説明

サイトカインの使用;組成物;方法

【課題】造血細胞を含む様々な細胞型の、細胞生理学、発達、分化、または機能を調節する核酸、タンパク質、抗体、および模倣物を提供する。
【解決手段】IL−174と名付けられたサイトカンのアゴニストまたはアンタゴニスト、およびその使用の種々の方法が提供される。特に、IL−174の多くの活性を利用する方法が提供される。本発明は、哺乳類の免疫反応をTh2型反応へ向ける方法;哺乳類の先天的免疫応答を刺激する方法;上皮または線維芽細胞からの哺乳類の炎症応答を増加させる方法;消化管細胞増殖を誘導する方法;哺乳類の骨髄外造血を促進する方法;または血清および糞便物質中の抗体応答を増加させる方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、哺乳類細胞、例えば哺乳類の免疫系細胞の生理学、発達、および分化の制御において機能するタンパク質に関連した組成物に関する。特に、それは、造血細胞を含む様々な細胞型の、細胞生理学、発達、分化、または機能を調節する核酸、タンパク質、抗体、および模倣物を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
脊椎動物の免疫系は、多くの臓器およびいくつかの異なる細胞型から成る。2つの主な細胞型は、骨髄およびリンパ系統を含む。リンパ球系統には、本来胎児肝臓または成人骨髄で分化するものとして特徴付けられたB細胞、および本来胸腺で分化するものとして特徴付けられたT細胞がある。例えばPaul(編、1998)Fundamental Immunology(第4版)Raven Press、New Yorkを参照のこと。
【0003】
免疫応答または細胞分化の発達の多くの局面において、サイトカインとして公知の可溶性タンパク質は、細胞相互作用の調節に重要な役割を果たしている。これらのサイトカインは、多くの方法で細胞の活動を明らかに媒介している。それらは、多くの場合において、造血幹細胞の、免疫応答の原因となる系統を構成する非常に多くの子孫への増殖、成長、および分化を調節することが示された。
【0004】
しかし、これらの成熟経路において、異なる発達段階の細胞によって発現される細胞分子は、まだ完全に同定されていない。さらに、これらの細胞の様々な生理学的、発達、または増殖状態を誘導、維持、または調節するシグナル伝達分子の役割および作用メカニズムは、十分に理解されていない。明らかに、免疫系およびその様々なストレスに対する反応、例えば感染性疾患、癌関連応答および処置、アレルギーおよび移植拒絶応答は、薬剤と関連を有する。例えば、Thornら、Harrison’s Principles of Internal Medicine、McGraw/Hill、New Yorkを参照のこと。
【0005】
医療科学は、環境因子に対する不十分または不適切な生理学的応答を治療するのに、免疫系の適切な増加または抑制に大幅に依存している。しかし、免疫系がどのように制御されているのか、または分化するのかについての理解の欠如が、生物学的チャレンジに対する正常な防御機構を有利に調節する能力を妨げてきた。従って、関連する細胞の発達または生理学の異常または不適切な制御によって特徴付けられる医学的状態は扱いにくいままである。特定のサイトカインの発見および特徴付けは、免疫系、造血細胞および他の細胞型に影響する、広い範囲の変性または他の状態に対する治療の開発に寄与する。本発明は、これらのいくつか、および他の多くの問題の解答を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、部分的には、IL−174として公知のサイトカインの生物学的活性に基づく。特に、多くのアッセイは、このサイトカインがTh2型免疫応答の確立、先天的免疫、炎症応答、粘膜および線維芽細胞の増殖、特定の造血活性、および肉芽種の形成の調節における機能を有することを示す。
【0007】
本発明は、哺乳類の免疫細胞にIL−174アゴニストを投与することを含む、哺乳類の免疫反応をTh2型反応へ向ける方法;哺乳類の免疫細胞にIL−174アゴニストを投与することを含む、哺乳類の先天的免疫応答を刺激する方法;哺乳類にさらにIL−174アゴニストを投与することを含む、上皮または線維芽細胞からの哺乳類の炎症応答を増加させる方法;細胞にIL−174アゴニストを投与することを含む、消化管細胞増殖を誘導する方法;哺乳類にIL−174アゴニストを投与することを含む、哺乳類の骨髄外(extra medulary)造血を促進する方法;または細胞にIL−174アゴニストを投与することを含む、血清および糞便物質中の抗体応答を増加させる方法を提供する。
【0008】
種々の実施形態において、その方法はアゴニストの投与を含む。ここでその投与は、造血細胞、線維芽細胞、上皮細胞または内皮細胞によるサイトカイン産生を誘導するか;感染に伴う炎症応答をダウンレギュレートするか;上皮細胞の増殖を刺激するか;あるいは消化管上皮、線維芽、または杯状細胞の増殖を誘導する。いくつかの実施形態では、その方法はアゴニストの投与を含む。ここで哺乳類は、自己免疫状態;感染性疾患免疫応答;創傷治癒応答;またはTh1によって媒介される状態を刺激する状態を示すか、または経験した。さらなる実施形態において、自己免疫状態は、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、糖尿病、または乾癬から選択される;感染応答はアスペルギルス感染(Aspergillis infection)、真菌感染(カンジダ症(Candidaisis)、ブラストミセス症、またはアスペルギルス症を含む)、寄生虫感染(住血吸虫症、吸虫、蠕虫、またはフィラリア症を含む)、またはウイルス感染(肝炎を含む)の症候である;またはTh1に媒介される状態は、炎症性状態(クローン病、潰瘍性大腸炎、膵炎、または肝炎を含む)である。さらに、本発明は、感染を処置するために別の治療薬を投与することをさらに含む、感染応答を処置する方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、他の方法、例えば、哺乳類の免疫細胞にIL−174アンタゴニストを投与することを含む、哺乳類の免疫反応をTh2型反応から離れるように向ける方法;免疫系細胞にIL−174アンタゴニストを投与することを含む、哺乳類の炎症または肉芽種形成を予防する方法を提供する。多くの場合、アンタゴニストはIL−174に対するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。その方法は、アンタゴニストを投与することを含み得る。ここでその投与は、好酸球の誘引、組織リモデリング、または線維症を阻害するか;あるいはその哺乳類は、アレルギー状態;炎症性状態;またはTh2に媒介される状態を刺激する状態を示すか、または経験した。さらなる実施形態において、好酸球は肺(すなわち喘息)、肝臓または腸(すなわち好酸球胃炎)に誘引されるか;線維症は膵管または胆管周囲(peribiliary)線維症であるか;アンタゴニストはIL−4、IL−5、および/またはIL−13の産生を抑制するか;アンタゴニストはBALにおけるエオタキシン(eotaxin)、CCR4および/またはCCR4発現を減少させるか;アレルギー状態の症状は肺におけるものであるか;アレルギー状態は全身性アナフィラキシー応答、皮膚過敏性応答、または食物アレルギーであるか;あるいは炎症性状態またはTh2に媒介される状態は皮膚炎または喘息性炎症である。さらに別の実施形態では、哺乳類は、アレルギー状態;炎症性状態;またはTh2に媒介される状態を刺激する状態を示すか、または経験した。
【0010】
本発明はまた、IL−174アゴニストおよび抗菌剤(抗生物質、抗ウイルス、または抗菌化合物を含む)または化学療法剤;あるいはIL−174アンタゴニスト;およびアレルギー薬剤、喘息薬剤、皮膚炎薬剤、線維症薬剤、または好酸球胃炎薬剤を含む組成物を提供する。
本発明は例えば、以下の項目を提供する:
(項目1)以下:
a)哺乳動物の免疫応答をTh2型応答に指向する方法であって、該方法は、IL−174アゴニストを該哺乳動物の免疫細胞に投与する工程を包含する、方法;
b)哺乳動物の先天的免疫応答を刺激する方法であって、該方法は、IL−174アゴニストを該哺乳動物の免疫細胞に投与する工程を包含する、方法;
c)上皮細胞または線維芽細胞からの哺乳動物の炎症性応答を増強する方法であって、該方法は、IL−174アゴニストを該哺乳動物にさらに投与する工程を包含する、方法;
d)消化管細胞増殖を誘導する方法であって、該方法は、IL−174アゴニストを該細胞に投与する工程を包含する、方法;
e)哺乳動物の骨髄外造血を促進する方法であって、該方法は、IL−174アゴニストを該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法;
f)哺乳動物の免疫応答をTh2型応答から離れて指向する方法であって、該方法は、IL−174アンタゴニストを、該哺乳動物の免疫細胞に投与する工程を包含する、方法;
g)哺乳動物の炎症もしくは肉芽腫の形成を予防する方法であって、該方法は、IL−174アンタゴニストを免疫系細胞に投与する工程を包含する、方法;または
h)血清および糞便物質における抗体応答を増強する方法であって、該方法は、IL−174アゴニストを、該哺乳動物の免疫細胞に投与する工程を包含する、方法、
である、方法。
(項目2)項目1に記載の方法であって、以下:
a)哺乳動物の免疫応答をTh2型応答に指向する方法であって、該方法は、IL−174アゴニストを該哺乳動物の免疫細胞に投与する工程を包含する、方法;
b)哺乳動物の先天的免疫応答を刺激する方法であって、該方法は、IL−174アゴニストを該哺乳動物の免疫細胞に投与する工程を包含する、方法;
c)上皮細胞または線維芽細胞からの哺乳動物の炎症性応答を増強する方法であって、該方法は、IL−174アゴニストを該哺乳動物にさらに投与する工程を包含する、方法;
d)消化管細胞増殖を誘導する方法であって、該方法は、IL−174アゴニストを該細胞に投与する工程を包含する、方法;または
e)哺乳動物の骨髄外造血を促進する方法であって、該方法は、IL−174アゴニストを該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法、
である、方法。
(項目3)項目2に記載の方法であって、以下:
d)消化管細胞増殖を誘導する方法であって、該方法は、IL−174アゴニストを該細胞に投与する工程を包含する、方法;
e)哺乳動物の骨髄外造血を促進する方法であって、該方法は、IL−174アゴニストを該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法、
である、方法。
(項目4)項目1に記載の方法であって、以下:
f)哺乳動物の免疫応答をTh2型応答から離れて指向する方法であって、該方法は、IL−174アンタゴニストを、該哺乳動物の免疫細胞に投与する工程を包含する、方法;
g)哺乳動物の炎症もしくは肉芽腫の形成を予防する方法であって、該方法は、IL−174アンタゴニストを免疫系細胞に投与する工程を包含する、方法;または
h)血清および糞便物質における抗体応答を増強する方法であって、該方法は、IL−174アゴニストを、該哺乳動物の免疫細胞に投与する工程を包含する、方法、
である、方法。
(項目5)アゴニストを投与する項目2に記載の方法であて、ここで、該投与が、以下:
a)線維芽細胞、上皮細胞または内皮細胞によるサイトカインの産生を誘導するか;
b)感染に伴なう炎症性応答をダウンレギュレートするか;
c)上皮細胞の増殖を刺激するか;あるいは
d)消化管内皮細胞、線維芽細胞、または杯状細胞の増殖を誘導する、
方法。
(項目6)アゴニストを投与する項目2に記載の方法であって、前記哺乳動物が、以下:
a)自己免疫状態;
b)感染性疾患の免疫応答;
c)創傷治癒応答;または
d)Th1媒介状態、
を刺激する状態を示すか、または該状態を経験した、方法。
(項目7)項目6に記載の方法であって、ここで:
a)前記自己免疫状態が、以下:
i)多発性硬化症;
ii)全身性エリテマトーデス;
iii)慢性関節リウマチ;
iv)糖尿病;または
v)乾癬、
から選択されるか、
b)前記感染性応答が、以下:
i)アスペルギルス感染;
ii)カンジダ症、ブラストミセス症、もしくはアスペルギルス症を含む、真菌感染;
iii)住血吸虫症、吸虫、蠕虫、もしくはフィラリア症を含む寄生虫感染;または
iv)肝炎を含むウイルス感染、
の症状であるか、あるいは
c)前記Th1媒介状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、膵炎、肝炎、または好酸球性胃炎を含む炎症性状態である、
方法。
(項目8)感染性応答を処置する項目7に記載の方法であって、該感染を処置するために、別の治療薬を投与する工程をさらに包含する、方法。
(項目9)哺乳動物の先天的免疫応答を刺激する、項目2に記載の方法。
(項目10)アンタゴニストを投与する項目4に記載の方法であって、ここで、該アンタゴニストが、IL−174に対するモノクローナル抗体である、方法。
(項目11)アンタゴニストを投与する項目4に記載の方法であって、ここで:
a)該投与が、好酸球誘引、組織リモデリング、または線維症をブロックするか;あるいは
b)前記哺乳動物が、以下:
i)アレルギー状態;
ii)炎症性状態;または
iii)Th2媒介状態、
を刺激する状態を示すか、または該状態を経験した、
方法。
(項目12)項目11に記載の方法であって、ここで:
a)前記好酸球が、肺、肝臓または腸に誘引されるか;
b)前記線維症が、膵管または胆管周囲線維症であるか;
c)前記アンタゴニストが、IL−4、IL−5、および/またはIL−13の産生を抑制するか;
d)前記アンタゴニストが、BALにおけるエオタキシン、CCR4および/またはCCR4発現を減少させるか;
e)前記アレルギー状態の症状が、肺における症状であるか;
f)前記アレルギー状態が、全身性アナフィラキシー応答、皮膚過敏性応答、または食物アレルギーであるか;あるいは
g)前記炎症性またはTh2媒介状態が、皮膚炎または喘息性炎症である、
方法。
(項目13)項目11に記載の方法であって、前記哺乳動物が、以下:
a)アレルギー状態;
b)炎症性状態;または
c)Th2媒介状態、
を刺激する状態を示すか、あるいは該状態を経験した、方法。
(項目14)組成物であって、以下:
a)IL−174アゴニスト、および以下:
i)抗生物質化合物、抗ウイルス化合物、もしくは抗真菌化合物を含む抗菌薬;または
ii)化学療法剤;あるいは
b)IL−174アンタゴニスト、および以下:
i)アレルギー薬剤;
ii)喘息薬剤;
iii)皮膚炎薬剤;
iv)線維症薬剤;または
v)好酸球性胃炎薬剤、
を含む、組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
概略
I.概要
II.サイトカインアゴニストおよびアンタゴニスト
A.IL−174および改変体
B.抗体
C.他の分子
III.イムノアッセイ
IV.使用
(I.概要)
本発明は、部分的には、IL−174と呼ばれるサイトカインが、免疫応答の様々な局面において役割を果たしているという驚くべき発見に基づく。IL−174は、サイトカインに特徴的な構造的特徴を示すタンパク質をコードする遺伝子ファミリーの1つであり、特にCTLA−8(IL−17とも呼ばれる)と呼ばれるサイトカインと関連している。CTLA−8のラット、マウス、ヒトの形態およびウイルスホモログが記載され、そしてその配列はGenBankから入手可能である。Rouvierら(1993)J.Immunol.150:5445−5456;Yaoら(1995)Immunity 3:811−821;Yaoら(1995)J.Immunol.155:5483−5486;およびKennedyら(1996)J.Interferon and Cytokine Res.16:611−617を参照のこと。CTLA−8は、関節炎、腎臓移植拒絶、腫瘍形成、ウイルス−宿主相互作用、および先天的免疫に関連する活性を有し、そしてIL−6と同様の特定の調節性機能を示すようである。PubMed(IL−17で検索);Chabaudら(1998)J.Immunol.63:139−148;Aminら(1998)Curr.Opin.Rheumatol.10:263−268;Van Kootenら(1998)J.Am.Soc.Nephrol.9:1526−1534;Fossiezら(1998)Int.Rev.Immunol.16:541−551;Knappeら(1998)J.Virol.72:5797−5801;Seow(1998)Vet.Immuno.Immunopathol.63:139−48;およびTeunissenら(1998)J.Invest.Dermatol.111:645−649を参照のこと。NFκB転写因子を介したシグナル伝達についての報告は、先天的免疫で使用されるシグナル経路と関係する。Shalom−Barakら(1998)J.Biol.Chem.273:27467−27473。
【0012】
IL−174cDNA配列は、サイトカイン、増殖因子、および癌遺伝子をコードするmRNAに特徴的な様々な特徴を示す。IL−17は、このTGF−βに関連する新たに認識されたサイトカインファミリーの最初のメンバーであり、そして「IL−170」と呼ばれるこのファミリーの多くのメンバーが同定された。このファミリーのフォールディングは、サイトカインのTGF−βファミリーのものであると予測される。サイトカインのTGF−βファミリーおよびIL−170ファミリーは、システイン残基の特定の間隔によって特徴付けられる、シスチンノットモチーフの共通の特徴を有する。例えば、SunおよびDavies(1995)Ann.Rev.Biophys.Biomolec.Struct.24:269−291;McDonaldら(1993)Cell 73:421−424;およびIsaacs(1995)Curr.Op.Struct.Biol.5:391−395を参照のこと。特に、その構造は、多くの保存されたシステインを示唆する。ジスルフィド結合はシステイン2と5;および3と6;および1と4である。フォールディングの類似性の機能的重要性は、IL−170ファミリーのダイマー形成を示唆する。結果として、IL−170ダイマーは2つの細胞表面レセプターを1つに集め、それによってシグナル伝達が起こる。
【0013】
これらの新規タンパク質はCTLA−8関連タンパク質、または一般的にIL−170タンパク質と呼ばれる。天然タンパク質は、標的細胞における生物学的または生理学的応答を導く様々な生理学的応答、例えばサイトカインシグナル伝達に特徴的な応答を媒介し得るはずである。
【0014】
精製CTLA−8は、滑膜細胞と培養した場合、これらの細胞からIL−6の分泌を誘導し得る。この誘導は、ヒトCTLA−8に対して産生した中和抗体の追加時に逆転する。内皮、上皮、線維芽、および癌腫細胞もまた、CTLA−8による処置に対する応答を示す。このデータは、CTLA−8が、炎症性線維症、例えば乾癬、硬皮症、肺線維症、または硬変に関連し得ることを示唆する。CTLA−8はまた、IL−6が多くの場合そのような細胞において増殖因子として作用する程度に、癌腫または癌細胞の増殖を引き起こし得る。そのように、新規に発見された他の関連するファミリーメンバーは、同様のまたは関連する生物学的活性を有する可能性がある。
【0015】
マウスおよびヒト由来のサイトカインIL−174が、PCT/US00/00006において以前に記載された。これは全ての目的のために本明細書中で参考として援用される。ヒトIL−174をコードする核酸配列および対応するアミノ酸配列を、それぞれ配列番号1および2として示す。重要な予測される構造モチーフは、例えば21−24、53−56、および95−98のcAMP PK部位;15−17、16−18、および45−47のCaリン酸化部位;12−16、115−119、および118−122のミリストイル化部位;104−107のN−グリコシル化部位;21、23、43、53、56、95、98、および131のリン酸化部位;41−43および119−121のPKCリン酸化部位;および95−102のチロシンキナーゼ部位を含む。IL−174のマウス核酸および対応するアミノ酸配列を、それぞれ配列番号3および4として示す。重要な予測されるモチーフは、例えば29−32および61−64のcAMP PK部位;18−20、53−55、および67−69のCaリン酸化部位;123−127のミリストイル化部位;112−114のN−グリコシル化部位;および29、31、51、53、61、64、139、および141のリン酸化部位;および2−4、49−51、および127−129のPKCリン酸化部位を含む。
【0016】
(II.サイトカインアゴニストおよびアンタゴニスト)
哺乳類IL−174サイトカインは、PCT/US00/00006において以前に記載された。天然リガンドの様々なアゴニストおよびアンタゴニストが産生され得る。
【0017】
(A.IL−174および改変体)
IL−174アゴニストは、サイトカインのいくつかの、または全てのシグナル伝達機能を示す。様々な哺乳類IL−174配列を評価して、どの残基が種を超えて保存されているかを決定し、どの残基を生物学的活性に劇的な影響を与えずに変化させ得るかを示唆し得る。あるいは、保存的置換は生物学的活性を保持する可能性があり、従ってアゴニスト活性を保持するサイトカインの改変体を導く。変異体または改変体IL−174ポリペプチドをスクリーニングする標準的な方法が、どの配列が有用な治療的アゴニストであるかを決定する。
【0018】
さらに、特定の核酸発現方法を適用し得る。様々なプロモーターを遺伝子に操作可能に連結し、それによって制御された発現を可能にし得る。
【0019】
あるいは、アンタゴニスト活性を試験し得る。サイトカイン活性と拮抗する能力に関する試験を、下記で記載するようなアッセイを用いて開発し得る。レセプター結合能力を保持するが、シグナル伝達能力を欠く、様々なリガンドホモログを作成し得る。小分子もIL−174に拮抗する能力に関してスクリーニングされ得る。一般的にはGilmanら(編、1990)Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics、第8版、Pergamon Press;Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版(1990)、Mack Publishing Co.、Easton、Pennを参照のこと、これらはそれぞれ本明細書中で参考として援用される。
【0020】
(B.抗体)
本発明は、好ましくは哺乳類、例えば霊長類、ヒト、ネコ、イヌ、ラット、またはマウスのIL−174に特異的に結合し、そしてサイトカインがそのシグナルを媒介する能力を中和化する抗体または結合組成物の使用を提供する。抗体を、個体、多型、対立遺伝子、系統、または種改変体を含む、様々なIL−174タンパク質、およびそのフラグメントに対して、その天然に存在する形式(全長)またはその組換え形式のいずれに対しても産生し得る。さらに、IL−174ポリペプチドに対して、その天然(または活性)形式またはその不活性、例えば変性形式のいずれにおいても、リガンドのシグナルを媒介する能力を中和化し得る抗体を産生し得る。抗体はリガンドとそのレセプターの相互作用を阻害し得る。
【0021】
多くの免疫原を、IL−174タンパク質と特異的に反応するか、または選択的に結合する抗体を産生するのに選択し得る。組換えタンパク質が、モノクローナルまたはポリクローナル抗体の産生に好ましい免疫原である。適切な供給源、例えば霊長類、げっ歯類等由来の天然に存在するタンパク質も、純粋なまたは不純な形式で使用され得る。本明細書中で記載されたIL−174タンパク質配列を用いて作成した合成ペプチドも、IL−174タンパク質に対する抗体の産生に免疫原として使用され得る。例えば、Coliganら(編、1995および定期的な補遺)Current Protocols in Protein Science、John Wiley & Sons、New York、NY;およびAusubelら(編、1987および定期的な補遺)Current Protocols in Molecular Biology、Greene/Wiley、New York、NYで記載されているように、組換えタンパク質を、真核細胞または原核細胞で発現および精製し得る。天然にフォールディングしたか、または変性した物質を、適切な場合には抗体の産生に使用し得る。モノクローナルまたはポリクローナル抗体のいずれかを、例えば続くタンパク質を測定するイムノアッセイで使用するために、または免疫精製(immunopurification)法のために産生し得る。
【0022】
ポリクローナル抗体を産生する方法は、当業者に周知である。典型的には、免疫原、好ましくは精製タンパク質をアジュバントと混合し、そして動物をその混合物で免疫する。免疫原調製物に対する動物の免疫反応を、試験血液を採取し、そしてIL−174タンパク質または関心のあるペプチドに対する反応性力価を決定することによってモニターする。例えば、通常反復した免疫後に、免疫原に対する抗体の適切な高い力価が得られたら、血液を動物から採取し、そして抗血清を調製する。所望の場合、タンパク質に反応性の抗体を濃縮するために、抗血清のさらなる分画を行い得る。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies,A Laboratory Manual、CSH Press、NY;またはColigan(編)Current Protocols in Immunologyを参照のこと。他の方法、例えばDNAベクター免疫によっても免疫を行い得る。例えば、Wangら(1997)Virology 228:278−284を参照のこと。
【0023】
モノクローナル抗体は、当業者に周知の様々な技術によって得られ得る。典型的には、免疫後、動物由来の脾臓細胞を、通常骨髄腫細胞と融合することによって不死化する。KohlerおよびMilstein(1976)Eur.J.Immunol.6:511−519を参照のこと。不死化の代替方法は、エプスタインバーウイルス、癌遺伝子、またはレトロウイルスによる形質転換、または当該分野で公知の他の方法を含む。例えば、Doyleら(編、1994および定期的な補遺)Cell and Tissue Culture:Laboratry Procedures、Wiley、NY、NYを参照のこと。単一の不死化細胞からできたコロニーを、抗原に対する望ましい特異性および親和性を有する抗体の産生に関してスクリーニングし、そしてそのような細胞によって産生されるモノクローナル抗体の収量を、脊椎動物宿主の腹腔への注入を含む、様々な技術によって増強し得る。あるいは、例えばHuseら(1989)Science 246:1275−1281によって概略が述べられた一般的なプロトコルによって、ヒトB細胞由来のDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、モノクローナル抗体またはその結合フラグメントをコードするDNA配列を単離し得る。
【0024】
IL−174ポリペプチドの予め決定したフラグメントに対する、抗体、または結合フラグメントおよび一本鎖を含む結合組成物を、上記で記載したように、動物をフラグメントとキャリアタンパク質の結合物で免疫することによって産生し得る。モノクローナル抗体を、望ましい抗体を分泌する細胞から調製する。これらの抗体を、正常または不完全なIL−174タンパク質に対する結合に関してスクリーニングし得る。これらのモノクローナル抗体は、通常少なくとも約1mM、より通常には少なくとも約300μM、典型的には少なくとも約10μM、より典型的には少なくとも約30μM、好ましくは少なくとも約10μM、そしてより好ましくは少なくとも約3μMまたはそれよりよいKで結合する。
【0025】
いくつかの場合には、マウス、げっ歯類、霊長類、ヒト等のような様々な哺乳類宿主からモノクローナル抗体(mAb)を調製することが望ましい。そのようなモノクローナル抗体調製技術の記載は、例えばStitesら(編)Basic and Clinical Immunology(第4版)Lange Medical Publications、Los Altos、CAおよびそこに引用された参考文献;HarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual、CSH Press;Goding(1986)Monoclonal Antibodies: Principles and Practice(第2版)、Academic Press、New York、NY;および特にモノクローナル抗体を産生する1つの方法を論じているKohlerおよびMilstein(1975)Nature 256:495−497において見出すことができる。簡単にまとめると、本方法は、動物に免疫原を注射することを含む。次いで動物を屠殺し、そして細胞をその脾臓から取り、それを次いで骨髄腫細胞と融合する。その結果は、インビトロで複製可能なハイブリッド細胞または「ハイブリドーマ」である。次いでハイブリドーマの集団をスクリーニングして個々のクローンを単離する。それらはそれぞれ免疫原に対する単一の抗体種を分泌する。この方法では、得られた個々の抗体種は、免疫原物質において認識される特異的部位に対して反応して産生された、免疫動物由来の不死化およびクローン化単一B細胞の産物である。
【0026】
他の適切な技術は、ファージまたは同様のベクターにおける抗体のライブラリーの選択を含む。例えばHuseら(1989)「Generation of Large Combinatorial Library of the Immunoglobulin Repertoire in Pharge Lambda」Science 246:1275−1281;およびWardら(1989)Nature 341:544−546を参照のこと。キメラまたはヒト化抗体を含んで、本発明のポリペプチドおよび抗体を、修飾してまたは修飾なしで使用し得る。多くの場合、ポリペプチドおよび抗体を、検出可能なシグナルを提供する物質と、共有結合的にまたは非共有結合的に結合させることによって標識化する。広く多様な標識および結合技術が公知であり、そして科学的および特許文献において広範囲に報告されている。適切な標識は、放射性核種、酵素、基質、補助因子、阻害剤、蛍光分子、化学発光分子、磁気粒子、等を含む。そのような標識の使用を記載している特許は、米国特許第3,817,837;3,850,752;3,939,350;3,996,345;4,277,437;4,275,149;および4,366,241号を含む。また、組換え免疫グロブリンを産生し得る。Cabilly、米国特許第4,816,567号;およびQueenら(1989)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029−10033を参照のこと。またはトランスジェニックマウスで産生し得る。Mendezら(1997)Nature Genetics 15:146−156;AbgenixおよびMedarex技術を参照のこと。
【0027】
結合フラグメントを含む本発明の抗体結合化合物は、有意な診断的または治療的価値を有し得る。それらは非中和化結合化合物として有用であり得、そして毒素または放射性核種と結合して、結合化合物が抗原に結合した時、それを例えば表面に発現している細胞を破壊し得る。さらに、これらの結合化合物を、直接またはリンカーによって間接的に、薬剤または他の治療的薬剤と結合し得、そして薬剤標的化を実施し得る。
【0028】
(C.他の分子)
抗体は、特異的結合組成物の単なる1つの形式である。多くの場合同様の使用法を有する他の結合組成物としては、例えば、共有結合または非共有結合のいずれかで、タンパク質−結合パートナー様式、抗体−抗原相互作用、または天然で生理学的に関連するタンパク質−タンパク質相互作用で、IL−174に特異性をもって結合する分子(例えばIL−174タンパク質と特異的に結合するタンパク質)が挙げられる。その分子は、ポリマー、または化学的試薬であり得る。機能的アナログは、構造的修飾を有するタンパク質であっても、または構造的に関連のない分子(例えば適当な結合決定基と相互作用する分子の形を有するもの)であってもよい。
【0029】
抗体またはIL−174またはそのフラグメントを用いた薬剤スクリーニングを行って、IL−174に対する結合親和性を有する化合物を同定し得るか、またはリガンドとの天然の相互作用をブロックまたは刺激し得る。次いで、続いて生物学的アッセイを利用して、その化合物が内因性ブロッキング活性を有し、そして従ってアンタゴニストであるかどうかを決定し得る。同様に、内因性の刺激活性を有する化合物は、IL−174経路によって細胞にシグナル伝達し得、そして従って、それがリガンドの活性を刺激する点でアゴニストである。レセプター結合を保持するがシグナル伝達を欠くムテインアンタゴニストを開発し得る。
【0030】
リガンドの構造的研究は、新規変異体、特にレセプターに対するアゴニストまたはアンタゴニスト性質を示すアナログの設計へ至る。これを以前に記載したスクリーニング方法と組み合わせて、望ましい活性の範囲を示すムテインを単離し得る。
【0031】
レセプター特異的な結合分子が提供される場合、スクリーニング手順によって同定された小分子も含まれる。特に、例えば、多くの場合レセプターに対する特異的な結合および天然リガンドによる結合のブロッキングによって、リガンドのレセプターへの結合を阻害する小分子をスクリーニングする方法が、当該分野で周知である。例えばハイスループットスクリーニングに関する会議、International Business Communications、Southborough、MA、01772−1749を参照のこと。そのような分子は、天然リガンドと競合し、そしてIL−174に選択的に結合し得る。
【0032】
(III.イムノアッセイ)
イムノアッセイは、IL−174の不均衡または病的状態に関連する疾患または阻害を診断するのに価値がある。特定のタンパク質の定性的または定量的測定を、様々なイムノアッセイ方法で行い得る。一般的な免疫学的手順およびイムノアッセイ手順の論評に関しては、StitesおよびTerr(編)(1991)Basic and Clinical Immunology(第7版)を参照のこと。さらに、本発明のイムノアッセイを、Maggio(編、1980)Enzyme Immunoassay、CRC Press、Boca Raton、Florida;Tijan(1985)「酵素イムノアッセイの実施および理論」Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology、Elsevier Science Publishers B.V.、Amsterdam;ならびにHarlowおよびLane、Antibodies: A Laboratory Manual、前出で広範囲に論評されている、多くの設定で実施し得る。Chan(編、1987)Immunoassay: A Practical Guide、Academic Press、Orlando、FL;PriceおよびNewman(編、1991)Principles and Practice of Immunoassays、Stockton Press、NY;およびNgo(編、1988)Non−isotopic Immunoassays、Plenum Press、NYも参照のこと。
【0033】
IL−174タンパク質またはペプチドの測定のためのイムノアッセイを、当業者に公知の様々な方法によって行い得る。簡単には、タンパク質を測定するイムノアッセイは、競合的または非競合的結合アッセイのいずれかであり得る。競合的結合アッセイでは、分析する試料は、固体表面に結合した捕獲剤の特異的結合部位に関して標識分析物と競合する。好ましくは、捕獲剤は、上記のように産生した、IL−174タンパク質と特異的に反応する抗体である。捕獲剤に結合した標識分析物の濃度は、試料中に存在するフリーの分析物の量に逆比例する。
【0034】
競合的結合イムノアッセイでは、試料中に存在するIL−174タンパク質が、特異的な結合剤、例えばIL−174タンパク質と特異的に反応する抗体への結合に関して、標識タンパク質と競合する。結合剤は、結合した標識タンパク質を結合していない標識タンパク質から分離するために、固体表面に結合され得る。あるいは、競合的結合アッセイを、液相で行い得、そして当該分野で公知の様々な技術を用いて、結合した標識タンパク質を結合していない標識タンパク質から分離し得る。分離後、結合した標識タンパク質の量を決定する。試料中に存在するタンパク質の量は、標識タンパク質結合の量と逆比例する。
【0035】
あるいは、分離工程が不要な均一イムノアッセイを行い得る。これらのイムノアッセイでは、タンパク質の標識が、タンパク質の特異的な結合剤へのそのタンパク質の結合によって変化する。この標識タンパク質における変化が、標識によって放出されるシグナルの増加または減少を引き起こし、イムノアッセイの最後における標識の測定が、タンパク質の検出または定量を可能にする。
【0036】
IL−174タンパク質をまた、様々な非競合的イムノアッセイ法によって決定し得る。例えば、2部位、固相サンドイッチイムノアッセイを使用し得る。この型のアッセイでは、タンパク質の結合剤、例えば抗体を、固体支持体に結合する。2番目のタンパク質結合剤(これもまた抗体であり得、そして異なる部位でタンパク質に結合する)を標識する。タンパク質の両部位での結合が起こった後、結合していない標識結合剤を除去し、そして固相に結合した標識結合剤の量を測定する。結合した標識結合剤の量は、試料中のタンパク質の量と直接比例する。
【0037】
ウェスタンブロット分析を用いて、試料中のIL−174タンパク質の存在を決定し得る。電気泳動を、例えばそのタンパク質を含むと考えられる組織試料で行う。タンパク質を分離するための電気泳動、およびタンパク質を適当な固体支持体、例えばニトロセルロースフィルターへ移動した後、固体支持体をタンパク質と反応する抗体とインキュベートする。この抗体を標識し得るか、あるいは続いて一次抗体に結合する二次標識抗体とインキュベートすることによって検出し得る。
【0038】
上記のイムノアッセイの方式は、標識アッセイ成分を採用し得る。標識を、当該分野で周知の方法によって、アッセイの望ましい成分に直接または間接的に結合し得る。広く様々な標識および方法を使用し得る。伝統的には、H、125I、35S、14C、または32Pを組み込む放射活標識を使用した。非放射活標識は、標識抗体に結合するリガンド、蛍光団、化学発光剤、酵素、および標識リガンドに対しての特異的な結合ペアのメンバーとしてはたらき得る抗体を含む。標識の選択は、必要な感度、化合物との結合のしやすさ、必要な安定性、および利用可能な器具に依存する。使用し得る様々な標識またはシグナル産生システムの論評に関しては、米国特許第4,391,904号を参照のこと。
【0039】
特定のタンパク質に反応する抗体も、様々なイムノアッセイ法によって測定し得る。従って、上記の手順の改変を使用して、様々なIL−174抗体または抗体調製物の量または親和性を決定し得る。イムノアッセイ技術による抗体の測定に適用できる免疫学的手順およびイムノアッセイ手順の論評に関しては、StitesおよびTerr(編)Basic and Clinical Immunology(第7版)前出;Maggio(編)Enzyme Immunoassay、前出;およびHarlowおよびLane、Antibodies.A Laboratory Manual、前出を参照のこと。
【0040】
mAbおよび結合組成物の結合および活性を評価するためのスクリーニングは、様々な方法を含む。上記のように、抗体または結合組成物を検出可能に標識することによって、結合をアッセイし得る。IL−174に応答する細胞を、抗体または結合組成物をアッセイするために使用し得る。
【0041】
抗体の評価を、他の動物、例えばヒトで、様々な方法を用いて実施し得る。例えば、示した疾患または障害に罹患した患者から、例えば候補mAbによる治療の前および後に血液試料を採取する。
【0042】
(IV.使用)
現在IL−174は様々な細胞に効果を示し、その効果は間接および直接であり得る。数または細胞に対する効果における統計学的に有意な変化は、典型的に少なくとも約10%、好ましくは20%、30%、50%、70%、90%、またはそれより多くである。100%より大きい効果、例えば130%、150%、2×、3×、5×等が多くの場合望ましい。その効果は、示した状態の症状または徴候を抑制するのに特異的であり得る。
【0043】
本発明は、記載した免疫学的状態と関連する医学的状態または疾患の治療に有用である。例えば、Frankら(編、1995)Samter’s Immunologic Diseases、第5版、I−II巻、Little,Brown and Co.、Boston、MAを参照のこと。記載したアゴニストまたはアンタゴニストを、本明細書中で記載した医学的状況の他の治療、例えばTh1/Th2バランスに関係する別のサイトカイン(Th1へはIL−1γおよび/またはIL−12;またはTh2へはIL−4のような)、抗生物質、免疫抑制剤、免疫アジュバント、鎮痛剤、抗炎症薬、増殖因子、血管拡張薬、または血管収縮薬と組み合わせ得る。
【0044】
好ましい併用治療は、IL−174アゴニストと、Th2型免疫応答を促進する様々な治療薬(例えばIL−4、IL−1γアンタゴニスト、IL−12アンタゴニスト)、局所、経皮、または全身性の刺激薬のような炎症性薬剤、様々な成長因子、および造血因子とを含む。IL−174のアンタゴニスト、例えば抗体またはリガンドムテインを、Th1型免疫応答を促進する治療薬(例えばIL−1γおよび/またはIL−12、IL−4アンタゴニスト)、または抗炎症性薬剤(例えばステロイド、糖質コルチコイドステロイド)と組み合わせ得る。
【0045】
標準的な免疫学的技術が、例えばHertzenbergら(編、1996)Weir’s Handbook of Experimental Immunology 第1−4巻、Blackwell Science;Coligan(1991)Current Protocols in Immunology、Wiley/Greene、NY;およびMethods in Enzymology、第70、73、74、84、92、93、108、116、121、132、150、162、および163巻に記載されている。これらは、細胞部分集団の精製等のための試薬の使用を可能にする。
【0046】
IL−174、アンタゴニスト、またはその組み合わせを含む医薬品または滅菌組成物を調製するために、試薬を、好ましくは不活性の薬学的に受容可能な担体または賦形剤と混合する。そのような医薬品組成物の調製は、当該分野で公知である。例えばRemington’s Pharmaceutical SciencesおよびU.S.Pharmacopeia:National Formulary、Mack Publishing Company、Easton、PA(1984)を参照のこと。
【0047】
アゴニスト、例えば天然リガンド、またはアンタゴニスト、例えば抗体もしくは結合組成物を、通常非経口的に、好ましくは静脈内投与する。そのようなタンパク質またはペプチドアンタゴニストは免疫原性であり得るので、例えばTomasiら、米国特許第4,732,863号によって教示されたように、好ましくはそれらを伝統的なIV投与セットによってか、または皮下の貯蔵場所からのいずれかで、ゆっくりと投与する。
【0048】
非経口投与する場合、治療薬を多くの場合、薬学的に受容可能な非経口ビヒクルと共に単位投与量注射可能形式(溶液、懸濁液、エマルション)に処方する。そのようなビヒクルは、典型的には本質的に非毒性および非治療薬である。典型的により小さい生物製剤であるアゴニストは、典型的には抗体生物製剤より低い投与量で投与する。アンタゴニストは、様々な添加剤および/または希釈剤とともに、または無しで、水、生理食塩水、または緩衝化ビヒクルのような水性ビヒクルで投与し得る。あるいは、亜鉛懸濁液のような懸濁液を、ペプチドを含むように調製し得る。そのような懸濁液は、皮下(SQ)、皮内(ID)、または筋肉内(IM)注射に有用であり得る。治療実体および添加剤の割合は、両者が有効な量で存在する限り、広い範囲にわたって変化し得る。治療薬は、好ましくは約5から30mg/ml、好ましくは10から20mg/mlの濃度で、凝集物、他のタンパク質、エンドトキシン等を本質的に含まない精製した形式で処方される。好ましくは、エンドトキシンレベルは2.5EU/mlより少ない。例えばAvisら(編、1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications、第2版、Dekker、NY;Liebermanら(編、1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets、第2版、Dekker、NY;Liebermanら(編、1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems、Dekker、NY;Fodorら(1991)Science 251:767−773;Coligan(編)Current Protocols in Immunology;Hoodら、Immunology Benjamin/Cummings;Paul(編、1997)Fundamental Immunology、第4版、Academic Press;Parceら(1989)Science 246:243−247;Owickiら(1990)Proc Nat’l Acad.Sci.USA 87:4007−4011;ならびにBlundellおよびJohnson(1976)Protein Crystallography、Academic Press、New Yorkを参照のこと。
【0049】
治療的アゴニストまたはアンタゴニストの投与レジメンの選択は、治療薬の血清または組織回転率、治療薬の免疫原性、または標的細胞への近づきやすさを含むいくつかの因子に依存する。好ましくは、投与レジメンは、許容できるレベルの副作用と両立して、患者に伝達される治療薬の量を最大にする。よって、伝達される治療薬の量は、部分的には特定のアゴニストまたはアンタゴニストおよび治療する状態の重篤度に依存する。抗体の適当な用量を選択する手引きは、治療的使用についての文献、例えばFerroneら(編、1985)Handbook of Monoclonal Antibodies、Noges Publications、Park Ridge、NJ中のBachら、第22章;およびHaberら(編、1977)Antibodies in Human Diagnosis and Therapy、Raven Press、New York、NY中のRussell、303−357頁、およびSmithら、365−389頁に見出される。
【0050】
適当な用量の決定は、医師によって、例えば治療に影響すると当該分野で公知の、または治療に影響すると予測されるパラメーターまたは因子を用いてなされる。一般的には、用量は最適な用量よりいくらか少ない量から始め、そしてその後あらゆる負の副作用と比較して望ましいまたは最適な効果が達成されるまで少しずつ増加する。好ましくは、使用される抗体またはその結合組成物は、治療の標的となる動物と同じ種から得、それによって試薬に対する体液性応答を最小にする。
【0051】
特異的にIL−174に結合する抗体またはそのフラグメントの全週単位用量範囲は、一般的に体重1kgあたり約1ng、より一般的には約10ng、典型的には約100ng;より典型的には約1μg、より典型的には約10μg、好ましくは約100μg、そしてより好ましくは約1mgからの範囲である。より多くの量はより有効であり得るが、より低い投与量は典型的にはより少ない副作用を有する。一般的に、その範囲は体重1kgあたり100mgより少なく、好ましくは約50mgより少なく、そしてより好ましくは約25mgより少ない。
【0052】
アンタゴニスト、例えば抗体、結合フラグメントの週単位用量範囲は、体重1kgあたり約10μg、好ましくは少なくとも約50μg、そしてより好ましくは少なくとも約100μgからの範囲である。一般的に、その範囲は体重1kgあたり約1000μgより少なく、好ましくは約500μgより少なく、そしてより好ましくは約100μgより少ない。投与は、望ましい治療をもたらすスケジュールであり、そして短いまたは長い期間にわたって定期的であり得る。一般的に、範囲は体重1kgあたり少なくとも約10μgから約50mg、好ましくは約100μgから約10mgである。
【0053】
リガンドの他のアゴニストまたはアンタゴニスト、例えばムテインも企図される。サイトカインまたはムテインの時間単位用量範囲は、1時間あたり少なくとも約10μg、一般的には少なくとも約50μg、典型的には少なくとも約100μg、そして好ましくは少なくとも500μgからの範囲である。一般的に、用量は1時間あたり約100mgより少なく、典型的には約30mgより少なく、好ましくは約10mgより少なく、そしてより好ましくは約6mgより少ない。一般的な範囲は、1時間あたり少なくとも約1μgから約1000μg、好ましくは約10μgから約500μgである。
【0054】
本発明はまた、公知の治療、例えばステロイド、特に糖質コルチコイドのような、過剰な炎症性応答に関連する症状を緩和する治療と組み合わせた、IL−174抗体または結合組成物の投与を提供する。糖質コルチコイドの日単位投与量は、1日あたり少なくとも約1mg、一般的には少なくとも約2mg、そして好ましくは少なくとも約5mgからの範囲である。一般的に、その投与量は、1日あたり約100mgより少なく、典型的には約50mgより少なく、好ましくは約20mgより少なく、そしてより好ましくは少なくとも約10mgである。一般的に、その範囲は1日あたり少なくとも約1mgから約100mg、好ましくは約2mgから50mgである。
【0055】
「有効な量」という語句は、望ましい応答を起こすのに、または示された状態の症状または徴候を改善するのに十分な量を意味する。典型的な哺乳類宿主は、マウス、ラット、ネコ、イヌ、およびヒトを含む霊長類を含む。特定の患者に対する有効な量は、治療する状態、患者の全般的な健康、投与の方法、経路、および用量、および副作用の重篤度のような因子に依存して変化し得る。好ましくは、その効果は少なくとも約10%、好ましくは少なくとも20%、30%、50%、70%、または90%以上の量の変化を引き起こす。組み合わせた場合には、有効な量は構成成分の組み合わせに対する比における量であり、そしてその効果は個々の構成成分単独に限定されない。
【0056】
治療薬の有効な量は、症状を典型的には少なくとも約10%;通常少なくとも約20%;好ましくは少なくとも約30%;またはより好ましくは少なくとも約50%調節する。あるいは、活動の調節は、様々な細胞型の活動または往来が影響を受けることを意味する。それは、例えば影響された細胞の数の、統計学的に有意かつ定量可能な変化を引き起こす。これは、時間中にまたは標的領域に誘引された標的細胞の数の増加または減少であり得る。
【0057】
本発明は、本明細書中の他の場所、例えば示された状態に関連する障害の治療に関する一般的な説明で記載されたような治療的適用における使用が見出された試薬を提供する。例えば、Berkow(編)The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、Merck&Co.、Rahway、N.J.;Thornら、Harrison’s Principles of Internal Medicine、McGraw−Hill、NY;Gilmanら(編、1990)Goodman and Gilman’s: The Pharmacological Bases of Therapeutics、第8版、Pergamon Press;Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版(1990)、Mack Publishing Co.、Easton、Penn;Langer(1990)Science 249:1527−1533;およびMerck Index、Merck&Co.、Rahway、New Jerseyを参照のこと。
【0058】
IL−174タンパク質に対する抗体を、IL−174タンパク質を発現する細胞集団を同定または分類するために使用し得る。そのような集団を分類する方法は、当該分野で周知である。例えば、Melamedら(1990)Flow Cytometry and Sorting、Wiley−Liss,Inc.、New York、NY;Shapiro(1988)Practical Flow Cytometry、Liss、New York、NY;およびRobinsonら(1993)Handbook of Flow Cytometry Methods、Wiley−Liss、New York、NYを参照のこと。IL−174レセプターを発現する細胞の集団も、例えばBievaら(1989)Exp.Hematol.17:914−920;Hernebtubら(1990)Bioconj.Chem.1:411−418;Vaccaro(1990)Am.Biotechnol.Lab.3:30において記載されたような磁気ビーズを用いて精製し得る。
【0059】
さらに、アンチセンス核酸を使用し得る。例えば、リガンドなどをコードする核酸に特異的なアンチセンス構築物は、リガンドアンタゴニストのような方式で機能し得、そしてレセプターをコードするものに特異的なアンチセンス構築物は、レセプターアンタゴニストのように機能し得る。例えば、Stepkowskiら(1998)Transplantation 66:699−707;およびISIS Pharmaceuticalsの技術を参照のこと。従って、アンチセンス核酸でこれらの経路を通してシグナル伝達を阻害することが可能であり得る。
【0060】
上記のアッセイ方法を用いて、抗体または結合組成物は、示された障害を引き起こす疾患状態を診断するのに有用である。IL−174タンパク質に対して惹起された抗体はまた、抗イディオタイプ抗体を惹起するのに有用である。これらは、それぞれの抗原の発現に関連する様々な免疫学的状態を検出または診断するのに有用である。これらのシグナルの組み合わせも追究され得る。
【0061】
本発明の広い範囲は、以下の実施例を参照して最もよく理解される。これらの実施例は本発明を特定の実施形態に制限することを意図しない。
【実施例】
【0062】
(実施例)
(I.一般的な方法)
マウスおよびヒト由来のサイトカインIL−174は、PCT/US00/00006(これは全ての目的のために本明細書中で参考文献に援用される)において以前に記載された。
【0063】
標準的な方法のいくつかは、例えばManiatisら(1982)Molecular Cloning.A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Press;Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)、第1−3巻、CSH Press、NY;Ausubelら、Biology、Greene Publishing Associates、Brooklyn、NY;またはAusubelら(1987および補遺)Current Protocols in Molecular Biology、Greene/Wiley、New York;Innisら(編)(1990)PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications、Academic Press、N.Y.において記載または参照されている。タンパク質精製方法は、硫酸アンモニウム沈殿、カラムクロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、結晶化などのような方法を含む。例えば、Ausubelら(1987および定期的な補遺);Deutscher(1990)Methods in Enzymology、第182巻中の「タンパク質精製の手引き」およびこのシリーズの他の巻;タンパク質精製製品の使用に関する製造会社の文献、例えばPharmacia、Piscataway、N.J.、またはBio−Rad、Richmond、CA;およびColiganら(編)(1995および定期的な補遺)Current Protocols in Protein Science、John Wiley&Sons、New York、NYを参照のこと。組換え技術との組み合わせは、適当な区分の、例えばプロテアーゼで除去可能な配列によって融合し得るFLAG配列または同等物への融合を可能にする。例えば、Hochuli(1989)Chemische Industrie 12:69−70;Setlow(編)Genetic Engineering,Principle and Methods 12:87−98、Plenum Press、N.Y.中のHochuli(1990)「金属キレート吸着剤を用いた組換えタンパク質の精製」;およびCroweら(1992)QIAexpress:The High Level Expression & Protein Purification System、QIAGEN,Inc.、Chatsworth、CAを参照のこと。
【0064】
標準的な免疫学的技術は、例えばHertzenbergら(編、1996)Weir’s Handbook of Experimental Immunology、第1−4巻、Blackwell Science;Coligan(1991)Current Protocols in Immunology、Wiley/Greene、NY;およびMethods in Enzymology、第70、73、74、84、92、93、108、116、121、132、150、162、および163巻に記載されている。
【0065】
FACS分析は、Melamedら(1990)Flow Cytometry and Sorting、Wiley−Liss,Inc.、New York、NY;Shapiro(1988)Practical Flow Cytometry、Liss、New York、NY;およびRobinsonら(1993)Handbook of Flow Cytometry Methods、Wiley−Liss、New York、NYに記載されている。
【0066】
(II.抗体産生)
適切な哺乳類を、適切な量のIL−174遺伝子トランスフェクト細胞で、例えば腹腔内に2週間ごと8週間免疫する。典型的にはげっ歯類を使用するが、他の種が選択的および特異的抗体の産生に適応するはずである。最終的な免疫を、尾静脈から静脈内(IV)に与える。
【0067】
一般的なポリクローナル抗体を採取し得る。あるいは、モノクローナル抗体を産生し得る。例えば、IV注射から4日後、脾臓を摘出してそしてSP2/0およびNS1細胞と融合する。例えばStem Cell Technologies(Vancouver、BC)によって設計されたプロトコールを用いて、HAT耐性ハイブリドーマを選択する。HAT選択の10日後、耐性の病巣を96穴プレートに移し、そして3日間増殖させる。抗体を含む上清を、例えばNIH3T3/表面IL−174トランスフェクト体への結合に関してFACSによって分析する。典型的には多くの異なるIL−174mAbが産生される。これらの抗体を、例えば当該分野で標準的なように、標識化または他の手段によって、単離または改変し得る。例えば、HarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual、CSH Press;Goding(1986)Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(第2版)Academic Press、New York、NYを参照のこと。磁気試薬、毒物実体、標識を結合する方法、抗体を固体物質、滅菌フィルター等へ付着させる方法は、当該分野で公知である。
【0068】
(III.IL−174アンタゴニスト)
IL−174の様々なアンタゴニストが入手可能になった。例えば、このサイトカイン自体に対する抗体は、リガンドのその受容体への結合を阻害し得、それによって直接レセプターアンタゴニストとしてはたらく。他のアンタゴニストは、例えばレセプターに結合する可能性を妨げるようにリガンドに結合することによって、リガンドのレセプターへの結合をブロッキングすることによって機能し得る。他のアンタゴニスト、例えばムテインアンタゴニストは、シグナル伝達無しにレセプターに結合し得、それによって真のアゴニストが結合するのを阻害する。これらの多くは、標的細胞、特にIL−174応答性細胞へ伝達されるシグナルをブロックするようにはたらき得る。
【0069】
特定残基の重要性についての情報を、標準的な手順および分析を用いて決定する。標準的な変異誘発生成分析を、例えば多くの異なる改変体を、決定した位置(例えば上記で同定した位置)で産生することによって、そしてその改変体の生物学的活性を評価することによって行う。これを、活性を改変する位置を決定する程度まで、または特定の位置に焦点を合わせて、生物学的活性を保持、ブロック、または調節するために置換し得る残基を決定するために行い得る。
【0070】
あるいは、天然改変体の分析が、どの位置が天然の変異を許容するか示し得る。これは、個体間、または系統または種にわたる変異体の集団分析から得ることができる。選択された個体からの試料を、例えばPCR分析および配列決定によって分析する。これは、集団の多型性の評価を可能にする。
【0071】
(IV.アデノウイルス感染)
アデノウイルス構築物を調製した。マウスにアデノウイルス−IL−174を経鼻経路または静脈内経路によって感染させた。例えば、Hittら(1997)Adv.Pharmacol.40:137−195を参照のこと。与えたアデノウイルス−IL−174の投与量は、5×10から5×1010粒子までの範囲であった。マウスを、標準的な組織学的、免疫学的、および血液学的方法を用いて、感染から7、14、21、および35日後に評価した。
【0072】
(V.組織学的分析)
マウス由来の組織を、顕微鏡検査のために、ホルマリン固定し、決まった手順で処理し、薄片に切断し、そしてヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。検査した臓器は、肺、心臓、肝臓、腎臓、脾臓、骨髄、および胃腸管を含んでいた。例えば、Kerr(1999)Atlas of Functional Histology;Sternberg(編、1998)Histology for Pathologists;およびStevensおよびLowe(1996)Human Histologyを参照のこと。
【0073】
(VI.造血コロニー形成アッセイ)
マウスの脾臓における造血前駆細胞を、通常のコロニー形成アッセイで数えた。脾細胞を、低浸透圧溶解によって赤血球を涸渇させた。脾細胞を、CD2(RM2.2;Yagataら(1989)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:645−649を参照のこと)、CD8(53.6.7;Ledbetterら、Immunol.Rev.47:63−90を参照のこと)、B220(RA3−6B2;Coffmanら(1981)Nature 289:681−683を参照のこと)、Mac1(M1/70;Springerら(1979)Eur.J.Immunol.9:301−306を参照のこと)、GR1(RB6−8C5;Juliaら(1988)Eur.J.Immunol.10:1819−1826を参照のこと)、および赤血球(Ter−119;Spangrudeら(1990)Exp.Hemat.18:920−926を参照のこと)に特異的な、未改変ラットモノクローナル抗体とインキュベートした。系統陽性細胞を、ヤギ抗ラットでコートしたBioMagRビーズ(PerSeptive Biosystems、Framingham、MA)を用いたネガティブ選択によって、2回の連続的な処置で涸渇させた。残りの系統陰性脾細胞を、1mlの改変Iscove’s培地(JRH、Kansas City、KS)、20%の胎児ウシ血清(FCS)(JRH)、50mMの2−メルカプトエタノール、および0.8%(wt/vol)のメチルセルロースを含む、35mmの培養皿に播種した。全ての培養に、飽和濃度の様々な増殖因子を追加した。培養を、37℃で、5%CO2を流した加湿雰囲気中でインキュベートした。10日間インキュベートした後、コロニーを数および大きさに関して分析した。顕微鏡検査のためにコロニーをガラススライドに適用して、そしてライトギームザで染色した後、細胞形態を決定した。Metcalf(1984)The Hemopoietic Colony Stimulating Factors、Elsevier、Amsterdamを参照のこと。
【0074】
(VII.血球分析)
マウス由来の血液を、Isotonic Buffered Diluent(BioChem ImmunoSystems、Allentown、PA)中に採取し、そしてヘモグロビン、ヘマトクリット、白血球、赤血球、および血小板の数を、自動化細胞計数器(Serono 9010、Serono−Baker Diagnostics,Inc.、Allentown、PA)によって決定した。血液スミアをライトギームザで染色し、そして顕微鏡の助けをかりて鑑別計数を行った。例えば、Dainiak(1990)The Biology of Hematopoiesis、Wiley−Liss Inc.、New York;TestaおよびMolineux(1993)Haemopoiesis、Oxford University Press、New Yorkを参照のこと。
【0075】
(VIII.抗体アイソタイプの決定)
マウス由来の血清を、ラット抗マウス重鎖クラス特異的抗体(抗−α、抗−γ1、抗−γ2a、および抗−ε)でコートしたマイクロタイターウェル中で、等張緩衝液に連続希釈した。ビオチン化二次抗体(重鎖クラスに特異的)を加え、そして次いでストレプトアビジン−HRP(Jackson ImmunoResearch Laboratories Inc.、West Grove、PA)と反応させた。このTMBペルオキシダーゼ基質システム(Kirkegaard & Perry Laboratories、Gaithersburg、MD)によって産生された染色産物を、長波長UVランプ(450ナノメートル)下で検出する。例えば、Coliganら(編、1991および補遺)Current Protocols in Immunology、Greene/Wileyを参照のこと。
【0076】
(IX.細気管支−肺胞洗浄液分析)
細気管支−肺胞洗浄(BAL)液を、針を気管へ挿入し、そして1mlのDMEM培地を投薬することによって、屠殺マウスから採取した。回収試料の200μlを、サイトスピン、続いてライトギームザ染色によって、細胞の組成を検査した。顕微鏡の助けをかりて鑑別計測を行った。
【0077】
(X.リアルタイムRT−PCRによる遺伝子発現の定量)
処理後マウスから試料組織を摘出し、そして液体窒素中で急速冷凍(snap−frozen)した。全RNAを、RNAstat60(Molecular Research Center)を用いて、製造会社の指示に従って抽出し、そしてヌクレアーゼフリーで、−80℃で保存した。cDNA合成のために、RNAを10ユニットのDNaseI(Boehringer Mannheim)と、RNasin(Promega)の存在下で、37℃で30分間インキュベートした。次いで試料を、95℃で10分間熱不活化し、冷却し、そしてSuperscriptII逆転写酵素(Gibco/BRL)で、ランダムヘキサマーを用いて、製造会社のプロトコールに従って逆転写した。プライマーは、Perkin Elmerから得たか、またはPrimer Expressソフトウェア(Perkin Elmer)で生成し、そしてDNAXプライマーコア設備で合成するかのいずれかであった。可能な場合にはいつでも、プライマーペアはイントロン/エキソン境界にまたがるように設計した。次いで試料を、製造会社(Perkin Elmer)に従って、ABI GeneAmp 5700配列検出システムおよびSYBRグリーン緩衝液を用いて、95℃で15秒間、続いて60℃で1分間の増幅を40サイクル行った。ハウスキーピング遺伝子ユビキチンのPCR増幅を、試料充填のコントロールとして、そして試料間の標準化を可能にするために、製造会社(Perkin Elmer)の指示に従って、各試料に関して行った。水およびゲノムDNAコントロールの両方を、特異性を保証するために含めた。各データポイントを、増幅プロットおよび分離曲線の分析によって、完全さに関して検査した。
【0078】
本明細書中の全ての引用は、個々の出版物または特許出願それぞれが明確にそして個々に参考として援用されると示されたと同じ程度に、本明細書中で参考として援用される。
【0079】
本発明の多くの改変および変更が、当業者に明らかなように、その精神および範囲から離れることなく行われ得る。本明細書中で記載された特定の実施形態は、例示のためだけに提供され、そして本発明は、添付の特許請求の範囲が権利を与えられる同等物の全範囲とともに、このような特許請求の範囲によって制限される;そして本発明は、本明細書中で例示として示された特定の実施形態によって制限されるべきではない。
[配列表]




【配列表フリーテキスト】
【0080】
配列番号1は、霊長類のIL−174ポリヌクレオチド配列を提供する。
配列番号2は、霊長類のIL−174ポリペプチド配列を提供する。
配列番号3は、マウスのIL−174ポリヌクレオチド配列を提供する。
配列番号4は、マウスのIL−174ポリペプチド配列を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレルギー障害または炎症障害を有する患者を処置するための医薬の製造におけるIL−174アンタゴニスト抗体の使用。
【請求項2】
前記炎症障害が皮膚炎または喘息性炎症である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記アレルギー障害が、
(a)肺アレルギー;
(b)全身性アナフィラキシー応答;
(c)皮膚過敏症;および
(d)食物アレルギー;
からなる群より選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記IL−174アンタゴニスト抗体が、a)ポリクローナル抗体;b)モノクローナル抗体;c)抗体フラグメント;またはd)ヒト化抗体を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記IL−174アンタゴニスト抗体が、ヒトIL−174ポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体であるか、または、前記IL−174アンタゴニストが、該モノクローナル抗体の結合フラグメントである、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記IL−174アンタゴニスト抗体が、配列番号2の1位のアミノ酸Try〜145位のアミノ酸Glyを含むヒトIL−174ポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体であるか、または、前記IL−174アンタゴニストが、該モノクローナル抗体の結合フラグメントである、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
アレルギー障害または炎症障害を有する患者を処置するための、IL−174アンタゴニスト抗体を含む医薬。
【請求項8】
前記炎症障害が皮膚炎または喘息性炎症である、請求項7に記載の医薬。
【請求項9】
前記アレルギー障害が、
(a)肺アレルギー;
(b)全身性アナフィラキシー応答;
(c)皮膚過敏症;および
(d)食物アレルギー;
からなる群より選択される、請求項7に記載の医薬。
【請求項10】
Th2媒介状態の処置において使用するための、IL−174アンタゴニスト抗体。
【請求項11】
IL−4、IL−5、IL−13、エオタキシンまたはCCR4の産生を抑制する、請求項10に記載のIL−174アンタゴニスト。
【請求項12】
前記処置が肺または線維症に対する好酸球の誘引をブロックする、請求項10に記載のIL−174アンタゴニスト。
【請求項13】
前記IL−174アンタゴニスト抗体が、a)ポリクローナル抗体;b)モノクローナル抗体;c)抗体フラグメント;またはd)ヒト化抗体を含む、請求項10〜12のいずれか1項に記載のIL−174アンタゴニスト。
【請求項14】
前記IL−174アンタゴニストが、IL−174に対するモノクローナル抗体である、請求項10〜13のいずれか1項に記載のIL−174アンタゴニスト。
【請求項15】
前記IL−174アンタゴニストが、ヒトIL−174ポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体であるか、または、該IL−174アンタゴニストが、該モノクローナル抗体の結合フラグメントである、請求項14に記載のIL−174アンタゴニスト。
【請求項16】
前記IL−174アンタゴニストが、配列番号2の1位のアミノ酸Try〜145位のアミノ酸Glyを含むヒトIL−174ポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体であるか、または、該IL−174アンタゴニストが、該抗体の結合フラグメントである、請求項15に記載のIL−174アンタゴニスト。
【請求項17】
Th2媒介状態の処置において使用するための、IL−174アンタゴニスト抗体を含む医薬。
【請求項18】
前記処置が肺または線維症に対する好酸球の誘引をブロックする、請求項17に記載の医薬。
【請求項19】
前記IL−174アンタゴニストが、a)ポリクローナル抗体;b)モノクローナル抗体;c)抗体フラグメント;またはd)ヒト化抗体を含む、請求項17または18に記載の医薬。
【請求項20】
前記IL−174アンタゴニストが、IL−174に対するモノクローナル抗体である、請求項19に記載の医薬。
【請求項21】
前記IL−174アンタゴニストが、ヒトIL−174ポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体であるか、または、該IL−174アンタゴニストが、該モノクローナル抗体の結合フラグメントである、請求項20に記載の医薬。
【請求項22】
前記IL−174アンタゴニストが、配列番号2の1位のアミノ酸Try〜145位のアミノ酸Glyを含むヒトIL−174ポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体であるか、または、該IL−174アンタゴニストが、該抗体の結合フラグメントである、請求項21に記載の医薬。

【公開番号】特開2011−219501(P2011−219501A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−172391(P2011−172391)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【分割の表示】特願2001−576883(P2001−576883)の分割
【原出願日】平成13年4月17日(2001.4.17)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】