説明

サイズ選択型施錠装置

【課題】 施錠装置においては、頑丈そうな外観で、悪意ある第三者が被施錠物を盗難する意欲が無くなるようなものが望まれる。
また、門柱等につなぐように被施錠物を施錠して、被施錠物が容易に移動されないようにする為に、屈曲可能な棒状部が比較的長い施錠装置が望まれる。
しかし、これらの盗難防止を強く意識した施錠装置は携帯性に難のあるものが多く、折りたたみ可能であっても折りたたみ収納する手間がかかれば、いざ使用するときにも手間がかかり、ついつい施錠がおろそかになってしまう。
【解決手段】 様々な施錠状況に柔軟に対応する為に屈曲可能な棒状部のサイズを容易に選択可能なようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯式施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯式施錠装置においては、特許文献1又は2のように被施錠物にワイヤーを通してからワイヤーがループ状になるように先端部を係止することで施錠するワイヤー錠が良く知られており、特許文献2ではループ状のワイヤーが折りたたみ容易になるアイデアが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−371738号公報
【特許文献2】実開平06−024173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施錠装置においては、頑丈そうな外観で、悪意ある第三者が被施錠物を盗難する意欲が無くなるようなものが望まれる。
また、門柱等につなぐように被施錠物を施錠して、被施錠物が容易に移動されないようにする為に、屈曲可能な棒状部が比較的長い施錠装置が望まれる。
しかし、これらの盗難防止を強く意識した施錠装置は携帯性に難のあるものが多く、折りたたみ可能であっても折りたたみ収納する手間がかかれば、いざ使用するときにも手間がかかり、ついつい施錠がおろそかになってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態図等を用いて以下に説明するが、これは本発明の内容をより把握しやすいようにする為で、添付の特許請求の範囲を縮小するものではない。
【0006】
発明1に係る携帯式施錠装置は、例えば図1から3の組み、又は図5から6の組み、又は図7から8の組みのように、
錠機構8を備える錠本体1と、
一端部2が錠本体1に接続され、他端部3に錠本体1に係合可能な係合部7と、中間部に錠本体1に係合可能な係合部21と、を備える、屈曲可能な棒状部14と、
を具備し、
錠本体1に係合部7のみを係合させた例えば図1、5、7のいずれかのような第1状態で錠機構8によって錠本体1及び係合部7の係合が解除不能に施錠可能であり、
又、錠本体1に係合部7及び21を同時に係合させた例えば図3、6、8のいずれかのような第2状態で錠機構8によって直接的に係合部7及び21の少なくとも一方、及び錠本体1の係合を解除不能に施錠可能である、
携帯式施錠装置である。
【0007】
発明2に係る携帯式施錠装置は、発明1の携帯式施錠装置において、例えば図3又は8のように、
前記第2状態で錠機構8によって直接的に係合部7及び21の一方、及び錠本体1の係合のみ解除不能に施錠された場合、他方は錠本体1及び一方の間から移動不能となる、
携帯式施錠装置である。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明では、棒状部14によるループが大きい第1状態と、ループが小さい第2状態を使い分けることが容易に可能となる。例えば、被施錠物及び門柱を同時にループの中に入れて施錠する際は第1状態にし、被施錠物のみを施錠する際、又は携帯する際は第2状態にする等、各状況に柔軟に対応可能な携帯式施錠装置となる。
【0009】
また、発明2では、本発明の効果に加えて、第2状態において棒状部14による二重のループで施錠することになるので、悪意ある第三者が被施錠物を盗難する意欲が無くなるような外観及び機能の携帯式施錠装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
図1から3において、錠本体1は円筒状の鋳鉄製であり、一端部から鍵を挿入可能なシリンダ錠である錠機構8と、外周に設けられる円筒状の接続部12と、他端部に設けられ外周より径が小さい係合形状9と、係合形状9の中心軸線に沿うように内部に貫通された穴である係合形状10と、シリンダ錠の内筒に設けられた係止片と、係合形状9から一部が露出し外方向にバネによって付勢されている球状の当接部11と、を備えている。
ここで、シリンダ錠の替わりに、錠本体1の外周に複数のダイヤルが回転可能に支持されるようなダイヤル錠を用いても良い。
また、係合部7は鋳鉄製で、円筒状部5の内周の係合形状6と、円筒状部5の外周に設けられる円筒状の接続部13、及び円柱状の係合形状4と、を備えている。
また、係合部21は鋳鉄製で、一端が塞がれた円筒状部18と、円筒状部18の外周に設けられる接続部17と、円筒状部18の底から円筒状部18の中心軸線に沿うように伸びる円柱状の係合形状19と、を備えている。
また、棒状部14は主に鋼線を撚ったワイヤーで構成され、一端部2のワイヤーは接続部12に挿入されてから圧着されており、中間部の略中央部16のワイヤーは接続部17にインサート成型されており、他端部3のワイヤーは接続部13に挿入されてから圧着されている。
【0011】
図1のような第1状態では、係合形状4が係合形状10に挿入されており、係合形状4の外周に設けられた溝15に錠機構8の係止片が嵌り込むことで係合部7が錠本体1に係止される。
また、図2のような中間状態では、係合形状9が係合形状6に係合されており、当接部11が係合形状6に当接している。
また、図3のような第2状態では、係合形状9が係合形状6に係合されてから、係合形状19が係合形状10に挿入されており、係合形状19の外周に設けられた溝20に錠機構8の係止片が嵌り込むことで係止部21は錠本体1に係止されると同時に、係合部7が外れることを妨害する。
【0012】
また、図4のように係合部21の構成を変更した案も考えられる。この係合部21は係合部7とおよそ共通形状であり、円筒状部18の内周の係合形状23と、円筒状部18の外周に設けられる接続部17、及び円柱状の係合形状19と、を備えている。このような構成では、係合形状9に係合形状6又は23を先に係合させてから、係合形状10に係合形状19又は4を係合させることで棒状部14は二重のループを構成する。
【0013】
〔第2実施形態〕
図5から6において、錠本体1は円筒状の鋳鉄製であり、一端部から鍵を挿入可能なシリンダ錠である錠機構8と、外周に設けられる円筒状の接続部12と、他端部の外周から内部に貫通された穴である係合形状9及び10と、シリンダ錠の内筒に設けられた係止片22と、を備えている。
また、係合部7は鋳鉄製で、円柱状の係合形状4と、係合形状4の一端部に設けられる円筒状の接続部13と、を備えている。
また、係合部21は鋳鉄製で、円柱状の係合形状19と、係合形状19の一端部に設けられる接続部17と、を備えている。
また、棒状部14は主に鋼線を撚ったワイヤーで構成され、一端部2のワイヤーは接続部12に挿入されてから圧着されており、中間部の略中央部16のワイヤーは接続部17にインサート成型されており、他端部3のワイヤーは接続部13に挿入されてから圧着されている。
【0014】
図5のような第1状態では、係合形状4が係合形状9に挿入されており、係合形状4の外周に設けられた溝に係止片22が嵌り込むことで係合部7が錠本体1に係止される。
また、図6のような第2状態では、係止片22が係合形状9及び10を塞がない位置にシリンダ錠の内筒を回転させてから係合形状4及び19がそれぞれ係合形状9及び10に挿入されており、係合形状4の外周に設けられた溝、及び係合形状19の外周に設けられた溝20に係止片22が嵌り込むように内筒を回転させることで、係止部7及び21が錠本体1に係止される。ここで、係合形状4及び19をそれぞれ係合形状10及び9に挿入することも可能である。
【0015】
〔第3実施形態〕
図7から8において、錠本体1は円筒状の鋳鉄製であり、一端部から鍵を挿入可能なシリンダ錠である錠機構8と、外周に設けられる円筒状の接続部12と、他端部に設けられ外周より径が小さい係合形状9と、係合形状9の先端部に設けられ外周方向に移動可能に案内され内周方向にC字状バネによる付勢部材によって付勢されている係止片24と、シリンダ錠の内筒に設けられ係合形状9の中心軸線を中心とする楕円形のカム25と、を備えており、カム25の回転角度に応じて係止片24が移動する。
また、係合部7は鋳鉄製で、円筒状部5の内周の係合形状6と、円筒状部5の外周に設けられる円筒状の接続部13と、を備えている。
また、係合部21は鋳鉄製で、円筒状部18の内周の係合形状23と、円筒状部18の外周に設けられる接続部17と、を備えている。
また、棒状部14は主に鋼線を撚ったワイヤーで構成され、一端部2のワイヤーは接続部12に挿入されてから圧着されており、中間部の略中央部16のワイヤーは接続部17にインサート成型されており、他端部3のワイヤーは接続部13に挿入されてから圧着されている。
【0016】
図7のような第1状態では、カム25を回転させて係止片24を係合形状9の内周方向に移動させてから係合形状9が係合形状6に係合され、その後カム25を回転させて係止片24を外周方向に移動させて係合部7を係止している。
また、図8のような第2状態では、係合形状9が係合形状6に係合されてから、係合形状9が係合形状23に係合されており、最後に係止片24を外周方向に移動させて係合部21を係止している。
【0017】
〔その他の実施形態〕
第1、第2、第3実施形態のいずれかにおいて、主にワイヤーによって構成された棒状部14を、主に複数の屈曲不能な棒状体及びそれらを揺動可能につなぐ複数のピボットによって構成する案や、主に複数のリンク片から成るチェーンによって構成する案が考えられる。
また、棒状部14の中間部にさらに係合部7又は21のような係合部を設ける案も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態の第1状態の斜視図
【図2】第1実施形態の中間状態の斜視図
【図3】第1実施形態の第2状態の斜視図
【図4】第1実施形態の別案の中間状態の斜視図
【図5】第2実施形態の第1状態の斜視図
【図6】第2実施形態の第2状態の斜視図
【図7】第3実施形態の第1状態の斜視図
【図8】第3実施形態の第2状態の斜視図
【符号の説明】
【0019】
1. 錠本体
2. 一端部
3. 他端部
4,6,9,10,19,23. 係合形状
5,18. 円筒状部
7,21. 係合部
8. 錠機構
11. 当接部
12,13,17. 接続部
14. 棒状部
15,20. 溝
16. 略中央部
22,24. 係止片
25. カム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠機構を備える錠本体と、
一端部が前記錠本体に接続され、他端部に前記錠本体に係合可能な第1係合部と、中間部に前記錠本体に係合可能な第2係合部と、を備える、屈曲可能な棒状部と、
を具備し、
前記錠本体に前記第1係合部のみを係合させた第1状態で前記錠機構によって前記錠本体及び前記第1係合部の係合が解除不能に施錠可能であり、
又、前記錠本体に前記第1係合部及び前記第2係合部を同時に係合させた第2状態で前記錠機構によって直接的に前記第1係合部及び前記第2係合部の少なくとも一方、及び前記錠本体の係合を解除不能に施錠可能である、
携帯式施錠装置。
【請求項2】
前記第2状態で前記錠機構によって直接的に前記第1係合部及び前記第2係合部の一方、及び前記錠本体の係合のみ解除不能に施錠された場合、他方は前記錠本体及び一方の間から移動不能となる、
請求項1に記載の携帯式施錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−215047(P2008−215047A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69037(P2007−69037)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【特許番号】特許第3977865号(P3977865)
【特許公報発行日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(504474323)