説明

ゴルフ場運用管理システム

【課題】通信料の削減を図ると共に、移動局が無通信エリアにある場合でも、その移動局の位置を正しく把握できるゴルフ場運用管理システムを提供する。
【解決手段】ゴルフ場内に存在する移動局3は、その位置を検出するGPS受信機48と、当該移動局3の予測される時刻と位置とを関連付けた移動予定データを記憶する移動予定データ記憶手段46と、GPS受信機48からの検出出力で得られた当該移動局3のある時刻における実際の位置が、移動予定データ記憶手段46に記憶される同じ時刻の位置から所定値を超えて離れているときにのみ、その実際の位置をサーバ6に送出する位置判定手段44とを備える。またサーバ6は、移動局3と電気通信回線5を介して接続され、移動局3からの実際の位置を受取ると、移動予定データ記憶手段46に記憶される移動予定データを上書きするために、更新した移動予定データを移動局3に送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ場内における複数のゴルファーの位置を認識して、運用管理を行なうゴルフ場運用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゴルフ場においては、数人のプレーヤからなる各パーティを一定時間間隔で順次スタートさせながら、複数のパーティが一つのホールに集中しないように、ゴルフ場全体で各ホール順にプレーを円滑に進行させるのが望ましいとされる。一方、近年はコスト削減のためにキャディを廃止する傾向があり、キャディのいない状態で各パーティが円滑なプレーを進行させることは極めて難しい。
【0003】
そこで、各パーティに対応して、キャディに代わる移動可能なゴルフカート(キャディカート)をゴルフ場内に多数配置し、各ゴルフカートのリアルタイムな位置をクラブハウスに設けた基地局で認識し、円滑なプレーの進行に必要な指示情報を、選択したゴルフカートに送信するゴルフ場運用管理システムが、例えば本願出願人による特許文献1などで提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−29363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、現状のゴルフ場運用管理システムでは、次のような欠点が存在する。
【0006】
基地局とゴルフカートに搭載した移動局との間の通信は、業務用無線機を使用して送受信が行われる。この場合、基地局を自分で任意の位置に設置でき、また通信距離が比較的広いため、一箇所の基地局があれば、ゴルフ場全体をカバーできる利点がある。しかし欠点として、通信速度が遅いことや、基地局を自分で設置しなければならない煩わしさがある。
【0007】
一方、ゴルフカートに搭乗するプレーヤがタブレット端末などの携帯端末を保有する場合、その携帯端末を移動局として、基地局と移動局との間の通信に、携帯電話網などの汎用のインフラ手段を利用することも考えられる。これは業務用無線機に比べて通信速度が速く、基地局を自分で設置しなくてもよい利点がある。しかし、キャリア(電気通信事業者)に対する通信料の支払いを強いられることや、基地局を自分で任意の位置に設置できないので、ゴルフ場内に通信が不能な無通信エリアが存在する場合に、その無通信エリア内の移動局からの通信が行えない欠点がある。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、通信料の削減を図ると共に、移動局が無通信エリアにある場合でも、その移動局の位置を正しく把握できるゴルフ場運用管理システムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、ゴルフ場内に存在する複数の移動局と、この移動局と電気通信回線を介して接続されるセンター装置とを備え、前記移動局は、当該移動局の位置を検出する位置検出装置と、当該移動局の予測される時刻と位置とを関連付けた移動予定データを記憶する移動予定データ記憶手段と、前記位置検出装置からの検出出力によって得られた当該移動局のある時刻における実際の位置が、前記移動予定データ記憶手段に記憶される同じ時刻の位置から所定値を超えて離れているときにのみ、前記実際の位置を前記センター装置に送出する位置判定手段と、を備え、前記センター装置は、前記移動局からの前記実際の位置を受取ると、前記移動予定データ記憶手段に記憶される移動予定データを上書きするための更新した移動予定データを、当該移動局に送出する構成となっている。
【0010】
また請求項2の発明において、前記センター装置に接続する基地局をさらに備え、前記センター装置は、前記移動局に送出する更新した移動予定データを、前記基地局にも送出するように構成し、前記基地局は、前記複数の移動局に関する全ての移動予定データを記憶する全移動予定データ記憶手段と、前記センター装置から前記移動局に送出する更新した移動予定データを受取ると、その移動局に関して前記全移動予定データ記憶手段に記憶される移動予定データを、前記更新した移動予定データに書き換える移動予定データ取得手段と、前記全移動予定データ記憶手段に記憶する移動予定データから、各々の前記移動局の位置を表示する表示手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、移動局のある時刻における実際の位置が、移動予定データ記憶手段に記憶される同じ時刻の位置から所定値を超えて離れているときには、センター装置に実際の位置を知らせるために、センター装置への通信を行なうが、それ以外は、当該移動局が無通信エリアに存在する否かに拘らず、センター装置への通信を行なわない。したがって、移動局からセンター装置に対して、必要以外の通信を抑制することで、電気通信回線を利用する上での通信料の削減を図ることが可能になる。また、センター装置への通信を行なうのは、移動局のある時刻における実際の位置と、移動予定データ記憶手段に記憶される同じ時刻の位置との間の距離が、所定値を超えている場合に限られるので、移動局が無通信エリアにある場合でも、その移動局の位置を正しく把握できる。
【0012】
請求項2の発明によれば、センター装置から基地局への通信を必要最小限に抑えつつ、ゴルフ場内における各移動局の正しい位置を、表示手段によって時々刻々と表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明におけるゴルフ場運用管理システムの全体構成を表したブロック図である。
【図2】同上、基地局の機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】同上、移動局の機能的な構成を示すブロック図である。
【図4】同上、主な動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明におけるゴルフ場運用管理システムの一実施例について、添付図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、ゴルフ場運用管理システム1の概要をあらわす全体構成図である。同図において、2はゴルフ場運用管理システム1の全体を統括する基地局で、これは例えばクラブハウスの管理室(マスター室など)に設置される。また3は、ゴルフ場内の図示しないプレーヤと共に移動する移動局で、これらの基地局2と移動局3は、何れもネットワークとしての電気通信回線5を介して、共通するセンター装置としてのサーバ6に接続される。電気通信回線5は周知のように、複数の情報処理装置の間において双方向に通信可能な伝送路であり、例えば携帯電話網5Aやインターネット5Bなどの組み合わせにより構成される。ここでのサーバ6は、基地局2や移動局3からの要求に応じて、必要なデータを要求のあった基地局2や移動局3に送出するものであるが、サーバ6の機能そのものを基地局2に含めてもよい。
【0016】
基地局2は、ゴルフ場内におけるプレーヤ全体の運用を自動管理するためのもので、電気通信回線5を介してサーバ6に接続可能な本体11と、本体11に接続する表示手段としてのモニター装置12と、同じく本体11に接続する操作手段としてのキーボード13などを備えて構成される。基地局2としては、例えば一乃至複数のコンピュータや、一乃至複数のサーバ装置を使用することができる。また本体11は、何れも図示しないが演算処理手段や記憶手段を内蔵し、記憶手段には各種データや基地局用ソフトウェアの保存領域がそれぞれ形成されており、この基地局用ソフトウェアを起動させることにより、キーボード13からの操作に基づき必要なデータをサーバ6から読み出して、例えばモニター装置12に各移動局3の位置をリアルタイムで表示させたり、スタートした各プレーヤが保有する移動局3の一覧を表形式で表示させたり、ゴルフ場内で遅れの大きい移動局3を、ホール上の位置や遅れ時間と共に順番に表示させたりすることが可能になる。
【0017】
移動局3は、ゴルフ場内を移動するプレーヤが保有する携帯可能な端末として、各プレーヤに1台ずつ配設される。本実施例では後述するように、携帯電話網5Aを介してインターネット5Bからサーバ6に接続する送受信部47と、移動局3自体の位置を検出するGPS受信機48とを内蔵した携帯情報端末としてのタブレット端末を、移動局3として用いている。
【0018】
移動局3は、平板型の本体22の表面に、表示手段として液晶パネルで構成される表示器25と、操作手段として表示器25の上面に設けられた位置入力装置に相当するタッチパッド26とを備え、表示器25上の透明なタッチパッド26を直接触って操作する構成となっている。また、本体22の内部には図示しないが、演算処理手段や記憶手段が内蔵される。この記憶手段には各種データや移動局用ソフトウェアの保存領域がそれぞれ形成されており、この移動局用ソフトウェアを起動させることにより、必要なデータをサーバ6から読み出して、例えば表示器25にグリーンや周辺のプレーヤとの間の距離を表示させたり、プレーの進行を促す遅延プレーを表示させたりすることが可能になる。
【0019】
図2は、本発明に関連する基地局2の機能的な構成を示したものである。同図において、31は前記本体11に組み込まれた制御手段であり、この制御手段31は前述した基地局ソフトウェアにより動作する移動予定データ取得手段32と移動局位置表示制御手段33の他に、現在時刻をカウントする計時手段34をそれぞれ備えている。また35は、前述した基地局2の記憶手段の中で、特に全ての移動局3について、各移動局3の運用に関する移動予定データを記憶するために設けられた全移動予定データ記憶手段である。ここでいう移動予定データとは、移動局3を特定する識別子に、その移動局3の予測される時間と位置とを関連付けたもので、これによりどの移動局3が、何時どの場所に存在するのかを予測することができる。
【0020】
本体11にはその他に、電気通信回線5に接続する送受信部36を備えており、この送受信部36を通して、基地局2とサーバ6との間で各種データの双方向通信が可能になっている。移動予定データ取得手段32は、任意の移動局3についてサーバ6から移動予定データが送られてくると、その移動局3に関連する更新前の移動予定データが全移動予定データ記憶手段35に存在するか否かを判別し、全移動予定データ記憶手段35に更新前の移動予定データが存在しなければ、サーバ6からの移動予定データを全移動予定データ記憶手段35に新たな移動予定データとしてそのまま記憶させる一方で、全移動予定データ記憶手段35に更新前の移動予定データが存在すれば、その更新前の移動予定データをサーバ6からの移動予定データに書き換えて、全移動予定データ記憶手段35に記憶させるものである。また、移動局位置表示制御手段33は、主に各移動局3の位置表示に関して、モニター装置12に必要な映像信号を送出し、当該モニター装置12を制御するためのもので、具体的にはサーバ6に予め記憶されたゴルフ場の地図情報(例えば、全コースまたは一乃至複数コースの平面図)を、送受信部36を通して取り込み、その地図情報に重ね合せて、各移動局3の現在位置をモニター装置12にリアルタイムで表示させる機能を有する。ここでの各移動局3の現在位置は、全移動予定データ記憶手段35に記憶される移動予定データの中で、計時手段34でカウントされる現在時刻に一致する時刻に対応した位置を読み出すことで特定できる。
【0021】
図3は、本発明に関連する移動局3の機能的な構成を示したものである。同図において、41は前記本体22,23に組み込まれた制御手段であり、この制御手段41は前述した移動局ソフトウェアにより動作する移動予定データ取得手段42,スタート指示手段43および位置判定手段44の他に、現在時刻をカウントする計時手段45をそれぞれ備えている。また46は、前述した移動局3の記憶手段の中で、特にその移動局3自体の運用に関する移動予定データを記憶するために設けられた移動予定データ記憶手段である。
【0022】
移動局3にはその他に、電気通信回線5に接続する送受信部47と、位置検出装置としてのGPS受信機48を備え、送受信部47を通して移動局3とサーバ6との間で各種データの双方向通信が可能になっている。また、GPS受信機48は周知のように、人工衛星49から発信される所定の周波数の時刻信号波を受信することにより、ある時刻における移動体3ひいてはプレーヤの位置(経度,緯度,高度)を、測位データとして制御手段41にリアルタイムで送出するものである。
【0023】
移動予定データ取得手段42は、前記基地局2の移動予定データ取得手段32と同様の機能を有し、自身の移動局3についてサーバ6から更新した移動予定データが送られてくると、その移動局3に関連する更新前の移動予定データが移動予定データ記憶手段46に存在するか否かを判別し、移動予定データ記憶手段46に更新前の移動予定データが存在しなければ、サーバ6からの移動予定データを移動予定データ記憶手段46に新たな移動予定データとしてそのまま記憶させる一方で、移動予定データ記憶手段46に更新前の移動予定データが存在すれば、その更新前の移動予定データをサーバ6からの移動予定データに書き換えて、移動予定データ記憶手段45に記憶させるものである。
【0024】
スタート指示手段43は、操作キー26,28からプレー開始を知らせるスタート信号が入力されると、これをスタート情報としてサーバ6に送出するものである。ここでいうスタート情報には、移動局3の現在位置や、スタート信号が入力されたときの計時手段45の時刻を含ませてもよい。移動局3の現在位置は、例えばGPS受信機48からの測位データを用いてもよい。サーバ6は、移動局3からのスタート情報を受けて、その移動局3に対する移動予定データを自動的に作成し、これをサーバ6の記憶手段(図示せず)に記憶蓄積すると共に、基地局2と通信を行なった移動局3にそれぞれ送出するように構成される。
【0025】
位置判定手段44は、GPS受信機48から送出される測位データと、移動予定データ記憶手段46に記憶される移動予定データとを比較して、前記測位データから特定される移動局3の実際の位置と、移動予定データに含まれる同じ時刻の位置との間の距離が所定値を超えた場合にのみ、送受信部47を通してサーバ6に通信を行なって、移動局3の実際の位置を送出する機能を有する。サーバ6は、移動局3からの実際の位置を受取ると、その移動局3に対する更新前の移動予定データを、サーバ6の記憶手段から読み出して、移動局3の実際の位置を反映した移動予定データに更新し、この更新した移動予定データをサーバ6の記憶手段に記憶蓄積すると共に、基地局2と通信を行なった移動局3にそれぞれ送出するように構成される。
【0026】
その他に計時手段45は、基地局2の計時手段34と互いの現在時刻を同期させてもよい。それにより、各移動局3のより正確な運用管理が可能になる。サーバ6にも同様の計時手段(図示せず)が設けられているので、この計時手段の現在時刻に計時手段34,45の各現在時刻を同期させてもよい。サーバ6に計時手段を備えていれば、スタート情報にスタート信号が入力されたときの現在時刻が含まれていなくても、サーバ6はスタート情報を受信した時刻を自身の計時手段で特定することで、移動予定データを自動的に作成できる。
【0027】
また、図示してはいないが、制御手段41には基地局2の移動局位置表示制御手段33と同様の表示制御手段を備えている。当該表示制御手段は、具体的にはサーバ6から送受信部36を通して、ゴルフ場の地図情報を取り込み、その地図情報に重ね合せて、自身の現在位置だけでなく、必要に応じて周辺の移動局3の現在位置もサーバ6から取り込んで、これらをモニター装置12にリアルタイムで表示させる機能を有する。
【0028】
次に上記構成について、特に本発明に関連するゴルフ場運用管理システムの作用を図4のフローチャートに基づき説明する。なお、以下に説明するサーバ6の動作や機能は、基地局2に含めたものとしてもよい。
【0029】
ゴルフ場内でプレーヤが運用を開始する際に、そのプレーヤが携帯保持する移動局3のタッチパッド26を適宜操作して、スタート信号を入力する(ステップS1)。これを受けて当該移動局3の制御手段41では、プレー開始時点の移動局3の現在位置と、場合によってはスタート信号が入力されたときの計時手段45の現在時刻とを含めて、プレー開始を知らせるスタート情報を、スタート指示手段43により送受信部47を利用してサーバ6へ送出する。
【0030】
サーバ6は、特定の移動局3からのスタート情報を受信すると、その後の移動局3の予測される時刻と位置とを算出した移動予定データを自動的に作成する。この移動予定データは、サーバ6の記憶手段に記憶蓄積されると共に、基地局2と通信を行なった移動局3にもそれぞれ送出される(ステップS2)。なお、サーバ6は全ての移動局3からのスタート情報を受信できるようになっているので、短時間に複数の移動局3からスタート情報が送出された場合に、サーバ6は、スタート情報に含まれる移動局3の現在位置や、スタート信号を入力した時刻を考慮して、移動局3が集中して同じルートを移動しないように、インとアウトに移動ルートを振り分けて、各移動局3の移動予定データを作成するのが好ましい。
【0031】
基地局2側では、移動予定データ取得手段32がサーバ6から特定の移動局3に関する移動予定データを受取ると、その移動局3に関連する移動予定データが全移動予定データ記憶手段35に存在するか否かを判別する。プレーヤのスタート直後は、そのプレーヤの保有する移動局3に関する移動予定データが、全移動予定データ記憶手段35に記憶されていないので、サーバ6からの移動予定データがそのまま全移動予定データ記憶手段35に上書きされることなく新規記憶される(ステップS3)。
【0032】
同様に移動局3側でも、移動予定データ取得手段32がサーバ6から当該移動局3に関する移動予定データを受取ると、移動予定データ記憶手段46に更新前の移動予定データが存在するか否かを判別する。プレーヤのスタート直後は、移動予定データ記憶手段46に更新前の移動予定データが記憶されていないので、サーバ6からの移動予定データがそのまま移動予定データ記憶手段46に上書きされることなく新規記憶される(ステップS3)。
【0033】
その後のステップS4において、移動局3は位置判定手段44を利用して、GPS受信機48から送出される測位データに対して、移動予定データ記憶手段46に記憶される移動予定データとの比較をリアルタイムに行ない、ある時刻で測位データから得られた移動局3の実際の位置が、移動予定データに含まれる同じ時刻の位置(予定位置)に対して、どの程度離れているのかを判定する。仮に同時刻における実際の位置と予定位置との間の距離が所定値以下であれば、位置判定手段44は携帯電話網5Aを利用することによる通信コストを回避するために、サーバ6への通信を行なわず、ステップS5の手順を行なわずにステップS6の手順に移行する。
【0034】
一方、同時刻における実際の位置と予定位置との間の距離が所定値を超えていれば、ステップS5の手順に移行し、送受信部47を通してサーバ6に通信を行なって、移動局3の実際の位置に関する情報を送出する。サーバ6は、移動局3からの実際の位置を受取ると、その移動局3に対する更新前の移動予定データを読み出して、移動局3の実際の位置を反映した移動予定データに更新し、この更新した移動予定データをサーバ6の記憶手段に記憶蓄積すると共に、基地局2と通信を行なった移動局3にそれぞれ送出する。
【0035】
これを受けて基地局2の移動予定データ取得手段32は、その移動局3に関する更新前の移動予定データが全移動予定データ記憶手段35に存在するか否かを判別するが、既に全移動予定データ記憶手段35には更新前の移動予定データが存在するので、その更新前の移動予定データをサーバ6からの更新後の移動予定データに書き換えて、全移動予定データ記憶手段35に記憶させる。また、移動局3の移動予定データ取得手段42も、その移動局3に関する更新前の移動予定データが移動予定データ記憶手段46に存在するか否かを判別し、この場合には移動予定データ記憶手段46に更新前の移動予定データが存在するので、その更新前の移動予定データをサーバ6からの更新後の移動予定データに書き換えて、移動予定データ記憶手段46に記憶させる。こうして、ある時間に移動局3の実際の位置が予定の位置から所定値を超えて離れているときにのみ、サーバ6に移動局3の実際の位置を送出することで、サーバ6と基地局2および移動局3との間で通信が確立されていれば、基地局2と移動局3の双方で、更新後の移動予定データを上書き更新させることが可能になり、次のステップS6の手順に移行する。
【0036】
ステップS6において、基地局2の移動局位置表示制御手段33は、全移動予定データ記憶手段35に記憶された移動予定データの時刻と位置に従って移動局3が移動しているものと見なし、その移動予定データの時刻と位置を、地図情報上に重ね合せてモニター装置12に表示させる。また移動局3も、移動予定データ記憶手段46に記憶された移動予定データの時刻と位置に従って、自身の移動局3が移動しているものと見なし、その移動予定データの時刻と位置を、地図情報上に重ね合せて表示器25に表示させる。上記ステップS4〜ステップS6の各手順は、ステップS7で移動局3からプレイ終了の指示がなされるまで継続して行われる。
【0037】
ところで、移動局3が無通信エリア内に存在する場合は、サーバ6との間で通信が確立されず、前記ステップS5で移動局3の実際の位置に関する情報を、サーバ6に伝達することができない。この場合、無通信エリア内に例えば無線LANなどの第2の電気通信回線による通信を可能にする送受信機を設置し、この送受信機を介して移動局3とサーバ6との間の通信を確立するように構成してもよい。こうすることで、可及的速やかに移動予定データを、移動体3の実際の位置に合せて正しく修正することができる。
【0038】
その後のステップS7の手順で、プレーヤがゴルフ場内のプレイを全て終了し、移動局3のタッチパッド26を利用してプレイ終了の指示を入力すると、移動局3の移動予定データ記憶手段46に記憶された移動予定データは削除または別な場所に移動すると共に、サーバ6を通して基地局2にも伝達され、基地局2の全移動定データ記憶手段46に記憶された移動局3に関する移動予定データも削除または別な場所に移動して終了する。
【0039】
以上のように本実施例では、ゴルフ場内に存在する複数の移動局3と、この移動局3と電気通信回線5を介して接続されるセンター装置としてのサーバ6とを備え、移動局3は、当該移動局3の位置を検出する位置検出装置としてのGPS受信機48と、当該移動局3の予測される時刻と位置とを関連付けた移動予定データを記憶する移動予定データ記憶手段46と、GPS受信機48からの検出出力である測位データによって得られた当該移動局3のある時刻における実際の位置が、移動予定データ記憶手段46に記憶される同じ時刻の位置から所定値を超えて離れているときにのみ、前記ある時刻における実際の位置をサーバ6に送出する位置判定手段44とを備え、前記サーバ6は、前記移動局3からの実際の位置を受取ると、前記移動予定データ記憶手段46に記憶される移動予定データを上書きするための更新した移動予定データを、前記移動局3に送出する構成としている。
【0040】
この場合、移動局3のある時刻における実際の位置が、移動予定データ記憶手段46に記憶される同じ時刻の位置から所定値を超えて離れているときには、サーバ6に実際の位置を知らせるために、サーバ6への通信を行なうが、それ以外は、当該移動局3が無通信エリアに存在する否かに拘らず、サーバ6への通信を行なわない。したがって、移動局3からサーバ6に対して、必要以外の通信を抑制することで、電気通信回線5を利用する上での通信料の削減を図ることが可能になる。また、サーバ6への通信を行なうのは、移動局3のある時刻における実際の位置と、移動予定データ記憶手段46に記憶される同じ時刻の位置との間の距離が、所定値を超えている場合に限られるので、移動局3が無通信エリアにある場合でも、その移動局3の位置を正しく基地局2,移動局3およびサーバ6で把握できる。
【0041】
また本実施例では、サーバ6に接続する基地局2をさらに備え、前記サーバ6は、前記移動局3に送出する更新した移動予定データを、前記基地局2にも送出するように構成し、前記基地局2は、前記複数の移動局3に関する全ての移動予定データを記憶する全移動予定データ記憶手段35と、前記サーバ6から前記移動局3に送出する更新した移動予定データを受取ると、その移動局3に関して前記全移動予定データ記憶手段35に記憶される移動予定データを、前記更新した移動予定データに書き換える移動予定データ取得手段32と、前記全移動予定データ記憶手段35に記憶する移動予定データから、各移動局3の位置を時々刻々と表示する表示手段としてのモニター装置12と、を備えている。
【0042】
このようにすると、サーバ6から基地局2への通信を必要最小限に抑えつつ、ゴルフ場内における各移動局3の正しい位置を、モニター装置12によって時々刻々と表示することができる。
【0043】
さらに好ましくは、無通信エリア内においても移動局3とサーバ6との通信を確立するために、第2の電気通信回線を設けることで、各移動局3の移動予定データを、の実際の位置に合せて可及的速やかに正しく修正することができる。
【0044】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施が可能である。例えば上記実施例では、基地局2としての機能の一部をサーバ6に分散させたが、サーバ6を基地局2に含めてもよい。また移動局3の形態として、タブレット端末以外のGPS受信機48を内蔵する端末を用いてもよい。
【符号の説明】
【0045】
2 基地局
3 移動局
5 電気通信回線
6 サーバ(センター装置)
12 モニター装置(表示手段)
32 移動予定データ取得手段
35 全移動予定データ記憶手段
44 位置判定手段
46 移動予定データ記憶手段
48 GPS受信機(位置検出装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ場内に存在する複数の移動局と、この移動局と電気通信回線を介して接続されるセンター装置とを備え、
前記移動局は、当該移動局の位置を検出する位置検出装置と、
当該移動局の予測される時刻と位置とを関連付けた移動予定データを記憶する移動予定データ記憶手段と、
前記位置検出装置からの検出出力によって得られた当該移動局のある時刻における実際の位置が、前記移動予定データ記憶手段に記憶される同じ時刻の位置から所定値を超えて離れているときにのみ、前記実際の位置を前記センター装置に送出する位置判定手段と、を備え、
前記センター装置は、前記移動局からの前記実際の位置を受取ると、前記移動予定データ記憶手段に記憶される移動予定データを上書きするための更新した移動予定データを、当該移動局に送出する構成であることを特徴とするゴルフ場運用管理システム。
【請求項2】
前記センター装置に接続する基地局をさらに備え、
前記センター装置は、前記移動局に送出する更新した移動予定データを、前記基地局にも送出するように構成し、
前記基地局は、前記複数の移動局に関する全ての移動予定データを記憶する全移動予定データ記憶手段と、
前記センター装置から前記移動局に送出する更新した移動予定データを受取ると、その移動局に関して前記全移動予定データ記憶手段に記憶される移動予定データを、前記更新した移動予定データに書き換える移動予定データ取得手段と、
前記全移動予定データ記憶手段に記憶する移動予定データから、各々の前記移動局の位置を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする請求項1記載のゴルフ場運用管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−55556(P2013−55556A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193177(P2011−193177)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(395023118)株式会社テクノクラフト (13)
【Fターム(参考)】