説明

サイトカイン誘導体

本発明は、N末端部分およびC末端部分を含むポリペプチドおよびその使用に関し、前記N末端部分は署名配列QGP[PまたはL]を含み、前記C末端部分は配列番号1に対して少なくとも70%同一である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗HIV活性、抗炎症活性またはその他の活性を有するサイトカイン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症および後天性免疫不全症候群(AIDS)を治癒できることが知られている薬物は存在しない。今日までに、HIVによる感染を予防することができる実現可能と思われるワクチンは存在しない。
今日、現存するHIV感染は、多くの場合、3以上のレトロウイルス薬の組合せを含む高活性抗レトロウイルス療法(HAART)によって制御することができる。しかしながら、HAARTで現在使用されている逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤(RTIおよびPI)の選択圧の下で、一重、二重または三重の薬物クラス耐性HIV株の発生が絶えず起こっている。
従って、新たな種類の抗HIV薬に対する緊急の必要性が存在する。好ましくは、そのような新たな薬物が、上述のRTIおよびPIにより標的とされる逆転写過程およびウイルス成熟過程よりも耐性発現に対して脆弱でないウイルス側面を標的とする。HIVワクチンの非存在下で、性的接触の間のHIV伝染を予防することができる作用物質に対する必要性が更に存在する。
この必要性は、標的細胞へのHIVの侵入を阻害する作用物質、すなわち「侵入阻害剤」(EI)のクラスの作用物質によって満たされる可能性がある。そのような作用物質は、例えば、性的接触の間のHIVによる細胞の感染を妨げることを目的として、ヒト生殖器に部分的(locally)および局所的に適用され得る。性的接触の間のHIVの伝染を予防できる作用物質は、しばしば(不適切であるが)「殺菌剤」と呼ばれる。
ヒト標的細胞へのHIVの侵入は、ヒト細胞表面タンパク質CD4およびいわゆるコレセプターへのHIVビリオンの接着に依存する。HIVによって使用される主なコレセプターとしては、7回膜貫通型Gタンパク質共役受容体であるCXCR4およびCCR5が挙げられる。CCR5の天然のケモカインリガンド、特にRANTES(CCR5)は、R5向性HIV株(CCR5をコレセプターとして使用するHIV株)のヒト細胞への侵入を阻害することが見出された[1]。RANTESは、慢性炎症性疾患において細胞の蓄積および活性化を促進することが知られている炎症誘発性サイトカインである。
【0003】
RANTESのN末端に改変を有するある種の誘導体、例えば、AOP-RANTES、[グリオキシリル]1RANTES(2-68)のアミノオキシペンタンオキシム(“(2-68)”は、天然に存在するRANTESペプチドの残基2〜68を表す)は、増強された抗HIV活性を示した[2]。更に、抗HIV活性を有する化学的に改変されたRANTES誘導体としては、NNY-RANTES(n-ノナノイル-RANTES(2-68) [3、4])およびPSC-RANTES[5]が挙げられる。
しかしながら、上述の化学的に改変されたRANTES誘導体は、細胞へのHIV侵入を阻害するだけでなく、CCR5の相対的に強いアゴニストでもある:AOP-RANTES、NNY-RANTESおよびPSC-RANTESは、細胞質内カルシウム流入を伴う炎症誘発性シグナル伝達カスケードを引き起こす。そのようなシグナル伝達活性を有する作用物質の抗HIV薬物としての使用は、所望されない副作用、例えば炎症を伴うもの、をもたらす可能性がある。炎症の誘導は、炎症組織ではHIVによる感染の危険性が実際に増加され得ることが認識されており、予防的な抗HIV作用物質にとって非常に望ましくない副作用である。
RANTES誘導体のような作用物質は、その作用物質のCCR5に対する選択性または特異性の欠如のため、すなわち、その作用物質が受容体タンパク質CCR1およびCCR3にも結合するため、標的細胞においてシグナル伝達も誘導し得る。
化学的に改変されたポリペプチドの欠点は、それらが直接的なバイオテクノロジー手段(発現および発酵)によって産生できないことである。完全コード化(fully-coded)抗HIV RANTES誘導体、すなわち、天然にコードされたアミノ酸のみからなる誘導体も報告されている[6、7]。しかしながら、初期に報告された完全コード化RANTES誘導体の抗HIV効力は全て、化学的に改変された変異体PSC-RANTESのものよりも低かった[5]。
【発明の概要】
【0004】
[発明の開示]
[本発明の分子]
高い抗HIV効力を有する完全コード化ペプチド作用物質が現在同定された。これらのペプチド作用物質は、化学的な合成または改変に必要とされる費用および努力を回避しながら、標準的なバイオテクノロジー手法によって容易に産生することができる。予想外に、好ましい実施態様において、本発明の該ペプチド作用物質は高い抗HIV効力と低度の炎症誘発性シグナル伝達のみを誘発する能力とを兼ね備えており、よって炎症性の副作用を回避できることが見出された。
更なる実施態様では、本発明の該作用物質は、CCR5の細胞内へのインターナリゼーション(受容体隔離、ダウンレギュレーションまたはダウンモジュレーション)をもたらす。この驚くべき作用機序は、(i)該薬物の単回投与によって比較的長い持続時間の保護を達成し得ること、また(ii)ウイルスとの相互作用についてCCR5かその薬物結合形態のいずれも標的細胞の表面上で接近できない場合には耐性R5向性HIV株が進化しにくいことから、有利である。
特に好ましいペプチド作用物質は、高い抗HIV効力と高い受容体隔離活性および低いシグナル伝達活性の双方とを兼ね備えている。更に好ましい本発明のペプチド作用物質は、高い抗HIV効力、高い受容体隔離活性および低いシグナル伝達活性からなる群より選択される少なくとも1つの所望の特性と、高い受容体選択性、すなわち、好ましくはCCR1および/またはCCR3にまさってCCR5に結合することとを兼ね備えている。
本発明のペプチド作用物質はQGP[PまたはL]を含む署名配列を含む、すなわち、該署名配列の第4位がPかLのどちらかであり得る。好ましくは、この署名配列がポリペプチドのN末端近くに位置する。好ましくは、該署名配列の始まりがポリペプチドのN末端から15残基以内、より好ましくはN末端から12残基以内、10残基以内、8残基以内、6残基以内、5残基以内、4残基以内、3残基以内、2残基以内、1残基以内に存在するように、該署名配列が位置する。ここで、「署名配列の始まり」という表現は、該署名配列のN末端を示す。該署名配列は、ポリペプチドの最N末端(the extreme N terminus)に、すなわち、全体として該ポリペプチドのN末端に位置していてもよく、該署名配列が合致していてもよい。
このように、本発明は、N末端部分およびC末端部分を含むポリペプチドであって、前記N末端部分が署名配列QGP[PまたはL]を含み、前記C末端部分のアミノ酸配列が配列番号1と少なくとも70%同一である前記ポリペプチドに関する。
好ましくは、前記署名配列がQGP[PまたはL][LまたはGまたはSまたはM][MまたはDまたはSまたはQまたはG]であり、また更に好ましい実施態様ではQGP[PまたはL][LまたはG][MまたはDまたはS]である。
より好ましくは、前記署名配列がQGP[PまたはL][LまたはGまたはSまたはM][MまたはDまたはSまたはQまたはG]XX[QまたはGまたはLまたはAまたはTまたはS]Xであり、また更に好ましい実施態様ではQGP[PまたはL][LまたはG][MまたはDまたはS]XX[QまたはL]Xである(ここで、Xはいずれかの天然アミノ酸または改変アミノ酸である)。
より好ましくは、前記署名配列がQGP[PまたはL]LMまたはQGPPG[DまたはS]である。
より好ましくは、前記署名配列がQGPPLMまたはQGPPGDである。
ある実施態様において、前記署名配列はQGP[PまたはL][LまたはM][MまたはQ][AまたはWまたはGまたはQまたはN]X[QまたはGまたはL][SまたはVまたはTまたはG]であり、また更に好ましい実施態様ではQGP[PまたはL][LまたはM][MまたはQ][AまたはWまたはGまたはQまたはN][LまたはTまたはMまたはSまたはGまたはQまたはRまたはY][QまたはGまたはL][SまたはVまたはTまたはG]またはQGP[PまたはL]LM[AまたはW][LまたはTまたはM][[QまたはG][SまたはVまたはTまたはG]である。
好ましくは前記署名配列がQGPPLM[AまたはW][LまたはTまたはM][[QまたはG][SまたはVまたはTまたはG]である。
更なる実施態様では、前記署名配列はQGP[PまたはL][LまたはGまたはS][DまたはSまたはGまたはQ] XX[LまたはAまたはTまたはQ][WまたはAまたはV]であり、また更に好ましい実施態様ではQGP[PまたはL][LまたはGまたはS][DまたはSまたはGまたはQ][TまたはIまたはSまたはWまたはQ][VまたはLまたはAまたはSまたはG][LまたはAまたはTまたはQ][WまたはAまたはV]、またはQGPPG[DまたはS][TまたはI]VL[WまたはA]である。
好ましくは、前記署名配列がQGPPGD[TまたはI]VL[WまたはA]である。
更なる実施態様では、前記署名配列がQGPP[GまたはL][MまたはQ]XX[QまたはS][SまたはV]であり、また更に好ましい実施態様ではQGPP[GまたはL][MまたはQ][SまたはGまたはWまたはAまたはT][LまたはFまたはTまたはSまたはGまたはY][QまたはS][SまたはV]、またはQGPPLM[SまたはG][LまたはFまたはT]Q[SまたはV]である。
好ましい実施態様によると、本発明のポリペプチドはQGPPLMALQS、QGPPLMWMQV、QGPPLMWLQV、QGPPLMWTQS、QGPPLMWLQT、QGPPLMWTQV、QGPPLMWMQS、QGPPLMATQS、QGPPLMWLQS、QGPPLMALQV、QGPPLMWLGG、QGPPLMWRGS、QGPLLMWLQV、QGPPLMQTTP、QGPPLSWLQV、QGPPLSWLQS、QGPPGQWSQV、QGPPMMAGLS、QGPPLSWQQS、QGPPGMWSQS、QGPPLQWRQS、QGPPLMGTQS、QGPPLMQLQV、QGPPLSWSQV、QGPPMSWSQS、QGPPLMNLQV、QGPPMSAYQVおよびQGPPMQGGLSからなる群より選択される署名配列を含む。
更に好ましい実施態様によると、本発明のポリペプチドはQGPPGDTVLW、QGPPGDIVLA、QGPPGSYDYS、QGPPGDGGSV、QGPLSGQSTP、QGPPGDWLQV、QGPPLMSLAV、QGPPLMSLTV、QGPLSGWAQV、QGPLSQSSQV、QGPLSSQSQVおよびQGPLGQQGQVからなる群より選択される署名配列を含む。
更に好ましい実施態様によると、本発明のポリペプチドはQGPPLMSFQS、QGPPLMSTQS、QGPPLMSLQV、QGPPLMGLQV、QGPLSGWLQV、QGPPLQWFQV、QGPPLQWTQV、QGPPLMALSV、QGPPLMWSQV、QGPPGQWGQV、QGPPGSWSQV、QGPPLMSSQS、QGPPLMGLSV、QGPPLMTLQVおよびQGPPGQWYQSからなる群より選択される署名配列を含む。
更に好ましい実施態様によると、本発明のポリペプチドはQGPPLMSVLA、QGPPGSWSSV、QGPPLGSMGP、QGPPLQWMQA、QGPPLQWMQV、QGPPLMSTQV、QGPPLMSLSV、QGPPLMSLQS、QGPPLMSLQA、QGPPLMSVQS、QGPPLMSAQS、QGPPLMSGQSおよびQGPPLMSGQVからなる群より選択される署名配列を含む。
更なる実施態様において、前記N末端部分は、15以下のアミノ酸、好ましくは14以下、13以下、12以下、11以下、10以下のアミノ酸からなる。ある好ましい実施態様によると、前記N末端部分は10アミノ酸からなる。
ある実施態様によると、C末端部分のN末端はN末端部分のC末端に直接隣接している、すなわち、N末端部分とC末端部分とは直接隣接している。
更なる実施態様では、ポリペプチド鎖の前記C末端部分が配列番号1と同一である。
更なる実施態様では、署名配列がN末端の一番端に位置する。
本発明のRANTES誘導体の署名配列の好ましい実施態様は、以下の表1に示される。
【0005】



【0006】
本発明は、上述のようなペプチド作用物質、更には前記ペプチド作用物質をコードする核酸を提供する。前記核酸を「本発明の核酸」と呼ぶこともある。以下では、「作用物質」という用語は、本発明のペプチド作用物質とそのペプチド作用物質をコードする核酸とを包含する。当業者であれば、遺伝コードに従って前記ペプチド作用物質をコードする核酸を設計または同定する方法を知っているであろう。
そして本発明は、本発明の1以上のペプチド作用物質をコードする1以上のセグメントを含む核酸を開示する。前記核酸はRNAであってもDNAであってもよい。前記核酸は更にはベクターであってもよい、すなわち、本発明のペプチドをコードする核酸がベクターに組み込まれていてもよい。本発明のペプチドをコードする核酸は更にウイルスに組み込まれていてもよい。よって本発明は、そのゲノム中に本発明の1以上のペプチド作用物質をコードする1以上のセグメントを含むウイルスも提供する。
好ましくは、本発明のペプチド作用物質は、細胞へのHIV侵入の極めて強力な阻害剤である、すなわち高い抗HIV効力を有する。本発明によると、「高い抗HIV効力」、「高い効力」または「極めて強力な」という用語は、[材料および方法]の章に記載する細胞融合アッセイおよびHIV複製アッセイにより測定して、1000 pM (1 nM)以下、好ましくは900、800、700、600、500、400、300、200、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、40、30,または20 pM未満のIC50値を有する作用物質またはペプチド作用物質に関して用いる。
文献では、作用物質の効力は、時に競合的結合アッセイ、すなわち、典型的には興味の対象となる受容体に対する結合のため標識トレーサー分子を用いた競合に関する前記アッセイから得られた「IC50」値という用語で表現される。その場合、IC50は、作用物質によってトレーサーの50%が受容体から外される前記作用物質の濃度として規定され、時に「見かけの親和性」とも呼ばれる。しかしながら、本発明の作用物質について、そのような見かけの親和性IC50値、例えば天然のRANTESまたはMIP-1βに関して得られるもの、は必ずしも該分子の抗HIV効力に比例しないことが見出されている。よって、[材料および方法]の章に記載されているアッセイから得られたIC50値を用いるのが好ましい。
【0007】
好ましい実施態様では、ペプチド作用物質はペプチドRANTESに関連するペプチドまたはポリペプチドである。ペプチド作用物質は配列番号1の配列、またはその変種(variant)、その相同体(オーソログ、対立遺伝子多型、誘導体、機能的変異体)もしくはそのフラグメントを含み得る。好ましくは、前記配列またはその変種、相同体もしくはフラグメントがペプチド作用物質の署名配列と異なる部分を構成するかまたは前記部分に位置する。しかしながら、署名配列が配列番号1の変種または相同体に含まれていてもよい。
前記変種、前記相同体または前記フラグメントは、配列の置換、挿入、欠失、付加または切断を含み得る。
本発明によると、配列が配列番号1と70%を超える同一性を有する場合、前記配列は配列番号1との類似性を有するまたは配列番号1の相同体であると言う。好ましくは、前記配列が、配列番号1と70%を超える同一性、より好ましくは配列番号1と75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%または99.9%を超える同一性を有する。
配列が配列番号1に関して1以上の保存的置換を含む場合、前記配列は配列番号1との類似性を有するまたは配列番号1の相同体であると言う。保存的置換は、ペプチド作用物質またはポリペプチド作用物質の配列における置換であって、前記作用物質の機能の重大な喪失をもたらさないものまたは機能の少しの喪失のみをもたらすものである。1以上の保存的置換に因るそのような機能の喪失は、未置換配列を有する作用物質の機能に関して前記喪失が20%未満(好ましくは15%、10%、6%または4%)に達する場合、有意でないと考えられ得る。保存的置換は、アミノ酸側鎖が置き換えられる残基と関連するまたは物理化学的特性が類似するアミノ酸側鎖によって置き換えられる置換である場合が多い。そのような保存的置換は、例えば下の表に従って行われ得る。真ん中の列の同じブロック内のアミノ酸、好ましくは右側の列の同じ行のアミノ酸は互いに置換され得る。
【0008】
表2

【0009】
本発明によると、配列中の30%を超える残基が配列番号1に対して同一であるかまたは保存的に置換されている場合、その配列が配列番号1に対し類似性を有するまたは配列番号1の相同体であると言う。好ましくは、前記配列が配列番号1に対して35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を超えて同一であるまたは保存的に置換されている。
本発明は更に、配列番号1のフラグメントまたはその相同体を含むポリペプチドを提供する。フラグメントは、配列番号1由来の少なくともn個の連続したアミノ酸またはそれらの相同体を含むことができ、特定の配列に応じてnは5以上(好ましくは6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、55、56、57を超える)である。
本発明のペプチド作用物質は好ましくは、低いシグナル伝達活性を有する、すなわち、その投与および/またはCCR5への結合が標的細胞において低度の炎症誘発性シグナル伝達のみを引き起こす。本発明の「低いシグナル伝達活性」を有するペプチド作用物質は、カルシウム流入シグナル伝達アッセイ([材料および方法]を参照)において300 nMの濃度で試験した場合に、PSC-RANTESにより引き起こされる最大応答(Emax)の30%以下のシグナル伝達応答をもたらす。好ましくは、本発明のペプチド作用物質は前記アッセイで測定して30%未満のシグナル伝達活性、より好ましくは26%、22%、20%、18%、16%、14%、12%、10%、8%、6%、4%、2%または1%未満のシグナル伝達活性を有する。
【0010】
本発明のペプチド作用物質は、好ましくは受容体CCR1およびCCR3に対してCCR5に対して選択的である。本発明によると、CCR1および/またはCCR3にもCCR5にも結合する作用物質は、実質的にCCR1またはCCR3を活性化しない場合には、なおCCR1およびCCR3に対してCCR5に対する選択性を有すると考える。より好ましくは、本発明の作用物質はCCR1とCCR3とに実質的に結合せずCCR1とCCR3とを実質的に活性化しない。本発明の文脈において、CCR1識別結合アッセイおよび/またはCCR3識別結合アッセイ([材料および方法]を参照)を用いて測定して、CCR1および/またはCCR3結合について作用物質のIC50値が50 nMより大きい場合、より好ましくは60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、200、300、400、500、600、700、800、900または1000 nMより大きい場合、前記作用物質はCCR1および/またはCCR3と実質的に結合しないと考えられる。CCR1および/またはCCR3活性化にまさるCCR5活性化の選択性は[材料および方法]の章に記載されるカルシウム流入アッセイによって評価され得る。本発明の文脈において、カルシウム流入アッセイによって測定して、作用物質のシグナル伝達活性が天然のRANTES/CCL5により該受容体に関して引き起こされるEmaxの30%未満、より好ましくは26%、22%、20%、18%、16%、14%、12%、10%、8%、6%、4%、2%または1%未満である場合、前記作用物質はCCR1および/またはCCR3を実質的に活性化しないと考えられる。
本発明のペプチド作用物質は、好ましくは高い受容体隔離活性を有する、すなわち、投与および/またはCCR5との結合が高度の受容体隔離を引き起こす。前記隔離は、好ましくは受容体のインターナリゼーション、ダウンレギュレーションまたはダウンモジュレーションである。本発明の「高い受容体隔離活性」を有するペプチド作用物質は、CCR5表面ダウンモジュレーション/受容体隔離アッセイ([材料および方法]を参照)で試験した場合に、対照レベルの表面CCR5分子の少なくとも50%の隔離がもたらされる。好ましくは、本発明のペプチド作用物質は、対照レベルの表面CCR5の50%を超える受容体隔離活性、例えば対照レベルの表面CCR5の少なくとも55%、60%、65%、70%、80%、85%、90%または95%の受容体隔離活性を有する。
【0011】
好ましくは、本発明の該作用物質は、高い抗HIV効力と低いシグナル伝達活性とを兼ね備えるか、または高い抗HIV効力と高い受容体隔離活性とを兼ね備える。より好ましくは、本発明の該作用物質は高い抗HIV効力と低いシグナル伝達活性および高い受容体隔離活性とを兼ね備える。そのうえ、本発明の該作用物質は好ましくは、高い抗HIV効力、高い受容体隔離活性および低いシグナル伝達活性からなる群より選択される少なくとも1つの特性とCCR5に対する選択性とを兼ね備える。本発明のある好ましい実施態様によると、本発明の該作用物質は、中間レベルの抗HIV効力(細胞融合アッセイにより測定して、例えば0.15〜1 nM、0.15〜0.7 nM、0.3〜1 nMまたは0.5〜1 nMのIC50レベル)と中間レベルのシグナル伝達活性(カルシウム流入アッセイにより測定して、例えば30%〜50%または30%〜45%)および中間レベルの受容体隔離活性(CCR5表面ダウンモジュレーションアッセイにより測定して、例えば20%〜60%、30%〜50%、20%〜50%または30%〜60%)との組合せによって特徴付けられる。アッセイについては下記の[材料および方法]の章に記載する。
「タンパク質」、「ペプチド」または「ポリペプチド」という用語は、互換的に用いられ且つどの長さのアミノ酸ポリマーをも指す。前記ポリマーは、直線であってもまたは分枝であってもよく、改変アミノ酸を含んでいてもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。前記用語は天然にまたは本発明により改変されたアミノ酸ポリマーをも包含する;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または、標識化構成部分を用いた結合のようないずれか他の操作もしくは改変。その定義には、例えば、アミノ酸の類似体(例えば、天然でないアミノ酸などが挙げられる)や本技術分野で既知の他の改変を1以上含むポリペプチドも含まれる。ポリペプチドは一本鎖または会合鎖として存在することができる。本発明のポリペプチドは、天然にグリコシル化されていてもよく、または非天然にグリコシル化(すなわち、該ポリペプチドは、対応する天然に存在するポリペプチドにおいて見出されるグリコシル化パターンと異なるグリコシル化パターンを有する)されていてもよい。
【0012】
[ペプチド作用物質の調製]
本発明のペプチド作用物質は、多くの方法で、例えば、既知の分子生物学の技術(すなわち、遺伝子工学および発酵−一般にはバイオテクノロジー)または既知のタンパク質化学の技術(例えば、化学的ペプチド合成)を用いて調製することができる。
該ペプチド作用物質および該核酸作用物質は、好ましくは既知の遺伝子工学技術、例えば[13]に記載されるものを用いて調製される。本発明はよって、ポリペプチド発現を誘導する条件下で宿主細胞を培養する工程を含む、本発明のペプチド作用物質またはポリペプチドを調製する方法を提供する。
例えば、本発明のペプチド作用物質は宿主細胞における発現によって組換え形態で調製されてもよい。そのような発現方法は当業者に周知であり、[13]に詳細に記載されているだろう。最適な宿主について適切な発現ベクターを選択することができる。前記ベクターは、宿主転写機構によって認識される発現制御配列に機能可能に連結されたペプチド作用物質をコードする組換えDNA分子を含有してもよい。本発明のペプチド作用物質がこのように組換え発現によって産生される場合、該作用物質は宿主細胞の培養物から回収される。
【0013】
好ましい方法は、in vitroの化学合成[8,9]を伴う。よって本発明は、化学的手段を部分的または全体的に用いて合成されるペプチド作用物質を生産する方法を提供する。tBocまたはFmocをベースとする方法[10]のような固相ペプチド合成が特に好ましい。酵素合成[11]を部分的または全体的に用いてもよい。
宿主細胞における発現以外の生物学的合成を用いてもよく、例えば、in vitroでRNAからの翻訳によってポリペプチドを産生してもよい。本発明のペプチド作用物質は、例えば、プロテアーゼを用いて長いポリペプチドを切断することによっても調製することができる。
遺伝子工学、発酵および発現を含む生物学的方法は一般にL-アミノ酸をベースとするポリペプチドの産生に限定されるが、in vivoまたはin vitroでの翻訳機構の操作(例えば、アミノアシルtRNA分子)を用いてD-アミノ酸(あるいは、ヨードチロシン、メチルフェニルアラニン、アジドホモアラニンなどのような他の天然でないアミノ酸)の導入を可能にすることができる[12]。しかしながら、D-アミノ酸が含まれる場合、化学合成を用いるのが好ましい。本発明のポリペプチドはC末端および/またはN末端において共有結合性の改変を有していてもよい。
【0014】
[宿主細胞]
本発明は、本発明の核酸を含む宿主細胞も提供する。
本発明のある態様によると、該宿主細胞は本発明の該作用物質の生物工学的生産に適する。本発明の該作用物質の生物工学的生産に適切な宿主としては、通常用いられるE.coliのような原核生物種または真核生物の酵母類が挙げられ、それらは高レベルの組換えタンパク質を発現するように作ることも容易に大量に増殖させることもできる。in vitroで増殖させた細胞株も、特に、宿主としての昆虫細胞の使用を伴うバキュロウイルス発現系のようなウイルス駆動性(virus-driven)発現系を用いる場合、適切である。ペプチド作用物質はin vivoで、例えば昆虫幼生内または哺乳動物組織内で、発現されてもよい。好ましくは、該ペプチド作用物質はE.coliで発現され、例えばBLR(DE3)株が適切であるが、当業者が知り得るように、同等の系も同様に適切である。
本発明の更なる態様によると、ヒトまたは動物の腸(消化管)または膣の中で生存可能且つ増殖可能である、また好ましくはその中で前記核酸によりコードされるペプチド作用物質を発現可能である宿主細胞が提供される。好ましくは、本発明の本態様による宿主細胞はまた前記ペプチド作用物質をペリプラズムまたは培地中に分泌する。これ以後、「作用物質」という用語は更に本明細書に記載の宿主細胞を含む。
【0015】
好ましくは、該宿主細胞は高コロニー形成性且つ非病原性の微生物である。本発明の高コロニー形成性微生物は、体内粘膜表面の長期的なコロニー形成に関して常在性微生物と競合可能な株である。該宿主細胞は、好ましくはヒト消化管またはヒト膣の細菌叢に属する微生物であり、より好ましくはヒト消化管またはヒト膣の細菌叢に通常見出される微生物である。より好ましくは、該宿主細胞は、プロバイオティックおよび/または片利共生微生物、すなわち、少なくともヒト宿主にとって有益な属、種または株である。好ましくは本発明の宿主は、正常または健康なヒトまたは動物の腸内または膣内細菌叢の一部である。ある実施態様によると、該宿主細胞が、バクテロイデス、クロストリジウム、フゾバクテリウム、ユーバクテリウム、ルミノコッカス、ペプトコッカス、ペプトストレプトコッカス、ビフィドバクテリウム、ストレプトコッカス、エシェリキアおよびラクトバシルスからなる群より選択される属に属する。該宿主細胞は、好ましくはエシェリキア・コリ、ラクトバシルス・アシドフィルス、ラクトバシルス・クリスパタス、ラクトバシルス・ガセリ、ラクトバシルス・イネルス、ラクトバシルス・ジェンセニィ、ラクトバシルス・カゼイ、ラクトバシルス・プランタルム、ラクトバシルス・ラムノスス、ラクトバシルスGG、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ブレベ、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ロンガムおよびストレプトコッカス・ゴルドニィからなる群より選択される種である。好ましくは、本発明の高コロニー形成性微生物がエシェリキア・コリ・ニッスル1917である。しかしながら、他のエシェリキア・コリの高コロニー形成性株または別の上述の種のいずれも本発明の好ましい株である。別の実施態様では、該宿主細胞が酵母である。好ましくは、該酵母がピキア・ギリエルモンディまたはサッカロミセス・ブラウディのような片利共生酵母である。更に別の実施態様では、宿主細胞がヒト細胞である。
当業者は、外来核酸を用いて微生物を形質転換する方法と、続いて形質転換した微生物を用いて前記核酸によってコードされるポリペプチドを細胞内型、ペリプラズム型または分泌型で発現する方法とによく通じている[参考文献13,15,16,17を参照]。
【0016】
[医薬組成物]
本発明は、本発明の作用物質と医薬として許容される担体とを含む組成物を提供する。よって、医薬としての使用のため、本発明の該作用物質またはペプチド作用物質もしくは対応する核酸の医薬として許容される塩が提供される。本発明の組成物は本発明のいずれかの作用物質、すなわち、これ以降では本発明のペプチド作用物質、その医薬として許容される塩、核酸、その医薬として許容される塩、または本発明の宿主細胞を含み得る。医薬組成物の調製は当業者に周知である。
本発明の医薬組成物は、特に、本発明の1以上(複数)の作用物質、例えば2以上の作用物質を含むことができる。本発明は、(a)本発明の作用物質である、第一の作用物質;と(b)第二の医薬作用物質とを含む、医薬品または医薬システムも提供する。ある実施態様によると、第二の医薬品が逆転写酵素阻害剤(RTI)、プロテアーゼ阻害剤(PI)、インテグラーゼ阻害剤およびウイルス集合阻害剤を含んでもよい。更なる実施態様によると、第二の医薬作用物質は本発明のもの以外の侵入阻害剤、例えば、ポリアニオン性物質(例えば、硫酸セルロース)、グリカン結合作用物質もしくはレクチン類、グリカン受容体結合剤(例えば、可溶性マンナン)、抗体、小分子侵入阻害剤、ペプチド侵入阻害剤、またはCXCR4結合(CXCR4遮断)薬を含んでもよい。更なる実施態様によると、第二の医薬作用物質が界面活性剤、またはpHを調整する作用物質、例えば酸もしくはpH緩衝剤を含んでもよい。更なる実施態様によると、第二の医薬作用物質が抑制性RNA(siRNA)を含んでもよく、前記siRNAが化学的に改変されていてもよい。
本発明の他の態様によると、前記第二の医薬作用物質が抗炎症薬または免疫抑制薬であってもよい。本発明の該複数の作用物質または前記第一および第二の作用物質は、混合物に調剤されるか、または別個の組成物として、例えば、同時であるが個別の投与用もしくは連続投与用として調剤される(下記を参照)。
【0017】
本発明の該作用物質の医薬として許容される塩はもちろん慣例的な手法によって、例えば、該作用物質の遊離塩基および/または遊離酸を少なくとも化学量論量の所望の塩形成性(salt-forming)の酸または塩基と反応させることによって製造することができる。
本発明の該作用物質の医薬として許容される塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛およびアンモニウムのような無機陽イオンを有する塩と、有機塩基を有する塩とを含む。適切な有機塩基としては、N-メチル-D-グルカミン、アルギニン、ベンザチン、ジオラミン、オラミン、プロカインおよびトロメタミンが挙げられる。本発明の該作用物質の医薬として許容される塩は、有機酸または無機酸から誘導された塩も含む。適切な陰イオンとしては、アセテート、アジペート、ベシレート、ブロミド、カンシラート、クロリド、シトレート、エジシレート、エストラート、フマレート、グルセプテート、グルコネート、グルクロネート、ヒップラート、ヒクラート、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、ヨウ化物、イセチオネート、ラクテート、ラクトビオネート、マレエート、メシラート、メチルブロミド、メチルサルフェート、ナプシラート、ニトレート、オレエート、パモエート、フォスフェート、ポリガラクツロネート、ステアレート、スクシネート、サルフェート、スルホサリチレート、タンネート、タータレート、テレフタレート、トシレートおよびトリエチオジドが挙げられる。
本発明の作用物質の医薬剤形は、即時放出、制御放出、持続放出または標的薬物送達のシステムで提供され得る。
【0018】
通常用いられる剤形としては、例えば、液剤および懸濁剤、(マイクロ)エマルジョン、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ペースト剤、フォーム剤、坐剤、膣坐薬(ovule)、インプラント、パッチ剤、リポソーム剤、錠剤、糖衣錠、トローチ剤、ソフトシェルカプセル剤、ハードシェルカプセル剤、非晶質散剤、結晶性散剤、沸騰散、発泡錠、エアゾール剤ならびに凍結乾燥製剤が挙げられる。用いられる投与経路に依存して、薬物の適用または投与のために特殊な装置が必要とされてもよく、例えば、注射器および針、吸入器、ポンプ、注射ペン、アプリケーター、特殊容器または他の投与用装置などであり、それらは体内に埋め込まれていてもよい。特に、本発明の該作用物質は、避妊具または避妊薬、例えば、子宮内もしくは頸管内の装置、コイルもしくは隔膜に含まれていてもまたは付随していてもてく、あるいはコンドーム上に分布させても、例えば、コーティング液、液剤、ゲル剤または散剤の形態で包含させてもよい。しかしながら、本発明によると、本発明の該作用物質は必ずしも避妊具または避妊薬に付随することを要しない。好ましくは、本発明の作用物質が徐放性(depot)送達システムに包含されて投与される。好ましくは、前記徐放性送達システムが、膣もしくは子宮頚部への挿入および/または埋込みに適しており且つ本発明の該作用物質の緩慢な(制御および/または持続)放出を提供する膣リングまたは他の植込錠を含む。
医薬品剤形は、薬物、賦形剤、および容器/密封方式で構成される場合が多い。1または複数の賦形剤は、不活性成分とも呼ばれ、本発明の作用物質に添加して薬物の製造、安定性、投与および安全性を向上または容易にすることができ、また所望の薬物放出特性を達成するための手段を提供することができる。従って、薬物に添加される賦形剤の種類は種々の要素、例えば、作用物質の物理的特性および化学的特性、投与経路ならびに製造手順などに依存し得る。医薬として許容される賦形剤は、本技術分野で利用可能であり、また種々の薬局方に列挙されるものを含む(例えば[18、19]を参照)。
【0019】
本発明の作用物質の医薬剤形は、本技術分野で周知のいずれかの方法によって、例えば、慣例的な混合、篩分け、溶解、融解、造粒、糖衣錠製造、錠剤化、懸濁、押出加工、噴霧乾燥、湿式粉砕、乳化、(ナノ/マイクロ)カプセル化、封入、または凍結乾燥の手法によって製造され得る。上述のように、本発明の該組成物は、活性分子を医薬用途の製剤に加工することを容易にする医薬として許容される不活性成分を1以上含むことができる。
適切な製剤は所望する投与経路に依存する。例えば静脈注射のために、必要ならば、製剤のpHを調整するための生理的に適合性の緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝剤またはクエン酸塩緩衝剤が挙げられる)と等張化剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロースなどとを用いて、該組成物が水溶液に調剤され得る。経粘膜投与または経鼻投与のためには、半固形製剤、液剤またはパッチ剤が好ましい場合があり、場合によっては浸透促進剤を含む。そのような浸透剤は本技術分野で一般的に知られている。経口投与のために、該作用物質を液体または固形の剤形に且つ即時放出または制御/持続放出の製剤として調剤することができる。対象者による経口摂取に適する剤形には、錠剤、丸剤、糖衣錠、ハードシェルカプセル剤、ソフトシェルカプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤および乳剤が含まれる。該作用物質は、坐剤または保留浣腸剤などの直腸用組成物に調剤されてもよく、例えば、ココアバターまたは他のグリセリド類などの慣例的な坐剤基剤を含む。膣坐剤については、当業者に既知の多数の様々な坐剤基剤、例えば、グリセリン処理したゼラチン、消極した(depolarized)ゼラチン、ココアバター、ポリエチレングリコール、ポリソルベートまたはその他を用い得る。
【0020】
経口投与については、本発明の該製剤が一般的に固形の剤形、例えば、錠剤もしくはカプセル剤の形態で、または水溶性液剤もしくは懸濁剤として提供されるであろう。
固形経口剤形は賦形剤を用いて得ることができ、そのような賦形剤には不活性希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤(乾式および湿式)、溶解遅延剤、滑剤、流動促進剤、抗接着剤、陽イオン交換樹脂、湿潤剤、抗酸化剤、防腐剤、着色剤、甘味剤および香味剤が含まれる。これらの賦形剤は合成または天然の供給源に由来し得る。そのような賦形剤の例としては、セルロース誘導体、クエン酸、第二リン酸カルシウム、ゼラチン、炭酸マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシウム/ナトリウム、マンニトール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ケイ酸塩、二酸化ケイ素、安息香酸ナトリウム、ソルビトール、スターチ、ステアリン酸またはその塩、糖類(すなわち、デキストロース、スクロース、ラクトースなど)、タルク、トラガカントゴム、植物油(水素添加)、およびワックス類が挙げられる。エタノールおよび水が造粒補助剤として役立ち得る。ある種の例では、例えば、味覚遮蔽フィルム、胃酸抵抗性フィルムまたは放出遅延フィルムといったものを用いた錠剤のコーティングが所望される。天然ポリマーおよび合成ポリマーが着色料、糖および有機溶媒または水と組み合わされて、錠剤をコーティングして糖衣錠を得るのにしばしば用いられる。錠剤よりもカプセル剤が好まれる場合、薬物の粉末、懸濁液または溶液は、適合性のハードシェルカプセル剤またはソフトシェルカプセル剤で供給することができる。
【0021】
適切な不活性化希釈剤には、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウムおよびラクトースが含まれる。コーンスターチとアルギン酸は適切な崩壊剤である。結合剤にはスターチとゼラチンが含まれる。滑剤が存在するならば一般的にはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであろう。所望であれば、錠剤をグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートなどの材料を用いてコーティングして、消化管内での吸収を遅らせてもよい。
経口用カプセル剤には、有効成分が固形希釈剤と混合されているハードゼラチンカプセル剤と、有効成分が水または油、例えばピーナツ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混合されているソフトゼラチンカプセル剤が含まれる。
ある実施態様では、本発明の作用物質は、皮膚用パッチ剤、半固形もしくは液体製剤、例えばゲル剤、(マイクロ)エマルジョン、軟膏剤、液剤、(ナノ/マイクロ)サスペンション、またはフォーム剤などを通じ、皮膚または粘膜を介して局所的に投与することができる。皮膚または粘膜および下層組織への薬物の浸透は、例えば、浸透促進剤を用いて;水、有機溶媒、ワックス類、油類、合成ポリマー、天然ポリマー、界面活性剤、乳化剤を含む親油性、親水性および両親媒性の賦形剤の適切な選択および組合せ;pH調製により;ならびに錯化剤の使用により、調節することができる。イオン導入法などの他の技術が本発明の該作用物質の皮膚浸透を調節するのに用いられてもよい。経皮投与または局所投与は、例えば、最小限の全身曝露を伴う局所送達が望まれる状況で好まれるだろう。
吸入による投与または鼻への投与のために、本発明に従って用いる該作用物質は、加圧パッケージまたは噴霧器から、通常は噴霧剤、例えばメタン、エタン、二酸化炭素もしくは他のいずれか適切な気体に由来するハロゲン化炭素の使用を伴って、液剤、懸濁剤、乳剤または半固形エアゾール剤の形態で慣例的に送達される。局所エアゾール剤には、ブタン、イソブテンおよびペンタンのような炭化水素が有用である。加圧エアゾール剤の場合には、計量された量を送達する弁を提供することによって適切な用量単位を決定し得る。インヘイラーまたは吸入器での使用のため、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジが処方され得る。これらは概して、作用物質とラクトースまたはスターチなどの適切な粉末基剤との混合粉体を収容している。
【0022】
注射による非経口投与のために調剤された組成物は、通常無菌であり、単位剤形、例えばアンプル、シリンジ、注射ペンで、または複数回用量容器中に存在することができ、後者は通常防腐剤を含んでいる。前記組成物は、油性もしくは水性のビヒクル中で懸濁剤、液剤または乳剤などの形態をとることができ、また緩衝剤、等張化剤、粘度増強剤、界面活性剤、懸濁財、分散剤、抗酸化剤、生体適合性ポリマー、キレート剤および防腐剤などの製剤化剤(formulatory agent)を含み得る。注射部位に依存して、前記ビビクルは水、合成油、植物油、および/または有機共溶媒を含み得る。ある例では、例えば凍結乾燥生成物または濃縮製剤を用いて、非経口製剤が投与に先立って再構成または希釈され得る。本発明の作用物質の制御放出または持続放出を提供する徐放製剤には、ナノ/マイクロ粒子またはナノ/マイクロもしくは非微粒子化結晶の注射可能な懸濁剤が含まれ得る。ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)またはそれらのコポリマーなどのポリマーは、本技術分野で周知の他のものに加えて、制御/持続放出マトリックスとして役立つことができる。その他の徐放送達システムが切開を必要とする植込錠およびポンプの形態で存在し得る。
本発明の該分子の静脈注射に適切な担体は本技術分野で周知であり、前記担体には、イオン化剤を形成する例えば水酸化ナトリウムなどの基剤、等張化剤として例えばスクロースまたは塩化ナトリウムを含む水性溶液が含まれ得る。前記水性溶液は、リン酸塩またはヒスチジンを含有する緩衝剤を含み得る。例えばポリエチレングリコールなどの共溶媒が添加されてもよい。これらの水性系は本発明の作用物質の溶解に有効であり、全身投与上、低毒性を生じる。溶液系の構成成分の比率は、溶解度特性および毒性特性を損なうことなく大幅に変化させ得る。更に、前記構成成分の内容も変化し得る。例えば、ポリエチレングリコールまたは他の共溶媒のように、ポリソルベートまたはポロキサマーなどの低毒性の界面活性剤を用いることができ、ポリビニルピロリドンなどの生体適合性ポリマーを添加してもよく、また他の糖類およびポリオール類をデキストロースの代わりにしてもよい。
【0023】
(本発明の更なる態様)
本発明は更に、本発明のペプチド作用物質、核酸または宿主細胞を1以上含むキット、例えば診断キットを提供する。
[本発明の分子の使用]
(生物学的機能に基づく使用;疾患の治療および予防)
本発明は、CCR5を遮蔽するためおよび/またはCCR5の隔離を引き起こすための本発明のペプチド作用物質の使用を提供する。隔離はCCR5の標的細胞内へのインターナリゼーションの形態および/または標的細胞におけるCCR5のダウンレギュレーション(ダウンモジュレーション)の形態であり得る。本発明はまた、前記ペプチド作用物質の発現および任意の分泌のための、前記ペプチド作用物質をコードする核酸の使用または本発明の核酸を含む本発明の宿主細胞(上を参照)の使用も提供する。
上述のように、本発明に関して「作用物質」という用語は本発明のペプチド作用物質、前記ペプチド作用物質をコードする核酸および宿主細胞を包含する。本発明は、CCR5の遮蔽および/またはCCR5の隔離を引き起こすことによって治療され得る疾患を治療および/または阻止(予防)するための前記作用物質の使用を提供する。本発明の前記作用物質は、このように医薬としての使用のために提供される。
本発明の1以上の該作用物質は対象者に投与することができる。2以上の作用物質が投与される場合、それらの作用物質は一緒に(混合物として、もしくは実質的に同時であるが別個に)または連続的に投与することができる。本発明の1以上の該作用物質は、本発明の該作用物質に含まれない他の1以上の医薬として活性がある作用物質と組み合わせて投与することができる。また、本発明の1または複数の該作用物質は前記他の1以上の医薬として活性がある作用物質と一緒に(混合物として、もしくは実質的に同時であるが別個に)または連続的に投与することもできる。
【0024】
好ましい態様によると、本発明は、対象者におけるHIV感染および/もしくは後天性免疫不全症候群(AIDS)の発生ならびに/またはそれらに付随する障害および疾患を治療ならびに/または予防するための、該ペプチド作用物質の使用または該ペプチド作用物質をコードする核酸の使用を提供する。
本発明は従って、本発明の作用物質を含む組成物の投与を含む、対象者のHIV感染(HIVの伝染)を治療または予防する方法を提供する。更に、本発明の作用物質の投与を含む、対象者の後天性免疫不全症候群(AIDS)を治療またはその発生を予防する方法が提供される。
例えば、HIVの伝染、すなわちHIVによる標的細胞の感染は、本発明の組成物(例えば、本発明の作用物質を含有する坐剤、クリーム剤、ゲル剤、フォーム剤、ペースト剤、溶液、液剤または散剤)の適用により予防することができる。この実施態様において、前記組成物は、好ましくは、性的接触の間にHIVの伝染を防ぐ目的で性的接触の前またはその間またはその後、ヒト生殖器(膣、直腸、腸)に施される。より好ましくは、前記組成物は性的接触の前に施される。
本発明は、本発明の作用物質の抗炎症剤としての使用も提供する。そして該作用物質は、炎症性疾患および自己免疫疾患の治療および/または予防に有用である。本発明の更なる態様によると、本発明の作用物質は、悪性疾患の治療および/または予防に有用であり、細菌感染およびウイルス感染の治療および/または予防にも有用である。ここで、前記ウイルスとはHIVであってもあるいはHIV以外のウイルスであってもよい。
本発明の更なる態様によると、本発明の作用物質を含む組成物の投与を含む、炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患、または細菌もしくはウイルス感染を治療または予防する方法も提供される。特に、例えば、炎症性腸疾患、関節リウマチ、アテロームもしくは動脈硬化、喘息、アレルギー性鼻炎もしくはアトピー性皮膚炎、移植器官、移植組織もしくは移植細胞の拒絶、多発性硬化症および/もしくはその他の脱髄性疾患、末梢性神経障害ならびに癌(転移性癌を含む)を治療または予防する方法が提供される。
本発明のある好ましい実施態様では、上述の疾患および状態のいずれかについて、上で開示される宿主細胞が対象者に投与される治療または予防の方法が提供され、前記宿主細胞は本発明のペプチド作用物質を発現および分泌する。
本発明はまた、本発明の核酸の遺伝子治療のための使用も提供し、その使用では対象者に投与するためのウイルスに前記核酸が組み込まれる。
【0025】
(投与の様式)
本発明の該組成物は、本技術分野で周知のように、直接的にまたは賦形剤を含む医薬組成物として(上を参照)送達することができる。本発明の治療方法は、対象者に治療上有効量の本発明の作用物質を投与することを伴う。
本明細書で用いられる「治療上有効量」という用語は、標的とする疾患状態の治療、改善もしくは予防をするのにまたは検出可能な治療効果もしくは予防効果を示すのに必要な本発明の該作用物質の量を指す。一般に、治療上有効な用量は、最初に細胞培養アッセイまたは動物モデル、例えば非ヒト霊長類、マウス、ウサギ、イヌまたはブタで評価することができる。動物モデルはまた、適切な濃度範囲および投与経路を決定するのに用いられてもよい。次にそのような情報を用いてヒトにおける投与について有用な用量および経路を決定することができる。
ヒト対象者にとって正確な有効量は、疾患状況の重症度、対象者の総体的な健康、対象者の年齢、体重および性別、食餌、投与の時間および頻度、薬物の組合せ、反応感度、ならびに治療に対する耐性/応答に依存するであろう。この量は、慣例の実験により決定することができ、それは臨床医の判断の範囲内である。一般に、有効量、すなわち該作用物質の用量は、0.005 mg/kg〜50 mg/kg、好ましくは0.125 mg/kg〜20 mg/kgであろう。
本発明の好ましい作用物質について効果的な治療投薬計画には、1日あたり1回、2回もしくは3回の投与および/または1週あたり1回、2回、3回、4回、5回もしくは6回の投与が含まれる。従ってこれらの投薬計画は本発明における使用について特に好ましい。
投与の効果的かつ都合のよい経路ならびに医薬組成物(上を参照)における本発明の作用物質の適切な製剤も、慣例の実験により容易に決定することができる。本技術分野において種々の製剤および薬物送達システムが利用可能である(例えば[20、21]を参照)。
【0026】
適切な投与経路には、例えば、膣、直腸、腸、経口、鼻(鼻腔内)、肺または他の粘膜、局所、経皮、目、耳および非経口投与が含まれる。
非経口投与の第一の経路には、静脈内投与、筋肉内投与および皮下投与が含まれる。第二の投与経路には、腹腔内、動脈内、間接内、心臓内、嚢内、皮内、病巣内、眼内、胸膜内、髄腔内、子宮内および脳室内(intraventricular)投与が含まれる。薬物の物理的、化学的および生物学的特性に加えて、治療される適応症が使用する製剤の種類および投与形態ならびに局所送達と全身送達のいずれが好まれ得るかを決定付ける。
本発明の治療方法に有用な組成物について、初めに本技術分野で周知の種々の技術を用いて治療上有効な用量を見積もることができる。動物試験で最初に用いる用量は、細胞培養アッセイで証明された有効濃度に基づいてもよい。ヒト対象者に適切な用量範囲は、例えば動物試験および細胞培養アッセイから得られたデータを用いて決定することができる。
本発明の作用物質または薬物の治療上有効量または用量は、対象者における症状の改善または生存の延長に帰着する該作用物質または薬物の量または用量を指す。そのような分子の毒性および治療効果は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手法によって、例えば、LD50(集団の50%にとっての致死用量)およびED50(集団の50%で治療効果のある用量)を決定することにより、決定することができる。毒性と治療効果の用量比は治療指数であり、LD50/ED50の比率として表現することができる。高い治療指数を示す作用物質が好ましい。
【0027】
有効量または治療上有効量は、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を引き起こすであろう作用物質または医薬組成物の量であり、研究者、獣医、医学博士またはその他臨床医によって、例えば、グルコース代謝の調節、高血糖値の低下または血糖値上昇の減少、グルコース代謝の変化に付随する障害(例えば、糖尿病など)の治療または予防によって探求される。
好ましくは、血中濃度の範囲内に含まれる服用量には、少しの毒性を伴うかまたは毒性を伴わないED50が含まれる。使用される剤形および/または利用される投与経路に依存して、服用量は前記範囲内で変化し得る。対象者の状態の詳細を考慮して、本技術分野で既知の方法に従って、的確な製剤、投与経路、服用量および投与間隔を選択すべきである。
服用量および投与間隔は、所望の効果を達成するのに充分な活性部分の血漿レベル、すなわち最小有効濃度(MEC)を提供するように個別に調整することができる。MECは各作用物質に対して変化するが、例えばin vitroのデータおよび動物実験から見積もることができる。局所投与または選択的取り込みの場合は、薬物の有効局所濃度は血漿濃度と関連しないかもしれない。
投与される作用物質または組成物の量は、治療される対象者の性別、年齢および体重、苦痛の重症度、投与様式、ならびに処方医師の判断を含む種々の要因に依存し得る。
本発明の組成物は、所望により、有効成分を含む1以上の単位剤形を含むパッケージ中またはディスペンサー装置中に存在し得る。そのようなパッケージまたは装置は、例えば、ブリスターパックなどのように金属箔もしくはプラスチック箔を含んでもよく、またはバイアルにおけるようにガラス栓およびゴム栓を含んでもよい。該パッケージまたはディスペンサー装置は投与のための使用説明書が添付され得る。適合する薬剤担体中に調剤された本発明の作用物質を含む組成物はまた、調製されて、適切な容器内に収納され、指示された状態の治療用にラベルされ得る。
【0028】
そして本発明は、HIV感染の治療もしくは予防に、後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療および/もしくは予防に、HIV伝染の治療および/もしくは予防にならびに/または性的接触の間のHIV伝染の予防に使用するための、本発明のペプチド作用物質、核酸または宿主細胞を提供する。
そして本発明は、炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患、または細菌感染およびウイルス感染、炎症性腸疾患、関節リウマチ、アテロームもしくは動脈硬化、喘息、アレルギー性鼻炎もしくはアトピー性皮膚炎、移植器官、移植組織もしくは移植細胞の拒絶、多発性硬化症および/もしくはその他の脱髄性疾患、末梢性神経障害、悪性疾患、癌もしくは転移性癌を治療および/または予防に使用するための、本発明のペプチド作用物質、核酸または宿主細胞を提供する。
そして本発明は、HIV感染の治療用および/もしくは予防用、後天性免疫不全症候群(ADIS)もしくはその発生の治療用および/もしくは予防用、ならびにHIVの伝染(例えば性的接触の間の)の予防用の医薬の製造のための、本発明のペプチド作用物質、核酸または宿主細胞の使用を提供する。
本発明は、炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患、または細菌感染およびウイルス感染、関節リウマチ、アテロームもしくは動脈硬化、喘息、アレルギー性鼻炎もしくはアトピー性皮膚炎、移植器官、移植組織もしくは移植細胞の拒絶、多発性硬化症および/もしくはその他の脱髄性疾患、末梢性神経障害、悪性疾患、癌もしくは転移性癌を治療および/または予防するための医薬の製造のための、本発明のペプチド作用物質、核酸または宿主細胞の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】配列番号1のN末端に融合された配列番号21からなる典型的なポリペプチドサイトカインの特徴付けの詳細を示す。ポリペプチドは[材料および方法]の下で説明するように化学全合成によって調製した。AU:吸収単位。パネルAは、HF切断後の粗生成物の分析的HPLCを示す。パネルBは、粗調製物から精製した所望の物質の分析的HPLCを示す。パネルCは、精製およびリフォールディング/ジスルフィド架橋形成後の反応混合物の分析的HPLCのトレースを示す。パネルDは、精製したリフォールディング後の物質を用いて分析的HPLCによって得られたトレースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[材料および方法]
(化学合成によるペプチドの調製)
化学全合成によるケモカインの調製は、in situ中和を用いるBoc化学反応[22]を行うようにカスタマイズした改変ABI430ペプチド合成装置で実施した。合成戦略も、各サイクルでアセチルグリシンを用いる化学キャップ形成工程(カップリング工程の最後で遊離アミノ基で終結させるため)を特色とした。HF切断の後、粗生成物をHPLCとMALDI質量質量分析により分析した。所望の生成物の実験規模の精製の後、公表された手法[23]に従ってタンパク質のリフォールディングおよびジスルフィド架橋の形成を実施し、リフォールディングした物質を分析用HPLC(より短い保持時間)およびエレクトロスプレー質量分析(ジスルフィド架橋形成の間のシステインチオール基の酸化による質量単位の損失)により確かめた。最終生成物に実験規模の精製を行い、次に凍結乾燥させた。配列番号1のN末端に融合した配列番号21からなる本発明のタンパク質の中間体および部分的精製物質の典型的な合成についてHPLCによる特徴付けの詳細を図1に示す。前記タンパク質の精製物質の質量分析による特徴付けの結果を下の表で提供する。
【0031】
表3 精製物質の質量分析による特徴付け

最終生成物の分析的HPLCによる分析は、図1に示す。
【0032】
(宿主生物における発現によるポリペプチドの調製)
該ポリペプチド作用物質を、例えば参考文献[13]および[14]に記載される手順の後に、本技術分野で既知の慣例技術を用いて宿主生物内の発現によって調製した。
【0033】
(細胞融合アッセイ)
この手順は、HeLa-P5L[2]細胞株とHeLa-Env-ADA[26]細胞株を用いて参考文献[5]に記載されるように実施した。Hela-P5L細胞を96ウェルプレートに播種した(104細胞/ウェル)。24時間後、培地を除去し、1ウェルあたり104個のHeLa-Env-ADA細胞に加え本発明のケモカインペプチド作用物質を含む培地で置き換えた。更に24時間後、細胞をPBS中で洗滌し、溶解させて、発色基質CPRG(クロロフェノールレッド-β-D-ガラクトピラノシド)の添加によりβ-ガラクトシダーゼ活性についてアッセイした。結果は以下の式にしたがって表示した:
100×(平均吸光度[処理物]−平均吸光度[膜なし細胞])/(平均吸光度[ケモカイン無し]−平均吸光度[膜なし細胞])。
それぞれ独立した実験について3連で測定を行い、Prism(登録商標)ソフトウエア(GraphPad)を用いてフィッティングした用量阻害曲線からIC50値を得た。このIC50値は、いずれの阻害剤にも曝露されていない対照と比較して、細胞融合が50%まで阻害されたときのペプチド作用物質の濃度を表す。
【0034】
(ウイルス複製アッセイ)
HeLa細胞を出発材料として用いSX22-1レポーター細胞をウイルス発現後にのみ添加する改変を伴って、参考文献[24]および[25]に記載されるようにウイルス複製をアッセイした。
(カルシウム流入アッセイ)
トランスフェクションしてそれぞれCCR5、CCR1またはCCR3のいずれかの安定な発現を生じる細胞(例えば、ヒト胚腎臓(HEK)細胞)を用いて、CCR5、CCR1またはCCR3のいずれかを介するカルシウムシグナル伝達の刺激について作用物質をアッセイした。96ウェルプレートおよびFLEXstation蛍光計(Molecular device)を用いて、参考文献[6]に記載されるように手順を実施した。製造者の推奨に従いFluro-4(分子プローブ)をロードし37℃に維持した前記細胞に蛍光測定を実施した。単一の作用物質濃度(300 nM;PSC-RANTESおよび天然RANTESについてEmaxを与える濃度)にて6連で(n=6)測定を行った。
【0035】
(CCR5表面ダウンモジュレーションアッセイ)
96ウェルプレートにCHO-CCR5細胞[5]を80,000細胞/mLで播種した。翌日、培地を除去し、異なる濃度のケモカインを含む培地で置き換え、細胞を37℃にて1時間インキュベートした。この時間の最後に培地を除去して、4%パラホルムアルデヒドで細胞を固定した。PBSで2回洗滌した後、フィコエリトリン-コンジュゲートした坑CCR5抗体(クローン3A9、Pharmingen)またはフィコエリトリン-コンジュゲートした坑CCR1抗体(負の対照のため)いずれかのPBS-1%溶液を前記細胞に添加した。プレートを1時間氷上に静置し、次にPBS-1%BSAで3回洗滌してから、FLEXstation蛍光計を用いて蛍光値を決定した。結果は、表面CCR5の対照レベルの百分率として表した:
100×(平均蛍光[ケモカイン添加、坑CCR5]−負の対照の平均蛍光[坑CCR1])/(正の対照の平均蛍光[ケモカイン未添加、坑CCR5]−平均蛍光[坑CCR1])。
各実証を6連(n=6)で行い、全ての実験においてPSC-RANTESを参照ケモカインとして用いた。
(CCR1識別アッセイ)
放射性標識した天然CCR1リガンドをトレーサーとして用いて、CCR1競合結合アッセイでCCR1を上回るCCR5に対する選択性を測定した。MIP-α/CCL3またはRANTES/CCL5を、例えば、本CCR1識別アッセイのトレーサーとして用いることができる。アッセイは、参考文献[27]に記載されるように実施した。
(CCR3識別アッセイ)
放射性標識した天然CCR3リガンドをトレーサーとして用いて、CCR3競合結合アッセイでCCR1を上回るCCR5に対する選択性を測定した。例えば、エオタキシン/CCL11またはRANTES/CCR5を本CCR3識別アッセイのトレーサーとして用いることができる。アッセイは、参考文献[28]に記載されるように実施した。
【0036】
[実施例]
(実施例1:細胞融合アッセイによる坑HIV効力測定)
[材料および方法]の章に記載した化学合成によって、ペプチド作用物質を調製した。[材料および方法]の章に記載した細胞融合アッセイを用いて該作用物質を個別に評価し、該作用物質の存在下のアッセイ結果を該作用物質の非存在下で得たアッセイ結果と比較することによってIC50値を得た。得られたIC50値を表4に列挙した。
該して、N末端コンセンサス署名配列Q G P [P/L] [L/G] [M/D] X X [Q/L] XまたはQGP[PまたはL][LまたはGまたはSまたはM][MまたはDまたはSまたはQまたはG]XX[QまたはGまたはLまたはAまたはTまたはS]X(ここで、Xはいずれかのアミノ酸を表し、“/”は「または」を表す)によく一致するペプチド作用物質について、低IC50値、すなわち、高い坑HIV効力値が見出された。そのような化合物の例は、N末端署名配列である配列番号2〜配列番号69が天然RANTES配列の位置10〜68(配列番号1)に融合したもので構成されるRANTES誘導体である。
【0037】
表4:本発明のペプチド作用物質の特徴付け



(1)シグナル伝達率は、[材料および方法]の章に記載したカルシウム流入シグナル伝達アッセイにおいて300 nMの濃度で試験した場合の、PSC-RANTESによって引き起こされた最大応答(Emax)の百分率として表示する。
(2)隔離率は、[材料および方法]の章に記載したCCR5表面ダウンモジュレーション/受容体隔離アッセイで試験した場合の、表面CCR5分子の対照レベルに対する隔離の量として表す。
【0038】
(実施例2:ウイルス複製アッセイによる坑HIV効力測定)
[材料および方法]の章に記載した化学合成によって、本発明のペプチド作用物質を調製した。[材料および方法]の章に記載したウイルス複製アッセイを用いて該作用物質を個別に評価し、該作用物質の存在下のアッセイ結果を該作用物質の非存在下で得たアッセイ結果と比較することによってIC50値を得た。得られたIC50値を表5に列挙した。
該して、N末端コンセンサス署名配列Q G P [P/L] [L/G] [M/D] X X [Q/L] X(ここで、Xはいずれかのアミノ酸を表し、“/”は「または」を表す)によく一致するペプチド作用物質について、低IC50値、すなわち、高い坑HIV効力値が見出された。そのような化合物の例は、N末端署名配列である配列番号2〜配列番号69が天然RANTES配列の位置10〜68(配列番号1)に融合したもので構成されるRANTES誘導体である。
【0039】
(実施例3:カルシウム流入アッセイによる細胞シグナル伝達の測定)
[材料および方法]の章に記載した化学合成によって調製したペプチド作用物質を、[材料および方法]の章に記載したカルシウム流入アッセイを用いて評価した。本発明のペプチド作用物質について前記アッセイを用いて得られた「シグナル伝達」値は表4に列挙する。
該して、N末端コンセンサス署名配列Q G P P L M [S/G] [L/F/T] Q [S/V](ここで、“/”は「または」を表す)によく一致するペプチド作用物質について、低いシグナル伝達値、例えば、最大でも6%または10%のものが見出された。そのような化合物の例は、N末端署名配列である配列番号22、配列番号23、配列番号24または配列番号25が天然RANTES配列の位置10〜68(配列番号1)に融合したもので構成されるRANTES誘導体である。しかしながら、配列番号27および配列番号21のような他の署名配列を有する本発明のRANTES誘導体も20%以下の低いシグナル伝達値を示し、配列番号29の署名配列を有するペプチド作用物質は30%以下の低いシグナル伝達値を達成し、また配列番号28の署名配列を有するペプチド作用物質は46%以下のシグナル伝達値を達成した。全体として、N末端コンセンサス署名配列QGPP[G/L][M/Q]XX[Q/S][S/V]あるいはQGPP[G/L][M/Q][S/G/W/A/T][L/F/T/S/G/Y][Q/S][S/V]に一致するペプチド作用物質(例えば、N末端署名配列である配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54もしくは配列番号55を有するRANTES誘導体が挙げられる)について、低いシグナル伝達値が観察された。
【0040】
(実施例4:CCR5表面ダウンモジュレーションアッセイによる受容体隔離アッセイ)
[材料および方法]の章に記載した化学合成によって調製したペプチド作用物質を、[材料および方法]の章に記載したCCR5表面ダウンモジュレーションアッセイを用いて評価した。本発明のペプチド作用物質について前記アッセイを用いて得られた「CCR5隔離」値は表4に列挙する。先行技術文献から等価試験で得られたCCR5隔離値を表5に列挙する。
該して、N末端コンセンサス署名Q G P P G D [T/I] V L [W/A](ここで、“/”は「または」を表す)によく一致するペプチド作用物質について、高いCCR5隔離値、例えば少なくとも60%以上または65%以上のものが見出された。そのような化合物の例は、N末端署名配列である配列番号16または配列番号17が天然RANTES配列の位置10〜68(配列番号1)に融合したもので構成されるRANTES誘導体である。しかしながら、配列番号18、配列番号19、配列番号20のような他の署名配列を有する本発明のRANTES誘導体も高いCCR5隔離活性、例えば60%以上または65%以上のものによって特徴付けられた。更に、配列番号21および配列番号28の署名配列を有するRANTES誘導体ペプチド作用物質も高いCCR5隔離活性、すなわち、少なくとも50%のもの、または少なくとも54%、55%もしくは59%のものによって、特徴付けられた。全体として、N末端コンセンサス署名配列QGP[P/L][L/G/S][D/S/G/Q]XX[L/A/T/Q][W/A/V]あるいはQGP[P/L][L/G/S][D/S/G/Q][T/I/S/W/Q][V/L/A/S/G][L/A/T/Q][W/A/V](例えば、N末端署名配列である配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49を有するRNATES誘導体が挙げられる)に一致するペプチド作用物質について、高いCCR5隔離値が観察された。
【0041】
(実施例5:比較例)
実施例1〜実施例4で本発明の該作用物質について説明したアッセイを用いて、表5に列挙した先行技術のRANTES誘導体を評価した。それらのアッセイで先行技術のRANTES誘導体を用いて得られた結果を表5に列挙する。
【0042】
表5:選択した先行技術のサイトカイン誘導体の特徴付け

(1) シグナル伝達率は、[材料および方法]の章に記載したカルシウム流入シグナル伝達アッセイにおいて300 nMの濃度で試験した場合の、PSC-RANTESによって引き起こされた最大応答(Emax)の百分率として表示する。
(2)隔離率は、[材料および方法]の章に記載したCCR5表面ダウンモジュレーション/受容体隔離アッセイで試験した場合の、表面CCR5分子の対照レベルに対する隔離の量として表す。
(3)参考文献[13]で報告された化合物
(4)参考文献[2]で報告された化合物
(5)参考文献[3]で報告された化合物
(6)参考文献[5]で報告された化合物
(7)参考文献[6]で報告された化合物
【0043】
(実施例6:世界的HIVクレードに対する新たな分子のin vitro有効性の試験)
世界中の代表的なR5株に対して、該分子を試験する。
簡単に言うと、世界中の様々な現場から得られ試薬保管所を通じて入手可能となった初代HIV分離株を、阻害に対するそれらの感受性についてヒト初代細胞を用いて複製アッセイで試験する。
参考文献[29]に記載されたように、あるいは次のように、手順を実施する。
〔細胞培養〕HIV陰性の様々なヒトドナー由来の血液から、Ficoll-Paque勾配遠心分離によりPBMCを精製する。精製したPBMCを、10%ウシ胎児血清(FBS;Life Technologies, Inc., Rockville, Md.)、1 mLあたり100 Uのペニシリンおよび100 μgのストレプトマイシン(pen/strep;Mediatech, Inc.)、1 mLあたり1 ngの組換えヒトインターロイキン-2(IL-2;Life Technologies, Inc.)ならびに1 mLあたり1 Uのフィトヘマグルチニン(PHA;Life Technologies, Inc.)を補充したRPMI(Mediatech, Inc., Herndon, Pa.)培地に再懸濁させる。
【0044】
〔ウイルス〕AIDS Research and Reagent Programから次のNSI R5 HIV-1株を得る:A-92RW009、A-92RW008、A-93UG075、B-92BR021、B-92TH026、B-BaL、C-92BR025、C-93IN101、D-94UG108、E/A-92TH022、E-92TH001、B/F-93BR019、F-93BR029、G-92NG083-JV1083,およびG-92NG003-G3。対照として使用するため、AIDS Reagent ProgramからTwo SI X4株(HXB2およびF-93BR020)も得る。上に列挙した株の大部分について、ダッシュ記号の前の文字がウイルスエンベロープのサブタイプを示し、それに分離の年、原産国および株番号が続く。例えば、A-92RW009は、1992年にルワンダで分離されたクレードAのHIV株である。これらウイルスは全て、培養上清に高いウイルス力価(逆転写酵素[RT]活性によって決定される)が得られるまでPBMC培養物中で増殖させる。次に、Reed-Muench法を用いて、各ウイルスについて50%組織培養物感染用量値を算出する[30]。
〔複製アッセイ〕PHA/IL-2処理したPBMCを、連続的に希釈した阻害剤を含む96ウェルプレートに添加する(2×105細胞/ウェル)。次に、完全RPMI培地中の適切なHIV-1分離株(およそ0.1の感染効率[MOI])を添加する。全てのNSI R5 HIV-1分離株について3連で実験を行う。感染後3日目に、スイングバスケット遠心分離機で1,200×gにて5分間、各プレートを遠心分離する。次に、各ウェルから細胞を含まない上清のアリコート(150 μL)を取り出し、適切な濃度の阻害剤を含む完全RPMI培地150 μLで置き換える。感染後5日目、10日目および15日目に、各プレートを再度5分間遠心分離して、後に続く分析のため、細胞を含まない上清サンプル(25 μL)を取り出して−70℃で保存する。培養物は15日目に廃棄する。
以前に記載されたように[31]、RTアッセイを用いて、細胞を含まない上清中で阻害剤存在下のウイルス産生を測定する。
【0045】
(実施例7:膣HIV伝染の非ヒト霊長類モデルにおけるCCR5阻害剤のin vivo効力の実証)
以下に記載するHIV予防用マカクサルモデルを用いて、本発明の該分子のin vivoの効果を実証する。
簡単に言うと、プロゲステロン処理した雌の成体のアカゲザルの群を、PBSまたは阻害剤を含むPBSのいずれか4 mLで前処理する。15分後、300 TCID50のSHIV SF162に動物を曝露させ、血漿ウイルス血症の発生について24週までモニターする[32]。
参考文献[33]に記載されるように、あるいは以下のように、手順を実施し得る。
年齢5〜12歳の正常な発情周期の雌の成体アカゲザルを用いる。研究は全て、米国学術研究会議、国立衛生研究所により作成された実験動物の管理と使用のガイドラインに忠実に、またTulane国立霊長類研究センター施設内動物実験委員会のガイドラインを用いて行う。全ての主要人員(動物飼育係、処置係、ならびにウイルス接種液の調製およびウイルス分析に従事させる検査技師)を処置の割当に関して知らせないでおく。
動物にデポ-メドロキシプロゲステロンアセテート(デポ-プロベラ(Depo-Provera:登録商標))30 mgの筋肉注射で一回処置する。30〜33日後、それらの動物をテラゾールで鎮静させ、腹面横臥(ventral recumbency)させて腰を持ち上げて、柔軟なフレンチカテーテルを用いて外傷無しに膣円蓋の中へ阻害剤のPBS溶液またはPBSのみを4 mL取り込ませる。この容量は、過度の漏出無しに、最も効果的な膣円蓋の被覆を提供する。これらの動物を、15分後、NIH AIDS Research and Reference Reagent Programから入手した300 TCID50のSHIV SF162を含むRPMI 1640培地1 mLに曝露させる。曝露後毎週、血液をEDTAチューブに採取する。以前に説明されたように[32]リアルタイムRT-PCRアッセイを用いてSIVのgag RNAを定量することによって、血漿ウイルスレベルを決定する。このアッセイは、25%より小さいアッセイ間変動係数で、RNA60コピー/mLの感受性閾値を有する。感染していない状態は、分析の全てについて一貫して血漿ウイルス血症が検出不能であるものとして定義する。血清変換は、ゼプトメトリックス(Zeptometrix)SIVウエスタンブロットキット(Zeptometrix, Buffalo NY)を用いてウエスタンブロットによりモニターする。
【0046】
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【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
N末端部分およびC末端部分を含むポリペプチドであって、前記N末端部分が署名配列QGP[PまたはL]を含み、前記C末端部分が配列番号1に対して少なくとも70%同一である、前記ポリペプチド。
【請求項2】
署名配列がQGP[PまたはL][LまたはGまたはSまたはM][MまたはDまたはSまたはQまたはG]である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
署名配列がQGP[PまたはL][LまたはG][MまたはDまたはS]である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項4】
署名配列がQGP[PまたはL][LまたはGまたはSまたはM][MまたはDまたはSまたはQまたはG]XX[QまたはGまたはLまたはAまたはTまたはS]Xであり、Xが天然のまたは改変されたアミノ酸を表す、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項5】
署名配列がQGP[PまたはL][LまたはG][MまたはDまたはS]XX[QまたはGまたはL]Xであり、Xが天然のまたは改変されたアミノ酸を表す、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項6】
署名配列がQGP[PまたはL]LMまたはQGPPG[DまたはS]である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項7】
署名配列がQGPPLMまたはQGPPGDである、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項8】
署名配列がQGP[PまたはL][LまたはM][MまたはQ][AまたはWまたはGまたはQまたはN]X[QまたはGまたはL][SまたはVまたはTまたはG]である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項9】
署名配列がQGP[PまたはL][LまたはM][MまたはQ][AまたはWまたはGまたはQまたはN][LまたはTまたはMまたはSまたはGまたはQまたはRまたはY][QまたはGまたはL][SまたはVまたはTまたはG]である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項10】
署名配列がQGP[PまたはL]LM[AまたはW][LまたはTまたはM][QまたはG][SまたはVまたはTまたはG]である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項11】
署名配列がQGPPLM[AまたはW][LまたはTまたはM][QまたはG][SまたはVまたはTまたはG]である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項12】
署名配列がQGP[PまたはL][LまたはGまたはS][DまたはSまたはGまたはQ]XX[LまたはAまたはTまたはQ][WまたはAまたはV]である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項13】
署名配列がQGP[PまたはL][LまたはGまたはS][DまたはSまたはGまたはQ][TまたはIまたはSまたはWまたはQ][VまたはLまたはAまたはSまたはG][LまたはAまたはTまたはQ][WまたはAまたはV]である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項14】
署名配列がQGPPG[DまたはS][TまたはI]VL[WまたはA]である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項15】
署名配列がQGPPGD[TまたはI]VL[WまたはA]である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項16】
署名配列がQGPP[GまたはL][MまたはQ]XX[QまたはS][SまたはV]である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項17】
署名配列がQGPP[GまたはL][MまたはQ][SまたはGまたはWまたはAまたはT][LまたはFまたはTまたはSまたはGまたはY][QまたはS][SまたはV]である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項18】
署名配列がQGPPLM[SまたはG][LまたはFまたはT]Q[SまたはV]である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項19】
署名配列がQGPPLMALQS、QGPPLMWMQV、QGPPLMWLQV、QGPPLMWTQS、QGPPLMWLQT、QGPPLMWTQV、QGPPLMWMQS、QGPPLMATQS、QGPPLMWLQS、QGPPLMALQV、QGPPLMWLGG、QGPPLMWRGS、QGPLLMWLQV、QGPPLMQTTP、QGPPLSWLQV、QGPPLSWLQS、QGPPGQWSQV、QGPPMMAGLS、QGPPLSWQQS、QGPPGMWSQS、QGPPLQWRQS、QGPPLMGTQS、QGPPLMQLQV、QGPPLSWSQV、QGPPMSWSQS、QGPPLMNLQV、QGPPMSAYQVおよびQGPPMQGGLSからなる群より選択される、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項20】
署名配列がQGPPLMALQS、QGPPLMWMQV、QGPPLMWLQV、QGPPLMWTQS、QGPPLMWLQT、QGPPLMWTQV、QGPPLMWMQS、QGPPLMATQS、QGPPLMWLQS、QGPPLMALQV、QGPPLMWLGG、QGPPLMWRGS、QGPLLMWLQVおよびQGPPLMQTTPからなる群より選択される、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項21】
署名配列がQGPPGDTVLW、QGPPGDIVLA、QGPPGSYDYS、QGPPGDGGSV、QGPLSGQSTP、QGPPGDWLQV、QGPPLMSLAV、QGPPLMSLTV、QGPLSGWAQV、QGPLSQSSQV、QGPLSSQSQVおよびQGPLGQQGQVからなる群より選択される、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項22】
署名配列がQGPPGDTVLW、QGPPGDIVLA、QGPPGSYDYS、QGPPGDGGSV、QGPLSGQSTPおよびQGPPGDWLQVからなる群より選択される、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項23】
署名配列がQGPPLMSFQS、QGPPLMSTQS、QGPPLMSLQV、QGPPLMGLQV、QGPLSGWLQV、QGPPLQWFQV、QGPPLQWTQV、QGPPLMALSV、QGPPLMWSQV、QGPPGQWGQV、QGPPGSWSQV、QGPPLMSSQS、QGPPLMGLSV、QGPPLMTLQVおよびQGPPGQWYQSからなる群より選択される、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項24】
署名配列がQGPPLMSFQS、QGPPLMSTQS、QGPPLMSLQV、QGPPLMGLQVおよびQGPLSGWLQVからなる群より選択される、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項25】
署名配列がQGPPLMSVLA、QGPPGSWSSV、QGPPLGSMGP、QGPPLQWMQA、QGPPLQWMQV、QGPPLMSTQV、QGPPLMSLSV、QGPPLMSLQS、QGPPLMSLQA、QGPPLMSVQS、QGPPLMSAQS、QGPPLMSGQSおよびQGPPLMSGQVからなる群より選択される、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項26】
署名配列がQGPPLMSVLA、QGPPGSWSSVおよびQGPPLGSMGPからなる群より選択される、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項27】
N末端部分が15以下のアミノ酸からなる、請求項1〜26のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項28】
N末端部分が10アミノ酸からなる、請求項1〜27のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項29】
ポリペプチド鎖のC末端部分が配列番号1と同一である、請求項1〜28のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項30】
署名配列が最N末端に位置する、請求項1〜29のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項31】
薬剤として使用するための、請求項1〜30のいずれか1項記載のポリペプチドまたはその医薬として許容される塩。
【請求項32】
請求項1〜31のポリペプチドをコードする1以上のセグメント/配列を含む核酸分子。
【請求項33】
RNA、DNA、遺伝子もしくはベクターであるかまたはウイルスに組み込まれている、請求項32記載の核酸。
【請求項34】
医薬として使用するための、請求項32もしくは33記載の核酸またはその医薬として許容される塩。
【請求項35】
請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項36】
微生物である、請求項35記載の宿主細胞。
【請求項37】
微生物がヒトの腸または膣の細菌叢に属する、請求項36記載の宿主細胞。
【請求項38】
微生物がバクテロイデス、クロストリジウム、フゾバクテリウム、ユーバクテリウム、ルミノコッカス、ペプトコッカス、ペプトストレプトコッカス、ビフィドバクテリウム、ストレプトコッカス、エシェリキアおよびラクトバシルスからなる群より選択される属に属する、請求項36または37記載の宿主細胞。
【請求項39】
微生物がラクトバシルス・アシドフィルス、ラクトバシルス・クリスパタス、ラクトバシルス・ガセリ、ラクトバシルス・イネルス、ラクトバシルス・ジェンセニィ、ラクトバシルス・カゼイ、ラクトバシルス・プランタルム、ラクトバシルス・ラムノスス、ラクトバシルスGG、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ブレベ、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ロンガムおよびストレプトコッカス・ゴルドニィからなる群より選択される、請求項36〜38のいずれか1項記載の宿主細胞。
【請求項40】
ヒト細胞である、請求項35記載の宿主細胞。
【請求項41】
請求項1〜31記載のポリペプチドを発現する、請求項35〜40のいずれか1項記載の宿主細胞。
【請求項42】
請求項1〜31記載のポリペプチドが分泌される、請求項35〜41のいずれか1項記載の宿主細胞。
【請求項43】
請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチドまたはその医薬として許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項44】
請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸またはその医薬として許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項45】
請求項35〜42のいずれか1項記載の宿主細胞を含む、請求項44記載の医薬組成物。
【請求項46】
HIV感染の治療または予防に使用するための、請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸または請求項35〜42のいずれか1項記載の宿主細胞。
【請求項47】
後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療または予防に使用するための、請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸または請求項35〜42のいずれか1項記載の宿主細胞。
【請求項48】
HIV伝染の治療または予防に使用するための、請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸または請求項35〜42のいずれか1項記載の宿主細胞。
【請求項49】
性的接触の間のHIV伝播の予防に使用するための、請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸または請求項35〜42のいずれか1項記載の宿主細胞。
【請求項50】
炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患、細菌感染症およびウイルス感染症、炎症性腸疾患、関節リウマチ、アテロームもしくは動脈硬化症、喘息、アレルギー性鼻炎もしくはアトピー性皮膚炎、移植器官、移植組織もしくは移植細胞の拒絶、多発性硬化症および/またはその他の脱髄性疾患、末梢性神経障害、悪性疾患、または癌もしくは転移性癌を治療または予防に使用するための、請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸または請求項35〜42のいずれか1項記載の宿主細胞。
【請求項51】
請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチドを含む組成物または請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸を含む組成物の投与を含む、対象者のHIV感染を治療または予防する方法。
【請求項52】
請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチドを含む組成物または請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸を含む組成物の投与を含む、対象者の後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療または発生の予防の方法。
【請求項53】
請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチドを含む組成物または請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸を含む組成物の投与を含む、対象者の炎症性疾患または悪性疾患を治療または予防する方法。
【請求項54】
請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチドを含む組成物または請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸を含む組成物の投与を含む、対象者の関節リウマチ、アテロームまたは動脈硬化症を治療または予防する方法。
【請求項55】
請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチドを含む組成物または請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸を含む組成物の投与を含む、対象者の炎症性腸疾患を治療または予防する方法。
【請求項56】
請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチドを含む組成物または請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸を含む組成物の投与を含む、対象者の末梢性神経障害を治療または予防する方法。
【請求項57】
請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチドを含む組成物または請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸を含む組成物の投与を含む、対象者の癌または転移性癌を治療または予防する方法。
【請求項58】
請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチドを含む組成物または請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸を含む組成物の投与を含む、対象者の喘息、アレルギー性鼻炎またはアトピー性皮膚炎を治療または予防する方法。
【請求項59】
請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチドを含む組成物または請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸を含む組成物の投与を含む、対象者の細菌感染およびウイルス感染を治療または予防する方法。
【請求項60】
請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチドを含む組成物または請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸を含む組成物の投与を含む、対象者における移植器官、移植組織もしくは移植細胞の拒絶を治療または予防する方法。
【請求項61】
請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチドを含む組成物または請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸を含む組成物の投与を含む、対象者の自己免疫疾患を治療または予防する方法。
【請求項62】
請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチドを含む組成物または請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸を含む組成物の投与を含む、対象者の多発性硬化症および/またはその他の脱髄性疾患を治療または予防する方法。
【請求項63】
請求項35〜42のいずれか1項記載の宿主細胞を対象者に投与する工程を含む、請求項51〜62のいずれか1項記載の方法。
【請求項64】
坐剤、クリーム剤、フォーム剤、ゲル剤またはペースト剤の適用によって予防が達成される、請求項51〜63のいずれか1項記載の方法。
【請求項65】
2以上の組成物が投与される、請求項51〜64のいずれか1項記載の方法。
【請求項66】
治療が遺伝子治療である、請求項51〜65のいずれか1項記載の方法。
【請求項67】
請求項1〜31のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項32〜34のいずれか1項記載の核酸または請求項35〜42のいずれか1項記載の宿主細胞を含むキット。

【公表番号】特表2009−544304(P2009−544304A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521377(P2009−521377)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【国際出願番号】PCT/IB2007/003026
【国際公開番号】WO2008/012689
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(509025843)ミンタカ ファンデーション フォア メディカル リサーチ (1)
【Fターム(参考)】