説明

サッシ

【課題】 火災発生時に熱膨張耐火材が早期に膨張して障子と枠との間を塞ぐことができるサッシを提供する。
【解決手段】 障子3と、障子3を保持する枠11とを備えるサッシ1において、枠11は火災の熱により膨張して対向する框に当接する第3熱膨張耐火材32c及び第4熱膨張耐火材32dを備え、第3熱膨張耐火材32c及び第4熱膨張耐火材32dは面を室外側に向けて室内側端を内周側に向けて傾斜しており、第3熱膨張耐火材32c及び第4熱膨張耐火材32dでは、室外側の熱は障子3と枠11との間から面全体で受けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、障子と、障子を開閉自在に保持する枠とを備えたサッシが開示されている。
この特許文献1のサッシでは、框の見込み面と、框に対向する枠の見込み面との両方に、火災の熱により膨張する熱膨張耐火材を設けて、火災時に框と枠との間を塞ぐことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−158743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、框に設けた熱膨張耐火材は面をサッシの外周側に向けており、枠に設けた熱膨張耐火材は面をサッシの内周側に向けているので、火災時にサッシの室外側の熱を受け難い為、火災発生から熱膨張耐火材が膨張して枠と障子との間を塞ぐまでに時間がかかるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、火災発生時に熱膨張耐火材が早期に膨張して障子と枠との間を塞ぐことができるサッシの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、障子と、障子を保持する枠とを備え、枠は、火災の熱により膨張して対向する框に当接する熱膨張耐火材を備え、熱膨張耐火材は面を室外側に向け且つ室内側端を内周側に向けて傾斜してあることを特徴とするサッシである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、熱膨張耐火材を保持する保持具を備え、熱膨張耐火材保持具は枠の見込み面に各々ねじで固定してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、枠には室内側から対向する框に当接する熱膨張耐火材を設けると共に熱膨張耐火材は面を室外側に向け且つ室内側端を内周側に向けて傾斜しているので、熱膨張耐火材は室外側の熱を面で受け易く、火災発生時に早期に全面が膨張して枠と障子との間を塞ぐことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、面を室外側に向けて内周側と外周側との間で傾斜した熱膨張耐火材を容易に取付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施の形態にかかるサッシの縦断面図である。
【図2】第1実施の形態にかかるサッシの横断面図である。
【図3】反り防止金具を収納した上樹脂製形材を切断して示す正面図である。
【図4】反り受け金具の図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図5】コーナ金具の図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は平面図である。
【図6】第2実施の形態にかかるサッシの図であり、図17に示すA−A断面図である。
【図7】第2実施の形態にかかるサッシの図であり、図17に示すB−B縦断面図である。
【図8】第2実施の形態にかかるサッシの図であり、図17に示すC−C縦断面図である。
【図9】図8に示す落下防止金具の図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は横断面図である。
【図10】図8に示す落下防止受け金具の図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図11】図8に示す開き受け金具の図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は平面図である。
【図12】図8に示す開き防止金具の図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は平面図である。
【図13】ハンドル取付け金具の図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は側面図である。
【図14】熱膨張耐火材保持具を取付けた下枠の平面図である。
【図15】下框の下面の左側端部を示す底面図である。
【図16】下框補強材の図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は側面図である。
【図17】第2実施の形態にかかるサッシを室内側から見た概観を示す正面図である。
【図18】第3実施の形態にかかるサッシの下框及び下枠側を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1及び図2に示すように、本実施の形態に係るサッシ1は、アルミ樹脂複合障子のすべり出しサッシであり、障子3はアルミニウム製形材の上框5、下框7及び左右の竪框9、9をガラス4の四周に框組してあり、各框の室内側には樹脂製形材6が取付けてある。枠11はアルミニウム製の上枠13、下枠15及び左右の竪枠17、17を枠組してあり、室内側には樹脂製形材18が取付けてある。
図2に示すように、左竪框9と左竪枠17との間及び右竪框9と左竪枠17との間には各々障子3を室外側に吊り出すステー(支持具)19が設けてある。
図1に示すように、障子3の下框7の上部には、ガラス4の下端部を保持するガラス保持溝21が設けてあり、ガラス保持溝21の下方には中空部23が形成されている。ガラス保持溝21にはガラス4の下端部を覆うスチール製のガラス間口補強材25が配置されており、中空部23には、スチール製の下框補強材27が設けてあり、ガラス間口補強材25は、下框補強材27にねじ28で固定してある。ガラス間口補強材25の上面には、ガラス下端面に対向する第1熱膨張耐火材32aがガラス間口補強材25の長手方向に全体に亘って設けてある。ガラス間口補強材25は下框7の左右端部を除いてガラス保持溝21内に載置されており、下框7のガラス保持溝21の溝底において、ガラス間口補強材25がない左右端部には各々排水穴が形成されている。下框補強材27の左右端部において、下框7の排水穴が対向する位置に第2熱膨張耐火材32bが配置されている。
下框7の下面には、スチール製の下補助板29がねじ30で固定してある。下補助板29は下框7に取付けてある樹脂製形材6の長手方向に亘って樹脂製形材6の下面を覆っている。
【0012】
上框5の下部にもガラス保持溝21が設けてあり、ガラス保持溝21の上部には中空部23が形成されている。上框5のガラス保持溝21にはガラス4の上端部を覆うスチール製のガラス間口補強材25が配置されており、ガラス間口補強材25は上框5にねじ26で固定してある。ガラス間口補強材25の下面にはガラス上端面に対向する第1熱膨張耐火材32aがガラス間口補強材25の長手方向に全体に亘って設けてある。
上框5の上面には、スチール製の上補助板31がねじ34により上框5に固定してある。上補助板31は、上框5に取付けてある樹脂製形材6の長手方向に亘って樹脂製形材6の上面を覆っているが、下記する反り防止金具33が設けてある位置は除いてある。
上框5に取付けてある樹脂製形材6には、中空部6aが形成してあり、この中空部6a内には、スチール製の反り防止金具33が設けてある。
反り防止金具33は、図3に示すように、台座34と、係止部材35と、スプリング37とを備えており、係止部材35の基端部35aを台座34に回動自在に軸支してあり、スプリング37により、係止部材35の先端部35bが上方に向けて回動するように付勢している。
【0013】
図2に示すように、左右の竪框9、9には、各々ガラス保持溝21に上述したスチール製のガラス間口補強材25が設けてあり、中空部9aにはスチール製の竪框補強材39が設けてあり、ガラス間口補強材39と竪框補強材39とはねじ40により固定されている。ガラス間口補強材25には、左右のガラス端面に対向する第1熱膨張耐火材32aがガラス間口補強材25の長手方向に全体に亘って設けてある。
また、各竪框9のガラス保持溝21の室内側壁には、その室外側面にガラス間口補強材25に対向する第12熱膨張耐火材32mが設けてある。
【0014】
図1及び図4に示すように、上枠13には反り防止金具33を受ける反り防止金具受け41固定してあり、反り防止金具受け41の受け金41aが下方に向けて突設してある。また、図1に示すように、上枠13には、第3熱膨張耐火材32cを保持する熱膨張耐火材保持具43が上枠13の見込方向略中央でねじ固定されている。熱膨張耐火材保持具43には室内側に延出する保持部43aが形成してあり、保持部43aは上框5の室内側見付面と見込面とのコーナ部5cに近接するように傾斜している。熱膨張耐火材保持具43の保持部43aに第3熱膨張耐火材32cが設けてあり、第3熱膨張耐火材32cは面を室外側に向けて室内側端を内周側に向けて傾斜しており且つ上補助板31の上面に対向していると共に、上框5の室内側見付面と見込面とのコーナ部5cに室内側で対向している。
下枠15には、第4熱膨張耐火材32dを保持する熱膨張耐火材保持具43が下枠15の見込方向略中央でねじ固定されている。熱膨張耐火材保持具43は室内側で枠内周側に延出する保持部43aが形成してあり、保持部43aは下框7の室内側見付面と見込面とのコーナ部7c且つ近接するように傾斜している。下枠15の第4熱膨張耐火材32dは面を室外側に向けて室内側端を内周側に向けて傾斜しており且つ下補助板29の下面に対向して設けてあると共に、下框7の室内側見付面と見込面とのコーナ部7cに室内側で対向している。
下枠15には、室外側壁の長手方向一端部側に排水穴42が設けてあり、この排水穴42に対応する位置に断面略L字形状を成す熱膨張耐火材保持具44が設けてあり、排水穴42に対向する位置に第5熱膨張耐火材32eが設けてある。
【0015】
図2に示すように、左右の竪枠17、17には、各々は、下端部の見込面に熱膨張耐火材保持具45がねじで固定してあり、竪框9の見込面に対向する位置に第6熱膨張耐火材32fが設けてある。第6熱膨張耐火材32fは、熱膨張耐火材保持具45に嵌合してあり、経年劣化による剥がれ落ちるのを防止している。
障子3において、ガラス4の各コーナ部には、図5に示すコーナ金具47が設けてある。コーナ金具47のガラス4側面には、図1及び図2に示すように、第13熱膨張耐火材32nが設けてある。
尚、上述した第1熱膨張耐火材32a及び下述する第12熱膨張耐火材32m、第13熱膨張耐火材32nには熱が伝わり難い箇所に設けてあるので低温熱発泡体(約160℃で発泡を開始する)が用いられており、その他の熱膨張耐火材、即ち第2熱膨張耐火材32b〜第11熱膨張耐火材32kには、一般的は熱発泡体(約200℃で発泡を開始する)が用いられている。
【0016】
次に、本実施の形態にかかるサッシ1の作用効果について説明する。
図1に示すように、火災時に、アルミ樹脂複合障子3の樹脂形材6が焼け落ちた場合でも、火災の熱により下枠15に設けた第4熱膨張耐火材32dが膨張して下框7の下補助板29に当接して、下框7と下枠15との間の空間を塞ぐ。これにより、火災時にアルミ樹脂複合障子3の下框7と下枠15との間から外気が室内に入り込んだり、室内の炎を外に噴出するのを防止できる。
障子の上框5と上枠13との間では、第3熱膨張耐火材32cが膨張して上補助板31に当接して、上框5と上枠13との間の空間を塞ぐ。したがって、上框5と上枠13との間においても、火災時にこれらの間から外気が室内に入り込んだり、室内の炎を外に噴出するのを防止できる。
上枠13に設けた第3熱膨張耐火材32c及び下枠15に設けた第4熱膨張耐火材32dは、室内側において各々障子3の見込面と室内側見付面とのコーナ部5c、7cに対向して設けてあると共に火災の熱により膨張して室内側からコーナ部5c、7cに当接する。これらの熱膨張耐火材32c、32dは、火災の熱により膨張して室内側からコーナ部5c、7cに当接する位置にあるから、障子との距離が最も近い位置に配置でき、火災時に膨張したときに上枠13及び下枠15と、障子3との間を確実に且つ容易に塞ぐことができる。
即ち、上枠13には、対向する上框5の室内側見付面と見込面とのコーナ部5cに室内側から当接する第3熱膨張耐火材32cを設けているので、上框5の見込み面と上枠13の見込み面との間隔に比較して第3熱膨張耐火材32cと上框5との距離を短くできるから、上枠13にのみ熱膨張耐火材32cを設けるだけで隙間を塞ぐことができ、従来技術のように枠と框との両方に熱膨張耐火材を設ける必要がないので、熱膨張耐火材の使用量を少なくできると共に一方にのみ熱膨張耐火材を設けるだけなので施工が容易である。下枠15と下框7においてもコーナ部7cに室内側から当接する第4熱膨張耐火材32dを設けているので、上枠13と上框5の場合と同様に熱膨張耐火材の使用量を少なくできると共に施工が容易である。
また、第3熱膨張耐火材32c及び第4熱膨張耐火材32dは、面を室外側に向けて傾斜しているから、室外側の熱を面全体で受け易く、火災発生時に面全体が早期に膨張して枠と障子との間を塞ぐことができる。
更に、上枠13に第3熱膨張耐火材32cを保持する熱膨張耐火材保持具43を設けて、熱膨張耐火材保持具43は上枠の見込み面にねじで固定してあるから、上框5のコーナ部5cに対向する位置に面を室外側に向けて且つ室内側端を内周側に向けて傾斜した第3熱膨張耐火材32cを配置することが、簡易な構成で容易にできる。下枠15においても、第4熱膨張耐火材32dを保持する熱膨張耐火材保持具43を設けているので、上框5のコーナ部5cに対向する位置に面を室外側に向けて室内側端を内周側に向けて傾斜した第4熱膨張耐火材32dを配置することが、簡易な構成で容易にできる。
【0017】
上下左右の框5、7、9、9には、ガラス保持溝21内にスチール製のガラス間口補強材25が設けてあり、ガラス間口補強材25によりガラスの四周を保持しているので、火災時にアルミニウム製の框5、7、9、9が溶けた場合でもガラス4を保持して、ガラス4の脱落を防止できる。
更に、各ガラス間口補強材25にはガラス端面に対向して第1熱膨張耐火材32aが設けてあり、火災時に第1熱膨張耐火材32aが熱膨張してガラス4の端面との間を塞ぐから、ガラス間口補強材25とガラス端面との間から、外気が室内に入り込んだり室内の炎を外に噴出するのを防止できる。
また、コーナ金具47に設けた第13熱膨張耐火材32nがガラスコーナ部との間を塞ぎ、竪框9ではガラス保持溝21の室内側面に設けた第12熱膨張耐火材32mが竪框9の室内側壁とガラス間口補強材25との間を塞ぐ。
【0018】
図1に示すように、上框5の樹脂製形材6の中空部6a内には、反り防止金具33が設けてあり、樹脂製形材6が焼け落ちると、図3に二点鎖線で示すように、係止部材35がスプリング37に付勢されて起立し、上枠13のロック受け41の室内側に対向する。これにより、火災時に障子が熱により反ろうとすると係止部材35がロック受け41に当接して障子の反りを防止し、枠11と障子3との間に大きな隙間できるのを防止できる。
下枠15では第5熱膨張耐火材32eが膨張して排水穴42を塞ぐので、かかる排水穴42から外気が室内に入り込んだり、室内の炎を外に噴出するのを防止できる。また、下框7のガラス保持溝21の溝底に設けた排水穴は、第2熱膨張耐火材32bで塞ぐことができる。
図2に示すように、竪框9と竪枠17との間では、第6熱膨張耐火材32fが膨張して竪框9と竪枠17との間を塞ぐので、竪框9と竪枠17との間を熱膨張耐火材32fにより塞ぎ、外気が室内に入り込んだり、室内の炎を外に噴出するのを防止できる。
【0019】
以下に本発明の他の実施の形態を説明するが、以下に説明する実施の形態において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することによりその部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では第1実施の形態と主に異なる点を説明する。
図6〜図17を参照して本発明の第2実施の形態を説明する。第2実施の形態にかかるサッシ1は、たてすべり出しサッシであり、図6に示すように、上框5と上枠13との間と、下框7と下枠15との間にステー19が設けてある。
上框5には中空内に断面コ字形状のスチール製の補強材49が設けてあり、この補強材49は、上端部49aがねじ46によりステー19に固定してあり、下端部49bがねじ48によりガラス間口補強材25に固定されている。上框5の室外側上面には上枠13との間を塞ぐ第8熱膨張耐火材32hが設けてある。
下框7には、中空内にスチール製の断面コ字状の補強材51が設けてあり、補強材51の上端部51aは下框7のガラス間口補強材25にねじ50で固定してあり、下端部51bは下補助板29にねじ30で固定されている。図15に示すように、補強材51が配置されている下框7の下面7aには、その長手方向一端部に排水穴7bが形成されており、図6及び図16に示すように、補強材51には、排水穴7bの位置に対応して穴51dが形成されていると共に穴51dの横にある側壁51cに第11熱膨張耐火材32kが設けてある。
【0020】
下枠15に設けた熱膨張耐火材保持具43は、図14に示すように、下ステー19の配置空間を規定しており、下ステー19の位置決めを兼ねている。また、図6に示すように、第2実施の形態では、下枠15にはスチール製の断面コ字形状の補強材52が設けてあり、下枠15の排水穴42に対向して配置する第5熱膨張耐火材32eはこの補強材52に設けてある。
左右の竪框9、9の外周側面の室外側には、対向する竪枠17との間を塞ぐ第8熱膨張耐火材32hが設けてある。第8熱膨張耐火材32hは、竪框9に嵌合してあり、経年劣化により第8熱膨張耐火材32hが剥がれ落ちるのを防止している。
左右の竪枠17、17には、第8熱膨張耐火材32hに対向する位置に第7熱膨張耐火材32gが設けてあり、火災の熱により第7熱膨張耐火材32gと第8熱膨張耐火材32hが膨張して互いに当接することにより、竪枠17、17と対向する竪框9,9との間を塞ぐようにしてある。尚、第7熱膨張耐火材32gは竪枠17に嵌合してあり、経年劣化により第8熱膨張耐火材32gが剥がれ落ちるのを防止している。
図7に示すように、ハンドル53側の竪框(図7及び図8において右側框)9には、デッドボルト54が設けてある。ハンドル53は樹脂製であり、ハンドル53の取付け部には、図13に示すハンドル台座55が取付けてある。図7及び図8に示すように、ハンドル台座55には、その内周側に第9熱膨張耐火材32iが固定されている。
【0021】
図8に示すように、ハンドル側の竪框9の下部にはスチール製の落下防止具57が設けてあり、対応する竪枠17には、スチール製の落下防止受け59が固定してある。図9及び図10に示すように、落下防止受け59は落下防止具57を上から係合する凹状の係合部59aが形成されている。
ハンドル53を取り付けていない側の竪框9には、図7及び図8に示すように、スチール製の開き防止金具61が設けてあり、対向する竪枠17にはスチール製の受け金具63が取付けてある。開き防止金具61は、図12に示すように竪枠側に突出した突片61aを有し、受け金具63は、図11に示すように室外側壁63a、上壁63b及び下壁63cを有し、開き防止具61が受け金具63から室外側に外れるのを阻止している。開き防止金具61及び受け金具63は、図17に示すように、上下方向の3箇所に設けている。
【0022】
また、図7及び図8に示すように、左右の竪枠17、17には、各々熱膨張耐火材保持具65を長手方向に設けてあり、熱膨張耐火材保持具65は横断面が略L字形状を成し、見込壁65aを竪枠17の見込方向略中央部にねじ66で固定してあり、室内側に第10熱膨張耐火材32jを保持する保持部65bを備えている。熱膨張耐火材保持部65bは、面を室外側に向けて且つ室内側端を内周側にして傾斜してあり、第10熱膨張耐火材32jは、竪框9の室内側面と見込面とが成すコーナ部9cに対向して設けてある。
【0023】
この第2実施の形態によれば、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏すると共に、枠7には、図6に示すように、障子3の上框5の室内側コーナ部5cに対向する第3熱膨張耐火材32c、下框7の室内側コーナ部7cに対向する第4熱膨張耐火材32d及び図7、図8に示すように、左右の框9、9の室内側コーナ部9cに対向する第10熱膨張耐火材32jを設けてあり、火災時に、枠11の室内側の四周に設けた熱膨張耐火材32c、32d、32jが膨張して障子3の四周における室内側コーナ部5c、7c、9cに室内側から当接して、障子3と枠11との間を塞ぐ。これにより、火災時に障子3と枠11との間から外気が室内に入り込んだり、室内の炎を外に噴出するのを防止できる。
また、上框5の室外側、下框7の室外側、左右の竪框9、9の室外側には第8熱膨張耐火材32hが設けてあり、火災時に室外側における障子3と枠11との間を塞いで、外気が室内に入り込んだり、室内の炎を外に噴出するのを更に防止できる。
図7に示すように、ハンドル台座55に第9熱膨張耐火材32iが設けてあるから、火災時に、樹脂製ハンドル53が溶け落ちても、ハンドル53を取付けてあるハンドル台座55の穴55aを塞ぐことができる。
更に、火災時に、下框7の下面7a形成されている排水穴7bを補強材51に設けた第11熱膨張耐火材32kで塞ぐことができる。
上枠13に設けた第3熱膨張耐火材32c及び下枠15に設けた第4熱膨張耐火材32dに加えて、左右の竪枠17に設けた第10熱膨張耐火材32jも面を室外側に向けて且つ室内側端を内周側に向けて傾斜して、室外側における火災時の熱を面で受け易くしているから、火災時に障子の四周で枠との間を早期に塞ぐことができる。
【0024】
図8に示すように、ハンドル53が取り付けてある竪框9には、落下防止金具57が設けてあり、対向する枠17には落下防止金具受け59を設けているので、火災時における障子3の落下を防止できる。
また、他方の竪框9bには、図7及び図8に示すように、開き防止金具61を設けてあり、対向する竪枠17には受け金具63が設けてあるので、火災時に障子3が回転して開くのを防止できる。
【0025】
図18を参照して、本発明の第3実施の形態を説明する。図18は第3実施の形態にかかるサッシ1の下枠15及び下框7を示したものであり、第4熱膨張耐火材32dは、下框7の室内側見付け面と見込み面とのコーナ部7cに対向して配置してあり、火災時期に膨張してアルミニウム製の下框7のコーナ部7cに当接するようにしたものである。また、第4熱膨張耐火材32dは、熱膨張耐火材保持具43に嵌合固定してあり、経年劣化による脱落を防止してある。
この第3実施の形態においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0026】
本発明によれば、第3熱膨張耐火材32c、第4熱膨張耐火材32d及び第10熱膨張耐火材32jは、面を室外側に向けて且つ室内側端を内周側に向けて傾斜して設けてあるので、室外側の熱を面で受け易く、火災発生時に早期に面全体が膨張して室内側から対向する框に当接して、枠11と障子3との間を塞ぐことができる。これにより、火災時に框5、7、9と枠11との間から外気が室内に入り込んだり、室内の炎を外に噴出するのを防止できる。また、第3熱膨張耐火材32c、第4熱膨張耐火材32d及び第10熱膨張耐火材32jは、火災の熱により膨張して室内側から障子3の見込面と室内側見付面とのコーナ部5c、7cに当接する位置にあるから、障子3との距離が最も近い位置に配置でき、火災時に膨張したときに枠11と障子3との隙間を確実に且つ容易に塞ぐことができる。更に、枠11に第3熱膨張耐火材32c、第4熱膨張耐火材32d及び第10熱膨張耐火材32jを保持する熱膨張耐火材保持具43、65を設けて、熱膨張耐火材保持具43、65は枠11の見込面にねじで固定してあるから、框のコーナ部5c、7c、9cに対向する位置に面を室外側に向けて且つ室内側端を内周側に向けて傾斜した第3熱膨張耐火材32c、第4熱膨張耐火材32d及び第10熱膨張耐火材32jを配置することが、簡易な構成で容易にできる。
また、サッシがすべり出しサッシや開きサッシ等のスイング系サッシである場合は、特に、サッシ1の枠11は、火災時に室外側から火が入り易い為に、室外側から受けた熱により熱膨張耐火材32c、32d、32jが火災発生時に早期に膨張できることで、防火性能を効果的に高めることができる。
【0027】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、第1及び第2実施の形態において、下框7の補助板29はスチール材に限らず、アルミニウム等の他の金属材やカーボン材であっても良く、樹脂製形材6よりも融点が高いものであれば良い。
第1実施の形態において、上框5には上補助板31を設けずに、下框7にのみ下補助板29を設けるものであっても良い。
サッシ1はすべり出しサッシや、横すべり出しサッシに限らず、外倒しサッシ、突き出しサッシ、開きサッシ、回転サッシ、引き違いサッシ、片引きサッシ、FIXサッシ等のサッシであっても良い。
また、サッシ1は、障子3の輪郭が丸形であっても良く、障子3の形状は限定されない。
【符号の説明】
【0028】
1 サッシ
3 アルミ樹脂複合障子(障子)
32c 第3熱膨張耐火材
32d 第4熱膨張耐火材
32j 第10熱膨張耐火材
43 熱膨張耐火材保持具
65 熱膨張耐火材保持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
障子と、障子を保持する枠とを備え、枠は、火災の熱により膨張して対向する框に当接する熱膨張耐火材を備え、熱膨張耐火材は面を室外側に向け且つ室内側端を内周側に向けて傾斜してあることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
熱膨張耐火材を保持する保持具を備え、熱膨張耐火材保持具は枠の見込み面に各々ねじで固定してあることを特徴とする請求項1に記載のすべり出しサッシ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2013−72218(P2013−72218A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212226(P2011−212226)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】