説明

ゴルフ練習装置

【課題】インパクト時の画像を抽出して表示することができるゴルフ練習装置を提供する。
【解決手段】プレイヤがゴルフクラブによりボールをショットしたときの動画像を正面用デジタルビデオカメラ16で撮影し、動画像をエンドレスに正面用リングバッファ26に記憶する。ショットされたボールの移動はドップラーセンサ14にて検出され、ボール速度測定部24bによってボール速度が測定される。ボール速度の測定に掛かった処理時間を処理時間計時部24aが計時し、処理時間に基づいてトリガ発生後の遅延時間を算出することによって、インパクト時の画像を基準にスイング画像を抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフを練習するためのゴルフ練習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフショップやゴルフ練習場等に設けられ、打撃音の検知や、光学センサによるゴルフクラブの挙動の検知によって、ボールを打った時点(インパクト時)を判定し、その時点に基づいてプレイヤのスイング画像を記録し、プレイヤに提示するゴルフスイング記録保存システムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、ゴルフショップやゴルフ練習場等に設けられ、プレイヤがゴルフクラブをスイングしたときのスイングスピードを計測するドップラーセンサとそれを用いたヘッドスピード計測装置が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−088604号公報
【特許文献2】特開2009−109194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のスイング画像を記録保存する機能を備えたゴルフ練習装置では、インパクト時を判定するために特別な機器を備えている必要があり、ゴルフクラブによって打たれたボールが飛翔する速度(ボール速度)やスイング速度を計測するためにはさらなる機器が必要となり、機器構成が大きく複雑になってしまっていた。本発明の目的は、ボール速度の計測とスイング画像の記録保存とを行いながら、簡易な機器構成にて、インパクト時の画像を抽出して表示することができるゴルフ練習装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によるゴルフ練習装置は、プレイヤがゴルフクラブによりボールを打つときの動画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影された動画像をエンドレスに記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された動画像を表示する表示手段とを有するゴルフ練習装置において、前記ゴルフクラブにより打たれたボールの速度を測定するボール速度測定手段と、前記ボール速度測定手段がボールの速度を測定するのに費やした処理時間を計時する処理時間計時手段と、前記ボール速度測定手段がボールの速度を測定できた時点と前記処理時間とに基づいて、前記記憶手段に記憶された動画像から、インパクト時の画像をその前後の所定時間の動画像とともに抽出する動画像抽出手段とを更に有し、 前記動画像抽出手段により抽出された動画像を前記表示手段によって表示することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によるゴルフ練習装置の、前記動画像抽出手段は、前記ボール速度測定手段によって測定されたボールの速度に応じて、前記処理時間を補正することが好適である。
【0008】
また、本発明の一態様によるゴルフ練習装置の、前記表示手段は、プレイヤがゴルフクラブによりボールを打つ方向に設けられたスクリーンに映像を投影し、前記ボール速度測定手段は、前記スクリーンの裏側に設けられて前記ボールが打たれる位置にアンテナが向いたドップラーセンサを有することが好適である。
【発明の効果】
【0009】
以上の通り、本発明によれば、ゴルフクラブにより打たれたボールの速度を測定するボール速度測定手段と、ボール速度測定手段がボールの速度を測定するのに費やした処理時間を計時する処理時間計時手段と、ボール速度測定手段がボールの速度を測定できた時点と処理時間とに基づいて、記憶手段に記憶された動画像から、インパクト時の画像をその前後の所定時間の動画像とともに抽出する動画像抽出手段とを有し、前記動画像抽出手段により抽出された動画像を前記表示手段によって表示するようにしたので、ボール速度の計測とスイング画像の記録保存とを行いながら、簡易な機器構成にて、インパクト時の画像を抽出して表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態によるゴルフ練習装置の外観を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるゴルフ練習装置の平面図、側面図、及び正面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるゴルフ練習装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態によるゴルフ練習装置により実行されるスイング画像抽出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。図1及び図2は、本発明に係るゴルフ練習装置10の全体構成の一例を概略的に示す模式図であり、図1は外観斜視図、図2(A)は平面図、図2(B)は側面図、図2(C)は正面図である。
【0012】
先ず、図1を参照して本発明に係るゴルフ練習装置の概要を説明する。本発明におけるゴルフ練習装置10は、プレイヤ1による実際のゴルフショットの検出データを用いてゴルフプレイをシミュレートしたり、プレイヤのスイングのビデオ撮影や再生表示を行い、プレイヤのゴルフ練習に供するものである。本実施の形態では、図1に示すように、プレイヤ1が実物のボール3とクラブ2とを使い、眼前のスクリーン11に投影されたゴルフコースに向かってボールをショットすると、クラブ2の移動やショットされたボールの移動を後述するセンサによって検出して、ボールの飛球速度や飛距離、クラブのヘッドスピード等の諸データを測定し、また、その諸データに基づいて仮想空間内を打球(仮想球)が飛んで行く様子をシミュレートし、それらのデータや映像をスクリーン11上に表示するようにしている。
【0013】
プレイヤ1がゴルフをプレイする遊技室20は、本例ではネットや硬質の透明パネル若しくは板等で仕切られて直方体状に形成されており、遊技室20の床面は、衝撃を吸収するクッション材で構成されている。また、スクリーン11の両側の壁面及び扉側の壁面は、ミスショットなどによるボールの跳ね返りを防止するために、図2(A)に示すように、全面がクッション材やゴルフネット21で被覆されている。
【0014】
遊技室20の閉空間内には、ゴルフ練習装置の機器として上記スクリーン11の他に、図2(A)に示すように、遊技室20内のボール3のショット位置近傍に立ったプレイヤ1から見たゴルフコースなどの画像をスクリーン11に投影するためのプロジェクタ(表示手段)15と、操作入力を受け付けるタッチパネル12を備えたメイン筐体13と、プレイヤ1によってショットされたボール3の移動を検出するドップラーセンサ14とが配設されている。さらに、正面用デジタルビデオカメラ(撮影手段)16と、背面用デジタルビデオカメラ(撮影手段)17とが、プレイヤ1に向けて配置されている。これら各機器は図示を省略したケーブルによって互いに電気的に接続されている。なお、デジタルビデオカメラとしては、撮像した画像を電気的な信号に変換できるものであれば、CMOSやCCDといった撮像素子を備えたカメラ等を適宜用いればよい。また、正面用及び背面用の組み合わせに限られず、どちらか一方のみや、他の方向からプレイヤを撮像するものを組み合わせるなどしてもよい。
【0015】
ゴルフ練習装置全体の動作やゴルフのシミュレーション処理の実行などを制御する制御部は、メイン筐体13の内部に設置されている。また、付加的な構成として、操作ボックスの筐体又は他の筐体に、投入口から投入されたコイン(硬貨若しくはメダル)の識別や計数処理等を行うコイン識別装置等から成るコイン処理部を設置できるようにしている。また、遊技室20には、プレイヤ1がボール3をショットした時の音などプレイ中の効果音等を出力するためのスピーカ18が室内の所定位置に設置される。
【0016】
次に、本実施形態のゴルフ練習装置10の電気的構成について図3を用いて説明する。ゴルフ練習装置10には、プログラムの実行やシステム全体の制御や画像表示のための座標計算等を行うCPU30と、CPU30が処理を行うのに必要なプログラムやデータを格納するバッファメモリとして利用されるシステムメモリ(RAM)32とがバスラインにより共通接続され、バスアービタ34に接続されている。バスアービタ34は、ゴルフ練習装置10の各ブロックや外部に接続される機器とのプログラムやデータの流れを制御する。
【0017】
プレイプログラムやデータ(映像データや音楽データも含む)が格納されたプログラムデータ記憶媒体(記録媒体であるCD−ROM等を駆動する光ディスクや光ディスクドライブ等も含む)36と、ゴルフ練習装置10を起動するためのプログラムやデータが格納されているブートロム38とがバスアービタ34に接続されている。
【0018】
更に、正面用デジタルビデオカメラ16による撮像画像を記憶するための正面用リングバッファ26と、背面用デジタルビデオカメラ17による撮像画像を記憶するための背面用リングバッファ27とがバスアービタ34に接続されている。
【0019】
三次元CG等の表示画像を生成するためには、システムメモリ32内に、表示するオブジェクトを構成する三次元ローカル座標データを有するポリゴンデータ(頂点データ)や、NURBS(Non Uniform Rational B-Spline)データ(曲面や制御点データ)を格納しておき、CPU30やジオメトリプロセッサ(図示しない)によって、これを三次元仮想空間のワールド座標系に配置してローカル座標をワールド座標系に変換する。
【0020】
更に、ワールド座標系に、プレイヤの操作やプレイの進行に伴って生成される視点座標を設定して、この視点から所定の視方向および画角でみた視野範囲にあるオブジェクトを、視点座標を原点とした視点座標系に変換して、この変換されたオブジェクトの座標をレンダリングプロセッサ40に送信する。
【0021】
バスアービタ34を介して、プログラムデータ記憶媒体36や、正面用リングバッファ26、背面用リングバッファ27から読み出した映像(MOVIE)データを再生したり、プレイヤの操作やプレイ進行に応じて画像表示のための画像を生成したりするレンダリングプロセッサ40と、そのレンダリングプロセッサ40が画像生成を行うために必要なグラフィックデータ等を格納しておくグラフィックメモリ42とが接続されている。
【0022】
レンダリングプロセッサ40は、送られてきたオブジェクトの座標に対して、まず、光源処理などの補間処理や、グラフィックメモリ42に格納されたテクスチャーデータをオブジェクトに貼り付けてオブジェクトの表面にディテールを施す。さらにレンダリングプロセッサ40は、三次元の立体オブジェクトから、2次元平面(スクリーン)にオブジェクト(ポリゴン)を投影して2次元座標データ(スクリーン座標系)に変換し、Z座標の深さが浅いポリゴン即ち視点座標に近いポリゴンから優先的に表示するようにして2次元画像を生成して出力する。レンダリングプロセッサ40から出力される画像信号は、ビデオDAC44によりデジタル信号からアナログ信号に変換され、プロジェクタ15によりスクリーン11に投影される。
【0023】
バスアービタ34を介して、プログラムデータ記憶媒体36や、正面用リングバッファ26、背面用リングバッファ27から読み出した音データを再生したり、プレイヤによる操作やプレイ進行に応じて効果音や音声を生成したりするサウンドプロセッサ46と、そのサウンドプロセッサ46により効果音や音声を生成するために必要なサウンドデータ等を格納しておくサウンドメモリ48とが接続されている。サウンドプロセッサ46から出力される音声信号は、オーディオDAC50によりデジタル信号からアナログ信号に変換され、スピーカ18から出力される。
【0024】
バスアービタ34には、通信インターフェース52が接続されている。通信インターフェース52はLANアダプタ54を介して電話回線等の外部ネットワークに接続される。必要に応じて、ゴルフ練習装置10はLANアダプタ54によりインターネットに接続され、他の情報処理装置やネットワークサーバ等との通信が可能となる。なお、通信インターフェース52及びLANアダプタ54は、電話回線を使用するターミナルアダプタ(TA)やルータ、ケーブルテレビ回線を使用するケーブルモデム、携帯電話やPHSを利用して無線通信手段、光ファイバを用いた光ファイバ通信手段等の通信方法を適宜利用すればよい。
【0025】
バスアービタ34には、ペリフェラルI/F60が接続されている。ペリフェラルI/F60を介して、様々な周辺機器を接続することができる。
【0026】
ペリフェラルI/F60には、正面用デジタルビデオカメラ16、背面用デジタルビデオカメラ17、RFカードリーダ・ライタ16が接続されている。
【0027】
ペリフェラル1/F60には、更に、センサ制御部24を介して、ドップラーセンサ14が接続されている。センサ制御部24は、処理時間計時部(処理時間計時手段)24a及びボール速度測定部(ボール速度測定手段)24bを備えている。ボール速度測定部24bは、ドップラーセンサ14の検出信号に基づいて、ボール速度を測定する。処理時間計時部24aは、ボール速度測定部24bにおけるボール速度の測定に掛かる処理時間を計時する。また、図示は省略した各測定部によって、ゴルフクラブのヘッド速度やボールの弾道等が測定され、測定された値はCPU30に入力される。
【0028】
ペリフェラル1/F60には、タッチパネル12が接続されており、タッチパネル12に対するプレイヤの接触操作に応じてゴルフ練習装置10は操作される。
【0029】
なお、上記のようなゴルフ練習装置10のハードウエア構成は単なる一例に過ぎず、本発明は、表示装置を備える任意のコンピュータシステムに適用することができる。また、本発明のプログラムは、メモリカード等の外部記憶媒体を通じてコンピュータシステムに供給されるだけでなく、有線または無線の通信回線を通じてコンピュータシステムに供給されてもよいし、さらにはコンピュータシステム内部の不揮発性記憶装置に予め記録されていてもよい。
【0030】
次に、本実施形態のゴルフ練習装置10におけるドップラーセンサ14の設置位置や機能等の詳細について説明する。
【0031】
本実施形態におけるドップラーセンサ14は、誘電体発振器から出力されたマイクロ波をアンテナから発射し、人や物体から反射されてアンテナに入射されたマイクロ波の周波数のずれから、人や物体の動きを検出するセンサである。
【0032】
ドップラーセンサ14は、プレイヤがゴルフクラブによりボールを打つ方向に設けられたスクリーン11の裏側に設けられ、ボールが打たれる位置にアンテナが向けられており、ゴルフクラブのヘッド速度、ボール速度、ボールの飛距離、弾道といった各種の値を測定するために用いられる。
【0033】
プレイヤがゴルフクラブによりボールを打つと、ドップラーセンサ14によりでゴルフクラブのヘッドの動きと、打たれたボールの動きが、それぞれの位置情報及び運動情報として所定時間、一定サイクルでサンプリングされ、このサンプリングされた各情報(データ)は、センサ制御部24に入力される。
【0034】
ボール速度測定部24bは、センサ制御部24に入力された複数のボールの位置情報及び運動情報に基づいて、打たれたボール速度を測定する。このとき、各データは一定サイクルでサンプリングされたものであるので、ボール速度によって各データの個数が異なる。即ち、ボール速度が速い場合、ボールはドップラーセンサ14の検出範囲を短い時間で通過するため、一定サイクルでサンプリングされる個数は少なくなり、逆に、ボール速度が遅い場合、ボールはドップラーセンサ14の検出範囲に長い時間滞在するため、サンプリングされる個数は多くなる。また、ボール速度測定部24bは、サンプリングされた各データに基づいてボール速度を算出するため、各データの個数が多いと測定に掛かる処理時間は多くなり、逆に少ないと測定に掛かる処理時間は少なくなる。
【0035】
処理時間計時部24aは、センサ制御部24において、ボール速度測定部24bがボール速度を測定する他、飛距離、弾道といった各種の値を測定するのに掛かった時間を計時する。計時された値は、後述するように、CPU30に入力され、スイング画像の抽出する際に用いられる。
【0036】
本実施形態のゴルフ練習装置10を起動すると、正面用デジタルビデオカメラ16による撮像画像は、正面用リングバッファ26に順次記憶され、背面用デジタルビデオカメラ17による撮像画像は、背面用リングバッファ27に順次記憶される。
【0037】
正面用デジタルビデオカメラ16により撮像すると、正面用リングバッファ26の最も古い撮像画像に、新しい画像を取得した時点で重ね書きをしながら、正面用デジタルビデオカメラ16による新たな撮像画像を順次正面用リングバッファ26に更新記憶し、正面用デジタルビデオカメラ16による撮像画像を予め設定された期間分だけエンドレスに記憶する。
【0038】
同様に、背面用デジタルビデオカメラ17により撮像すると、背面用リングバッファ27の最も古い撮像画像に、新しい画像を取得した時点で重ね書きをしながら、背面用デジタルビデオカメラ17による新たな撮像画像を順次背面用リングバッファ27に更新記憶し、背面用デジタルビデオカメラ17による撮像画像を予め設定された期間分だけエンドレスに記憶する。
【0039】
正面用リングバッファ26と背面用リングバッファ27に記憶される期間の設定は、その記憶容量に応じて、例えば、4秒間の撮像画像を記憶するように設定される。
【0040】
プレイヤがボールをショットしたことに応じて、CPU30は、正面用リングバッファ26及び背面用リングバッファ27に対するトリガ信号を発生し、トリガ信号に基づいて各リングバッファにおける新たな撮像画像の記憶を止め、プレイヤの最適な打撃プレイのビデオ画像を抽出し、再生してプレイヤの練習に供する。即ち、CPU30は動画像抽出手段として機能する。
【0041】
本実施形態では、トリガ信号を発生した後に、所定時間の遅延後に各リングバッファにおける新たな撮像画像の記憶を止める。この遅延時間は、処理時間計時部24aで計時された処理時間に基づいて決定される。即ち、撮像画像の終端から処理時間と遅延時間を加算した時間だけ遡った時点が、ボールが打たれたインパクトの時点となる。したがって、処理時間と遅延時間の合計が一定、例えば1秒間、となるように設定しておくことにより、撮像画像の終端から1秒間遡った時点の画像をインパクト画像として抽出することができる。
【0042】
なお、処理時間の他にもドップラーセンサ14がボールを最初に検出するまでのタイミングや、処理時間の誤差が、ボール速度に応じて生ずることが実験によって明らかとなっており、ボール速度に応じた係数を乗じて処理時間を補正することによって、より正確なインパクトの時点におけるインパクト画像を抽出することができる。この場合のボール速度に応じた係数は、ゴルフ練習装置の構成における機器の特性によって異なるものであり、実験等によって得られた値を適宜設定すればよい。
【0043】
本実施形態のゴルフ練習装置10を用いて実行するスイング画像抽出処理の概要について、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、スイング画像抽出処理の前後にある、電源投入やアプリケーション終了処理等の一般的な処理は省略する。
【0044】
まず、正面用デジタルビデオカメラ16及び背面用デジタルビデオカメラ17による撮像が開始され、正面用デジタルビデオカメラ16の撮像画像が正面用リングバッファ26に、また、背面用デジタルビデオカメラ17の撮像画像が背面用リングバッファ26に、それぞれ記憶開始される(ステップS01)。
【0045】
各リングバッファにエンドレスに撮像画像が記憶されている状態で、プレイヤがゴルフクラブでボールをショットしてボールが移動すると、ドップラーセンサ14は、移動するボールを検出する(ステップS02)。
【0046】
ボールが検出されたことに応じて、センサ制御部24は、ボール速度、ヘッド速度、飛距離、弾道、ボールのバックスピン及びサイドスピン等の各種の値の測定を開始する(ステップS03)。
【0047】
センサ制御部24でボール速度を含む各種の値の測定が開始されると、処理時間計時部24aが処理時間Tsの計時を開始する(ステップS04)。
【0048】
データ処理では、ボール速度測定部24bは、センサ制御部24に入力された複数のボールの位置情報及び運動情報に基づいて、打たれたボール速度を測定する(ステップS05)。このとき、各データは、所定時間において一定サイクルでサンプリングされたデータであり、ボール速度によってその個数は異なっている。
【0049】
ボール速度測定部24bを含む各測定部によって、サンプリングされたデータが全て処理されると、各種の値が算出されて測定は終了する(ステップS06)。
【0050】
データの処理が終了したことに応じて、処理時間計時部24aによる計時が終了し、処理時間Tsが確定する。そして、確定した処理時間Tsの値はCPU30に入力される(ステップS07)。
【0051】
CPU30では、入力された処理時間Tsが予め設定された閾値Taを越えているか否かを判定する(ステップS08)。閾値Taは、この後の処理となるボール速度に応じた処理時間の補正を行うか否かを判断するための基準となるものであり、処理時間Taが閾値Ta以下であるときは補正を行わず、処理時間Taが閾値Taを越えるときには補正を行う。これは、ボール速度に応じた補正が、ゴルフ練習装置の構成における機器の特性によって異なるものであることと同様に、閾値Taは、機器の特性から生じる必要に応じて、実験等によって得られた値を適宜設定すればよい。なお、機器の特性によっては、ボール速度に応じた処理時間の補正が不要であったり、また、補正が必須であったりする場合が考えられるが、それらの場合には、閾値Taによる判定は不要になる。
【0052】
処理時間Tsが閾値Ta以下であった場合、CPU30は、遅延時間Fを定数Bとして、算出する(ステップS09)。本実施形態では、遅延時間Fの単位として撮像画像の1枚(1フレーム)が記憶される時間(frame)を用いた。また、定数Bについては、閾値Ta同様に、実験等によって適宜設定すればよい。なお、機器の特性によってボール速度に応じた処理時間の補正が必須である場合には、閾値Taによる判定が不要になるとともに、ステップS09の処理も不要となる。
【0053】
処理時間Tsが閾値Taを越えていた場合、CPU30は、遅延時間Fを以下の式を用いて算出する(ステップS10)。
F[frame]=60−a×(Ts/16[msec])
ここに、aはボール速度に応じて決定される係数であり、この係数を乗ずることによって処理時間Tsは補正される。係数aは、閾値Ta及び定数Bと同様に、機器の特性に基づく値であり、実験等によって適宜設定すればよい。また、係数aをボール速度から決定する際には、随時算出したり、適宜のメモリに記憶しておいたデータテーブルを参照するなど、適宜の方法で決定すればよい。
【0054】
なお、本実施形態では、1秒間に60フレームの撮像が行われる機器を用いたため、遅延時間Fを算出する上記式において、60及び16という値が用いられているが、これに限られない。例えば1秒間に30フレームの撮像が行われる機器を用いた場合には、60の代わりに30を用い、16の代わりに33を用いるなどすればよい。
【0055】
遅延時間Fが決定した時点で、CPU30はトリガ信号を発生する(ステップS11)。
【0056】
CPU30は、トリガ信号を基準時として、基準時から遅延時間Fの後、正面用リングバッファ26及び背面用リングバッファ27における新たな撮像画像の更新記憶を終了する(ステップS12)。
【0057】
CPU30は、正面用リングバッファ26及び背面用リングバッファ27に記憶されている、計4秒間のスイング画像を抽出する(ステップS13)。このとき、上記のようにトリガ発生時点の後の遅延時間Fを処理時間Tsに基づいて決定しているため、インパクト時の画像を基準に前3秒、後1秒のスイング画像が抽出されることとなる。即ち、スイング画像全体の時系列から、インパクト時の画像を抽出することができる。そして、スイング画像は、プレイヤの操作に応じて、ビデオ映像としてスクリーン11に再生表示される。
【0058】
なお、インパクト時の画像を基準にスイング画像を抽出することができるため、例えば、プレイヤのスイング画像と他者による模範スイングの画像とを並べて、両者のインパクト時のタイミングを合わせるように再生表示することもできる。
【0059】
また、本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、ゴルフショップやゴルフ練習場等に設けられる所謂アーケード型のゴルフ練習装置を例として説明したが、家庭用ゲーム装置や、パーソナルコンピュータ、あるいは携帯電話機等を用いたゴルフ練習装置にも適用することができる。
【0060】
また、上記実施形態では、プレイヤがクラブでボールを打つ際のプレイヤのゴルフ練習に供するゴルフ練習装置に本発明を適用したが、他のスポーツ、例えば、野球においてプレイヤがバットでボールを打つ打撃練習や、テニスにおいてプレイヤがラケットでボールを打つ打撃練習、卓球においてプレイヤがラケットでボールを打つ打撃練習等のための装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…ゴルフ練習装置
11…スクリーン
14…ドップラーセンサ
15…プロジェクタ(表示手段)
16…正面用デジタルビデオカメラ(撮影手段)
17…背面用デジタルビデオカメラ(撮影手段)
24…センサ制御部
24a…処理時間計時部(処理時間計時手段)
24b…ボール速度測定部(ボール速度測定手段)
26…正面用リングバッファ(記憶手段)
27…背面用リングバッファ(記憶手段)
30…CPU(動画像抽出手段)
34…バスアービタ
36…プログラムデータ記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤがゴルフクラブによりボールを打つときの動画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された動画像をエンドレスに記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された動画像を表示する表示手段と
を有するゴルフ練習装置において、
前記ゴルフクラブにより打たれたボールの速度を測定するボール速度測定手段と、
前記ボール速度測定手段がボールの速度を測定するのに費やした処理時間を計時する処理時間計時手段と、
前記ボール速度測定手段がボールの速度を測定できた時点と前記処理時間とに基づいて、前記記憶手段に記憶された動画像から、インパクト時の画像をその前後の所定時間の動画像とともに抽出する動画像抽出手段とを更に有し、
前記動画像抽出手段により抽出された動画像を前記表示手段によって表示する
ことを特徴とするゴルフ練習装置。
【請求項2】
請求項1記載のゴルフ練習装置において、
前記動画像抽出手段は、前記ボール速度測定手段によって測定されたボールの速度に応じて、前記処理時間を補正することを特徴とするゴルフ練習装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のゴルフ練習装置において、
前記表示手段は、プレイヤがゴルフクラブによりボールを打つ方向に設けられたスクリーンに映像を投影し、
前記ボール速度測定手段は、前記スクリーンの裏側に設けられて前記ボールが打たれる位置にアンテナが向いたドップラーセンサを有する
ことを特徴とするゴルフ練習装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−30669(P2011−30669A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178272(P2009−178272)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)