説明

サイトサーベイシステム

【課題】構築が容易であり、かつ所定のシステムが構築されうる領域における通信状態をいち早く確認できるサイトサーベイシステムを提供する。
【解決手段】サーベイシステム100は、所定のシステムが構築される前に、該システムが構築されうる領域における通信状態を調査するシステムである。サイトサーベイシステム100のアクセスポイント10a,10b,・・・は、通信状態をテストするためのテストデータをブロードキャストする。サイトサーベイシステム100における1以上の表示端末20a,20b,20c,20d,・・・は、テストデータを受信する受信部22と、受信したテストデータのエラーレートを測定する測定部23と、この測定結果を現在の位置における通信状態として表示する表示部25とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイトサーベイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
サイトサーベイシステムとは、無線通信を行う所定システムの構築の際、当該システムが構築される対象領域の通信状態がどのような状態であるのかを、事前に調査するシステムである。一般的に、このような対象領域には、約2.4GHzの電波周波数帯(つまりは、ISMバンド)を無線通信帯域として用いる様々な機器の他、無線通信を妨害する遮蔽物等が設置されている。そのため、ISMバンドを利用した様々な機器の無線通信によって生じるノイズやマルチパスによるフェージング、遮蔽物の位置の影響により、対象領域内の通信状態は、均一に良好な状態とはならない。従って、上述したサイトサーベイシステムにより、所定システムの構築前に事前に対象領域内の通信状態を調査することは、大変有効である。
【0003】
このようなサイトサーベイシステムとしては、例えば特許文献1(特開2010−213040号公報)に開示されているものがある。特許文献1に係るサイトサーベイシステムは、端末、当該端末と無線通信を行うアクセスポイント、及びアクセスポイントと有線にて通信するサーバが備えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の端末は、アクセスポイントの情報のみを取得する。サーバは、端末から収集したアクセスポイントの情報を用いて電波の干渉の有無を判断し、その判断結果に基づき干渉元となるアクセスポイントの情報を出力する。
【0005】
しかしながら、特許文献1に係るサイトサーベイシステムの作業者は、まずは対象領域にアクセスポイント及び端末を設置し、その後サーバに移動して、干渉元をサーバ上から確認することとなる。このため、特許文献1では、干渉元を含む通信状態を把握するには、対象領域内にサーバと多くの端末とを設置する必要があり、コストと手間がかかってしまう。
【0006】
また、特許文献1では、端末がアクセスポイントの情報を取得する際、端末とアクセスポイントとの間では、応答要求と当該要求に対する応答とを含む双方向通信が行われる。そのため、実際に干渉元の有無の判断が行われるまでには、時間がかかってしまう。
【0007】
そこで、本発明の課題は、構築が容易であり、かつ所定システムが構築されうる領域における通信状態をいち早く確認できるサイトサーベイシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
サイトサーベイシステムは、所定のシステムが構築される前に、該システムが構築されうる領域における通信状態を調査するシステムである。サイトサーベイシステムは、送信装置と、1以上の表示端末とを備える。送信装置は、通信状態をテストするためのテストデータをブロードキャストする。1以上の表示端末は、受信部と、測定部と、表示部とを備える。受信部は、テストデータを受信する。測定部は、受信したテストデータのエラーレートを測定する。表示部は、測定部による測定結果を、現在の位置における通信状態として表示する。
【0009】
このサイトサーベイシステムの表示端末は、送信装置からブロードキャストされるテストデータを受信すると、該端末自らが現在の位置におけるエラーレートを測定してこれを通信状態として表示する。そのため、表示端末の作業者は、現在の位置での通信状態をリアルタイムに把握することができる。また、従来のような通信状態を把握するためのサーバを別途設けずに済むため、サイトサーベイシステムの構築が簡易なものとなる。
【0010】
また、送信装置は、テストデータをパケット単位で連続して送信し続けているのが好ましい。この場合、表示端末の測定部は、テストデータが一定パケット数送信される毎(例えば1000パケット毎)に、エラーレートの測定を行う。
【0011】
これにより、表示端末は、送信装置によるテストデータの送信開始タイミングと同期を取ってから該データを受信する必要がない。従って、エラーレートの測定時間が短縮され、作業者は、通信状態をいち早く確認することができる。
【0012】
また、表示端末の測定部は、テストデータの受信強度を更に測定することが好ましい。
【0013】
これにより、表示端末には、エラーレートのみならず、受信強度が表示されることとなる。
【0014】
更に、表示端末の測定部は、テストデータのエラー分布を更に測定することができるように構成されていることが好ましい。
【0015】
これにより、表示端末には、エラーレートのみならず、エラー分布が表示されることとなる。
【0016】
更に、表示端末は、記憶部を有することが好ましい。記憶部は、測定部による測定結果を記憶する。
【0017】
これにより、通信状態を表示端末自体が記憶するため、より詳細なデータを蓄積しておくことができる。従って、表示端末の作業者は、例えば測定部による測定の後に表示端末上から測定結果を確認し直したり、表示端末を別途サーバ等に接続してサーバ上から通信状態を確認したりすることができる。
【0018】
また、サイトサーベイシステムは、サーバを更に備えてもよい。この場合、サーバは、エラーレートの測定動作完了後の1以上の表示端末と通信可能に接続される。サーバは、1以上の表示端末それぞれから測定部による測定結果を取得する。そして、サーバは、取得した各測定結果を表示するか、及び/または該測定結果に基づいて通信状態に関する解析を行い、その結果を表示する。
【0019】
これにより、通信状態及び通信状態に関する解析結果を、サーバを介して把握することも可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、表示端末の作業者は、現在の位置での通信状態をリアルタイムに把握することができる。また、従来のような通信状態を把握するためのサーバを別途設けずに済むため、サイトサーベイシステムの構築が簡易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るサイトサーベイシステムの構成を概念的に示す図。
【図2】アクセスポイントの構成図。
【図3】テストデータの構成を概念的に示す図。
【図4】表示端末の構成図。
【図5】表示端末の記憶部に記憶される測定結果データテーブルの概念図。
【図6】表示端末の表示部に表示される通信状態の画面例。
【図7】表示端末にサーバが接続された場合を示す図。
【図8】サーバに表示される測定結果及び解析結果の画面例。
【図9】本発明の一実施形態に係るサイトサーベイシステムの動作を説明するための図。
【図10】変形例Cにおける、サーバの接続例。
【図11】変形例Dにおける、表示端末の表示部に表示される測定結果の画面例。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るサイトサーベイシステムについて説明する。
【0023】
(1)概要
図1は、本発明の一実施形態に係るサイトサーベイシステム100の構成を概念的に示す図である。サイトサーベイシステム100は、無線通信を利用する所定のシステムを実際に構築する前に、当該システムが構築される領域における通信状態を事前に調査するシステムである。所定のシステムとしては、例えば製品を製造する工場において、製品の製造過程にて用いられる生産システムが挙げられる。従って、サイトサーベイシステム100は、このような所定のシステムが構築されうる領域に、その所定のシステムが構築される前に持ち込まれて、サイトサーベイを行う。以下では、説明の便宜上、所定のシステムが構築されうる領域を、“対象領域OD”と言う。
【0024】
サイトサーベイシステム100は、主として、アクセスポイント(送信装置に相当)10a,10b,・・・と、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・とを備える。本実施形態では、図1に示すように、対象領域ODにおいて、アクセスポイント10a,10b,・・・が2台、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・が4台備えられている場合を例に取る。
【0025】
なお、アクセスポイント及び表示端末の台数は、図1に限定されるものではない。例えば、アクセスポイントは1台であってもよい。また、表示端末も、1台以上であれば、何台であってもよい。
【0026】
アクセスポイント10a,10b,・・・は、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・の親機として、無線基地局の役割を担う装置ではあるが、ここでは、以下に述べるように、データの送信装置として機能する。各アクセスポイント10a,10b・・・の設置位置は、アクセスポイント10a,10b,・・・それぞれの電波伝送距離を考慮して、対象領域OD全体に電波が届くように決定されることが好ましい。従って、ここでは、図1に示すように、アクセスポイント10a,10b,・・・は、互いに所定距離離れて設置されている。なお、アクセスポイント10a,10b,・・・の設置位置は、サイトサーベイシステム100によるサイトサーベイの間、一度決められた位置にて固定されてもよいし、他の位置に設置しなおされても良い。
【0027】
表示端末20a,20b,20c,20d,・・・は、作業者が携帯しながら移動できる程度の大きさ及び重さを有しており、アクセスポイント10a,10b,・・・と無線通信を行うことができるものである。表示端末20a,20b,20c,20d,・・・は、互いに離れて位置しており、対象領域OD内の任意の位置に設置される。
【0028】
特に、本実施形態に係るアクセスポイント10a,10b,・・・は、対象領域OD内における通信状態の調査、つまりはサイトサーベイの際には、該領域OD内にテストデータをブロードキャストしつつ連続的に送り続け、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・は、このテストデータを受信して通信状態を調査する。従って、サイトサーベイの際には、アクセスポイント10a,10b,・・・及び表示端末20a,20b,20c,20d,・・・は、互いに無線通信を行うとはいえども、双方向にデータのやり取りを行うわけではない。即ち、アクセスポイント10a,10b,・・・は、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・へとテストデータを送信するのみであり、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・は、これを受信するのみである。
【0029】
ここで、アクセスポイント10a,10b,・・・と表示端末20a,20b,20c,20d,・・・との間の無線通信において用いられるプロトコルには、電波周波数帯として、いわゆるISMバンド(つまり、約2.4GHzの無線通信帯域であって、免許申請や使用登録をすることなく自由に利用できる周波数帯域)を用いたIEEE802.11や、IEEE802.15等が挙げられるが、特には限定されない。
【0030】
なお、アクセスポイント10a,10b,・・・は、設置位置が異なるものの、互いに同じ構成を有しているため、以下のアクセスポイント10a,10b,・・・の構成の説明では、設置位置を特定する必要のある場合以外は、単に「アクセスポイント10」と記載する。同様に、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・も、単に「表示端末20」と記載する。
【0031】
(2)アクセスポイントの構成
アクセスポイント10は、図2に示すように、主として、電力変換部11、送信部12、表示部13及び制御部14を有する。
【0032】
(2−1)電力変換部
電力変換部11は、アクセスポイント10の各種構成要素に供給される電力を生成する。具体的には、アクセスポイント10には例えば電池が挿入されており、電力変換部11は、電池からの電力を、アクセスポイント10の各構成要素が必要とする電力に変換して、各構成要素に供給する。これにより、アクセスポイント10は、電源用のケーブルを必要としないため、ケーブルの長さによる移動制限等がなく、かつサイトサーベイを行う間においてはアクセスポイント10の移動の際に電源確保の手間がなく、便宜性が良い。
【0033】
この場合、電力変換部11は、図示してはいないが、例えばDC−DCコンバータなどによって構成される。電力変換部11によって変換された後の所定の電力は、各種構成要素に供給される。
【0034】
なお、アクセスポイント10は、必ずしも電池を電源として動作するものでなくともよく、例えばLANケーブルから電源を取る技術であるIEEE802.3.af準拠のPoE給電(Power over Ethernet(登録商標))や、DCジャックを有するACアダプタ、またはDCプラグを備えた電池ケースと電池での動作が可能な構成であってもよい。
【0035】
(2−2)送信部
送信部12は、各表示端末20(具体的には、20a,20b,20c,20d,・・・)にテストデータを送信する。テストデータとは、対象領域OD内の通信状態をテストするためのデータである。特に、本実施形態に係る送信部12は、各表示端末20a,20b,20c,20d,・・・を宛先としてテストデータを送るのではなく、対象領域OD内に位置する表示端末20a,20b,20c,20d,・・・があれば、当該端末20a,20b,20c,20d,・・・が自然とテストデータを受信できるよう、テストデータをブロードキャストする。
【0036】
このような送信部12は、例えばアクセスポイント10のケーシング外部に設けられたアンテナ等によって構成される。
【0037】
ここで、テストデータについて説明する。本実施形態に係るテストデータは、パケット単位にて連続して送信されるものである。各パケットは、一定時間間隔(即ち、一定周期)にて送信される。図3は、このテストデータの構造を概念的に表したものである。図3に示すように、テストデータ全体は、所定長に分割され、分割されたデータ毎にヘッダーが付される。各ヘッダーとして、複数のビットが割り当てられており、各ヘッダーには、個々の送信先(即ち、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・)のアドレスが含まれるのではなく、単に“表示端末20宛”であることが含まれている。更に、各ヘッダーには、当該ヘッダーの後に続くテストデータの内容が、テストデータ全体の中で何番目に送信されているデータであるのかを示す情報等が含まれている。そして、ヘッダーの後に続くテストデータの内容部分においても、複数のビットが割り当てられている。なお、本実施形態に係るテストデータは、表示装置20によって受信さえされれば当該データの目的は達成されるため、アクセスポイント10側への応答要求等は含まれていない。そのため、テストデータの内容には、画像データ等ではなく、通信状態を調査するためのテストである旨が表されていればよい。
【0038】
送信部12は、上述したテストデータを、電力変換部11によって電力が供給されている限り、対象領域OD内にパケット単位で連続して送信し続ける。
【0039】
(2−3)表示部
表示部13は、図示はしていないが、アクセスポイント10のケーシング外部に露出するようにして設けられており、例えば複数のLED等によって構成されている。表示部13は、アクセスポイント10が行う動作をサイトサーベイシステム100の作業者に知らせるべく、アクセスポイント10が現在行っている動作に対応した色に発光する。
【0040】
例えば、アクセスポイント10がテストデータを送信し続けている間は、表示部13は、緑色に発光する。また、アクセスポイント10が故障によってテストデータを送信できていない間は、表示部13は、赤色に発光する。
【0041】
なお、表示部13は、LEDではなく、ディスプレイとして構成されてもよい。
【0042】
(2−4)制御部
制御部14は、図2に示すように、CPU14a,ROM14b及びRAM14cによって構成されたマイクロコンピュータであって、アクセスポイント10を構成する様々な構成要素と接続されている。ROM14bには、アクセスポイント10を制御するための制御プログラムが格納されている。CPU14aは、ROM14bに格納された制御プログラムに基づいて、アクセスポイント10を制御する。RAM14cは、CPU14aがROM14bに格納された制御プログラムを実行する際の、所謂ワークメモリとして機能する。
【0043】
(3)表示端末の構成
表示端末20は、図4に示すように、主として、電力変換部21、受信部22、測定部23、記憶部24、表示部25、サーバ用通信部26及び制御部27を有する。
【0044】
(3−1)電力変換部
電力変換部21は、表示端末20の各種構成要素に供給される電力を生成する。具体的には、表示端末20には、電池が挿入されており、電力変換部21は、電池からの電力を、表示端末20の各構成要素が必要とする電力に変換して、各構成要素に供給する。
【0045】
このような電力変換部21は、図示はしていないが、例えばトランスやDC−DCコンバータ等で構成されている。
【0046】
(3−2)受信部
受信部22は、利得の校正がなされたアンテナ等によって構成されており、アクセスポイント10が送信し続けているテストデータを受信する。具体的には、受信部22は、テストデータをパケット単位毎に受信する。
【0047】
特に、本実施形態では、ボタン操作をトリガにして、受信部22は、パケット単位で連続的に送信されているテストデータを一定時間受信し続ける。
【0048】
(3−3)測定部
測定部23は、受信部22が受信したテストデータのエラーレートを測定する。特に、テストデータは、パケット単位で連続して受信されるが、測定部23は、一定パケット数送信される毎に、この一定パケット数をひとまとまりとして、エラーレートを測定する。
【0049】
具体的には、測定部23は、受信部22が受信したパケットの数をカウントしていく。そして、アクセスポイント10が最終的に1000パケット分送信した際に、表示端末20はどれだけの数のパケットを受信できたかが、カウント結果として記憶部24に記憶される。受信できたパケットの数を“q”とすると、アクセスポイント10が最終的に1000パケット分送信した際には、測定部23は、1000パケットのうちの受信できたパケットの数qの割合“q/1000”を、受信成功率とすることができる。逆に、測定部23は、1000パケットから受信できたパケットの数qを減算した数“1000−q”の1000パケット分に対する割合“(1000−q)/1000”を、エラーレートとして算出することができる。つまり、測定部23は、パケット単位で連続して送信されるテストデータが一定パケット数に達した際、この一定パケット数とカウント結果とに基づき、エラーレートを算出することで、一定パケット数毎にエラーレートの測定を行う。従って、例えば、アクセスポイント10からは、1000パケット分のテストデータが連続して送られているはずが、実際のところは955パケット分のテストデータしか受信できていない場合には、エラーレートは、“(1000−955)/1000=45/1000”となる。
【0050】
ここで、測定部23によるエラーレートの測定方法について詳述する。測定部23は、受信された1つのパケットのテストデータのヘッダーから、そのテストデータが何番目に送信されたものであるかを特定し、特定できた場合にはそのテストデータを正常に受信できたものとしてカウントする。受信部22が新たに1パケット分のテストデータを受信すると、測定部23は、同様に、このパケットのヘッダーから、当該テストデータが何番目に送信されたものであるかを特定する。
【0051】
そして、新たに受信されたテストデータが、前回受信されたテストデータの次に送られてきたものであると測定部23が判断できた場合には、連続して送られてきた2パケット分のテストデータを連続して受信できたことが分かる。従って、仮にこの時点でのエラーレートは、“0/2”となる。つまり、送られてきたパケットの数は“2”であり、受信できたパケットの数は“2”であるから、受信できなかったパケットの数を表すエラーの数は“0”となる。
【0052】
しかし、測定部23は、新たに受信されたテストデータが、前回受信されたテストデータの次に送られてきたものではないと判断した場合には、その間に送られたであろうテストデータの受信には失敗したものと判断することができる。この場合、測定部23は、新たに受信されたテストデータが何番目に送信されたものであるのかの情報と、前回受信されたテストデータが何番目に送信されたものであるのかの情報とに基づき、これらの間に送られているはずのテストデータのパケット数を想定する。新たに受信されたテストデータと前回受信されたテストデータとの間に、1つのパケット分のテストデータが送られていると想定できた場合、仮にこの時点でのエラーレートは、“1/3”となる。つまり、送られてきたパケットの数は“3”であり、受信できなかったパケット数を表すエラーの数は“1”となる。
【0053】
なお、上記では、エラーレートの測定方法についての理解を助けるために、各時点でのエラーレートを“仮に”として記載している。しかし、本実施形態に係るエラーレートは、あくまでも一定パケット数が送信された後に算出されるため、上記記載は、各パケットの受信毎にエラーレートが測定されることを表しているものではない。
【0054】
上述したエラーレートの測定動作は、エラーレートの測定指示が作業者によって表示端末20上のスタートボタンb1(後述)を介してなされた場合に開始される。測定部23は、連続して送られてくる例えば1000パケット分のテストデータをひとまとまりとしてエラーレートを測定すると、エラーレートの測定動作を一旦終了する。
【0055】
更に、測定部23は、テストデータの受信強度を測定する。具体的には、測定部23は、受信部22の構成要素であるアンテナにおいて、そのアンテナの誘起電圧を電界強度として測定する。
【0056】
また、測定部23は、上述したエラーレート及び受信強度の測定に加え、更にエラー分布の測定を行っても良い。エラー分布の測定を行う場合には、測定部23は、エラーレートの測定と同様、受信したパケットが何番目に送信されたものであるのかの情報等に基づき、エラー分布を測定する。例えば、アクセスポイント10から100パケット分のテストデータが連続して送信され、この100パケット分がひとまとまりである場合を例に取る。最初に受信したパケットのテストデータが251番目に送られてきたものである特定すると、測定部23は、これを相対的に“1番”であると定義する(以下、相対番号と言う)。測定部23は、その後に受信部22が受信した各パケットのテストデータについても相対番号のフラグで記録することで、当該記録したものを、相対番号“1番”から“100番”までの各パケットを受信したか否かを表すデータとして取得することができ、これによりエラー分布を得ることができる。特に、アクセスポイント10によるテストデータの送信は、既に述べたように一定周期で行われているため、測定部23は、結果的に“時間”でのエラー分布のデータを取得することが可能となる。
【0057】
なお、本実施形態では、測定部23が、エラーレート及びテストデータの受信強度のみならず、エラー分布をも測定する場合を例に取る。
【0058】
(3−4)記憶部
記憶部24は、不揮発性メモリで構成されている。記憶部24は、測定部23による測定結果(具体的には、エラーレート、受信強度、エラー分布)等を記憶する。
【0059】
図5は、記憶部24がどのようにして測定結果を記憶しているかを概念的に示す図であって、以下では、「測定結果データテーブル24a」と呼称する。
【0060】
測定結果データテーブル24aでは、サーベイ番号DA1、カウント結果DA2、エラーレートDA3、最大受信強度DA4、最小受信強度DA5、及び平均受信強度DA6が、対応付けられている。カウント結果DA2は、一定パケット数のうち受信できたパケットの数qとして、測定部23がカウントしていた結果である。エラーレートDA3は、カウント結果DA2及び一定パケット数に基づいて算出されたエラーレートである。最大受信強度DA4、最小受信強度DA5及び平均受信強度DA6は、それぞれ当該一定パケット数内にて測定されていた受信強度のうちの最大値、最小値、及び平均値を示す。
【0061】
ここで、図5の測定結果データテーブル24aには、エラーレートDA3が含まれているが、エラーレートDA3はカウント結果DA2から算出可能であるため、エラーレートDA3は測定結果データテーブル24a内に含まれていなくても良い。
【0062】
なお、図5,6では、各受信強度DA4〜DA6の欄にて“FF”のように、1バイトそれぞれを16進数で表記した各受信強度を例示しているが、各受信強度の表記方法は、これに限定されない。例えば、各受信強度は、“−72dBm”のように、10進数で表記されてもよい。
【0063】
(3−5)表示部
表示部25は、表示端末20の正面に露出するようにして設けられている。表示部25は、測定部23による測定結果を、表示端末20の現在の位置における通信状態として表示する。つまり、表示部25は、記憶部24の測定結果データテーブル24a内の測定結果を表示する。
【0064】
図6は、表示部25によって表示される通信状態の画面例である。図6の画面例では、画面の下部において、サーベイNo、エラーレート、平均受信強度、最大受信強度、最小受信強度が、左右方向に並べて表示されている。そして、サーベイNo等の上部には、受信できなかったパケットを時間の経過に沿って白点で表したエラー分布が表示されている。ここで、サーベイNoとは、サイトサーベイシステム100によるサイトサーベイが行われた通し番号を表している。当該通し番号は、記憶部24内には記憶されていないが、記憶部24内の測定結果が固定長のデータであるため、記憶されているアドレスから算出されることが可能である。
【0065】
また、図6では、エラーレートの分母である総パケット数(つまり、1000パケット)が省略され、分子である受信できなかったパケットの数のみが、エラーレートとして表されている。これは、本実施形態では、エラーレートの分母は常に“1000”パケットであることから、分母を省略し分子のみを表しても、実質的にはエラーレートを表していることに相当するためである。
【0066】
このような図6の画面例は、測定対象となる一定パケット数、つまりはひとまとまりである1000パケット分のテストデータの測定が終了した後に、表示部25に表示される。
【0067】
また、図6では、通信状態が上下に2つ分割して表示されているが、これは、例えば表示端末20の異なった位置での通信状態が、2つに別れて表示されている状態を表したものである。
【0068】
また、図6の表示部25の右側付近には、スタートボタンb1が設けられている。スタートボタンb1は、測定部23によるエラーレート等の測定動作の開始を指示するためのボタンである。
【0069】
(3−6)サーバ用通信部
本実施形態に係る表示端末20は、上述したエラーレート等の測定動作の完了後、図7に示すように、通信ケーブル40を介してサーバ30と通信可能に接続することができる。サーバ用通信部26は、サーバ30との接続インターフェースの役割を有している。具体的に、サーバ用通信部26は、表示端末20にサーバ30が接続された際、応答要求や測定結果の取り出し要求等を、サーバ30から取得することができる。また、サーバ用通信部26は、サーバ30からの応答要求に伴う応答、及び測定結果の取り出し要求に対する応答を行うことができる。
【0070】
(3−6−1)サーバ
ここで、サーバ30について説明する。サーバ30は、本発明においては必須ではないが、サイトサーベイシステム100に更に備えることが可能なものである。
【0071】
サーバ30は、1以上の表示端末20a,20b,20c,20d,・・・によるエラーレート等の測定動作完了後、通信ケーブル40を介して各表示端末20a,20b,20c,20d,・・・と接続されると、応答要求及び測定結果の取り出し要求を各表示端末20a,20b,20c,20d,・・・に対して行う。そして、サーバ30は、通信ケーブル40を介して各表示端末20a,20b,20c,20d,・・・から測定部23の測定結果を取得すると、取得した各測定結果をそのまま表示したり、当該測定結果に基づいて通信状態に関する解析を行い、その結果を表示したりする。
【0072】
図8は、各表示端末20a,20b,20c,20d,・・・の測定結果がサーバ30にて集約及び解析され、当該サーバ30の表示部31に表示される画面例を、一例として示している。ここでは、サーバ30には、予め対象領域ODのレイアウト情報が入力され記憶されているとする。そして、サーバ30は、各表示端末20a,20b,20c,20d,・・・から取得した測定結果の集約動作、各表示端末20a,20b,20c,20d,・・・から取得した測定結果と各表示端末20a,20b,20c,20d,・・・が測定を行った位置を示す位置情報との関連付け動作(特に、サーベイNoと位置情報との関連付け)、及び関連付け動作後の測定結果による受信強度分布についての解析動作等を行うことで、集約した測定結果及び解析結果を図8に示すように表示している。
【0073】
図8では、表示部31の左側には、各表示端末20a,20b,20c,20d,・・・から受信した測定結果が表31aの形式にて表示されている。表31aでは、各表示端末20a,20b,20c,20d,・・・の位置情報と、その位置情報におけるエラーレート値及び平均受信強度が表されている。なお、表31a内のエラーレート値では、図6と同様、分母を省略して、分子のみ(つまり、受信できなかったパケットの数)を表している。そして、表示部31の右側には、各表示端末20から受信した測定結果(具体的には、エラーレート及び平均受信強度)を解析することによって得られた対象領域OD内の受信強度分布が、対象領域ODの平面図31bの形式によって表されている。ここでは、対象領域OD内の受信強度分布は、同じ平均受信強度同士の位置が一本の線で結ばれたいわゆる等値線状にて表されている。
【0074】
(3−7)制御部
制御部27は、上記アクセスポイント10の制御部14と同様、図4に示すように、CPU27a,ROM27b及びRAM27cによって構成されたマイクロコンピュータであって、表示端末20を構成する様々な構成要素と接続されている。ROM27bには、表示端末20を制御するための制御プログラムが格納されている。CPU27aは、ROM27bに格納された制御プログラムに基づいて、表示端末20を制御する。RAM27cは、CPU27aがROM27bに格納された制御プログラムを実行する際の、所謂ワークメモリとして機能する。
【0075】
このような制御部27は、例えば、記憶部24の測定結果データテーブル24aの更新、表示部25の表示制御等を行う。
【0076】
(4)サイトサーベイシステムによる一連の動作
図9は、サイトサーベイシステム100が行う一連の動作を表した図である。
【0077】
まず、アクセスポイント10a,10b,・・・に電源が投入され、アクセスポイント10a,10b,・・・の電源スイッチがオンされると(#1のYes)、アクセスポイント10は、テストデータの送信を開始する(#2)。そして、アクセスポイント10は、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・が行っている動作とは全く関係なく、当該データを例えば1秒毎にパケット単位で連続して送信し続ける(#3〜#6)。
【0078】
サイトサーベイシステム100の作業者は、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・を、対象領域OD内の任意の位置に持ち運ぶと、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・の表示部25付近にあるスタートボタンb1を押下することで(#7〜10のYes)、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・によるエラーレート等の測定動作を開始させる(#11〜#14)。
【0079】
なお、表示端末20dは、他の表示端末20a〜20cに比べてスタートボタンb1が押下されたタイミングが遅い。従って、表示端末20dは、他の表示端末20a〜20cに比べてエラーレート等の測定動作の開始が遅くなっている(#14)。
【0080】
そして、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・は、測定動作の開始時からアクセスポイント10a,10b,・・・の送信するパケットの数が1000パケットに達するまで当該パケットを受信し続け、受信したパケットの数のカウント及び受信強度の測定を行う(#11〜#20)。なお、未だアクセスポイント10a,10b,・・・の送信するパケットの数が1000パケットに達しておらず、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・が測定を行っている間の測定中データ(具体的には、受信したパケットのカウント数や受信強度等)は、一時的にRAM27cにて保持される。そして、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・は、アクセスポイント10a、10b,・・・の送信するパケットの数が1000パケットに達したところで(#21〜#24)、エラーレート、受信強度(具体的には、最大受信強度、最小受信強度、平均受信強度)、エラー分布を算出し、これを測定結果として記憶部24に記憶させる(#25〜#28)。
【0081】
その後、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・は、測定動作を終了し、図6に示すような測定結果を含む画面を、表示部25上に表示する(#29〜#32)。なお、表示端末20dは、他の表示端末20a〜20cに比べてエラーレート等の測定動作の開始が遅いため(#14)、その分測定動作の終了及び測定結果の表示も他の表示端末20a〜20cに比して遅くなっている(#24,#28,#32)。
【0082】
また、作業者が、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・の位置を移動させた場合には、上記した一連の動作が繰り返される。
【0083】
(5)特徴
(5−1)
所定のシステムが構築されうる領域における通信状態は、各表示端末20a,20b,20c,20d,・・・の位置や、各表示端末20a,20b,20c,20d,・・・とアクセスポイント10との間に介在する遮蔽物の位置等の様々な要因によって、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・の位置毎に異なっている。
【0084】
また、従来のサイトサーベイの手法には、持ち歩き可能なスペクトラムアナライザや無線LANアナライザを用いて行われていることもあった。この場合、対象領域OD内の受信強度等を把握することはできても、実際に無線通信がどの程度成功するかや、失敗するかまでは、把握することができなかった。
【0085】
しかし、このサイトサーベイシステム100の表示端末20a,20b,20c,20d,・・・は、アクセスポイント10からブロードキャストされるテストデータを受信すると、該端末20a,20b,20c,20d,・・・自らが現在の位置におけるエラーレートを測定してこれを通信状態として表示する。そのため、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・の作業者は、現在の位置での通信状態(例えば、実際に無線通信がどの程度失敗するか等)をリアルタイムに把握することができる。また、従来のような通信状態を把握するためのサーバを別途設けずに済むため、サイトサーベイシステムの構築が簡易なものとなる。
【0086】
(5−2)
また、本実施形態のアクセスポイント10は、テストデータをパケット単位で連続して送信し続けており、各表示端末20a,20b,20c,20d,・・・の測定部23は、テストデータが一定パケット数送信される毎に、エラーレートの測定を行う。即ち、測定部23は、受信したパケットの数をカウントし、アクセスポイント10が送信したパケット数が一定パケット数となった際に、当該カウントの結果を用いてエラーレートを算出する。これにより、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・は、アクセスポイント10によるテストデータの送信開始タイミングと同期を取ってから該データを受信する必要がない。即ち、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・は、パケット単位で送信し続けられているテストデータをどのタイミングからでも受信できる。そして、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・は、アクセスポイント10の送信するパケットの数が表示端末20a,20b,20c,20d,・・・による受信開始時から数え始めて一定数となった際に、エラーレートを測定することができる。従って、エラーレートの測定時間が短縮され、作業者は、通信状態をいち早く確認することができる。
【0087】
また、本実施形態の各表示端末20a,20b,20c,20d,・・・の測定部23は、テストデータが一定パケット数送信される毎に、受信成功率の測定を行うことも可能である。
【0088】
(5−3)
また、本実施形態に係る表示端末20a,20b,20c,20d,・・・の測定部23は、エラーレートのみならず、テストデータの受信強度を測定する。これにより、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・には、エラーレートに加えて受信強度が表示される。
【0089】
(5−4)
更に、本実施形態に係る表示端末20a,20b,20c,20d,・・・の測定部23は、エラーレート及び受信強度のみならず、テストデータのエラー分布を測定することも可能である。これにより、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・には、エラーレート及び受信強度のみならず、エラー分布の表示が可能となる。
【0090】
(5−5)
また、本実施形態では、測定部23による測定結果が表示端末20a,20b,20c,20d,・・・自体に記憶されるため、データをサーバ等に蓄積していくよりも、より詳細なデータを蓄積しておくことができる。従って、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・の作業者は、例えば測定部23による測定の後に表示端末20a,20b,20c,20d,・・・上から測定結果を確認し直したり、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・を別途サーバ等に接続してサーバ上から通信状態を確認したりすることができる。
【0091】
(5−6)
また、本実施形態に係るサイトサーベイシステム100は、エラーレートの測定動作完了後の表示端末20a,20b,20c,20d,・・・と通信ケーブル40を介して通信可能に接続されることが可能なサーバ30を更に備えることもできる。サーバ30は、各表示端末20a,20b,20c,20d,・・・から測定部23による測定結果を取得すると、その測定結果及び該測定結果に基づく解析結果を表示することができる。従って、通信状態及び通信状態に関する解析結果を、サーバ30を介して把握することも可能となる。
【0092】
(6)変形例
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、以下のような変更が考えられる。
【0093】
(6−1)変形例A
上記実施形態では、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・が、エラーレート及び受信強度のみならず、更にはエラー分布も測定して表示する場合について説明した。しかし、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・は、必ずしもエラー分布を測定して表示しなくてもよく、エラー分布を選択的に測定することができる。
【0094】
(6−2)変形例B
上記実施形態では、図7に示すように、表示端末20a,20b,20c,20d,・・・にサーバ30が接続されると説明した。しかし、サイトサーベイシステム100は、サーバ30は設けず、アクセスポイント10a,10b,・・・及び表示端末20a,20b,20c,20d,・・・のみで構成されてもよい。
【0095】
(6−3)変形例C
また、図7では、アクセスポイント10a,10b,・・・を介さずに、サーバ30が表示端末20a,20b,20c,20d,・・・と直接接続されている場合を表した。しかし、サーバ30は、図10に示すように、アクセスポイント10a、10b,・・・それぞれと有線や無線等により接続されることで、アクセスポイント10a、10b,・・・を介して表示端末20a,20b,20c,20d,・・・と通信可能に接続されてもよい。
【0096】
(6−4)変形例D
上記実施形態では、測定部23による測定結果が表示端末20a,20b,20c,20d,・・・に表示される画面例として、図6を用いて説明した。しかし、測定結果の表示画面例は、図6に限定されず、例えば図11に示すような画面であってもよい。図11では、所定時間(例えば1秒)経過毎の受信したパケット数、平均受信強度、最大受信強度、及び最小受信強度が、異なる列にて表されている。
【0097】
なお、図11の一番左の列には、1000パケットのうち受信できなかったパケット数ではなく、受信できたパケットの数が表されている。これにより、作業者は、1000パケットから受信できたパケットの数を差し引くことで、エラーレートを容易に把握することが可能となる。従って、図11では、エラーレートを、直接的にではなく間接的に表していることとなる。
【0098】
(6−5)変形例E
上記実施形態では、図6の画面が、1000パケット分の測定終了後に表示部25に表示されると説明した。しかし、図6の画面は、測定中に、時間の経過と共に徐々に各種情報が更新されるようにして表示されてもよい。
【0099】
(6−6)変形例F
表示端末20は、上記実施形態にて説明した機能のみを有する、いわゆるサイトサーベイツール専用品であってもよいが、サイトサーベイツール以外の機能を有していても良い。例えば、対象領域ODが半導体製造工場である場合、表示端末20は、サイトサーベイツールとして利用された後、対象領域OD内に構築された半導体製造システムにおいて、ロット毎に工程を表示するための表示端末として再利用されてもよい。
【0100】
この場合、表示端末20のROM27b内には、サイトサーベイツールとしての制御プログラム以外に、ロット毎に工程を表示するための制御プログラムが格納されていてもよい。また、表示端末20には、サイトサーベイツールとして用いられるのか、それともロット毎に工程を表示するためのツールとして用いられるのかを切換えるための切換えボタンが更に設けられていても良い。
【0101】
また、アクセスポイント10についても、上記表示端末20と同様、サイトサーベイシステムとして用いられた後に、半導体製造システムにおいて双方向通信可能な無線基地局として用いられても良い。
【0102】
(6−7)変形例G
上記実施形態では、サーバ30が、図8に示すように、表示端末20から送信された測定結果に加えて解析結果を表示すると説明した。しかし、サーバ30は、測定結果及び解析結果のいずれか1つを表示してもよい。
【符号の説明】
【0103】
10a,10b,・・・ アクセスポイント
11 電力変換部
12 送信部
13 表示部
14 制御部
14a CPU
14b ROM
14c RAM
20a,20b,20c,20d,・・・ 表示端末
21 電力変換部
22 受信部
23 測定部
24 記憶部
24a 測定結果データテーブル
25 表示部
26 サーバ用通信部
27 制御部
27a CPU
27b ROM
27c RAM
30 サーバ
31 表示部
100 サイトサーベイシステム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開2010−213040号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のシステムが構築される前に、該システムが構築されうる領域における通信状態を調査するサイトサーベイシステムであって、
前記通信状態をテストするためのテストデータをブロードキャストする送信装置と、
前記テストデータを受信する受信部と、受信した前記テストデータのエラーレートを測定する測定部と、前記測定部による測定結果を現在の位置における前記通信状態として表示する表示部とを有する、1以上の表示端末と、
を備える、
サイトサーベイシステム。
【請求項2】
前記送信装置は、前記テストデータをパケット単位で連続して送信し続けており、
前記表示端末の前記測定部は、前記テストデータが一定パケット数送信される毎に、前記エラーレートの測定を行う、
請求項1に記載のサイトサーベイシステム。
【請求項3】
前記表示端末の前記測定部は、前記テストデータの受信強度を更に測定する、
請求項1または2に記載のサイトサーベイシステム。
【請求項4】
前記表示端末の前記測定部は、前記テストデータのエラー分布を更に測定することができる、
請求項1から3のいずれか1項に記載のサイトサーベイシステム。
【請求項5】
前記表示端末は、
前記測定部による測定結果を記憶する記憶部、
を更に有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のサイトサーベイシステム。
【請求項6】
前記エラーレートの測定動作完了後の1以上の前記表示端末と通信可能に接続されるサーバ、
を更に備え、
前記サーバは、1以上の前記表示端末それぞれから前記測定部による測定結果を取得し、取得した各前記測定結果を表示するか、及び/または該測定結果に基づいて前記通信状態に関する解析を行い、その結果を表示する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のサイトサーベイシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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