説明

サイトカイン混合物によりHLAクラスIIの腫瘍細胞表面の発現をモジュレートするための方法

【課題】腫瘍細胞表面でのHLA(ヒト白血球抗原)クラスIIの発現をモジュレートすること
【解決手段】IL−2に対するIL−1β、IL−2に対するTNF−α、IL−2に対するIFN−γおよびIL−2に対するGM−CSFの特定比を有するIL−1β、TNF−α、IFN−γ、GM−CSFおよびインターロイキンー2(IL−2)の群から特定のサイトカイン比を有する、無血清および無ミトゲン混合物により、腫瘍浸潤単核細胞の組成を変え、CD4/CD8比を高め、腫瘍支質/上皮の比を高め、腫瘍細胞表面でのHLA(ヒト白血球抗原)クラスIIの発現をモジュレートするための方法である。特定のサイトカイン比を有する、無血清および無ミトゲン混合物は、ガン治療のための他の医薬と共に、または他の医薬と組み合わせて更に使用でき、ガン治療の成功率およびガン患者の無病生存率を高めることができる、白血球インターロイキン、注射剤すなわちMultikine(登録商標)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願または本特許は、カラーで示された少なくとも1つの図を含み、リクエストし、必要な料金を支払えば、特許庁によりカラー図面と共に本願または本特許出願の公開明細書のコピーが提供される。
【0002】
導入部
本発明は、IL−1β、TNF−α、IFN−γ、GM−CSFおよびIL−2に対するIL−1β、TNF−α、IFN−γ、GM−CSFの特定の比を有するインターロイキン−2(IL−2)の群からの、特定のサイトカイン比を有する無血清および無ミトゲン混合物による腫瘍浸潤単核細胞の組成を変え、CD4/CD8比を大きくし、腫瘍支質/上皮の比を大きくし、腫瘍細胞表面上のHLA(ヒト白血球抗原)クラスIIの発現をモジュレートするための方法に関する。サイトカイン比を含む無血清および無ミトゲン混合物として、白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)を挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
免疫回避の機構は、腫瘍免疫学における主要な関心事である。抗原モジュレーション、抗原マスクだけでなく、ブロック因子、遺伝子因子の発生により、または腫瘍生成物または成長因子が存在すること、または存在しないことにより、免疫システムのエフェクタアームを免疫遺伝ネオプラズマが回避しているように見える。
【0004】
免疫学的回避の決定的要素は、腫瘍細胞上のHLAクラスIIの発現である可能性がある。HLAクラスIIの分子はCD4T−リンパ球による抗原提示および認識のプロセスに重要な役割を果たす。これらの発現はホスト免疫適格細胞による腫瘍除去に必要な重要な共通因子の存在または不存在を表すことができる。ほとんどのヒト自己免疫疾患のターゲット組織だけでなく、特定のガンおよび活性化されたIL−2、レセプタ発現T−リンパ球でもHLAクラスIIの発現が見られる。自己免疫疾患の局部的サイトおよび特定のタイプのガンがHLAクラスIIを過剰に発現させる結果となるという見解は、組織の抗原提供能力が自己抗原反応性T−リンパ球を連続的に再活性することにより自己免疫疾患、またはガンが進行する機構に大幅に寄与することを示唆している。
【0005】
グレーブス病の甲状腺炎のような自己免疫条件は、自己抗原反応性T−リンパ球を再活性するように見え、ここでインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)は、甲状腺でのクラスIIの発現を誘導する(フェルドマン外論文、「ヒト自己免疫疾患に関係する分子機構:慢性抗原提示クラスIIの発現およびサイトカイン生成の対応性」、免疫サプルメント、2:66−73(1989年))。チロサイト(甲状腺物質)は、次にクラスIIの抗原を発現し、グレーブス病患者の甲状腺組織からクローン化されたT細胞へ自らの自己抗原を提供する。
【0006】
ガンでは、腫瘍成長因子と破壊因子とのバランスが腫瘍に有利になったときに、免疫回避が生じるように見える。免疫回避に寄与し得る要因として、腫瘍の運動力学、抗原モジューレーション、抗原マスクおよびブロック要因を挙げることができる。例えば抗原モジューレーションは免疫システムのエフェクタ細胞が認識するターゲット抗原を除くことにより、回避を促進する。免疫治療中組織移植片に関して異腫の抗体を投与するときにこのことが生じることが知られている。特定の分子が腫瘍細胞の表面に結合しており、腫瘍抗原をマスクし、よって攻撃リンパ球の付着を防止するので、エフェクタ細胞からの腫瘍の回避も生じ得る。
【0007】
抗原を除く腫瘍生成物の免疫応答の破壊も生じさせ得る。かかる生成物として、プロスタグランディンおよび炎症応答および走化性および補体カスケードを損なうように働くその他の体液性要因を挙げることができる。免疫制御から腫瘍が回避する能力は、免疫系の有効性と回避を促進する種々の要因とのバランスによって決まり得る。
【0008】
主な組織適合性の座に関し、HLAクラスIの抗原およびHLA−DR、CD44およびICAM−1(細胞間付着分子−1)のような他の分子の発現の分子的変化が腫瘍の進行に影響し得ることに注目されたい。興味深いことに、特定の細胞表面の抗原の存在または不存在は、特定タイプのガンに対する治療後の不良な予後と関係している。例えばいくつかのグループは腫瘍細胞表面におけるHLA−クラスIの抗原の除去が膀胱ガンの、より活性的な挙動に関係しているとレポートしている(クライン外著、「固体腫瘍におけるHLA−クラスIの抗原の発現」、Isr J Med Sci 32:1238〜1243ページ(1996年);ノウリ AM外著、「インターフェロンに応答した腫瘍細胞系によるMHC抗原の誘導」、Eur J Cancer 28(A):1110〜1115ページ(1992年);ノウリ外著、「ヒト膀胱腫瘍およびヒト腫瘍細胞系に対する付着分子の防御的発現」、Urol Int 56:6〜12ページ(1996年);ノウリ A外著、「過渡的細胞ガンにおける免疫制御分子の選択的および非選択的喪失(HLA−A,B,C抗原およびLFA−3)」Br J Cancer 62:603〜606ページ(1990年)。その他の研究からのデータは、ターゲット(腫瘍)細胞に対するMHC−クラスIの抗原または同時刺激分子の発現の欠如、FasL発現または信号欠陥は、口腔鱗状細胞ガンに対する欠陥のある免疫応答にも寄与し得ることを示している(クルーズ外著、「ネオプラスチック細胞でのMHC−クラスIの表面発現の欠如、および口腔鱗状細胞ガンにおける細胞毒性細胞の分泌経路の不良活性」、Br J Cancer 81:881〜889ページ(1999年);ラング外著、「インサイトおよび生体内における頭部および頸部ガンにおけるT細胞活性の障害」、Arch Otolaryngol Head Neck Surg 125:82〜88ページ(1999年);ホフマン外著、「頭部および頸部ガンを有する患者内の循環Tリンパ球の突発的アポトーシスおよびその臨床的重要性」、Clin Cancer Res 8:2533〜2562ページ(2002年);クス外著、「エフェクタCD8+CD45RO−CD27−T細胞は頭部および頸部の鱗状細胞ガンを有する患者での信号欠陥を有する」、Br J Cancer 88:223〜230ページ(2003年))。
【0009】
主な組織適合性複合体(MHC)クラスIIの分子も、腫瘍の進行に影響を与えるようである。MHC遺伝子生成物2つのクラスに分けることができる。クラスIの生成物は、全ての有核細胞で見られるが、クラスIIの生成物は免疫系の細胞で見られる。HLA−DRすなわちクラスIIのMHC分子は、抗原信号の処理に関係し、頭部および頸部からの鱗状細胞ガンの表面で発現する。主な組織適合性複合体(MHC)クラスII分子は免疫信号を発生し、これら免疫学的に活性な抗原の量をモジュレートする役割を果たす。
【0010】
正常な細胞がガン細胞に変わるとき、細胞表面上の抗原も変化し得る。これら新規な抗原または変化した抗原は、細胞毒性T細胞、天然キラー細胞およびマクロファージを含む免疫ディフェンダーである受容体の制御まで衰えさせる。逆に、腫瘍細胞は特定の分子を発現させることにより監視を回避できる。
【0011】
免疫回避に対する起こり得る別の機構は、同時刺激信号を発現しないことによる細胞の免疫低下である。CD4T−細胞をフルに活性化するには2つの信号が必要であるようである。T−細胞レセプタ(TCR)を通して最初の信号が受信されるとき、同時刺激細胞が存在しない結果、細胞の免疫低下が生じる。悪性細胞がMHC−クラスIIの抗原を与え、よってCD4T−細胞による増殖的非応答性を生じさせるような、必要な同時刺激信号がないときに、細胞の免疫低下を誘発するような場合にこのような状況が生じ得る。
【0012】
通常、T−細胞活性における事象の過程、抗原固有の免疫応答を誘導するのに、抗原を提供する細胞(APC)と抗原固有のT−細胞との間の細胞間の相互作用の3つの異なるステージを有する。まず第1のステージにおいて、細胞表面のリガンドと接着レセプタとを介した循環組織およびリンパ組織の双方で、APCとT−細胞がランダムに相互作用するときに接着が生じる。第2のステージで、APCがMHCに関連し、十分な量の固有のペプチド抗原を処理し、トランスポートし、提供できる場合に認識が生じる。次に、T−細胞レセプタ(TCR)を介し、T−細胞により抗原MHC(またはヒトHLA内の)複合体が認識される。細胞間タンパク質から誘導される内因性ペプチドは一般に(ヒトHLA−A、BまたはC内の)MHCクラスIで提供されるが、一方、循環タンパク質から誘導される外因的に処理されるペプチド抗原は、一般に(ヒトHLA−DR、DPまたはDQにおける)MHCクラスIIで提供される。第3の段階では、TCRを提供するT−細胞と、活性を高める追加信号との結合によりT−細胞が活性化された後に、同時刺激が生じ得る。
【0013】
活性化されたTリンパ球によって生成されるインターロイキン2は、T細胞、B細胞およびNK細胞の増殖を刺激し、リンホカインの生成を誘導する。MHCIIに関連する抗原に対応するヘルパーT細胞によるインターロイキン2の分泌は腫瘍細胞に向いた細胞毒T細胞およびMK細胞の活性化に対する主な刺激を提供するようである。例えばIL−2で培養されたリンパ細胞は、腫瘍細胞を溶解できる。これら活性化された細胞は、リンホカイン活性化キラー細胞として知られている。
【0014】
多数のフェーズIの臨床試験で、インターロイキン2を体系的に投与した。頭部および頸部の再発した手術不能な、鱗状細胞ガンの患者に、インターロイキン2をパイロット臨床試験したことがレポートされている(デステファーニ外著、「リンパ周辺インターロイキン2による口腔および咽頭鱗状細胞ガンの治療:臨床および病理学的相関性」、J Immunother 19:125〜133ページ(1966年))。評価された5つのケースのうち、4人の患者において腫瘍の部分的または完全な消散が記載されているが、以前、機能的または根本的な頸部の切除を受けた患者では、反応は記載されていない。このことは、排出リンパ節が除かれ、局部的なリンパ応答がなくなったことに起因するものであると理論づけられた。多くの病理学的状態、例えば感染、ガン、自己免疫疾患などは、特定の分子の不適切な発現を特徴とするものであり、これら分子は特定の病理学的状態、すなわち異常状態に対するマーカーとして働く。このような証拠は、免疫抑制病として頭部および頸部のガンの特徴を支持するものであり、この病気では、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、それに続く近位リンパ節リンパ球(LNL)、遠位LNLおよび周辺血液リンパ球(PBL)により免疫反応性が最大に抑制される。
【0015】
PBLのカウント数は細胞免疫性と相関性があり、頭部および頸部のガンを有する患者に対し、予後判定の関係を有するように見える。細胞を媒介した免疫系の最も複雑な評価は、リンパ球の反応性をモニタする方法である。これらテストは、in vitroの評価であり、患者のリンパ球に種々の刺激を与えるテストである。これら刺激は、Tリンパ球の総数を減少させるような、従って頭部および頸部ガン患者におけるT細胞およびB細胞のレベルを絶対的に減少させる、共通するリコール抗原、固有の腫瘍抗原または非特定刺激から成り得る。更に、この絶対T細胞カウントは、病気の進行と共に減少する。頭部および頸部ガン患者では、リンパ球の刺激の減少も生じる。
【0016】
腫瘍内のCD4/CD8比も、頭部および頸部のガンに影響するようである。Tヘルパー細胞に見られるCD4分子は、樹皮状細胞、単球、マクロファージおよびB細胞で見られるII HLAマーカーを認識し、これらを結合し、より多くのリンパ球、例えばIL−2を分泌させるよう、Tヘルパー細胞に対する信号を伝達する。Tキラー細胞で見られるCD8分子は、クラスI HLAマーカーを認識し、これを結合し、タンパク質、例えば異物細胞の膜に孔をパンチングし、直接異物細胞の溶解および死を生じさせるペルフォリンを分泌するように、Tキラー細胞に対する信号を伝達する。
【0017】
口腔鱗状細胞ガンに対して成功する免疫応答を得るには、本来低い腫瘍内CD4/CD8比を反転させなければならない。特に固体腫瘍内のCD4細胞に対するCD8の圧倒性は、口腔鱗状細胞ガンに対して特異的ではない。基底細胞ガン、子宮頸ガン、乳癌において、同様な低いCD4/CD8比がレポートされている(ローバッハ外著、「眼底細胞ガンの免疫学および成長の特徴」、Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 239:35〜40ページ(2001年);サンティン外著、「腫瘍浸潤リンパ球は子宮頸部のガン患者における腫瘍排出リンパ節および周辺血液からのリンパ球と比較して、より数の多いタイプ1のサイトカイン発現因子およびDRT細胞を含む」、Gynecol Oncol 81:424〜432ページ(2001年);ムルタ外著、「ネオアジュバント化学治療を受けた、進行した乳癌患者におけるリンパ球の部分母集団」、Tumori 86:403〜407ページ(2000年))。
【0018】
他方、高いパーセントのCD4T細胞または大きいCD4/CD8比は、メラノーマ、B細胞非ホジキンリンパ腫、腎臓細胞ガンおよび子宮頸ガンに対する良好な予後または応答との相関性がある(ヘッカンソン外著、「悪性メラノーマにおける腫瘍浸潤リンパ球およびインターフェロンアルファ治療に対する応答」、Br J Cancer 74:670〜676ページ(1996年);アンセル外著、「大きいB細胞非ホジキンリンパ腫へのCD4T細胞免疫応答は、患者の結果を予測する」、J Clin Oncol 19:720〜726ページ(2001年);イガラシ外著、「腎臓細胞ガン患者におけるインターフェロン治療の予後および感受性に対する腫瘍浸潤リンパ球のサブセットの効果」、Urol Int 69:51〜56ページ(2002年)、シュー外著、「腫瘍浸潤リンパ球のCD4/CD8比の逆転はヒト頸部ガンの進行に相関性がある」、Cancer 86:1537〜1543ページ(1999年))。
【0019】
CD4T細胞は、抗原抵抗細胞を刺激し、免疫学的メモリを維持するか、またはあるケースではサイトカインの分泌または直接的な細胞溶解によってエフェクタ機能を奏することにより、CD8CTLに対する援助を提供して、抗腫瘍免疫を開始し、維持する中心的な役割を果たすようでもある(ゲーデゲブール外著、「ヒト固体腫瘍におけるCD4腫瘍浸潤リンパ球の役割」、Immunol Res 14:119〜131ページ(1995年);ハン外著、「抗腫瘍免疫応答におけるCD4T細胞の中心的役割」、J Exp Med 188:2357〜2368ページ(1998年);ガオ外著、「完全機能的腫瘍キラー細胞に対してメモリCD8T細胞を活性化するには抗原固有のCD4T細胞の援助が必要」、Cancer Res 62:6438〜6441ページ(2002年))。
【0020】
頭部および頸部ガンにおける領域的免疫反応性に関し、ベリンガー氏外は、84人の頭部および頸部ガン患者からのリンパ節の形態学的パターンを評価し、これらの所見と生存者とを関連づけた。この場合、リンパ節が活発な免疫学的応答を示した患者は、生存期間が長かった(ベリンガー外著、「免疫生物学耳鼻咽喉学第3版」フィラデルフィア:ハーコートブレースジャボノヴィッチ出版社:741〜745ページ(1991年))。他方、リンパ節が欠損していたか、または無刺激パターンを有する患者は、5年しか生存しなかった。これら結果は、頭部および頸部の悪性ガンでは、領域的免疫反応性と生存率との間の関係を明らかに示している。これらの結論は、特定のサイトカインの影響を受けることにより、腫瘍細胞が特定の表面抗原を発現することによるものと思われる。
【0021】
頭部および頸部悪性ガン患者における体系的な免疫の研究の多くから、免疫学的機能が低下する証拠を得た。このような変化は、疾病素因条件に起因するものであるか、または悪性ガン事態の機能であるかは分からない。免疫治療はガン細胞を破壊するのに免疫学的エフェクタ機構の活性化を使用するガン治療に対する比較的特殊なアプローチであると考えられているが、これらの目標を達成するためにいくつかの実行可能な免疫を用いた治療戦略が存在する。これら治療戦略のうちの1つとして、抗ガン免疫エフェクタ機構を補強するためにサイトカインを使用する方法がある。(ティマー外著、「腫瘍の実験的ガン転移III.ターゲットアレイおよび組み合わせ治療」Pathol Oncol Res 9:49〜72ページ(2003年);ホワイトサイド TL、「頭部および頸部ガンの免疫生物学的および免疫治療」、Curr Oncol Rep 3:46〜55ページ(2001年))。
【0022】
別の実現可能な免疫治療戦略は、OSCCの外科的切除を行う前に、ネオアジュバント免疫生体治療として導入された局部的なIL−2治療により、抗ガン免疫エフェクタ機構を評価するためにサイトカインを使用する。一部の治療処置は、組み換えヒトIL−2(rhIL-2)を使用するが、別の方法は、頭部ガンおよび頸部ガンを含む異なる腫瘍のタイプにおいて、天然白血球誘導IL−2調剤を使用する(バレラ外著、「頭部および頸部の鱗状細胞ガンの組み合わせ免疫治療」、Arch Otolaryngol Head Neck Surg 126:345〜351ページ(2000年);コルテシナ外著、「頭部および頸部ガンにおける腫瘍排出リンパ節のまわりに注射したインターロイキン−2」、Head Neck 13:125〜131ページ(1991年);デ ステファーニ外著、「リンパ周辺インターロイキン−2による口腔および咽頭鱗状細胞眼の治療:臨床的および病理学的相関性」、J Immunother 19:125〜133ページ(1996年);リヴォルチーニ外著、「頭部および頸部ガン患者の頸部リンパ節におけるリンパ周辺活性化されたキラー細胞および腫瘍細胞毒T細胞の生体内インターロイキン−2で誘導された活性化」、Cancer Res 50:5551〜5557ページ(1990年))。
【0023】
しかしながら、データは局部的なrhIL−2投与に対し、極めて変化し得る応答レートを示す(6〜65%)(ヴロック外著、「頭部および頸部の進行した鱗状細胞ガン患者におけるインターロイキン−2の腫瘍周辺およびリンパ節内の注射の効果のフェーズIbの試行:東部協力ガン研究グループの試行」、J Immunother 15:134〜139ページ(1994年))。OSCC患者にrhIL−2を局部的に投与する特定のフェーズIIIの試行の結果、無病生存率が大幅に高まるだけでなく、全体の生存率も高くなった(デ ステファーニ外著、「口腔および咽頭の再切除可能な鱗状細胞ガン患者におけるリンパ周辺インターロイキン−2による生存率の改善」、Cancer 95:90〜97ページ(2002年))。rhIL−2で治療された頭部および頸部ガン患者から得られた腫瘍組織の履歴的検査により、病巣のネクロシスと臨時的好酸球浸潤とが並行するT細胞のサブセットの増加を示した(ホワイトサイド外著、「頭部および頸部の進行鱗状細胞ガン患者におけるインターロイキン−2の腫瘍周辺への注射による、腫瘍細胞の局部的およびシステム上の活性化に対する証拠」、Cancer Res 53:5654〜5662ページ(1993年);デ ステファーニ外著、「リンパ周辺インターロイキン−2による口腔および咽頭の鱗状細胞ガンの治療:臨床および病理学的相関性」、J Immunother 19:124〜133ページ(1996年);ヴァレンテ外著、「組み換えインターロイキン2のリンパ周辺注射を受けた患者からの、頭部および頸部鱗状ガン細胞における浸潤性白血球集団およびT−リンパ球サブセット」、Mod Pathol 3:702〜708ページ(1990年))。
【0024】
天然IL−2を含む天然に生じたサイトカインの混合物によるその他のフェーズIIの臨床試験は、30〜50%の応答レートを呈した(バレーラ外著、「頭部および頸部の鱗状細胞ガンの組み合わせ免疫治療」、Arch Otolaryngol Head Neck Surg 126:345〜351ページ(2000年);ハーデン外著、「頭部および頸部の鱗状細胞ガン患者におけるIRX−2の試行」、Int Immunopharmacol 8:1073〜1081ページ、(2003年);メネセス外著、「手術前に天然のリンパ周辺サイトカイン混合物(IRX−2)を受けた、頭部および頸部の鱗状細胞ガン患者における組織学的見解」、Arch Pathol Lab Med 122:447〜454ページ(1998年);ヴェラステギ外著、「天然サイトカイン混合物(IRX−2)および免疫抑制による干渉は、免疫の分離および頭部および頸部ガンの再発を誘導する」、Int J Immunopharmacol 19:619〜627ページ(1997年))。
【0025】
組織病理学分析は、(IL−2を含む)この天然のサイトカイン混合物が圧倒的に腫瘍組織のTリンパ球浸潤を誘導し、投与量に応じた腫瘍の断片化を生じさせたことを示した。より少ない投与量のLI(Multikine(登録商標)としても知られる白血球インターロイキンの注射剤LI)によるその他のフェーズIIの試験は同様な応答レートを示し、腫瘍細胞巣のCD3/CD25Tリンパ球浸潤および細胞サイクルへのガン細胞の進入を誘導した。(ティマール外著、「単核細胞の腫瘍周辺および腫瘍内サブ集団並びに皮下腫瘍に対する白血球インターロイキンすなわちインジェクション(Multikine)治療の効果:口内ガンにおける放射線治療および化学治療に対する感受性を高めるための新しい可能なアプローチ−マルチセンターフェーズI/IIの臨床試験」、Laryngoscope 113:2206〜2217ページ(2003年))。
【0026】
(IL−2を含む)天然サイトカインの混合物による局部的治療は、OSCCの治療に対する別の実現可能なアプローチである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
従って、特に、腫瘍が単核細胞に浸潤し、CD4/CD8の比を高め、腫瘍支質/上皮の比を高め、及び好適に作用する免疫能力を含み、導く無血清及び無ミトゲン混合物を自然発生させる腫瘍細胞に発現する他のクラスIIをモジュレートすることに関係するため腫瘍細胞浸潤の関係を決定し、モジュレートする必要がある。
【0028】
かかる方法と組み合わせたOSSCの従来の治療(外科的手術とその後の放射線治療)およびかかる治療の安全かつ有効な管理を生じさせる適切な投与をする前に、ネオ免疫アジュバント免疫治療も望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、IL−2に対するIL−1β、IL−2に対するTNF−α、IL−2に対するIFN−γおよびIL−2に対するGM−CSFのサイトカインの特定比を含む、無血清および無ミトゲン白血球インターロイキンの注射(LI)混合物、すなわちMultikine(登録商標)により、腫瘍浸潤単核細胞の組成を変え、CD4/CD8比を高め、腫瘍支質/上皮の比を高め、腫瘍細胞表面でのHLAクラスIIの発現をモジュレートするための方法に基づく。
【0030】
本発明の実施例では、腫瘍浸潤単核細胞の組成を変え、CD4/CD8比を高め、腫瘍支質/上皮の比を高め、腫瘍細胞表面でのHLAクラスIIの発現をモジュレートするための方法は、約20IU〜12000IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)の範囲で、2週間にわたり、1週につき3回、投与する前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物に関する。別の実施例では、約20IU〜12000IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)の範囲で、3週間にわたり、1週につき5回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する。
【0031】
本発明の特定の用途は、1週間に5回、3週間にわたって腫瘍周辺に特定の1日の総投与量の白血球インターロイキンの注射液(LI)、すなわちMultikine(登録商標)を投与することを含む。この1日の総投与量を、IL−2として200、400、800、1200、1600、2400、3200、4800、8000、9600および12000IU/mLとすることができ、ここでIUは、世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す。
【0032】
別の実施例では、特定の用途は1週間に5回、3週間にわたって1日の総投与量の半分の白血球インターロイキンの注射液(LI)、すなわちMultikine(登録商標)を腫瘍周辺に投与し、1日の投与量の半分をリンパ周辺に投与することを含む。この1日の総投与量は、IL−2として200、400、800、1200、1600、2400、3200、4800、8000、9600および12000IU/mLとすることができ、ここでIUは、世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す。総投与量の半分は、腫瘍周辺への投与量であり、ここでこの腫瘍周辺の投与は腫瘍塊部のまわりの少なくとも4つの異なる場所に注射される。したがって、800IU/mLが1日の総投与量である場合、腫瘍周辺への注射として、400IU/mLが腫瘍塊部のまわりの4つの異なる場所に注射され、各場所にIL−2として約100IU/mLを受けるように、4つの場所の各々に、腫瘍周辺投与量の4分の1が注射されることになる。目視できる/触知可能な腫瘍塊部の周辺マージン部の皮膚内にLIを投与する。しかしながら、本発明は4つの場所だけに限られているわけではなく、4以下または4以上の場所も、本発明では可能である。IL−2として800IUの総投与量の残りの半分である400IUを、同じ往診時に腫瘍箇所と同じ側のリンパ周辺に逐次投与する。このリンパ周辺の注射は、注射する腫瘍塊部と同じ側にある首のリンパ鎖の領域内の前方の下顎領域に行う。
【0033】
本発明の更に別の実施例は、IL−2に対するIL−1βの比(IL−1β/IL−2)が、0.4〜1.5の範囲、好ましくは0.7±0.1であり、IL−2に対するTNF−αの比(TNF−α/IL−2)が3.2〜11.3の範囲、好ましくは9.5±1.8であり、IL−2に対するIFN−γの比(IFN−γ/IL−2)が1.5〜10.9の範囲、好ましくは6.0±1.1であり、IL−2に対するGM−CSFの比(GM−CSF/IL−2)が2.2〜4.8の範囲、好ましくは4.0±0.5となるようなインターロイキン2(IL−2)に対する特定比のサイトカインを有する白血球インターロイキンの注射(LI)を含む。
【0034】
特定の用途では、無血清および無ミトゲンサイトカイン調剤、すなわち医薬組成物は、次の異なるサイトカインおよびその他の少量の生物学的に活性な分子を含み、前記少量の生物学的に活性の分子の各々の比は、IL−2に対するIL−3の比が0.38〜0.68の範囲、好ましくは0.53±0.15となり、IL−2に対するIL−6の比が37.2〜53.8の範囲、好ましくは46±5.9となるようなり、IL−2に対するIL−8の比が261〜561.6の範囲、好ましくは411±10.6となり、IL−2に対するIL−1αの比が0.56〜0.94の範囲、好ましくは0.75±0.19となり、IL−2に対するIL−10の比が2.82〜3.22の範囲、好ましくは3.0±0.18となり、IL−2に対するIL−16の比が1.16〜2.84の範囲、好ましくは1.84±0.68となり、IL−2に対するG−CSFの比が2.16〜3.78の範囲、好ましくは2.97±0.81となり、IL−2に対するTNF−βの比が1.17〜2.43の範囲、好ましくは1.8±0.63となり、IL−2に対するMIP−1αの比が15.7〜37.16の範囲、好ましくは22.7±7.0となり、IL−2に対するMIP−1βの比が17.1〜28.5の範囲、好ましくは22.8±5.7となり、IL−2に対するRANTESの比が2.3〜2.7の範囲、好ましくは2.5±0.13となり、IL−2に対するEGFの比が0.267〜0.283の範囲、好ましくは0.275±0.008となり、IL−2に対するPGEの比が3.63〜5.42の範囲、好ましくは4.5±0.87となり、IL−2に対するTxBの比が23.47〜25.13の範囲、好ましくは24.3±0.83となるようになっている。IL−12は、微量しか存在せず、ここで微量とは100pg/mLまたはそれ未満と定義される。
【0035】
別の実施例では、HLAクラスIIの腫瘍細胞表面の発現をモジュレートする方法が提供され、この方法は、このモジュレートを必要とする患者に対し、IL−1β、TNF−α、IFN−γ、GM−CSF、インターロイキン−2(IL−2)の群から選択された特定比のサイトカインを含む、無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与することを含み、ここで、IL−2に対するIL−1β、TNF−α、IFN−γ、GM−CSFの特定の比は、
IL−2に対するIL−1βの比が、0.4〜1.5の範囲であり、
IL−2に対するTNF−αの比が3.2〜11.3の範囲であり、
IL−2に対するIFN−γの比が1.5〜10.9の範囲であり、
IL−2に対するGM−CSFの比が2.2〜4.8の範囲である。
【0036】
更に別の実施例では、CD4/CD8の比を増加する方法が提供され、この方法は、この比の増加を必要とする患者に対し、IL−1β、TNF−α、IFN−γ、GM−CSF、インターロイキン−2(IL−2)の群から選択された特定比のサイトカインを含む、無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与することを含み、ここで、IL−2に対するIL−1β、TNF−α、IFN−γ、GM−CSFの特定の比は、
IL−2に対するIL−1βの比が、0.4〜1.5の範囲であり、
IL−2に対するTNF−αの比が3.2〜11.3の範囲であり、
IL−2に対するIFN−γの比が1.5〜10.9の範囲であり、
IL−2に対するGM−CSFの比が2.2〜4.8の範囲である。
【0037】
更に別の実施例では、腫瘍浸潤単核細胞の組成を変更するための方法が提供され、この方法は、この変更を必要とする患者に対し、IL−1β、TNF−α、IFN−γ、GM−CSF、インターロイキン−2(IL−2)の群から選択された特定比のサイトカインを含む、無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与することを含み、ここで、IL−2に対するIL−1β、TNF−α、IFN−γ、GM−CSFの特定の比は、
IL−2に対するIL−1βの比が、0.4〜1.5の範囲であり、
IL−2に対するTNF−αの比が3.2〜11.3の範囲であり、
IL−2に対するIFN−γの比が1.5〜10.9の範囲であり、
IL−2に対するGM−CSFの比が2.2〜4.8の範囲である。
【0038】
別の実施例では、腫瘍支質/上皮の比を増加するための方法が提供され、この方法は、この増加を必要とする患者に対し、IL−1β、TNF−α、IFN−γ、GM−CSF、インターロイキン−2(IL−2)の群から選択された特定比のサイトカインを含む、無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する方法であり、ここで、IL−2に対するIL−1β、TNF−α、IFN−γ、GM−CSFの特定の比は、
IL−2に対するIL−1βの比が、0.4〜1.5の範囲であり、
IL−2に対するTNF−αの比が3.2〜11.3の範囲であり、
IL−2に対するIFN−γの比が1.5〜10.9の範囲であり、
IL−2に対するGM−CSFの比が2.2〜4.8の範囲である。
【0039】
次の説明において、本発明の別の目的および利点を記載する。本明細書の一部をなす添付図面および表は、詳細な説明と共に本発明の原理を示し、説明するためのものである。当業者であれば、添付図面および次の詳細な説明を参照すれば、本発明の別の特徴が明らかとなろう。
【0040】
以下、添付図面を参照し、次の記載および特定の実施例により、本発明について更に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明は、IL−2に対するIL−1β、IL−2に対するTNF−α、IL−2に対するIFN−γおよびIL−2に対するGM−CSFの特別な比を含む無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物により、腫瘍浸潤単核細胞の組成を変え、CD4/CD8比を増加し、腫瘍支質/上皮比を高め、腫瘍細胞表面上のHLAクラスIIの発現をモジュレートするための方法に関する。かかる新規なサイトカイン混合物は、免疫モジュレート能力を証明した白血球インターロインキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)である。ガン患者における免疫抑制の臨床的重要性は、腫瘍浸潤単各細胞の組成、CD4/CD8比、腫瘍支質/上皮比および腫瘍細胞表面上のHLAクラスIIの発現に予期しない影響を与える。特に2週間の間に1週間につき3回、または3週間の間に1週間につき5回、腫瘍周辺に200、400、800、1200、1600、2400、3200、4800、8000、9600および12000IU/mLの白血球インターロイキンの注射剤(LI)の量を投与すると、頭部および頸部ガンに対し、LIで最初に治療した患者において、腫瘍浸潤単各細胞の組成が変わり、CD4/CD8比が増加し、腫瘍支質/上皮比が増加し、腫瘍細胞表面でのHLAクラスIIの発現がモジュレートされた。
【0042】
例えば800IU/mLの総投与量に対し、腫瘍マス部の周りの4つの異なる場所にIL−2として100IU/mLを注射することにより、ガン治療中の腫瘍周辺の投与を実行する。ここで、腫瘍周辺に400IU/mLを注射するが、4つの場所の各々に腫瘍周辺投与量の4分の1を注射する。次に全投与量の残りの半分を同じ往診時に腫瘍の場所に対し、リンパ周辺の同じ側に投与する。注射する腫瘍マス部に対し、同じ側の頸静脈リンパ鎖の領域内の後方下顎骨領域にある1つの場所で、リンパ周辺注射を行う。
【0043】
定義
IL−2―インターロイキン2(IL−2):CD4ヘルパーTリンパ球(以前、T細胞成長因子として知られていた)により合成された15.5−kDのグルコプロテイン。IL−2はCD4Tリンパ球を生成する、このCD4Tリンパ球および(Bリンパ球、CD8Tリンパ球、NK[天然キラー]細胞およびその他を含む)免疫系のその他の細胞に働く自己分泌作用を有する。
【0044】
IL−1β−インターロイキン1ベータ(IL−1β):循環時にフリー形態で活性化された単核食細胞によって合成された17−kDサイトカインが発見されており、このサイトカインは炎症性応答を媒介する。これはCD4Tリンパ球に作用し、その増殖の促進を援助ると共に、成長および分化因子としてBリンパ球に作用する。更に、単核食細胞によるIL−6の合成も誘導する。
【0045】
TNF−α−腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α):循環内で三量体フォームで存在する、特に刺激を受けたモノサイト、マクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、NK細胞によって合成された157アミノ酸(aa)残基プロテインである。TNFは直接的な抗腫瘍作用を媒介し、腫瘍細胞の溶解を生じさせ、白血球の漸増を促進し、血管形成を誘導し、フィブロブラストの増殖を促進する。
【0046】
IFN−γ−インターフェロンガンマ(IFN−γ):活性化されたTリンパ球およびNK細胞によって合成された、21−24−kDグルコプロテインホモ二量体は、細胞間微生物および腫瘍細胞を破壊するための単球の協力な活性剤である。これは直接的な抗生活動度および抗生増殖活動度を有し、多くの細胞タイプにクラスIIのMHC(主要な組織適合性複合体)細胞表面分子複合体を発現させるだけでなく、クラスIのMHCの発現も高める。
【0047】
GM−CSF−顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF):マクロファージおよびTリンパ球、フィブロブラストおよび皮下細胞によって生成される循環内の単量体として発見されるA127aaプロテインである。これは造血細胞に対する成長因子であり、骨髄単球のライン化の成長および分化を刺激する。
【0048】
IL−3−インターロイキン―3(IL−3):活性化されたCD4Tヘルパーリンパ球によって合成された20−kDリンホカインは、一部の造血細胞の増殖を容易にし、かつTリンパ球の増殖および分化を促進することにより、コロニー刺激因子として働く。
【0049】
IL−6−インターロイキン―6(IL−6):活性化されたTリンパ球、単核ファーゴサイト、皮下細胞およびフィブロブラストによって生成される26−kDサイトカインである。これは、多くの細胞に作用するが、活性化されたBリンパ球が抗体を分泌するプラズマ細胞内に分化できるようにするという特殊な機能を有し、深刻な段階のプロテイン(炎症応答で関係する)だけでなく、フィブリノゲンも形成する。
【0050】
IL−8−インターロイキン―8(IL−8):マクロファージおよび皮下細胞によって生成される8−kDプロテインである。好中球およびTリンパ球に対する強力な化学走性因子であり、皮下細胞への好中球の付着を促進する。
【0051】
IL−1α−インターロイキン1アルファ(IL−1α):
(IL−1βに類似した)17−kDサイトカインは、活性単核ファーゴサイトによって合成された33−kDプリカーサ分子から分裂したものであり、循環内で稀に遊離フォームで発見され、膜に関連した物質として働く。炎症応答を媒介するようにIL−1βを補助する。
【0052】
IL−10−インターロイキン―10(IL−10):CD4およびCD8Tリンパ球、単球、マクロファージ、活性Bリンパ球およびケラチノサイトによって生成される18−kDポリペプチドである。特にT−1タイプの細胞に対する抗原を提供し、IL−6およびTNFを分泌するマクロファージの能力を抑制する。
【0053】
IL−16−インターロイキン―16(IL−16):CD8Tリンパ球、好酸球、肥満細胞および呼吸皮下細胞によって生成される14−kD四分割プロテインである。CD4Tリンパ球および単球に対する強力な化学走性誘引特性を有する。
【0054】
G−CSF−顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF):マクロファージ、皮下細胞、フィブロブラストおよび支質細胞によって生成される22〜25−kDのホモ二重体グルコプロテインである。骨髄内の顆粒球先祖細胞を増加し、血液の好中球の増加を維持する。微生物に感染した細胞および腫瘍細胞の破壊において、重要と見なされる強化された超酸化物生成を好中球が呈する能力も高める。
【0055】
TNF−β−腫瘍ネクロシス因子ベータ(TNF−β):活性化したリンパ球によって生成される25−kDプロテインである。これは、培地内の腫瘍細胞を殺すことができ、フィブロブラストの増殖を刺激する。更にTNF−αの他の作用にほとんど類似している。
【0056】
MIP−1α―マクロファージ炎症性プロテイン−1アルファ(MIP−1α):マクロファージおよび他の細胞によって生成された66−aa単一プロテインである。単球Tリンパ球および好酸球に対して化学的走性誘引性を有する。
【0057】
RANTES−Tリンパ球によって生成される8−kDプロテインであり、単球、Tリンパ球および好酸球に対して化学的走性誘引性があり、炎症を促進する。
【0058】
EGF―表皮成長因子(EGF):53−aa残基のトリスルフェート化されたポリペプチド。EGFはチロシンキナーゼ族のメンバーであり、ミトゲン応答の刺激および傷治療のアシストを含む多数の機能を有する。
【0059】
PGE―プロスタグランディンE(PGE):PGEはシクロオキシゲナーゼ酵素反応を通したアラキドン酸から誘導された生物学的に活性な脂質の族に属す。活性化された単球により解放され、Tリンパ球およびマクロファージ上のMHCクラスIIの発現をブロックする。
【0060】
TxB2―トロンボキサンB(TxB):TxBは酵素トロンボキサンシンテターゼを介したプロスタグランディンおよびエンドペロキシダーゼPGHの異性化により、ポリ不飽和脂肪酸から誘導された生物学的にアクティブな化合物のメンバーである。TxBは血栓塞栓症およびアナフィラキシー反応における生理学的な役割を有する。
【0061】
CD25細胞―CD25は単鎖グルコプロテインであり、インターロイキン2レセプタ(IL−2R)またはTac抗原のα鎖と称されることが多く、1モル重量が55kDaであり、活性化されたT細胞およびB細胞、並びに活性化されたマクロファージ上に存在する。これはIL−2に対するレセプタとして機能し、このCD25抗原はIL−2Rのβ鎖と共にIL−2に対する高親和性レセプタ複合体を形成する。
【0062】
HLA−DRリンパ球―リンパ球はヒトにおける主な組織適合性遺伝子座である染色体6の上に位置する白血球の遺伝子座に見られる糊シーケンスによって決定される多型グルコプロテインのグループであるヒト白血球抗原(HLA)−DR抗原を含む。
【0063】
IU(国際単位)−比重および強度の国際基準規格と比較することによる生物学的な調剤の効力の目安の単位。例えばヒトIL−2のためのWHO第1国際規格、86/504。これら国際単位は国際協力研究の努力によって発表され、誘導された生物学的な活動度の単位をレポートするための、単に認識され、標準化された方法に過ぎない。
【0064】
U(生物学的活動度の目安としての単位)−各研究所が基準として誘導した種々の単位の略語であり、作業を行った研究所ごとに独特なものである。各単位は研究所ごとに異なり、国際単位(IU)のようなグローバルに認められた規格ではない。
【0065】
USP―米国薬局方
【0066】
P―「p<0.01」:あらかじめ設定した条件下で生じる事象の確率レベルを示す数学的統計学の用語である。
【0067】
ANOVA(分散量の分析)―統計学および数学の教科書、例えば「エンジニアおよび化学者のための統計的方法のハンドブック」、ハリソン・M・ワッズワース Jr氏編、マックグローヒル社、1990年、および「健康研究データの統計学演算の分析」、ロバート・P・ヒルシュおよびリチャード・K・リーゲルマン両氏編、ブラックウェルサイエンス社、1996年に記載されているような単一因子分析。
【0068】
カイ平方(χ)分布―独立した標準的な通常のランダム分散量の平方の合計を検討することによって生じるサンプル分散量分析。ここで、独立した標準的な通常のランダム分散量の平方を合計する結果、nの自由度を有するカイ平方(χ)分布が得られる。
【0069】
白血球インターロイキンの注射剤(LI)
製造プロセスにおいて、ステップ−勾配遠心分離により、ヒトのドナー「バフィーコート」から単核細胞を分離し、PHAと共に培養し、米国特許第5,093,479号、第4,390,623号、第4,388,309号、第4,406,830号、第4,661,447号、第4,681,844号および第4,464,355号(これらはいずれも本明細書で参考例として援用する)に開示されているように培地内のドナー白血球からのIL−2およびその他のサイトカインの生成および分泌を高める。その後、培地の上澄み液を無菌状態で取り込み、クリアにし、業務用のウイルス排除プロセスを実行する。次に、この上澄み液を更にウルトラフィルトレーションおよびマイクロフィルトレーションによって約10倍に濃縮する。
【0070】
この時点で、ヒト血清アルブミンのUSP注射剤を添加し、次に濃縮液を生理学的pHまでバッファ化し、ラベルクレーム当たりターゲットIL−2濃度(例えば400IU/mL)にした。次に濃縮液に対して第2のマイクロフィルトレーション(0.22ミクロン等級のフィルター)を施し、無菌状態で無菌血清タイプのガラス瓶に小出しし、IL−2の内容のラベルを付する。細胞毒リンパ系ライン(CTLL−2)により放射標識チミジンを混入することにより、生成物の効力を測定する。更に5つのマーカーであるサイトカイン、すなわちIL−2、IL−1β、GM−CSF、IFN−γおよびTNF−αの存在に関してELISA方法により注射可能な最終薬剤を検査する。
【0071】
腫瘍周辺、腫瘍内、リンパ周辺または皮下投与のために、IL−2(400IU/mL)としてラベルクレームで2.2mLの医薬を含むホウ素シリケートガラス血清ガラス瓶内に凍結された状態の白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)を提供する。白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)に対し、識別、無菌性、バクテリア内毒素、pHおよび全プロテイン濃度に関する品質管理テストを施す。粒状の汚染および外観がないかどうかに関して、各ガラス瓶を検査する。調剤は3mg/mLの全プロテイン成分を有する。ここで、材料は無菌状態および無発熱因子状態で供給される。白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)は、この医薬を−20℃で保管したときに、製造日から24カ月の保存期間が付与される。
【0072】
LIには3つの族のサイトカインが存在し、これらはLIの独特な生物学的活動度に重要である。これらは直接的な細胞毒/細胞増殖抑制性、およびウィルス殺傷/ウィルス抑制サイトカイン、例えばTNF−αおよびIFN−γ、リンパ増殖サイトカイン、例えばIL−1およびIL−2、化学的走性サイトカイン、例えばIL−6、IL−8およびMIP−1αを含むことができる。しかしながら、本発明のこの理論および本明細書で説明する他の理論は、特許請求の範囲を限定するものでないことに留意されたい。
【0073】
異なるサイトカインおよびLIを構成する小さい生物学的分子は、全てT細胞、B細胞およびマクロファージを含むヒト周辺血液単核細胞をレクチン(PHA)でin vitroで刺激したことから誘導されたものである。フィコール−ペクー勾配での遠心分離法は、ドナーの全血液から(T細胞、B細胞およびマクロファージを含む)白血球を分離し、(生理学的にバッファ化されたメディア内の)一連の洗浄は、リンパ球のアイソレーションおよび全ドナー血液のアイソレートされた白血球成分からの赤血球、細胞のくずおよびその他の不要な細胞成分の除去を促進する。
【0074】
特性決定プロトコルを使用して白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)をテストする。これは次のサイトカインおよびその他の少量の生物学的にアクティブな成分、すなわちIL−4、IL−7およびIL−15、TfR、sICAM、PDGF−AB、IFN−α、EPO、LTC4、TGF−β2、FGF塩基、アンギオゲニン、sE−セレクチン、SCFおよびLIFは含まない。LIはIL−12とLTB4を微量だけ(ちょうど活性の検出レベルを上回る)含む。
【0075】
白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)は更に予防として、または治療のいずれかとして、1つ以上の薬学的に許容できるキャリア、またはアジュバントと共に、免疫モジュレート組成物の1つの成分として使用できる。予防的な使用のために提供されるとき、免疫モジュレート組成物は感染または疾患の証拠の前に提供される。LIを純粋または実質的に純粋なフォームで投与することが可能であるが、薬学的な組成物、処方または調剤としても使用できる。
【0076】
臨床的使用またはヒトに対する使用の双方のための、本発明の処方は、1つ以上の薬学的に受け入れ可能なキャリアおよびオプションとしてのその他の治療用成分、特に治療用免疫アジュバントと共に上記のようなLIを含む。キャリアは処方の他の成分と相容性があり、受け入れ者に有害でないという意味で受け入れ可能でなければならない。
【0077】
一般に液体キャリアまたは細かく分割された固体キャリアまたはその双方と共に、アクティブな成分を均一かつ密接に関連させ、次に、必要であれば製品を所望する処方にすることにより処方を調整する。本発明で使用する「薬学的に受け入れ可能なキャリア」なる用語は、任意のキャリア、希釈液、賦形剤、懸架剤、潤滑剤、アジュバント、賦形剤、送り出し系、懸濁剤、崩壊剤、吸収剤、保存剤、界面活性剤、着色剤、香料または甘味料を意味する。処方は単位投与形式で任意に提供され、薬学技術分野で周知の方法によって調製できる。
【0078】
静脈、筋肉、皮下または腹腔内、鼻孔などでの投与に適した処方は、被投与者の血液と等浸透圧であることが好ましい溶液を有するアクティブな成分の無菌の水溶液を含むことが好ましい。本発明の化合物は、口を介し、非経口的に、吸引スプレーにより、局所的に、直腸を通し、頬を通し、膣を通し、または従来の無毒性の薬学的に受け入れ可能なキャリア、アジュバントおよびビークルを含む投与処方の埋め込みリザーバを介し、投与することもできる。本明細書で使用する「非経口」なる用語は、皮下、静脈、筋肉、腹腔、クモ膜下腔、脳質、胸骨および頭蓋注射または注入技術を含む。
【0079】
かかる処方は、生理学的に相容性のある物質、例えば塩化ナトリウム(例えば0.1〜2.0M)、グリシンなどを含み、水溶液を製造するための生理学的条件と適合性のある緩衝pHを有し、溶液を無菌にする、水内に固体活性成分を溶解することにより、適宜調製できる。これら処方は、単位投与容器またはマルチ投与容器、例えばシールされたアンプルまたはガラス瓶内に存在できる。
【0080】
本発明の化合物は、無菌の注射可能な調剤の形態で投与することもできる。例えば無菌の注射可能な水性または油性の懸架剤として投与することもできる。これら懸架剤は、適当な分散または湿潤剤および懸架剤を使って当技術分野で知られた技術に従って組成を定めることができる。この無菌の注射可能な調剤は、無毒の、非経口的に受け入れ可能な希釈剤または溶剤内の、無菌の注射可能な溶液または懸架剤、例えば1,3−ブタンジオール内の溶液とすることもできる。使用できる受け入れ可能な賦形剤および溶剤として、水、リンゲル溶液および等浸透圧塩化ナトリウム溶液がある。更に、溶剤、すなわち懸架媒体として、これまで無菌の固定オイルが使用されている。この目的のために、合成モノまたはジグリセライドを含むブランドの固定オイルを使用できる。注射液を調製するのに、特にポリオキシエチル化バージョンのオリーブオイルおよびカストールオイルを含む脂肪酸、例えばオレイン酸およびそのグリセライド誘導体が有効である。これらオイル溶液または懸架剤は、長鎖アルコール希釈液または分散液も含むことができる。
【0081】
特に治療のために検討された条件が眼、皮膚または腸管の下部の疾患を含む局所的な使用によって容易にアクセスできる領域または器官に関係するときに、本発明の化合物を局所的に投与することもできる。これら領域の各々に対し、適当な局所的組成を容易に調製できる。
【0082】
眼への局所的な使用、すなわち眼科使用のために、等浸透圧のpH調節された無菌塩水内のマイクロ化された添加剤として、または好ましくは保存剤、例えば塩化ベンジルアルコニウムを有するか、または有しない、等浸透圧のpH調節された無菌塩水内の溶液として化合物を賦形することができる。これとは異なり、ワセリンのような軟膏内にMultikine(登録商標)の眼科使用薬を賦形することができる。
【0083】
皮膚への局所的使用をするために、例えば次の材料、例えば鉱物油、液状ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水のうちの1つ以上との混合物内に懸架または溶解された化合物を含む適当な軟膏内に化合物の組成を定めることができる。これとは異なり、例えば次の材料、鉱物油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水のうちの1つ以上の混合物内に懸架または溶解されたアクティブな化合物を含む適当なローションまたはクリーム内に、化合物を賦形することができる。
【0084】
単一投与フォームを製造するためにキャリア材料と組み合わせできる有効成分量は、治療されるホストおよび投与の特定のモードに応じて変わり得る。一部の因子は、使用する特定化合物、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事;投与時間、排便量、医薬の組み合わせおよび治療中の特定の病気の深刻さ、および投与の形態を含む。
【0085】
作用の時間長さを制御するために薬学的方法も使用できる。ペプチドを錯体化または吸収するためにポリマーを使用することによって、解放を制御した調製を行うことができる。適当なマクロ分子(例えばポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニール、ピロリドン、エチレンビニールアセテート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはプロタミンスルフェート)およびマクロ分子の濃度だけでなく、解放を制御するための混入方法も選択することにより、送り出しの制御を実行できる。
【0086】
例えば複数の日の時間をかけて、解放を制御するために疎水性ポリマー基体内に白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)を混入できる。かかる解放制御フィルムは当技術分野で周知のものである。特に経皮的な送り出しシステムが好ましい。本発明で使用できる、この目的のために一般に使用されるポリマーの他の例として、外部または内部で使用できる劣化しないエチレン−ビニールアセテートコーポリマーおよび劣化し得る乳酸−グルコール酸コーポリマーを挙げることができる。上記のような他のポリマー解放システムよりも解放サイクルが短いことを除けば、特定のヒドロゲル、例えばポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)またはポリ(ビニールアルコール)も有効である。
【0087】
これとは異なり、これら薬剤をポリマー粒子内に混入する代わりに、例えばコアセルベーション技術または界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばヒドロキシ−メチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル内またはコロイド状医薬供給システム、例えばリポゾーム、アルブミンマイクロ球体、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセルまたはマクロエマルジョン内にこれら材料を捕捉することも可能である。
【0088】
中枢神経系統のターゲットとして治療を効果的にするには、白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)は、抹消から投与されたときに血液−脳バリアに容易に侵入しなければならない。血液−脳バリアに侵入できない化合物を、脳への投与に適した脳室内路または他の適当な送り出しシステムにより効果的に投与できる。
【0089】
白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)は、キットの形態、単独または上記のような薬学的組成物の形態で供給することもできる。LIの投与は従来の方法で実行できる。例えばLIを適当な希釈液、例えば塩水または水、もしくは完全なアジュバントまたは不完全なアジュバント内で使用できる。LIは免疫系の刺激に適した任意のルート、例えば静脈、腹腔、筋肉内、皮下、鼻、口、直腸、膣などにより投与できる。
【0090】
上記のように、白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)は、予防目的または治療目的のいずれかに使用できる。予防的に提供する場合、LIは病気の証拠が存在する前、または病気に起因する症状の前に提供する。治療目的のために提供するとき、LIは病気の発症時(またはその後)もしくは病気の症状の発生時に提供される。LIの治療用の投与は疫病を弱めるように働き、従来の治療結果を改善する。
【0091】
白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)の作用の態様および特性の決定
白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)は、本明細書に記載するような設定条件下で生成される天然誘導または天然に生じるヒトサイトカインの生物学的に活性で、最小の毒性しか有しない、免疫モジュレート混合物である。LIは抗ガン治療および抗ウィルス治療に、またはガン、感染症および免疫モジュレーションに対応する他の病気の状態のために広範に使用できるネオアジュバント治療に使用できる。
【0092】
動物を用いた研究により、「混合インターロイキン」はin vitroで免疫モジュレートおよび免疫刺激活動を有することが実証された(ハーデン外著、「混合インターロイキンおよびチモシンフラクションVは、ヒドロコルチゾンで治療された、年を取ったネズミで、Tリンパ球の発生を相乗的に誘導する」、Cell. Immunol.144:228〜236ページ(1992年))。1つの理論だけに限定されることなく、「混合インターロイキン」の局部的/領域的注射は、局部的な免疫抑制を克服するとの仮説が立てられている。その後、腫瘍抗原への耐薬力の破壊が生じ、これによって、有効な局部的抗腫瘍免疫応答が生じ得る。ゴランベルク氏外がレポートするように、腫瘍の領域内にインターロイキンを局部的に点滴注入すること、またはインターロイキン遺伝子を実際にトランスフェクションすることにより、抗腫瘍免疫応答が顕著に補強され、この結果、腫瘍の抗体が生じることも知られている(「インターロイキン−4を分泌するようにされた、腫瘍細胞による定着した腎臓ガンの治療」、Science 254:713〜716ページ(1991年))。
【0093】
LI態様の作用は事象のカスケードを誘導するLI内に存在する異なるサイトカインの組み合わせの活動に関係するとの仮説がある。まず第1に、LI内に存在する腫瘍ネクロシス因子、例えばTNF−αは、腫瘍抗原を解放するように腫瘍を攻撃する。第2に、抗原を提供する細胞(例えば樹枝状細胞)は、新しく解放された腫瘍抗原をリンパ節にトランスポートする。第3に、腫瘍周辺およびリンパ周辺に投与された、LI内に存在するリンパ増殖サイトカイン、例えばIL−1、IL−2は、主にリンパ節内の腫瘍固有のT細胞の顕著なポリクローナル膨張を誘導する。第4に、LIは化学的走性因子を介し、局部的なリンパ節からCD4T細胞を補充し、CD4T細胞のために腫瘍内CD4/CD8細胞のバランスを反転させ、このことは更に、抗腫瘍免疫応答を再びアップ調節し、その結果、腫瘍細胞のネクロシスが生じる。第5に、LIはLI内にも存在するGM−CSFを介した循環から好酸球を補充し、これによって腫瘍細胞巣の破壊を伝搬させる。第6に、LI誘導サイトカインまたは腫瘍浸透細胞による新規のサイトカイン生成のいずれかは、塊状の局部的な繊維症を誘導する。
【0094】
全く予想しないことに、白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)の手術前の投与は、他の文献に記載されていることとは異なり、腫瘍がより急激に成長し、より急速に再発する危険を増すことなく、細胞サイクルフェーズ内の腫瘍細胞の数を増加させる。腫瘍細胞を細胞サイクルに誘導する能力は、LIにとって独特なものに見え、この能力はこの調査中の医薬に存在する異なるサイトカインの相乗的作用およびホストの免疫系と腫瘍細胞の双方に対するこれらサイトカインの異なる作用に起因するものであり得る(ティマール外著、「単球細胞の腫瘍周辺および腫瘍内サブ集団および腫瘍上皮に対する白血球インターロイキンの注射剤の効果−口内ガンにおける放射線治療および化学的治療に対する感受性を高めるための、新規な可能なアプローチ。マルチセンターフェーズI/II臨床試験」、The Laryngoscope(2003年))。
【0095】
手術前に、白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)で治療した患者の再発率に関するデータは、LIで治療した24カ月後に、ガンの再発を示さなかった。驚くことに、8人の逐次治療された患者の小集団には、24カ月のフォローアップ期間中に一人の再発患者もいなかった。厳格な対照として、文献は手術後18〜24カ月で約50%の同ような患者の再発率を教示している。
【0096】
特に白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)の治療は、腫瘍に存在するリンパ細胞の活発な増殖を誘導しないように見える。これに対応し、支質Ki−67細胞は減少したが、LI治療をKi−67ガン細胞の頻数は増加した。したがって、LI治療はサイクル活動する腫瘍細胞の数の増加を誘導し、放射線治療および/または化学的治療による継続治療に対する残留腫瘍の感受性を高めた。天然サイトカインと組み替えサイトカインの双方を用いて実行された他の研究はガン治療の効果を示したが、これら研究は細胞サイクル段階にエントリーを誘導すること、すなわち化学的治療、免疫治療および放射線治療とLIを相乗的に組み合わせる新しい方法を教示していない(ティマール外著、「単核細胞の腫瘍周辺および腫瘍内のサブ集団および腫瘍上皮に対する白血球インターロイキンの注射剤の効果−口内ガンにおける放射線および化学治療に対する感受性を高める新しい可能なアプローチ。マルチセンターフェーズI/II臨床試験」、(The Laryngoscope(2003年))。
【0097】
例えば天然のヒトIL−2および組み替えIL−2、並びにその他のサイトカインを使用するだけでなく、局部的な領域治療における研究は、免疫が強化され、種々の場所における抗ガン活動を実証した。特にIL−2は胸膜腔、肝臓および膀胱における活動を示し、IFN−αは卵巣における活動を示し、IFN−βは脳内の活動を示す(ヤスモト外著、「肺ガンに起因する悪性胸膜炎患者への組み換えインターロイキン2の胸膜腔内への点滴注入によるリンホカイン活性化されたキラー細胞の誘導」、Cancer Res 47:2184〜7ページ(1987年);マヴィルギット外著、「肝臓転移患者へのインターロイキン2の脾性対肝臓動脈注入」、J Clin Oncol 8:319〜324ページ(1990年);ピッツァ外著、「膀胱ガンにおけるインターロイキン2(IL−2)の病巣内注入後の腫瘍の後退。予備的レポート」、Int J Cancer 34:359〜67ページ(1984年);ベレク外著、「ステージIIIの上皮卵巣ガンにおけるサルベージ免疫治療のための腹腔内組み換えαインターフェロン:婦人科ガングループの研究」、Cancer Res 45:4447〜53ページ(1985年);およびフェッテル外著、「悪性再発グリオームにおけるベータインターフェロンの腫瘍内投与−フェーズIの臨床的および研究室での研究」、Cancer 65:78〜83ページ(1990年))。更にIFN−γは、皮膚内の活動度を有することが示され、TNF−αは生殖器における活動度を示し、種々のサイトカインの混合物は頭部および頸部における活動度を示す(エドワード外著、「基底細胞ガンに対する病巣内インターフェロンγの効果」、J Am Acad Dermatol 22:496〜500ページ(1990年);イリエ外著、「組み換えヒト腫瘍ネクロシス因子(PT−950)の局部的注射治療に応答する外陰部ガンのケース」(ガンの臨床34:946〜50ページ(1988年);およびプーリー外著、「ヒトのガンにおけるリンホカインの静脈、病巣内および内リンパ投与」、Lymph Res 5:S157〜63ページ(1986年))。更に、頸静脈リンパ周辺および顎の下への手術前10日の間の組み換えIL−2の投与の研究は、変化し得るネクロシスおよびリンパ球浸透を示した(ヴァレント外著、「組み換えインターロイキン2のリンパ周辺注入を受けた患者からの頭部および頸部鱗状細胞ガンの浸透白血球母集団およびTリンパ球サブセット」、Mod Pathol 3:702〜8ページ(1990年);デステファーニ外著、「リンパ周辺インターロイキン2による口腔および咽頭鱗状細胞ガンの治療:臨床および病理学関係」、J Immunother 19:125〜33ページ(1996年))。更に、切除された腫瘍の顕微鏡検査は、IL−2の臨床的見解に相関性のあるリンパ浸透液の増加を示した(サイトウ外著、「頭部および頸部ガンにおける組み換えインターロイキン2の局部的投与における腫瘍組織の免疫組織学」、日本耳鼻学会会報92:1271〜6ページ(1989年))。
【0098】
それにもかかわらず、上記研究のいずれも、20人の頭部および頸部ガン患者に推定上、高投与量の組み換えIL−2(4週間、800,000U[U=単位])で、2回緩解したにもかかわらず、切除された腫瘍のグロスの寸法の変化を示さなかった(サイトウ外著、「頭部および頸部ガンにおけるrIL−2の局部的投与の臨床的評価」、日本耳鼻学会会報92:1271〜6ページ(1989年))。更に、上記研究は、患者の数が少ないことによる限界があり、比較グループに対する病理学的比較がないので、完全ではない。
【0099】
デステファーニ外による202人のOSCC患者の最近のランダムに行われたマルチセンターフェーズIIIの研究は、同じ側の子宮頸部リンパ節鎖に手術前10日間、組み換えヒトIL−2を低投与量(5000U/日[U=単位])をリンパ周辺に投与する結果、病気のない生存率が大幅な増加(p<0.01)となり、この結果、全体の生存時間がより長くなること(p<0.03)を示した。デステファーニ外は、セルサイクルでのこの治療養生法の役割および放射線治療および化学的治療の改善に対する効果を評価していない。デステファーニ外著、「口腔および咽頭の切除可能な鱗状細胞ガン患者におけるリンパ周辺インターロイキン2による改善された生存率」、Cancer 95:90〜97(2002年)を参照されたい。更に5000U/日を教示しているが、医薬の効力を定義できないU(単位)によって測定したので、投与された生物製剤の高投与量と低投与量の、デステファーニ外の教示に関し、本発明とデステファーニ外の治療との比較は行うことができない。これと対照的に、本発明は、Multikine(登録商標)の生物学的活動度をIU(国際単位)で決定するために、完全なUSP分析方法有効化プログラムで証明し、かつ完成させている。
【0100】
医薬の安全性、パイロット効果及び組成
LI投与に関連した深刻な悪い事象を有しない200人のガン、HIVおよびHIV/HPV感染患者に対し、白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)をテストした。LIの調製は、米国特許出願第10/611,914号に記載されており、その内容を、本明細書において参考例として援用する(ハリス外著、「前立腺ガンの治療に対する免疫学的アプローチ」、Semin Oncol,Aug;26(4):439〜7ページ(1999年);ティマール外著、「単核細胞の腫瘍周辺および周辺内サブ集団および腫瘍上皮に対する白血球インターロイキンの注射剤の効果−口内ガンにおける放射線治療および化学的治療への感受性を高めるための1つの可能なアプローチ。マルチセンターフェーズI/II臨床試験」、The Laryngoscope(2003年);ブラウン外著、「HIV−1に感染した個人における白血球インターロイキンの注射剤のフェーズIのオープンラベルの研究:抗原をリコールするための改善された遅延タイプの過敏症応答に対する予備的証拠」、Antiviral Therapy 5(サプルメント)18(2000年);タイラー外著、「HIV患者におけるヒトパピローマウィルス(HPV)によって誘導された頸部異形成症に対する白血球インターロイキンによる免疫治療」、インターフェロンおよびサイトカイン研究のための国際協会の年次集会、オハイオ州クリーブランド(2001年10月);タイラー外著、「HIV患者におけるヒトパピローマウィルス(HPV)によって誘導された頸部異形成症に対する白血球インターロイキンによる免疫治療」、第33回SGO会議、フロリダ州マイアミ(2002年3月))。白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)は、ハツカネズミ、ネズミ、ギニアピッグおよび犬を使った動物毒物学研究でも、安全であることが証明された。更に、頭部および頸部ガン、および頸部異形成症におけるパイロット効能に関し、LIを検査し、これら効能を証明した。
【0101】
白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)で治療した頭部および頸部ガンに悩む患者の臨床的研究
患者
白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)により、41人の患者を治療した。ここでは、以前に頭部および頸部ガンを治療していない21人の患者(平均年齢:59.4歳、範囲40〜87歳)を含めた。試験に含めるかどうかの基準は、同意書を提供する能力と意志のある18歳より上の者、口腔内(場所:口の床部7人、舌部8人、唇1人、咽頭1人、頬1人、歯肉1人)に組織学的に確認された鱗状の細胞ガンのある者、既知の遠方(内臓)転移性疾患を有しない者、余命6カ月以上の患者とした。妊婦またはLI投与場所に放射線治療をした患者、十二指腸または胃潰瘍もしくはゼンソク患者は除いた。
【0102】
21人のうち、LIで治療した患者19人を評価できた。治療した患者のうちの2人が試験に加えられ、その後、口蓋垂の形成外科的ガンおよび口の床部の腺ガンを有すると確認された。これら2人の患者に対し、白血球インターロイキンの注射剤(LI)の投与を含むフルコースの治療を施したが、組織病理学/免疫組織化学の分析には含まれていない。
【0103】
組織学的比較物を、専らハンガリー・ブダペストのナショナル・ガン研究所の病理学的標本レポジトリから、この研究の病理学的検討部分のために選択し、腫瘍のサイズおよび場所、腫瘍の段階、患者の性別および年齢に基づき、LI治療されたグループからの標本と照合した。比較グループは20人の患者(平均年齢57.5歳、40〜77歳の範囲)から成り、いずれの患者も口腔の鱗状細胞ガンをバイオプシーで確認した(場所:口の床部3人、舌12人、唇5人)。
【0104】
患者試験
試験に含める前に患者は一般的な評価を受けた。患者の医療履歴も検討した。一旦参加すると、完全な身体的検査、血液の化学的ワークアップ、胸部X線および心電測定を実行した。口腔腫瘍を可視化し、測定するために、身体的測定および磁気共鳴画像形成(MRI)を実行した。口内ガンの表面領域(PE測定)を明白な腫瘍の最大直径部で最大寸法および最大寸法に対して直角に測定した。MRIを行うためにT1−T2で重み付けされた高速スピンエコー(FSE)の冠状軸方向およびサジタルスキャン、反転回復FSE(IRFSE)およびガドリニウムを使った脂肪飽和T1重み付けされたシーケンスを使用した。最大の直径の領域で、口内ガンを測定した。各ケースにおいて、LI治療の前後でOSCCのMRI分析を測定し、標準的方法で評価した。応答グループでは、LI治療は腫瘍サイズを小さくするだけでなく、T2およびIRFSE信号強度を小さくし、コントラスト強化レベルおよび外傷部のマージンは、あまり目につきにくくなった。非応答グループでは、MRの体型はLI治療後に腫瘍の大きな変化は示さなかった。進行性のケースでは、病理学/体型測定により、腫瘍サイズが増加することが示された。その後の各往診時に患者にインタービューし、評価された質問票を用いて、生活の質(例えば痛みのレベル、舌の動きの程度など)について質問した。治療中の医師は往診ごとに毒性を評価した。
【0105】
治療プロトコル
次の投与量200、400、800、1200、1600、2400、3200、4800、8000、9600および12000IUのうちのいずれかを用いて、白血球インターロイキンの注射剤(LI)またはMultikine(登録商標)の投与を実行できる。処方で使用すべきワクチンの調剤の正確な投与量は、投与のルートおよび患者の体質に応じて決まり、臨床医の判断および標準的な臨床技術に係わる各患者の状況にしたがって決定すべきである。有効な量とは、ワクチン調剤を投与する受容者において、好ましい応答を生じさせるのに十分な量のことである。
【0106】
病理学
(ハンガリーのブダベストの)国立ガン研究所の腫瘍進行性部門にある中央病理学研究所にて、病理学的な評価を実行した。1つの病理学的プロトコルがこの研究を決定し、このプロトコルは、ティマール外による研究論文、「単核細胞の腫瘍周辺および周辺内サブ集団および腫瘍上皮に対する白血球インターロイキンの注射剤の効果−口内ガンにおける放射線治療および化学的治療への感受性を高めるための1つの可能なアプローチ。マルチセンターフェーズI/II臨床試験」、The Laryngoscope 113:2206〜2217ページ(2003年)に記載されているように、手術で切除された標本の固定およびグロス、マクロスコープおよびマイクロスコープ検査、組織学および免疫組織化学方法について述べている。
【0107】
口内外傷部の診断は、LI治療養生法による免疫治療のためにT2−3N0−2M0を選択したときに分類された、疑わしい外傷部およびガンの切除バイオプシーに基づく(ハーデン外著、「インターロイキンおよびコントラ抑制は頭部および頸部ガンの免疫抗体を誘導する」、Arch Otolaryngol Head Neck Surg 120:395〜403ページ(1994年))。LI治療期間の終了時であって、手術前に、上記のように臨床応答を評価し、患者の腫瘍切開のためのスケジュールを定めた。切開した組織をバッファフォルマリンを有する、あらかじめラベルを付けた容器内に入れ、組織をパラフィン内に包埋し、H&E染色および免疫組織化学分析のための薄片スライドを作成する前に一晩固定した。
【0108】
H&E染色した薄片から、組織分析およびAJCCグレード付けを実行した。3つの異なる腫瘍領域、すなわち表面(R1)、中心(R2)および腫瘍支質インターフェース領域(R3)について、組織病理学的分析を行った。H&Eスライドを使ってネクロシス腫瘍細胞の発生も評価した。2つの方法によってOSCC腫瘍内の上皮成分対支質のパーセントを測定した。マロリー法(トリクローム染色)に従って接続性組織を染色し、イメージプロ分析ソフトウェア(メリーランド州シルバースプリングのメディアサイバーネティックス社)を使って、ガン病巣の領域(腫瘍上皮)に関し、スライドを測定した。別個に、ガン細胞に標識を付けるパンサイトケラチン抗体(デンマーク、グロストラップ、DAKO社のA1A3+CK19)を使って、サイトケラチンに関し、免疫支質化学的に、切開された組織を含むスライドに標識を付けた。
【0109】
単核細胞浸潤の特性の決定
パラフィンを除去し、マイクロウェーブで抗原を検索した後、腫瘍サンプルのパラフィンに放埋された薄片について免疫支質化学を使うことにより、腫瘍細胞巣の近くに存在する単核細胞を測定した。次のマーカー、すなわちミエロペルロキシダーゼ、HLAクラスII(HLA−DP、DQ、DR)、CD8、CD20、CD34、CD45R0、CD68(すべてDAKO社から入手);CD4、CD25、CD56(ノバカストララボラトリーリミティッド、英国、タインのニューカッスル);CD1a(イミュノテック社、フランス、マルセーユ);およびCD134(ファーミンゲン社、カリフォルニア州サンディエゴ)に対する抗原を使用した。いずれのケースにおいても、同じタイプの一致した非免疫Igを使ってネガの比較スライドを作成した。
【0110】
特別に結合した抗体を明らかにするために、バイオタイニレートされた抗ネズミ/抗ウサギIgGリンカーおよびストレプタビジン−HRPを使ってDAKO社のLSAB−2キットにより、免疫組織化学的(IHC)標識付けを実行した。使用したクロマトゲンは、AEC(赤色)標識である。ヘマトキシリンを有する核に関し、薄片をカウンター染色した。
【0111】
腫瘍サンプルの評価
白血球インターロイキンの注射剤(LI)治療されたグループと、比較(LIで治療しない)グループからの腫瘍サンプルについて、組織変化および浸潤細胞:すなわちTおよびBリンパ球、NK細胞、樹皮状細胞、マクロファージおよび好酸球、造血性幹細胞だけでなく、T細胞の活性化およびメモリ細胞マーカーに関して評価を行った。浸潤細胞の領域を選択するために40倍の拡大を使用し、識別および定量化のために400倍の拡大を使用した。ホットスポット技術に基づき、単核細胞の密度を測定したが、このことは各研究対象の腫瘍領域では、最大の腫瘍浸潤単各細胞密度の領域において密度を測定したことを意味する。この方法は、組織内の細胞浸潤の極端な異常発生性の問題を最小にするものである。
【0112】
独立した3人の病理学者により、各患者の腫瘍薄片の組織学的評価を実行し、不一致であった場合は合意による決定をした。同じ3人の病理学者により体型測定を実行し、ケースの各々の臨床的背景および治療の結果に関する知識を持つことなく測定を行った。
【0113】
統計学的分析
ANOVA社の単一因子分析およびχ検査により、病理学的データを分析し、0.05未満のp値を統計的に有意であると見なした。
【0114】
次の例は、本発明において使用できる種々の投与量の非限定的例であり、実施例1は、研究した投与量に関する。しかしながら、本発明はここに示した投与量だけに限定されるものでなく、かつ、必要な患者を治療するのに、他の有効な投与量を使用できることが理解できよう。
【0115】
実施例1
LI−2として、800IUの一日の投与量の半分を腫瘍周辺に注射した。同じ往診時にリンパ周辺に逐次他の半分(400IU)を注射した。双方の注射液を3週間にわたり(1週間につき5回)投与し、IL−2として12000IUの累積投与量に達した。目視でき/明瞭な、腫瘍塊部の周辺マージンにLIを皮内注射する。注射した腫瘍塊部と同じ側にある頸静脈リンパ鎖の領域内の前方下顎骨領域にリンパ周辺注射を行う。
【0116】
最初のLIを投与する前の3日間、注射剤300mg/mのシクロフォスファミドの単一静脈(ボーラス)注入を行う。シクロフォスファミドを投与する3日前から開始し、手術の24時間前まで、25mgの1日の総投与量となるよう、1日3回(食物と共に)口からインドメタシン(25mg)を自己投与する。シクロフォスファミドを投与した3日後から開始し、手術の24時間前まで、硫酸亜鉛(亜鉛元素として50mg)とマルチビタミンサプルメントを1日1回自己投与する。
【0117】
シクロフォスファミド
静脈注入の前の再構成のために、100mgのシクロフォスファミドにつき45mgの塩化ナトリウム、75mgのマンニトールまたは約82mgの二炭酸ナトリウムを含む殺菌パウダーとして、シクロフォスファミドの注射剤USP(英国のブリストルマイヤーズスクイブ社)を供給する。
【0118】
インドメタシン
食物と共に口から自己投与するために、25mgの錠剤としてインドメタシンUSP(フランス、サノフィ−シンセラボ社)を供給する。
硫酸亜鉛およびマルチビタミン
臨床医により、自己投与のために各患者に硫酸亜鉛(亜鉛元素として50mg、米国フロリダ州クリアウォーターのR.P.シェーラーコーポレーション)およびOTCマルチビタミンを供給する。
【0119】
実施例2
LI−2として、1200IUの一日の投与量の半分を腫瘍周辺に投与できる。同じ往診時にリンパ周辺に逐次別の半分(600IU)を注射する。所望する総累積量に応じて毎週5回、またはそれ以下の回数、双方の注射液を3週間にわたり投与する。目視でき/明瞭な、腫瘍塊部の周辺マージンにLIを皮内注射する。注射した腫瘍塊部と同じ側にある頸静脈リンパ鎖の領域内の前方下顎骨領域にリンパ周辺注射を行う。残りの治療プロトコルは実施例1と同じである。
【0120】
実施例3
LI−2として、1600IUの一日の投与量の半分を腫瘍周辺に投与できる。同じ往診時にリンパ周辺に逐次別の半分(800IU)を注射する。所望する総累積量に応じて毎週5回、またはそれ以下の回数、双方の注射液を3週間にわたり投与する。目視でき/明瞭な、腫瘍塊部の周辺マージンにLIを皮内注射する。注射した腫瘍塊部と同じ側にある頸静脈リンパ鎖の領域内の前方下顎骨領域にリンパ周辺注射を行う。残りの治療プロトコルは実施例1と同じである。
【0121】
実施例4
LI−2として、2400IUの一日の投与量の半分を腫瘍周辺に投与できる。同じ往診時にリンパ周辺に逐次別の半分(1200IU)を注射する。所望する総累積量に応じて毎週5回、またはそれ以下の回数、双方の注射液を3週間にわたり投与する。目視でき/明瞭な、腫瘍塊部の周辺マージンにLIを皮内注射する。注射した腫瘍塊部と同じ側にある頸静脈リンパ鎖の領域内の前方下顎骨領域にリンパ周辺注射を行う。残りの治療プロトコルは実施例1と同じである。
【0122】
実施例5
LI−2として、3200IUの一日の投与量の半分を腫瘍周辺に投与できる。同じ往診時にリンパ周辺に逐次別の半分(1600IU)を注射する。所望する総累積量に応じて毎週5回、またはそれ以下の回数、双方の注射液を3週間にわたり投与する。目視でき/明瞭な、腫瘍塊部の周辺マージンにLIを皮内注射する。注射した腫瘍塊部と同じ側にある頸静脈リンパ鎖の領域内の前方下顎骨領域にリンパ周辺注射を行う。残りの治療プロトコルは実施例1と同じである。
【0123】
実施例6
LI−2として、4800IUの一日の投与量の半分を腫瘍周辺に投与できる。同じ往診時にリンパ周辺に逐次別の半分(2400IU)を注射する。所望する総累積量に応じて毎週5回、またはそれ以下の回数、双方の注射液を3週間にわたり投与する。目視でき/明瞭な、腫瘍塊部の周辺マージンにLIを皮内注射する。注射した腫瘍塊部と同じ側にある頸静脈リンパ鎖の領域内の前方下顎骨領域にリンパ周辺注射を行う。残りの治療プロトコルは実施例1と同じである。
【0124】
実施例7
LI−2として、9600IUの一日の投与量の半分を腫瘍周辺に投与できる。同じ往診時にリンパ周辺に逐次別の半分(4800IU)を注射する。所望する総累積量に応じて毎週5回、またはそれ以下の回数、双方の注射液を3週間にわたり投与する。目視でき/明瞭な、腫瘍塊部の周辺マージンにLIを皮内注射する。注射した腫瘍塊部と同じ側にある頸静脈リンパ鎖の領域内の前方下顎骨領域にリンパ周辺注射を行う。残りの治療プロトコルは実施例1と同じである。
【0125】
実施例8
LI−2として、12000IUの一日の投与量の半分を腫瘍周辺に注射できる。同じ往診時にリンパ周辺に逐次別の半分(6000IU)を注射する。所望する総累積量に応じて毎週5回、またはそれ以下の回数、双方の注射液を3週間にわたり投与する。目視でき/明瞭な、腫瘍塊部の周辺マージンにLIを皮内注射する。注射した腫瘍塊部と同じ側にある頸静脈リンパ鎖の領域内の前方下顎骨領域にリンパ周辺注射を行う。残りの治療プロトコルは実施例1と同じである。
【0126】
臨床病理学的応答
実施例1における12000IU/mLの累積投与量に対し、毎週5回、3週間にわたり投与した800IU/mLの注射剤の1日の投与量に対し、白血球インターロイキンの注射剤(LI)に関係する体系的または局所毒性または深刻な悪い事象は現われなかった。LIに関連する手術時、手術後または創傷治癒時の合併症は報告されなかった。19人の(LIで治療した)組織学的に一致する鱗状細胞ガン患者と、20人の(LIで治療しなかった)同じガン患者の原発性腫瘍サンプルを評価した。LIで治療したグループの場合、LIによる治療の終了後14日目〜54日目に、すなわち中央値で22日目に、原発性腫瘍の手術切除を行った。治療した患者および比較患者のすべての組織学的診断、ケラチン化(ブローデススコア)およびTNMステージを下記の表1に示す。これら2つのグループは、組織学的にも、ケラチン化またはTNMステージに関しても異なっていなかった。
【0127】
【表1】

【0128】
表1において、番号5および14で表示された、LI治療されたグループ内の2人の患者において、手術で切除された腫瘍塊にはガン組織は検出されなかった。これら患者はLI治療養生法の結果として、組織学により100%の腫瘍減少を呈する完全な応答者であると見なされた。表1において、番号7および18で示された他の2人のLI治療患者では、画像形成技術の使用によって腫瘍の容積が50%より大きく低減したことが証明され、部分的な(大部分)応答と見なした。表1において、番号4、6、9および12で表示された他の4人の患者では、容積低減率が30%より大きいことが証明されたが、この減少は小部分の応答であると見なした。1つのケースでのみ(番号17)、腫瘍容積が40%以上増加した進行性の病気が発症したが、他の残りのケース(19人中10人)では、病状は安定していた。したがって、LI治療グループの全体の応答率は42%(19人中8人)であるが、顕著な応答率は21%であった。LIで治療した非応答者のサブグループ(安定した病気および進行性病気の患者、n=11)だけでなく、腫瘍組織を全く検出できなかった2人の完全な応答者を除くLIで治療した応答者サブグループ(n=6)に対しても、別個にOSCCに対するLI治療の効果の完全な病理学的分析を実行した。
【0129】
腫瘍浸潤リンパ球
実施例1のように、累積的投与量が12000IU/mLとなるように、1週間につき5回、3週間にわたり、800IU/mLの一日の投与量を注射によって投与したところ、OSCCの支質内にはCD20B細胞しか存在しなかった。LIの予備的治療の後で得られる腫瘍サンプル内には、腫瘍細胞にもかかわらず、OSCC内のB細胞の大幅な減少はなかった。臨床的応答は、OSCC内のB細胞のこのパターンに影響しなかった。
【0130】
比較グループでは、腫瘍および支質を浸潤するCD8細胞は、図1〜4に示されるようなCD4細胞よりも数が多かった。その結果、特に図5に示されるように、CD4/CD8比は、1よりもかなり低い、約0.5であった。LI治療されたグループでは、図4に示されるように、腫瘍支質内でCD4T細胞の密度が増加し、CD8T細胞の密度が減少したことが観察された。図4に示される上皮内CD4およびCD8細胞の場合でも、同じような傾向が見られた。これら変化はLI治療の応答者の場合だけに大きかった(p<0.05)ことに注目されたい。この結果、図5に示されるような比較グループと比較すると、LI治療された腫瘍の細胞浸潤物内では、CD4/CD8の比は2〜8倍大きかった。LI治療に対する応答者のサブグループでは、最大のCD4と最低のCD8細胞浸潤密度が検出されたが、CD4/CD8比から分かるように、腫瘍の支質セグメント内では、(LI治療に対する)非応答者との差は統計学的にわずかに大きいだけである。
【0131】
CD25およびOX40(CD134)分子の発現に基づく、アクティブにされたT細胞の数の評価は、特にOX40の場合のOSCCの浸潤物内でこれらマーカーを発現する細胞の平均密度が比較的低いこと、および図6および7に示されるように、比較グループとLI治療グループとの間で発現頻度には大きな差がないことを明らかにした。しかしながら、入手できる凍結サンプルおよび免疫蛍光を使用すると、CD25/CD4T細胞は、LI治療グループのうちの10人の患者のうちの10人で、より多かった(CD4細胞は、14〜61%の範囲であった)が、比較グループの患者では、9人のうちの1人で時々検出されるにすぎなかった。図8に示されるように、腫瘍支質および上皮内の双方において、比較ケースとLI治療されたケースでは、CD45R0メモリセルの密度は極めて類似している。CD45R0リンパ細胞の密度は、T細胞(CD4+CD8)のうちの平均〜60%であり、このことは腫瘍浸潤Tリンパ球の大きい比率が、メモリ細胞となっていることを示唆している。
【0132】
腫瘍領域または調査した患者集団(比較またはLI治療)にもかかわらず、OSCCの支質または腫瘍上皮巣内には、CD34造血性幹細胞およびCD56NK細胞は発見されなかった。
【0133】
CD1a樹皮状細胞は、ほとんど腫瘍上皮巣だけに位置していた。LI応答者のサブグループでは、OSCCの3つの領域における樹皮状細胞の分布に対するLI治療の効果の差が証明されており、図9に示されるような比較(LIで治療されていない)グループのサンプルと比較して、腫瘍の中心(R2)では、変化は観察されず、表面(R1)では、CD1a樹皮状細胞の減少(p<0.05)が検出され、腫瘍支質境界部(R3)ではCD1a樹皮状細胞の増加(p<0.05)が生じた。
【0134】
炎症細胞
実施例1のように、累積投与量が12000IU/mLとなるように、毎週5回、3週間にわたって1日800IU/mLを注射で投与した場合、腫瘍支質および腫瘍上皮巣内の双方において、腫瘍内のマクロファージ分布と同様に、好中球が存在し、一方、腫瘍支質内には専ら好酸球が見つかった。ミエロペルオキシダーゼ(MPX)およびCD68マーカーに対してそれぞれ染色することにより、切除された腫瘍標本における好中球およびマクロファージの浸潤物の存在を判断した。
【0135】
マクロファージ密度の分析は、専らLI応答者グループにおけるCD68マクロファージの支質の存在のダウンモジュレートを示した。この傾向は、LI治療されたグループにおける上皮部分でも、より顕著であった(LI応答者サブグループに対しては、p<0.002であり、LI非応答者に対してはp<0.01であった)(図10)。他方、LI治療されたケースは、図11〜13に示されるように、ガン細胞の巣内でも好中球の移動が増加することを示した。図13に示されるように、LI応答者サブグループ内の腫瘍支質では、好中球密度も顕著であった。
【0136】
LI治療されたグループでは、専ら多病巣性の顕微鏡的大きさのネクロシスのケースで、好中球による腫瘍内浸潤の増加が観察された。
【0137】
OSSCグループ(LI治療グループと比較グループ)の双方において、好酸球の密度は極めて異質であることが分かった。体型測定分析はLIで治療された患者における腫瘍支質内の好酸球細胞の密度の大きな変化を示さなかった。しかしながら、これらケースのより詳細な分析は、高い好酸球密度(>50細胞/HPF)を有する腫瘍の数は比較患者20人のうちの5人が25%であるのに対し、LI治療グループの19人の患者のうちの9人が47%であるというように数が2倍多いことを示した。
【0138】
腫瘍のネクロシス
専ら比較グループ内で手術によって得られたサンプル内には、肉眼で確認できるガンネクロシス病巣が生じた。しかしながら、表1および2、並びに図14に示されるように、比較グループのうちの20人の患者のうち4人(p<0.05)と比較して、表1および下記の表2、並びに図15に示されるように、LI治療されたグループのうちの17人の患者のうち10人において、多病巣性顕微鏡的大きさのネクロシスが著しく多かった。この点に関し、(LI治療に対する)応答者と非応答者の間に大きな差は見られなかった。
【0139】
【表2】

【0140】
腫瘍支質/ガン細胞巣の比
白血球インターロイキンの注射剤(LI)治療は、腫瘍支質に対するガン細胞巣の面積パーセントに大きな効果があった。切除した組織サンプルをマロリートリクローム技術で染色した。この場合、ガン細胞巣をピンクで標識した。図16および17に示されるように、体型測定により腫瘍組織内の支質の比率を測定した。データは、LI治療したグループにおける腫瘍支質内のコラーゲン支質の比率が比較サンプル(p<0.05)と比較して図18に示されるように大幅に増加したことを示し、このことはガン細胞巣の面積が減少したことを示す。
【0141】
OSCCサンプル内の線維症のパターンを分析したところ、ガン細胞巣の周辺にコラーゲン線維が累積し、上皮周辺の染色のように見えることが分かった。腫瘍支質内のガン細胞巣の間にも、コラーゲン線維が見つかった(図16および17)。比較腫瘍とLI治療した腫瘍の双方において、上皮周辺のコラーゲン化の頻度は類似していたが、比較グループの患者の20人のうちの2人、すなわち10%と比較して、LI治療グループの19人の患者のうち12人、すなわち63%で、間隙性線維症はかなり多く(p<0.001)、かつ頻度も多かった。(LI治療に対する)非応答者と応答者のサブグループは、表3に示されるように、この点に関して大幅に異なってはいなかった。
【0142】
【表3】

【0143】
HLAクラスIIの発現
免疫組織学的化学により、OSCCのHLAクラスIIの発現を測定した。腫瘍浸潤細胞は、LI治療ケースおよび比較ケースの双方において、極めて強力なHLAII表面染色を呈した。ガン細胞の発現は異質的であった。比較グループでは、HLAIIの陰性サンプルは、20ケースのうちの約11ケースを含むが、残りの9ケースは表4に示されるように、少なくとも1つの病巣または強力な膜HLAII発現を有する腫瘍を含んでいた。LI治療された集団では、類似したパターンが観察された(17人のうち8人がHLAII陽性であった)。しかしながら、LI治療したグループでは、HLAII陽性のケースは専ら非応答者グループに属し、一方、すべてのLI応答ケースのガン細胞はHLAクラスIIの抗原の発現に対して陰性であった(p<0.05)。
【0144】
【表4】

【0145】
検討
従来の治療、例えば手術後に放射線の治療を行う前に、最良の治療として進行した原発性OSCC患者に投与した白血球インターロイキンの注射液(LI)は、炎症細胞内ではなく、浸潤免疫細胞の変化を誘導した。増加したCD25の発現によって実証された最低LI投与量で、ガン細胞巣および浸潤T細胞内に転移したT細胞母集団の変化が活性化されたことが分かった。しかしながら、週3日2週間、低投与量のLI、IL−2として400IUの治療養生法の結果、腫瘍上皮成分に対する接続性組織の比の顕著な変化がないことによって示されるように、腫瘍組織の塊状ネクロシスが生じなかった。
【0146】
しかしながら、従来の治療を開始する前に最良の治療として、OSCC患者に対し、1週間に5日、三週間にわたって、一日当たり、より多い投与量である800IUのIL−2を投与した場合、LI治療された患者はCD8T細胞(その場所での)同時減少と共に、腫瘍浸潤CD4T細胞の大幅な増加(p<0.05)を示した。この変化の結果、OSCCに対し、CD4/CD8比の顕著な差が生じたが、比較対象は低いCD4/CD8比(CD8T細胞が圧倒的な場合、1未満)を特徴としていた。
【0147】
CD4T細胞が圧倒的な場合に2〜8倍増加する、LI治療に対する応答者のサブグループと、LI治療された非応答者の双方において、大幅に高いCD4/CD8比が観察された。特に、非応答者と比較してLI応答者では支質のCD4/CD8比が大幅に高く(p<0.05)、このことは、この現象に対する臨床的な重要性を示唆している。
【0148】
ある比率のこれらCD4T細胞は、活性マーカーCD25を運ぶ。OX40の発現である、頭部および頸部ガンを含むいくつかのガンにおいて、TILの一部で検出された、新たに活性化されたCD4T細胞のマーカーは、T細胞浸潤物内では稀である(ベット外著、「メラノーマおよび頭部および頸部ガン患者からの腫瘍浸潤白血球および排出リンパ節細胞上の、T細胞活性マーカーOX−40の存在」、Am j Surg 174:258〜265ページ(1997年);ラダニール外著、「皮膚悪性メラノーマにおける予後因子としての腫瘍浸潤リンパ球でのT細胞活性マーカーの発現」、Clin Cancer Res 10:521〜530ページ(2004年))。OX40の発現がないことはT細胞活性プロセスの後のフェーズを示す。このことは、LI治療グループにおけるLI治療の終了から腫瘍を手術で除去するまで、中間値が22日である14〜54日の範囲内で、期間が比較的長いことに起因することであり得る。
【0149】
他方、二重標識を使った研究は、CD4およびCD8T細胞の大部分がCD45R0であることを示しており、このことは、これら細胞がメモリR細胞であることを示唆している。これら変化と平行に、上皮内樹皮状細胞がOSCCの表面から腫瘍と支質の境界部にシフトした。頭部および頸部ガンにおけるIL−2の注入の局部的効果に関する前のレポートでは、IL−2のより少ない投与量でしか示されない、CD25細胞の顕著な増加と共に、CD4Tリンパ球および樹皮状細胞に対する同様な選択的効果が観察された(サルター外著、「鱗状細胞ガン患者に対するインターロイキン2の動脈体注入の後の腫瘍浸潤白血球および腫瘍細胞の表現形変化」、J Pathol 176:167〜173ページ(1995年))。
【0150】
白血球インターロイキンの注射(LI)で治療されたOSCC患者は、炎症細胞のパターンが顕著に変化することを特徴としており、このことは、急性炎症反応がマクロファージではなくて、好中球、より少ない程度では好酸球によって緩和されることを示していた。メラノーマ患者での他の研究は、ワクチンおよび腫瘍場所での好中球白血球の累積が、自己の腫瘍細胞を生成するGM−CSFと共にワクチン接種後広がったことを示した(ソイファー外著、「人の顆粒球−マクロファージのコロニー刺激因子を分泌するように処理された、照射済み自己メラノーマ細胞によるワクチン接種は、転移性メラノーマ患者における効力のある抗腫瘍免疫を生成する」、Proc Natl Acad Sci USA 95:13141〜13146ページ(1998年);ソイファー外著、「アデノウィルス媒介遺伝子転移により顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子を分泌するように処理された照射済みの自己メラノーマ細胞によるワクチン接種は、転移性メラノーマ患者における抗腫瘍免疫を強化する」、J Clin Oncol 21:3343〜3350ページ(2003年))。比較患者と比較して、LIで治療された患者における好中球の浸潤の増加に対する1つの説明は、LI調剤がGM−CSFを含むいくつかのサイトカインを含むことによるものである。
【0151】
受容者の抗腫瘍応答の腫瘍浸潤細胞成分の複雑な変化と平行して、治療されていない比較患者と比較した場合、LI治療されたOSCC患者において、ガン細胞巣の多病巣性ネクロシスおよび接続性組織の比率の増加が検出された。これら変化はLIネオアジュバント投与により誘導されたOSCCに対して上昇した抗腫瘍免疫応答のアフターマス(aftermath)を表し得る。
【0152】
OSCCに対する免疫応答に成功するには、本来低い腫瘍内CD4/CD8比を反転することが必要である。固体腫瘍内のCD4細胞に対するCD8細胞の圧倒性は、OSCCに対して特異的ではない。基底細胞ガン、子宮頸部ガンおよび乳ガンにおいて、同様な低いCD4/CD8比がレポートされている(ローバッハ外著、「眼の基底細胞ガンの免疫学および成長の特徴」、Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 239:35〜40ページ(2001年);サンタン外著、「腫瘍浸潤リンパ球は子宮頸部ガン患者における腫瘍排出リンパ節および周辺血液からのリンパ球と比較して、より多数のタイプ1のサイトカイン発現細胞およびDRT細胞を含む」、Gymecol Oncol 81:424〜432ページ(2001年);ムルタ外著、「ネオアジュバント化学治療を受けた進行性乳ガン患者におけるリンパ球サブ集団」、Tumori 86:403〜407ページ(2000年))。高いパーセントのCD4T細胞または高いCD4/CD8比は、メラノーマ、B細胞非ホジキンリンパ腫、腎臓細胞ガンおよび子宮頸部ガンにおける免疫治療に対する良好な予後または応答と相関性があった(ヘカンソン外著、「悪性メラノーマにおける腫瘍浸潤リンパ球およびインターフェロンアルファ治療への応答」、Br J Cancer 74:670〜676ページ(1996年);アンセル外著、「大きなB細胞非ホジキンリンパ腫に対するCD4T細胞免疫応答は、患者の結果を予測する」、J Clin Oncol 19:720〜726ページ(2001年);イガラシ外著、「腎臓細胞ガン患者におけるインターフェロン治療に対する予後および感受性に対する腫瘍浸潤白血球のサブセットの効果」、Urol Int 69;51〜56ページ(2002年);シュー外著、「腫瘍浸潤白血球の反転CD4/CD8の比は、ヒト子宮頸部ガンの進行と相関性がある」、Cancer 86;1537〜1543ページ(1999年))。
【0153】
このことは、腫瘍によって誘導されたガン患者の獲得した免疫抑制状態は、ガン患者における一般的な不良な免疫応答を示す共通する現象である。
【0154】
更に、CD4Tリンパ球は、CD8CTLに対する緩助を提供し、抗原を与える細胞を刺激し、免疫学的なメモリを維持することにより、または一部のケースではサイトカイン分泌または直接的な細胞溶解により、エフェクタ機能を奏することにより、抗腫瘍免疫を開始し、維持する中心的役割を果たす(ゲデゲブール外著、「ヒト固体腫瘍におけるCD4腫瘍浸潤リンパ球の役割」、Immunol Res 14:119〜131ページ(1995年);ハン外著、「抗腫瘍免疫応答におけるCD4T細胞の中心的役割」、J Exp Med 188;2357〜2368ページ(1998年);ガオ外著、「完全機能腫瘍キラー細胞に対し、メモリCD8T細胞を活性化するには、抗原固有のCD4T細胞の援助が必要である」、Cancer Res 62:6438〜6441ページ(2002年))。白血球インターロイキンの注射(LI)で治療した口内ガンのケースでは、抗腫瘍免疫応答を引き出す(LI内の)特定の媒介物は何であるかは明らかでない。しかしながら、LI治療後の顕微鏡的大きさのネクロシスに平行する上皮内白血球の高い密度は、(OSCC患者内の)非特定抗腫瘍機構の活性化が、定着した腫瘍の臨床病理学的に検出可能な破壊を誘導するために同じように重要であることを示唆している。
【0155】
臨床的組織病理学的抗体が19ケースのうちの8ケースで観察された、応答者サブグループに対するLI治療された非応答者のサブグループ内の腫瘍の組織病理学的比較は、炎症細胞パターンに対する免疫細胞組成からの研究した免疫学的パラメータのほとんどは同様であると示した。これらデータは、LI治療されたグループは均質的に治療に応答したが、LI治療の抗ガン効果が異質的であることを示唆している。この食い違いに対する妥当な説明は、OSCC腫瘍の免疫感受性の個人差、例えば異なる患者における腫瘍抗原および/またはHLA組成、および/または機能的免疫応答の障害レベルの差にあると言える。
【0156】
OSCCガン細胞によるHLAクラスIIの発現の分析は、LI治療グループと比較グループとの間で発現レベルは極めて類似していることを示した(HLAクラスII抗原発現に対し、〜45%が陽性)。このことは、LI治療は比較対象と比較して、腫瘍でのHLAII分子の発現を誘導または強化しないことを示唆している。しかしながら、LI治療された集団内ではすべてのHLAII陽性ケースは、専ら非応答者のサブグループに属し、LI応答者のすべては陰性であった。少数の患者から誘導したが、この見解はOSCC細胞でのHLAクラスIIの発現は病気の好ましくない臨床結果または免疫治療に応答する減少した能力と関係し得ることを示している。MHCクラスIIの発現がよくない予後因子を構成している悪性メラノーマでも同様な見解がレポートされており、このことは、同時刺激信号がない場合に腫瘍細胞を発現するMHCクラスIIによるT細胞のアネルギーの誘導に起因するものであり得る(ブレッカー外著、「皮膚の原発性メラノーマにおけるHLA−DR抗原の発現」、J Invest Dermatol 82:244〜247ページ(1984年);ベッカー外著、「免疫調査からの腫瘍回避機構:自己MHCクラスII+メラノーマによる特異的MHC原点されたCD4+ヒトT細胞クローン内の非応答性の誘導」Internat Immunol 5:1501〜1508(1993年))。メラノーマでも述べたように、頭部および頸部ガンは同時刺激分子B7.1およびB7.2の発現が欠けているので、頭部および頸部(OSCC)腫瘍細胞でのMHCクラスII分子の発現は、免疫学的許容を誘導し得る(ラング外著、「インサイトおよび生体内の頭部および頸部ガンにおけるT細胞の活性化の障害」、Arch Otolaryngol Head Neck Surg 125:82〜88ページ(1999年))。
【0157】
ガン細胞ターゲットの感受性をモジュレートする同時の試みがない場合の免疫系の排他的ターゲット化は、免疫学に基づく治療に対する全体の応答率を改善できない。
【0158】
白血球インターロイキンの注射(LI)またはMultikine(登録商標)により誘導された免疫媒介プロセスは、LI治療の終了後に14〜54日の間、腫瘍内で観察される免疫組織病理学的変化が証明するように、LI治療の終了後も長く続き得る。進行した原発性OSCC患者に対する、このネオアジュバント治療プロトコルの効果の結果、ベースライン腫瘍測定と比較した場合、患者の42%において、腫瘍塊部が顕著に減少した。OSCCのLIネオアジュバント免疫治療養生法は、OSCCの治療に対する臨床的に実行可能なアプローチである。
【0159】
以上で、本発明について説明したので、本発明は種々の態様で変更できることが明らかとなろう。かかる変更は、本発明の要旨から回避するものと見なすべきでなく、かかるすべての変更は特許請求の範囲内に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】白血球インターロイキン(LI)注射によってあらかじめ治療した後の口内鱗状細胞ガン(OSCC)内の腫瘍の免疫組織化学的CD4染色であり、ここで、バーは100μmである。
【図2】OSCC支質の比較サンプルにおけるT細胞の免疫組織化学的CD8染色であり、バーは100μmである。
【図3】CD4およびCD8T細胞の支質密度の変化を示すグラフであり、ここで、CTR=比較のための、治療をしない対象(n=20)であり、Non−resp=LIで治療した非応答者(n=11)、Resp=LIで治療した応答者(n=6)であり、データは平均値±SEM、*=p<0.05である。
【図4】CD4およびCD8T細胞の上皮内密度の変化を示すグラフであり、ここで、CTR=比較のための、治療をしない対象(n=20)であり、Non−resp=LIで治療した非応答者(n=11)、Resp=LIで治療した応答者(n=6)であり、データは平均値±SEM、*=p<0.05である。
【図5】CD4/CD8の比を示すグラフであり、ここで、CTR=比較のための、治療をしない対象(n=20)であり、Non−resp=LIで治療した非応答者(n=11)、Resp=LIで治療した応答者(n=6)であり、データは平均値±SEM、*=p<0.05である。
【図6】CD25/IL−2ROSCC細胞の支質および上皮内密度を示すグラフであり、ここで、CTR=比較のための、治療をしない対象(n=20)であり、Non−resp=LIで治療した非応答者a(n=11)、Resp=LIで治療した応答者(n=6)であり、データは平均値±SEM、*=p<0.05である。
【図7】OSCC細胞内のOX40の支質および上皮内密度を示すグラフであり、ここで、CTR=比較のための、治療をしない対象(n=20)であり、Non−resp=LIで治療した非応答者(n=11)、Resp=LIで治療した応答者(n=6)であり、データは平均値±SEM、*=p<0.05である。
【図8】OSCC細胞内のCD45R0細胞の支質および上皮内密度を示すグラフであり、ここで、CTR=比較のための、治療をしない対象(n=20)であり、Non−resp=LIで治療した非応答者(n=11)、Resp=LIで治療した応答者b(n=6)であり、データは平均値±SEM、LI治癒グループ内で観察された変化は統計的には大きな差は見られなかった。
【図9】CD1a免疫反応により検出されたOSCCサンプル内の樹皮状細胞の密度を示すグラフであり、ここで、腫瘍ゾーン:R1=表面ゾーン、R2=腫瘍の中心、R3=腫瘍支質境界部であり、CTR=比較のための、治療をしない対象(n=20)であり、Non−resp=LIで治療した非応答者(n=11)、Resp=LIで治療した応答者(n=6)であり、データは平均値±SEM、*=p<0.05である。
【図10】CD68免疫反応によって検出されたOSCCサンプル内のマクロファージの支質および上皮内密度を示すグラフであり、ここで、CTR=比較のための、治療をしない対象(n=20)であり、Non−resp=LIで治療した非応答者(n=11)、Resp=LIで治療した応答者(n=6)であり、データは平均値±SEM、*=p<0.05である。
【図11】ミエロペルオキシダーゼ免疫組織化学(赤色信号)を上皮内で使って、好中球を局所化するための比較サンプルを示す免疫組織化学染色であり、棒=100μmである。
【図12】ミエロパーキシダーゼ免疫組織化学(赤色信号)を上皮内で使って、好中球を局所化するためのLI治療されたサンプルを示す免疫組織化学染色であり、棒=100μmである。
【図13】OSCCサンプル内の好中球の密度を示すグラフであり、ここで、ここで、CTR=比較のための、治療をしない対象(n=20)であり、Non−resp=LIで治療した非応答者(n=11)、Resp=LIで治療した応答者(n=6)であり、データは平均値±SEM、*=p<0.05である。
【図14】OSCC比較サンプルにネクロシス事象がないことを示す、OSCC比較サンプルのH&E染色されたパラフィン薄片のカラー顕微鏡写真であり、棒=500μmである。
【図15】誘導された微小上皮ネクロシスを示す、OSCCのLI治療されたサンプルのH&E染色されたパラフィン薄片のカラー顕微鏡写真である。棒=500μmであり、腫瘍支質は青の領域で表示してある。
【図16】腫瘍周辺線維状コラーゲンリムを示す、治療されていない比較対象のOSCC内のコラーゲン支質のカラー顕微鏡写真であり、棒=200μmであり、腫瘍支質は青の領域で表示してある。
【図17】ガン細胞巣の間の間隙コラーゲン線維の累積を示す、LI治療されたOSCCのうちのOSCC内のコラーゲン支質のカラー顕微鏡写真である。棒=200μmであり、腫瘍支質は青の領域で表示してある。
【図18】支質のパーセント領域内のOSCCのコラーゲン支質の体型を示すグラフであり、ここで、CTR=比較のための、治療をしない対象(n=20)であり、Non−resp=LIで治療した非応答者(n=11)、Resp=LIで治療した応答者(n=6)であり、データは平均値±SEM、*=p<0.05である。 LI治療された非応答者=医者の検査によって測定されるような触知可能な腫瘍の最も長い極および最も長い方向に垂直な最も幅の広いポイントにおける、ベースラインの腫瘍容積(面積)の低減と比較し、30%未満の、治療に対する身体的応答を有するLI治療された進行性口内鱗状細胞ガン患者。 LI治療された応答者=上記で測定されたような腫瘍容積(面積)が50%よりも多く低減した、LI治療された進行性口内鱗状細胞ガン患者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HLAクラスIIの腫瘍細胞表面の発現をモジュレートする方法であって、このモジュレートを必要とする患者に対し、IL−1β、TNF−α、IFN−γ、GM−CSF、インターロイキン−2(IL−2)の群から選択された特定比のサイトカインを含む、無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する方法であり、ここで、IL−2に対するIL−1β、TNF−α、IFN−γ、GM−CSFの特定の比は、
IL−2に対するIL−1βの比が、0.4〜1.5の範囲であり、
IL−2に対するTNF−αの比が3.2〜11.3の範囲であり、
IL−2に対するIFN−γの比が1.5〜10.9の範囲であり、
IL−2に対するGM−CSFの比が2.2〜4.8の範囲である、
HLAクラスII腫瘍細胞表面の発現をモジュレートする方法。
【請求項2】
サイトカインの特定比は、
IL−2に対するIL−1βの比が、0.6〜0.8の範囲であり、
IL−2に対するTNF−αの比が、7.7〜10.9の範囲であり、
IL−2に対するIFN−γの比が、4.9〜7.1の範囲であり、
IL−2に対するGM−CSFの比が、3.5〜4.5の範囲である、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
約20IU〜1600IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)の範囲で、2週間にわたり、1週につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
約40IU〜800IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)の範囲で、2週間にわたり、1週間につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
約35IU〜75IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)の範囲で、2週間にわたり、1週間につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
55IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、2週間にわたり、1週間につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
200IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、2週間にわたり、1週間につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
400IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)の範囲で、2週間にわたり、1週間につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
800IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、2週間にわたり、1週間につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
1200IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、2週間にわたり、1週間につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
1600IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、2週間にわたり、1週間につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
2400IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、2週間にわたり、1週間につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
3200IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、2週間にわたり、1週間につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
4800IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、2週間にわたり、1週間につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
8000IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、2週間にわたり、1週間につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項16】
9600IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、2週間にわたり、1週間につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
12000IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、2週間にわたり、1週間につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項18】
200IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、3週間にわたり、1週間につき5回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項19】
400IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、3週間にわたり、1週間につき5回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項20】
800IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、3週間にわたり、1週間につき5回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項21】
1200IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)の範囲で、3週間にわたり、1週間につき5回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項22】
1600IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、3週間にわたり、1週間につき5回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項23】
2400IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、3週間にわたり、1週間につき5回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項24】
3200IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、3週間にわたり、1週間につき5回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項25】
4800IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、3週間にわたり、1週間につき5回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項26】
8000IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、3週間にわたり、1週間につき5回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項27】
9600IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、3週間にわたり、1週間につき5回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項28】
1200IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)で、3週間にわたり、1週間につき5回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項29】
約20IU〜1600IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)の範囲で、8週間から26週間にわたり、1週間につき3回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項30】
約20IU〜1600IU(ここで、IUは世界保健機構のヒトIL−2に対する第1回国際規格、すなわち86/504で示されたインターロイキン−2に対する国際単位を示す)の範囲で、8週間から26週間にわたり、1週間につき5回、前記無血清および無ミトゲンサイトカイン混合物を投与する、請求項3記載の方法。
【請求項31】
IL−2に対するIL−3の比が0.38〜0.68の範囲、好ましくは0.53±0.15のIL−3を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項32】
IL−2に対するIL−6の比が37.2〜53.8の範囲、好ましくは46±5.9のIL−6を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項33】
IL−2に対するIL−8の比が261〜561.5の範囲、好ましくは411±10.6のIL−8を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項34】
IL−2に対するIL−1αの比が0.56〜0.94の範囲、好ましくは0.75±0.19のIL−1αを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項35】
IL−2に対するIL−10の比が2.87〜3.22の範囲、好ましくは3.0±0.18のIL−10を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項36】
IL−2に対するIL−16の比が1.16〜2.84の範囲、好ましくは1.84±0.68のIL−16を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項37】
IL−2に対するG−CSFの比が2.16〜3.78の範囲、好ましくは2.97±0.81のG−CSFを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項38】
IL−2に対するTNF−βの比が1.17〜2.43の範囲、好ましくは1.8±0.63のTNF−βを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項39】
IL−2に対するMIP−1αの比が15.7〜37.16の範囲、好ましくは22.7±7.0のMIP−1αを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項40】
IL−2に対するMIP−1βの比が17.1〜28.5の範囲、好ましくは22.8±5.7のMIP−1βを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項41】
IL−2に対するRANTESの比が2.3〜2.7の範囲、好ましくは2.5±0.13のRANTESを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項42】
IL−2に対するEGFの比が0.267〜0.283の範囲、好ましくは0.275±0.008のEGFを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項43】
IL−2に対するPGEの比が3.63〜5.42の範囲、好ましくは4.5±0.87のPGEを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項44】
IL−2に対するTxBの比が23.47〜25.13の範囲、好ましくは24.3±0.83のTxBを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項45】
IL−12が微量存在する、請求項1記載の方法。
【請求項46】
前記微量が100pg/ml以下として定義される、請求項45記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2008−540553(P2008−540553A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511311(P2008−511311)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/018055
【国際公開番号】WO2006/122178
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(505473776)シーイーエル−エスシーアイ コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】