説明

ゴルフ靴

【課題】屈曲性と安定性とに優れたゴルフ靴の提供。
【解決手段】アウトソール12は、4本の溝34を備えている。爪先側から踵側に向かって、第一溝341、第二溝342、第三溝343及び第四溝344が並んでいる。このアウトソール12は、多数の筋山36を備えている。具体的には、アウトソール12は、第一筋山361、第二筋山362、第三筋山363、第四筋山364及び第五筋山365を備えている。これら筋山36と溝34とは、長さ方向に沿って交互に配置されている。このアウトソール12は、突出部38を備えている。具体的には、アウトソール12は、第一突出部381、第二突出部382、第三突出部383及び第四突出部384を備えている。突出部38は、長手方向において隣接している2つの筋山36を連結している。アウトサイドにおける突出部38の数は、インサイドにおける突出部38の数よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ靴に関する。詳細には、本発明は、ゴルフ靴のアウトソールの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフのスイングは、アドレス、テイクバック、トップ、ダウンスイング、インパクト、フォロースルー及びフィニッシュの順に進行する。アドレスでは、ゴルフクラブのヘッドはゴルフボールの近くに位置する。この状態から、ゴルファーはテイクバックを開始する。右利きのゴルファーは、テイクバックにおいてヘッドを右へ、さらに上方へと振り上げる。最もヘッドが振り上げられた位置がトップ位置である。トップ位置からダウンスイングが開始されてヘッドが振り下ろされ、ヘッドがゴルフボールと衝突する(インパクト)。インパクト後、ゴルファーはゴルフクラブを左へ、さらに上方へと振り抜き(フォロースルー)、フィニッシュを迎える。
【0003】
トップ位置からフィニッシュにかけて、ゴルファーは左足を軸としてボディターンを行う。同時にゴルファーは、右足で地面を蹴ってその力をゴルフボールに伝える。換言すれば、ゴルファーは、左足を軸足として使い、右足を蹴足として使う。左利きゴルファーの場合は、逆に右足を軸足として使い、左足を蹴足として使う。
【0004】
テイクバックからトップまでの間に、蹴足がアウトサイドに傾くと、このアウトサイドに体重がかかる。これによりスイングの回転軸が移動し、ミスショットが誘発される。ダウンスイングからインパクトまでの間に、軸足がアウトサイドに傾くと、このアウトサイドに体重がかかる。これにより回転軸が移動し、ミスショットが誘発される。ゴルフ靴には、一般的な運動靴のアウトソールよりもねじれ剛性が高いアウトソールが採用されている。このアウトソールにより、足のアウトサイドへの傾きが抑制される。硬質なプレートによって捻り剛性が高められた靴が、特開2001−218603公報及び特開2005−143654公報に開示されている。
【0005】
アウトソールの底面に幅方向に延在する溝を備えたゴルフ靴が、提案されている。溝の直上において、アウトソールは薄肉である。従って、この溝の近傍において、アウトソールは容易に屈曲する。ゴルフコースにおいてゴルファーは、長距離にわたる歩行を行う。溝を備えたゴルフ靴は足の屈曲に追従して屈曲するので、ゴルファーを疲れさせない。
【特許文献1】特開2001−218603公報
【特許文献2】特開2005−143654公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、溝は歩行時の屈曲性に寄与する。一方この溝は、ねじれ剛性を阻害する。溝を有するゴルフ靴は、安定性に欠ける。このゴルフ靴は、ミスショットを誘発しやすい。
【0007】
本発明の目的は、屈曲性と安定性とに優れたゴルフ靴の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るゴルフ靴は、アウトソールを備える。このアウトソールは、屈曲部の底面に、実質的に幅方向に延在する複数の溝と、これら溝と交互に配置されかつ実質的に幅方向に延在する複数の筋山と、長手方向において隣接する筋山同士を連結する複数の突出部とを備える。アウトサイドにおける突出部の底面積の合計Soは、インサイドにおける突出部の底面積の合計Siよりも大きい。
【0009】
好ましくは、突出部の底面形状は、踵から爪先に向けてアウトサイドに傾いている。好ましくは、ゴルフ靴は、アウトソールの上面に幅方向に延在する溝を備える。この溝の長さ方向位置は、突出部の長さ方向位置と一致する。
【0010】
本発明に係る他のゴルフ靴は、アウトソールを備える。このアウトソールは、屈曲部の底面に、実質的に幅方向に延在する複数の溝と、これら溝と交互に配置されかつ実質的に幅方向に延在する複数の筋山と、長手方向において隣接する筋山同士を連結する複数の突出部とを備える。アウトサイドにおける突出部の数Noは、インサイドにおける突出部の数Niよりも大きい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るゴルフ靴では、溝によって屈曲性が発揮される。このゴルフ靴は、歩行時に足の屈曲に追従しやすい。このゴルフ靴を着用したゴルファーは、長距離の歩行を行っても疲れにくい。このゴルフ靴では、突出部により、安定性が発揮される。このゴルフ靴では、スイング中の足のアウトサイドへの傾きが抑制される。このゴルフ靴により、ミスショットが抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフ靴2が示された一部切り欠き側面図である。この靴2は、右足用である。図1には、靴2のインサイドが示されている。右利きのゴルファーは、この靴2を蹴足に着用する。左利きのゴルファーは、この靴2を軸足に着用する。
【0014】
このゴルフ靴2は、アッパー4とソール6とを備えている。ソール6は、インソール8、ミッドソール10、アウトソール12及び補強プレート14からなる。
【0015】
アッパー4は、主部16、紐18及びフラップ20を備えている。主部16には、既知の材料が用いられる。天然皮革、合成皮革、人工皮革、織布等が、主部16に用いられうる。主部16の内面に、内材が貼り付けられてもよい。典型的な内材は、織布である。内材として、透湿防水材料が用いられてもよい。典型的な透湿防水材料は、ゴアテックス(登録商標)からなるブーティである。
【0016】
インソール8は、ミッドソール10と積層されている。インソール8は、織布又は発泡合成樹脂からなる。インソール8は、足と接触する。このインソール8は、靴2を履く動作において、足の滑りに寄与する。インソール8はまた、履き心地に寄与する。インソール8が設けられなくてもよい。
【0017】
ミッドソール10は、発泡体からなる。典型的には、ミッドソール10は多数の独立気泡を含む。着地時に、ミッドソール10は圧縮変形を起こす。この圧縮変形により、衝撃が吸収される。ミッドソール10における好ましい基材ポリマーは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)である。
【0018】
衝撃吸収性の観点から、ミッドソール10の硬度は70以下が好ましく、65以下が特に好ましい。強度の観点から、硬度は40以上が好ましい。硬度は、「JIS K 6253」の規定に準拠して、タイプAのデュロメーターにて測定される。
【0019】
アウトソール12は、ミッドソール10の下側に位置している。アウトソール12は、ミッドソール10と接合されている。接合は、接着剤によって達成されうる。アウトソール12は、架橋ゴムからなる。好ましい基材ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)及びウレタンゴムが例示される。アウトソール12に、ゴムと共に合成樹脂又はエラストマーが用いられてもよい。
【0020】
耐摩耗性の観点から、アウトソール12の硬度は70以上が好ましく、75以上が特に好ましい。屈曲性の観点から、硬度は85以下が好ましく、80以下が特に好ましい。硬度は、「JIS K 6253」の規定に準拠して、タイプAのデュロメーターにて測定される。
【0021】
補強プレート14は、硬質である。補強プレート14は、ゴルフ靴2のねじれ剛性を高める。この補強プレート14は、安定性に寄与する。補強プレート14には、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー又はEVAが用いられうる。剛性、成形性及び経済性の観点から、熱可塑性エラストマーが好ましい。熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントとを有する。スチレンブタジエン系熱可塑性エラストマー(TPS)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)及びポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)が用いられうる。TPUが好ましい。
【0022】
安定性の観点から、補強プレート14の硬度は90以上が好ましい。スイングの容易の観点から、硬度は95以下が好ましい。硬度は、「JIS K 6253」の規定に準拠して、タイプAのデュロメーターにて測定される。
【0023】
図2は、図1のゴルフ靴2のアウトソール12が補強プレート14と共に示された底面図である。図2において、X方向は靴2の幅方向であり、Y方向は靴2の長さ方向である。図2において符号Lで示されているのは、長さ線の両端を延長した直線である。この長さ線は、アウトソール12の底面の輪郭内に画かれうる線分のうちで最長のものである。直線Lは、長さ方向Yに沿っている。図2において、直線Lよりも右側は靴2のインサイドであり、直線Lよりも左側は靴2のアウトサイドである。
【0024】
アウトソール12は、爪先部22、屈曲部24、アーチ部26及び踵部28を備えている。屈曲部24は、アウトソール12のうち、ゴルフ靴2を着用したゴルファーが歩行するときに最も屈曲する部分である。屈曲部24は、足の趾骨と蹠骨との境界の近傍に相当する。このアウトソール12は、多数の突起30を備えている。アウトソール12はさらに、鋲32を備えている。左足用のアウトソールは、このアウトソール12の形状が反転した形状を有する。
【0025】
図3は、図2のアウトソール12の一部が示された拡大図である。図4は、図3のIV−IV線に沿った拡大断面図である。図3には、屈曲部24の近傍が示されている。このアウトソール12は、屈曲部24の底面に4本の溝34を備えている。爪先側から踵側に向かって、第一溝341、第二溝342、第三溝343及び第四溝344が並んでいる。それぞれの溝34は、実質的に幅方向に延在している。この溝34は、幅方向の全長に渡って存在している。溝34が、幅方向の一部にわたって存在してもよい。
【0026】
図3に示される通り、このアウトソール12は、屈曲部24の底面に多数の筋山36を備えている。具体的には、アウトソール12は、第一筋山361、第二筋山362、第三筋山363、第四筋山364及び第五筋山365を備えている。これら筋山36と溝34とは、長さ方向に沿って交互に配置されている。それぞれの筋山36は、実質的に幅方向に延在している。
【0027】
第一筋山361は、第一溝341よりも爪先側に位置している。第一筋山361の数は、4である。4つの第一筋山361が、幅方向に沿って並んでいる。第二筋山362は、第一溝341と第二溝342との間に位置している。第二筋山362の数は、4である。4つの第二筋山362が、幅方向に沿って並んでいる。第三筋山363は、第二溝342と第三溝343との間に位置している。第三筋山363の数は、4である。4つの第三筋山363が、幅方向に沿って並んでいる。第四筋山364は、第三溝343と第四溝344との間に位置している。第四筋山364の数は、4である。4つの第四筋山364が、幅方向に沿って並んでいる。第五筋山365は、第四溝344よりも踵側に位置している。第四筋山364の数は、4である。4つの第一筋山364が、幅方向に沿って並んでいる。
【0028】
図3に示される通り、このアウトソール12は、屈曲部24の底面に多数の突出部38を備えている。具体的には、アウトソール12は、第一突出部381、第二突出部382、第三突出部383及び第四突出部384を備えている。図4から明らかなように、突出部38は溝34から突出している。突出部38は、筋山36よりは突出していない。突出部38は、筋山36と一体に成形されている。突出部38の長さ方向位置は、溝34の長さ方向位置と一致している。換言すれば、突出部38は、溝34の一部がゴムで埋められた形態を呈する。
【0029】
突出部38は、長手方向において隣接している2つの筋山36に挟まれており、これら筋山36を連結している。具体的には、第一突出部381は、第一筋山361と第二筋山362とに挟まれている。第一突出部381は、第一筋山361と第二筋山362とを連結している。第一突出部381の数は、1である。第二突出部382は、第二筋山362と第三筋山363とに挟まれている。第二突出部382は、第二筋山362と第三筋山363とを連結している。第二突出部381の数は、2である。第三突出部383は、第三筋山363と第四筋山364とに挟まれている。第三突出部383は、第三筋山363と第四筋山364とを連結している。第三突出部381の数は、3である。第四突出部384は、第四筋山364と第五筋山365とに挟まれている。第四突出部384は、第四筋山364と第五筋山365とを連結している。第五突出部381の数は、4である。
【0030】
図3から明らかなように、アウトサイド(直線Lよりも左側)には7個の突出部38が存在している。インサイドには、3個の突出部38が存在している。アウトサイドにおける突出部38の数Noは、インサイドにおける突出部38の数Niよりも大きい。
【0031】
図3において黒く塗りつぶされている部分の面積は、突出部38の底面積である。それぞれの突出部38が、底面積を有する。アウトサイドにおける突出部38の底面積の合計Soは、インサイドにおける突出部38の底面積の合計Siよりも大きい。
【0032】
このゴルフ靴2では、溝34が存在するので、この溝34の直上においてアウトソール12が薄肉である。このアウトソール12では、屈曲部24が容易に変形しうる。このアウトソール12は、足の屈曲に追従して屈曲しやすい。このゴルフ靴2を着用したゴルファーは、長時間の歩行によっても疲れにくい。
【0033】
図4において矢印D1で示されているのは、溝34の深さである。深さD1は、筋山36の高さでもある。屈曲性の観点から、深さD1は0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上が特に好ましい。深さD1は、10mm以下が好ましい。
【0034】
図3において矢印Wで示されているのは、溝34の幅である。幅Wは、隣接する筋山36同士の間隔でもある。屈曲性の観点から、幅Wは0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上が特に好ましい。幅Wは、7mm以下が好ましい。
【0035】
本発明では、ねじれ剛性Ro及びRiが、下記の通り定義される。
ねじれ剛性Ro:アーチ部26が爪先部22に対してアウトサイドに回転するときの ねじれ剛性
ねじれ剛性Ri:アーチ部26が爪先部22に対してインサイドに回転するときのね じれ剛性
右足用の靴2の場合、「アウトサイドに回転」とは踵側から見たときの時計回りの回転を意味し、「インサイドに回転」とは踵側から見たときの反時計回りの回転を意味する。左足用の靴の場合、「アウトサイドに回転」とは踵側から見たときの反時計回りの回転を意味し、「インサイドに回転」とは踵側から見たときの時計回りの回転を意味する。
【0036】
アーチ部26が爪先部22に対してアウトサイドに回転するとき、屈曲部24のアウトサイドには引っ張りの応力がかかる。前述の通り、このアウトサイドの突出部38の数Noは大きいので、引っ張りの応力がかかってもこの突出部38がアウトサイドの過剰な伸張を阻止する。このゴルフ靴2のねじれ剛性Roは、大きい。
【0037】
アーチ部26が爪先部22に対してインサイドに回転するとき、屈曲部24のインサイドには引っ張りの応力がかかる。前述の通り、このインサイドの突出部38の数Niは少ない。引っ張りの応力がかかると、インサイドは十分に伸張する。このゴルフ靴2のねじれ剛性Riは、小さい。
【0038】
バックスイングのとき、蹴足がアウトサイドに傾く動作は、「スウェイ」と称される。スウェイにより、スイングの回転軸がアウトサイドに移動する。スウェイは、ミスショットを誘発する。バックスイングの間に蹴足が動かないことにより、スウェイが抑制されうる。バックスイングの間に蹴足インサイドにやや傾いても、スウェイが抑制されうる。本発明にかかるゴルフ靴2では、前述のようにねじれ剛性Roが大きい。従って、このゴルフ靴2が蹴足に着用されたとき、蹴足がアウトサイドに傾きにくい。このゴルフ靴2により、スウェイが抑制される。
【0039】
蹴足が地面を蹴ることにより、ゴルフクラブに大きな力が伝わる。十分な蹴りにより、大きなヘッドスピードにてインパクトがなされる。大きなヘッドスピードにより、ゴルフボールの大きな飛距離が得られる。ダウンスイングからインパクトにかけて、蹴足がインサイドに傾くことで、十分な蹴りが達成されうる。本発明にかかるゴルフ靴2では、前述のようにねじれ剛性Riが小さい。従って、このゴルフ靴2が蹴足に着用されたとき、インパクトにおいて蹴足がインサイドに傾きやすい。このゴルフ靴2により、大きなヘッドスピードが得られる。
【0040】
バックスイングからトップにかけて、ゴルファーは軸足側の膝をインサイドに移動させる。この移動は、軸足のインサイドへの傾きを伴う。本発明にかかるゴルフ靴2では、前述のようにねじれ剛性Riが小さい。従って、このゴルフ靴2が軸足に着用されたとき、バックスイングにおいて軸足がインサイドに傾きやすい。このゴルフ靴2により、円滑なバックスイングがなされうる。
【0041】
ダウンスイングからインパクトにかけて、ゴルファーは軸足で体重を支える。このとき、軸足がアウトサイドに傾くと、スイングの回転軸がアウトサイドに移動する。この移動は、ミスショットを誘発する。ダウンスイングの間に軸足が動かないことにより、ミスショットが防止される。本発明にかかるゴルフ靴2では、前述のようにねじれ剛性Roが大きい。従って、このゴルフ靴2が軸足に着用されたとき、軸足がアウトサイドに傾きにくい。このゴルフ靴2により、ミスショットが抑制される。
【0042】
右足用の靴2が右利きゴルファーに着用されると、バックスイングでの回転軸の移動が阻止され、ダウンスイングで十分な蹴りが達成される。右足用の靴2が左利きゴルファーに着用されると、円滑なバックスイングが達成され、ダウンスイングでの回転軸の移動が阻止される。左足用の靴が右利きゴルファーに着用されると、円滑なバックスイングが達成され、ダウンスイングでの回転軸の移動が阻止される。左足用の靴が左利きゴルファーに着用されると、バックスイングでの回転軸の移動が阻止され、ダウンスイングで十分な蹴りが達成される。
【0043】
このゴルフ靴2では、アウトサイドの突出部38の数Noがインサイドの突出部38の数Niより大きいので、大きなねじれ剛性Roと小さななじれ剛性Riとが達成される。数Niが小さいので、突出部38の合計数が抑制される。従って、溝34によって発揮される屈曲性が突出部38によって阻害されない。このゴルフ靴2は、安定性及び屈曲性の両方に優れる。
【0044】
大きなねじれ剛性Roと小さなねじれ剛性Riとの両立の観点から、数Noと数Niとの差(No−Ni)は2以上が好ましく、3以上が特に好ましい。差(No−Ni)は、10以下が好ましい。数Noは、4以上10以下が好ましい。数Niは、0以上6以下が好ましい。
【0045】
前述の通り、アウトサイドにおける突出部38の底面積の合計Soは、インサイドにおける突出部38の底面積の合計Siよりも大きい。これにより、大きなねじれ剛性Roと小さなねじれ剛性Riとが両立される。差(So−Si)は100mm以上が好ましく、150mm以上が特に好ましい。差(So−Si)は、200mm以下が好ましい。Soは、150mm以上250mm以下が好ましく、170mm以上230mm以下が特に好ましい。Siは、50mm以上200mm以下が好ましく、90mm以上160mm以下が特に好ましい。
【0046】
図4において矢印Hで示されているのは、突出部38の高さである。大きなねじれ剛性が達成されうるとの観点から、溝34の深さD1に対する高さHの比(H/D1)は0.2以上が好ましく、0.4以上が特に好ましい。防滑性能の観点から、比(H/D1)は0.9以下が好ましい。
【0047】
図3に示されるように、突出部38の底面形状は、踵から爪先に向けてアウトサイドに傾いている。この傾きは、大きなねじれ剛性Roと小さななじれ剛性Riとの両立に寄与する。
【0048】
図3において、符号E1で示されているのはインサイドであって長さ線Lから離れた領域であり、符号E2で示されているのはインサイドであって長さ線Lに隣接する領域であり、符号E3で示されているのはアウトサイドであって長さ線Lに隣接する領域であり、符号E4で示されているのはアウトサイドであって長さ線Lから離れた領域である。領域E1における突出部38の数は、1である。領域E2における突出部38の数は、2である。領域E3における突出部38の数は、3である。領域E4における突出部38の数は、4である。領域E1から領域E4に向かって、突出部38の数が徐々に増加している。この増加は、大きなねじれ剛性Roと小さななじれ剛性Riとの両立に寄与する。
【0049】
図3から明らかなように、領域E2では、第四突出部384の面積は第三突出部383の面積よりも大きい。領域E3では、第四突出部384の面積は第三突出部383の面積よりも大きく、第三突出部383の面積は第二突出部382の面積よりも大きい。領域E4では、第四突出部384の面積は第三突出部383の面積よりも大きく、第三突出部383の面積は第二突出部382の面積よりも大きく、第二突出部382の面積は第一突出部381の面積よりも大きい。各領域において、爪先から踵に向かって、突出部38の面積が増加している。この増加は、大きなねじれ剛性Roと小さななじれ剛性Riとの両立に寄与する。
【0050】
図4に示されるように、アウトソール12は上面(ミッドソール10と接する面)にも4本の溝40を備えている。図示されていないが、それぞれの溝40は幅方向に延在している。この溝40の長さ方向位置は、底面の溝34の長さ方向位置と一致している。換言すれば、溝40の長さ方向位置は、突出部38の長さ方向位置と一致している。
【0051】
図5は、図4のアウトソール12の使用状態が示された断面図である。歩行時に、アウトソール12は屈曲する。アウトソール12は上面にも溝40を備えているので、屈曲時の変形中心CLは溝34と溝40との間に位置する。従って、上面と変形中心CLとの距離L1は十分に大きい。図6に示されるように、上面に溝40を備えていないアウトソール12の場合、上面と変形中心CLとの距離L2は小さい。図5では、距離L1が小さいので、幅W1が小さい。図6では、距離L2が小大きいので、幅W2が大きい。図5では、突出部38の過剰な変形が生じないので、突出部38と筋山36との間の亀裂が生じにくい。
【0052】
図4において矢印D2で示されているのは、上面の溝40の深さである。突出部38と筋山36との間の亀裂が抑制されるとの観点から、深さD2は0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上が特に好ましい。深さD2は、5mm以下が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係るゴルフ靴は、ゴルフ場でのプレーのときに着用されうる。このゴルフ靴は、ドライビングレンジでの練習のときにも着用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフ靴が示された一部切り欠き側面図である。
【図2】図2は、図1のゴルフ靴のアウトソールが補強プレートと共に示された底面図である。
【図3】図3は、図2のアウトソールの一部が示された拡大図である。
【図4】図4は、図3のIV−IV線に沿った拡大断面図である。
【図5】図5は、図4のアウトソールの使用状態が示された断面図である。
【図6】図6は、本発明の他の実施形態に係るゴルフ靴のアウトソールの一部が示された断面図である。
【符号の説明】
【0055】
2・・・ゴルフ靴
4・・・アッパー
6・・・ソール
12・・・アウトソール
22・・・爪先部
24・・・屈曲部
26・・・アーチ部
28・・・踵部
34・・・溝
341・・・第一溝
342・・・第二溝
343・・・第三溝
344・・・第四溝
36・・・筋山
361・・・第一筋山
362・・・第二筋山
363・・・第三筋山
364・・・第四筋山
365・・・第五筋山
38・・・突出部
381・・・第一突出部
382・・・第二突出部
383・・・第三突出部
384・・・第四突出部
40・・・(上面の)溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウトソールを備えており、
このアウトソールの屈曲部の底面に、実質的に幅方向に延在する複数の溝と、これら溝と交互に配置されかつ実質的に幅方向に延在する複数の筋山と、長手方向において隣接する筋山同士を連結する複数の突出部とを備えており、
アウトサイドにおける突出部の底面積の合計Soが、インサイドにおける突出部の底面積の合計Siよりも大きいゴルフ靴。
【請求項2】
上記突出部の底面形状が、踵から爪先に向けてアウトサイドに傾いている請求項1に記載のゴルフ靴。
【請求項3】
上記アウトソールの上面に幅方向に延在する溝を備えており、この溝の長さ方向位置が上記突出部の長さ方向位置と一致している請求項1又は2に記載のゴルフ靴。
【請求項4】
アウトソールを備えており、
このアウトソールの屈曲部の底面に、実質的に幅方向に延在する複数の溝と、これら溝と交互に配置されかつ実質的に幅方向に延在する複数の筋山と、長手方向において隣接する筋山同士を連結する複数の突出部とを備えており、
アウトサイドにおける突出部の数Noが、インサイドにおける突出部の数Niよりも大きいゴルフ靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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