説明

サイドウォール用ゴム組成物

【課題】転がり抵抗特性、押し出し加工性、及び耐カット性のバランスが高度に優れるサイドウォール用ゴム組成物を提供すること。
【解決手段】(A)アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合することによって、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端に、シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させてなる変性共役ジエン系重合体を20質量%以上含有するゴム成分30〜70質量部、及び(B)天然ゴム、ハイシスポリブタジエンゴム、ポリイソプレンから選ばれる少なくとも1種のゴム状重合体70〜30質量部からなるゴム組成物と、(C)シリカ系無機充填剤を含むサイドウォール用ゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤのサイドウォールを構成するために用いられるサイドウォール用ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素排出量の抑制等、環境に対する配慮が社会的要請となっており、自動車に対する低燃費化への要望が高まってきている。タイヤが地面と接するトレッド部分のヒステリシスロスは、タイヤ全体の50〜60%を占めていることから、従来、トレッド部分に用いられるゴム材料の開発が数多く実施されている。
近年、ゴム材料として、ゴム状重合体、カーボンブラックやシリカ等が開発され、また、これらを含む配合技術の改良等によって、トレッド部分のヒステリシスロスは大きく低下してきており、タイヤの転がり抵抗も大きく低減されつつある。
しかしながら、タイヤの転がり抵抗を更に低下させるために、トレッド部分のみでヒステリシスロスを低下させようとした場合、耐摩耗性や湿潤路面でのグリップ性能などの他の性能が低下することから、トレッド部分のみの改良には限界がある。そのため、トレッド部分以外の部位でヒステリシスロスを低下させて、タイヤの転がり抵抗を低減させることが提案されている。
【0003】
タイヤのサイドウォールには、カット性を向上させる目的で、ブタジエンゴム等の共役ジエン系共重合体を配合したゴム組成物を使用している。
サイドウォールにおいて、転がり抵抗特性を改善する方法としては、例えば、シリカ等の補強剤の配合量を減じる方法が知られているが、かかる配合量を減じると、ゴム組成物の形状が安定せず、押し出し加工性が悪化する傾向があった。これに対し、押し出し加工性の悪化を抑制できる方法として、固体のレジンを配合する方法等が知られているが、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。
以上のように、転がり抵抗特性と押し出し加工性は相反する関係にあり、両性能を改善する方法が望まれていた。
【0004】
転がり抵抗特性を改善する方法としては、例えば、特許文献1には、ネオジウム系触媒を用いて合成される特定のブタジエンゴムと、特定のシリカ、及び特定のカーボンブラックとを用いて構成された、耐カット性、及び加工性等を損なうことなく、転がり抵抗特性を改善するサイドウォール用ゴム組成物が記載されている。
また、特許文献2には、アルコキシシリル基を有する特定化合物により変性されたブタジエンゴム、及びネオジウムなどの希土類元素触媒を用いて合成されたブタジエンゴムの合計含有量が特定範囲で構成された、耐カット性と転がり抵抗特性のバランスが良く改善するサイドウォール用ゴム組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−124487号公報
【特許文献2】特開2011−116823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載のゴム組成物を用いた場合においては、転がり抵抗特性、押し出し加工性、及び耐カット性のバランスについては未だ改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記従来技術が有する問題に鑑みてなされたものであって、転がり抵抗特性、押し出し加工性、及び耐カット性のバランスが高度に優れるサイドウォール用ゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、(A)アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端に、特定構造の化合物を反応させてなる変性共役ジエン系重合体を含有する特定量のゴム成分と、(B)特定のゴム状重合体を特定量と、(C)シリカ系無機充填剤を用いることにより、従来にも増して転がり抵抗特性、押し出し加工性、及び耐カット性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、以下の[1]〜[5]に関する。
[1]
(A)アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合することによって、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端に、シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させてなる変性共役ジエン系重合体を20質量%以上含有するゴム成分30〜70質量部、及び(B)天然ゴム、ハイシスポリブタジエンゴム、ポリイソプレンから選ばれる少なくとも1種のゴム状重合体70〜30質量部からなるゴム組成物と、(C)シリカ系無機充填剤を含むサイドウォール用ゴム組成物。
[2]
前記ゴム組成物100質量部に対し、前記(C)シリカ系無機充填剤を0.5〜300質量部含む、[1]に記載のサイドウォール用ゴム組成物。
[3]
前記ゴム組成物100質量部に対し、更にカーボンブラックを0.5〜100質量部含む、[1]又は[2]に記載のサイドウォール用ゴム組成物。
[4]
前記シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物が、下記一般式(1)、一般式(2)、及び一般式(3)で表される化合物からなる群から選ばれる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のサイドウォール用ゴム組成物。
【化1】

(一般式(1)中、R1〜R4は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し、R5は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、R6は炭素数1〜20のアルキレン基を表す。mは1又は2の整数であり、nは2又は3の整数である。)
【化2】

(一般式(2)中、R7〜R10は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し、R11及びR12は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、R13及びR14は、各々独立して、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、かつ隣接する2つのNとともに5員環以上の環構造を形成する。p及びqは、各々独立して、2又は3の整数である。)
【化3】

(一般式(3)中、X1及びX2は、各々独立して、炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、R15及びR16は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表し、A1及びA2は、各々独立して、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、A3は下記式(a)又は(b)で表される基を表し、複数の、X1、X2、R15、R16、A1、A2又はA3が存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。r及びsは、各々独立して、0〜3の整数であり、tは0〜20の整数であり、tが2以上の場合、(A1−A3−A2)で表される複数の繰り返し単位は、各々同一であっても異なっていてもよい。)
【化4】

(一般式(a)中、R17は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。なお、A3が一般式(a)で表される場合、(r+s)は5又は6である。)
【化5】

(一般式(b)中、A4は単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、X3は炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、R18は炭素数1〜20のアルキル基を表し、複数のX3又はR18が存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。uは0〜3の整数である。なお、A3が一般式(b)で表される場合、[r+(t×u)+s]は5以上の整数である。)
[5]
[1]〜[4]のいずれか1項に記載のサイドウォール用ゴム組成物の架橋物によりサイドウォールが構成されてなるタイヤ。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、転がり抵抗特性、押し出し加工性、及び耐カット性のバランスが高度に優れるサイドウォール用組成物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について以下詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0012】
本実施形態のサイドウォール用ゴム組成物は、(A)特定の変性共役ジエン系重合体を特定量含有するゴム成分、(B)特定のゴム状重合体、及び(C)シリカ系無機充填剤を、それ含む。
【0013】
<変性共役ジエン系重合体>
本実施形態のサイドウォール用ゴム組成物に用いられる(A)ゴム成分は、変性共役ジエン系重合体を含有する。変性共役ジエン系重合体は、アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合することによって、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端に、シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させてなるものである。
【0014】
共役ジエン系重合体を構成するために用いられる共役ジエン化合物としては、重合可能な共役ジエンを有する単量体であれば特に限定されず、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。特に、1,3−ブタジエンが好ましい。これらは1種単独で用いるのみならず2種以上を併用してもよい。
【0015】
共役ジエン系重合体を構成するために用いられる芳香族ビニル化合物としては、共役ジエン化合物と共重合可能な芳香族ビニル構造を有する単量体であれば特に限定されず、例えばスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらは1種単独で用いるのみならず2種以上を併用してもよい。
【0016】
共役ジエン化合物の共役ジエン系重合体中の結合様式、すなわち1,4−結合や1,2−結合等の組成は、均一であってもよいし、分布があってもよい。
【0017】
共役ジエン系重合体として、共重合体とする場合には、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
ランダム共重合体としては、例えばブタジエン−イソプレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレンランダム共重合体等が挙げられる。共重合体鎖中の各単量体の組成分布としては、特に限定されず、例えば統計的ランダムな組成に近い完全ランダム共重合体、組成がテーパー状に分布しているテーパー(勾配)ランダム共重合体等が挙げられる。
【0018】
ブロック共重合体としては、例えばブロックが2個からなる2型ブロック共重合体、3個からなる3型ブロック共重合体、4個からなる4型ブロック共重合体等が挙げられる。例えばスチレン等の芳香族ビニル化合物からなるブロックをSで表し、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン化合物からなるブロック及び/又は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体からなるブロックをBで表すと、S−B2型ブロック共重合体、S−B−S3型ブロック共重合体、S−B−S−B4型ブロック共重合体等で表される。
上式におけるS−B等の各ブロックの境界及び各S、B内における境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。例えばブロックBが芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の場合、ブロックB中の芳香族ビニル化合物は均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。また、ブロックBに、芳香族ビニル化合物が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。さらには、ブロックBに、芳香族ビニル化合物含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。共重合体中にブロックS、ブロックBがそれぞれ複数存在する場合、それらの分子量や組成等の構造は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0019】
本実施形態においては、重合活性末端に、反応させて導入される特定構造の化合物を官能基として有する共役ジエン系重合体(変性共役ジエン系重合体)を、不活性溶剤中で更に水素化することによって、二重結合の全部又は一部を飽和炭化水素に変換することができる。水素化は、変性前の共役ジエン共重合体に対して行ってもよく、変性共役ジエン共重合体を水素化してもよい。その場合、耐熱性、耐候性が向上し、高温で加工する場合の製品の劣化を防止することができる。その結果、自動車用途等種々の用途で一層優れた性能を発揮する。
より具体的には、共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合の水素化率(すなわち「水添率」)は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。加硫ゴムとして変性共役ジエン系重合体を用いる場合には、共役ジエン部の二重結合が部分的に残存していることが好ましい。かかる観点から、水素化を行う場合には、共役ジエン系重合体中の共役ジエン部の水添率は3〜70%であることが好ましく、5〜65%であることがより好ましく、10〜60%であることが更に好ましい。なお、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体中の芳香族ビニル化合物に基づく芳香族二重結合の水添率については、特に限定されないが、50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であるであることが更に好ましい。水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)により求めることができる。
【0020】
水素化の方法としては、特に限定されず、公知の方法が利用できる。中でも、好適な水素化の方法としては、触媒の存在下、共役ジエン系重合体の溶液に気体状水素を吹き込む方法で水素化する方法が挙げられる。触媒としては、貴金属を多孔質無機物質に担持させた触媒等の不均一系触媒;ニッケル、コバルト等の塩を可溶化し有機アルミニウム等と反応させた触媒、チタノセン等のメタロセンを用いた触媒等の均一系触媒等が挙げられる。これらの中でも、マイルドな水素化条件を選択できる観点から、チタノセン触媒が好ましい。また、芳香族二重結合の水素化は、貴金属の担持触媒を用いることによって行うことができる。
【0021】
共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合を水素化する触媒の具体例としては、(A)Ni,Pt,Pd,Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(B)Ni,Co,Fe,Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(C)Ti,Ru,Rh,Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等が挙げられる。水素化触媒として、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報、特開平8−109219号公報に記載された水素化触媒を使用することができる。好ましい水素化触媒としてはチタノセン化合物と還元性有機金属化合物との反応混合物が挙げられる。
【0022】
アニオン重合開始剤として従来公知の重合開始剤を用いることができるが、例えば有機金属化合物、アルカリ金属、グリニャール試薬、ピリジン、水等が挙げられ、中でも、有機金属化合物が好適に用いられる。
有機金属化合物としては、有機アルカリ金属化合物が挙げられ、有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物としては、低分子化合物、可溶化したオリゴマーの有機リチウム化合物、有機基とリチウムの結合様式において炭素−リチウム結合からなる化合物、窒素−リチウム結合からなる化合物、錫−リチウム結合からなる化合物等が挙げられる。
【0023】
炭素−リチウム結合からなる化合物としては、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等が挙げられ、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが好ましい。窒素−リチウム結合からなる化合物としては、例えばリチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジ−n−ヘキシルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムモルホリド等が挙げられる。これらの有機リチウム化合物は1種単独で用いるのみならず2種以上の混合物として用いてもよい。
【0024】
他の有機アルカリ金属化合物としては、例えば有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物、有機ルビジウム化合物、有機セシウム化合物等が挙げられる。具体的には、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。その他にも、リチウム、ナトリウム及びカリウム等のアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート、アミド等が挙げられる。また、他の有機金属化合物と併用してもよい。
【0025】
有機金属化合物として、有機アルカリ土類金属化合物を用いることもでき、有機アルカリ土類金属化合物としては、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、有機ストロンチウム化合物等が挙げられる。また、アルカリ土類金属のアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート、アミド等の化合物を用いてもよい。これらの有機アルカリ土類金属化合物は、有機アルカリ金属化合物や、その他有機金属化合物と併用してもよい。
【0026】
本実施形態において、共役ジエン系重合体は、アニオン重合開始剤を用いて得られる共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の(共)重合体であれば特に限定されないが、アニオン重合反応により成長して得られる(共)重合体であることが好ましい。特に、共役ジエン系重合体は、リビングアニオン重合による成長反応によって得られる活性末端を有する重合体であることが好ましい。
これにより、高変性率の変性共役ジエン系重合体を得ることができる。重合様式としては、特に限定されないが、回分式、連続式等の重合様式で行うことができる。連続式においては、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。反応器は、撹拌機付きの槽型、管型等のものが用いられる。
【0027】
共役ジエン化合物中に、アレン類、アセチレン類等が不純物として含有されていると、後述する変性反応を阻害するおそれがある。そのため、これらの不純物の含有量濃度(質量)の合計は、200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることが更に好ましい。アレン類としては、例えばプロパジエン、1,2−ブタジエン等が挙げられる。アセチレン類としては、例えばエチルアセチレン、ビニルアセチレン等が挙げられる。
重合反応に供する前に、不純物であるアレン類やアセチレン類を有機金属化合物で処理することは、高濃度の活性末端を有する重合体が得られる傾向にあり、更には高い変性率が達成される傾向にあるため好ましい。
【0028】
共役ジエン系重合体の重合反応は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、例えば飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物からなる炭化水素等が挙げられる。
【0029】
共役ジエン系重合体の重合反応においては、極性化合物を添加してもよい。芳香族ビニル化合物を共役ジエン化合物とランダムに共重合させることができ、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる。また、重合速度の改善等にも効果がある。
極性化合物としては、特に限定されず、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミラート、カリウム−t−ブチラート、ナトリウム−t−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等を用いることができる。これらの極性化合物は、それぞれ単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
極性化合物の使用量は、特に限定されず、目的等に応じて選択することができる。通常、アニオン重合開始剤1モルに対して0.01〜100モルであることが好ましい。このような極性化合物は、重合体中共役ジエン部のミクロ構造の調節剤(ビニル化剤)として、所望のビニル結合量に応じて、適量用いることができる。多くの極性化合物は、同時に共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合において有効なランダム化効果を有し、芳香族ビニル化合物の分布の調整やスチレンブロック量の調整剤として用いることができる。共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをランダム化する方法としては、例えば特開昭59−140211号公報に記載されているような、共重合の途中に1,3−ブタジエンの一部を断続的に添加する方法を用いてもよい。
【0031】
重合温度はリビングアニオン重合が進行する温度であれば、特に限定されないが、生産性の観点から、0℃以上であることが好ましく、重合終了後の重合活性末端に対する下記変性剤の反応量を充分に確保する観点から、120℃以下であることが好ましい。また、共役ジエン系重合体のコールドフローを防止する観点から、分岐をコントロールするためのジビニルベンゼン等の多官能芳香族ビニル化合物を用いてもよい。
【0032】
共役ジエン系重合体中の結合共役ジエン量、及び結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、好ましくはそれぞれ70〜100質量%及び0〜30質量%であり、中でも、結合共役ジエン量が100質量%であることが好ましい。ここで、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。具体的には、後述する実施例に従った方法により、すなわち、結合スチレン量を測定する方法に準じて、測定することができる。
【0033】
共役ジエン結合単位中のビニル結合量は、特に限定されないが、10〜75モル%であることが好ましく、10〜65モル%であることがより好ましい。ビニル結合量が上記範囲であると、転がり抵抗特性、及び押し出し加工性が良好となる。ここで、共役ジエン系重合体がブタジエンとスチレンの共重合体である場合には、ハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949))により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。
【0034】
共役ジエン結合単位中のシス1,4結合量は、特に限定されず、通常8〜99モル%であり、好ましくは20〜98モル%、より好ましくは25〜40モル%である。シス1,4結合量を上記範囲にすることで、転がり抵抗特性がより良好となる。
【0035】
以上のような方法で、重合活性末端を有する共役ジエン系重合体を得た後、その重合活性末端に、分子中にシリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、且つ1つ以上の窒素原子を有する、下記式(1)、(2)、又は(3)で表される化合物(変性剤)を反応させる変性工程を行うことで、変性共役ジエン系重合体を得ることができる。
変性工程では、下記式(1)、(2)、又は(3)のアルコキシシリル基が共役ジエン系重合体の活性末端と反応することで、共役ジエン系重合体末端とSiとの間の結合を形成することができる。これにより、変性共役ジエン系重合体が高分岐化分子構造となり、従来にも増して転がり抵抗特性、及び押し出し加工性のバランスが向上するようになる。
【0036】
【化6】

(一般式(1)中、R1〜R4は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し、R5は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、R6は炭素数1〜20のアルキレン基を表す。mは1又は2の整数であり、nは2又は3の整数である。)
【0037】
【化7】

(一般式(2)中、R7〜R10は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し、R11及びR12は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、R13及びR14は、各々独立して、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、かつ隣接する2つのNとともに5員環以上の環構造を形成する。p及びqは、各々独立して、2又は3の整数である。)
【0038】
【化8】

(一般式(3)中、X1及びX2は、各々独立して、炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、R15及びR16は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表し、A1及びA2は、各々独立して、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、A3は下記式(a)又は(b)で表される基を表し、複数の、X1、X2、R15、R16、A1、A2又はA3が存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。r及びsは、各々独立して、0〜3の整数であり、tは0〜20の整数であり、tが2以上の場合、(A1−A3−A2)で表される複数の繰り返し単位は、各々同一であっても異なっていてもよい。)
【0039】
【化9】

(一般式(a)中、R17は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。なお、A3が一般式(a)で表される場合、(r+s)は5又は6である。)
【0040】
【化10】

(一般式(b)中、A4は単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、X3は炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。R18は炭素数1〜20のアルキル基を表し、複数のX3又はR18が存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。uは0〜3の整数である。なお、A3が一般式(b)で表される場合、[r+(t×u)+s]は5以上の整数である。)
【0041】
一般式(1)で表される変性剤としては、例えば2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−1−(5−トリメトキシシリルペンチル)−1−アザ−2−シラシクロヘプタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン等が挙げられる。これらの中でも、転がり抵抗特性の観点や、押し出し加工性の観点から、mが2、nが3であるものが好ましい。具体的には、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンがより好ましい。
【0042】
一般式(2)で表される変性剤としては、例えば、1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,4−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,4−ビス[3−(ジメトキシメチルシリル)プロピル]ピペラジン、1,3−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(ジエメトキシエチルシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサヒドロピリミジン、1,3−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサヒドロピリミジン、1,3−ビス[3−(トリブトキシシリル)プロピル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン等が挙げられる。これらの中でも、転がり抵抗特性の観点や、押し出し加工性の観点から、p及びqが3であるものが好ましい。具体的には、1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,4−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,3−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサヒドロピリミジン、1,3−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサヒドロピリミジン、1,3−ビス[3−(トリブトキシシリル)プロピル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジンよりが好ましく、これらの中でも、1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,4−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ピペラジンが更に好ましい。
【0043】
一般式(3)で表される変性剤としては、一般式(a)の場合、例えば、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)メチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)エチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)エチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)プロピルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)プロピルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ブチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ブチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)フェニルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)フェニルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ベンジルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ベンジルアミン、ビス(トリメトキシシリルメチル)メチルアミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)メチルアミン、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)メチルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)メチルアミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)プロピルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)プロピルアミン等が挙げられ、一般式(b)の場合、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(2−トリエトキシシリルエチル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン等が挙げられる。これらの中でも、転がり抵抗特性の観点や、押し出し加工性の観点から、r、s、及びuが3であるものが好ましい。具体的には、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)メチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)エチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)エチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)プロピルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)プロピルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ブチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ブチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)フェニルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)フェニルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ベンジルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ベンジルアミン、ビス(トリメトキシシリルメチル)メチルアミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)メチルアミン、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)メチルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)メチルアミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)プロピルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)プロピルアミン、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(2−トリエトキシシリルエチル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンがより好ましい。
【0044】
上述した変性剤を、重合活性末端に反応させる際の、反応温度、反応時間などについては、特に限定されないが、0〜20℃で、30秒以上反応させることが好ましい。
上述した変性剤は、化合物中のシリル基に結合したアルコキシ基の合計モル数が、アニオン重合開始剤の添加モル数の0.8〜3倍となる範囲であることが好ましく、1〜2.5倍となる範囲であることがより好ましく、1〜2倍となる範囲であることが更に好ましい。得られる変性共役ジエン系重合体が十分な変性率を得るために0.8倍以上とすることが好ましく、押し出し加工性改良のために重合体末端同士をカップリングさせ分岐状重合体成分を得ることが好ましいことに加え、変性剤コストの観点から3倍以下とすることが好ましい。
【0045】
本実施形態において、上記具体的な化合物としても示されているように、式(1)〜(3)における「アルキル基」とは、一般に、Cn2n+2として表される炭化水素からHを除いた、1価の結合手を有する基を表し、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。「アルキレン基」とは、アルキル基からさらに、Hを除いた、2価の結合手を有する基を表す。「アルコキシ基」とは、アルキル基が酸素原子に結合した基を表す。
式(1)〜(3)における「アリール基」とは、炭素原子が環状に配列した芳香族環を有する基を意味し、単環であっても、複数の環を有していてもよく、複数の環は縮合環であってもよい。
アリール基としては、フェニル基、ナフタレン基などが挙げられる。
【0046】
本実施形態の効果をより優れたものにする観点から、官能基成分を有する重合体(一般式(1)、(2)、又は(3)で表される化合物により変性されている変性共役ジエン系重合体)が、好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上含有する重合体となるように、変性共役ジエン系重合体を製造することが好ましい。官能基成分を有する重合体の定量方法(変性率)としては、官能基含有の変性成分と非変性成分を分離できるクロマトグラフィーによって測定可能である。このクロマトグラフィーを用いた方法としては、官能基成分を吸着するシリカ等の極性物質を充填剤としたGPCカラムを使用し、非吸着成分の内部標準を比較に用いて定量する方法が挙げられる。
ここで、変性共役ジエン系重合体とは、変性反応を行った際の共役ジエン系重合体であって、未変性の部分をも包含する概念である。
【0047】
変性共役ジエン系重合体の製造方法においては、変性反応を行った後、当該重合体の溶液に、必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。失活剤としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。中和剤としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸等の有機酸;無機酸の水溶液、炭酸ガス等が挙げられる。
また、変性共役ジエン系重合体は、重合後の仕上げ工程におけるゲル生成を防止する観点や、加工時の安定性を向上させる観点から、ゴム用安定剤を添加することが好ましい。ゴム用安定剤は、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等が好ましい。
【0048】
また、変性共役ジエン系重合体の押し出し加工性を改良するために、必要に応じて伸展油を変性共役ジエン系共重合体に添加することができる。伸展油を変性共役ジエン系重合体に添加する方法としては、特に限定されないが、伸展油を重合体溶液に加え、混合して、油展重合体溶液としたものを脱溶媒する方法が好ましい。伸展油としては、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油等が挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点や、オイルブリード防止及びウェットグリップ特性の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。アロマ代替油としては、Kautschuk Gummi Kunststoffe 52(12)799(1999)に示されるTDAE、MES等の他、RAE等が挙げられる。伸展油の添加量は、特に限定されないが、通常は、変性共役ジエン系重合体100質量部に対し、10〜60質量部であり、20〜37.5質量部が好ましい。
【0049】
変性共役ジエン系重合体を、重合体溶液から取得する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、スチームストリッピング等で溶媒を分離した後、重合体を濾別し、さらにそれを脱水及び乾燥して重合体を取得する方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押し出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法等が挙げられる。
【0050】
<(A)変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分>
(A)変性共役ジエン系重合体を20質量%以上含有するゴム成分中において、本発明の特性を満たす範囲で、変性共役ジエン系重合体以外に、他のゴム状重合体を含む。
このようなゴム状重合体としては、特に限定されず、例えば共役ジエン系重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合体又はその水素添加物、非ジエン系重合体等が挙げられる。
具体的には、ブタジエンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンブロック共重合体又はその水素添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体又はその水素添加物等のスチレン系エラストマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加物等が挙げられる。また、非ジエン系重合体としては、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−ヘキセンゴム、エチレン−オクテンゴム等のオレフィン系エラストマー、ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、α、β−不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−共役ジエン共重合ゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム等が挙げられる。
上述した各種ゴム状重合体は、上記変性共役ジエン系重合体以外の、水酸基やアミノ基等の極性を有する官能基を付与した変性ゴムであってもよい。またその重量平均分子量は、性能と加工特性のバランスの観点から、2,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,500,000であることがより好ましい。また、低分子量のいわゆる液状ゴムを用いることもできる。これらのゴム状重合体は、単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分(A)中において、変性共役ジエン系重合体含有割合は、転がり抵抗特性の観点、及び押し出し加工性の観点から、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは80質量%以上である。また、ゴム成分(A)として変性共役ジエン系重合体をそのまま用いてもよく、その場合、ゴム組成物は、ゴム成分(A)として、変性共役ジエン系重合体30〜70質量部を含み、かつ(B)ゴム状重合体70〜30質量部を含んでもよい。
なお、(A)変性共役ジエン系重合体以外の成分としては、(B)ゴム状重合体に属する重合体は含まない。
【0051】
<(B)ゴム状重合体>
本実施形態のサイドウォール用ゴム組成物は、(A)変性共役ジエン系重合体を20質量%以上含有するゴム成分を30〜70質量部、及び(B)天然ゴム、ハイシスポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム状重合体70〜30質量部からなるゴム組成物を含む。
【0052】
天然ゴムは、ゴムノキの樹液に含まれるシス型のポリイソプレンを主成分とする物質であり、生体内での付加重合で生成したものである。視覚検査で国際規格のRSS1〜RSS5までの等級に格付け分別される。
ポリイソプレンゴムは、イソプレンを化学的に重合させたポリイソプレンである合成ゴムの一種である。ポリイソプレンゴムと天然ゴムのポリイソプレンにはいくらかの構造的違いがある。まずポリイソプレンゴムに含まれる合成ポリイソプレンでは、現在のところ100%シス体を得ることはできず、少量のトランス体が含まれている。また、天然ゴムには、ポリイソプレンの他に微量のタンパク質や脂肪酸を含むが、合成ポリイソプレンにはそのような不純物はない。ポリイソプレンゴムとしては、例えばJSR(株)製(商品名)JSR IR1220等が挙げられる。
ハイシスポリブタジエンゴムとは、例えばチタン、コバルト、及びニッケルに基づくチーグラー・ナッタ型の配位触媒を用いてか、あるいはアルキルリチウム化合物の存在下で、溶液重合によって製造されているポリブタジエンのうち、1,4−シス結合量が高いポリブタジエンをいい、例えば宇部興産(株)製UBEPOL(登録商標) BR等が挙げられる。
【0053】
上記ゴム成分(A)と上記ゴム状重合体(B)の配合量が上記範囲内にあると、押し出し加工特性、及び耐カット性が更に向上する。転がり抵抗特性、押し出し加工性、及び耐カット性のバランスの観点から、上記ゴム成分(A)、及び上記ゴム状重合体(B)の配合量は、より好ましくは40〜60質量部、及び60〜40質量部である。
【0054】
<(C)シリカ系無機充填剤>
本実施形態のサイドウォール用ゴム組成物は、上記ゴム成分(A)及び上記ゴム状重合体(B)からなるゴム組成物に加え、(C)シリカ系無機充填剤を含む。
【0055】
シリカ系無機充填剤の添加による転がり抵抗特性を発現させる観点、押し出し加工性、及び耐カット性を実用的に十分なものとする観点から、上記ゴム成分(A)及び上記ゴム状重合体(B)からなるゴム組成物100質量部に対するシリカ系無機充填剤の配合量は、好ましくは0.5〜300質量部、より好ましくは5〜200質量部、更に好ましくは20〜100質量部である。
【0056】
シリカ系無機充填剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、SiO2又はSi3Alを構成単位として含む固体粒子が好ましく、SiO2又はSi3Alを構成単位の主成分とすることがより好ましい。ここで、主成分とは、シリカ系無機充填剤中に50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上含有される成分をいう。
シリカ系無機充填剤として、具体的には、シリカ、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無機繊維状物質等が挙げられる。また、表面を疎水化したシリカ系無機充填剤や、シリカ系無機充填剤とシリカ系以外の無機充填剤との混合物も用いることができる。これらの中でも、強度や耐摩耗性等の観点から、シリカ及びガラス繊維が好ましく、シリカがより好ましい。シリカとしては、乾式シリカ、湿式シリカ、合成ケイ酸塩シリカ等が挙げられる。これらの中でも、湿式シリカが好ましい。
【0057】
乾式シリカとしては、例えば、精製された四塩化珪素を高温の炎の中で反応させて得られ、湿式に比べて純度が高く粒子が微細で水分が極めて低いものが挙げられ、一般に、シリコーンゴムの充填剤、樹脂の増粘剤、補強剤、あるいは粉体の流動化剤、セラミックスの原料として広く用いられる。
【0058】
湿式シリカとしては、例えば、珪砂を原料とする珪酸ソーダを原料として、その水溶液を中和してシリカを析出し、ろ過・乾燥して得られる、外観上はふわふわとした軽い白色の粉末が挙げられ、一般に、合成ゴムの補強充填剤、農薬等液体の粉末化と固結防止、軽量紙の印刷インクの裏抜け防止、塗料、インクの増粘・たれ止め、断熱材、研磨剤に用いられる。
【0059】
変性共役ジエン系重合体組成物において、より優れた転がり抵抗特性を得る観点から、シリカ系無機充填剤のBET吸着法で求められる窒素吸着比表面積は、100〜300m2/gであることが好ましく、170〜250m2/gであることがより好ましい。
【0060】
<カーボンブラック>
本実施形態のサイドウォール用ゴム組成物は、上記ゴム成分(A)及び上記ゴム状重合体(B)からなるゴム組成物100質量部に対し、シリカ系無機充填剤の他に、更にカーボンブラックを0.5〜100質量部含有するものが好ましい。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、例えばSRF、FEF、HAF、ISAF、SAF等の各クラスのカーボンブラックが使用できる。これらの中でも、窒素吸着比表面積は、押し出し成形性の観点、及び転がり抵抗特性の観点で、50m2/g以上、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が80mL/100g以上のカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックの配合量は、上記ゴム成分(A)及び上記ゴム状重合体(B)からなるゴム組成物100質量部に対し、転がり抵抗特性、押し出し加工性点、及び耐カット性のバランスの観点から、0.5〜100質量部が好ましく、3〜100質量部がより好ましく、5〜50質量部が更に好ましい。
【0061】
<金属酸化物、及び金属水酸化物>
本実施形態のサイドウォール用ゴム組成物には、シリカ系無機充填剤やカーボンブラック以外に、金属酸化物や金属水酸化物を含有させてもよい。金属酸化物とは、化学式Mxy(Mは金属原子を表し、x及びyは各々1〜6の整数を表す。)を構成単位の主成分とする固体粒子のことをいい、例えばアルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等を用いることができる。また金属酸化物と金属酸化物以外の無機充填剤の混合物も用いることができる。金属水酸化物としては、特に限定されず、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム等が挙げられる。
【0062】
<シランカップリング剤>
本実施形態のサイドウォール用ゴム組成物には、シランカップリング剤を含有させてもよい。シランカップリング剤は、ゴム成分やゴム状重合体とシリカ系無機充填剤のそれぞれに対する親和性又は結合性の基を有しており、両者の相互作用を緊密にする機能を有している。一般的には、硫黄結合部分とアルコキシシリル基、シラノール基部分を一分子中に有する化合物が用いられる。具体的には、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−ジスルフィド、ビス−[2−(トリエトキシシリル)−エチル]−テトラスルフィド等が挙げられる。
シランカップリング剤の配合量は、上述したシリカ系無機充填剤100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部が更に好ましい。シランカップリング剤の配合量が上記範囲であると、シランカップリング剤による上記添加効果を一層顕著なものにできる。
【0063】
<ゴム用軟化剤>
本実施形態のサイドウォール用ゴム組成物には、加工性の改良を図るために、ゴム用軟化剤を含有させてもよい。ゴム用軟化剤としては、鉱物油、又は液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。ゴムの軟化、増容、加工性の向上を図るために使用されているプロセスオイル又はエクステンダーオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が30〜45%のものがナフテン系、芳香族炭素数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれている。変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体とともに用いるゴム用軟化剤としては、適度な芳香族含量を有するものが共重合体との馴染みがよい傾向にあるため好ましい。
ゴム用軟化剤の配合量は、上記ゴム成分(A)及び上記ゴム状重合体(B)からなるゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、10〜90質量部がより好ましく、30〜90質量部が更に好ましい。ゴム用軟化剤の配合量がゴム成分100質量部に対して100質量部を超えると、ブリードアウトを生じやすく、組成物表面にベタツキを生ずるおそれがある。
【0064】
<混練方法、及び他の添加剤>
本実施形態のサイドウォール用ゴム組成物を製造するに当たり、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分、ゴム状重合体、シリカ系無機充填剤、所望により、カーボンブラックやその他の充填剤、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤等の添加剤を混合する方法については特に限定されるものではない。例えばオープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解混合後、溶剤を加熱除去する方法等が挙げられる。これらのうち、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機による溶融混練法が生産性、良混練性の観点から好ましい。また、変性共役ジエン系重合体と各種配合剤とを一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
【0065】
サイドウォール用ゴム組成物として、非加硫のサイドウォール用ゴム組成物を加硫剤により加硫処理を施した加硫ゴム組成物としてもよい。加硫剤としては、例えば有機過酸化物及びアゾ化合物等のラジカル発生剤、オキシム化合物、ニトロソ化合物、ポリアミン化合物、硫黄、硫黄化合物が使用できる。硫黄化合物には、一塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物、高分子多硫化合物等が含まれる。加硫剤の使用量は、通常は、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対して0.01〜20質量部であり、0.1〜15質量部が好ましい。加硫方法としては、従来公知の方法を適用でき、加硫温度は、通常120〜200℃、であり、好ましくは140〜180℃である。
【0066】
また、加硫に際しては、必要に応じて加硫促進剤を用いてもよい。加硫促進剤としては、従来公知の材料を用いることができ、例えばスルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、チオ尿素系、ジチオカルバメート系等の加硫促進剤が挙げられる。加硫助剤としては、亜鉛華、ステアリン酸等を使用できる。加硫促進剤の使用量は、通常、上記ゴム成分(A)及び上記ゴム状重合体(B)からなるゴム成分100質量部に対して0.01〜20質量部であり、0.1〜15質量部が好ましい。加硫助剤の使用量は、ゴム成分100質量部に対して0.01〜20質量部であり、0.1〜15質量部が好ましい。
【0067】
本実施形態のサイドウォール用ゴム組成物には、本実施形態の目的を損なわない範囲内で、上述した以外のその他の軟化剤や充填剤、さらに、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、滑剤等の各種添加剤を用いてもよい。その他の軟化剤としては、公知の軟化剤を用いることができる。その他の充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。上記の耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、潤滑剤としては、それぞれ公知の材料を用いることができる。
【0068】
本実施形態のサイドウォール用ゴム組成物を用い、通常の方法でタイヤを製造することができる。即ち、上記サイドウォール用ゴム組成物を用いてサイドウォールを作成し、他の部材とともに貼り合わせ、タイヤ成形機を使用して加熱加圧することにより、タイヤを製造することができる。本実施形態のサイドウォール用ゴム組成物を用いることにより、転がり抵抗特性、押し出し加工性、及び耐カット性のバランスに優れたタイヤを製造することができる。
【実施例】
【0069】
以下の実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、試料の分析は下記に示す方法により行った。
【0070】
(1)結合スチレン量
試料100mgをクロロホルムに溶解し、100mLにメスアップして測定サンプルとした。スチレンのフェニル基によるUV254nmの吸収により結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所製:UV−2450)。
【0071】
(2)ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)
試料50mgを10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm-1の範囲で測定して所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法の計算式に従いブタジエン部分のミクロ構造を求めた(日本分光(株)製:FT−IR230)。
【0072】
(3)変性率
シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに変性した成分が吸着する特性を応用することにより測定した。試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系ゲルカラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定し変性率を求めた。
・試料調整:
試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた。
・ポリスチレン系カラムGPC測定条件:
THFを溶離液として用い、試料200μLを装置に注入して測定した。カラムは、ガードカラム:東ソー TSKguardcolumn HHR−H、カラム:東ソー TSKgel G6000HHR、TSKgel G5000HHR、TSKgel G4000HHRを連結して使用した。カラムオーブン温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で、東ソー製 HLC8020のRI検出器を用いて測定しクロマトグラムを得た。
・シリカ系カラムGPC測定条件:
THFを溶離液として用い、試料200μLを装置に注入して測定した。カラムは、デュポン社製:Zorbaxを使用した。カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5mL/分の条件で、東ソー製 HLC8020のRI検出器を用いて測定しクロマトグラムを得た。
・変性率の計算方法:
ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料の面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求めた。
変性率(%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
【0073】
(4)重量平均分子量及び分子量分布(Mw/Mn)
重量平均分子量及び分子量分布は、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結して用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して、クロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線により重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求め、重量平均分子量と数平均分子量の比から分子量分布の指標(Mw/Mn)を計算した。溶離液としてはテトラヒドロフラン(THF)を使用した。カラムは、ガードカラム:東ソー TSKguardcolumn HHR−H、カラム:東ソー TSKgel G6000HHR、TSKgel G5000HHR、TSKgel G4000HHRを連結して使用した。オーブン温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で、東ソー製 HLC8020のRI検出器を用いて分子量の測定を行った(試料10mgをTHF20mLに溶解し、この溶液200μLを装置に注入して測定した)。
【0074】
(5)ムーニー粘度
ムーニー粘度計を使用し、JIS K6300−1に準じて、100℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後の粘度を測定した。値が小さいほど加工性に優れることを示す。配合物ムーニー粘度も同様にして測定した。
【0075】
(6)押し出し加工性
実施例及び比較例に示す方法で作成した未加硫ゴム組成物のロール通過後のゴムの肌(表面形状)について、パネラー5人が目視で観察し、5点は、肌が非常に滑らか、1点は、表面が非常にでこぼこしているとして、パネラー一人当たり5点満点、総合25点満点で評価した。25点に近いほど押し出し加工性に優れることを示す。
【0076】
(7)転がり抵抗特性
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機(ARES)を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。各々の測定値は比較例1を100として指数化した。50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを転がり抵抗特性(少燃費性)の指標とした。値が小さいほど転がり抵抗特性が良好であることを示す。
【0077】
(8)耐カット性
JIS−K−6252に準拠して測定し、比較例1をコントロールとして、これと同等の場合「〇」、比較例1より悪化した場合「×」と評価した。
【0078】
[製造例1]
内容積10Lで、撹拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3−ブタジエン760g、シクロヘキサン4800g、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン1.45gを反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。重合開始剤として、n−ブチルリチウム0.14mmolを含むシクロヘキサン溶液を反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は80℃に達した。反応温度のピーク到達2分後、反応器に2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンを0.036mmol添加し、75℃で5分間変性反応を実施した。
この重合体溶液に、酸化防止剤(2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン;BHT)2.1gを添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、乾燥機により乾燥処理を施して、変性共役ジエン系共重合体(変性BR−1)を得た。
【0079】
[製造例2]
内容積10Lで、内部の高さと直径の比(L/D)が4であり、底部に入り口、頂部に出口を有し、攪拌機及び温度調整用のジャケットを有するオートクレーブを2基直列に連結し、1基目を重合反応器として、2基目を変性反応器とした。
予め、水分等の不純物を除去した1,3−ブタジエンを19.0g/分、n−ヘキサンを125.6g/分の条件で混合し、次いで、不純物の不活性化に必要な量のn−ブチルリチウムを、1基目反応器に入る直前にスタティックミキサーでさらに混合した後、1基目反応器の底部に連続的に供給し、更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.020g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.007mmol/分の速度で、1基目反応器底部へ供給し、反応器出口の内温を90℃となるように重合反応を継続させた。
2基目の反応器の温度を85℃に保ち、変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンを0.014mmol/分の速度で2基目反応器の底部から添加し、変性(カップリング)反応を実施した。
2器目反応器の頂部から流出した重合体溶液に酸化防止剤(BHT)をポリマー100gあたり0.2gとなるように0.048g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、変性反応を終了させた後、溶媒を除去し、変性共役ジエン重合体溶液を得た。
更にこの変性共役ジエン系重合体溶液をドラムドライヤーで溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体(変性BR−2)を得た。
【0080】
[製造例3]
重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.0089mmol/分、変性剤として1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジンを0.014mmol/分とした以外は製造例2と同様にして、変性共役ジエン系重合体(変性BR−3)を得た。
【0081】
[製造例4]
重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.0089mmol/分、変性剤としてビス(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルアミンを0.014mmol/分とした以外は製造例2と同様にして、変性共役ジエン重合体(変性BR−4)を得た。
【0082】
[製造例5]
内容積10Lで、内部の高さと直径の比(L/D)が4であり、底部に入り口、頂部に出口を有し、攪拌機及び温度調整用のジャケットを有するオートクレーブを2基直列に連結し、1基目を重合反応器として、2基目を変性反応器とした。
予め、水分等の不純物を除去した1,3−ブタジエンを14.0g/分、スチレン5.0g/分、n−ヘキサンを125.6g/分の条件で混合し、次いで、不純物の不活性化に必要な量のn−ブチルリチウムを、1基目反応器に入る直前にスタティックミキサーでさらに混合した後、1基目反応器の底部に連続的に供給し、更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.020g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.007mmol/分の速度で、1基目反応器底部へ供給し、反応器出口の内温を90℃となるように重合反応を継続させた。
2基目の反応器の温度を85℃に保ち、変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンを0.014mmol/分の速度で2基目反応器の底部から添加し、変性(カップリング)反応を実施した。
2器目反応器の頂部から流出した重合体溶液に酸化防止剤(BHT)をポリマー100gあたり0.2gとなるように0.048g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、変性反応を終了させた後、溶媒を除去し、変性共役ジエン重合体溶液を得た。
更にこの変性共役ジエン系重合体溶液をドラムドライヤーで溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体(変性SBR)を得た。
【0083】
[製造例6]
重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.007mmol/分、変性剤としてN,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを0.019mmol/分とした以外は製造例2と同様にして、変性共役ジエン系重合体(変性BR−5)を得た。
【0084】
製造例1〜6で得られた各変性共役ジエン系重合体の変性率、ムーニー粘度、結合スチレン量、1,2-ビニル結合量、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及びMw/Mn比を表1に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
[実施例1]
以下に示す配合に従い、下記の方法により混練して、未加硫ゴム組成物、及び加硫ゴム組成物を得た。
・変性共役ジエン系重合体(BR−1):70質量部
・天然ゴム(#RSS3):30質量部
・シリカ(エボニック デグサ ジャパン(株)製、ウルトラジル7000GR、窒素吸着比表面積:175m2/g):75質量部
・シランカップリング剤(エボニック デグサ ジャパン(株)製、Si69):6質量部
・プロセスオイル(JX日鉱日石エネルギー(株)製、NC140):42質量部
・カーボンブラック(東海カーボン(株)製、シーストKH(N339)):5質量部
・亜鉛華(三井金属鉱業(株)製、亜鉛華1号):2.5質量部
・ステアリン酸:1.0質量部
・ワックス:(大内新興化学工業(株)製、サンノック):1.5質量部
・老化防止剤(N−イソプロピル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン):2.0質量部
・硫黄:2.2質量部
・加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフィンアミド):1.7質量部
・加硫促進剤(ジフェニルグアニジン):2.0質量部
温度制御装置を具備するニーダー(内容量0.5L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数50rpmの条件で、変性共役ジエン系重合体(BR−1)、天然ゴム、シリカ、シランカップリング剤、プロセスオイルを4分混練した。このとき、ニーダーの温度制御により排出温度を155〜160℃に調整して配合物を得た。
次に、第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、カーボンブラック、亜鉛華、ステアリン酸、ワックス,及び老化防止剤を加え、上記ニーダーにて3分混練した。この場合も、ニーダーの温度制御により排出温度を155〜160℃に調整した。なお、排出温度は、各配合物における温度として制御した。そして、ニーダーより排出された配合物を、すぐに10インチφオープンロールに6回通して、シート状の未加硫ゴム組成物を作成し、冷却した後、押し出し加工性を評価した。
更に、オーブンを用いて未加硫ゴム組成物を70℃×30分加温した後,第三段の混練として、70℃に設定した10インチφオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤を加えて混練した。その後、160℃×20分間、加硫プレスにて加硫成形して、加硫ゴムシートを得た。加硫ゴム組成物の転がり抵抗特性、及び耐カット性を評価した。
【0087】
[実施例2]
「変性共役ジエン系重合体(変性BR−1)」、及び「天然ゴム(#RSS3)」の配合量を、60質量部、及び40質量部と用いる以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、転がり抵抗特性、及び耐カット性を評価した。
【0088】
[実施例3]
「変性共役ジエン系重合体(変性BR−1)」、及び「天然ゴム(#RSS3)」の配合量を、それぞれ40質量部、及び60質量部とする以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、転がり抵抗特性、及び耐カット性を評価した。
【0089】
[実施例4]
「変性共役ジエン系重合体(変性BR−1)」、及び「天然ゴム(#RSS3)」の配合量を、それぞれ30質量部、及び70質量部とする以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、転がり抵抗特性、及び耐カット性を評価した。
【0090】
[実施例5]
「変性共役ジエン系重合体(変性BR−1)」の代わりに製造例5で作成した「変性共役ジエン系重合体(変性SBR)」を40質量部用い、「天然ゴム」(#RSS3)を60質量部とする以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、転がり抵抗特性、及び耐カット性を評価した。
【0091】
[実施例6]
「変性共役ジエン系重合体(変性BR−1)」の代わりに製造例2で作成した「変性共役ジエン系重合体(変性BR−2)」を40質量部用い、「天然ゴム(#RSS3)」を40質量部とする以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、転がり抵抗特性、及び耐カット性を評価した。
【0092】
[実施例7]
「変性共役ジエン系重合体(変性BR−1)」の代わりに製造例3で作成した「変性共役ジエン系重合体(変性BR−3)」を40質量部用い、「天然ゴム(#RSS3)」を60質量部とする以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、転がり抵抗特性、及び耐カット性を評価した。
【0093】
[実施例8]
「変性共役ジエン系重合体(変性BR−1)」の代わりに製造例4で作成した「変性共役ジエン系重合体(変性BR−4)」を40質量部用い、「天然ゴム(#RSS3)」を60質量部用いる以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、転がり抵抗特性、及び耐カット性を評価した。
【0094】
[実施例9]
「変性共役ジエン系重合体(変性BR−1)」の代わりに製造例2で作成した「変性共役ジエン系重合体(変性BR−2)」を40質量部用い、「天然ゴム(#RSS3)」を30質量部とし、第一段の混練りにおいて、更に「ハイシスポリブタジエン(宇部興産(株)製、UBEPOL BR150)」を30質量部用いる以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、転がり抵抗特性、及び耐カット性を評価した。
【0095】
[比較例1]
「変性共役ジエン系重合体(変性BR−1)」の代わりに製造例6で作成した「変性共役ジエン系重合体(変性BR−5)」を40質量部用い、「天然ゴム(#RSS3)」を60質量部とする以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、転がり抵抗特性、及び耐カット性を評価した。
【0096】
[比較例2]
「変性共役ジエン系重合体(変性BR−1)」の代わりに「非変性ポリブタジエン(旭化成ケミカルズ(株)製、ジエンNF55)」を40質量部用い、「天然ゴム(#RSS3)」を60質量部とする以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、転がり抵抗特性、耐カット性を評価した。
【0097】
[比較例3]
「変性共役ジエン系重合体(変性BR−1)」の配合量を100質量部とし、「天然ゴム(#RSS3)」を用いない以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、転がり抵抗特性、及び耐カット性を評価した。
【0098】
実施例1〜9、及び比較例1〜3における押し出し加工性、転がり抵抗特性、及び耐カット性の評価結果を表3に示す。なお、表2として、実施例1〜9、及び比較例1〜3の配合組成を示す。
表3より、本発明のサイドウォール用ゴム組成物は、押し出し加工性、転がり抵抗特性、及び耐カット性のバランスが高度に優れることがわかる(実施例1〜9)。
これに対し、1つ以上の窒素原子を有しながらシリル基に結合したアルコキシ基が4に満たない化合物で変性した変性共役ジエン系重合体を用いたもの(比較例1)、非変性共役ジエン系重合体を用いたもの(比較例2)、或いはゴム成分(A)とゴム状重合体(B)との配合量が本発明の範囲に満たないもの(比較例3)は、押し出し加工性、転がり抵抗特性、及び耐カット性のバランスに劣ることがわかる。
【0099】
【表2】

【0100】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明によれば、押し出し加工性、転がり抵抗特性、及び耐カット性のバランスが高度に優れたサイドウォール用ゴム組成物を得ることができ、これを用いて転がり抵抗特性、及び耐カット性に優れたタイヤを得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合することによって、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端に、シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させてなる変性共役ジエン系重合体を20質量%以上含有するゴム成分30〜70質量部、及び(B)天然ゴム、ハイシスポリブタジエンゴム、ポリイソプレンから選ばれる少なくとも1種のゴム状重合体70〜30質量部からなるゴム組成物と、(C)シリカ系無機充填剤を含むサイドウォール用ゴム組成物。
【請求項2】
前記ゴム組成物100質量部に対し、前記(C)シリカ系無機充填剤を0.5〜300質量部含む、請求項1に記載のサイドウォール用ゴム組成物。
【請求項3】
前記ゴム組成物100質量部に対し、更にカーボンブラックを0.5〜100質量部含む、請求項1又は2に記載のサイドウォール用ゴム組成物。
【請求項4】
前記シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物が、下記一般式(1)、一般式(2)、及び一般式(3)で表される化合物からなる群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のサイドウォール用ゴム組成物。
【化1】

(一般式(1)中、R1〜R4は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し、R5は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、R6は炭素数1〜20のアルキレン基を表す。mは1又は2の整数であり、nは2又は3の整数である。)
【化2】

(一般式(2)中、R7〜R10は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し、R11及びR12は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、R13及びR14は、各々独立して、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、かつ隣接する2つのNとともに5員環以上の環構造を形成する。p及びqは、各々独立して、2又は3の整数である。)
【化3】

(一般式(3)中、X1及びX2は、各々独立して、炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、R15及びR16は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表し、A1及びA2は、各々独立して、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、A3は下記式(a)又は(b)で表される基を表し、複数の、X1、X2、R15、R16、A1、A2又はA3が存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。r及びsは、各々独立して、0〜3の整数であり、tは0〜20の整数であり、tが2以上の場合、(A1−A3−A2)で表される複数の繰り返し単位は、各々同一であっても異なっていてもよい。)
【化4】

(一般式(a)中、R17は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。なお、A3が一般式(a)で表される場合、(r+s)は5又は6である。)
【化5】

(一般式(b)中、A4は単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、X3は炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、R18は炭素数1〜20のアルキル基を表し、複数のX3又はR18が存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。uは0〜3の整数である。なお、A3が一般式(b)で表される場合、[r+(t×u)+s]は5以上の整数である。)
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のサイドウォール用ゴム組成物の架橋物によりサイドウォールが構成されてなるタイヤ。

【公開番号】特開2013−87219(P2013−87219A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229757(P2011−229757)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】