフボール。
【請求項4】
前記最内層の径は、36mm以下である、請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。
【請求項5】
前記包囲層は、
前記内芯部の表面から突出し、径方向外方の先端が前記最外層に達する少なくとも一つの支持部と、
前記支持部の間に形成される凹部に充填される充填層と、
を備えている、請求項3に記載のゴルフボール。
【請求項6】
前記支持部が複数設けられ、当該複数の支持部が前記内芯部の表面に沿って点対称となるように形成されている、請求項5に記載のゴルフボール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−20118(P2012−20118A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134165(P2011−134165)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
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