説明

サイン看板

【課題】 本発明は、設置スペースや景観を損ねることなく、有事に備えることができるサイン看板を提供することにある。
【解決手段】 本体1の少なくとも一側面にメッセージ性を有する文字や絵柄、写真などを表示するサイン看板であって、本体1は、中空部Sを備えており、中空部Sには防災グッズ2が収納してあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難誘導を目的としたサイン看板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のサイン看板は、一般に避難誘導や公園などの公共施設の使用説明、あるいは、店舗などの宣伝広告や交通案内や景勝地の説明などを目的に、通行人や旅行者などに視覚的なメッセージを伝える手段として広く利用されている。一方で市街地や景勝地における防災対策としては、公園の所定の場所に乾パンや工具類に代表される防災グッズを納める小屋を設置して有事に備えるものなどがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−177745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが市街地、特に繁華街では防災グッズを納める小屋を設置するスペースを確保することが難しく、これにより、例えば公園や公共施設内のような小屋を設置できる広いスペースに向かうまでに距離があるような状況で被災したときには、生存確率を大幅に下げることになる。また、景勝地では、上記のような小屋を設置することで景観を損ねる問題があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、設置スペースや景観を損ねることなく、有事に備えることができるサイン看板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のうち請求項1記載の発明は、少なくとも本体の一側面にメッセージ性を有する文字や絵柄をプリントした表示面を有するサイン看板であって、本体は、中空部を備えており、中空部には防災グッズが収納してあることを特徴とする。ここで防災グッズとは、飲料水や乾パン、缶詰などの非常食、あるいは、工具や調理用品など、被災者が災害時において優先的に必要とされるものを言う。
【0006】
本発明のうち請求項2記載の発明では、本体は、中空部の開口を隠蔽する着脱または開閉自在な蓋を有していることを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項3記載の発明では、蓋は、中空部の換気が可能なガラリ構造をなすことを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項4記載の発明では、蓋は、ガラリの換気経路を遮る位置に防虫網を取り付けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のうち請求項1記載の発明によれば、平時には市街地の至るところに設置された避難誘導や広告案内、交通案内、景勝地の由来など紹介するサイン看板の本体に中空部を設け、その中空部の中に乾パンや飲料水、工具、寝袋などの防災グッズを納めることにより、防災グッズのために専用の設置スペースを設けたり、あるいは、景観を損ねることなく地震や火災、水害などに代表される災害に備えることができるようになる。
【0010】
本発明のうち請求項2記載の発明によれば、サイン看板の本体に設けた防災グッズの収容部を覆う着脱または開閉自在な蓋を有することにより、蓋が本体の中空部に納めた防災グッズを外部から隠蔽して、平時における防災グッズの窃盗や不正改竄を防ぎ、災害時には確実に防災グッズを被災者に提供できる。
【0011】
本発明のうち請求項3記載の発明によれば、蓋がガラリ構造をなすことにより、防犯性と通気性が確保されることから、防災グッズの中でも特に湿気に弱い食品類やラジオなどの精密機器のサイン看板内における長期的な保管が可能となる。
【0012】
本発明のうち請求項4記載の発明によれば、ガラリ構造をなす蓋の換気路を遮る位置に防虫網が取り付けてあることで、中空部の通気性を確保しつつも防虫網により虫の侵入を防ぎ、中空部に納められた非常食や飲料水などの防災グッズを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は、本実施によるサイン看板の縦断面図であり、(b)は、側面図である。
【図2】(a)は、本実施によるサイン看板の背面図であり、(b)は、(a)中の一部を拡大した背面図である。
【図3】(a)は、本体の側面図であり、(b)は、(a)中Aを拡大して係合部と被係合部の係合状態を示す側面図である。
【図4】本実施によるサイン看板の全体斜視図である。
【図5】本発明の他の実施形態のサイン看板を示すものであり、(a)は、複合中空形材を中心に示す側面図であり、(b)は、図5中Bを拡大して示す縦断面図であり、(c)は、押圧ネジならびに弾性ピンの作動状態を示す一部を拡大した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面に基づいて本実施によるサイン看板の実施の形態を説明する。
本実施によるサイン看板は、図1(a)のように、複数の矩形に係合した複合中空形材1aを上下一列に係合して中空部Sを有する箱型に本体1を形成し、その本体1の中空部Sに防災グッズ2を納めるものである。また、本体1の正面側と背面側に向く側壁面は、ほぼフラットに形成してあるとともに、広告や各種案内メッセージを表示するフィルム24が貼られており、平時には店舗の宣伝広告や交通案内といった様々な目的をもつサイン看板として使用される。また、本体1の各中空部Sの両側開口部を含む両側部には、本体1の側面全体を覆い、且つキャッチクリップ15により本体1から着脱自在な側蓋(蓋)4が取り付けてある。また、側蓋4は、図2(a)(b)のように、ガラリ構造となっており、矩形に枠組みした枠体4aの内周側に複数の羽根格子14が上下方向に間隔をあけて配設する換気ガラリ4bが取り付けてある。これにより、本体1の中空部Sと外部とが連通して換気が可能な構造をなしている。
【0015】
また、本体1のフィルム24を貼っていない他側面には、ほぼ水平方向に伸びる金具固定溝5が上下に間隔をあけて複数箇所に設けてあり、さらに金具固定溝5は、その溝開口に内向きに対向して突出する係止片21を有し、金具固定溝5内にはキャップ9が挿入されている。キャップ9は、図1(a)ならびに図3(a)のように、断面形状がほぼ十字状に形成してあり、金具固定溝5の溝開口から露出する閉塞突部9aと、金具固定溝5の係止片21の内周側に係止する上下の係止突部9b,9bと、金具固定溝5の溝底に当接するガイド突部9cとからなっている。このうち、ベルト6を固定するキャップ9には、長手方向に沿う複数箇所にボルト通し孔9eが設けてあり、ボルト通し孔9eの周囲は、ボルト7のヘッド7aが収まる切欠(図示省略)が設けてある。さらに、ボルト通し孔9eに対して金具固定溝5側からボルト7を通し、ボルト7のヘッド7aを切欠に合わせてキャップ9に引っ掛け、ボルト7の先端7bをキャップ9の閉塞突部9cから突出させている。そして、ベルト6の両端に設けてあるボルト挿通孔6aをキャップ9から突出したボルト7の先端7bに通し、さらに、ボルト7の先端7bにナット22をかけて締め付けることで、ベルト6が支柱8の周囲を締め付けて本体1を支柱8に固定している。このように、キャップ9を金具固定溝5に挿入することで、本体1の背面側の凹凸を解消してサイン看板全体の意匠性を向上させている。さらに、本体1背面側の凹凸が解消されることで、表裏面両方にフィルムを貼ることができることから、両面を表示面として使用できるようになり、また、降雪時においても雪が滑落しやすくなるので着雪防止効果も期待できる。
尚、本実施形態では支柱8による立設型のサイン看板について記載したが、複合中空形材1aを上下に配設したほぼ同一構造をなす本体1を使って壁掛け型のものにも適用できる。
【0016】
本実施によるサイン看板の本体1は、図3(a)のように、具体的に高さ寸法が175mm、巾寸法が150mmの縦長矩形に板状押出形材を係合してなる複合中空形材1aを上下に6列配列し、隣接する複合中空形材1a同士の対向する側にある壁部に有する係合部10と被係合部11を係合するものである。そして、係合部10と被係合部11は、図2(b)のように、互いにほぼL字あるいは鉤状をなしており、互いを形材押出方向に沿ってスライドすることで係合している。また、係合部10と被係合部11は、間隔をあけて二つ設けてあり、二つの係合部10の間および被係合部11の間にほぼV字状の溝が設けてある。これにより、係合部10と被係合部11が係合したときに、隣接する複合中空形材1a間にほぼ六角形状の挿通孔12が形成される。この挿通孔12には、断面矩形状の棒材13を挿入してあり、さらに、係合部10と被係合部11における棒材13との当接部は、ペンチなどの工具を用いてかしめてあり、これにより、棒材13からの広がり方向の押圧力による係合部10と被係合部11の係合状態を高めるとともに、本実施によるサイン看板の設置後に本体1からの棒材13の不意な抜け出しを防止している。また、複合中空形材1aについては、係合部10と被係合部11を設ける位置や数などを変更すれば、本実施によるサイン看板よりも大きなものや、反対に小さなものを自在に形成することができる。尚、係合部10と被係合部11は同一の形状をなしており、複合中空形材1aを上下反転させても同じように係合することができる、また、係合部10と被係合部11は、便宜上、上にあるものを被係合部とし、下にあるものを係合部としているが、上下逆であってもよい。
【0017】
側蓋4は、図2(a)(b)のように、上下両側の四周を枠材で枠組みした枠体4aの内周側に換気ガラリ4bを固定している。また、換気ガラリ4bは、複数の羽根格子14が間隔をあけて上下に配設するものであり、羽根格子14は、支持部材14aを挟んだ左右側にフィン14bを配置するものである。また、羽根格子14は、左右のフィン14bのうちの一方が上側に突出し、他方が下側に突出しており、上下に隣り合う羽根格子14のフィン14b同士が左右に間隔をあけて重なり合うことで、側蓋4を連通する外部と中空部Sとの換気経路を確保しつつも、本実施によるサイン看板を側面から見たときの中空部Sの開口部Sを隠蔽する。これにより、本実施によるサイン看板の外からは中空部Sの様子が伺えないようになっており、側蓋4による物理的な防護に加えて、防災グッズ2の盗難や不正改竄を視覚的に防ぐような構造になっている。また、側蓋4は、図2(a)(b)のように、本体1の上下端面に設けてあるキャッチクリップ15で固定してある。キャッチクリップ15は、本体1の上端面に固定する基部15aと、基部15aの一側に突出して垂直軸で開閉する二本のダンパーアーム17とからなっている。具体的にキャッチクリップ15は、両方のダンパーアーム17をばねの付勢力に逆らって閉じることにより、側蓋4に設けてある受部20にダンパーアーム17の先端部16を引っ掛けるともに、基部15aに有する鍵19をロックすることで、ダンパーアーム17の開閉が不能となって受部20から先端部16が外れないようにダンパーアーム17にテンションをかけた状態を保っている。また、鍵19は、その鍵孔に専用のキーを差し込むことで施錠と開錠を切り替えることができ、開錠したときには、ダンパーアーム17が開閉自在となることでダンパーアーム17の先端部が受部20から外れ、これにより、側蓋4を本体1から脱着できるようになる。また、側壁4の中空部Sと面する側には、着脱自在な防虫網27が取り付けてあり、この防虫網27は、詳細な図示は省略するが、上記の防虫網27を側蓋4の一面側に形成してある保持溝に沿って網押えゴムを沿わせて取り付けることで、隣接する羽根格子14間の換気路を防虫網27の網で遮り、中空部S内の通気を確保しつつも、中空部S内に入ろうとする虫の侵入を防いで非常食や飲料水の保護が図られている(図2(a)(b)参照)。
【0018】
次に、本実施によるサイン看板の使用状態について図4を参照して説明する。
平時においては、本体1の一側面に貼着したフィルム24にプリントされたメッセージ性を有する文字や絵柄、写真などを歩行者や観光客に表示している。また、両側の側蓋4に設けてある換気ガラリ4bから外気を取り入れることで、中空部Sの換気がなされて、本体1の中空部Sに収められた防災グッズ2の保存状態を良好にできる。次に、地震や火災などの有事に際しては、本実施によるサイン看板の管理者がキャッチクリップ15の鍵19を開錠してダンパーアーム17を解除し、本体1から側蓋4を外して本体1の中空部Sを開放することで、本体1の中から防災グッズ2を取り出すことができる。
【0019】
本発明のサイン看板は、上記実施形態のような板状押出形材を係合して複合中空形材を組み立てた構造のものに限定されるものではなく、例えば、木製あるいは樹脂のパネル材で中空部を有する箱型に組んだ立看板に防災グッズを納めたものでもよいし、本体が筒型構造をなし、その筒孔を防災グッズの収容スペースとしたものでもよく、本体の内部に防災グッズ2を納めるための中空部Sを有する構造であればよい。また、複合中空形材1aで組み立てる他の実施形態として、図5(a)(b)のように、係合部10と被係合部11の構造については、上記実施形態とほぼ同一構造であることから相違する構成のみ説明する。このサイン看板は、図5(c)のように、二つの係合部10と被係合部11の間の挿通孔12の中に、複合中空形材1aの正面側端から背面側端の全長と略同一の長さの弾性ピン25を挿入してあり、挿通孔12の両側にある孔開口には、押圧ネジ26をそれぞれ螺合してある。これにより、押圧ピン26からの押圧により弾性ピン25が変形し、挿通孔12の中から壁部を押圧するので、係合部10と被係合部11が係合したまま互いが離れる方向に押圧力が働き、結果、隣り合う複合中空形材1a,1a間の係合強度を高めることになる。また、蓋についても脱着自在で中空部Sをサイン看板の外から見たときに隠蔽できるものであれば、換気ガラリ4bの有無を限定するものではない。また、本体1と蓋との脱着にキャッチクリップ15を使用しているが、蓋を丁番で開閉する構成のものや、あるいは、本体1と蓋に雌雄部を設けて嵌脱自在な構造にしてもよい。また、サイン看板の内部に納められる防災グッズは、上記実施形態のものでは乾パンや飲料水を収容したボトルや缶、懐中電灯、携帯ラジオ、ドライバーやペンチなどの工具類が想定されるが、本体1の大きさを限定するものではないことから、本体1内部に収容スペースさえ確保できれば、炊き出し用の釜やゴムボートなどの比較的大型の防災グッズの収容も可能となる。
【符号の説明】
【0020】
1 本体
2 防災グッズ
4 側蓋(蓋)
4b 換気ガラリ
27 防虫網
S 中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも本体の一側面にメッセージ性を有する文字や絵柄、写真などを表示するサイン看板であって、本体は、中空部を備えており、中空部には防災グッズが収納してあることを特徴とするサイン看板。
【請求項2】
本体は、中空部の開口を隠蔽する着脱または開閉自在な蓋を有していることを特徴とする請求項1記載のサイン看板。
【請求項3】
蓋は、中空部の換気が可能なガラリ構造をなすことを特徴とする請求項2記載のサイン看板。
【請求項4】
蓋は、ガラリの換気経路を遮る位置に防虫網を取り付けてあることを特徴とする請求項3記載のサイン看板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−59271(P2011−59271A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207391(P2009−207391)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(509252508)日本交通興業株式会社 (1)
【出願人】(000004592)日本カーバイド工業株式会社 (165)
【出願人】(000112185)ビニフレーム工業株式会社 (53)