説明

サッシ

【課題】外張り断熱構造において通常の形状の枠体を用いつつ断熱材と枠体の間の隙間をなくして断熱性を高めたサッシを提供する。
【解決手段】枠体1は外周面に突出状の取付フィン13を四周に渡って有し、枠体1の各辺が有する各取付フィン13の室内側には、小片状の外周取付部品20が長手方向にそれぞれ複数設けられると共に、外周取付部品20により保持され枠体1の各辺に沿う長尺状の長手断熱部材25が設けられ、外周取付部品20は長手断熱部材25を保持する保持部21と、土台3またはまぐさ4あるいは縦柱5の室外面に対して当接固定される固定部22とを備え、保持部21は枠体1の取付フィン13に当接し固定されると共に、断熱材7の内周端面に隣接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱の室外側に断熱材を設けた外張り断熱構造を有する建物に設けられるサッシに関し、特に断熱材とサッシの間に生じる隙間をなくして断熱性を高めたサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木造建築の建物における断熱構造として、建物を構成する柱の室外側に断熱材パネルを張り付ける外張り断熱構造が知られている。建物開口部における柱は、下辺を構成する土台と、上辺を構成するまぐさと、左右の縦辺を構成する縦柱とからなっている。外張り断熱構造は、断熱材パネルが柱によって分断されないため、柱における結露を防止することができ、また結露水が発生した場合であってもそれが建物駆体に保持されることがなく、駆体の劣化防止も図ることができる。このような外張り断熱構造において用いられるサッシとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−201864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外張り断熱構造においては、サッシを構成する枠体の外周部分に回り縁を設け、この回り縁に対して枠体を当接させると共にネジ止め固定するようにしていた。断熱材パネルは、回り縁の外周面までしか設けられないため、枠体の外周端と断熱材パネルの間には断熱性の低い領域が全周に渡って形成されることとなっていた。これによって、サッシにおける断熱性が低下するという問題があった。また、回り縁の材料を開口部の寸法に合わせて現場で調達する必要があり、施工性が良好とは言えなかった。
【0005】
このため、特許文献1ではサッシの外周面位置まで断熱材パネルを配設するようにしているが、枠体の取付フィンより室外側を大きく形成する必要があり、通常とは異なる形状の枠体を用意しなければならないため、コストアップを招くこととなる。
【0006】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、外張り断熱構造において通常の形状の枠体を用いつつ断熱材と枠体の間の隙間をなくして断熱性を高めたサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るサッシは、建物開口部を構成し室外側に断熱材が配設される土台とまぐさ及び左右の縦柱に対して取付けられる枠体を有するサッシにおいて、
前記枠体は外周面に突出状の取付フィンを四周に渡って有し、前記枠体の各辺が有する各取付フィンの室内側には、小片状の外周取付部品が長手方向にそれぞれ複数設けられると共に、該外周取付部品により保持され前記枠体の各辺に沿う長尺状の長手断熱部材が設けられ、
前記外周取付部品は前記長手断熱部材を保持する保持部と、前記土台またはまぐさあるいは縦柱の室外面に対して当接固定される固定部とを備え、前記保持部は前記枠体の取付フィンに当接し固定されると共に、前記断熱材の内周端面に隣接することを特徴として構成されている。
【0008】
また、本発明に係るサッシは、前記外周取付部品の保持部は断面略コ字状に形成されて室外側面が前記取付フィンに当接固定されると共に、外周面が前記断熱材の内周端面に隣接することを特徴として構成されている。
【0009】
さらに、本発明に係るサッシは、前記外周取付部品の固定部は前記保持部の外周面室内端部から外周側に突出するように形成されることを特徴として構成されている。
【0010】
さらにまた、本発明に係るサッシは、前記外周取付部品は前記保持部の内周面室内端部から内周側に突出するように内周固定部が形成され、該内周固定部は前記枠体に対して当接固定されることを特徴として構成されている。
【0011】
そして、本発明に係るサッシは、前記長手断熱部材は前記枠体の各辺において略全長に渡る長さを有すると共に、四周に渡って連続状となるように設けられることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るサッシによれば、枠体の各辺が有する各取付フィンの室内側には、小片状の外周取付部品が長手方向にそれぞれ複数設けられると共に、外周取付部品により保持され枠体の各辺に沿う長尺状の長手断熱部材が設けられ、外周取付部品は長手断熱部材を保持する保持部と、土台またはまぐさあるいは縦柱の室外面に対して当接固定される固定部とを備え、保持部は枠体の取付フィンに当接し固定されると共に、断熱材の内周端面に隣接することにより、サッシの外周面と断熱材との間に外周取付部品により保持された長手断熱部材が配設されるので、サッシの外周部分において断熱性が連続的に確保され、断熱性を高めることができると共に、外周取付部品及び長手断熱部材を予め枠体に取付けた状態で、サッシを建物開口部に取付けることができるので、施工性を良好にすることができる。
【0013】
また、本発明に係るサッシによれば、外周取付部品の保持部は断面略コ字状に形成されて室外側面が取付フィンに当接固定されると共に、外周面が断熱材の内周端面に隣接することにより、断熱性を確保しつつサッシの取付構造を従来と同様にすることができ、外周取付部品以外に部品を新規に用意する必要がなく、コストを抑えることができる。
【0014】
さらに、本発明に係るサッシによれば、外周取付部品の固定部は保持部の外周面室内端部から外周側に突出するように形成されることにより、外周取付部品を建物駆体に当接させて容易にネジ止めにより固定することができる。
【0015】
さらにまた、本発明に係るサッシによれば、外周取付部品は保持部の内周面室内端部から内周側に突出するように内周固定部が形成され、内周固定部は枠体に対して当接固定されることにより、外周取付部品が枠体に対しても固定されるので、固定強度をより向上させることができる。
【0016】
そして、本発明に係るサッシによれば、長手断熱部材は枠体の各辺において略全長に渡る長さを有すると共に、四周に渡って連続状となるように設けられることにより、長手断熱部材により四周に渡る連続的な断熱性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態におけるサッシの縦断面図である。
【図2】サッシの横断面図である。
【図3】外周取付部品と長手断熱部材の配置を表した正面図である。
【図4】サッシと断熱材の分解縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態におけるサッシの縦断面図を、図2にはサッシの横断面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、本実施形態におけるサッシは、建物開口部Aに取付けられるものであって、枠体1内にガラス板からなるパネル体2が納められた嵌め殺し窓として構成されている。
【0019】
建物開口部Aは、上下左右の柱によって構成されている。建物開口部Aの下辺を構成するのは土台3であり、建物開口部Aの上辺を構成するのはまぐさ4である。また、建物開口部Aの左右の縦辺をそれぞれ構成するのは縦柱5である。サッシを構成する枠体1は、各辺がそれぞれ建物開口部Aを構成する土台3、まぐさ4、及び縦柱5に取付固定される。
【0020】
建物開口部Aを構成する土台3とまぐさ4及び縦柱5の室外側には、パネル状の断熱材7が配設される。さらに、断熱材7の室外面側には、胴縁9を介して外壁材8が対向配置される。このように、本実施形態では建物の断熱構造として、建物駆体の室外側にパネル状の断熱材7が配設された外張り断熱構造を有している。
【0021】
枠体1の室内側であって土台3とまぐさ4及び縦柱5の内周側には、四周に渡って額縁材6が設けられており、建物開口部Aを構成する各柱や枠体1の室内側面が室内側に露出しないようにしている。
【0022】
枠体1は、上枠10と下枠11及び左右の縦枠12を方形状に枠組みして構成されている。枠体1を構成する各枠の外周面には、外周側に向かって突出する取付フィン13が形成されている。また、各枠の室内側には、樹脂材からなる押縁部材14が設けられており、この押縁部材14と各枠の室外側によって、パネル体2を挟持固定する。
【0023】
押縁部材14の室内端部には、室内側に向かって延出するアングル部14aが形成されており、アングル部14aは四周に渡って設けられると共に、額縁材6の内周面に当接して、ネジ止め固定される。
【0024】
図1及び図2に示すように、枠体1の取付フィン13と建物開口部Aを構成する土台3、まぐさ4及び縦柱5との間の領域には、長手断熱部材25と外周取付部品20が設けられる。外周取付部品20は、枠体1の各辺の長さよりも短い小片状のアルミ型材からなり、枠体1の各辺にそれぞれ複数個が設けられる。また、長手断熱部材25は、枠体1の各辺において全長に渡る長さを有して形成される。
【0025】
図3には、外周取付部品20と長手断熱部材25の配置を表した正面図を示している。この図に示すように、長手断熱部材25は、上下左右の各辺について全長に渡る長さを有し、四周に渡って連続状となるように配置される。一方、外周取付部品20は、上下左右の各辺において複数個が間隔をなして配置される。
【0026】
図1及び図2に示すように、外周取付部品20は、断面略コ字状に形成されて長手断熱部材25を抱き込むように保持する保持部21を備え、保持部21の室外側面21aが枠体1の取付フィン13の室内面に当接し、ネジ止め固定されている。
【0027】
外周取付部品20には、その外周面20bの室内端部から外周側に突出するように固定部22が形成されており、固定部22は建物開口部Aを構成する土台3、まぐさ4、縦柱5の各室外面に当接してネジ止め固定される。また、保持部21の内周面21cの室内端部から外周側に突出するように内周固定部23が形成されている。内周固定部23は枠体1の室内側面に室外側から当接し、ネジ止め固定される。
【0028】
また、下枠11に取付けられる外周取付部品20は、保持部21の内周面21cが内周固定部23よりも室内側に延出された室内延出部24を有している。室内延出部24は、土台3の内周面に当接し、ネジ止め固定される。
【0029】
外周取付部品20の外周面20bは、サッシの外周を取り囲むように設けられている断熱材7の内周端面に隣接している。逆に言うと、断熱材7は外周取付部品20の外周面20bの位置を内周端部位置とするように配設されている。これにより、断熱材7は外周取付部品20により保持されている長手断熱部材25と隣接した状態となり、サッシの外周部分の全周に渡って断熱性を連続的に確保することができる。また、外周取付部品20は金属製であるものの、小片状の部品であって長手方向全長に設けられることがないので、断熱性の低下も最小限に抑えることができる。
【0030】
次に、サッシの建物開口部Aに対する取付工程について説明する。図4には、サッシと断熱材7の分解縦断面図を示している。サッシは、予め工場で枠体1内にパネル体2を納めた状態に組み立てておき、また枠体1には外周取付部品20を取付けると共に、長手断熱部材25を外周取付部品20に保持させた状態としておき、取付現場に輸送する。このようにしておくことで、外周取付部品20を建物開口部Aの土台3とまぐさ4及び縦柱5にそれぞれ当接、ネジ止めするだけで、サッシを建物駆体に固定することができる。
【0031】
さらに、取付けられたサッシを取り囲むように断熱材7を取付ける。この際に、断熱材7の建物開口部Aに対する内周端面を、サッシの外周取付部品20の外周面20bに当接させるようにして、断熱材7とサッシとの間に断熱されていない領域を形成しないようにする。外周取付部品20によってサッシの外周には長手断熱部材25が全周に渡り設けられているので、断熱材7から長手断熱部材25までが、連続的に断熱されるようにすることができる。また、このように外周取付部品20及び長手断熱部材25を予め枠体1に取付けた状態で、サッシを建物開口部Aに取付けることができるので、施工性を良好にすることができる。続いて、図4には図示しないが、額縁材6や外壁材8を取付けて図1の状態に組立がなされる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。本実施形態では枠体1内にパネル体2を納めた嵌め殺し窓としてサッシを構成したが、窓の種類は例えば引き違い窓や開き窓など、どのようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 枠体
2 パネル体
3 土台
4 まぐさ
5 縦柱
6 額縁材
7 断熱材
8 外壁材
9 胴縁
10 上枠
11 下枠
12 縦枠
13 取付フィン
14 押縁部材
15 室内面部
20 外周取付部品
21 保持部
22 固定部
23 内周固定部
24 室内延出部
25 長手断熱部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部を構成し室外側に断熱材が配設される土台とまぐさ及び左右の縦柱に対して取付けられる枠体を有するサッシにおいて、
前記枠体は外周面に突出状の取付フィンを四周に渡って有し、前記枠体の各辺が有する各取付フィンの室内側には、小片状の外周取付部品が長手方向にそれぞれ複数設けられると共に、該外周取付部品により保持され前記枠体の各辺に沿う長尺状の長手断熱部材が設けられ、
前記外周取付部品は前記長手断熱部材を保持する保持部と、前記土台またはまぐさあるいは縦柱の室外面に対して当接固定される固定部とを備え、前記保持部は前記枠体の取付フィンに当接し固定されると共に、前記断熱材の内周端面に隣接することを特徴とするサッシ。
【請求項2】
前記外周取付部品の保持部は断面略コ字状に形成されて室外側面が前記取付フィンに当接固定されると共に、外周面が前記断熱材の内周端面に隣接することを特徴とする請求項1記載のサッシ。
【請求項3】
前記外周取付部品の固定部は前記保持部の外周面室内端部から外周側に突出するように形成されることを特徴とする請求項2記載のサッシ。
【請求項4】
前記外周取付部品は前記保持部の内周面室内端部から内周側に突出するように内周固定部が形成され、該内周固定部は前記枠体に対して当接固定されることを特徴とする請求項2または3記載のサッシ。
【請求項5】
前記長手断熱部材は前記枠体の各辺において略全長に渡る長さを有すると共に、四周に渡って連続状となるように設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のサッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−270541(P2010−270541A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124859(P2009−124859)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】