説明

サイズプレス液用添加剤の添加量調整装置

【課題】紙塗工用サイズプレス液は紙の表裏面で必要量が異なる場合があり、各面の必要量のサイズプレス液を供給して、その液に含まれる添加剤を適量とするサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置の提供。
【解決手段】糊液希釈タンク13から供給される表面処理液と添加剤受入タンク20から供給される添加剤とを、紙Pの表裏面のそれぞれにサイズプレス液を供給する供給系統の振動スクリーン9a、9bに各別に供給。澱粉類を主体とした糊希釈液である表面処理液の供給路14a、14bに流量センサ28d、29dを設け、その測定信号を流量調節器28c、29cに送出し、添加剤の供給路27a、27bに流量センサ28b、29bを設け、その測定信号を流量調節器28c、29cに送出。流量調節器28c、29cで表面処理液量に応じた添加剤量を求め、調整弁28a、29aの開度を調整して、適宜量の添加剤を振動スクリーン9a、9bに供給。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製紙工程で、抄紙機のサイズプレスパートにおいて、あるいは仕上げのための塗工機において、紙の表面にサイズプレス液を塗布するに際して、サイズプレス液に混合させるサイズ剤等の添加剤の添加量を調整するサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置に関し、特に、サイズプレスにおいて、紙の表裏のそれぞれに各別にサイズプレス液を供給するものに適したサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製紙工程では、抄紙の種類によっては、紙の表面の平滑性の確保や印刷適性を良好にするために、サイズプレス液を塗布することが行われる。サイズプレス液には、澱粉やPVA(ポリビニールアルコール)、PAM(ポリアクリルアミド)等の高分子化合物を主体とした表面処理液が用いられ、澱粉としては酸化澱粉やヒドロキシエチル(エーテル)化澱粉、カチオン化澱粉等が用いられる。さらに、必要に応じて、紙質の調整等のための添加剤を混合したサイズプレス液を紙に塗布するようにしている。
【0003】
図2には、紙に塗布するためのサイズプレス液の従来の供給系統図であって、ゲートロールコーターによりサイズプレス液を走行する紙Pに塗布するものの概略を示している。紙Pは一対の回転しているアプリケーターロール1a、1bに挟持された状態で、これらアプリケーターロール1a、1bを通過する。アプリケーターロール1a、1bの紙Pに対して反対側、すなわち外側には、インナーロール2a、2bが配設され、それぞれアプリケーターロール1a、1bに接触しながら回転する。これらインナーロール2a、2bの外側にはアウターロール3a、3bが配設され、それぞれインナーロール2a、2bに接触しながら回転する。前記アプリケーターロール1aは紙Pのフェルト側面(表面)に接触し、アプリケーターロール1bはワイヤ側面(裏面)に接触する。サイズプレス液は、前記インナーロール2a、2bとアウターロール3a、3bとのそれぞれの接触によるサイズプレス液供給部4a、4bに供給され、インナーロール2a、2bからアプリケーターロール1a、1bのそれぞれの表面に転写され、これらアプリケーターロール1a、1bから紙Pに塗布される。
【0004】
前記それぞれのサイズプレス液供給部4a、4bには、表面側サイズプレス液供給路5aと裏面側サイズプレス液供給路5bのそれぞれから供給される。これらサイズプレス液供給路5a、5bのそれぞれには、ストレーナ6a、6bを介してサイズプレス液給送ポンプ7a、7bの吐出側が接続されている。サイズプレス液給送ポンプ7a、7bの吸込側には、それぞれ表面側サイズプレス液タンク8aと裏面側サイズプレス液タンク8bとが接続されている。すなわち、サイズプレス液供給部4aにはサイズプレス液給送ポンプ7aにより表面側サイズプレス液タンク8aから、サイズプレス液供給部4bにはサイズプレス液給送ポンプ7bにより裏面側サイズプレス液タンク8bから、サイズプレス液がそれぞれ供給されるようにしてある。また、表面側サイズプレス液タンク8aには振動スクリーン9aを介して、裏面側サイズプレス液タンク8bには振動スクリーン9bを介して、それぞれサイズプレス液が供給される。さらに、これら振動スクリーン9a、9bには、前記サイズプレス液供給部4a、4bに供給されたサイズプレス液のうちのインナーロール2a、2bに随伴されない余剰のサイズプレス液が回収路10a、10bを介して回収されると共に、前記ストレーナ6a、6bで排除されたリジェクト液が返戻路11a、11bを介して返戻されている。また、これら振動スクリーン9a、9bのそれぞれには、サイズプレス液を昇温させながら希釈する温水が供給されている。なお、これら振動スクリーン9a、9bは、サイズプレス液に含まれた不純物や粒子の大きなサイズ剤や添加剤を除去して、塗工するのに適したサイズプレス液の状態を維持する。
【0005】
前記振動スクリーン9a、9bには、糊液希釈タンク13内の表面処理液が、表面処理液給送ポンプ13aにより供給される。すなわち、表面処理液給送ポンプ13aの吐出側に接続された表面処理液供給路14が、表面側の処理液を篩にかける前記振動スクリーン9aに接続された表面側表面処理液供給路14aと、裏面側の処理液を篩にかける前記振動スクリーン9bに接続された裏面側表面処理液供給路14bとに分岐されて、これらそれぞれの表面処理液供給路14a、14bを介してそれぞれの振動スクリーン9a、9bに供給されるようにしてある。
【0006】
前記糊液希釈タンク13には、糊液と添加剤と温水とが供給されて、混合される。一方、溶解タンク16に清水と澱粉類とが供給され混合され、適宜な濃度の澱粉類分散液がクッションタンク17に、澱粉類分散液給送第1ポンプ16aにより給送される。クッションタンク17に貯留させた澱粉類分散液は、澱粉類分散液給送第2ポンプ17aにより糊化装置18に給送される。糊化装置18には清水と共に蒸気が供給されて、昇温されることにより澱粉類分散液が糊化され、糊化された糊液は糊液タンク19に給送されて貯留される。そして、この糊液タンク19に貯留された糊液が、糊液給送ポンプ19aによって前記糊液希釈タンク13に給送される。また、この糊液希釈タンク13には、添加剤受入タンク20に貯留された添加剤が添加剤給送ポンプ20aにより給送されると共に、温水が供給されている。
【0007】
図2に示す従来のサイズプレス液の供給フローでは、紙Pの表裏で印刷適性等の品質確保に必要なサイズプレス液の量が異なる場合に、添加剤の添加量が一方の面で過剰となってしまう問題がある。すなわち、サイズプレス液は、前記糊液希釈タンク13から表面処理液給送ポンプ13aにより前記振動スクリーン9a、9bに給送されるから、いずれの振動スクリーン9a、9bにも糊液と添加剤の割合が一定の表面処理液が供給される。他方、紙Pの表裏で印刷適性等の品質確保に必要なサイズプレス液量を塗布するためには、振動スクリーン9a、9bにて各々の面の希釈用保温水量を変更し、サイズプレス液濃度を調整している。この場合、一方の面側では、印刷適性等の品質確保に必要なサイズプレス液濃度に調整する際、必要とされる以上の添加剤も同時に塗布されてしまう。特に、添加剤は高価なものも数多いため、過剰な量の添加剤がコストの上昇を招いていた。
【0008】
例えば、特許文献1には、紙の一方の面の表面サイズ液濃度と反対面のサイズ液濃度に濃度差を付与するために、30℃以上の希釈用温水、温水用流量コントローラ及び攪拌混合機からなるサイズ液濃度調整装置を有する紙の表面サイズ塗布装置が開示されている。また、特許文献2には、原紙の表面側に塗布される表面処理剤を所定濃度に調整する表面処理剤調整装置と、原紙の裏面側に塗布される表面処理剤を所定の濃度に調整するための表面処理剤調整装置とを別々に備えるとともに、前記原紙の表面側に表面処理剤を供給するための表面処理剤タンクと、前記原紙の裏面側に表面処理剤を供給するための表面処理剤タンクとを別々に備え、前記原紙表面側用の表面処理剤調整装置から前記原紙表面側用表面処理剤タンクに所定濃度の前記表面処理剤を供給可能とするとともに、前記原紙裏面側用の表面処理剤調整装置から前記原紙裏面側用表面処理剤タンクに所定濃度の前記表面処理剤を供給可能とし、前記原紙の表面と裏面とで表面処理剤の塗工量を個々に変えて塗工するとともに、原紙の表面側でオーバーフローした表面処理剤は前記原紙表面側用の表面処理剤タンクに返送し、原紙の裏面側でオーバーフローした表面処理剤は前記原紙裏面側用表面処理剤タンクに返送するようにした、新聞用紙の製造方法が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特許第2954985号
【特許文献2】特許第3794575号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1と特許文献2に開示された塗工液の調整装置は、いずれも、澱粉の濃度が調整されるものであり、サイズプレス液に含まれる澱粉類主体の表面処理液と添加剤の添加量を各々に調整可能とするものではない。前述したように、サイズプレス液に添加する添加剤が高価なものも数多いため、添加剤の添加量を調整することができれば、サイズプレス液のコストを大幅に削減できることも可能である。
【0011】
そこで、この発明は、サイズプレス液を調整する添加剤の添加量を確実に調整することができるようにして、紙の表裏面への塗工量と添加剤の添加量を適宜な量に調整することができ、コストの削減も図ることが可能なサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するための技術的手段として、この発明に係るサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置は、澱粉等を主体とした表面処理液にサイズ剤等の添加剤を添加して調整したサイズプレス液を、走行する紙の表裏それぞれの面に各別に塗布して紙の表面を調整するサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置において、前記表面処理液を前記紙面の表裏面のそれぞれに対して供給する表面処理液供給系統と、前記添加剤を前記紙面の表裏面のそれぞれに対して供給する添加剤供給系統と、前記表面処理液供給系統の一方と前記添加剤供給系統の一方とを合流させた第1サイズプレス液供給系統と、前記表面処理液供給系統の他方と前記添加剤供給系統の他方とを合流させた第2サイズプレス液供給系統とを備え、前記それぞれの添加剤供給系統から前記それぞれの表面処理液供給系統へ供給する添加剤の添加量を調整して、前記第1サイズプレス液供給系統と第2サイズプレス液供給系統とから、紙の表裏のそれぞれの面にサイズプレス液を塗布することを特徴としている。
【0013】
すなわち、紙の表裏それぞれの面に塗布されるサイズプレス液の供給系統をそれぞれの面毎に分離し、このサイズプレス液のそれぞれの供給系統に、表面処理液の供給系統と添加剤の供給系統とを合流させるようにしたものである。表面処理液と添加剤のそれぞれの供給量を、合流時に調整する。このため、紙の表裏面では、塗布されるサイズプレス液量が異なることになり、このサイズプレス液に含有される添加剤の量も異なり、表裏面のそれぞれに必要なサイズプレス液を供給することができる。
【0014】
また、請求項2の発明に係るサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置は、前記一方の添加剤供給系統から前記一方の表面処理液供給系統への添加剤の添加量を、該一方の表面処理液供給系統を流れる表面処理液の量に応じて調整し、前記他方の添加剤供給系統から前記他方の表面処理液供給系統への添加剤の添加量を、該他方の表面処理液供給系統を流れる表面処理液の量に応じて調整することを特徴としている。
【0015】
すなわち、添加剤の量を該添加剤を混合させる表面処理液の量に応じて調整するようにしたものである。表面処理液の表面処理液供給系統の流量を計測して、その計測値に応じた量の添加剤を添加剤供給系統から合流させるようにするものである。
【0016】
また、請求項3の発明に係るサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置は、前記サイズプレス液供給系統のそれぞれに配設したサイズプレス液を貯留するサイズプレス液タンクの上流側で、前記表面処理液供給系統と前記添加剤供給系統とをそれぞれ合流させることを特徴としている。
【0017】
表面処理液と添加剤とは極力均一に混合することが必要となる。一方、サイズプレス液を安定して紙に供給するためには、サイズプレス液をタンク等に滞留させ、このタンク等から供給することが望ましい。このタンク等内で表面処理液と添加剤とを混合させた状態となれば、これらがほぼ均一に混合した状態となる。
【0018】
また、請求項4の発明に係るサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置は、前記サイズプレス液タンクの上流側に配設して、表面処理液を篩にかけて選別する振動スクリーンに前記添加剤供給系統を接続し、該振動スクリーンにおいて、表面処理液と添加剤とを混合させて、前記サイズプレス液タンクに供給することを特徴としている。
【0019】
紙に塗布されるサイズプレス液に、不純物や大きな粒子の澱粉類や添加剤等が含まれていては不都合である。このため、サイズプレス液を振動スクリーンで篩にかけて不純物や大きな粒子を除去することが行われている。そこで、表面処理液と添加剤とをこの振動スクリーンへ供給する際に合流させるようにしたものである。振動スクリーンでは、これら表面処理液と添加剤とがほぼ均一に混合されながら、不純物の除去や粒子の選別が行われる。
【発明の効果】
【0020】
この発明に係るサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置によれば、紙の表裏のそれぞれの表面に塗布するサイズプレス液に含有される添加剤の量を異ならせることができるから、表裏の面のそれぞれに必要とされる量のサイズプレス液を供給することができる。このため、余剰なサイズプレス液の発生を抑制して、塗工工程におけるコストの削減を図ることができる。
【0021】
また、請求項2の発明に係るサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置によれば、表面処理液に応じた適宜な量の添加剤を添加することができるから、過剰な添加剤の添加をより減じることができ、コスト効率の削減と共に品質面の最適化を図ることができる。
【0022】
また、請求項3の発明に係るサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置によれば、表面処理液と添加剤とを適宜に混合させて、均一化されたサイズプレス液を紙に塗布することができる。
【0023】
さらに、請求項4の発明に係るサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置によれば、サイズプレス液における表面処理液と添加剤とを確実に混合させることができ、より均一化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図1に示した好ましい実施形態に基づいて、この発明に係るサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置を具体的に説明する。図1は、この発明に係る添加量調整装置におけるサイズプレス液の供給系の系統図であり、一部は図2にも相当しており、図2の系統図に示す機器や装置等と同一の機器や装置等については同一の符号を付してある。
【0025】
この添加量調整装置では、前記添加剤受入タンク20内の添加剤を給送する添加剤給送ポンプ26の吐出側に接続された添加剤供給路27を二方向に分岐させて、一方の表面側添加剤供給路27aを前記振動スクリーン9aに、他方の裏面側添加剤供給路27bを振動スクリーン9bに、それぞれ接続してある。すなわち、前記添加剤受入タンク20から前記振動スクリーン9a、9bのそれぞれに各別に添加剤を供給するようにされており、添加剤受入タンク20から振動スクリーン9a、9bに至る径路により添加剤供給系統が構成されている。
【0026】
前記添加剤供給路27a、27bのそれぞれには、表面側流量調整手段28と裏面側流量調整手段29が設けられている。これら流量調整手段28、29はいずれも、流量調整弁28a、29aと流量センサ28b、29b、流量調節器28c、29c、流量センサ28d、29dを備えている。前記流量センサ28d、29dは表面側表面処理液供給路14aと裏面側表面処理液供給路14bを流れるそれぞれの表面処理液の流量を計測し、その計測信号を前記流量調節器28c、29cのそれぞれに送出する。また、前記流量センサ28b、29bは、前記添加剤供給路27a、27bのそれぞれを流れる添加剤の流量を計測し、その計測信号を前記流量調節器28c、29cに送出する。流量調節器28c、29cは、前記流量センサ28d、29dから送出された表面処理液の流量に応じた量の添加剤が前記添加剤供給路27a、27bを流れるように、前記流量調整弁28a、29aの開度を調整する。このとき、前記流量センサ28b、29bから送出された添加剤の流量を確認しながら、流量調整弁28a、29aの開度が調整される。
【0027】
また、前記糊液希釈タンク13には、添加剤は供給されず、表面処理液給送ポンプ30から、前記振動スクリーン9a、9bのそれぞれに、表面側表面処理液供給路14aと裏面側表面処理液供給路14bのそれぞれを介して表面処理液としての糊液希釈液が供給されている。また、これら表面処理液供給路14a、14bのそれぞれには、前記流量センサ28d、29dの下流側に調整弁31a、31bが設けられており、これら調整弁31a、31bの開度を調整することにより表面処理液の流量が調整されるようにしてある。なお、前記溶解タンク16から糊液タンク19、糊液希釈タンク13を経由して、前記振動スクリーン9a、9bに至る径路により表面処理液供給系統が構成されている。
【0028】
なお、前記振動スクリーン9a、9bからサイズプレス液供給部4a、4bに至るそれぞれの径路によって、第1サイズプレス液供給系統と第2サイズプレス液供給系統とが構成されている。
【0029】
以上により構成されたこの発明に係るサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置では、表面処理液と添加剤とが振動スクリーン9a、9bに各別に供給され、この振動スクリーン9a、9bにおいて混合される。すなわち、表面処理液給送ポンプ30により、糊液希釈タンク13から表面側表面処理液供給路14aと裏面側表面処理液供給路14bとを介して、表面処理液が振動スクリーン9a、9bのそれぞれに供給されると共に、前記添加剤給送ポンプ26により、表面側添加剤供給路27aと裏面側添加剤供給路27bとを介して、添加剤が振動スクリーン9a、9bのそれぞれに供給される。
【0030】
また、前記表面側表面処理液供給路14aに配設された前記調整弁31aの開度を調整することにより、この表面側表面処理液供給路14aを流通する表面処理液の流量が調整されるから、サイズプレス液を塗工する紙Pの表面に応じて適量を供給するように調整する。また、この表面処理液の流量が前記流量センサ28dにより計測され、その計測信号が前記流量調節器28cに送出される。流量調節器28cでは、予め設定された値に基づいて、この表面処理液の流量に応じた添加剤の添加量を求める。前記流量センサ28bにより表面側添加剤供給路27aを流通する添加剤の量が計測されるから、この計測値が前記添加量と等しくなるように、前記流量調整弁28aの開度を調整する。これにより、振動スクリーン9aには、所望の割合で表面処理液と添加剤とが供給されることになる。また、同様に、前記振動スクリーン9bに対しても、紙Pの裏面に応じた適量の表面処理液となるように調整弁31bの開度を調整し、流量調節器29cにより流量調整弁29aの開度を調整することにより、所望の割合で表面処理液と添加剤とが供給されることになる。
【0031】
振動スクリーン9a、9bに供給された表面処理液と添加剤とは、これら振動スクリーン9a、9bを通過することにより篩にかけられて、不純物が除去されると共に、紙Pに塗工されるのに適した状態となる。また、振動スクリーン9a、9bを通過することにより、表面処理液と添加剤とがほぼ均一に混合される。
【0032】
前記振動スクリーン9a、9bで表面処理液と添加剤とが混合されて生成されたサイズプレス液は、前記サイズプレス液タンク8a、8bに貯留される。そして、前述と同様に、サイズプレス液給送ポンプ7a、7bによりストレーナ6a、6bを介して前記サイズプレス液供給部4a、4bに供給されることとなり、前記アプリケーターロール1a、1bから紙Pの表裏それぞれの面に塗布される。
【0033】
サイズプレス液供給部4a、4bのそれぞれに供給されるサイズプレス液は、紙Pのそれぞれの紙面に応じて適宜な量とされていると共に、サイズプレス液に含まれる添加剤も必要十分な量とされている。
【0034】
なお、紙Pに塗布されない余剰のサイズプレス液は、回収路10a、10bを介して前記振動スクリーン9a、9bに回収される。また、前記ストレーナ6a、6bのリジェクト液は返戻路11a、11bを介して振動スクリーン9a、9bに供給されている。
【0035】
以上に説明した実施形態では、表面処理液供給系統と添加剤供給系統とを振動スクリーン9a、9bにおいて合流させた構成として説明したが、これら表面処理液供給系統と添加剤供給系統との合流箇所は、添加剤の添加量を調整することができる位置であれば、他の箇所であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明に係るサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置によれば、紙に塗布すべきサイズプレス液の量を最適に調整することができるから、サイズプレス液の供給量に生じる無駄を極力減じると共に、高価な添加剤の無駄をなくして、サイズプレス液のコストの削減を図り、品質格差縮小にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明に係るサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置のサイズプレス液の供給系統を説明する図である。
【図2】従来のサイズプレス液の供給系統を説明する図である。
【符号の説明】
【0038】
P 紙
1a、1b アプリケーターロール
2a、2b インナーロール
3a、3b アウターロール
4a、4b サイズプレス液供給部
5a 表面側サイズプレス液供給路
5b 裏面側サイズプレス液供給路
6a、6b ストレーナ
7a、7b サイズプレス液給送ポンプ
8a 表面側サイズプレス液タンク
8b 裏面側サイズプレス液タンク
9a、9b 振動スクリーン
10a、10b 回収路
11a、11b 返戻路
13 糊液希釈タンク
13a 表面処理液給送ポンプ
14 表面処理液供給路
14a 表面側表面処理液供給路
14b 裏面側表面処理液供給路
16 溶解タンク
16a 澱粉類分散液給送第1ポンプ
17 クッションタンク
17a 澱粉類分散液給送第2ポンプ
18 糊化装置
19 糊液タンク
19a 糊液給送ポンプ
20 添加剤受入タンク
20a 添加剤給送ポンプ
26 添加剤給送ポンプ
27 添加剤供給路
27a 表面側添加剤供給路
27b 裏面側添加剤供給路
28 表面側流量調整手段
28a 流量調整弁
28b 流量センサ
28c 流量調節器
28d 流量センサ
29 裏面側流量調整手段
29a 流量調整弁
29b 流量センサ
29c 流量調節器
29d 流量センサ
30 表面処理液給送ポンプ
31a、31b 調整弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
澱粉等を主体とした表面処理液にサイズ剤等の添加剤を添加して調整したサイズプレス液を、走行する紙の表裏それぞれの面に各別に塗布して紙の表面を調整するサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置において、
前記表面処理液を前記紙面の表裏面のそれぞれに対して供給する表面処理液供給系統と、
前記添加剤を前記紙面の表裏面のそれぞれに対して供給する添加剤供給系統と、
前記表面処理液供給系統の一方と前記添加剤供給系統の一方とを合流させた第1サイズプレス液供給系統と、
前記表面処理液供給系統の他方と前記添加剤供給系統の他方とを合流させた第2サイズプレス液供給系統とを備え、
前記それぞれの添加剤供給系統から前記それぞれの表面処理液供給系統へ供給する添加剤の添加量を調整して、前記第1サイズプレス液供給系統と第2サイズプレス液供給系統とから、紙の表裏のそれぞれの面にサイズプレス液を塗布することを特徴とするサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置。
【請求項2】
前記一方の添加剤供給系統から前記一方の表面処理液供給系統への添加剤の添加量を、該一方の表面処理液供給系統を流れる表面処理液の量に応じて調整し、前記他方の添加剤供給系統から前記他方の表面処理液供給系統への添加剤の添加量を、該他方の表面処理液供給系統を流れる表面処理液の量に応じて調整することを特徴とする請求項1に記載のサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置。
【請求項3】
前記サイズプレス液供給系統のそれぞれに配設したサイズプレス液を貯留するサイズプレス液タンクの上流側で、前記表面処理液供給系統と前記添加剤供給系統とをそれぞれ合流させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置。
【請求項4】
前記サイズプレス液タンクの上流側に配設して、表面処理液を篩にかけて選別する振動スクリーンに前記添加剤供給系統を接続し、該振動スクリーンにおいて、表面処理液と添加剤とを混合させて、前記サイズプレス液タンクに供給することを特徴とする請求項3に記載のサイズプレス液用添加剤の添加量調整装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−13776(P2010−13776A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176569(P2008−176569)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】