説明

サキシトキシン誘導体での触覚の喪失の処置

本発明は、ヒトまたは別の哺乳動物の表面感度または触覚の低下または喪失の処置のためのナトリウムチャネルブロッカーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトまたは別の哺乳動物の処置のためのナトリウムチャネルブロッカーおよびそのナトリウムチャネルブロッカーを含む医薬組成物ならびに処置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナトリウムチャネルブロッカーは、ニューロンの軸索にあるナトリウムチャネルに特異的に結合し、そのナトリウムチャネルを通したナトリウムイオンの通路を特異的にブロックする化合物である。
【0003】
WO2006/032459A1より、末梢神経由来の神経因性疼痛の処置のための薬剤の製造のためのナトリウムチャネルブロッカーおよび/またはその誘導体の1つの使用が知られている。
【0004】
WO2007/110221A1より、化学療法の結果として発達する神経因性疼痛の処置のための薬剤の製造のためのナトリウムチャネルブロッカーおよび/またはその誘導体の使用が知られている。
【0005】
糖尿病または神経障害などの多くの疾患において、表面感度(superficial sensitivity)または触覚の低下または喪失が問題となっている。それは、患者が気づかない、無痛の深刻な感染症および火傷または切り傷のような他の無痛の創傷につながり得る。
【発明の概要】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ヒトまたは別の哺乳動物の表面感度または触覚の低下または喪失の処置のための物質および医薬組成物ならびに方法を提供することである。
【0007】
課題は、請求項1、8および16の主題により解決される。本発明の態様は、請求項2〜7、9〜15および17〜19の主題である。
【0008】
本発明によると、ヒトまたは別の哺乳動物の表面感度または触覚の低下または喪失の処置のためのナトリウムチャネルブロッカー(SCB)が提供される。SCBは、サキシトキシンもしくはその誘導体の1つ、テトロドトキシンもしくはその誘導体の1つ、または下記式(I)
【化1】

式中、RおよびRは、独立して、−Hおよび−OHからなる群から選択され;RおよびRは、独立して、−H、−OSOおよび−SOからなる群から選択され;ならびに、Rは、−H、−OH、−COONH、−COONHSOおよび−COOCHからなる群から選択される、
で表される三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンである。
【0009】
ナトリウムチャネルブロッカーを、1〜7日の間の期間にわたり、および/または複数の処置サイクルで投与してもよい。「表面感度」とは、ヒトまたは他の哺乳動物が、その皮膚または粘膜における熱さ、寒さまたは圧力などの外的刺激を認識する(register)能力を意味する。「触覚」とは、ヒトまたは他の哺乳動物の、接触(touch)を認識する任意の能力を意味する。触覚は、特定の表面感度である。表面感度の低下または喪失は、しばしばしびれとして感じられる。表面感度または触覚の低下または喪失は、病原体によって、それが副作用として生じ得る化学療法または光線処置などの医療処置によって、武器の使用によって、または原発事故によって、引き起こされ得る病態である。
【0010】
本発明の発明者らは、表面感度または触覚の低下または喪失を本発明によるSCBで処置することができ、これにより該表面感度または該触覚が少なくとも部分的に取戻されることを認識した。例えば、糖尿病においては末端の表面感度の喪失がある。この表面感度の喪失を、本発明によるSCBで処置することができ、これにより感度が取戻される。
【0011】
感度の回復の効果は、神経因性疼痛などの疼痛の存在とは無関係である。これは、該効果が、未処置では他の全ての感情をかき消すほどの疼痛のおそらくまた生じている抑制のせいだけではないことを意味する。表面感度または触覚の低下または喪失の処置は、既知の神経因性疼痛のSCBでの処置とは異なる。
【0012】
処置の効果は、これまたSCBであるリドカインなどの局所麻酔薬での神経因性疼痛の処置の効果ともまた、すっかり異なる。神経障害によって引き起こされた疼痛がリドカインで処置される場合、疼痛および感度が、処置によって影響を受けた神経によって神経支配されている部分で失われる。リドカインでの処置の間、感度の喪失が、疼痛緩和と同じ長さ続く。本発明によるSCBの表面感度および触覚の取戻し活性は、完全に新規な効果である。SCBは、より高い用量で、ニューロンの軸索に沿った活動電位の伝播をすべて遮断することができるので、この効果はまったく驚きである。
【0013】
本発明の一態様において、RおよびRのいずれかは、−OSOであるか、またはRは、−COONHSOである。三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンは、以下の表に記載の式Iによるサキシトキシンまたはゴニオトキシン(gonyautoxin)(以下、「GTX」という)の誘導体の1つであってもよい。
【0014】
【表1】

【0015】
一態様において、本発明によるSCBは、そのラセミ体、純粋な立体異性体、とりわけエナンチオマーまたはジアステレオマーの形態、または立体異性体、とりわけエナンチオマーまたはジアステレオマー、の混合物の形態、中性の形態、酸もしくは塩基の形態または塩、とりわけ生理学的に許容され得る塩の形態、または溶媒和物、とりわけ水和物の形態である。
【0016】
表面感度または触覚の低下または喪失は、薬物もしくは医療処置の副作用であり得、または糖尿病、ウイルス感染、とくにヘルペスウイルス感染もしくはバリゼラゾスター(Varizella-Zoster)ウイルス感染症、アロディニア、カウザルギー、痛覚過敏、知覚過敏、過敏、神経痛、神経炎、神経障害もしくは他の神経学的な原因によって引き起こされ得る。
【0017】
一態様において、本発明によるSCBは、サキシトキシンまたはその誘導体の1つであり、該サキシトキシンまたは該誘導体は、人工的に(synthetically)合成されるか、または生物源、とくにシアノバクテリアから、もしくは汚染された貝類、とりわけA. catenellaで汚染された貝類から単離される。
【0018】
本発明によるSCBはまた、テトロドトキシンもしくはその誘導体の1つ、または三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンであってもよく、該テトロドトキシン、該誘導体、または該三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンは、人工的に合成されるか、または生物源から単離される。テトロドトキシンの場合、生物源は、フグであってもよい。
【0019】
本発明は、さらに、本発明による少なくとも1つのナトリウムチャネルブロッカーおよび薬理学的に許容され得る担体を含む医薬組成物に関する。担体は、局所薬物投与に適した任意の材料であってもよい。担体は、使用する量において非毒性であり、組成物の他の構成要素と有害な方式で相互作用しない、当該技術分野で既知の任意のそのような材料が含まれる。
【0020】
一態様において、本発明によるSCBは、1日あたり0.01〜1000μg、とくに0.1〜100μg、とりわけ1〜10μgのSCBの投与のために適した量で医薬組成物に含有される。本発明によるSCBは、1mlあたり0.01〜1000μg、とくに1mlあたり0.1〜100μg、とりわけ1mlあたり1〜10μgの濃度で、医薬組成物中に含有されてもよい。
【0021】
本発明による医薬組成物は、注射、とくに筋肉内、静脈内、皮内、もしくは皮下注射のために調製された、局所投与、とくに表面投与のために調製された、または全身投与、とくに経口投与のために調製された医薬組成物であってもよい。
【0022】
表面投与のために調製された医薬組成物は、皮膚パッチ、クリーム、軟膏、またはスプレーであることができる。投与を物理的に、とくに紫外線、超音波、イオントフォレーシス、フォノフォレーシス、または機械的調節によりサポートしてもよい。
【0023】
本発明の一態様によると、医薬組成物は、少なくとも1つの鎮痛化合物をさらに含む。鎮痛化合物は、リドカインもしくはその誘導体の1つ、ブピバカインもしくはその誘導体の1つ、フェンタニルもしくはその誘導体の1つ、またはアセトアミノフェンもしくはその誘導体の1つである。
【0024】
本発明による医薬組成物中のSCBは、リポソームまたはマイクロエマルジョンに含有されてもよい。マイクロエマルジョンは、共界面活性剤としばしば組み合わせられる、油、水および界面活性剤の、安定した、等方性の液体混合物である。混合物は、水に分散させた油、または油に分散させた水を伴うエマルジョンであり、その分散相は、可視光が当該分散相によって散乱されないような小さなドメインを形成している。したがって、マイクロエマルジョンは、透明(clear)である。
【0025】
代替的に、または追加的に、SCBを含む医薬組成物は、皮膚を通してSCBの輸送を促進する少なくとも1つの物質をさらに含んでもよい。かかる物質は、浸透増進剤として当該技術分野において知られている。該物質は、アルコール、アミン、アミド、アミノ酸、アミノ酸エステル、1−置換アザシクロヘプタン−2−オン、ピロリドン、テルペン、脂肪酸、脂肪酸エステル、大環状化合物、表面活性剤、スルホキシド、リポソーム、トランスフェローム(transferome)、レシチン小胞、エソソーム(ethosome)、アニオン性、カチオン性および非イオン性界面活性剤、ポリオール、精油、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウム臭化物、塩化ベンザルコニウム、ポロクサマー、ポリソルベート20(Tween 20=ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート40(Tween 40=ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート)、ポリソルベート60(Tween 60=ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、ポリソルベート80(Tween 80=ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、レシチン、1−n−ドデシルシクラザシクロヘプタン−2−オン、エタノール、プロパノール、オクタノール、ベンジルアルコール、ラウリン酸、オレイン酸、吉草酸、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、オレイン酸エチル、セスキオレイン酸ソルビタン、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノラウレート、尿素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アルカノン、サリチル酸、サリチレート、クエン酸ならびにコハク酸からなる群から選択される物質であってもよい。
【0026】
ポロクサマー(ポリエチレン−ポリプロピレングリコール、分子式:HO(CO)(CO)(CO)H、式中、aおよびbは整数である)は、ポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中央の疎水性鎖に、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2つの親水性鎖が配置されたものからなる合成ノニオン性トリブロックコポリマーである。それは、ポロクサマー231、ポロクサマー182、またはポロクサマー184などの数種類で利用可能である。
【0027】
本発明はさらに、ヒトまたは別の哺乳動物の表面感度または触覚の低下または喪失の処置方法であって、ここで本発明によるSCBまたは医薬組成物を該ヒトまたは他の哺乳動物に投与する前記方法に関する。
【0028】

以下のクリーム組成物を、以下に記載の全ての処置的適用のために用いた:
【0029】
【表2】

【0030】
上の表中の濃度は、100グラムの総量中のグラムで表される。アクリル酸類は、アクリル酸C10〜30アルキルクロスポリマー類であってもよい。
【0031】
1.有効成分:GTX−2およびGTX−3のエピマーの混合物10μg/ml
3人の患者(女性2人、男性1人)は、GTX−2およびGTX−3のエピマーの混合物10μg/mlを含有する本発明による医薬組成物を用いた。GTX−2およびGTX−3の混合物は、上に特定したクリーム組成物中のリポソームに含有された。3人の患者全員は、薬物に関係する神経障害を伴うAIDS患者だった。患者全員は、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤であるジダノシンを含む、薬物の組み合わせを受けていた。ジダノシンを用いる患者が、通常、足(feet)、およびそれほど頻繁ではないが、手における左右対称遠位部しびれ、うずき、および疼痛によって特徴づけられる、毒性抹消神経障害を発達し得ることは、広く知られている。
【0032】
3人の患者全員は、彼らの下肢(足首および足)における激しい神経因性疼痛に加え、しびれおよび表面感度の喪失を示した。彼らは、その疼痛を、正常な睡眠を取るのを妨げる、それまでに経験したことのない最悪の疼痛であると表現し、足に熱さおよび/または寒さを感じることができないことを訴えた。
【0033】
最初の患者(女性、年齢:45)は、彼女の両足におけるしびれおよび感度の喪失を示した。彼女は、鎮痛剤と関連づけられている抗うつ薬で処置されてきた。彼女は、疼痛が、彼女が受けている薬物で十分に制御されていないことを報告した。彼女は、しびれの部分に医薬組成物を1日1回、その後1日最大3回まで用い始めた。彼女は、医薬組成物を1日3回、3日間用いた後に、気分がよくなったこと(すなわち、彼女の症状の低減)を報告した。1週間の適用後、彼女は、初期症状の完全な緩和を報告した。
【0034】
二番目の患者(男性、年齢:51)は、両足および彼の右ふくらはぎにおいて、しびれ、感度の喪失および神経因性疼痛を示した。彼は、彼の状態のため、抗うつ薬、鎮痛剤およびビタミンで処置されていた。彼は、この処置での症状の緩和がみられないことを報告した。彼は、患部に医薬組成物を1日4回局所適用で用いた。4日間の適用後、彼は症状の低減を感じ、彼が組成物を用い始めてから9日後には完全な緩和を報告した。
【0035】
第三の患者(女性、年齢:47)は、両足およびふくらはぎにおいて感度の喪失および神経因性疼痛を示した。彼女は、抗けいれん薬、鎮痛剤、ビタミンおよび鍼で処置されてきた。症状は、彼女が彼女のAIDS薬剤を中止しようとする程激しいものだった。彼女は、彼女の疼痛およびしびれ部分に医薬組成物を1日3回用いた。処置の2日後、彼女は、患部における疼痛およびしびれの減少を、彼女が始めてから10日後には症状の緩和を報告した。その間、彼女はAIDS薬剤を再開した。彼女は、医薬組成物の適用の中止を試みたが、数日以内に疼痛およびしびれが戻ってきたことを報告した。医薬組成物の適用の再開は、1週間以内に、疼痛緩和および表面感度の回復をもたらした。
【0036】
3人の患者全員は、彼らの状態のため、鎮痛剤、抗うつ薬または抗けいれん薬、ビタミン、または物理療法(鍼)を含む異なる薬物または薬物関連物で処置されてきたが、肯定的な結果を全くまたはほとんど伴わなかった。
【0037】
彼らは、しびれ部分に医薬組成物を1日あたり1〜4回適用した。彼らは使用の約2〜4日後に症状の低減を報告し、7〜9日以内に完全な緩和を報告した。
【0038】
さらなる患者(女性、年齢:56)は、上に特定したものと同じ、リポソームに含有されたGTX−2およびGTX−3のエピマーの混合物10μg/mlを含有するクリーム組成物を用いた。
【0039】
この患者の病歴は、過去数年間に、化学療法および放射線処置で処置されたグレードIIb/IIIの子宮頸癌(cervicouterine cancer)の存在により珍しい。患者は最初、右腕の内側に局部的な疼痛を示した。この疼痛を、深刻で耐え難いものであると表現し、彼女はもう少しで服を身に着けることができなかったと報告した。続いて、全皮膚腫の典型的な帯状疱疹分散皮疹(後部および前部T6)があった。発疹は、約2週間で解決した。疼痛は、臨床症状の始まりから約6週間続いた。この患者はすでに、心的外傷後うつ病のためにブプロピオンで処置されていたため、彼女を抗うつ剤または抗けいれん剤で処置することができなかった。彼女は、NSAID(ケトプロフェン200mgを1日2回)、およびアセトアミノフェン(1000mgを1日3回)を与えられた。オピオイド様薬物(トラマドール)は、この薬に不耐性の患者の病歴のため、用いることができなかった。彼女は、疼痛の緩和が見られないかまたは乏しいリドカイン5%の局所製剤を用いるつもりだった。
【0040】
彼女は、症状の発症約1週間後に、GTX−2およびGTX−3含有クリーム組成物を局所的に用い始めた。疼痛の緩和および正常な表面感度の回復が、適用15〜30分後にみられ、約4〜6時間持続した。彼女は、局所GTX製剤を1日3〜4回用いることを継続し、同じ結果を伴った。適用なしでは、患者は疼痛の再発に気付いた。
【0041】
2.有効成分:ネオサキシトキシン10μg/ml
さらなる患者(男性、年齢:70)は、リポソームに含有されたネオサキシトキシン10μg/mlを含有する上に特定したものと同じクリーム組成物を用いた。
【0042】
この患者は、数年間進展するCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を患う。その現在の処置は、1日あたり5mgのプレドニゾン(コルチコイド)に加え、インヘラーを含む。患者は、右側に典型的な眼部帯状疱疹を示した。疼痛は、深刻で耐え難いものであった。彼の呼吸状態のため、オピオイドおよびオピオイド様薬物を用いることができなかったため、彼は、NSAIDおよびアセトアミノフェンを与えられた。彼は、症状の発症3日後に、ネオサキシトキシン含有クリーム組成物を、局所的に適用し始めた。彼は、1日3〜4回それを用い、適用後30分以内に疼痛の緩和および表面感度の回復を得た。彼は、製剤を2週間用いた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは別の哺乳動物の表面感度または触覚の低下または喪失の処置のためのナトリウムチャネルブロッカー(SCB)であって、該SCBは、サキシトキシンもしくはその誘導体の1つ、テトロドトキシンもしくはその誘導体の1つ、または以下の式(I):
【化1】

式中、RおよびRは、独立して、−Hおよび−OHからなる群から選択され;RおよびRは、独立して、−H、−OSOおよび−SOからなる群から選択され;ならびに、Rは、−H、−OH、−COONH、−COONHSOおよび−COOCHからなる群から選択される、
で表される三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンである、前記SCB。
【請求項2】
およびRのいずれかが、−OSOであであるか、またはRが、−COONHSOである、請求項1に記載のSCB。
【請求項3】
三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンが、ネオサキシトキシン、デスカルバモイルサキトキシン、またはゴニオトキシン(GTX)、とくにGTX−1、GTX−2、GTX−3、GTX−4、もしくはGTX−5である、請求項1または2に記載のSCB。
【請求項4】
SCBが、そのラセミ体、純粋な立体異性体、とりわけエナンチオマーまたはジアステレオマーの形態、または立体異性体、とりわけエナンチオマーまたはジアステレオマー、の混合物の形態、中性の形態、酸もしくは塩基の形態または塩、とりわけ生理学的に許容され得る塩の形態、または溶媒和物、とりわけ水和物の形態である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のSCB。
【請求項5】
表面感度または触覚の低下または喪失が、薬物もしくは医療処置の副作用であるか、または糖尿病、ウイルス感染、とくにヘルペスウイルス感染もしくはバリゼラゾスターウイルス感染症、アロディニア、カウザルギー、痛覚過敏、知覚過敏、過敏、神経痛、神経炎、神経障害もしくは他の神経学的な原因によって引き起こされる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のSCB。
【請求項6】
SCBが、サキシトキシンまたはその誘導体の1つであり、該サキシトキシンまたは該誘導体は、人工的に合成されるか、または生物源、とくにシアノバクテリアから、もしくは汚染された貝類、とりわけA. catenellaで汚染された貝類から単離される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のSCB。
【請求項7】
SCBが、テトロドトキシンもしくはその誘導体の1つ、または三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンであって、該テトロドトキシン、該誘導体、または該三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンは、人工的に合成されるか、または生物源から単離される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のSCB。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のSCBを少なくとも1つおよび薬理学的に許容され得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
SCBが、1日あたり0.01〜1000μg、とくに0.1〜100μg、とりわけ1〜10μgのSCBの投与のために適した量で医薬組成物に含有される、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
SCBが、1mlあたり0.01〜1000μg、とくに1mlあたり0.1〜100μg、とりわけ1mlあたり1〜10μgの濃度で含有される、請求項8または9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
医薬組成物が、注射、とくに筋肉内、静脈内、皮内、もしくは皮下注射のために調製された、局所投与、とくに表面投与のために調製された、または全身投与、とくに経口投与のために調製された、請求項8〜10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
表面投与のために調製された医薬組成物が、皮膚パッチ、クリーム、軟膏、またはスプレーである、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの鎮痛化合物をさらに含む、請求項8〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
鎮痛化合物が、リドカインもしくはその誘導体の1つ、ブピバカインもしくはその誘導体の1つ、フェンタニルもしくはその誘導体の1つ、またはアセトアミノフェンもしくはその誘導体の1つである、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
請求項8〜14のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、SCBが、リポソームまたはマイクロエマルジョンに含有され、および/または、該医薬組成物は、皮膚を通して該SCBの輸送を促進する少なくとも1つの物質、とくに、アルコール、アミン、アミド、アミノ酸、アミノ酸エステル、1−置換アザシクロヘプタン−2−オン、ピロリドン、テルペン、脂肪酸、脂肪酸エステル、大環状化合物、表面活性剤、スルホキシド、リポソーム、トランスフェローム、レシチン小胞、エソソーム、アニオン性、カチオン性および非イオン性界面活性剤、ポリオール、精油、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウム臭化物、塩化ベンザルコニウム、ポロクサマー、ポリソルベート20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート40(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート)、ポリソルベート60(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、ポリソルベート80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、レシチン、1−n−ドデシルシクラザシクロヘプタン−2−オン、エタノール、プロパノール、オクタノール、ベンジルアルコール、ラウリン酸、オレイン酸、吉草酸、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、オレイン酸エチル、セスキオレイン酸ソルビタン、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノラウレート、尿素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アルカノン、サリチル酸、サリチレート、クエン酸ならびにコハク酸からなる群から選択される物質をさらに含む、前記医薬組成物。
【請求項16】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のSCBまたは請求項8〜15のいずれか一項に記載の医薬組成物を、ヒトまたは他の哺乳動物に投与する、ヒトまたは別の哺乳動物の表面感度または触覚の低下または喪失の処置方法。
【請求項17】
SCBまたは医薬組成物を、注射、とくに筋肉内、静脈内、皮内、もしくは皮下注射として、局所投与、とくに表面投与として、または全身投与、とくに経口投与として投与する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
投与を、物理的に、とくに紫外線、超音波、イオントフォレーシス、フォノフォレーシス、または機械的調節によりサポートする、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
SCBまたは医薬組成物を、1〜7日の間の期間にわたり、および/または複数の処置サイクルで投与する、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2013−519653(P2013−519653A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552401(P2012−552401)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051992
【国際公開番号】WO2011/098539
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(512208361)ファイトトックス リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】PHYTOTOX LIMITED
【Fターム(参考)】