サトウキビに由来する抽出物、およびこれらの製造方法
GIまたは燃焼速度減少特徴を有する、サトウキビに由来する抽出物であって、一つ以上のポリフェノール、一つ以上の炭水化物、一つ以上の無機物、および一つ以上の有機酸の混合物を含んでいる抽出物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サトウキビに由来する抽出物であって、一つ以上のポリフェノール、一つ以上の炭水化物、一つ以上の無機物、および一つ以上の有機酸の混合物を含んでいる抽出物に関する。これに加えて、本発明は、サトウキビ由来抽出物、ならびに他の植物化学物質抽出物の精製方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、公知の文献、活動、または項目が参照されるか、または考察される場合、この参照または考察は、公知の文献、活動、または項目、またはこれらのいずれかの組み合わせが、優先権主張日において、公に入手しうるか、一般の人々に公知であるか、または共通の一般的な知識の一部であること、または本明細書が関係するいずれかの問題を解決しようとする試みに関連することが公知であったことを認めている訳ではない。
【0003】
[サトウキビ精製]
サトウキビは、機械で収穫された後、ミルへ輸送され、歯付きローラ間で押し潰される。押し潰されたサトウキビはついで、圧搾されて、粗糖ジュースが抽出され、一方、バガス(残留繊維質物質)は、燃料に用いられる。この粗ジュースはついで、その沸点まで加熱され、あらゆる不純物が抽出され、ついで石灰および漂白剤が添加され、ミルマッドが除去される。この粗ジュースは、真空下でさらに加熱され、濃縮され、ブリックス値を増す。濃縮シロップが播種されて、バルク糖結晶、および廃糖蜜として公知の濃いシロップを生成する。これら2つは遠心分離機で分離され、廃糖蜜廃棄物ストリームが、低グレード動物供給原料としての使用のために収集される。このプロセスのフローチャートを下に示す。
【0004】
【表1】
【0005】
糖精製プロセスはこのようにして、粗ジュース、バガス、ミルマッド、清澄化ジュースなどを含む多数の生成物を発生させる。
【0006】
上記プロセスからのバルク糖結晶は、さらに精製されて、多くの商業的に入手可能な糖生成物を生成する。例えばさらなる精製は、バルク糖結晶と熱い濃縮シロップとを混合して、結晶上で外側コーティングを軟化させる工程を含んでいてもよい。これらの結晶はついで、遠心分離機により回収され、その後温水中に溶解される。これは、アフィネーション(affination)と呼ばれることがある工程である。この糖液はついで、炭酸化もしくは光浮上分離(phosfloatation)、濾過、脱色によってさらに精製され、ついで細かい糖結晶が播種される。これらの結晶は、ひとたび必要とされるサイズまで成長したら、遠心分離機によってシロップから分離され、ついで乾燥され、等級付けされ、包装される。糖液からの糖結晶の回収のいくつかの反復があってもよい。糖結晶のすべてが回収された後に残される黒い糖シロップもまた、廃糖蜜と呼ばれる。
【0007】
商業的に製造される糖のほぼすべては白色であり、顆粒状にされている。白色グレードの糖は、99.5%スクロースであり、平均0.6mmの結晶から構成されている。上白糖は、0.3mmの平均結晶サイズを有する。粉砂糖は、白糖を特殊なミルで押し潰し、細かい粉末を生成することによって生成される。
【0008】
同様に、次のものを含む一連の非白糖生成物もある。
(a)コーヒーシュガーは、白糖結晶を抽出した後に残されるシロップを用いて生成される大きい粒子の褐色の美味な結晶である、
(b)粗糖は、サトウキビ植物からのいくつかの残留色および風味を含有する、スクロースシロップから生成された麦わら色の顆粒状化された糖である − これは、衛生的な製品を確保するために特別に選択され、処理される、
(c)金色デメララ糖は、食品に豊かなカラメル味を付与する、選択されたシロップから生成されたプレミアム粗糖である、および
(d)ブラウンシュガーは、精製プロセスの分離段階において生成された、抽出された濃色のスクロースシロップのさらなる結晶化によって生成された、美味で細かい粒子の湿潤結晶である。
【0009】
白糖が除去された後に残るシロップは、ゴールデンシロップおよび糖蜜を作るために用いられる。これらのシロップは、同様な方法で作られるが、その違いは、ゴールデンシロップは脱色されるが、一方、糖蜜は脱色されないということである。
【0010】
[サトウキビの糖の組成]
サトウキビの糖の生成物の組成および廃棄物ストリームは複雑であり、非常に変動的である。すなわちこの化学組成は主として、サトウキビの地理的源および加工処理方法によって決定される。例えば図1は、次の20の商業的供給源からの粗糖およびブラウンシュガーについての基本的な組成要素を示している:
【0011】
・1〜4:商業用粗糖ブランド1
・5〜8:商業用ブラウンシュガーブランド1
・9:コーヒーシュガー結晶ブランド1
・10および11:ダークブラウンシュガーブランド1
・12〜15:商業用粗糖ブランド2
・17:商業用粗糖ブランド3
・18:主要ミル粗糖サンプル1
・19:主要ミル粗糖サンプル2
・20:主要ミル粗糖サンプル3
【0012】
[糖生成物の精製]
糖精製プロセスの廃糖蜜および他の生成物、特に濃いシロップおよびジュースは、物質の複合混合物である。典型的にはこれらは、さらなる精製が難しく、これらは多くの場合、標準的な分離材料を汚染する物質が組成物中に存在する。廃糖蜜および他の濃いシロップおよびジュースは典型的には、ポリフェノール、多糖類、ペプチドおよびタンパク質、無機物、有機酸、および単糖類および二糖類を含んでいる。
【0013】
廃糖蜜、ゴールデンシロップ、および糖蜜は、健康食品として20世紀初頭から用いられており、広い範囲の障害に対する良好な療法または治療薬であるという主張があった。しかしながら濃い味は、多くの人々にとってこれらを受け入れ難いものにし、糖蜜および廃糖蜜の高粘度は、これらを処理して他の食品へ組み込むことを難しくする。ダークシュガー、例えばブラウンシュガーおよびライトブラウンシュガーは、廃糖蜜を精製白糖上へ再び噴霧することによって生成することができる。還元糖の含量、着色料、および水分によって、これらの最終生成物は保存した時に塊になり、吸湿性であり、このことは、商業的および産業的用途を制限し、多くの食品を変色させる。吸湿性の減少、改良された流量、およびより明るい色彩で、健康を促進するための多量の廃糖蜜を有する糖、および糖微粉砕廃棄物ストリーム生成物が望ましいであろう。
【0014】
サトウキビの糖の精製の他の生成物、例えばバガスおよびミルマッドは、潜在的に有用な物質を含むことが知られているが、これらのこれまでの扱いにくさは、これらが通常、廃棄物として捨てられることを意味していた。これらの価値のある廃棄物ストリーム抽出物を、糖を包含するがこれらに限定されない最終生成物中に組み込むための方法を有することが望ましいであろう。
【0015】
本発明者らの以前の国際特許出願WO2005/117608号は、製糖の製造過程生成物および廃棄物ストリーム生成物から有用な抽出物を抽出する1つの方法を教示している。この出願に開示されている方法は、ポリフェノール含量が高く、かつ例えば国際特許出願PCT/AU2006/000769に開示されているもののような方法への使用に有用である抽出物を生成する。しかしながら、この抽出物は、原料の内容物の複雑さを常に反映しているわけではない。
【0016】
[略語のリスト]
BDL 検出限界未満
CE カテキン当量
DW 乾燥重量
GAE 没食子酸当量
GI グリセミック・インデックス
ICまたはICUMSA 糖分析の国際統一方法委員会(International Commission for Uniform Methods of Sugar Analysis)
MF 精密濾過
N/D 検出されず
N/T テストされない
XAD イオン交換分離。本明細書は、樹脂のXADブランドの使用について言及しているが、本発明は、この樹脂ブランドに限定される訳ではなく、イオン交換分離において使用することができるいずれの樹脂ブランドも用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、サトウキビに由来する抽出物、およびこれらの生成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第一態様によれば、GIまたは燃焼速度減少特徴を有する、サトウキビに由来する抽出物であって、一つ以上のポリフェノール、一つ以上の炭水化物、一つ以上の無機物、および一つ以上の有機酸の混合物を含んでいる抽出物が提供される。
【0019】
このサトウキビ抽出物中のポリフェノールの実際の濃度は、その製造に用いられる正確な方法、および原料として用いられるサトウキビのバッチによるであろう。例えば、分子量による分別後、XADを用いて生成された抽出物は、15〜30重量%のポリフェノールを含有するであろう。これに対して、限外濾過および精密濾過を用いて(まったくXADを用いず)生成された抽出物は、1〜3重量%のポリフェノールを含有するであろう。
【0020】
一つの好ましい実施形態において、サトウキビの糖の抽出物中のポリフェノールは、p−クマル酸、フェルラ酸、シリング酸、コーヒー酸、クロロゲン酸、(−)エピカテキン、アピゲニン、(+)カテキン、ケルセチン、ジオスミン、ルチン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0021】
このサトウキビ抽出物は、そのGI低下特徴を依然として維持しつつその味を向上させるいくつかの炭水化物を含んでいる。典型的にはこの抽出物は、炭水化物、例えば単糖類、二糖類、オリゴ糖類、および可溶性および不溶性の両方の多糖類を含んでいる。この抽出物はまた、キシラン由来単糖類、二糖類、三糖類、およびオリゴ糖類、例えばキシロビオース、キシロトリオース、およびキシロースを含有してもよい。この抽出物は、GI増加特徴を有する炭水化物、例えばスクロースおよびグルコースを含んでいてもよい。しかしながらこの抽出物中のGI増加炭水化物の量は、全体としてこの抽出物のGI減少特徴を有意に減らすのに十分なものではない。さらにはこの抽出物は、いくつかの炭水化物を含んでいてもよく、例えば国際特許出願PCT/AU2006/000769に開示されているような身体組成再分配などの用途へのその有用性を維持しうる。
【0022】
このサトウキビ抽出物は、無機複合体を包含する無機物を含んでいる。典型的にはこれらの無機物は、マグネシウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびこれらの混合物から選択される。存在しうる他の無機物は、アニオン、例えばリン酸塩、硫酸塩、および塩化物を包含する。
【0023】
このサトウキビ抽出物は、有機酸を含んでいる。典型的にはこれらの有機酸は、c−アコニット酸、クエン酸、リン酸、グルコン酸、リンゴ酸、t−アコニット酸、コハク酸、乳酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0024】
一つの好ましい実施形態において、GIまたは燃焼速度減少特徴を有する、サトウキビに由来する抽出物であって、1.5〜2.5重量%の一つ以上のポリフェノール、50〜80重量%の一つ以上の炭水化物、1〜3重量%の一つ以上の無機物、および1〜3重量%の一つ以上の有機酸を含む粉末である抽出物が提供される。
【0025】
別の好ましい実施形態において、GIまたは燃焼速度減少特徴を有する、サトウキビに由来する抽出物であって、3.5〜6gCE/Lの一つ以上のポリフェノール、80〜220g/Lの一つ以上の炭水化物、3〜5.5g/Lの一つ以上の無機物、および3〜6gt−アコニット酸/Lの一つ以上の有機酸を含むシロップである抽出物が提供される。
【0026】
典型的には本発明の抽出物はさらに、追加成分、例えばポリコサノール、フィトステロール、脂質、リン脂質、タンパク質、酸化防止剤、フィトステロール、例えば1−オクタコサノール、カンペステロール、スチグマステロール、β−シトステロール、オリゴ糖、例えばラフィノース、1−ケストース、テアンデロース、6−ケストース、パノース、ネオ−ケストースおよびニストース、脂肪族アルコール、ビタミン類、ガムおよび中性および極性脂質、フラボノイド(8下位群:フラボノール(例えばケルセチン、ケンフェロール、ミリセチン、およびイソラムネチン);フラボン(例えばルテオリン、トリシン、およびアピゲニン);フラバノン(例えばヘスペレチン、ナリンゲニン、およびエリオジクチオール);フラバン−3−オール(例えばカテキン、ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキン3−ガレート、エピガロカテキン3−ガレート、およびテアフラビン);アントシアニジン(例えばシアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペラルゴニジン、ペオニジン、およびペツニジン);アントシアノシド;クルクミノイド;およびプロアントシアニン)、およびこれらの誘導体を含んでおり、これは、天然および合成共役体、例えばグリコシド、グルコシド、ガラクトシド、ガラクツロニド、エーテル、エステル、アラビノシド、硫酸塩、リン酸塩;アルドペントース(キシロース、アラビノース)アルドヘキソース(マンノース)、ケトペントース、ケトヘキソース(フルクトース)、ケストース、可溶性ガム、脂肪族アルコール(および錯体)、ワックス(および錯体)、多糖類および繊維(可溶性および不溶性)、オリゴ糖類、非窒素化合物、無機複合体(有機鉄および他の無機物)、植物化学物質錯体(グルコシド、グリコシド、グリコシレート、エステル、グルコピラノシドなどを包含するが、これらに限定されるわけではない)、クロロフィル、フィトステロール(および錯体)、フィトスタノール(および錯体)、加水分解セルロース、およびリン脂質を包含するが、これらに限定されるわけではない。「ポリコサノール」という用語は、本発明の範囲内において、脂肪族アルコールおよびこれらの誘導体、自然界でサトウキビ中に見られる錯体または類似体の族のことを言う。その例は、長鎖脂肪アルコール、例えばオクタコサノール、トリアコンタノール、ドトリアコンタノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、テトラトリアコンタノール、ヘキサトリアコンタノール、およびドコサノールを包含する。
【0027】
一つの好ましい実施形態において、この抽出物は、廃糖蜜に由来するシロップであり、この抽出物は、次の組成を有する:
【0028】
【表2】
【0029】
上記表は、製造設備を出る時の好ましい抽出物に関している。この抽出物は、商品にこれを含める前に変性されてもよい。例えばこれらのレベルは、抽出物が濃縮されて、より高いブリックスを有するシロップまたは粉末を形成するにつれて変化するであろう。このような濃縮抽出物のすべては、この発明の範囲内に含まれる。
【0030】
この抽出物は、サトウキビ微粉砕プロセス、糖を製造するためのサトウキビ精製プロセス、およびサトウキビ生成物を用いた他のプロセス、例えばラム酒製造の一部としての廃糖蜜からのエタノールの製造を包含する、サトウキビに由来するいずれの生成物に由来してもよい。この抽出物は、原料、製造過程の生成物、副生成物、最終生成物、および廃棄物ストリームに由来してもよい。例えばサトウキビ由来生成物は、粗サトウキビジュース、清澄化ジュース、および濃縮ジュースシロップ、糖蜜、廃糖蜜(一次ミルまたは精製所から得られた)、ゴールデンシロップ、ブラウンシュガー、バガス、ビオダンダ、畑屑(field trash)、成長している尖端(growing tips)、パルプ、サトウキビストリッピング、髄、およびミルマッドの供給原料ストリームであってもよい。好ましくはこの抽出物は、廃糖蜜に由来する。
【0031】
別の実施形態において、この抽出物は、異なるサトウキビ生成物からの抽出物の組み合わせであってもよい。例えば所望の植物化学物質プロファイルは、廃糖蜜の抽出物とビオダンダの抽出物とを組み合わせることによって得られてもよい。このような組み合わされた抽出物のすべては、この発明の範囲内にある。
【0032】
本発明の抽出物の物理的特徴は、これらの全体的な化学組成によるであろう。適用される加工処理方法に応じて、これらの抽出物は、シロップを発生させる蒸発によって濃縮されてもよく、あるいは、この抽出物は完全に乾燥されて、粉末を生成することも可能であろう。異なる物理的性質を有する抽出物を調製するこの能力は、これらの抽出物の商業的有用性を増す。これらの物理的特徴および化学組成に応じて、これらの抽出物は、様々な用途に適するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】20の商業用粗糖およびブラウンシュガーの組成を示している。
【図2】実施例4からのグループ1の廃糖蜜の膜濾過後に得られた抽出物の分析を示している。
【図3】実施例4からのグループ1の廃糖蜜の膜濾過後に得られた抽出物の分析を示している。
【図4】実施例4からのグループ2の廃糖蜜の膜濾過後に得られた抽出物の分析を示している。
【図5】実施例4からのグループ2の廃糖蜜の膜濾過後に得られた抽出物の分析を示している。
【図6】実施例6からの実験3についてのA420および酸化防止剤活性を示す、Bio−Gel P−2上の廃糖蜜のゲル濾過を示している。
【図7】実施例6からの実験3についてのA420および総フェノール類を示す、Bio−Gel P−2上の廃糖蜜のゲル濾過を示している。
【図8】実施例6からの実験3についてのA420およびスクロースを示す、Bio−Gel P−2上の廃糖蜜のゲル濾過を示している。
【図9】実施例6からの実験3についてのA420およびグルコース+フルクトースを示す、Bio−Gel P−2上の廃糖蜜のゲル濾過を示している。
【図10】Bio−Gel P−2上で得られた廃糖蜜の分別の写真を示している(実施例6からのプール1〜5)。
【図11】実施例6からのホルメート/アセトニトリル緩衝液pH5.0およびトリスHCl緩衝液pH7.5を用いた、A420プロファイルを示す、Bio−Gel P−2上の廃糖蜜のゲル分別を示している。
【図12a】実施例7からの280nmにおけるXAD−結合サンプルのエチルアセテート抽出(酸性フラクション)(黒いトレース)、およびSPE抽出(60%MEOH)(赤いトレース)からの抽出物のUVトレースの比較を示している。
【図12b】実施例7からの320nmにおけるXAD−結合サンプルのエチルアセテート抽出(酸性フラクション)(黒いトレース)、およびSPE抽出(60%MEOH)(赤いトレース)からの抽出物のUVトレースの比較を示している。
【図12c】実施例7からの370nmにおけるXAD−結合サンプルのエチルアセテート抽出(酸性フラクション)(黒いトレース)、およびSPE抽出(60%MEOH)(赤いトレース)からの抽出物のUVトレースの比較を示している。
【図13】UV検出とともにRP−HPLCによって決定された、検証された3つのサンプル中の選択された化合物の濃度を示している。結果は、p−クマル酸外部較正曲線に対して表示することによって得られた。個々の応答要因は、実施例7から計算されなかった。
【図14】実施例7からの選択された化合物について、LC−MS実験によって生じた情報の概要である。
【図15】実施例7からのXAD−酸抽出物中に検出されたトリシンおよびトリシン含有化合物を示す、SRMおよび生成物特異的MS/MSイオンクロマトグラムを示している。
【図16】実施例7からのXAD−酸抽出物中のいくつかのジオスメチン−含有化合物を示す、生成物−特異的MS/MSイオンクロマトグラム(親m/z299)を示している。
【図17】実施例9からの糖加工処理ストリームバッチ1の組成を示している。
【図18】実施例9からの糖加工処理ストリームバッチ2の組成を示している。
【図19】実施例9からの様々なバッチ中の緩衝タンクストリームの組成を示している。
【図20】実施例9からの様々なバッチ中のミルマッドストリームの組成を示している。
【図21】実施例9からの様々なバッチ中のミルマッド濾過物の組成を示している。
【図22】実施例9からの様々なバッチ中のミルマッド抽出物の組成を示している。
【図23】実施例9からの様々なバッチ中の廃糖蜜ストリームの組成を示している。
【図24】実施例9からの様々なバッチ中の粗糖の組成を示している。
【図25】実施例9からの膜限外濾過による廃糖蜜のフラクションの組成を示している。
【図26】実施例13からの様々なバッチ中のミルマッド抽出物の組成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[本発明の抽出物の調製方法]
好ましい実施形態において、この抽出物は、その工程の1つとして、分子量およびサイズによる分別を含む方法を用いて生成される。
【0035】
分子量による分別は、サトウキビそれ自体の中に存在する植物化学物質の天然混合物をその最終抽出物中に維持する。先行方法は、炭水化物、無機物、および有機酸の大部分を除去する分離プロセスを用いており、その結果生じた抽出物は、サトウキビ中に存在する自然のバランスを示していなかった。
【0036】
本発明の抽出物は、サトウキビ生成物に由来し、好ましくはサトウキビの糖の精製プロセスからの廃糖蜜である。この抽出物は、種々の方法、または方法の組み合わせによるサトウキビ生成物から得られてもよい。例えば、
・非水性または水性溶剤を用いた溶剤および向流抽出、
・サイズ排除加工処理方法、例えばゲル透過クロマトグラフィまたは限外濾過による、特定の分子量範囲内に入る成分の分離、および
・クロマトグラフィ技術、または技術の組み合わせ、例えばイオン交換クロマトグラフィ、疎水性クロマトグラフィ、およびpHの段階的増加によるか、または溶剤例えばエタノールでの分別溶出を用いたイオン交換クロマトグラフィを用いた、低分子量成分および高分子量成分の分離。
【0037】
これらの抽出物は、標準的技術、例えば精密濾過、逆浸透、ゲル透過、真空蒸発、および冷凍乾燥、噴霧乾燥、およびトンネル乾燥によってさらに加工処理されてもよい。
【0038】
[濾過方法]
本発明の好ましい実施形態において、この抽出物は、次の工程を含む方法によって調製される:
(a)サトウキビの糖由来生成物の溶液を加熱する工程、
(b)この溶液のpHを>7に調節する工程、
(c)この溶液またはマトリックスから塩を沈殿させる工程、
(d)この沈殿物をこの溶液またはマトリックスから分離する工程、および
(e)限外濾過または同様なプロセスによってこの溶液またはマトリックスを分別して、所望の抽出物を単離する工程。
【0039】
[ゲル透過方法]
本発明の好ましい実施形態において、この抽出物は、次の工程を含むゲル透過方法によって調製される:
(a)サトウキビの糖由来生成物の溶液を加熱する工程、
(b)この溶液のpHを>7に調節する工程、
(c)この溶液またはマトリックスから塩を沈殿させる工程、
(d)この沈殿物をこの溶液またはマトリックスから分離する工程、および
(e)この溶液またはマトリックスを、クロマトグラフィカラムを下方へ通過させて、溶出されたフラクションを収集する工程。
【0040】
工程(a)〜(d)に好ましい条件は、濾過方法に関して記載されているものと本質的に同じである。典型的には工程(e)は、15〜25℃、好ましくは20〜25℃の温度で実施されるであろう。
【0041】
[この抽出物の使用]
本発明の抽出物は、経済的に有用な新しい製品であり、非常に多様な用途に用いることができる。本明細書に記載されている抽出物は、酸化防止剤に応答すると考えられている多くの状態を治療および/または防止するために、治療能力において利用されてもよい。この状態は、心疾患、アテローム性動脈硬化症、高血圧、血栓症、II型糖尿病、肥満、痴呆症、癌、HIVエイズ、老化にともなう変性状態、酸化的損傷によって引き起こされた病気、および国際特許出願第PCT/AU2006/000769号に記載されているような変化する身体組成を包含するが、これらに限定されるわけではない。これらの天然抽出物は、より良好に吸収されるであろうし、これらの成分の従来源と比較して改良された有効性を示しうると期待される。CVDまたは酸化関連障害のいずれかについて「ハイリスク」と考えられている集団において、これらの抽出物が添加される組成物および食品は、一次、二次、および三次治療計画において用いることができるであろうと考えられる。
【0042】
これらの抽出物の用量は、他の要因の中でも特に、送達方法(すなわち、どのようにして、どの食品、飲料、栄養補給食品、美容食品、または薬品中に、これらの誘導体が究極的に組み込まれるか)、患者のサイズおよび状態、達成されることになる結果、ならびに食品添加剤および医薬品の当業者に公知の他の要因によって様々であろう。同様に、これらの誘導体のはるかに大きい毎日の用量の供給は、過剰量が単に正常な排出通路を通過するだけであろうから、動物宿主に有害でないと認められるであろう。
【0043】
用量は、例えばGIの所望の減少に依存してもよい。例えば、糖中のGIを減少させるために、総ポリフェノール含量は、25〜30mg/100g糖の範囲にある必要がある。本発明による抽出物は、国際特許出願第WO2005/117608号明細書に記載されている低GI製品を調製するために用いることができ、これは、この抽出物が、他のGI低下化合物、例えばガラクトース、アラビノース、ケストース、オリゴフルクトース、またはセルロースとともに用いられる製品を包含する。
【0044】
本発明の抽出物は、例えば混合、注入、注射、ブレンド、分散、乳化、コンチング、押出し、浸漬、噴霧、コーティング、および混練などの技術によって、食品、栄養補給食品、美容食品、または飲料中に、直接、およびさらなる変性をともなわずに組み込まれてもよい。この抽出物は、一般に用いられている食品成分、例えば繊維(チコリ、サトウキビバガス、および他の食品グレード繊維)、および一連の穀物源から調製された小麦粉を含浸するために用いることができる。あるいはこれらの抽出物は、摂取前に消費者によって食品上または飲料中に直接加えられてもよい。これらは単純かつ経済的な送達方法である。
【0045】
本発明の抽出物はまた、国際特許出願第PCT/AU2006/000761号に記載された送達系を用いて、食料品中に組み込まれてもよい。
【0046】
製薬および美容食品投薬形態:
本発明の範囲内において、本発明の抽出物は、様々な従来の製薬および美容食品調製物、および投薬形態、例えば経口、口腔内、または舌下使用のためのタブレット(プレーンおよびコーティングされている)、カプセル(追加コーティングをともなうかまたはともなわない、ハードおよびソフト、ゼラチン)、粉末、顆粒(発泡性顆粒を包含する)、ペレット、微粒子、溶液(例えばミセル、シロップ、エリキシル、および滴)、飴錠剤、芳香製剤、アンプル、エマルジョン、マイクロエマルジョン、軟膏、クリーム、座薬、ゲル、および経皮パッチ、能動および受動輸送を包含する他の経皮送達方法、デポー調製物、経腸溶液、非経口調製物、静脈内溶液、放出調節投薬形態中に、従来の賦形剤および/または希釈剤、および安定剤とともに組み込まれてもよいと考えられる。
【0047】
これらの抽出物はまた、送達を改良するために、担体、例えばセルロース、メチルセルロース、デキストロース、シクロデキストロース、シクロデキストリン、マルチトール、繊維、および繊維含有生物活性物質上に含浸、混合、乳化、噴霧、またはコーティングされてもよい。送達はまた、バイオアベイラビリティ、吸収、および有効性を改良するために、製薬業界において公知の一連の界面活性剤、脂質、錯体、溶剤、および助溶剤製薬送達系で強化されてもよい。
【0048】
食品/飲料/栄養補給食品:
本明細書において用いられているように、「食品」または「食料品」という用語は、あらゆる食用に適する製品、例えば非限定的に菓子、サプリメント、スナック(甘くて風味がよい)、カカオ含有食品、風味料、飲料、動物の健康および栄養摂取において用いられるサプリメントを包含する栄養補助食品および配合物を包含する。結果として生じる食料品において望まれる追加の成分は、このプロセスのどの時点で添加されてもよい。本発明の一つの実施形態において、これらの抽出物は、通常のグルコースの代替物として用いることができるシロップ、およびより低いグリセミック・インデックス(GI)の選択肢として、小麦、トウモロコシ、アガーベ、ステビアなどからの高フルクトースコーンシロップの形態にある。
【0049】
本発明の抽出物は、非限定的に次のものを包含する食品、飲料、および栄養補給食品中に組み込まれてもよい:
・乳製品 − 例えばチーズ、バター、ミルク、および他の乳飲料、スプレッド、および乳製品ミックス、アイスクリーム、およびヨーグルト、
・脂肪ベースの製品 − 例えばマーガリン、スプレッド、マヨネーズ、ショートニング、料理用および揚げ物用油およびドレッシング、
・穀物ベースの製品 − 粒を含んでいる(例えばパンおよびパスタ)。これらの商品が、調理されていても、天火で焼かれていても、あるいは加工されていてもよい、
・菓子 − 例えばチョコレート、キャンディ、チューイングガム、デザート、非乳製品トッピング、シャーベット、糖衣、および他の詰め物、
・スポーツ栄養製品 − 粉末、プレミックス、ジュース、エネルギーバー、アイソトニック飲料、およびゼラチン、デンプンベースまたはペクチンのゼリー、
・飲料 − ホットでもコールドでも(コーヒー、茶、ココア、穀物、チコリ、および他の植物抽出物ベースの飲料)、コーラを包含するアルコールまたはノンアルコール飲料、および他の清涼飲料、果汁飲料、栄養補助食品、インスタントプレミックス、および食事代替飲料、
・その他の製品 − 卵および卵製品を包含する、加工食品、例えばスープ、予め調製されたパスタ。
【0050】
同様に、食品用成分、例えば可溶性繊維(例えばオリゴフルクト糖)、不溶性繊維(例えばサトウキビ繊維、オートブラン)、小麦粉、デンプン、加工デンプン、ゼラチン、または他の食品、本発明による抽出物で含浸されるか、またはこれを含有する製薬または化粧品成分は、強化された濃度のポリフェノール、ポリコサノール、フィトステロール、およびサトウキビに由来する他の植物化学物質を有する独特の食品成分を生成しうる。送達はまた、分散、吸収、および有効性を改良するために、当業界において公知の一連の界面活性剤、脂質、乳化剤、錯体、溶剤、および助溶剤食品、および化粧品送達系で強化されてもよい。
【0051】
本発明による抽出物は、苦味を増すことなく、コーヒー製品の活性植物化学物質含量を増加させるのに特に有用である。コーヒー豆をローストすると、コーヒーの無数の所望の風味の発生を引起こす。ローストはまた、酸化防止剤クロロゲン酸ラクトンおよびフェニルインダンの濃度増加に関連した、コーヒーの苦味も引起こす。コーヒー豆がローストされればされるほど、クロロゲン酸ラクトンおよびフェニルインダンが生成される。本発明の抽出物は、コーヒー製品における活性植物化学物質(例えばポリフェノール)の濃度を増加させるために用いることができ、これらのコーヒー製品を、例えば国際特許出願第PCT/AU2006/00076号において開示されたものなどの用途のために有用なものにする。
【0052】
本発明は、本発明による抽出物を活性成分として単独で、または他の活性成分と組み合わせて含んでいる食料品を包含する。
【0053】
[低GI製品]
特に好ましい用途において、本発明の抽出物は、GIの減少を目的とする配合物戦略において利用されてもよい。本発明の抽出物は、低GI製品、例えば国際特許出願第WO2005/117608号において開示されているが、この明細書において例示された抽出物よりも高い酸化防止剤含量および良い味を有する製品を調製するために用いることができる。液体抽出物の形態にある本発明による抽出物は、(サトウキビに由来するものであっても、砂糖大根に由来するものであっても)標準的な糖上に噴霧されて、低GI糖を生成しうる。液体抽出物の形態にある本発明による抽出物はまた、他の担体、例えば小麦、デンプン、または繊維上に噴霧されてもよく、このようにして、これらの食品成分中の生物活性物質のレベルを増すことができる。この用途のために用いられる抽出物は好ましくは、抽出物が標準的糖結晶へ付着するのを補助するのに十分な、および糖の味を損なうことを最小限にするのに十分なスクロース含量を有する。
【0054】
低GI製品については、低グルコース濃度を有することが好ましい。糖加工処理ストリーム中に発生した廃糖蜜または他の生成物のグルコース含量は、酵素、例えばグルコースを分解するグルコースオキシダーゼ(GO)を用いて減少させることができる。グルコースオキシダーゼとカタラーゼとの組み合わせは典型的には、確実にあらゆる過酸化水素が除去され、かつ発生した酸素がグルコース濃度を減少させるためにGOによって利用されるようにするために使用されることは、当業者に公知であろう。本発明の方法はまた、加工処理ストリーム中に発生した廃糖蜜および他の生成物中のグルコースを減少させるために、他のどの方法を組み込んでもよく、これはついで、糖製品のGIを減少させるために製造プロセス中に再び組み込まれるか、または食品、栄養補助食品、または薬品として単独で用いられる。これは、限外濾過およびイオン交換プロセスの前、その間、またはその後、他の化学的および/または熱反応を通した発酵、またはグルコース消化の促進を包含しうるが、これらに限定されるわけではない。洗糖蜜(affination syrup)および他の糖精製プロセス、または低量の還元糖を含有する廃棄物ストリームは、低GI製品を生成するための供給原料として特に有用な源である。発酵および蒸留の副生物もまた、有用な供給原料である。
【0055】
本発明の方法はまた、国際特許出願第WO2005/117608号または国際特許出願第PCT/AU2006/00076号に開示されている方法および生成物における使用のための生成物を調製するためにも用いることができる。
【0056】
[精製プロセス]
本発明の第二の態様によれば、次の工程:
(a)結果として生じる溶液またはマトリックスの粘度が、40〜60℃の範囲内の温度において約100センチポアズまたはそれ以下になるまで、サトウキビ由来生成物を加熱および希釈する工程と、
(b)(i)工程(a)からの生成物を遠心分離する工程、
あるいは、
(b)(ii)工程(a)の生成物のpHを塩基で調節する工程と、
(c)工程(b)の生成物を70〜80℃の範囲内の温度に加熱し、ついで不溶性カルシウムおよびマグネシウム塩の沈殿物が形成するまで、ある時間これをその温度範囲内に維持する工程と、
(d)この沈殿物および大きい微粒子物質を、工程(c)の生成物から除去する工程、
(e)工程(d)の生成物を分子量およびサイズによる分別で処理し、所望の抽出物を単離する工程と
を含む、サトウキビの抽出物の生成方法が提供される。
【0057】
好ましくは、工程(a)において用いられる温度は約50℃である。好ましくは、達成される粘度は、50〜100センチポアズの範囲内にある。典型的には、工程(a)における希釈のために水が用いられる。サトウキビ由来生成物が廃糖蜜である時、1:0.8〜1.2の廃糖蜜対水の比は典型的には、所望比を提供するために用いられる。好ましい粘度はまた、ブリックスを測定することによっても調節することができる。この場合、好ましくはこの範囲は、30〜50ブリックスであり、より好ましくは35〜45ブリックスである。
【0058】
好ましくは、pHが工程(b)(i)のように調節される時、最終pHは、7.2〜9.5の範囲内にある。pH調節は、いずれかの適切な塩基、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、気体の二酸化炭素(CO2)でのバブリング、または上記のすべての組み合わせを用いて行なうことができる。好ましくは、pH調節は、水酸化ナトリウム溶液を用いて行なわれる。
【0059】
好ましくは希釈液が遠心分離される時、これは、連続脱スラッジ(continuous desludging)遠心分離機を用いて実施され、上澄液は、約4バールの圧力、約30〜100L/時の流量を用い、30〜60℃、好ましくは35〜50℃の温度で、セラミックまたはステンレス鋼膜(典型的には0.10ミクロン〜1.5ミクロン、好ましくは0.1ミクロン〜0.5ミクロン)を通して直接加工処理される。
【0060】
好ましくは、工程(c)の温度は約75℃である。好ましくは、時間は、10〜30分の範囲内にあり、より好ましくは約20分である。
【0061】
工程(d)において用いられる設備に必要な場合、工程(c)からの混合物は、工程(d)の前に冷却される。
【0062】
工程(d)は、沈殿物を除去するための当業者に公知のいずれかの方法を用いて達成することができる。典型的にはこれは、脱スラッジ遠心分離機、または珪藻土または細かいモスリンまたは同様な材料を包含する他の濾過方法を用いて実施される。例えばこの混合物は、4バールの圧力、30〜100L/時の流量を用い、30〜60℃、好ましくは35〜50℃の温度で、セラミックまたはステンレス鋼膜(0.10ミクロン〜1.5ミクロン、好ましくは0.1〜0.5ミクロン)を通過させてもよい。未透過物(retentate)(典型的には工程(d)からの沈殿物および大きい微粒子物質)が捨てられ(典型的には7.2〜7.5の範囲内のpHを有する水での洗浄後)、透過物が収集される。いくつかの用途において、この未透過物は洗浄されず、完全に捨てられる。あるいは、沈殿物および大きい微粒子物質を除去するために、高速連続遠心分離を用いることができるであろう。
【0063】
一つの好ましい実施形態において、工程(e)は、所望の抽出物を単離するために、限外濾過、ナノ濾過、およびこれらの混合からなる群から選択された一つ以上の分別フィルタまたは膜を用いて実施される。分別フィルタまたは膜は、食品加工業者に公知である。例えば工程(d)からの生成物は、これを、100kDa〜1kDaの範囲内のサイズ排除を有する渦巻き型限外濾過(UF)膜の組み合わせに通すことによって処理することができる。好ましくは30kDa〜50kDaおよび/または1kDaである。ついでさらなる分別が、0.5kDaナノ濾過膜を用いて達成することができる。当業者なら、用いられる膜の選択は、所望の最終生成物、流量、pH、圧力、温度、および様々な条件全体の効率性に依存することが分かるであろう。典型的には工程(e)は、ダイアフィルトレーションを含み、未透過物および透過物が収集されるであろう。典型的には工程(e)は、30〜60℃、より典型的には35〜50℃の範囲内の温度で行なわれるであろう。
【0064】
本発明の別の実施形態において、工程(e)は、ゲル透過を用いて実施される。
本発明の一つの実施形態において、工程(e)の後にさらなる精製工程が続き、これは、イオン交換、さらなる限外濾過もしくはナノ濾過をともなう疎水性クロマトグラフィ、ゲル透過、または逆浸透を包含しうる。
【0065】
このプロセスのための出発原料として用いられるサトウキビ由来生成物は、サトウキビに由来するいずれの生成物であってもよく、これは、サトウキビ微粉砕プロセス、製糖のためのサトウキビ精製プロセス、およびサトウキビ生成物を用いた他のプロセス、例えばラム酒製造の一部としての廃糖蜜からのエタノールの製造からの生成物を包含する。サトウキビ由来生成物は、原料、製造過程生成物、副生成物、最終生成物、および廃棄物ストリームであってもよい。例えばサトウキビ由来生成物は、粗サトウキビジュース、清澄化シロップおよび濃縮シロップ、糖蜜、廃糖蜜(一次ミルおよび精製所)、ゴールデンシロップ、ブラウンシュガー、バガス、ビオダンダ、畑屑、サトウキビストリッピング、髄、成長している尖端、パルプ、およびミルマッドの供給原料ストリームを包含する。好ましくはこのサトウキビ由来生成物は、廃糖蜜である。
【0066】
洗糖蜜、廃糖蜜、または他のプロセス、および精製廃棄物生成物の出発原料としての使用は、大きいポリフェノール、多糖類、ペプチド、およびタンパク質を含有する30kDa膜の使用後、未透過物を供給し、透過物は、より小さいポリフェノール、無機物、有機酸、および単糖類、二糖類、および多糖類を含有するであろう。本発明の方法は、もとの廃糖蜜から含有された酸化防止剤の約90%までを含有する廃糖蜜抽出物の生成を可能にする。透過物はついで、イオン交換、または疎水性樹脂、またはさらなる限外濾過を用いてさらに処理され、ポリフェノール、無機物、有機酸、および炭水化物の所望プロファイルを含有する抽出物を生成しうる。本発明の方法を用いることによって、樹脂を汚染するであろう物質が実質的に減少されてしまうので、樹脂へのあらゆる有害な作用を最小限にすることができる。
【0067】
分別フィルタまたは膜は、工程(e)において収集された材料を、当初供給原料に応じて天然サトウキビジュース中の比と同様な比において無機物(例えばマグネシウムおよびカリウム)の混合物と組み合わせて、スクロース、グルコース、およびフルクトースの既に特定された異なる比として一連のポリフェノールを含有する一連の機能性糖シロップに分離することができる。
【0068】
本発明の方法を用いて収集されたシロップは、飲料、アイスクリーム、および冷たい糖菓、および菓子製品における機能性甘味料として用いることができる。これは、フォンダン、チョコレート製品用のフォンダンクリーム中心、トリュフ、カラメル、ファッジ、ゼラチン、デンプン、およびペクチンベースのガム、およびゼリー、および高沸騰スウィーツ、およびタフィーを包含する。これらのシロップはまた、小麦またはトウモロコシベースのグルコースシロップ、または高マルトースグルコースシロップが用いられるあらゆる食品用途においても用いることができる。分画プロセスは、単糖類対スクロースの比が、このような用途においてスクロース結晶化を阻害するのに十分になるように操作することができる。これらのシロップは、甘味料および結晶化阻害剤の両方として機能するが、同様に追加の天然無機物および酸化防止特性をこれらの製品にもたらすことができる。
【0069】
本発明の一つの実施形態において、これらの分画が本発明の方法から回収されたら、これらは、優先的に一価アニオンを除去するナノ濾過、逆浸透、および/または従来の高真空蒸発プロセスの組み合わせによってさらに濃縮させることができる。これらのシロップの最終固体含量は、0.2〜0.3の範囲内の水分活性で、65〜80%w/vの範囲内であってもよい。このさらなる濃縮は、適切な条件下に例えば5〜25℃で貯蔵された時、6ヶ月までの貯蔵寿命を有するシロップを結果として生じうる。
【0070】
本発明の方法はまた、国際特許出願WO2005/117608号パンフレットまたは国際特許出願PCT/AU2006/00076に開示された方法および製品への使用のための生成物を調製するために用いられてもよい。国際特許出願WO2005/117608号パンフレットは、300kDa膜での限外濾過および溶剤抽出を用いて低GI生成物を調製する方法を開示している。しかしながらこの工程は、サトウキビ生成物中に存在する酸化防止剤の約50%を抽出するだけである。本発明の第二の態様による方法は、サトウキビ生成物中に存在する酸化防止剤のより高い割合を回収する。
【0071】
本発明による方法は、他の源から得られた植物化学物質抽出物を精製するために用いることができる。
【0072】
この発明の第三態様によれば、次の工程:
(a)結果として生じる溶液またはマトリックスの粘度が、40〜60℃の範囲内の温度において約100センチポアズまたはそれ以下になるまで、植物化学物質含有抽出物を加熱および希釈する工程と、
(b)(i)工程(a)の生成物を遠心分離する工程、
あるいは、
(b)(ii)工程(a)の生成物のpHを塩基で調節する工程と、
(c)工程(b)の生成物を70〜80℃の範囲内の温度に加熱し、ついで不溶性カルシウムおよびマグネシウム塩の沈殿物が形成するまで、ある時間これをその温度範囲内に維持する工程と、
(d)この沈殿物および大きい微粒子物質を、工程(c)の生成物から除去する工程と、
(e)工程(d)の生成物を分子量およびサイズによる分別で処理し、所望の抽出物を単離する工程と
を含む、植物化学物質抽出物の精製方法が提供される。
【0073】
この植物化学物質抽出物は、植物化学物質、例えばポリフェノールを抽出することができることが知られている多様な植物源から調達されてもよい。典型的な源は、カカオ豆、茶殻、鞘殻(pod husk)、コーヒー豆、コーヒー廃棄物、グレープポミス、穀物(例えば大麦、そばの実、トウモロコシ、キビ、オート麦、米、ライ麦、モロコシ、小麦)、マメ科植物(例えば豆およびパルス)、ナッツ(例えばアーモンド、ビンロウの実、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、ピーカンナッツ、クルミ)、脂肪種子(例えば菜種、キャノーラ、大豆、ルリヂサ、綿の実、オオマツヨイグサ、亜麻の種、ゴマ、ヒマワリ、オリーブ油、パーム油、糠油)、果物(例えばベリー類、核果、梨果、トロピカルフルーツ)、野菜(例えばニンジン、タマネギ、アメリカボウフウ、ジャガイモ、ビートの根、サツマイモ、アスパラガス、セロリ、エンダイブ、レタス、ホウレンソウ、アボカド、トマト、ペッパー)、飲料(例えば茶、コーヒー、ココア、ビール、ワイン、リンゴ酒)、および薬草製品(例えばエキナセア、薬用ニンジン、ギンナン、セントジョーンズワート、バレリアン、カワカワ、ノコギリパルメット、ブラックコホッシュ、デビルズクロー、ヒドラスチス、サンザシ、ショウガ、甘草、オオアザミ)を包含するが、これらに限定されるわけではない。
【0074】
これらの生物活性に富んだ抽出物は、一連の食料品、例えばフルーツジュース、およびドライフルーツ、および加工果物中の生物活性物質のレベルを強化するために用いることができる。これらの抽出物とともに用いることができる送達系の一例は、国際特許出願第PCT/AU2006/000761号に開示されている。
【実施例】
【0075】
本発明の様々な実施形態/態様がここで、次の非限定的実施例を参照して記載される。
【実施例1】
【0076】
この実施例において、廃糖蜜が、本発明の第二態様による方法を用いて処理された。
【0077】
[方法]
・工程1:廃糖蜜が、水で1:1の比において希釈され、5%NaOH溶液でpH7.2へ調節され、75℃に加熱された。混合物は、CaおよびMg塩の沈殿物が形成されるまで、75℃で30分間放置された。
【0078】
・工程2:工程(1)からの混合物が、35〜50℃の温度で、0.1〜0.5ミクロンの細孔サイズを有するセラミックまたはステンレス鋼膜を通され、廃糖蜜からの不溶性CaおよびMg塩の未透過物および大きい微粒子物質が捨てられた。
【0079】
・工程3:工程2からの透過物が、35〜50℃の温度で、30kDa限外濾過膜を通され、未透過物がダイアフィルトレーションされ、未透過物(R1)および透過物(P1)の両方が収集された。未透過物(R1)は、大きいポリフェノール、多糖類、ペプチド、およびタンパク質などを含有し、透過物(P1)は、より小さいポリフェノール、無機物、有機酸、および単糖類および二糖類を含有していた。未透過物(R1)は、その後のさらなる作業のために取り置かれた。
【0080】
・工程4:透過物P1は疎水性樹脂を通され、すべての非結合材料が水で洗い流された。溶出液(E1)が収集され、糖、有機酸、ポリフェノール、および無機物を含有することが見出された。
【0081】
・工程5:結合材料(疎水性)がエタノール(70%v/v)で脱着された。回収された脱着溶出液(E2)は、ポリフェノール、いくらかの無機物、および微量成分などを含有することが発見された。エタノールは、蒸留および濃縮によって除去され、残留水性濃縮物が凍結乾燥されて、ポリフェノール粉末(PP1)を生じた。
【0082】
・工程6:さらなる実施形態において、溶出液E2はついで、0.5kDa限外濾過膜を通され、未透過物(R2)は、ダイアフィルトレーションされた。回収された生成物はポリフェノールを含有し、凍結乾燥によって濃縮されて、粉末(PP2)を発生させた。
【0083】
・工程7:溶出液E1は、0.5kDa限外濾過膜を通され、ダイアフィルトレーションされ、未透過物R3が収集された。未透過物R3はついで、蒸発によって濃縮され、ポリフェノールリッチな液体PL1(これは、酸化防止剤含量を高め、国際特許出願第WO2005/117608号明細書による低GI糖を製造するため、糖上に噴霧するために用いることができるであろう)を発生させるか、あるいは完全に乾燥されて、ポリフェノールPP2が富化された粉末を生成した。0.5kDa透過物P2が収集され、濃縮されて、ポリフェノール、酸化防止剤、および無機物が富化された糖シロップSY1が回収された。
【0084】
・工程8:別の実施形態において、最初にセラミックまたはステンレス鋼膜を通る材料は、0.5kDa膜上で処理され、未透過物を生成し、これはダイアフィルトレーションされて、R3を生成した。この未透過物は、廃糖蜜からのもとのポリフェノールおよび酸化防止剤80〜90%、およびスクロース60〜90%を含有しているのが発見されたが、フルクトース、グルコース、および一価カチオンは有意に枯渇していた。この未透過物は、蒸発によって濃縮され、これはまた、酸化防止剤含量を高め、国際特許出願第WO2005/117608号明細書による低GI糖を製造するため、糖上に噴霧するために用いられるか、あるいは、完全に乾燥されて、ポリフェノールPP2が富化された粉末を生じうるであろう。このプロセスからの透過物は、SY1について示されているのと非常に類似した組成を有していた。
【0085】
[結果]
【0086】
【表3】
【0087】
典型的には単糖類、グルコース、およびフルクトースは、30kDa回収フラクションの全糖の25〜35%を構成し、スクロース、グルコース、およびフルクトースについては68:16:16(平均)の比で存在する。この比は、もとの廃糖蜜中に発生するものと同様であるが、色彩において有意に減少している(約27〜30%)。カルシウムおよびマグネシウムの濃度もまた、もとの廃糖蜜の濃度まで有意に減少している。もとの廃糖蜜ポリフェノールのわずか40〜50%が、このシロップ中に回収されるが、これらは、もとの廃糖蜜中に見られるものと異なる範囲およびプロファイルにある(より小さい)。
【0088】
【表4】
【0089】
単糖類、グルコース、およびフルクトースは、0.5kDa未透過物PL1中の全糖の20〜30%を占める。
【0090】
【表5】
【0091】
単糖類、グルコース、およびフルクトースは、SY1中の全糖の80〜88%を占める。これらの結果から、高グルコースおよびフルクトース糖シロップが、これらの廃糖蜜から抽出しうることは明らかである。本発明の方法はこのようにして、食料品において用いることができ、かつ廃棄物生成物からさらなる価値を得る貴重な糖シロップの生成を可能にする。
【0092】
これに代わるプロセスにおいて、工程4および5は省略され、30kDa透過物(P1)は、上の工程6のとおりに処理された。
【0093】
[結論]
この実施例は、様々な濃度の単糖類および二糖類、および一価および二価カチオンと関連して、ポリフェノールおよび酸化防止剤の両方に富むフラクションを生成するために、難しい供給原料、例えば廃糖蜜を、膜濾過およびイオン交換クロマオグラフィーによって分別することができることを明らかに証明している。
【0094】
30kDaおよび0.5kDa膜を用いた膜濾過の組み合わせによって、サトウキビまたはビートからの粗廃糖蜜は、スクロース、グルコース、フルクトース、無機物、一価および二価カチオン、およびアニオン、例えばCl、SO4、PO4、有機酸(例えばシスおよびトランスアコニット酸、クエン酸、およびリンゴ酸)、およびポリフェノール類(フェノール酸、フラボノイド、アントシアニン、アントシアニジンなど)の組成が異なる糖シロップに分別することができる。
【0095】
これらのシロップは、個別にまたはブレンドして用いられ、広い範囲の食品系への使用のための、無機物およびポリフェノール(酸化防止剤活性)に富む一連の機能性甘味料を生成しうる。廃糖蜜の膜濾過を用いて、大きい微粒子物質を含まず、減少した無機物含有量を有する生成物が、典型的にはイオン交換および疎水性クロマトグラフィのために用いられる樹脂上のさらなる分別のための供給原料として用いることができる。このような供給原料は、これらの樹脂の性能を改良する(汚染性が小さく、使用可能期間が長い)。このようにして、食品系において、および栄養補給食品としての使用のために広い用途を有する、さらに精製されて差別化された甘味料シロップおよび高ポリフェノール粉末を生成することができる。
【実施例2】
【0096】
どのようにしてこれらのシロップがブレンドされて、異なる機能性甘味料シロップ(単糖類および二糖類、および一価および二価カチオン)を生成するかの一例として、30kDa濾過からの透過物4部と、実施例1からの0.5kDa濾過からの透過物1部とが混合され、もとの30kDa透過物(比68:16:16)およびもとの0.5kDa透過物1:3:3と比べて、5:2:2のスクロース、グルコース、フルクトース比を有する甘味料を生成した。このような混合物はまた、様々なレベルのポリフェノール、酸化防止剤、および無機物も生成するであろうし、420nmにおける吸光度によって測定された場合、これらの色彩強度は様々であろう。
【実施例3】
【0097】
実施例1からの0.5kDa未透過物は、廃糖蜜供給原料中に発見されたもとのポリフェノールおよび酸化防止剤活性の80〜90%を含有していた。この未透過物が20〜50のCE(カテキン当量)/Lのポリフェノール含量へ濃縮された後、これは糖結晶の表面上へ噴霧されて、低GI糖を生成した。
【実施例4】
【0098】
本発明の第二態様によるプロセスが、様々な膜の分別能力を例証するために廃糖蜜へ適用された。
【0099】
[方法]
膜濾過プラント(およその寸法1200mm×1200mm×1600mm高さ)が、GEA Liquid Technologies Australiaによって供給された。この装置には、ステンレス鋼膜(細孔サイズ0.1μm)、および渦巻き型膜(直径970mm×98mm)を収容するためのハウジングを備えていた。この渦巻き型膜(Syndner 3838)は、0.5、1.0、および30kDaの細孔サイズを有していた。渦巻き型逆浸透膜(Dow−Filmtech 3838)もまた用いられた。
【0100】
脱イオン水供給:脱イオン水が、IBC Waterによって借りられ、ブリスベンから輸送されたイオン交換システムによって供給された。この3床システムは、プレフィルタ、および直列に連結された3つのイオン交換シリンダ、すなわちカチオン、アニオン、および混合カチオン/アニオン交換器からなっていた。これらのシリンダは、本線給水設備へ連結され、脱イオン水は、MFプラントへ直接流れた。
【0101】
廃糖蜜:高温廃糖蜜(70〜80℃)が、生産タンクから直接得られ、等容積の脱イオン水と混合された。この希釈廃糖蜜(80L)は、5M NaOH(900mL)でpH7.5へ調節され、80℃で20分間アルミニウム缶内で加熱された。MFプラントは、約15Lの追加容積および約25Lのホールドアップ容積を含む水で、80℃へ予備加熱された。pH調節された廃糖蜜はついで、0.1μmステンレス鋼膜を通すプレ濾過前に、75〜80℃でプラントを通って循環された。高温廃糖蜜についての1.3g/mLの推定密度、およびプラント中の40Lの水を基準にして、プレフィルタへ適用された廃糖蜜の推定濃度は、約43%(w/v)であった。
【0102】
[グループ1試験]
0.1μmプレフィルタ:希釈廃糖蜜(約43%(w/v))が、1バールの供給圧力および3バールの再循環圧力を用いて、70℃で0.1μmステンレス鋼膜を通してプレ濾過された。
【0103】
0.5kDaナノ濾過:0.1μmプレフィルタからの透過物が、0.5kDaの細孔サイズを有する渦巻き型膜へ適用された。濾過は、20バールの供給圧力および21バールの再循環圧力を用いて40℃で実施された。この実験からの未透過物は、60Lの脱イオン水でダイアフィルトレーションされ、粗糖のコーティングにおける使用の可能性のために凍結保存された。
【0104】
逆浸透:ナノ濾過透過物が、25バールの供給圧力および25.5バールの再循環圧力を用いて、40℃でRO膜を通された。未透過物は、製菓試験における使用のために凍結保存された。
【0105】
[グループ2試験]
グループ1からの試験が、0.1μmステンレス鋼膜でのプレ濾過後、30kDa膜を用いた追加膜工程とともに反復された。30kDa膜での実験は、4バールの供給圧力および5.5バールの再循環圧力を用いて45℃で実施された。その後の工程は、グループ1についてと同じであった。実験室サンプル(100mL)が、供給原料、透過物(最終および複合)、および未透過物から収集された。追加のバルクサンプルは、次のとおりであった:
【0106】
【表6】
【0107】
P1およびR1というコードのサンプルは、各実験の終わりに取られた透過物および未透過物サンプルを表していた。コードP2は、ダイアフィルトレーション前の複合透過物を表し、PWは、ダイアフィルトレーション後に収集された複合透過物であり、PWCは、P2とPWとの組み合わせであった(図2〜5)。
【0108】
図面において:
・/の前の数字は、膜カットオフ(kDa)であり、/0は、その膜サイズへの供給原料である。
・P=透過物、R=未透過物、W=水洗後、PWC=総透過物およびダイアフィルトレーション透過物の複合材料。
・0.1kDaステンレス鋼膜について、追加容積(+)は、予熱用の約15Lの追加水、およびプラント中の約25Lのホールドアップ容積を含む。
・非0.1kDaステンレス鋼膜について、追加容積(+)は、プラント中の約25Lのホールドアップ容積である。
【0109】
分析:サンプルが、次の成分について分析された。すなわち、総フェノール類、逆相HLPCプロファイル、酸化防止剤、単糖類および二糖類、シス−およびトランス−アコニット酸、カチオン/アニオン、全固形物、灰分、導電性、pH、色彩(A420)、およびブリックス°である。6つのサンプルが、多糖類について分析された。
【0110】
【表7】
【0111】
濾過パラメータ:流量、温度、および圧力が、各膜について記録された。各検体についての阻止係数(r)は、次のように計算された:
r=1−CP/CR
(式中、CP=透過物中の検体の濃度、CR=各実験の終了時の未透過物中の検体の濃度である)。
【0112】
パーセンテージ透過データは、当初供給原料のCP/濃度として計算される。
【0113】
[結果]
[グループ1]
プラント操作:ステンレス鋼膜についての流量は、たとえ操作温度が70℃であっても、非常に遅かった(最大21L/h)。グループ1の最後に、圧力ゲージが、約0.5バール低すぎると読取られ、その結果、第一グループにおいて達成することができたであろうよりも低い流量を生じたことが発見された。圧力レベルは、グループ2において調節された。0.5kDa膜について、流量は、最初の15分間は妥当に高かった(>40L/h)が、この実験の残りの間20〜30L/hへ降下した。高い流量(>230L/h)が、逆浸透膜を用いて達成された。
【0114】
組成:グループ1からの膜濾過ストリームについての分析結果が、図2および3に示されている。もとの希釈廃糖蜜(50%(v/v))は、サンプリングされなかった。以前のデータ(例えばフェノール類、全固形物)に基づいて、0.1μm膜でのプレ濾過前の再循環廃糖蜜は、約43%の推定濃度を有する。プレ濾過透過物中の大部分の検体にはほとんど変化がなかった。しかしながら色彩(A420)は、13%減少し、酸化防止剤活性に同様な減少をともなった。酸化防止剤活性のこの減少は、5%におけるグループ2と比較して高かった。総フェノール類は、透過物において2%低下し、トランス−アコニット酸は8%、多糖類は53%低下した。
【0115】
ナノ濾過については、スクロース(7%)および二価イオンの透過は低かったが、単糖類は、60〜80%で高かった。植物化学物質の透過は15〜17%であったが、アコニット酸は2%未満であった。粗糖をコーティングするのに用いることができるであろうダイアフィルトレーションされた未透過物(0.5RW)は、25°のブリックスを有しており、噴霧乾燥に適した固体含量を有するように、少なくとも2回濃縮される必要があるであろう。この未透過物の色彩は黒く、視覚的に廃糖蜜に匹敵した。0.5kDa透過物(0.5/PWC)の逆浸透処理は、大部分の検体の濃度を2〜3倍増加させた。
【0116】
各膜についてのP1およびR1に対して計算された阻止係数が、table4に示されている。高い係数(1に近い)は、膜による低い透過または高い阻止を表すが、一方、低い係数(0に近い)は、膜による高い透過または低い阻止を表す。table4の結果は一般に、膜濾過ストリームの組成に関する以前の観察事項を反映している。
【0117】
【表8】
【0118】
RP−HPLCプロファイル:グループ1についての膜濾過ストリームのRP−HPLCプロファイルが測定された。0.1μmを通るプレ濾過は、透過物のポリフェノールプロファイルに対して影響がなかった。しかしながら0.5kDa膜については、このプロファイルの疎水性末端においてポリフェノールの透過はなかった(>8分)。逆浸透は、0.5kDa透過物のプロファイルにおいて観察された成分の濃度を生じた。
【0119】
[グループ2]
プラント操作:グループ2についての出発廃糖蜜は、加工処理が停止された時に週末中放置されていたバルク材料からサンプルが取られた。この廃糖蜜の組成は、グループ1のものとはわずかに異なっていたかもしれない。0.1μmステンレス鋼膜についての(1.5時間後の)平均流量は、グループ1のものよりも約65%速かったが、効率的加工処理については15L/hで依然として遅すぎた。pH7.5での加熱によって生成された不溶性カルシウム/マグネシウム塩の細かい粒子は、何らかの膜汚れに寄与したかもしれない。高い流量(>120L/h)が、30kDa膜、0.5kDa膜(5分で360L/h)、およびRO膜(350L/h)について達成された。
【0120】
プレ濾過材料についてのpH7.85から、再循環30kDa供給原料中のpH5.04への、30kDaストリーム中のpHの降下があった。酸性洗剤は30kDa膜のプレリンスに用いられなかったので、脱イオン水供給に関して問題があり、供給原料は当初、低pH水とともに再循環されたと想定される。残念なことに、提供されたpHメータは、グループ2においてうまく作動せず、したがって給水のpHテストは実施されなかった。アニオン交換床が枯渇していて、カチオン交換器からの低pH水を中和することができなかった可能性がある。この交換器において、樹脂結合Hイオンは、硬度カチオン、例えばカルシウムおよびマグネシウムと取り替えられる。
【0121】
組成:グループ2についての組成データが、図4および5に示されている。グループ1については、大部分の検体は、多糖類以外0.1μm膜を透過した(34%透過)。30kDa膜を通る透過は、ポリフェノールおよび酸化防止剤については60%、アコニット酸については90%、個々の糖については72%超であった。
【0122】
0.5kDa膜は、グループ1において幾分より良好に機能し、ポリフェノール/酸化防止剤のわずか10±2%の透過しか伴わなかった。しかしながら単糖類の透過は驚くべきことに、グループ1についての59〜80%と比較して、11〜12%で低かった。これは、浸透効果、または低pH供給原料(pH5.3)の使用によるものであったかもしれない。スクロースは、膜による1%透過を示し、アコニット酸は、3%未満の透過を示した。一価カチオン(Na、K)もまた、グループ1においてよりも低い透過を示した。予想されているように、二価イオンは、0.5kDa膜によって大幅に阻止された。グループ2についての阻止係数の概要が、table5に示されている。幾分マイナスの係数の発生は、透過物または未透過物についての異常な結果による。
【0123】
(a)RPHPLCプロファイル
グループ2についての膜濾過ストリームのRP−HPLCプロファイルが測定された。30kDa透過物は、このプロファイルの疎水性末端で2つのピークのレベルにおいて顕著な減少を示した(>11分)。グループ1について、0.5kDa透過物は、このプロファイルの疎水性領域からのピークの喪失を示した(8分後)。この調査に続き、実験室規模のスケール100kDa膜の検証は、この透過物についてのピーク高さの一般的減少を示したが、30kDa膜についてよりも疎水性末端において、より小さい減少を示した。100kDa透過物による酸化防止剤活性の透過(68%)は、生成された30kDa透過物についてよりもわずかに高かった。
【0124】
【表9】
【0125】
[結論]
0.1μmステンレス鋼膜を用いた43%(w/v)廃糖蜜ミックスのプレ濾過は、効果的であるが遅く、15L/hの安定化された流量を生じた。大部分の成分は、多糖類以外0.1μm膜を容易に透過した。
【0126】
ナノ濾過(0.5kDa)は、0.1μmおよび30kDa膜からの供給原料を用いた時、フェノール類、酸化防止剤活性、スクロース、アコニット酸、および二価イオンを適切に阻止した。しかしながら0.5kDaによる単糖類の透過は、30kDa膜後よりも0.1μm膜後に用いられた時、かなり高かった。
【0127】
0.1μm膜からの供給原料を用いた限外濾過(30kDa)は、大部分の検体に対して満足すべき透過レベルを示し、420nm(r=0.86)および鉄(r=0.84)における色彩に対して最高の阻止をともなった。0.5kDa膜の前に30kDa膜を含めると、その後のナノ濾過についてより速い流量、および0.5kDa未透過物における色彩の減少という利点を有する。主要な欠点は、30kDa未透過物中の植物化学物質の損失(40%)である。
【0128】
0.5kDa透過物の逆浸透処理は、大部分の検体の濃度を、未透過物において2〜3倍増加させた。
【0129】
この実施例は、一連の膜および技術を、多様な特徴を有する本発明の第一態様による抽出物を生成するために用いることができることを証明している。
【実施例5】
【0130】
廃糖蜜の膜濾過は、1〜2%(v/v)沈降負荷を除去するために、供給原料が温水で40〜60%(w/v)に希釈されて、プレ濾過されるか、または遠心分離されることを必要とする。0.5kDa膜上でのナノ濾過に進む前に、ナノ濾過膜上に満足すべきフラックス速度を維持するため、およびポリマー成分、例えばメイラードポリマーおよび多糖類を除去するために、中間限外濾過工程が好ましい。0.1μmステンレス鋼膜でのプレ濾過後、30kDa渦巻き型膜を用いて実施された試験は、30kDa膜による120〜150L/hの高い流量を示した。
【0131】
現行実施例は、100kDa膜が、30kDa膜と比較して、成分分別において何らかの利点を提供したかどうかを検証する。具体的には、実験室規模の100kDa膜(VivaFlow 50)が、50℃で40%(w/v)廃糖蜜を用いたその分別能力についてテストされた。
【0132】
[方法]
希釈された廃糖蜜(40%(w/v))が、6000gで1時間10℃において遠心分離され、1.6μmグラスファイバーフィルタ(ワットマン GF/A)を通して濾過された。50℃に保持された希釈廃糖蜜(40%w/v)が、新しいカセットを用いた別々の実験において、1バールおよび2.5バールで、100kDaポリエーテルスルホン膜(107mm×84mm×25mm、Vivaflow 50、Sartorius)を通して濾過された。追加実験(実験2)が、1バールにおける最初の試験に続いて、2バールで再生膜上で実施された。
【0133】
分析:次のテストが、各実験について、供給原料、透過物、および未透過物に対して実施された:総フェノール類、酸化防止剤活性、アコニット酸、多糖類、色彩(A420)pH、導電性、およびHPLCプロファイル。
【0134】
[結果]
table6は、Vivaflow 50直交流型膜(100kDa MWCO)を通した濾過後の色彩および組成における変化を示している。実験1は、1バール圧力で、実験3は、2.5バールで、実験ごとに新しい膜を用いて実施された。実験1における低い方の圧力は、管連結の漏れを埋め合わせるためであった。実験2は、実験1の後の再生膜を用いた。しかしながら、供給業者は、膜の再使用は勧められないと忠告した。
【0135】
【表10】
【0136】
実験1および3について、透過物中の色彩における有意な喪失があった(それぞれ48%および63%)。実験1についてのフェノール類および酸化防止剤の透過は71%であった。わずかにより高い背圧にある実験3について、フェノール類および酸化防止剤の透過は、それぞれ68%および64%であった。実験1および3について、シス−およびトランス−アコニット酸の透過は、92〜95%で高かったが、一方、多糖類は、9〜11%で低かった。これらのサンプルの逆相HPLCプロファイルが、各実験について測定された。ピーク高さはそれぞれの透過物において減少していたが、これらのサンプルにおいてどの個々のビークの喪失はなかった。
【0137】
table7は、約43%の廃糖蜜供給原料を用いて、膜濾過試験から収集されたデータを示している。0.1μm濾過後、植物化学物質またはアコニット酸においてほとんど減少はなかった。30kDa渦巻き型膜についての供給原料は、濾過プラントの始動容積によってかなり希釈された。(30kDa供給原料中の減少成分レベルからの)推定希釈は、1.57倍であった。これは、2.2g/Lの30kDa供給原料における推定多糖類レベルを生じる。透過物中の色彩喪失は、100kDa膜についてのものよりも高かった。30kDa膜を通る植物化学物質の透過は、植物化学物質について60%、アコニット酸について89%、および多糖類について95%であった。これらの試験において、30kDa供給原料における5.0への顕著なpH降下は、おそらくアニオン交換カートリッジによる故障によるものであった。
【0138】
【表11】
【0139】
[結論]
この実施例は、100kDa膜を用いた総フェノール類および酸化防止剤の透過(64〜71%)が、30kDa膜の透過(60%)よりもわずかに高いことを実証した。アコニット酸(89〜95%)および多糖類(9〜11%)の透過は、両方の膜について同様であった。すなわち100kDa膜は、植物化学物質(フェノール類および酸化防止剤)のわずかに高い透過を生じたが、アコニット酸および多糖類の同様な透過を生じた。色彩減少は、30kDa膜を用いた場合、より大きかった。
【0140】
したがって100kDa膜が、植物化学物質の透過の改良のために推奨されるが、多糖類および色彩の除去のためには30kDa膜に勝る利点は提供しない。
【実施例6】
【0141】
この実施例は、本発明の第一態様による抽出物を生成するためのゲル透過の使用を検証する。
【0142】
[方法]
Bio−Gel P−2カラム上の分取ゲル濾過が、100〜1800ダルトン(Da)の分子量範囲内にある希釈廃糖蜜(50%w/v)を分別するために用いられた。6つのクロマトグラフィ実験からの5つの分子量フラクションがプールされ、凍結乾燥された。これらのフラクションは、酸化防止剤活性、総フェノール類、HPLCプロファイル、および糖について分析された。
【0143】
廃糖蜜は、ゲル濾過緩衝液(10%アセトニトリルを含有する20mMアンモニウムホルメートpH5.0)中に50%(w/v)まで希釈され、6000gで1時間10℃で遠心分離された。上澄み液が、1.6μmGF/Aフィルタ(ワットマン)を通して濾過され、ゲル濾過クロマトグラフィへの使用のために−80℃で30mL分量中に凍結された。
【0144】
[ゲル濾過]
ガラスカラム(26mm×1000mm)に、60mL/hの流量で910mmの床高さまでBio−Gel P−2(BioRad、米国)が充填された。この床は、30mL/hで室温において10%アセトニトリルを含有する20mMアンモニウムホルメート緩衝液pH5.0含有中に平衡させられた。希釈廃糖蜜(20mLの50%w/v)が、カラムへ入れられ、5−mLフラクションが収集された。6つのゲル濾過実験が、全部で120mLの希釈廃糖蜜に対して実施された。最初の3つの実験からのフラクションが、色彩(A420)、総フェノール類、および酸化防止剤活性について分析された。最後の3つの実験について、酸化防止剤アッセイは省略された。フラクション容積は、1実験あたり約20管の重量を測り、1g/mLの密度を用いて平均フラクション容積を決定することによって重量測定により決定された。
【0145】
ゲル濾過カラムが、3つの標準、すなわちスクロース(360kDa)、NADH(663kDa)、およびビタミンB12(1355kDa)を用いて較正された。各標準についての分布係数(KDa)は、KDa=Ve−Vo/Vt−Voとして計算された。空隙容積は、ウシ血清アルブミンを用いて決定された。Bio−Gel P−2の分別範囲は、100〜1800Da(BioRad)である。
【0146】
凍結乾燥されたバルクフラクション:各ゲル濾過実験のために、個々のフラクションが、色彩(A420)、総フェノール類、および酸化防止剤のプロファイルにしたがって、5つの主要なフラクションにプールされた。各実験のためにプールされたフラクションは、table15に示されている。
【0147】
【表12】
【0148】
6つのゲル濾過実験後、各プール(プール1〜5)内の6つのサンプルが組み合わされた。10−mLサンプルが、各最終プールから取られ、残りは凍結乾燥された。
【0149】
色彩(A420):ゲル濾過フラクションが、超純水(Arium Model 611、Sartorius)で希釈され、吸光度がHeliosλ(Unicam)分光光度計で、420nmのところで読取られた。
【0150】
総フェノール類:総フェノール類は、フォリン−シオカルト比色分析手順(Kimら、2003年)によって決定された。75−mm試験管中の50μLの希釈サンプルへ、650μLの脱イオン水が添加された。非希釈フォリン−シオカルト試薬(50μL)が、各管へ添加された。溶液が混合され、5分間室温で放置された。最後に、500μLの7%Na2CO3が、反応溶液と混合され、750nmにおける吸光度が、90分後室温で読取られた。総フェノール類含量は、非希釈サンプル1mLあたりのカテキン当量μgで表示された。カテキン標準は、0〜250μg/mLの範囲内で調製された。
【0151】
酸化防止剤活性:当初、等容積の14mM ABTS(2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩)および4.9mMカリウムペル硫酸塩を含有する基質が調製され、暗室に室温で一晩保存された。アッセイに先立ち、この溶液は、超純水で約60倍希釈され、調節されると、734nmにおいて0.99〜1.01の吸光度を生じた。ABTS基質(1mL)が、75−mm試験管において26℃で5分間水浴中にプレインキュベートされ、50μLのサンプルまたは標準が添加された。溶液が混合され、26℃で45分間維持され、この時、吸光度が734nmにおいて測定された。酸化防止剤活性は、非希釈サンプル1mLあたりの没食子酸当量μgで表示された。没食子酸標準は、0〜25μg/mLの範囲内で調製された。
【0152】
RP−HPLCプロファイル:廃糖蜜抽出物の定性フィンガープリントが、システム制御器(モデルSCL−10AVP)、複式ポンプ(モデルLC10−AD)、光ダイオードアレー(PDA)検出器(モデルSPD−M10AVP)、およびデータ収集および分析のためのClass Vpバージョン6.14ソフトウエアを備えたシマズシステムで得られた。サンプル(10μL)が、30℃において30×4.6mm Luna 3μm C18(2)カラム(Phenomenex)で溶出された。流量は1.5mL/分であった。移動相は、次のとおりであった:相A、水中0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)、および相B、0.085%TFA中60%アセトニトリル。勾配プロファイルは、12分間5〜35%B、1分間35〜100%B、および3分間100%B、0.3分間100〜5%B、および4.7分間5%B再平衡であった。溶出ピークは、4nm波長段階で200〜400nmの吸光度スペクトル、および214、254、280、340、および400nmで個々のチャネルを測定するPDA検出器によって検出され、214nmクロマトグラムは、定期的に報告された。ゲル濾過サンプルは、5つの凍結乾燥プールから調製され、等濃度の総フェノール類を含有していた(1mLあたり1mgカテキン当量)。ゲル濾過のために用いられた廃糖蜜のサンプルは、2mgCE/mLを含有していた。
【0153】
糖分析:単糖類および二糖類が、システム制御器(モデルSCL−10AVP)、ポンプ(モデルLC−10ADVP)、屈折率検出器(モデルRID−10A)、およびClass Vp6.12ソフトウエアが取り付けられたシマズシステムを用いて、逆相HPLCによって分析された。サンプル(10μL)が、40℃で操作されている5−μm LC−NH2 Supelcosilカラム(250mm×4.6mm Phenomenex)中に注入された。移動相は、85%アセトニトリルであり、流量は1mL/分であった。サンプルは、20分間定組成的に溶出され、二重に分析された。グルコース、フルクトース、およびスクロースについての標準曲線が、同じ重量分析濃度の各々の糖を含有する4つの標準液を用いて、0.3〜1.2mg/mLの範囲内で調製された。三重の注入が、各標準液に対して行なわれた。
【0154】
SDS−PAGE:SDS−PAGEによる電気泳動法が、ミニ−Protean IIスラブ−ゲルシステム(BioRad)を用いて、12%アクリルアミドゲルに対して実施された。ゲル濾過からの凍結乾燥サンプルが、水中に溶解され(200mg/mL)、30uLが、等容積の負荷緩衝液中に消化された。15uLの容積(1.5mgの固体)がゲル上へ負荷された。電気泳動法は、ブロモフェノールブルー染料の先端(dye front)がゲルの底部に達した時に停止された。ゲルは、0.25%クーマシーブルーで染色され、デスクトップスキャナー(Scanjet 5400C、Hewlett Packard)で走査された。
【0155】
[結果]
Bio−Gel P−2の較正:Bio−Gel P−2カラム上で分子量を決定するための較正曲線が調製された。
【0156】
[ゲル濾過プロファイル]
廃糖蜜(実験3)からの色彩(A420)、酸化防止剤、および総フェノール類についてのゲル濾過プロファイル(実験3)が、図6および7に示されている。A420色彩プロファイルは、このカラムの空隙容積の近くで1つのピーク、およびフラクション62(MW 832 Da)において鋭いピークを示した。吸光度はついで徐々にベースラインまで減少した。酸化防止剤および総フェノール類のプロファイルは、互いに密接に合致していた。最初の2つの酸化防止剤/フェノールピークは、A420ピークと共溶出した。しかしながら、フラクション80(MW 352)における幅広い酸化防止剤/フェノールピークは、色彩ピークと対応しなかった。フラクション69〜100を含んでいるこのピークは、135〜599Daの分子量範囲を有し、低色彩フラボノイドとポリフェノール酸との混合物でありうる。
【0157】
スクロースおよび単糖類(グルコース+フルクトース)のプロファイルが、それぞれ図8および図9に示されている。このカラムは、スクロースおよび単糖類を部分的に分解することができた。スクロースは、酸化防止剤ピークの先導縁部で溶出され(プレフラクション80)、単糖類は、尾縁部で溶出された(ポストフラクション80)。したがって低色彩酸化防止剤ピークは、廃糖蜜のすべての単糖を含有する。
【0158】
低色彩酸化防止剤生成物が必要とされる膜濾過用途のために、600Daを下回る分子量領域を標的することが必要であろう。酸化防止剤のこれらの糖からの分離は、イオン排除クロマトグラフィによって可能になるであろう。
【0159】
[バルクゲル濾過プール]
6つのゲル濾過実験の各々のための5つのプールが解凍され、凍結乾燥前に組み合わされた。図10は、凍結乾燥前の組み合わされたプール(プール1〜5)の色彩を示している。プール1および2はどちらも非常に濃かった。すなわちプール1はわずかに濁っており、プール2は半透明であった。プール3〜5は、薄茶色から浅黄色までの漸減色彩を示した。
【0160】
table9は、凍結乾燥前の組み合わされたプールの組成および各プールについての平均分子量範囲を示している。質量計算から、低色彩酸化防止剤/フェノールピーク(図6および7)は、それぞれ49%の酸化防止剤活性および50%のフェノール類を含有していた。空隙容積において溶出する暗い色彩のピーク(プール1)は、14%の酸化防止剤活性を含有し、暗い色彩の鋭いピーク(プール2)は、28%を含有していた。カラムからの酸化防止剤活性の回復は70%であった。
【0161】
【表13】
【0162】
table10は、凍結乾燥後の組み合わされたプールの組成を示している。物理的特性に関して、プール1は、フワフワした生成物であり、硬くてバリバリしたテクスチャを有するプール2とはかなり異なっていた。プール3および4は、バリバリして吸湿性があり、それぞれ71%および64%糖を含有した。プール5は、暗くて粘り気があり、乾燥トレーから除去するのが難しく、結果としてかなりの生成物の損失を生じた。固体をベースとして(mgGAE/gの固体)、プール2(26%)およびプール5(34%)の凍結乾燥の時、酸化防止剤活性のかなりな損失があった。
【0163】
【表14】
【0164】
RP−HPLCプロファイル: 凍結乾燥ゲル濾過プールの逆相HPLCプロファイル(プロファイルb〜f)が調べられた。すべてのプロファイル間に顕著な差があり、これらは、プールを特徴決定するために用いることができるであろう。プール1は、唯一の小さいピークを有するだけの漸次上昇プロファイルを示した。おそらくはこのサンプルは、HPLCカラムによって個々のピークへ分解することができないであろう不均質ポリマー材料を含有する。プール2は、分子量範囲636〜1377Daを表し、暗褐色材料の鋭いピークを含む。このプールは、1分未満で溶出する最も親水性の材料、および勾配上のいくつかの十分に分解されたピークを示した。プール3および4は、低色彩酸化防止剤ピークを表し、これらのおのおののプロファイル間にかなりな差を示した。プール5は、低分子量フェノール酸、およびカラムに弱く結合されており、かつこれらの分子量にしたがって溶出されなかった、より高い分子量の化合物を代表しうるような一連のピークを示した。このプール中の親水性材料の割合は低く、その結果、このプロファイルの疎水性領域に、より大きいピーク高さを生じた。この廃糖蜜負荷サンプルは、いくつかのピークが、これらのプールにおいてあるいくつかの分子量範囲まで一致することを可能にし、同様に、どの廃糖蜜ピークが、ゲルへ弱く結合され、プール5において溶出されるかを示している。すべてのサンプルは、14.5分の時点で有意なピークを示したが、これは、クロマトグラフィと関連せず、この実験の終わりにカラムからのすべての結合材料を除去するためのアセトニトリルフラッシュを表す。興味深いことに、廃糖蜜中の比較的疎水性の化合物を表すこのピークは、これらのプールの分子量とともに減少した。
【0165】
SDS−PAGE: 凍結乾燥プールの変性電気泳動法が、これらの抽出物中のタンパク質材料を検出するために用いられた。タンパク質バンドは、これらの抽出物において14kDaより上では明白でなかった。プール1(レーン2)において、薄い染色が、染料前線の近くで観察されたが、これが染色タンパク質であるか、または不均一な染料前線からの残留クーマシーブルーであるかは不確かである。低分子量ポリペプチド(<10kDa)の検出は、トリス−トリシン緩衝液で16%ゲルを必要とするであろう。
【0166】
[結論]
ゲル濾過プロファイルは、420nmで測定された暗い廃糖蜜着色料が、カラムの空隙容積(>1800Da)において、および832Daで溶出されたことを示した。酸化防止剤活性および総フェノール類は、これら2つの色彩ピークと共溶出した。幅広い酸化防止剤/フェノールピークは、135〜599kDa間で溶出されたが、色彩ピークと関連しなかった。この酸化防止剤ピークは、すべてのスクロースおよび単糖類を含有していた。これは、49%の溶出酸化防止剤活性および50%の総フェノール類を含んでいた。結果として、廃糖蜜の暗い着色料の除去は、この生成物の酸化防止剤活性をほぼ半減するであろう。空隙容積の近くで溶出する暗い色彩のポリマー材料は、14%の溶出酸化防止剤活性を含んでいた。
【0167】
凍結乾燥ゲル濾過プールの量は、0.5g〜18gで変化し、高い質量が、糖を含有するこれら2つのプールについて得られた。酸化防止剤活性の回復は、これらの凍結乾燥プールのうちの3つにおいて92%超であったが、酸化防止剤活性における有意な損失が、プール2および5に見られた。
【0168】
凍結乾燥プールのHPLCフィンガープリントは、これらのサンプルを特徴決定するために用いることができるであろういくつかの明確な差を示した。変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるタンパク質分析は、すべての凍結乾燥サンプルにおいて14kDa以上で、タンパク質材料の不在を示した。プール1は、染料前線の近くでタンパク質染色のトレースを示した。これは、加水分解可能なタンニンに関連した結合タンパク質でありうるであろう。
【0169】
凍結乾燥サンプルは、その後、多糖類およびポリフェノール特徴決定について、および消化酵素を阻害するこれらの能力について分析されるであろう。
【0170】
この実施例は、廃糖蜜のゲル濾過によって得られた色彩プロファイルが、緩衝液のpHおよび/または組成に依存していること、および本発明による着色が少ない高酸化防止剤抽出物が生成されうることを証明している。pH7.5において、暗い色彩の大部分は空隙容積において溶出されたが、一方、pH5.0において、暗い色彩の第二ピークが、より低い分子量において観察された。pH5.0緩衝液は、ゲルの透過特性の変化に寄与した可能性のある10%アセトニトリルを含有していた。
【0171】
このようなより低い色彩の高酸化防止剤抽出物は、食品の色彩または官能特性を妨害せずにGIを減少させるため、発癌性を減少させるため、または身体組成を変化させるための食品への添加剤として有用であろう。さらには、本発明によるより低い色彩の抽出物は、製薬用途において、特に色彩および苦味が重要な課題である場合に有用である。
【実施例7】
【0172】
16個のフェノール化合物の濃度が、本発明の第一態様による廃糖蜜抽出物の2つのサンプル、および本発明の第一態様による廃糖蜜抽出物が噴霧された糖の1つのサンプルの酸性および塩基性水性フラクションにおいて決定された。これらのフェノール化合物は、これらのサンプルからのエチルアセテート抽出によって単離された。
【0173】
3つのサンプルが、評価のために受け取られた。各サンプルの詳細は、下に示されている。
サンプル1:廃糖蜜からのXAD結合フラクション(粉末)
サンプル2:廃糖蜜からのMF精製フラクション(30kDa透過物からの0.5kDa未透過物、粉末)[MFP]
サンプル3:低GI糖
【0174】
[方法]
サンプル調製−逆相固相抽出(SPE)クリーンアップ: C18SPEカートリッジ(4mL、600mg;Alltech Associates,Deerfield,III.)が、メタノール(3mL)および蟻酸(0.05%、6mL)で調整された。XAD結合フラクション(サンプル1)(189.5mg)が、容量フラスコにおいて水性蟻酸(0.05%、10mL)中に溶解された。この溶液のアリコート(3mL)が、カートリッジ上に負荷され、蟻酸(0.05%、5mL)で洗浄され、水性メタノール(20%、ついで60%、および100%、各々5mL)で溶出され、結果として三つのフラクションを生じた。大部分の褐色の色彩は、60%水性メタノールフラクション中で溶出するのが観察された。
【0175】
溶剤抽出: 各サンプルのアリコート(約200mg)が、酸性化されている(pH1.6)か、または塩基性化されている(pH9.6)水(10mL)中に溶解された。メチル−4−ホルミルベンゾエート(7.4μg)が、内部標準(ISTD)として各溶液へ添加された。混合物は、ついでエチルアセテートで抽出され(2×10mL)、溶剤が真空下で蒸発され(40℃)、混合物が、HPLCおよびLC/MS分析へ付される前に水性蟻酸(0.1%、5mL)中に再構成された。
【0176】
HPLC分析: HPLCは、2つの高圧LC−10ADVPポンプ、SIL−10ADVPオートサンプラー(250μLサンプリングループ)、CTO−1−ADVPカラムオーブン、およびSPD−M10ADVP光ダイオードアレー検出器を備えたシマズシステム(Shimadzu Inc.,Rydalmere,NSW,Australia)を用いて実施された。ポリフェノールの分離に用いられたカラムは、Luna C18(内径4.6mm×長さ250mm、粒子サイズ5μm、Phenomenex,Lane Cove,NSW,Australia)であった。分離のために用いられた移動相は、1mL分−1の流量下、水中2%TFA(A)およびアセトニトリル:水(1:1)中0.5%TFA(B)であった。検体は、次の線形勾配を用いて溶出された。すなわち、20分にわたる20〜50%B、10分にわたる50〜100%Bは、さらに10分間100%Bに留まった。検出は、280、320、および370nmで実施された。検体は、これらの溶出時間(およびLC/MS分析からの特徴的m/z断片、table2)と、基準試料(Sigma−Aldrich,Castle−Hill,NSW,Australia)のものとの比較によって同定された。
【0177】
LC−MS分析: LC−MS分析は、第四溶剤送達系およびオートサンプラーを備えたQuantum TSQ質量分析計(ThermoFinningan,NSW,Australia)で実施された。調査された各抽出物のアリコート(10μL)が、オーブンで30℃へ加熱されたUltracarb(商標)分析カラム(2.1×150mm、5μm粒子サイズ)、(Phenomenex,NSW,Australia)でクロマトグラフされた。移動相は、300μl/分の率で、水中0.5%蟻酸(A)およびアセトニトリル/水(1:1)中0.5%蟻酸(B)からなっていた。線形勾配が用いられた(19分にわたって20%B〜100%B)。クロロゲン酸の溶液を用いた最適化後に設定された条件下、負モードで電気スプレー源を用いて、イオンが発生された。
【0178】
[結果]
下に説明されているように、XADサンプルは、MFPおよび低GI糖サンプルよりも有意に高いレベルの16の選択されたフェノール化合物を含有することが発見された。トリシン−およびジオメチン−グリコシドを含むいくつかの追加成分が、LC−MS/MS実験によりXADサンプル中で暫定的に同定された。
【0179】
抽出研究方法: ポリフェノールフラクションのSPE−ベースの抽出が、最初に実施された。以前の発見事項から予想されるように、60%メタノールフラクションは、他の2つのメタノールフラクションよりも多くのポリフェノール化合物を含有していた(280、320、および370nmにおけるUV吸収を基準として)。しかしながら、SPE抽出からのUVトレースは、低信号対ノイズ比を示した。
【0180】
エチルアセテート抽出に基づく代替研究方法が、次いで用いられた。結果として生じたHPLCトレース(図12)は、SPEクリーンアップからのトレースよりも有意により豊富に、およびより良好な分解で、より多数のピークを示した。このようにしてエチルアセテート抽出物のみが、この調査の残りのために用いられた。エチルアセテート抽出は、できるだけ多くの化合物がこれらのサンプルから確実に抽出されるように、これらのサンプルの酸性化および塩基性化の両方の水溶液に対して実施された。
【0181】
選択されたポリフェノールの定量化:当初、選択された化合物の濃度が、メチル−4−ホルミルベンゾエートに対してこれら3つのサンプルの酸性および塩基性の両方の抽出物において定量的に決定された。しかしながらこの化合物は、強いマトリックス関連バイアスを示し、したがってその使用から得られた結果は疑わしかった。このようなバイアスを排除するために、p−クマル酸の外部較正曲線が確立され、定量的結果を得るために用いられた。各化合物は、3つの波長(280、320、または370nm)のうちの1つにおけるその最大UV吸光度を基準にして定量化された。個々の化合物についての応答要因は決定されず、したがって(p−クマル酸を除いて)すべての化合物の結果は、事実上半定量的である。選択された化合物について得られた結果は、図13に示されている。この図面において、
・aサンプルは、供給された形態で重さが測られた。抽出前にそれ以上の処理は適用されなかった。
・b分析は、強化されたサンプルサイズで実施された(MFPについて〜約800mg、糖について約1604mg)
・cトレース=0.1mg/Kg未満。
【0182】
図に示されているように、XADサンプルは、3つのサンプルすべてのうちで、これらのフェノール類に圧倒的に最も富んでいた。同様に、酸性XADおよびMFPフラクションは、対応塩基性フラクションと比較して、より多量のポリフェノール化合物を含有していた。このことは、フェノール酸、例えばクマル酸、フェルラ酸、およびシリング酸が、サトウキビ生成物の主要なフェノール成分であると以前に報告されていることを考慮すると、予想することができた。この糖サンプルは、XADおよびMFPサンプルと比較して、最も低量のポリフェノール化合物を含有していた。しかしながら、糖ポリフェノール類の多くは、XADおよびMFPサンプルと比較して、このサンプル中の(重量単位あたり)比較的高い糖含量によって、HPLC方法の検出限界以下である可能性があった。この問題を克服するために、増加されたサンプルサイズでの分析が、低GI糖中の追加化合物を検出するために実施された(酸性フラクションのみ)。強化されたサンプルサイズ分析はまた、検出される化合物の数を増加させるために、MFPサンプルについても実施された(酸性フラクションのみ)。
【0183】
いくつかのサンプル中の選択された化合物の存在/不存在(時間的制約による)は、LC−MS調査(例えば親−生成物反応、選択された反応の監視、および生成物特異的反応)によって確認された。図14は、各サンプルに対して実施されたLC−MS実験、および各検体について生成された情報を要約している。この図面において、トリシンのa同定は、基準対照化合物を得ることができず、したがって暫定的であるので、MS断片化にのみ基づいていた。
【0184】
図13において「検出されず」として示されているいくつかの化合物は、様々なLC−MS実験の間、いくつかのサンプル中に検出された(例えば、XAD−塩基性およびMFP−塩基性中のアピゲニン、MFP−酸性およびMFP−塩基性中の(−)−カテキンガレート、MFP−酸性およびMFP−塩基性中のルテオリン)。このことはおそらく、HPLC手法によって採用されたUV検出と比較して、選択された−反応−監視(SRM)モードにおいて実施されているLC−MS系の比較的良好な感受性によるものである。
【0185】
一連のLC−MS/MS実験が、与えられた時間枠内でできるだけ多くの追加フェノール成分を同定する試みにおいて、XAD−酸サンプルに対して実施された。主に標的された化合物は、サトウキビ抽出物中に以前に発見されたフラボングリコシド、ジオスメチン(抽出物中に既に検出されたジオスミンの遊離アグリコン)、および抽出物中に存在することが既に確認されているアグリコンを含有するグリコシド(アピゲニン、トリシン、ルテオリン、ケルセチン)を含んでいた。これらの結果は、下のtable11に要約されている。暫定的に同定された成分のいくつかは、下の構造によって図解されているような置換基の種類においてのみ異なる同様な構造を有する。
【0186】
【化1】
【0187】
【化2】
【0188】
【化3】
【0189】
【化4】
【0190】
【表15】
【0191】
SRMおよび生成物−特異的実験は、XAD−酸抽出物中の(table20に示されているものの)追加的トリシン−含有化合物の存在を強調した(図15)。しかしながらジオスメチン−含有化合物は、少なくともXAD−酸抽出物において支配基であるように見えるが、それは、これらのうちのいくつかが、生成物−特異的(m/z299)分析の間に検出されたからである(図16)。
【0192】
[結論]
サトウキビからのXADおよびMF粉末のHPLCおよびLCMS分析は、どちらも他の植物源中に見られたものと、レベルおよび混合においてまったく異なる、独特の範囲のポリフェノールおよびフラボノイドを含有することを示した。これらはまた、他の方法によって得られた抽出物中に見られるものとも異なっていた。
【0193】
予想されているように、XAD粉末は、MF粉末と比べて、より高い濃度のポリフェノールを有していた。分析された低GI糖中に見られるポリフェノールの一般的なパターンもまた、XADおよびMF粉末中に見られるものと同様であった。これは、向上した酸化防止剤活性および好ましい無機物バランスを有する新しい機能性成分を送達するために、精製糖または粗糖結晶を含浸/コーティングするための富化スプレー源としての高ブリックスシロップの形態におけるMF粉末の使用を強化した。
【0194】
これらの抽出物はまた、食品のGIに影響を与えること、および身体組成を修正することを包含する、臨床的利点を有する生成物を生成するためにも用いることができる。このようなシロップまたは粉末は、同様な機能的結果をもたらすために、他の食品源、例えば繊維および小麦粉を富化するためにも用いることができるであろう。
【実施例8】
【0195】
粗糖を低GI糖生成物へ転換するために、粗糖上に噴霧するのに適したスプレー溶液が、実施例1の30kDa膜透過物(P1)からのシロップから生成された。
【0196】
透過物(P1)は、15〜25のブリックス値を有する、約4.5g/Lポリフェノール、30g/Lフルクトース、30g/Lグルコース、および110g/Lスクロースを含んでいた。
【0197】
この透過物の貯蔵安定性は、60〜70ブリックスへの蒸発、および濃度における約4倍増加によって改良された。組成はこのようにして、約18g/Lポリフェノール、120g/Lフルクトース、120g/Lグルコース、および440g/Lスクロースであった。
【0198】
この濃縮シロップが、ベース糖上へ噴霧された。このベース糖は、(i)結晶質白糖および(ii)遠心段階における一次ミルまたは精製所からの製造過程の粗糖からなっていた。スプレー溶液の量は、ベース糖1kgあたりの当初ポリフェノール/植物化学物質含量に応じて様々であった。典型的には1〜12mLの濃縮スプレーシロップが、各々ベース糖1gへ添加された。すなわち、サトウキビの種類に応じた正確な量が加工処理される。サトウキビの糖のいくつかの種類について、十分な植物化学物質濃度は、(残留する還元糖の量および植物化学物質濃度に応じて)スプレーシロップの最小添加で得ることができるであろう。遠心処理後、糖は回転円筒糖乾燥機で乾燥され、排出に、適切なポリフェノール濃度が確実に得られるように、品質保証/品質制御テストのために、オンラインまたはオフラインのどちらかでサンプルが取られた。
【0199】
機能性食品成分としての使用のための生物活性富化生成物を生成するため、サトウキビの白糖、ビート糖、および他の担体、例えば繊維(例えばバガス)、および様々な穀物源からの小麦粉を含浸またはコーティングするために、同様な噴霧手順を用いることができる。
【実施例9】
【0200】
種々の加工処理ストリームが、本発明の限外濾過方法にしたがって調製された抽出物と比較して、ミルにおける粗糖の生産の間、および廃糖蜜の場合に分析された。
【0201】
サンプル: サンプルが、次の加工処理ストリームから収集された。すなわち、第一抽出ジュース(FEJ)、緩衝液タンク(BT)、ミルマッド濾過物(MMF)、ミルマッド(MM)、蒸発器供給ジュース(ESJ)、シロップ(SYR)、廃糖蜜(MOL)、および粗糖(RS)である。これらのサンプルは凍結保存され、テスト施設へ輸送された。
【0202】
沈降物除去: 液体サンプル(ジュースおよびミルマッド濾過物)が、5000rpmで10分間、5℃で遠心分離され、上澄み液が、ワットマンNo.1濾紙を通して真空濾過された。シロップ、廃糖蜜、および粗糖が、沈降物除去前にそれぞれ10%、10%、および40%に希釈された。無機物分析用サンプルは、沈降物除去のために処理されなかった。
【0203】
ミルマッド抽出物: ミルマッド抽出物が、20gのミルマッドを1分間、45mLの高温(60℃)脱イオン水中で均質化し、5000rpmで5分間遠心分離し、上澄液をデカントすることによって調製された。ペレットが、45mLの高温脱イオン水中に再抽出され、上澄み液が再び収集された。組み合わされた抽出物は、脱イオン水で100mLまで補われ、ワットマンNo.1濾紙を通して真空濾過された。
【0204】
分析: 次の分析方法が用いられた:
【0205】
【表16】
【0206】
[抽出物]
これらの廃糖蜜は、本発明の方法による次の工程段階を用いて数回抽出された:
(a)結果として生じる溶液の粘度が、約50℃の温度において50〜100センチポアズ、および30〜50ブリックスになるまで、これらの廃糖蜜を加熱および水で希釈する工程、
(b)連続脱スラッジ遠心分離機を用いて希釈剤を遠心分離し、上澄み液が、4バールの圧力、約30〜100L/時の流量を用い、35〜50℃の温度で、(0.1〜0.5ミクロンの)セラミックまたはステンレス鋼膜を通して直接加工処理される工程、
(c)工程(b)の溶液を75℃に加熱し、ついで不溶性カルシウムおよびマグネシウム塩の沈殿物が形成するまで、約20分間これをその温度範囲内に維持する工程、
(d)この混合物を、4バールの圧力、30〜100L/時の流量を用い、50℃の温度で、(0.1〜0.5ミクロンの)セラミックまたはステンレス鋼膜を通すことによって、この沈殿物および大きい微粒子物質を、工程(c)で生成された溶液から分離し、未透過物が捨てられ、透過物が収集される工程、および
(e)工程(d)から収集された透過物を、渦巻き型限外濾過膜の組み合わせを通すことによって処理する工程。
【0207】
限外濾過膜は、このプロセスが実施されるたびに交換された。これらの限外濾過膜は、1000〜50,000ダルトンの範囲内のサイズ排除を有していた。このようにして単離された抽出物は、図25に示された組成を有していた。この図面において、Perm=透過物、Ret=未透過物であり、このデータは、透過物および未透過物中の各廃糖蜜成分のパーセンテージを示している。
【0208】
[結果]
図17〜図24によって示されているように、異なる加工処理ストリームの組成は、幅広く様々である。さらには、これらの供給原料ストリームの組成は、サトウキビのバッチ毎に変わる。
【0209】
これらの図面において、次の省略形が用いられている:
・BT=緩衝液タンク
・MMF=ミルマッド濾過物
・MM=ミルマッド
・MME=ミルマッド抽出物(温水抽出物、20g/100mL総抽出物)
・ESJ=蒸発器供給ジュース
・SYR=シロップ
・MOL=廃糖蜜
・RS=粗糖
・FEJ=第一抽出ジュース(図17において、サンプルは、バッチ3から取られる。FEJサンプルは、バッチ1またはバッチ2には供給されなかった。)
【0210】
[結論]
これらの知見は、一次ミルサトウキビ加工処理ストリーム中の生物活性植物化学物質の分配を明らかに実証している。このような分配は、あるいくつかのストリームが、これらの植物化学物質の異なる商業的活用に適するであろうことを示している。
【0211】
清澄化ジュース、シロップ、廃糖蜜、およびミルマッド抽出物はすべて、生物活性物質、例えばポリフェノール/酸化防止剤、有機酸、および無機物の回収のための供給原料として可能性のある源である。廃糖蜜が好ましい源である。ミルマッドおよびバガスも、異なる組成が望まれる植物化学物質の有用源であり、特により高い濃度のポリコサノールおよびフィトステロールを有するが、より低い濃度の炭水化物を有するものである。
【0212】
これらの廃糖蜜から調製された5つの限外濾過抽出物は、各々、XADを用いたさらなる加工処理のための供給原料として用いられた。供給原料としてのこれらの抽出物の使用は、これらがXAD樹脂を汚染する機会を最小限にし、このようにしてこれらの樹脂の効率および使用可能な寿命を向上させるであろうという明らかな利点を提供する。
【実施例10】
【0213】
3つの別個の抽出プロセスが、本発明の第二態様による方法への使用に適した出発原料を調製するために、次のように実施された:
1. 繊維化されたサトウキビの先端部を、真空オーブンで1グループについて40℃で乾燥した。乾燥された材料は、約4時間ソックスレー抽出器を用いてn−ヘプタンで抽出された。この時間の間に、少なくとも10サイクルが完了された。抽出物は、無水硫酸ナトリウム上で乾燥され、乾燥に至るまで蒸発されると、サトウキビの先端部の乾燥重量を基準にして1.2%収率で油性/蝋質材料を生じた。
2. バガスが同様に処理された。乾燥された材料は、バガスの乾燥重量を基準にして0.65%収率で油性/蝋質材料を生じた。
3. ミルマッドが同様に処理された。乾燥された材料は、ミルマッドの乾燥重量を基準にして6.53%収率で油性/蝋質材料を生じた。
【0214】
これら3つの抽出物はついで、実施例9のプロセスに付され、本発明による3つの抽出物を生じた。これらの抽出物は、ポリフェノール含量は高かったが、糖含量は低く、糖が必要とされない用途には有用であろう。
【0215】
この実施例はまた、本発明の一部として記載された抽出物の生成において、一連の供給原料を利用することができることも証明している。
【実施例11】
【0216】
本発明の第二態様による方法が、ビオダンダから本発明による抽出物を生成するために用いられた。
【0217】
【表17】
【0218】
[結論]
この実施例において生成された抽出物は、ポリフェノール含量は高かったが、糖含量は低く、糖が必要とされない用途には有用であろう。この実施例はまた、ビオダンダが、本発明による抽出物を生成するのに有用な供給原料であることも証明している。
【実施例12】
【0219】
この実施例は、一次ミルからの廃糖蜜が、精製所とは異なる組成を有することを証明している。
【0220】
【表18】
【0221】
この実施例は、廃糖蜜源が様々であってもよいこと、およびこの要因は、本発明による抽出物の生成において考察される必要があることを実証している。
【実施例13】
【0222】
この実施例において、ミルマッドの組成が、本発明による抽出物を調製するための供給原料としてのその可能性を証明するために分析された。結果は図26に示されている。
【0223】
この実施例において生成された水性抽出物は、ポリフェノール含量は高かったが、糖含量は低く、ミルマッドは、糖が必要とされない用途のための抽出物を生成するのに有用であろうことを証明した。
【実施例14】
【0224】
次の表は、本発明による抽出物と比較した、国際特許出願WO2005/117608号パンフレットに開示されている方法を用いて得られた抽出物の差を示している。
【0225】
【表19】
【0226】
廃糖蜜供給原料は、加工処理されているサトウキビの変動性、および用いられる加工処理条件(特に混合ジュースを清澄化するための石灰処理および凝集工程において)の結果として、特に無機物組成において有意に様々であることに留意することが重要である。
【0227】
上記表は、本発明による方法が、国際特許出願第WO2005/117608号明細書に開示されている抽出物のものとは非常に異なる組成を有する抽出物を生成することを示している。この差は、単に用いられる廃糖蜜供給原料の差ではない。本発明による抽出物は、はるかに低いポリフェノール含量および他の植物化学物質のはるかに高い含量を有し、このことは、これをサトウキビの天然組成により近付ける。
【実施例15】
【0228】
この実施例は、実施例11におけるビオダンダから得られた抽出物を、実施例6からのプール1〜6と比較する。
【0229】
【表20】
【0230】
この明細書および特許請求の範囲において用いられている「含んでいる(comprising)」という単語、および「含んでいる」という単語の形態は、特許請求されている本発明を、いずれの変形例または追加例も排除するよう制限しているわけではない。
【0231】
本発明への修正例および改良例は、当業者には容易に明らかになるであろう。このような修正例および改良例は、この発明の範囲内にあるものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、サトウキビに由来する抽出物であって、一つ以上のポリフェノール、一つ以上の炭水化物、一つ以上の無機物、および一つ以上の有機酸の混合物を含んでいる抽出物に関する。これに加えて、本発明は、サトウキビ由来抽出物、ならびに他の植物化学物質抽出物の精製方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、公知の文献、活動、または項目が参照されるか、または考察される場合、この参照または考察は、公知の文献、活動、または項目、またはこれらのいずれかの組み合わせが、優先権主張日において、公に入手しうるか、一般の人々に公知であるか、または共通の一般的な知識の一部であること、または本明細書が関係するいずれかの問題を解決しようとする試みに関連することが公知であったことを認めている訳ではない。
【0003】
[サトウキビ精製]
サトウキビは、機械で収穫された後、ミルへ輸送され、歯付きローラ間で押し潰される。押し潰されたサトウキビはついで、圧搾されて、粗糖ジュースが抽出され、一方、バガス(残留繊維質物質)は、燃料に用いられる。この粗ジュースはついで、その沸点まで加熱され、あらゆる不純物が抽出され、ついで石灰および漂白剤が添加され、ミルマッドが除去される。この粗ジュースは、真空下でさらに加熱され、濃縮され、ブリックス値を増す。濃縮シロップが播種されて、バルク糖結晶、および廃糖蜜として公知の濃いシロップを生成する。これら2つは遠心分離機で分離され、廃糖蜜廃棄物ストリームが、低グレード動物供給原料としての使用のために収集される。このプロセスのフローチャートを下に示す。
【0004】
【表1】
【0005】
糖精製プロセスはこのようにして、粗ジュース、バガス、ミルマッド、清澄化ジュースなどを含む多数の生成物を発生させる。
【0006】
上記プロセスからのバルク糖結晶は、さらに精製されて、多くの商業的に入手可能な糖生成物を生成する。例えばさらなる精製は、バルク糖結晶と熱い濃縮シロップとを混合して、結晶上で外側コーティングを軟化させる工程を含んでいてもよい。これらの結晶はついで、遠心分離機により回収され、その後温水中に溶解される。これは、アフィネーション(affination)と呼ばれることがある工程である。この糖液はついで、炭酸化もしくは光浮上分離(phosfloatation)、濾過、脱色によってさらに精製され、ついで細かい糖結晶が播種される。これらの結晶は、ひとたび必要とされるサイズまで成長したら、遠心分離機によってシロップから分離され、ついで乾燥され、等級付けされ、包装される。糖液からの糖結晶の回収のいくつかの反復があってもよい。糖結晶のすべてが回収された後に残される黒い糖シロップもまた、廃糖蜜と呼ばれる。
【0007】
商業的に製造される糖のほぼすべては白色であり、顆粒状にされている。白色グレードの糖は、99.5%スクロースであり、平均0.6mmの結晶から構成されている。上白糖は、0.3mmの平均結晶サイズを有する。粉砂糖は、白糖を特殊なミルで押し潰し、細かい粉末を生成することによって生成される。
【0008】
同様に、次のものを含む一連の非白糖生成物もある。
(a)コーヒーシュガーは、白糖結晶を抽出した後に残されるシロップを用いて生成される大きい粒子の褐色の美味な結晶である、
(b)粗糖は、サトウキビ植物からのいくつかの残留色および風味を含有する、スクロースシロップから生成された麦わら色の顆粒状化された糖である − これは、衛生的な製品を確保するために特別に選択され、処理される、
(c)金色デメララ糖は、食品に豊かなカラメル味を付与する、選択されたシロップから生成されたプレミアム粗糖である、および
(d)ブラウンシュガーは、精製プロセスの分離段階において生成された、抽出された濃色のスクロースシロップのさらなる結晶化によって生成された、美味で細かい粒子の湿潤結晶である。
【0009】
白糖が除去された後に残るシロップは、ゴールデンシロップおよび糖蜜を作るために用いられる。これらのシロップは、同様な方法で作られるが、その違いは、ゴールデンシロップは脱色されるが、一方、糖蜜は脱色されないということである。
【0010】
[サトウキビの糖の組成]
サトウキビの糖の生成物の組成および廃棄物ストリームは複雑であり、非常に変動的である。すなわちこの化学組成は主として、サトウキビの地理的源および加工処理方法によって決定される。例えば図1は、次の20の商業的供給源からの粗糖およびブラウンシュガーについての基本的な組成要素を示している:
【0011】
・1〜4:商業用粗糖ブランド1
・5〜8:商業用ブラウンシュガーブランド1
・9:コーヒーシュガー結晶ブランド1
・10および11:ダークブラウンシュガーブランド1
・12〜15:商業用粗糖ブランド2
・17:商業用粗糖ブランド3
・18:主要ミル粗糖サンプル1
・19:主要ミル粗糖サンプル2
・20:主要ミル粗糖サンプル3
【0012】
[糖生成物の精製]
糖精製プロセスの廃糖蜜および他の生成物、特に濃いシロップおよびジュースは、物質の複合混合物である。典型的にはこれらは、さらなる精製が難しく、これらは多くの場合、標準的な分離材料を汚染する物質が組成物中に存在する。廃糖蜜および他の濃いシロップおよびジュースは典型的には、ポリフェノール、多糖類、ペプチドおよびタンパク質、無機物、有機酸、および単糖類および二糖類を含んでいる。
【0013】
廃糖蜜、ゴールデンシロップ、および糖蜜は、健康食品として20世紀初頭から用いられており、広い範囲の障害に対する良好な療法または治療薬であるという主張があった。しかしながら濃い味は、多くの人々にとってこれらを受け入れ難いものにし、糖蜜および廃糖蜜の高粘度は、これらを処理して他の食品へ組み込むことを難しくする。ダークシュガー、例えばブラウンシュガーおよびライトブラウンシュガーは、廃糖蜜を精製白糖上へ再び噴霧することによって生成することができる。還元糖の含量、着色料、および水分によって、これらの最終生成物は保存した時に塊になり、吸湿性であり、このことは、商業的および産業的用途を制限し、多くの食品を変色させる。吸湿性の減少、改良された流量、およびより明るい色彩で、健康を促進するための多量の廃糖蜜を有する糖、および糖微粉砕廃棄物ストリーム生成物が望ましいであろう。
【0014】
サトウキビの糖の精製の他の生成物、例えばバガスおよびミルマッドは、潜在的に有用な物質を含むことが知られているが、これらのこれまでの扱いにくさは、これらが通常、廃棄物として捨てられることを意味していた。これらの価値のある廃棄物ストリーム抽出物を、糖を包含するがこれらに限定されない最終生成物中に組み込むための方法を有することが望ましいであろう。
【0015】
本発明者らの以前の国際特許出願WO2005/117608号は、製糖の製造過程生成物および廃棄物ストリーム生成物から有用な抽出物を抽出する1つの方法を教示している。この出願に開示されている方法は、ポリフェノール含量が高く、かつ例えば国際特許出願PCT/AU2006/000769に開示されているもののような方法への使用に有用である抽出物を生成する。しかしながら、この抽出物は、原料の内容物の複雑さを常に反映しているわけではない。
【0016】
[略語のリスト]
BDL 検出限界未満
CE カテキン当量
DW 乾燥重量
GAE 没食子酸当量
GI グリセミック・インデックス
ICまたはICUMSA 糖分析の国際統一方法委員会(International Commission for Uniform Methods of Sugar Analysis)
MF 精密濾過
N/D 検出されず
N/T テストされない
XAD イオン交換分離。本明細書は、樹脂のXADブランドの使用について言及しているが、本発明は、この樹脂ブランドに限定される訳ではなく、イオン交換分離において使用することができるいずれの樹脂ブランドも用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、サトウキビに由来する抽出物、およびこれらの生成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第一態様によれば、GIまたは燃焼速度減少特徴を有する、サトウキビに由来する抽出物であって、一つ以上のポリフェノール、一つ以上の炭水化物、一つ以上の無機物、および一つ以上の有機酸の混合物を含んでいる抽出物が提供される。
【0019】
このサトウキビ抽出物中のポリフェノールの実際の濃度は、その製造に用いられる正確な方法、および原料として用いられるサトウキビのバッチによるであろう。例えば、分子量による分別後、XADを用いて生成された抽出物は、15〜30重量%のポリフェノールを含有するであろう。これに対して、限外濾過および精密濾過を用いて(まったくXADを用いず)生成された抽出物は、1〜3重量%のポリフェノールを含有するであろう。
【0020】
一つの好ましい実施形態において、サトウキビの糖の抽出物中のポリフェノールは、p−クマル酸、フェルラ酸、シリング酸、コーヒー酸、クロロゲン酸、(−)エピカテキン、アピゲニン、(+)カテキン、ケルセチン、ジオスミン、ルチン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0021】
このサトウキビ抽出物は、そのGI低下特徴を依然として維持しつつその味を向上させるいくつかの炭水化物を含んでいる。典型的にはこの抽出物は、炭水化物、例えば単糖類、二糖類、オリゴ糖類、および可溶性および不溶性の両方の多糖類を含んでいる。この抽出物はまた、キシラン由来単糖類、二糖類、三糖類、およびオリゴ糖類、例えばキシロビオース、キシロトリオース、およびキシロースを含有してもよい。この抽出物は、GI増加特徴を有する炭水化物、例えばスクロースおよびグルコースを含んでいてもよい。しかしながらこの抽出物中のGI増加炭水化物の量は、全体としてこの抽出物のGI減少特徴を有意に減らすのに十分なものではない。さらにはこの抽出物は、いくつかの炭水化物を含んでいてもよく、例えば国際特許出願PCT/AU2006/000769に開示されているような身体組成再分配などの用途へのその有用性を維持しうる。
【0022】
このサトウキビ抽出物は、無機複合体を包含する無機物を含んでいる。典型的にはこれらの無機物は、マグネシウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびこれらの混合物から選択される。存在しうる他の無機物は、アニオン、例えばリン酸塩、硫酸塩、および塩化物を包含する。
【0023】
このサトウキビ抽出物は、有機酸を含んでいる。典型的にはこれらの有機酸は、c−アコニット酸、クエン酸、リン酸、グルコン酸、リンゴ酸、t−アコニット酸、コハク酸、乳酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0024】
一つの好ましい実施形態において、GIまたは燃焼速度減少特徴を有する、サトウキビに由来する抽出物であって、1.5〜2.5重量%の一つ以上のポリフェノール、50〜80重量%の一つ以上の炭水化物、1〜3重量%の一つ以上の無機物、および1〜3重量%の一つ以上の有機酸を含む粉末である抽出物が提供される。
【0025】
別の好ましい実施形態において、GIまたは燃焼速度減少特徴を有する、サトウキビに由来する抽出物であって、3.5〜6gCE/Lの一つ以上のポリフェノール、80〜220g/Lの一つ以上の炭水化物、3〜5.5g/Lの一つ以上の無機物、および3〜6gt−アコニット酸/Lの一つ以上の有機酸を含むシロップである抽出物が提供される。
【0026】
典型的には本発明の抽出物はさらに、追加成分、例えばポリコサノール、フィトステロール、脂質、リン脂質、タンパク質、酸化防止剤、フィトステロール、例えば1−オクタコサノール、カンペステロール、スチグマステロール、β−シトステロール、オリゴ糖、例えばラフィノース、1−ケストース、テアンデロース、6−ケストース、パノース、ネオ−ケストースおよびニストース、脂肪族アルコール、ビタミン類、ガムおよび中性および極性脂質、フラボノイド(8下位群:フラボノール(例えばケルセチン、ケンフェロール、ミリセチン、およびイソラムネチン);フラボン(例えばルテオリン、トリシン、およびアピゲニン);フラバノン(例えばヘスペレチン、ナリンゲニン、およびエリオジクチオール);フラバン−3−オール(例えばカテキン、ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキン3−ガレート、エピガロカテキン3−ガレート、およびテアフラビン);アントシアニジン(例えばシアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペラルゴニジン、ペオニジン、およびペツニジン);アントシアノシド;クルクミノイド;およびプロアントシアニン)、およびこれらの誘導体を含んでおり、これは、天然および合成共役体、例えばグリコシド、グルコシド、ガラクトシド、ガラクツロニド、エーテル、エステル、アラビノシド、硫酸塩、リン酸塩;アルドペントース(キシロース、アラビノース)アルドヘキソース(マンノース)、ケトペントース、ケトヘキソース(フルクトース)、ケストース、可溶性ガム、脂肪族アルコール(および錯体)、ワックス(および錯体)、多糖類および繊維(可溶性および不溶性)、オリゴ糖類、非窒素化合物、無機複合体(有機鉄および他の無機物)、植物化学物質錯体(グルコシド、グリコシド、グリコシレート、エステル、グルコピラノシドなどを包含するが、これらに限定されるわけではない)、クロロフィル、フィトステロール(および錯体)、フィトスタノール(および錯体)、加水分解セルロース、およびリン脂質を包含するが、これらに限定されるわけではない。「ポリコサノール」という用語は、本発明の範囲内において、脂肪族アルコールおよびこれらの誘導体、自然界でサトウキビ中に見られる錯体または類似体の族のことを言う。その例は、長鎖脂肪アルコール、例えばオクタコサノール、トリアコンタノール、ドトリアコンタノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、テトラトリアコンタノール、ヘキサトリアコンタノール、およびドコサノールを包含する。
【0027】
一つの好ましい実施形態において、この抽出物は、廃糖蜜に由来するシロップであり、この抽出物は、次の組成を有する:
【0028】
【表2】
【0029】
上記表は、製造設備を出る時の好ましい抽出物に関している。この抽出物は、商品にこれを含める前に変性されてもよい。例えばこれらのレベルは、抽出物が濃縮されて、より高いブリックスを有するシロップまたは粉末を形成するにつれて変化するであろう。このような濃縮抽出物のすべては、この発明の範囲内に含まれる。
【0030】
この抽出物は、サトウキビ微粉砕プロセス、糖を製造するためのサトウキビ精製プロセス、およびサトウキビ生成物を用いた他のプロセス、例えばラム酒製造の一部としての廃糖蜜からのエタノールの製造を包含する、サトウキビに由来するいずれの生成物に由来してもよい。この抽出物は、原料、製造過程の生成物、副生成物、最終生成物、および廃棄物ストリームに由来してもよい。例えばサトウキビ由来生成物は、粗サトウキビジュース、清澄化ジュース、および濃縮ジュースシロップ、糖蜜、廃糖蜜(一次ミルまたは精製所から得られた)、ゴールデンシロップ、ブラウンシュガー、バガス、ビオダンダ、畑屑(field trash)、成長している尖端(growing tips)、パルプ、サトウキビストリッピング、髄、およびミルマッドの供給原料ストリームであってもよい。好ましくはこの抽出物は、廃糖蜜に由来する。
【0031】
別の実施形態において、この抽出物は、異なるサトウキビ生成物からの抽出物の組み合わせであってもよい。例えば所望の植物化学物質プロファイルは、廃糖蜜の抽出物とビオダンダの抽出物とを組み合わせることによって得られてもよい。このような組み合わされた抽出物のすべては、この発明の範囲内にある。
【0032】
本発明の抽出物の物理的特徴は、これらの全体的な化学組成によるであろう。適用される加工処理方法に応じて、これらの抽出物は、シロップを発生させる蒸発によって濃縮されてもよく、あるいは、この抽出物は完全に乾燥されて、粉末を生成することも可能であろう。異なる物理的性質を有する抽出物を調製するこの能力は、これらの抽出物の商業的有用性を増す。これらの物理的特徴および化学組成に応じて、これらの抽出物は、様々な用途に適するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】20の商業用粗糖およびブラウンシュガーの組成を示している。
【図2】実施例4からのグループ1の廃糖蜜の膜濾過後に得られた抽出物の分析を示している。
【図3】実施例4からのグループ1の廃糖蜜の膜濾過後に得られた抽出物の分析を示している。
【図4】実施例4からのグループ2の廃糖蜜の膜濾過後に得られた抽出物の分析を示している。
【図5】実施例4からのグループ2の廃糖蜜の膜濾過後に得られた抽出物の分析を示している。
【図6】実施例6からの実験3についてのA420および酸化防止剤活性を示す、Bio−Gel P−2上の廃糖蜜のゲル濾過を示している。
【図7】実施例6からの実験3についてのA420および総フェノール類を示す、Bio−Gel P−2上の廃糖蜜のゲル濾過を示している。
【図8】実施例6からの実験3についてのA420およびスクロースを示す、Bio−Gel P−2上の廃糖蜜のゲル濾過を示している。
【図9】実施例6からの実験3についてのA420およびグルコース+フルクトースを示す、Bio−Gel P−2上の廃糖蜜のゲル濾過を示している。
【図10】Bio−Gel P−2上で得られた廃糖蜜の分別の写真を示している(実施例6からのプール1〜5)。
【図11】実施例6からのホルメート/アセトニトリル緩衝液pH5.0およびトリスHCl緩衝液pH7.5を用いた、A420プロファイルを示す、Bio−Gel P−2上の廃糖蜜のゲル分別を示している。
【図12a】実施例7からの280nmにおけるXAD−結合サンプルのエチルアセテート抽出(酸性フラクション)(黒いトレース)、およびSPE抽出(60%MEOH)(赤いトレース)からの抽出物のUVトレースの比較を示している。
【図12b】実施例7からの320nmにおけるXAD−結合サンプルのエチルアセテート抽出(酸性フラクション)(黒いトレース)、およびSPE抽出(60%MEOH)(赤いトレース)からの抽出物のUVトレースの比較を示している。
【図12c】実施例7からの370nmにおけるXAD−結合サンプルのエチルアセテート抽出(酸性フラクション)(黒いトレース)、およびSPE抽出(60%MEOH)(赤いトレース)からの抽出物のUVトレースの比較を示している。
【図13】UV検出とともにRP−HPLCによって決定された、検証された3つのサンプル中の選択された化合物の濃度を示している。結果は、p−クマル酸外部較正曲線に対して表示することによって得られた。個々の応答要因は、実施例7から計算されなかった。
【図14】実施例7からの選択された化合物について、LC−MS実験によって生じた情報の概要である。
【図15】実施例7からのXAD−酸抽出物中に検出されたトリシンおよびトリシン含有化合物を示す、SRMおよび生成物特異的MS/MSイオンクロマトグラムを示している。
【図16】実施例7からのXAD−酸抽出物中のいくつかのジオスメチン−含有化合物を示す、生成物−特異的MS/MSイオンクロマトグラム(親m/z299)を示している。
【図17】実施例9からの糖加工処理ストリームバッチ1の組成を示している。
【図18】実施例9からの糖加工処理ストリームバッチ2の組成を示している。
【図19】実施例9からの様々なバッチ中の緩衝タンクストリームの組成を示している。
【図20】実施例9からの様々なバッチ中のミルマッドストリームの組成を示している。
【図21】実施例9からの様々なバッチ中のミルマッド濾過物の組成を示している。
【図22】実施例9からの様々なバッチ中のミルマッド抽出物の組成を示している。
【図23】実施例9からの様々なバッチ中の廃糖蜜ストリームの組成を示している。
【図24】実施例9からの様々なバッチ中の粗糖の組成を示している。
【図25】実施例9からの膜限外濾過による廃糖蜜のフラクションの組成を示している。
【図26】実施例13からの様々なバッチ中のミルマッド抽出物の組成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[本発明の抽出物の調製方法]
好ましい実施形態において、この抽出物は、その工程の1つとして、分子量およびサイズによる分別を含む方法を用いて生成される。
【0035】
分子量による分別は、サトウキビそれ自体の中に存在する植物化学物質の天然混合物をその最終抽出物中に維持する。先行方法は、炭水化物、無機物、および有機酸の大部分を除去する分離プロセスを用いており、その結果生じた抽出物は、サトウキビ中に存在する自然のバランスを示していなかった。
【0036】
本発明の抽出物は、サトウキビ生成物に由来し、好ましくはサトウキビの糖の精製プロセスからの廃糖蜜である。この抽出物は、種々の方法、または方法の組み合わせによるサトウキビ生成物から得られてもよい。例えば、
・非水性または水性溶剤を用いた溶剤および向流抽出、
・サイズ排除加工処理方法、例えばゲル透過クロマトグラフィまたは限外濾過による、特定の分子量範囲内に入る成分の分離、および
・クロマトグラフィ技術、または技術の組み合わせ、例えばイオン交換クロマトグラフィ、疎水性クロマトグラフィ、およびpHの段階的増加によるか、または溶剤例えばエタノールでの分別溶出を用いたイオン交換クロマトグラフィを用いた、低分子量成分および高分子量成分の分離。
【0037】
これらの抽出物は、標準的技術、例えば精密濾過、逆浸透、ゲル透過、真空蒸発、および冷凍乾燥、噴霧乾燥、およびトンネル乾燥によってさらに加工処理されてもよい。
【0038】
[濾過方法]
本発明の好ましい実施形態において、この抽出物は、次の工程を含む方法によって調製される:
(a)サトウキビの糖由来生成物の溶液を加熱する工程、
(b)この溶液のpHを>7に調節する工程、
(c)この溶液またはマトリックスから塩を沈殿させる工程、
(d)この沈殿物をこの溶液またはマトリックスから分離する工程、および
(e)限外濾過または同様なプロセスによってこの溶液またはマトリックスを分別して、所望の抽出物を単離する工程。
【0039】
[ゲル透過方法]
本発明の好ましい実施形態において、この抽出物は、次の工程を含むゲル透過方法によって調製される:
(a)サトウキビの糖由来生成物の溶液を加熱する工程、
(b)この溶液のpHを>7に調節する工程、
(c)この溶液またはマトリックスから塩を沈殿させる工程、
(d)この沈殿物をこの溶液またはマトリックスから分離する工程、および
(e)この溶液またはマトリックスを、クロマトグラフィカラムを下方へ通過させて、溶出されたフラクションを収集する工程。
【0040】
工程(a)〜(d)に好ましい条件は、濾過方法に関して記載されているものと本質的に同じである。典型的には工程(e)は、15〜25℃、好ましくは20〜25℃の温度で実施されるであろう。
【0041】
[この抽出物の使用]
本発明の抽出物は、経済的に有用な新しい製品であり、非常に多様な用途に用いることができる。本明細書に記載されている抽出物は、酸化防止剤に応答すると考えられている多くの状態を治療および/または防止するために、治療能力において利用されてもよい。この状態は、心疾患、アテローム性動脈硬化症、高血圧、血栓症、II型糖尿病、肥満、痴呆症、癌、HIVエイズ、老化にともなう変性状態、酸化的損傷によって引き起こされた病気、および国際特許出願第PCT/AU2006/000769号に記載されているような変化する身体組成を包含するが、これらに限定されるわけではない。これらの天然抽出物は、より良好に吸収されるであろうし、これらの成分の従来源と比較して改良された有効性を示しうると期待される。CVDまたは酸化関連障害のいずれかについて「ハイリスク」と考えられている集団において、これらの抽出物が添加される組成物および食品は、一次、二次、および三次治療計画において用いることができるであろうと考えられる。
【0042】
これらの抽出物の用量は、他の要因の中でも特に、送達方法(すなわち、どのようにして、どの食品、飲料、栄養補給食品、美容食品、または薬品中に、これらの誘導体が究極的に組み込まれるか)、患者のサイズおよび状態、達成されることになる結果、ならびに食品添加剤および医薬品の当業者に公知の他の要因によって様々であろう。同様に、これらの誘導体のはるかに大きい毎日の用量の供給は、過剰量が単に正常な排出通路を通過するだけであろうから、動物宿主に有害でないと認められるであろう。
【0043】
用量は、例えばGIの所望の減少に依存してもよい。例えば、糖中のGIを減少させるために、総ポリフェノール含量は、25〜30mg/100g糖の範囲にある必要がある。本発明による抽出物は、国際特許出願第WO2005/117608号明細書に記載されている低GI製品を調製するために用いることができ、これは、この抽出物が、他のGI低下化合物、例えばガラクトース、アラビノース、ケストース、オリゴフルクトース、またはセルロースとともに用いられる製品を包含する。
【0044】
本発明の抽出物は、例えば混合、注入、注射、ブレンド、分散、乳化、コンチング、押出し、浸漬、噴霧、コーティング、および混練などの技術によって、食品、栄養補給食品、美容食品、または飲料中に、直接、およびさらなる変性をともなわずに組み込まれてもよい。この抽出物は、一般に用いられている食品成分、例えば繊維(チコリ、サトウキビバガス、および他の食品グレード繊維)、および一連の穀物源から調製された小麦粉を含浸するために用いることができる。あるいはこれらの抽出物は、摂取前に消費者によって食品上または飲料中に直接加えられてもよい。これらは単純かつ経済的な送達方法である。
【0045】
本発明の抽出物はまた、国際特許出願第PCT/AU2006/000761号に記載された送達系を用いて、食料品中に組み込まれてもよい。
【0046】
製薬および美容食品投薬形態:
本発明の範囲内において、本発明の抽出物は、様々な従来の製薬および美容食品調製物、および投薬形態、例えば経口、口腔内、または舌下使用のためのタブレット(プレーンおよびコーティングされている)、カプセル(追加コーティングをともなうかまたはともなわない、ハードおよびソフト、ゼラチン)、粉末、顆粒(発泡性顆粒を包含する)、ペレット、微粒子、溶液(例えばミセル、シロップ、エリキシル、および滴)、飴錠剤、芳香製剤、アンプル、エマルジョン、マイクロエマルジョン、軟膏、クリーム、座薬、ゲル、および経皮パッチ、能動および受動輸送を包含する他の経皮送達方法、デポー調製物、経腸溶液、非経口調製物、静脈内溶液、放出調節投薬形態中に、従来の賦形剤および/または希釈剤、および安定剤とともに組み込まれてもよいと考えられる。
【0047】
これらの抽出物はまた、送達を改良するために、担体、例えばセルロース、メチルセルロース、デキストロース、シクロデキストロース、シクロデキストリン、マルチトール、繊維、および繊維含有生物活性物質上に含浸、混合、乳化、噴霧、またはコーティングされてもよい。送達はまた、バイオアベイラビリティ、吸収、および有効性を改良するために、製薬業界において公知の一連の界面活性剤、脂質、錯体、溶剤、および助溶剤製薬送達系で強化されてもよい。
【0048】
食品/飲料/栄養補給食品:
本明細書において用いられているように、「食品」または「食料品」という用語は、あらゆる食用に適する製品、例えば非限定的に菓子、サプリメント、スナック(甘くて風味がよい)、カカオ含有食品、風味料、飲料、動物の健康および栄養摂取において用いられるサプリメントを包含する栄養補助食品および配合物を包含する。結果として生じる食料品において望まれる追加の成分は、このプロセスのどの時点で添加されてもよい。本発明の一つの実施形態において、これらの抽出物は、通常のグルコースの代替物として用いることができるシロップ、およびより低いグリセミック・インデックス(GI)の選択肢として、小麦、トウモロコシ、アガーベ、ステビアなどからの高フルクトースコーンシロップの形態にある。
【0049】
本発明の抽出物は、非限定的に次のものを包含する食品、飲料、および栄養補給食品中に組み込まれてもよい:
・乳製品 − 例えばチーズ、バター、ミルク、および他の乳飲料、スプレッド、および乳製品ミックス、アイスクリーム、およびヨーグルト、
・脂肪ベースの製品 − 例えばマーガリン、スプレッド、マヨネーズ、ショートニング、料理用および揚げ物用油およびドレッシング、
・穀物ベースの製品 − 粒を含んでいる(例えばパンおよびパスタ)。これらの商品が、調理されていても、天火で焼かれていても、あるいは加工されていてもよい、
・菓子 − 例えばチョコレート、キャンディ、チューイングガム、デザート、非乳製品トッピング、シャーベット、糖衣、および他の詰め物、
・スポーツ栄養製品 − 粉末、プレミックス、ジュース、エネルギーバー、アイソトニック飲料、およびゼラチン、デンプンベースまたはペクチンのゼリー、
・飲料 − ホットでもコールドでも(コーヒー、茶、ココア、穀物、チコリ、および他の植物抽出物ベースの飲料)、コーラを包含するアルコールまたはノンアルコール飲料、および他の清涼飲料、果汁飲料、栄養補助食品、インスタントプレミックス、および食事代替飲料、
・その他の製品 − 卵および卵製品を包含する、加工食品、例えばスープ、予め調製されたパスタ。
【0050】
同様に、食品用成分、例えば可溶性繊維(例えばオリゴフルクト糖)、不溶性繊維(例えばサトウキビ繊維、オートブラン)、小麦粉、デンプン、加工デンプン、ゼラチン、または他の食品、本発明による抽出物で含浸されるか、またはこれを含有する製薬または化粧品成分は、強化された濃度のポリフェノール、ポリコサノール、フィトステロール、およびサトウキビに由来する他の植物化学物質を有する独特の食品成分を生成しうる。送達はまた、分散、吸収、および有効性を改良するために、当業界において公知の一連の界面活性剤、脂質、乳化剤、錯体、溶剤、および助溶剤食品、および化粧品送達系で強化されてもよい。
【0051】
本発明による抽出物は、苦味を増すことなく、コーヒー製品の活性植物化学物質含量を増加させるのに特に有用である。コーヒー豆をローストすると、コーヒーの無数の所望の風味の発生を引起こす。ローストはまた、酸化防止剤クロロゲン酸ラクトンおよびフェニルインダンの濃度増加に関連した、コーヒーの苦味も引起こす。コーヒー豆がローストされればされるほど、クロロゲン酸ラクトンおよびフェニルインダンが生成される。本発明の抽出物は、コーヒー製品における活性植物化学物質(例えばポリフェノール)の濃度を増加させるために用いることができ、これらのコーヒー製品を、例えば国際特許出願第PCT/AU2006/00076号において開示されたものなどの用途のために有用なものにする。
【0052】
本発明は、本発明による抽出物を活性成分として単独で、または他の活性成分と組み合わせて含んでいる食料品を包含する。
【0053】
[低GI製品]
特に好ましい用途において、本発明の抽出物は、GIの減少を目的とする配合物戦略において利用されてもよい。本発明の抽出物は、低GI製品、例えば国際特許出願第WO2005/117608号において開示されているが、この明細書において例示された抽出物よりも高い酸化防止剤含量および良い味を有する製品を調製するために用いることができる。液体抽出物の形態にある本発明による抽出物は、(サトウキビに由来するものであっても、砂糖大根に由来するものであっても)標準的な糖上に噴霧されて、低GI糖を生成しうる。液体抽出物の形態にある本発明による抽出物はまた、他の担体、例えば小麦、デンプン、または繊維上に噴霧されてもよく、このようにして、これらの食品成分中の生物活性物質のレベルを増すことができる。この用途のために用いられる抽出物は好ましくは、抽出物が標準的糖結晶へ付着するのを補助するのに十分な、および糖の味を損なうことを最小限にするのに十分なスクロース含量を有する。
【0054】
低GI製品については、低グルコース濃度を有することが好ましい。糖加工処理ストリーム中に発生した廃糖蜜または他の生成物のグルコース含量は、酵素、例えばグルコースを分解するグルコースオキシダーゼ(GO)を用いて減少させることができる。グルコースオキシダーゼとカタラーゼとの組み合わせは典型的には、確実にあらゆる過酸化水素が除去され、かつ発生した酸素がグルコース濃度を減少させるためにGOによって利用されるようにするために使用されることは、当業者に公知であろう。本発明の方法はまた、加工処理ストリーム中に発生した廃糖蜜および他の生成物中のグルコースを減少させるために、他のどの方法を組み込んでもよく、これはついで、糖製品のGIを減少させるために製造プロセス中に再び組み込まれるか、または食品、栄養補助食品、または薬品として単独で用いられる。これは、限外濾過およびイオン交換プロセスの前、その間、またはその後、他の化学的および/または熱反応を通した発酵、またはグルコース消化の促進を包含しうるが、これらに限定されるわけではない。洗糖蜜(affination syrup)および他の糖精製プロセス、または低量の還元糖を含有する廃棄物ストリームは、低GI製品を生成するための供給原料として特に有用な源である。発酵および蒸留の副生物もまた、有用な供給原料である。
【0055】
本発明の方法はまた、国際特許出願第WO2005/117608号または国際特許出願第PCT/AU2006/00076号に開示されている方法および生成物における使用のための生成物を調製するためにも用いることができる。
【0056】
[精製プロセス]
本発明の第二の態様によれば、次の工程:
(a)結果として生じる溶液またはマトリックスの粘度が、40〜60℃の範囲内の温度において約100センチポアズまたはそれ以下になるまで、サトウキビ由来生成物を加熱および希釈する工程と、
(b)(i)工程(a)からの生成物を遠心分離する工程、
あるいは、
(b)(ii)工程(a)の生成物のpHを塩基で調節する工程と、
(c)工程(b)の生成物を70〜80℃の範囲内の温度に加熱し、ついで不溶性カルシウムおよびマグネシウム塩の沈殿物が形成するまで、ある時間これをその温度範囲内に維持する工程と、
(d)この沈殿物および大きい微粒子物質を、工程(c)の生成物から除去する工程、
(e)工程(d)の生成物を分子量およびサイズによる分別で処理し、所望の抽出物を単離する工程と
を含む、サトウキビの抽出物の生成方法が提供される。
【0057】
好ましくは、工程(a)において用いられる温度は約50℃である。好ましくは、達成される粘度は、50〜100センチポアズの範囲内にある。典型的には、工程(a)における希釈のために水が用いられる。サトウキビ由来生成物が廃糖蜜である時、1:0.8〜1.2の廃糖蜜対水の比は典型的には、所望比を提供するために用いられる。好ましい粘度はまた、ブリックスを測定することによっても調節することができる。この場合、好ましくはこの範囲は、30〜50ブリックスであり、より好ましくは35〜45ブリックスである。
【0058】
好ましくは、pHが工程(b)(i)のように調節される時、最終pHは、7.2〜9.5の範囲内にある。pH調節は、いずれかの適切な塩基、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、気体の二酸化炭素(CO2)でのバブリング、または上記のすべての組み合わせを用いて行なうことができる。好ましくは、pH調節は、水酸化ナトリウム溶液を用いて行なわれる。
【0059】
好ましくは希釈液が遠心分離される時、これは、連続脱スラッジ(continuous desludging)遠心分離機を用いて実施され、上澄液は、約4バールの圧力、約30〜100L/時の流量を用い、30〜60℃、好ましくは35〜50℃の温度で、セラミックまたはステンレス鋼膜(典型的には0.10ミクロン〜1.5ミクロン、好ましくは0.1ミクロン〜0.5ミクロン)を通して直接加工処理される。
【0060】
好ましくは、工程(c)の温度は約75℃である。好ましくは、時間は、10〜30分の範囲内にあり、より好ましくは約20分である。
【0061】
工程(d)において用いられる設備に必要な場合、工程(c)からの混合物は、工程(d)の前に冷却される。
【0062】
工程(d)は、沈殿物を除去するための当業者に公知のいずれかの方法を用いて達成することができる。典型的にはこれは、脱スラッジ遠心分離機、または珪藻土または細かいモスリンまたは同様な材料を包含する他の濾過方法を用いて実施される。例えばこの混合物は、4バールの圧力、30〜100L/時の流量を用い、30〜60℃、好ましくは35〜50℃の温度で、セラミックまたはステンレス鋼膜(0.10ミクロン〜1.5ミクロン、好ましくは0.1〜0.5ミクロン)を通過させてもよい。未透過物(retentate)(典型的には工程(d)からの沈殿物および大きい微粒子物質)が捨てられ(典型的には7.2〜7.5の範囲内のpHを有する水での洗浄後)、透過物が収集される。いくつかの用途において、この未透過物は洗浄されず、完全に捨てられる。あるいは、沈殿物および大きい微粒子物質を除去するために、高速連続遠心分離を用いることができるであろう。
【0063】
一つの好ましい実施形態において、工程(e)は、所望の抽出物を単離するために、限外濾過、ナノ濾過、およびこれらの混合からなる群から選択された一つ以上の分別フィルタまたは膜を用いて実施される。分別フィルタまたは膜は、食品加工業者に公知である。例えば工程(d)からの生成物は、これを、100kDa〜1kDaの範囲内のサイズ排除を有する渦巻き型限外濾過(UF)膜の組み合わせに通すことによって処理することができる。好ましくは30kDa〜50kDaおよび/または1kDaである。ついでさらなる分別が、0.5kDaナノ濾過膜を用いて達成することができる。当業者なら、用いられる膜の選択は、所望の最終生成物、流量、pH、圧力、温度、および様々な条件全体の効率性に依存することが分かるであろう。典型的には工程(e)は、ダイアフィルトレーションを含み、未透過物および透過物が収集されるであろう。典型的には工程(e)は、30〜60℃、より典型的には35〜50℃の範囲内の温度で行なわれるであろう。
【0064】
本発明の別の実施形態において、工程(e)は、ゲル透過を用いて実施される。
本発明の一つの実施形態において、工程(e)の後にさらなる精製工程が続き、これは、イオン交換、さらなる限外濾過もしくはナノ濾過をともなう疎水性クロマトグラフィ、ゲル透過、または逆浸透を包含しうる。
【0065】
このプロセスのための出発原料として用いられるサトウキビ由来生成物は、サトウキビに由来するいずれの生成物であってもよく、これは、サトウキビ微粉砕プロセス、製糖のためのサトウキビ精製プロセス、およびサトウキビ生成物を用いた他のプロセス、例えばラム酒製造の一部としての廃糖蜜からのエタノールの製造からの生成物を包含する。サトウキビ由来生成物は、原料、製造過程生成物、副生成物、最終生成物、および廃棄物ストリームであってもよい。例えばサトウキビ由来生成物は、粗サトウキビジュース、清澄化シロップおよび濃縮シロップ、糖蜜、廃糖蜜(一次ミルおよび精製所)、ゴールデンシロップ、ブラウンシュガー、バガス、ビオダンダ、畑屑、サトウキビストリッピング、髄、成長している尖端、パルプ、およびミルマッドの供給原料ストリームを包含する。好ましくはこのサトウキビ由来生成物は、廃糖蜜である。
【0066】
洗糖蜜、廃糖蜜、または他のプロセス、および精製廃棄物生成物の出発原料としての使用は、大きいポリフェノール、多糖類、ペプチド、およびタンパク質を含有する30kDa膜の使用後、未透過物を供給し、透過物は、より小さいポリフェノール、無機物、有機酸、および単糖類、二糖類、および多糖類を含有するであろう。本発明の方法は、もとの廃糖蜜から含有された酸化防止剤の約90%までを含有する廃糖蜜抽出物の生成を可能にする。透過物はついで、イオン交換、または疎水性樹脂、またはさらなる限外濾過を用いてさらに処理され、ポリフェノール、無機物、有機酸、および炭水化物の所望プロファイルを含有する抽出物を生成しうる。本発明の方法を用いることによって、樹脂を汚染するであろう物質が実質的に減少されてしまうので、樹脂へのあらゆる有害な作用を最小限にすることができる。
【0067】
分別フィルタまたは膜は、工程(e)において収集された材料を、当初供給原料に応じて天然サトウキビジュース中の比と同様な比において無機物(例えばマグネシウムおよびカリウム)の混合物と組み合わせて、スクロース、グルコース、およびフルクトースの既に特定された異なる比として一連のポリフェノールを含有する一連の機能性糖シロップに分離することができる。
【0068】
本発明の方法を用いて収集されたシロップは、飲料、アイスクリーム、および冷たい糖菓、および菓子製品における機能性甘味料として用いることができる。これは、フォンダン、チョコレート製品用のフォンダンクリーム中心、トリュフ、カラメル、ファッジ、ゼラチン、デンプン、およびペクチンベースのガム、およびゼリー、および高沸騰スウィーツ、およびタフィーを包含する。これらのシロップはまた、小麦またはトウモロコシベースのグルコースシロップ、または高マルトースグルコースシロップが用いられるあらゆる食品用途においても用いることができる。分画プロセスは、単糖類対スクロースの比が、このような用途においてスクロース結晶化を阻害するのに十分になるように操作することができる。これらのシロップは、甘味料および結晶化阻害剤の両方として機能するが、同様に追加の天然無機物および酸化防止特性をこれらの製品にもたらすことができる。
【0069】
本発明の一つの実施形態において、これらの分画が本発明の方法から回収されたら、これらは、優先的に一価アニオンを除去するナノ濾過、逆浸透、および/または従来の高真空蒸発プロセスの組み合わせによってさらに濃縮させることができる。これらのシロップの最終固体含量は、0.2〜0.3の範囲内の水分活性で、65〜80%w/vの範囲内であってもよい。このさらなる濃縮は、適切な条件下に例えば5〜25℃で貯蔵された時、6ヶ月までの貯蔵寿命を有するシロップを結果として生じうる。
【0070】
本発明の方法はまた、国際特許出願WO2005/117608号パンフレットまたは国際特許出願PCT/AU2006/00076に開示された方法および製品への使用のための生成物を調製するために用いられてもよい。国際特許出願WO2005/117608号パンフレットは、300kDa膜での限外濾過および溶剤抽出を用いて低GI生成物を調製する方法を開示している。しかしながらこの工程は、サトウキビ生成物中に存在する酸化防止剤の約50%を抽出するだけである。本発明の第二の態様による方法は、サトウキビ生成物中に存在する酸化防止剤のより高い割合を回収する。
【0071】
本発明による方法は、他の源から得られた植物化学物質抽出物を精製するために用いることができる。
【0072】
この発明の第三態様によれば、次の工程:
(a)結果として生じる溶液またはマトリックスの粘度が、40〜60℃の範囲内の温度において約100センチポアズまたはそれ以下になるまで、植物化学物質含有抽出物を加熱および希釈する工程と、
(b)(i)工程(a)の生成物を遠心分離する工程、
あるいは、
(b)(ii)工程(a)の生成物のpHを塩基で調節する工程と、
(c)工程(b)の生成物を70〜80℃の範囲内の温度に加熱し、ついで不溶性カルシウムおよびマグネシウム塩の沈殿物が形成するまで、ある時間これをその温度範囲内に維持する工程と、
(d)この沈殿物および大きい微粒子物質を、工程(c)の生成物から除去する工程と、
(e)工程(d)の生成物を分子量およびサイズによる分別で処理し、所望の抽出物を単離する工程と
を含む、植物化学物質抽出物の精製方法が提供される。
【0073】
この植物化学物質抽出物は、植物化学物質、例えばポリフェノールを抽出することができることが知られている多様な植物源から調達されてもよい。典型的な源は、カカオ豆、茶殻、鞘殻(pod husk)、コーヒー豆、コーヒー廃棄物、グレープポミス、穀物(例えば大麦、そばの実、トウモロコシ、キビ、オート麦、米、ライ麦、モロコシ、小麦)、マメ科植物(例えば豆およびパルス)、ナッツ(例えばアーモンド、ビンロウの実、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、ピーカンナッツ、クルミ)、脂肪種子(例えば菜種、キャノーラ、大豆、ルリヂサ、綿の実、オオマツヨイグサ、亜麻の種、ゴマ、ヒマワリ、オリーブ油、パーム油、糠油)、果物(例えばベリー類、核果、梨果、トロピカルフルーツ)、野菜(例えばニンジン、タマネギ、アメリカボウフウ、ジャガイモ、ビートの根、サツマイモ、アスパラガス、セロリ、エンダイブ、レタス、ホウレンソウ、アボカド、トマト、ペッパー)、飲料(例えば茶、コーヒー、ココア、ビール、ワイン、リンゴ酒)、および薬草製品(例えばエキナセア、薬用ニンジン、ギンナン、セントジョーンズワート、バレリアン、カワカワ、ノコギリパルメット、ブラックコホッシュ、デビルズクロー、ヒドラスチス、サンザシ、ショウガ、甘草、オオアザミ)を包含するが、これらに限定されるわけではない。
【0074】
これらの生物活性に富んだ抽出物は、一連の食料品、例えばフルーツジュース、およびドライフルーツ、および加工果物中の生物活性物質のレベルを強化するために用いることができる。これらの抽出物とともに用いることができる送達系の一例は、国際特許出願第PCT/AU2006/000761号に開示されている。
【実施例】
【0075】
本発明の様々な実施形態/態様がここで、次の非限定的実施例を参照して記載される。
【実施例1】
【0076】
この実施例において、廃糖蜜が、本発明の第二態様による方法を用いて処理された。
【0077】
[方法]
・工程1:廃糖蜜が、水で1:1の比において希釈され、5%NaOH溶液でpH7.2へ調節され、75℃に加熱された。混合物は、CaおよびMg塩の沈殿物が形成されるまで、75℃で30分間放置された。
【0078】
・工程2:工程(1)からの混合物が、35〜50℃の温度で、0.1〜0.5ミクロンの細孔サイズを有するセラミックまたはステンレス鋼膜を通され、廃糖蜜からの不溶性CaおよびMg塩の未透過物および大きい微粒子物質が捨てられた。
【0079】
・工程3:工程2からの透過物が、35〜50℃の温度で、30kDa限外濾過膜を通され、未透過物がダイアフィルトレーションされ、未透過物(R1)および透過物(P1)の両方が収集された。未透過物(R1)は、大きいポリフェノール、多糖類、ペプチド、およびタンパク質などを含有し、透過物(P1)は、より小さいポリフェノール、無機物、有機酸、および単糖類および二糖類を含有していた。未透過物(R1)は、その後のさらなる作業のために取り置かれた。
【0080】
・工程4:透過物P1は疎水性樹脂を通され、すべての非結合材料が水で洗い流された。溶出液(E1)が収集され、糖、有機酸、ポリフェノール、および無機物を含有することが見出された。
【0081】
・工程5:結合材料(疎水性)がエタノール(70%v/v)で脱着された。回収された脱着溶出液(E2)は、ポリフェノール、いくらかの無機物、および微量成分などを含有することが発見された。エタノールは、蒸留および濃縮によって除去され、残留水性濃縮物が凍結乾燥されて、ポリフェノール粉末(PP1)を生じた。
【0082】
・工程6:さらなる実施形態において、溶出液E2はついで、0.5kDa限外濾過膜を通され、未透過物(R2)は、ダイアフィルトレーションされた。回収された生成物はポリフェノールを含有し、凍結乾燥によって濃縮されて、粉末(PP2)を発生させた。
【0083】
・工程7:溶出液E1は、0.5kDa限外濾過膜を通され、ダイアフィルトレーションされ、未透過物R3が収集された。未透過物R3はついで、蒸発によって濃縮され、ポリフェノールリッチな液体PL1(これは、酸化防止剤含量を高め、国際特許出願第WO2005/117608号明細書による低GI糖を製造するため、糖上に噴霧するために用いることができるであろう)を発生させるか、あるいは完全に乾燥されて、ポリフェノールPP2が富化された粉末を生成した。0.5kDa透過物P2が収集され、濃縮されて、ポリフェノール、酸化防止剤、および無機物が富化された糖シロップSY1が回収された。
【0084】
・工程8:別の実施形態において、最初にセラミックまたはステンレス鋼膜を通る材料は、0.5kDa膜上で処理され、未透過物を生成し、これはダイアフィルトレーションされて、R3を生成した。この未透過物は、廃糖蜜からのもとのポリフェノールおよび酸化防止剤80〜90%、およびスクロース60〜90%を含有しているのが発見されたが、フルクトース、グルコース、および一価カチオンは有意に枯渇していた。この未透過物は、蒸発によって濃縮され、これはまた、酸化防止剤含量を高め、国際特許出願第WO2005/117608号明細書による低GI糖を製造するため、糖上に噴霧するために用いられるか、あるいは、完全に乾燥されて、ポリフェノールPP2が富化された粉末を生じうるであろう。このプロセスからの透過物は、SY1について示されているのと非常に類似した組成を有していた。
【0085】
[結果]
【0086】
【表3】
【0087】
典型的には単糖類、グルコース、およびフルクトースは、30kDa回収フラクションの全糖の25〜35%を構成し、スクロース、グルコース、およびフルクトースについては68:16:16(平均)の比で存在する。この比は、もとの廃糖蜜中に発生するものと同様であるが、色彩において有意に減少している(約27〜30%)。カルシウムおよびマグネシウムの濃度もまた、もとの廃糖蜜の濃度まで有意に減少している。もとの廃糖蜜ポリフェノールのわずか40〜50%が、このシロップ中に回収されるが、これらは、もとの廃糖蜜中に見られるものと異なる範囲およびプロファイルにある(より小さい)。
【0088】
【表4】
【0089】
単糖類、グルコース、およびフルクトースは、0.5kDa未透過物PL1中の全糖の20〜30%を占める。
【0090】
【表5】
【0091】
単糖類、グルコース、およびフルクトースは、SY1中の全糖の80〜88%を占める。これらの結果から、高グルコースおよびフルクトース糖シロップが、これらの廃糖蜜から抽出しうることは明らかである。本発明の方法はこのようにして、食料品において用いることができ、かつ廃棄物生成物からさらなる価値を得る貴重な糖シロップの生成を可能にする。
【0092】
これに代わるプロセスにおいて、工程4および5は省略され、30kDa透過物(P1)は、上の工程6のとおりに処理された。
【0093】
[結論]
この実施例は、様々な濃度の単糖類および二糖類、および一価および二価カチオンと関連して、ポリフェノールおよび酸化防止剤の両方に富むフラクションを生成するために、難しい供給原料、例えば廃糖蜜を、膜濾過およびイオン交換クロマオグラフィーによって分別することができることを明らかに証明している。
【0094】
30kDaおよび0.5kDa膜を用いた膜濾過の組み合わせによって、サトウキビまたはビートからの粗廃糖蜜は、スクロース、グルコース、フルクトース、無機物、一価および二価カチオン、およびアニオン、例えばCl、SO4、PO4、有機酸(例えばシスおよびトランスアコニット酸、クエン酸、およびリンゴ酸)、およびポリフェノール類(フェノール酸、フラボノイド、アントシアニン、アントシアニジンなど)の組成が異なる糖シロップに分別することができる。
【0095】
これらのシロップは、個別にまたはブレンドして用いられ、広い範囲の食品系への使用のための、無機物およびポリフェノール(酸化防止剤活性)に富む一連の機能性甘味料を生成しうる。廃糖蜜の膜濾過を用いて、大きい微粒子物質を含まず、減少した無機物含有量を有する生成物が、典型的にはイオン交換および疎水性クロマトグラフィのために用いられる樹脂上のさらなる分別のための供給原料として用いることができる。このような供給原料は、これらの樹脂の性能を改良する(汚染性が小さく、使用可能期間が長い)。このようにして、食品系において、および栄養補給食品としての使用のために広い用途を有する、さらに精製されて差別化された甘味料シロップおよび高ポリフェノール粉末を生成することができる。
【実施例2】
【0096】
どのようにしてこれらのシロップがブレンドされて、異なる機能性甘味料シロップ(単糖類および二糖類、および一価および二価カチオン)を生成するかの一例として、30kDa濾過からの透過物4部と、実施例1からの0.5kDa濾過からの透過物1部とが混合され、もとの30kDa透過物(比68:16:16)およびもとの0.5kDa透過物1:3:3と比べて、5:2:2のスクロース、グルコース、フルクトース比を有する甘味料を生成した。このような混合物はまた、様々なレベルのポリフェノール、酸化防止剤、および無機物も生成するであろうし、420nmにおける吸光度によって測定された場合、これらの色彩強度は様々であろう。
【実施例3】
【0097】
実施例1からの0.5kDa未透過物は、廃糖蜜供給原料中に発見されたもとのポリフェノールおよび酸化防止剤活性の80〜90%を含有していた。この未透過物が20〜50のCE(カテキン当量)/Lのポリフェノール含量へ濃縮された後、これは糖結晶の表面上へ噴霧されて、低GI糖を生成した。
【実施例4】
【0098】
本発明の第二態様によるプロセスが、様々な膜の分別能力を例証するために廃糖蜜へ適用された。
【0099】
[方法]
膜濾過プラント(およその寸法1200mm×1200mm×1600mm高さ)が、GEA Liquid Technologies Australiaによって供給された。この装置には、ステンレス鋼膜(細孔サイズ0.1μm)、および渦巻き型膜(直径970mm×98mm)を収容するためのハウジングを備えていた。この渦巻き型膜(Syndner 3838)は、0.5、1.0、および30kDaの細孔サイズを有していた。渦巻き型逆浸透膜(Dow−Filmtech 3838)もまた用いられた。
【0100】
脱イオン水供給:脱イオン水が、IBC Waterによって借りられ、ブリスベンから輸送されたイオン交換システムによって供給された。この3床システムは、プレフィルタ、および直列に連結された3つのイオン交換シリンダ、すなわちカチオン、アニオン、および混合カチオン/アニオン交換器からなっていた。これらのシリンダは、本線給水設備へ連結され、脱イオン水は、MFプラントへ直接流れた。
【0101】
廃糖蜜:高温廃糖蜜(70〜80℃)が、生産タンクから直接得られ、等容積の脱イオン水と混合された。この希釈廃糖蜜(80L)は、5M NaOH(900mL)でpH7.5へ調節され、80℃で20分間アルミニウム缶内で加熱された。MFプラントは、約15Lの追加容積および約25Lのホールドアップ容積を含む水で、80℃へ予備加熱された。pH調節された廃糖蜜はついで、0.1μmステンレス鋼膜を通すプレ濾過前に、75〜80℃でプラントを通って循環された。高温廃糖蜜についての1.3g/mLの推定密度、およびプラント中の40Lの水を基準にして、プレフィルタへ適用された廃糖蜜の推定濃度は、約43%(w/v)であった。
【0102】
[グループ1試験]
0.1μmプレフィルタ:希釈廃糖蜜(約43%(w/v))が、1バールの供給圧力および3バールの再循環圧力を用いて、70℃で0.1μmステンレス鋼膜を通してプレ濾過された。
【0103】
0.5kDaナノ濾過:0.1μmプレフィルタからの透過物が、0.5kDaの細孔サイズを有する渦巻き型膜へ適用された。濾過は、20バールの供給圧力および21バールの再循環圧力を用いて40℃で実施された。この実験からの未透過物は、60Lの脱イオン水でダイアフィルトレーションされ、粗糖のコーティングにおける使用の可能性のために凍結保存された。
【0104】
逆浸透:ナノ濾過透過物が、25バールの供給圧力および25.5バールの再循環圧力を用いて、40℃でRO膜を通された。未透過物は、製菓試験における使用のために凍結保存された。
【0105】
[グループ2試験]
グループ1からの試験が、0.1μmステンレス鋼膜でのプレ濾過後、30kDa膜を用いた追加膜工程とともに反復された。30kDa膜での実験は、4バールの供給圧力および5.5バールの再循環圧力を用いて45℃で実施された。その後の工程は、グループ1についてと同じであった。実験室サンプル(100mL)が、供給原料、透過物(最終および複合)、および未透過物から収集された。追加のバルクサンプルは、次のとおりであった:
【0106】
【表6】
【0107】
P1およびR1というコードのサンプルは、各実験の終わりに取られた透過物および未透過物サンプルを表していた。コードP2は、ダイアフィルトレーション前の複合透過物を表し、PWは、ダイアフィルトレーション後に収集された複合透過物であり、PWCは、P2とPWとの組み合わせであった(図2〜5)。
【0108】
図面において:
・/の前の数字は、膜カットオフ(kDa)であり、/0は、その膜サイズへの供給原料である。
・P=透過物、R=未透過物、W=水洗後、PWC=総透過物およびダイアフィルトレーション透過物の複合材料。
・0.1kDaステンレス鋼膜について、追加容積(+)は、予熱用の約15Lの追加水、およびプラント中の約25Lのホールドアップ容積を含む。
・非0.1kDaステンレス鋼膜について、追加容積(+)は、プラント中の約25Lのホールドアップ容積である。
【0109】
分析:サンプルが、次の成分について分析された。すなわち、総フェノール類、逆相HLPCプロファイル、酸化防止剤、単糖類および二糖類、シス−およびトランス−アコニット酸、カチオン/アニオン、全固形物、灰分、導電性、pH、色彩(A420)、およびブリックス°である。6つのサンプルが、多糖類について分析された。
【0110】
【表7】
【0111】
濾過パラメータ:流量、温度、および圧力が、各膜について記録された。各検体についての阻止係数(r)は、次のように計算された:
r=1−CP/CR
(式中、CP=透過物中の検体の濃度、CR=各実験の終了時の未透過物中の検体の濃度である)。
【0112】
パーセンテージ透過データは、当初供給原料のCP/濃度として計算される。
【0113】
[結果]
[グループ1]
プラント操作:ステンレス鋼膜についての流量は、たとえ操作温度が70℃であっても、非常に遅かった(最大21L/h)。グループ1の最後に、圧力ゲージが、約0.5バール低すぎると読取られ、その結果、第一グループにおいて達成することができたであろうよりも低い流量を生じたことが発見された。圧力レベルは、グループ2において調節された。0.5kDa膜について、流量は、最初の15分間は妥当に高かった(>40L/h)が、この実験の残りの間20〜30L/hへ降下した。高い流量(>230L/h)が、逆浸透膜を用いて達成された。
【0114】
組成:グループ1からの膜濾過ストリームについての分析結果が、図2および3に示されている。もとの希釈廃糖蜜(50%(v/v))は、サンプリングされなかった。以前のデータ(例えばフェノール類、全固形物)に基づいて、0.1μm膜でのプレ濾過前の再循環廃糖蜜は、約43%の推定濃度を有する。プレ濾過透過物中の大部分の検体にはほとんど変化がなかった。しかしながら色彩(A420)は、13%減少し、酸化防止剤活性に同様な減少をともなった。酸化防止剤活性のこの減少は、5%におけるグループ2と比較して高かった。総フェノール類は、透過物において2%低下し、トランス−アコニット酸は8%、多糖類は53%低下した。
【0115】
ナノ濾過については、スクロース(7%)および二価イオンの透過は低かったが、単糖類は、60〜80%で高かった。植物化学物質の透過は15〜17%であったが、アコニット酸は2%未満であった。粗糖をコーティングするのに用いることができるであろうダイアフィルトレーションされた未透過物(0.5RW)は、25°のブリックスを有しており、噴霧乾燥に適した固体含量を有するように、少なくとも2回濃縮される必要があるであろう。この未透過物の色彩は黒く、視覚的に廃糖蜜に匹敵した。0.5kDa透過物(0.5/PWC)の逆浸透処理は、大部分の検体の濃度を2〜3倍増加させた。
【0116】
各膜についてのP1およびR1に対して計算された阻止係数が、table4に示されている。高い係数(1に近い)は、膜による低い透過または高い阻止を表すが、一方、低い係数(0に近い)は、膜による高い透過または低い阻止を表す。table4の結果は一般に、膜濾過ストリームの組成に関する以前の観察事項を反映している。
【0117】
【表8】
【0118】
RP−HPLCプロファイル:グループ1についての膜濾過ストリームのRP−HPLCプロファイルが測定された。0.1μmを通るプレ濾過は、透過物のポリフェノールプロファイルに対して影響がなかった。しかしながら0.5kDa膜については、このプロファイルの疎水性末端においてポリフェノールの透過はなかった(>8分)。逆浸透は、0.5kDa透過物のプロファイルにおいて観察された成分の濃度を生じた。
【0119】
[グループ2]
プラント操作:グループ2についての出発廃糖蜜は、加工処理が停止された時に週末中放置されていたバルク材料からサンプルが取られた。この廃糖蜜の組成は、グループ1のものとはわずかに異なっていたかもしれない。0.1μmステンレス鋼膜についての(1.5時間後の)平均流量は、グループ1のものよりも約65%速かったが、効率的加工処理については15L/hで依然として遅すぎた。pH7.5での加熱によって生成された不溶性カルシウム/マグネシウム塩の細かい粒子は、何らかの膜汚れに寄与したかもしれない。高い流量(>120L/h)が、30kDa膜、0.5kDa膜(5分で360L/h)、およびRO膜(350L/h)について達成された。
【0120】
プレ濾過材料についてのpH7.85から、再循環30kDa供給原料中のpH5.04への、30kDaストリーム中のpHの降下があった。酸性洗剤は30kDa膜のプレリンスに用いられなかったので、脱イオン水供給に関して問題があり、供給原料は当初、低pH水とともに再循環されたと想定される。残念なことに、提供されたpHメータは、グループ2においてうまく作動せず、したがって給水のpHテストは実施されなかった。アニオン交換床が枯渇していて、カチオン交換器からの低pH水を中和することができなかった可能性がある。この交換器において、樹脂結合Hイオンは、硬度カチオン、例えばカルシウムおよびマグネシウムと取り替えられる。
【0121】
組成:グループ2についての組成データが、図4および5に示されている。グループ1については、大部分の検体は、多糖類以外0.1μm膜を透過した(34%透過)。30kDa膜を通る透過は、ポリフェノールおよび酸化防止剤については60%、アコニット酸については90%、個々の糖については72%超であった。
【0122】
0.5kDa膜は、グループ1において幾分より良好に機能し、ポリフェノール/酸化防止剤のわずか10±2%の透過しか伴わなかった。しかしながら単糖類の透過は驚くべきことに、グループ1についての59〜80%と比較して、11〜12%で低かった。これは、浸透効果、または低pH供給原料(pH5.3)の使用によるものであったかもしれない。スクロースは、膜による1%透過を示し、アコニット酸は、3%未満の透過を示した。一価カチオン(Na、K)もまた、グループ1においてよりも低い透過を示した。予想されているように、二価イオンは、0.5kDa膜によって大幅に阻止された。グループ2についての阻止係数の概要が、table5に示されている。幾分マイナスの係数の発生は、透過物または未透過物についての異常な結果による。
【0123】
(a)RPHPLCプロファイル
グループ2についての膜濾過ストリームのRP−HPLCプロファイルが測定された。30kDa透過物は、このプロファイルの疎水性末端で2つのピークのレベルにおいて顕著な減少を示した(>11分)。グループ1について、0.5kDa透過物は、このプロファイルの疎水性領域からのピークの喪失を示した(8分後)。この調査に続き、実験室規模のスケール100kDa膜の検証は、この透過物についてのピーク高さの一般的減少を示したが、30kDa膜についてよりも疎水性末端において、より小さい減少を示した。100kDa透過物による酸化防止剤活性の透過(68%)は、生成された30kDa透過物についてよりもわずかに高かった。
【0124】
【表9】
【0125】
[結論]
0.1μmステンレス鋼膜を用いた43%(w/v)廃糖蜜ミックスのプレ濾過は、効果的であるが遅く、15L/hの安定化された流量を生じた。大部分の成分は、多糖類以外0.1μm膜を容易に透過した。
【0126】
ナノ濾過(0.5kDa)は、0.1μmおよび30kDa膜からの供給原料を用いた時、フェノール類、酸化防止剤活性、スクロース、アコニット酸、および二価イオンを適切に阻止した。しかしながら0.5kDaによる単糖類の透過は、30kDa膜後よりも0.1μm膜後に用いられた時、かなり高かった。
【0127】
0.1μm膜からの供給原料を用いた限外濾過(30kDa)は、大部分の検体に対して満足すべき透過レベルを示し、420nm(r=0.86)および鉄(r=0.84)における色彩に対して最高の阻止をともなった。0.5kDa膜の前に30kDa膜を含めると、その後のナノ濾過についてより速い流量、および0.5kDa未透過物における色彩の減少という利点を有する。主要な欠点は、30kDa未透過物中の植物化学物質の損失(40%)である。
【0128】
0.5kDa透過物の逆浸透処理は、大部分の検体の濃度を、未透過物において2〜3倍増加させた。
【0129】
この実施例は、一連の膜および技術を、多様な特徴を有する本発明の第一態様による抽出物を生成するために用いることができることを証明している。
【実施例5】
【0130】
廃糖蜜の膜濾過は、1〜2%(v/v)沈降負荷を除去するために、供給原料が温水で40〜60%(w/v)に希釈されて、プレ濾過されるか、または遠心分離されることを必要とする。0.5kDa膜上でのナノ濾過に進む前に、ナノ濾過膜上に満足すべきフラックス速度を維持するため、およびポリマー成分、例えばメイラードポリマーおよび多糖類を除去するために、中間限外濾過工程が好ましい。0.1μmステンレス鋼膜でのプレ濾過後、30kDa渦巻き型膜を用いて実施された試験は、30kDa膜による120〜150L/hの高い流量を示した。
【0131】
現行実施例は、100kDa膜が、30kDa膜と比較して、成分分別において何らかの利点を提供したかどうかを検証する。具体的には、実験室規模の100kDa膜(VivaFlow 50)が、50℃で40%(w/v)廃糖蜜を用いたその分別能力についてテストされた。
【0132】
[方法]
希釈された廃糖蜜(40%(w/v))が、6000gで1時間10℃において遠心分離され、1.6μmグラスファイバーフィルタ(ワットマン GF/A)を通して濾過された。50℃に保持された希釈廃糖蜜(40%w/v)が、新しいカセットを用いた別々の実験において、1バールおよび2.5バールで、100kDaポリエーテルスルホン膜(107mm×84mm×25mm、Vivaflow 50、Sartorius)を通して濾過された。追加実験(実験2)が、1バールにおける最初の試験に続いて、2バールで再生膜上で実施された。
【0133】
分析:次のテストが、各実験について、供給原料、透過物、および未透過物に対して実施された:総フェノール類、酸化防止剤活性、アコニット酸、多糖類、色彩(A420)pH、導電性、およびHPLCプロファイル。
【0134】
[結果]
table6は、Vivaflow 50直交流型膜(100kDa MWCO)を通した濾過後の色彩および組成における変化を示している。実験1は、1バール圧力で、実験3は、2.5バールで、実験ごとに新しい膜を用いて実施された。実験1における低い方の圧力は、管連結の漏れを埋め合わせるためであった。実験2は、実験1の後の再生膜を用いた。しかしながら、供給業者は、膜の再使用は勧められないと忠告した。
【0135】
【表10】
【0136】
実験1および3について、透過物中の色彩における有意な喪失があった(それぞれ48%および63%)。実験1についてのフェノール類および酸化防止剤の透過は71%であった。わずかにより高い背圧にある実験3について、フェノール類および酸化防止剤の透過は、それぞれ68%および64%であった。実験1および3について、シス−およびトランス−アコニット酸の透過は、92〜95%で高かったが、一方、多糖類は、9〜11%で低かった。これらのサンプルの逆相HPLCプロファイルが、各実験について測定された。ピーク高さはそれぞれの透過物において減少していたが、これらのサンプルにおいてどの個々のビークの喪失はなかった。
【0137】
table7は、約43%の廃糖蜜供給原料を用いて、膜濾過試験から収集されたデータを示している。0.1μm濾過後、植物化学物質またはアコニット酸においてほとんど減少はなかった。30kDa渦巻き型膜についての供給原料は、濾過プラントの始動容積によってかなり希釈された。(30kDa供給原料中の減少成分レベルからの)推定希釈は、1.57倍であった。これは、2.2g/Lの30kDa供給原料における推定多糖類レベルを生じる。透過物中の色彩喪失は、100kDa膜についてのものよりも高かった。30kDa膜を通る植物化学物質の透過は、植物化学物質について60%、アコニット酸について89%、および多糖類について95%であった。これらの試験において、30kDa供給原料における5.0への顕著なpH降下は、おそらくアニオン交換カートリッジによる故障によるものであった。
【0138】
【表11】
【0139】
[結論]
この実施例は、100kDa膜を用いた総フェノール類および酸化防止剤の透過(64〜71%)が、30kDa膜の透過(60%)よりもわずかに高いことを実証した。アコニット酸(89〜95%)および多糖類(9〜11%)の透過は、両方の膜について同様であった。すなわち100kDa膜は、植物化学物質(フェノール類および酸化防止剤)のわずかに高い透過を生じたが、アコニット酸および多糖類の同様な透過を生じた。色彩減少は、30kDa膜を用いた場合、より大きかった。
【0140】
したがって100kDa膜が、植物化学物質の透過の改良のために推奨されるが、多糖類および色彩の除去のためには30kDa膜に勝る利点は提供しない。
【実施例6】
【0141】
この実施例は、本発明の第一態様による抽出物を生成するためのゲル透過の使用を検証する。
【0142】
[方法]
Bio−Gel P−2カラム上の分取ゲル濾過が、100〜1800ダルトン(Da)の分子量範囲内にある希釈廃糖蜜(50%w/v)を分別するために用いられた。6つのクロマトグラフィ実験からの5つの分子量フラクションがプールされ、凍結乾燥された。これらのフラクションは、酸化防止剤活性、総フェノール類、HPLCプロファイル、および糖について分析された。
【0143】
廃糖蜜は、ゲル濾過緩衝液(10%アセトニトリルを含有する20mMアンモニウムホルメートpH5.0)中に50%(w/v)まで希釈され、6000gで1時間10℃で遠心分離された。上澄み液が、1.6μmGF/Aフィルタ(ワットマン)を通して濾過され、ゲル濾過クロマトグラフィへの使用のために−80℃で30mL分量中に凍結された。
【0144】
[ゲル濾過]
ガラスカラム(26mm×1000mm)に、60mL/hの流量で910mmの床高さまでBio−Gel P−2(BioRad、米国)が充填された。この床は、30mL/hで室温において10%アセトニトリルを含有する20mMアンモニウムホルメート緩衝液pH5.0含有中に平衡させられた。希釈廃糖蜜(20mLの50%w/v)が、カラムへ入れられ、5−mLフラクションが収集された。6つのゲル濾過実験が、全部で120mLの希釈廃糖蜜に対して実施された。最初の3つの実験からのフラクションが、色彩(A420)、総フェノール類、および酸化防止剤活性について分析された。最後の3つの実験について、酸化防止剤アッセイは省略された。フラクション容積は、1実験あたり約20管の重量を測り、1g/mLの密度を用いて平均フラクション容積を決定することによって重量測定により決定された。
【0145】
ゲル濾過カラムが、3つの標準、すなわちスクロース(360kDa)、NADH(663kDa)、およびビタミンB12(1355kDa)を用いて較正された。各標準についての分布係数(KDa)は、KDa=Ve−Vo/Vt−Voとして計算された。空隙容積は、ウシ血清アルブミンを用いて決定された。Bio−Gel P−2の分別範囲は、100〜1800Da(BioRad)である。
【0146】
凍結乾燥されたバルクフラクション:各ゲル濾過実験のために、個々のフラクションが、色彩(A420)、総フェノール類、および酸化防止剤のプロファイルにしたがって、5つの主要なフラクションにプールされた。各実験のためにプールされたフラクションは、table15に示されている。
【0147】
【表12】
【0148】
6つのゲル濾過実験後、各プール(プール1〜5)内の6つのサンプルが組み合わされた。10−mLサンプルが、各最終プールから取られ、残りは凍結乾燥された。
【0149】
色彩(A420):ゲル濾過フラクションが、超純水(Arium Model 611、Sartorius)で希釈され、吸光度がHeliosλ(Unicam)分光光度計で、420nmのところで読取られた。
【0150】
総フェノール類:総フェノール類は、フォリン−シオカルト比色分析手順(Kimら、2003年)によって決定された。75−mm試験管中の50μLの希釈サンプルへ、650μLの脱イオン水が添加された。非希釈フォリン−シオカルト試薬(50μL)が、各管へ添加された。溶液が混合され、5分間室温で放置された。最後に、500μLの7%Na2CO3が、反応溶液と混合され、750nmにおける吸光度が、90分後室温で読取られた。総フェノール類含量は、非希釈サンプル1mLあたりのカテキン当量μgで表示された。カテキン標準は、0〜250μg/mLの範囲内で調製された。
【0151】
酸化防止剤活性:当初、等容積の14mM ABTS(2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩)および4.9mMカリウムペル硫酸塩を含有する基質が調製され、暗室に室温で一晩保存された。アッセイに先立ち、この溶液は、超純水で約60倍希釈され、調節されると、734nmにおいて0.99〜1.01の吸光度を生じた。ABTS基質(1mL)が、75−mm試験管において26℃で5分間水浴中にプレインキュベートされ、50μLのサンプルまたは標準が添加された。溶液が混合され、26℃で45分間維持され、この時、吸光度が734nmにおいて測定された。酸化防止剤活性は、非希釈サンプル1mLあたりの没食子酸当量μgで表示された。没食子酸標準は、0〜25μg/mLの範囲内で調製された。
【0152】
RP−HPLCプロファイル:廃糖蜜抽出物の定性フィンガープリントが、システム制御器(モデルSCL−10AVP)、複式ポンプ(モデルLC10−AD)、光ダイオードアレー(PDA)検出器(モデルSPD−M10AVP)、およびデータ収集および分析のためのClass Vpバージョン6.14ソフトウエアを備えたシマズシステムで得られた。サンプル(10μL)が、30℃において30×4.6mm Luna 3μm C18(2)カラム(Phenomenex)で溶出された。流量は1.5mL/分であった。移動相は、次のとおりであった:相A、水中0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)、および相B、0.085%TFA中60%アセトニトリル。勾配プロファイルは、12分間5〜35%B、1分間35〜100%B、および3分間100%B、0.3分間100〜5%B、および4.7分間5%B再平衡であった。溶出ピークは、4nm波長段階で200〜400nmの吸光度スペクトル、および214、254、280、340、および400nmで個々のチャネルを測定するPDA検出器によって検出され、214nmクロマトグラムは、定期的に報告された。ゲル濾過サンプルは、5つの凍結乾燥プールから調製され、等濃度の総フェノール類を含有していた(1mLあたり1mgカテキン当量)。ゲル濾過のために用いられた廃糖蜜のサンプルは、2mgCE/mLを含有していた。
【0153】
糖分析:単糖類および二糖類が、システム制御器(モデルSCL−10AVP)、ポンプ(モデルLC−10ADVP)、屈折率検出器(モデルRID−10A)、およびClass Vp6.12ソフトウエアが取り付けられたシマズシステムを用いて、逆相HPLCによって分析された。サンプル(10μL)が、40℃で操作されている5−μm LC−NH2 Supelcosilカラム(250mm×4.6mm Phenomenex)中に注入された。移動相は、85%アセトニトリルであり、流量は1mL/分であった。サンプルは、20分間定組成的に溶出され、二重に分析された。グルコース、フルクトース、およびスクロースについての標準曲線が、同じ重量分析濃度の各々の糖を含有する4つの標準液を用いて、0.3〜1.2mg/mLの範囲内で調製された。三重の注入が、各標準液に対して行なわれた。
【0154】
SDS−PAGE:SDS−PAGEによる電気泳動法が、ミニ−Protean IIスラブ−ゲルシステム(BioRad)を用いて、12%アクリルアミドゲルに対して実施された。ゲル濾過からの凍結乾燥サンプルが、水中に溶解され(200mg/mL)、30uLが、等容積の負荷緩衝液中に消化された。15uLの容積(1.5mgの固体)がゲル上へ負荷された。電気泳動法は、ブロモフェノールブルー染料の先端(dye front)がゲルの底部に達した時に停止された。ゲルは、0.25%クーマシーブルーで染色され、デスクトップスキャナー(Scanjet 5400C、Hewlett Packard)で走査された。
【0155】
[結果]
Bio−Gel P−2の較正:Bio−Gel P−2カラム上で分子量を決定するための較正曲線が調製された。
【0156】
[ゲル濾過プロファイル]
廃糖蜜(実験3)からの色彩(A420)、酸化防止剤、および総フェノール類についてのゲル濾過プロファイル(実験3)が、図6および7に示されている。A420色彩プロファイルは、このカラムの空隙容積の近くで1つのピーク、およびフラクション62(MW 832 Da)において鋭いピークを示した。吸光度はついで徐々にベースラインまで減少した。酸化防止剤および総フェノール類のプロファイルは、互いに密接に合致していた。最初の2つの酸化防止剤/フェノールピークは、A420ピークと共溶出した。しかしながら、フラクション80(MW 352)における幅広い酸化防止剤/フェノールピークは、色彩ピークと対応しなかった。フラクション69〜100を含んでいるこのピークは、135〜599Daの分子量範囲を有し、低色彩フラボノイドとポリフェノール酸との混合物でありうる。
【0157】
スクロースおよび単糖類(グルコース+フルクトース)のプロファイルが、それぞれ図8および図9に示されている。このカラムは、スクロースおよび単糖類を部分的に分解することができた。スクロースは、酸化防止剤ピークの先導縁部で溶出され(プレフラクション80)、単糖類は、尾縁部で溶出された(ポストフラクション80)。したがって低色彩酸化防止剤ピークは、廃糖蜜のすべての単糖を含有する。
【0158】
低色彩酸化防止剤生成物が必要とされる膜濾過用途のために、600Daを下回る分子量領域を標的することが必要であろう。酸化防止剤のこれらの糖からの分離は、イオン排除クロマトグラフィによって可能になるであろう。
【0159】
[バルクゲル濾過プール]
6つのゲル濾過実験の各々のための5つのプールが解凍され、凍結乾燥前に組み合わされた。図10は、凍結乾燥前の組み合わされたプール(プール1〜5)の色彩を示している。プール1および2はどちらも非常に濃かった。すなわちプール1はわずかに濁っており、プール2は半透明であった。プール3〜5は、薄茶色から浅黄色までの漸減色彩を示した。
【0160】
table9は、凍結乾燥前の組み合わされたプールの組成および各プールについての平均分子量範囲を示している。質量計算から、低色彩酸化防止剤/フェノールピーク(図6および7)は、それぞれ49%の酸化防止剤活性および50%のフェノール類を含有していた。空隙容積において溶出する暗い色彩のピーク(プール1)は、14%の酸化防止剤活性を含有し、暗い色彩の鋭いピーク(プール2)は、28%を含有していた。カラムからの酸化防止剤活性の回復は70%であった。
【0161】
【表13】
【0162】
table10は、凍結乾燥後の組み合わされたプールの組成を示している。物理的特性に関して、プール1は、フワフワした生成物であり、硬くてバリバリしたテクスチャを有するプール2とはかなり異なっていた。プール3および4は、バリバリして吸湿性があり、それぞれ71%および64%糖を含有した。プール5は、暗くて粘り気があり、乾燥トレーから除去するのが難しく、結果としてかなりの生成物の損失を生じた。固体をベースとして(mgGAE/gの固体)、プール2(26%)およびプール5(34%)の凍結乾燥の時、酸化防止剤活性のかなりな損失があった。
【0163】
【表14】
【0164】
RP−HPLCプロファイル: 凍結乾燥ゲル濾過プールの逆相HPLCプロファイル(プロファイルb〜f)が調べられた。すべてのプロファイル間に顕著な差があり、これらは、プールを特徴決定するために用いることができるであろう。プール1は、唯一の小さいピークを有するだけの漸次上昇プロファイルを示した。おそらくはこのサンプルは、HPLCカラムによって個々のピークへ分解することができないであろう不均質ポリマー材料を含有する。プール2は、分子量範囲636〜1377Daを表し、暗褐色材料の鋭いピークを含む。このプールは、1分未満で溶出する最も親水性の材料、および勾配上のいくつかの十分に分解されたピークを示した。プール3および4は、低色彩酸化防止剤ピークを表し、これらのおのおののプロファイル間にかなりな差を示した。プール5は、低分子量フェノール酸、およびカラムに弱く結合されており、かつこれらの分子量にしたがって溶出されなかった、より高い分子量の化合物を代表しうるような一連のピークを示した。このプール中の親水性材料の割合は低く、その結果、このプロファイルの疎水性領域に、より大きいピーク高さを生じた。この廃糖蜜負荷サンプルは、いくつかのピークが、これらのプールにおいてあるいくつかの分子量範囲まで一致することを可能にし、同様に、どの廃糖蜜ピークが、ゲルへ弱く結合され、プール5において溶出されるかを示している。すべてのサンプルは、14.5分の時点で有意なピークを示したが、これは、クロマトグラフィと関連せず、この実験の終わりにカラムからのすべての結合材料を除去するためのアセトニトリルフラッシュを表す。興味深いことに、廃糖蜜中の比較的疎水性の化合物を表すこのピークは、これらのプールの分子量とともに減少した。
【0165】
SDS−PAGE: 凍結乾燥プールの変性電気泳動法が、これらの抽出物中のタンパク質材料を検出するために用いられた。タンパク質バンドは、これらの抽出物において14kDaより上では明白でなかった。プール1(レーン2)において、薄い染色が、染料前線の近くで観察されたが、これが染色タンパク質であるか、または不均一な染料前線からの残留クーマシーブルーであるかは不確かである。低分子量ポリペプチド(<10kDa)の検出は、トリス−トリシン緩衝液で16%ゲルを必要とするであろう。
【0166】
[結論]
ゲル濾過プロファイルは、420nmで測定された暗い廃糖蜜着色料が、カラムの空隙容積(>1800Da)において、および832Daで溶出されたことを示した。酸化防止剤活性および総フェノール類は、これら2つの色彩ピークと共溶出した。幅広い酸化防止剤/フェノールピークは、135〜599kDa間で溶出されたが、色彩ピークと関連しなかった。この酸化防止剤ピークは、すべてのスクロースおよび単糖類を含有していた。これは、49%の溶出酸化防止剤活性および50%の総フェノール類を含んでいた。結果として、廃糖蜜の暗い着色料の除去は、この生成物の酸化防止剤活性をほぼ半減するであろう。空隙容積の近くで溶出する暗い色彩のポリマー材料は、14%の溶出酸化防止剤活性を含んでいた。
【0167】
凍結乾燥ゲル濾過プールの量は、0.5g〜18gで変化し、高い質量が、糖を含有するこれら2つのプールについて得られた。酸化防止剤活性の回復は、これらの凍結乾燥プールのうちの3つにおいて92%超であったが、酸化防止剤活性における有意な損失が、プール2および5に見られた。
【0168】
凍結乾燥プールのHPLCフィンガープリントは、これらのサンプルを特徴決定するために用いることができるであろういくつかの明確な差を示した。変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるタンパク質分析は、すべての凍結乾燥サンプルにおいて14kDa以上で、タンパク質材料の不在を示した。プール1は、染料前線の近くでタンパク質染色のトレースを示した。これは、加水分解可能なタンニンに関連した結合タンパク質でありうるであろう。
【0169】
凍結乾燥サンプルは、その後、多糖類およびポリフェノール特徴決定について、および消化酵素を阻害するこれらの能力について分析されるであろう。
【0170】
この実施例は、廃糖蜜のゲル濾過によって得られた色彩プロファイルが、緩衝液のpHおよび/または組成に依存していること、および本発明による着色が少ない高酸化防止剤抽出物が生成されうることを証明している。pH7.5において、暗い色彩の大部分は空隙容積において溶出されたが、一方、pH5.0において、暗い色彩の第二ピークが、より低い分子量において観察された。pH5.0緩衝液は、ゲルの透過特性の変化に寄与した可能性のある10%アセトニトリルを含有していた。
【0171】
このようなより低い色彩の高酸化防止剤抽出物は、食品の色彩または官能特性を妨害せずにGIを減少させるため、発癌性を減少させるため、または身体組成を変化させるための食品への添加剤として有用であろう。さらには、本発明によるより低い色彩の抽出物は、製薬用途において、特に色彩および苦味が重要な課題である場合に有用である。
【実施例7】
【0172】
16個のフェノール化合物の濃度が、本発明の第一態様による廃糖蜜抽出物の2つのサンプル、および本発明の第一態様による廃糖蜜抽出物が噴霧された糖の1つのサンプルの酸性および塩基性水性フラクションにおいて決定された。これらのフェノール化合物は、これらのサンプルからのエチルアセテート抽出によって単離された。
【0173】
3つのサンプルが、評価のために受け取られた。各サンプルの詳細は、下に示されている。
サンプル1:廃糖蜜からのXAD結合フラクション(粉末)
サンプル2:廃糖蜜からのMF精製フラクション(30kDa透過物からの0.5kDa未透過物、粉末)[MFP]
サンプル3:低GI糖
【0174】
[方法]
サンプル調製−逆相固相抽出(SPE)クリーンアップ: C18SPEカートリッジ(4mL、600mg;Alltech Associates,Deerfield,III.)が、メタノール(3mL)および蟻酸(0.05%、6mL)で調整された。XAD結合フラクション(サンプル1)(189.5mg)が、容量フラスコにおいて水性蟻酸(0.05%、10mL)中に溶解された。この溶液のアリコート(3mL)が、カートリッジ上に負荷され、蟻酸(0.05%、5mL)で洗浄され、水性メタノール(20%、ついで60%、および100%、各々5mL)で溶出され、結果として三つのフラクションを生じた。大部分の褐色の色彩は、60%水性メタノールフラクション中で溶出するのが観察された。
【0175】
溶剤抽出: 各サンプルのアリコート(約200mg)が、酸性化されている(pH1.6)か、または塩基性化されている(pH9.6)水(10mL)中に溶解された。メチル−4−ホルミルベンゾエート(7.4μg)が、内部標準(ISTD)として各溶液へ添加された。混合物は、ついでエチルアセテートで抽出され(2×10mL)、溶剤が真空下で蒸発され(40℃)、混合物が、HPLCおよびLC/MS分析へ付される前に水性蟻酸(0.1%、5mL)中に再構成された。
【0176】
HPLC分析: HPLCは、2つの高圧LC−10ADVPポンプ、SIL−10ADVPオートサンプラー(250μLサンプリングループ)、CTO−1−ADVPカラムオーブン、およびSPD−M10ADVP光ダイオードアレー検出器を備えたシマズシステム(Shimadzu Inc.,Rydalmere,NSW,Australia)を用いて実施された。ポリフェノールの分離に用いられたカラムは、Luna C18(内径4.6mm×長さ250mm、粒子サイズ5μm、Phenomenex,Lane Cove,NSW,Australia)であった。分離のために用いられた移動相は、1mL分−1の流量下、水中2%TFA(A)およびアセトニトリル:水(1:1)中0.5%TFA(B)であった。検体は、次の線形勾配を用いて溶出された。すなわち、20分にわたる20〜50%B、10分にわたる50〜100%Bは、さらに10分間100%Bに留まった。検出は、280、320、および370nmで実施された。検体は、これらの溶出時間(およびLC/MS分析からの特徴的m/z断片、table2)と、基準試料(Sigma−Aldrich,Castle−Hill,NSW,Australia)のものとの比較によって同定された。
【0177】
LC−MS分析: LC−MS分析は、第四溶剤送達系およびオートサンプラーを備えたQuantum TSQ質量分析計(ThermoFinningan,NSW,Australia)で実施された。調査された各抽出物のアリコート(10μL)が、オーブンで30℃へ加熱されたUltracarb(商標)分析カラム(2.1×150mm、5μm粒子サイズ)、(Phenomenex,NSW,Australia)でクロマトグラフされた。移動相は、300μl/分の率で、水中0.5%蟻酸(A)およびアセトニトリル/水(1:1)中0.5%蟻酸(B)からなっていた。線形勾配が用いられた(19分にわたって20%B〜100%B)。クロロゲン酸の溶液を用いた最適化後に設定された条件下、負モードで電気スプレー源を用いて、イオンが発生された。
【0178】
[結果]
下に説明されているように、XADサンプルは、MFPおよび低GI糖サンプルよりも有意に高いレベルの16の選択されたフェノール化合物を含有することが発見された。トリシン−およびジオメチン−グリコシドを含むいくつかの追加成分が、LC−MS/MS実験によりXADサンプル中で暫定的に同定された。
【0179】
抽出研究方法: ポリフェノールフラクションのSPE−ベースの抽出が、最初に実施された。以前の発見事項から予想されるように、60%メタノールフラクションは、他の2つのメタノールフラクションよりも多くのポリフェノール化合物を含有していた(280、320、および370nmにおけるUV吸収を基準として)。しかしながら、SPE抽出からのUVトレースは、低信号対ノイズ比を示した。
【0180】
エチルアセテート抽出に基づく代替研究方法が、次いで用いられた。結果として生じたHPLCトレース(図12)は、SPEクリーンアップからのトレースよりも有意により豊富に、およびより良好な分解で、より多数のピークを示した。このようにしてエチルアセテート抽出物のみが、この調査の残りのために用いられた。エチルアセテート抽出は、できるだけ多くの化合物がこれらのサンプルから確実に抽出されるように、これらのサンプルの酸性化および塩基性化の両方の水溶液に対して実施された。
【0181】
選択されたポリフェノールの定量化:当初、選択された化合物の濃度が、メチル−4−ホルミルベンゾエートに対してこれら3つのサンプルの酸性および塩基性の両方の抽出物において定量的に決定された。しかしながらこの化合物は、強いマトリックス関連バイアスを示し、したがってその使用から得られた結果は疑わしかった。このようなバイアスを排除するために、p−クマル酸の外部較正曲線が確立され、定量的結果を得るために用いられた。各化合物は、3つの波長(280、320、または370nm)のうちの1つにおけるその最大UV吸光度を基準にして定量化された。個々の化合物についての応答要因は決定されず、したがって(p−クマル酸を除いて)すべての化合物の結果は、事実上半定量的である。選択された化合物について得られた結果は、図13に示されている。この図面において、
・aサンプルは、供給された形態で重さが測られた。抽出前にそれ以上の処理は適用されなかった。
・b分析は、強化されたサンプルサイズで実施された(MFPについて〜約800mg、糖について約1604mg)
・cトレース=0.1mg/Kg未満。
【0182】
図に示されているように、XADサンプルは、3つのサンプルすべてのうちで、これらのフェノール類に圧倒的に最も富んでいた。同様に、酸性XADおよびMFPフラクションは、対応塩基性フラクションと比較して、より多量のポリフェノール化合物を含有していた。このことは、フェノール酸、例えばクマル酸、フェルラ酸、およびシリング酸が、サトウキビ生成物の主要なフェノール成分であると以前に報告されていることを考慮すると、予想することができた。この糖サンプルは、XADおよびMFPサンプルと比較して、最も低量のポリフェノール化合物を含有していた。しかしながら、糖ポリフェノール類の多くは、XADおよびMFPサンプルと比較して、このサンプル中の(重量単位あたり)比較的高い糖含量によって、HPLC方法の検出限界以下である可能性があった。この問題を克服するために、増加されたサンプルサイズでの分析が、低GI糖中の追加化合物を検出するために実施された(酸性フラクションのみ)。強化されたサンプルサイズ分析はまた、検出される化合物の数を増加させるために、MFPサンプルについても実施された(酸性フラクションのみ)。
【0183】
いくつかのサンプル中の選択された化合物の存在/不存在(時間的制約による)は、LC−MS調査(例えば親−生成物反応、選択された反応の監視、および生成物特異的反応)によって確認された。図14は、各サンプルに対して実施されたLC−MS実験、および各検体について生成された情報を要約している。この図面において、トリシンのa同定は、基準対照化合物を得ることができず、したがって暫定的であるので、MS断片化にのみ基づいていた。
【0184】
図13において「検出されず」として示されているいくつかの化合物は、様々なLC−MS実験の間、いくつかのサンプル中に検出された(例えば、XAD−塩基性およびMFP−塩基性中のアピゲニン、MFP−酸性およびMFP−塩基性中の(−)−カテキンガレート、MFP−酸性およびMFP−塩基性中のルテオリン)。このことはおそらく、HPLC手法によって採用されたUV検出と比較して、選択された−反応−監視(SRM)モードにおいて実施されているLC−MS系の比較的良好な感受性によるものである。
【0185】
一連のLC−MS/MS実験が、与えられた時間枠内でできるだけ多くの追加フェノール成分を同定する試みにおいて、XAD−酸サンプルに対して実施された。主に標的された化合物は、サトウキビ抽出物中に以前に発見されたフラボングリコシド、ジオスメチン(抽出物中に既に検出されたジオスミンの遊離アグリコン)、および抽出物中に存在することが既に確認されているアグリコンを含有するグリコシド(アピゲニン、トリシン、ルテオリン、ケルセチン)を含んでいた。これらの結果は、下のtable11に要約されている。暫定的に同定された成分のいくつかは、下の構造によって図解されているような置換基の種類においてのみ異なる同様な構造を有する。
【0186】
【化1】
【0187】
【化2】
【0188】
【化3】
【0189】
【化4】
【0190】
【表15】
【0191】
SRMおよび生成物−特異的実験は、XAD−酸抽出物中の(table20に示されているものの)追加的トリシン−含有化合物の存在を強調した(図15)。しかしながらジオスメチン−含有化合物は、少なくともXAD−酸抽出物において支配基であるように見えるが、それは、これらのうちのいくつかが、生成物−特異的(m/z299)分析の間に検出されたからである(図16)。
【0192】
[結論]
サトウキビからのXADおよびMF粉末のHPLCおよびLCMS分析は、どちらも他の植物源中に見られたものと、レベルおよび混合においてまったく異なる、独特の範囲のポリフェノールおよびフラボノイドを含有することを示した。これらはまた、他の方法によって得られた抽出物中に見られるものとも異なっていた。
【0193】
予想されているように、XAD粉末は、MF粉末と比べて、より高い濃度のポリフェノールを有していた。分析された低GI糖中に見られるポリフェノールの一般的なパターンもまた、XADおよびMF粉末中に見られるものと同様であった。これは、向上した酸化防止剤活性および好ましい無機物バランスを有する新しい機能性成分を送達するために、精製糖または粗糖結晶を含浸/コーティングするための富化スプレー源としての高ブリックスシロップの形態におけるMF粉末の使用を強化した。
【0194】
これらの抽出物はまた、食品のGIに影響を与えること、および身体組成を修正することを包含する、臨床的利点を有する生成物を生成するためにも用いることができる。このようなシロップまたは粉末は、同様な機能的結果をもたらすために、他の食品源、例えば繊維および小麦粉を富化するためにも用いることができるであろう。
【実施例8】
【0195】
粗糖を低GI糖生成物へ転換するために、粗糖上に噴霧するのに適したスプレー溶液が、実施例1の30kDa膜透過物(P1)からのシロップから生成された。
【0196】
透過物(P1)は、15〜25のブリックス値を有する、約4.5g/Lポリフェノール、30g/Lフルクトース、30g/Lグルコース、および110g/Lスクロースを含んでいた。
【0197】
この透過物の貯蔵安定性は、60〜70ブリックスへの蒸発、および濃度における約4倍増加によって改良された。組成はこのようにして、約18g/Lポリフェノール、120g/Lフルクトース、120g/Lグルコース、および440g/Lスクロースであった。
【0198】
この濃縮シロップが、ベース糖上へ噴霧された。このベース糖は、(i)結晶質白糖および(ii)遠心段階における一次ミルまたは精製所からの製造過程の粗糖からなっていた。スプレー溶液の量は、ベース糖1kgあたりの当初ポリフェノール/植物化学物質含量に応じて様々であった。典型的には1〜12mLの濃縮スプレーシロップが、各々ベース糖1gへ添加された。すなわち、サトウキビの種類に応じた正確な量が加工処理される。サトウキビの糖のいくつかの種類について、十分な植物化学物質濃度は、(残留する還元糖の量および植物化学物質濃度に応じて)スプレーシロップの最小添加で得ることができるであろう。遠心処理後、糖は回転円筒糖乾燥機で乾燥され、排出に、適切なポリフェノール濃度が確実に得られるように、品質保証/品質制御テストのために、オンラインまたはオフラインのどちらかでサンプルが取られた。
【0199】
機能性食品成分としての使用のための生物活性富化生成物を生成するため、サトウキビの白糖、ビート糖、および他の担体、例えば繊維(例えばバガス)、および様々な穀物源からの小麦粉を含浸またはコーティングするために、同様な噴霧手順を用いることができる。
【実施例9】
【0200】
種々の加工処理ストリームが、本発明の限外濾過方法にしたがって調製された抽出物と比較して、ミルにおける粗糖の生産の間、および廃糖蜜の場合に分析された。
【0201】
サンプル: サンプルが、次の加工処理ストリームから収集された。すなわち、第一抽出ジュース(FEJ)、緩衝液タンク(BT)、ミルマッド濾過物(MMF)、ミルマッド(MM)、蒸発器供給ジュース(ESJ)、シロップ(SYR)、廃糖蜜(MOL)、および粗糖(RS)である。これらのサンプルは凍結保存され、テスト施設へ輸送された。
【0202】
沈降物除去: 液体サンプル(ジュースおよびミルマッド濾過物)が、5000rpmで10分間、5℃で遠心分離され、上澄み液が、ワットマンNo.1濾紙を通して真空濾過された。シロップ、廃糖蜜、および粗糖が、沈降物除去前にそれぞれ10%、10%、および40%に希釈された。無機物分析用サンプルは、沈降物除去のために処理されなかった。
【0203】
ミルマッド抽出物: ミルマッド抽出物が、20gのミルマッドを1分間、45mLの高温(60℃)脱イオン水中で均質化し、5000rpmで5分間遠心分離し、上澄液をデカントすることによって調製された。ペレットが、45mLの高温脱イオン水中に再抽出され、上澄み液が再び収集された。組み合わされた抽出物は、脱イオン水で100mLまで補われ、ワットマンNo.1濾紙を通して真空濾過された。
【0204】
分析: 次の分析方法が用いられた:
【0205】
【表16】
【0206】
[抽出物]
これらの廃糖蜜は、本発明の方法による次の工程段階を用いて数回抽出された:
(a)結果として生じる溶液の粘度が、約50℃の温度において50〜100センチポアズ、および30〜50ブリックスになるまで、これらの廃糖蜜を加熱および水で希釈する工程、
(b)連続脱スラッジ遠心分離機を用いて希釈剤を遠心分離し、上澄み液が、4バールの圧力、約30〜100L/時の流量を用い、35〜50℃の温度で、(0.1〜0.5ミクロンの)セラミックまたはステンレス鋼膜を通して直接加工処理される工程、
(c)工程(b)の溶液を75℃に加熱し、ついで不溶性カルシウムおよびマグネシウム塩の沈殿物が形成するまで、約20分間これをその温度範囲内に維持する工程、
(d)この混合物を、4バールの圧力、30〜100L/時の流量を用い、50℃の温度で、(0.1〜0.5ミクロンの)セラミックまたはステンレス鋼膜を通すことによって、この沈殿物および大きい微粒子物質を、工程(c)で生成された溶液から分離し、未透過物が捨てられ、透過物が収集される工程、および
(e)工程(d)から収集された透過物を、渦巻き型限外濾過膜の組み合わせを通すことによって処理する工程。
【0207】
限外濾過膜は、このプロセスが実施されるたびに交換された。これらの限外濾過膜は、1000〜50,000ダルトンの範囲内のサイズ排除を有していた。このようにして単離された抽出物は、図25に示された組成を有していた。この図面において、Perm=透過物、Ret=未透過物であり、このデータは、透過物および未透過物中の各廃糖蜜成分のパーセンテージを示している。
【0208】
[結果]
図17〜図24によって示されているように、異なる加工処理ストリームの組成は、幅広く様々である。さらには、これらの供給原料ストリームの組成は、サトウキビのバッチ毎に変わる。
【0209】
これらの図面において、次の省略形が用いられている:
・BT=緩衝液タンク
・MMF=ミルマッド濾過物
・MM=ミルマッド
・MME=ミルマッド抽出物(温水抽出物、20g/100mL総抽出物)
・ESJ=蒸発器供給ジュース
・SYR=シロップ
・MOL=廃糖蜜
・RS=粗糖
・FEJ=第一抽出ジュース(図17において、サンプルは、バッチ3から取られる。FEJサンプルは、バッチ1またはバッチ2には供給されなかった。)
【0210】
[結論]
これらの知見は、一次ミルサトウキビ加工処理ストリーム中の生物活性植物化学物質の分配を明らかに実証している。このような分配は、あるいくつかのストリームが、これらの植物化学物質の異なる商業的活用に適するであろうことを示している。
【0211】
清澄化ジュース、シロップ、廃糖蜜、およびミルマッド抽出物はすべて、生物活性物質、例えばポリフェノール/酸化防止剤、有機酸、および無機物の回収のための供給原料として可能性のある源である。廃糖蜜が好ましい源である。ミルマッドおよびバガスも、異なる組成が望まれる植物化学物質の有用源であり、特により高い濃度のポリコサノールおよびフィトステロールを有するが、より低い濃度の炭水化物を有するものである。
【0212】
これらの廃糖蜜から調製された5つの限外濾過抽出物は、各々、XADを用いたさらなる加工処理のための供給原料として用いられた。供給原料としてのこれらの抽出物の使用は、これらがXAD樹脂を汚染する機会を最小限にし、このようにしてこれらの樹脂の効率および使用可能な寿命を向上させるであろうという明らかな利点を提供する。
【実施例10】
【0213】
3つの別個の抽出プロセスが、本発明の第二態様による方法への使用に適した出発原料を調製するために、次のように実施された:
1. 繊維化されたサトウキビの先端部を、真空オーブンで1グループについて40℃で乾燥した。乾燥された材料は、約4時間ソックスレー抽出器を用いてn−ヘプタンで抽出された。この時間の間に、少なくとも10サイクルが完了された。抽出物は、無水硫酸ナトリウム上で乾燥され、乾燥に至るまで蒸発されると、サトウキビの先端部の乾燥重量を基準にして1.2%収率で油性/蝋質材料を生じた。
2. バガスが同様に処理された。乾燥された材料は、バガスの乾燥重量を基準にして0.65%収率で油性/蝋質材料を生じた。
3. ミルマッドが同様に処理された。乾燥された材料は、ミルマッドの乾燥重量を基準にして6.53%収率で油性/蝋質材料を生じた。
【0214】
これら3つの抽出物はついで、実施例9のプロセスに付され、本発明による3つの抽出物を生じた。これらの抽出物は、ポリフェノール含量は高かったが、糖含量は低く、糖が必要とされない用途には有用であろう。
【0215】
この実施例はまた、本発明の一部として記載された抽出物の生成において、一連の供給原料を利用することができることも証明している。
【実施例11】
【0216】
本発明の第二態様による方法が、ビオダンダから本発明による抽出物を生成するために用いられた。
【0217】
【表17】
【0218】
[結論]
この実施例において生成された抽出物は、ポリフェノール含量は高かったが、糖含量は低く、糖が必要とされない用途には有用であろう。この実施例はまた、ビオダンダが、本発明による抽出物を生成するのに有用な供給原料であることも証明している。
【実施例12】
【0219】
この実施例は、一次ミルからの廃糖蜜が、精製所とは異なる組成を有することを証明している。
【0220】
【表18】
【0221】
この実施例は、廃糖蜜源が様々であってもよいこと、およびこの要因は、本発明による抽出物の生成において考察される必要があることを実証している。
【実施例13】
【0222】
この実施例において、ミルマッドの組成が、本発明による抽出物を調製するための供給原料としてのその可能性を証明するために分析された。結果は図26に示されている。
【0223】
この実施例において生成された水性抽出物は、ポリフェノール含量は高かったが、糖含量は低く、ミルマッドは、糖が必要とされない用途のための抽出物を生成するのに有用であろうことを証明した。
【実施例14】
【0224】
次の表は、本発明による抽出物と比較した、国際特許出願WO2005/117608号パンフレットに開示されている方法を用いて得られた抽出物の差を示している。
【0225】
【表19】
【0226】
廃糖蜜供給原料は、加工処理されているサトウキビの変動性、および用いられる加工処理条件(特に混合ジュースを清澄化するための石灰処理および凝集工程において)の結果として、特に無機物組成において有意に様々であることに留意することが重要である。
【0227】
上記表は、本発明による方法が、国際特許出願第WO2005/117608号明細書に開示されている抽出物のものとは非常に異なる組成を有する抽出物を生成することを示している。この差は、単に用いられる廃糖蜜供給原料の差ではない。本発明による抽出物は、はるかに低いポリフェノール含量および他の植物化学物質のはるかに高い含量を有し、このことは、これをサトウキビの天然組成により近付ける。
【実施例15】
【0228】
この実施例は、実施例11におけるビオダンダから得られた抽出物を、実施例6からのプール1〜6と比較する。
【0229】
【表20】
【0230】
この明細書および特許請求の範囲において用いられている「含んでいる(comprising)」という単語、および「含んでいる」という単語の形態は、特許請求されている本発明を、いずれの変形例または追加例も排除するよう制限しているわけではない。
【0231】
本発明への修正例および改良例は、当業者には容易に明らかになるであろう。このような修正例および改良例は、この発明の範囲内にあるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GIまたは燃焼速度減少特徴を有する、サトウキビに由来する抽出物であって、一つ以上のポリフェノール、一つ以上の炭水化物、一つ以上の無機物、および一つ以上の有機酸の混合物を含む抽出物。
【請求項2】
前記抽出物が、粉末形態にあり、かつ1.5〜2.5重量%の一つ以上のポリフェノールと、50〜80重量%の一つ以上の炭水化物と、1〜3重量%の一つ以上の無機物と、1〜3重量%の一つ以上の有機酸とを含む、請求項1に記載の抽出物。
【請求項3】
前記抽出物が、シロップ形態にあり、かつ3.5〜6gCE/Lの一つ以上のポリフェノールと、80〜220g/Lの一つ以上の炭水化物と、3〜5.5g/Lの一つ以上の無機物と、3〜6gt−アコニット酸/Lの一つ以上の有機酸とを含む、請求項1に記載の抽出物。
【請求項4】
前記抽出物が、その工程の1つとして、分子量およびサイズによる分別を含む方法を用いて生成される、請求項1に記載の抽出物。
【請求項5】
前記分子量による分別が、膜濾過を用いて達成される、請求項4に記載の抽出物。
【請求項6】
前記分子量による分別が、ゲル濾過を用いて達成される、請求項4に記載の抽出物。
【請求項7】
前記抽出物が、粗サトウキビジュース、清澄化シロップ、濃縮シロップ、糖蜜、一次ミル廃糖蜜および精製所廃糖蜜、ゴールデンシロップ、ブラウンシュガー、バガス、ビオダンダ、畑屑、サトウキビストリッピング、髄、成長している尖端、パルプ、ミルマッド、およびこれらの混合物の供給原料ストリームからなる群から選択されたサトウキビ由来生成物に由来する、請求項1に記載の抽出物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の抽出物を含む食料品。
【請求項9】
前記抽出物の量は、前記食料品のグリセミック・インデックスを低下させるのに十分なものである、請求項8に記載の食料品。
【請求項10】
前記食料品が、ビート糖、繊維、穀物、およびこれらの混合物から選択された物質を含む、請求項8に記載の食料品。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の抽出物を含む、薬品、栄養補給食品、または美容用薬品としての使用のための調製物。
【請求項12】
GIまたは燃焼速度減少特徴を有する、サトウキビに由来する抽出物であって、1.5〜2.5重量%の一つ以上のポリフェノールと、50〜80重量%の一つ以上の炭水化物と、1〜3重量%の一つ以上の無機物と、1〜3重量%の一つ以上の有機酸とを含む粉末である抽出物。
【請求項13】
GIまたは燃焼速度減少特徴を有する、サトウキビに由来する抽出物であって、3.5〜6gCE/Lの一つ以上のポリフェノールと、80〜220g/Lの一つ以上の炭水化物と、3〜5.5g/Lの一つ以上の無機物と、3〜6gt−アコニット酸/Lの一つ以上の有機酸とを含むシロップである抽出物。
【請求項14】
サトウキビに由来する抽出物の生成方法であって、
(a)結果として生じる溶液またはマトリックスの粘度が、40〜60℃の範囲内の温度において約100センチポアズまたはそれ以下になるまで、サトウキビ由来生成物を加熱および希釈する工程と、
(b)(i)工程(a)からの前記生成物を遠心分離する工程、
あるいは、
(b)(ii)工程(a)からの前記生成物のpHを塩基で調節する工程と、
(c)工程(b)の前記生成物を70〜80℃の範囲内の温度に加熱し、次いで不溶性カルシウムおよびマグネシウム塩の沈殿物が形成するまで、ある時間これをその温度範囲内に維持する工程と、
(d)前記沈殿物および大きい微粒子物質を、工程(c)で生成された前記混合物から除去する工程と、
(e)工程(d)からの前記生成物を分子量およびサイズによる分別で処理し、所望の抽出物を単離する工程と
を含む方法。
【請求項15】
前記サトウキビ由来生成物は、粗サトウキビジュース、清澄化シロップ、濃縮シロップ、糖蜜、一次ミル廃糖蜜および精製所廃糖蜜、ゴールデンシロップ、ブラウンシュガー、バガス、ビオダンダ、畑屑、サトウキビストリッピング、髄、成長している尖端、パルプ、ミルマッド、およびこれらの混合物の供給原料ストリームからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程(a)において用いられる前記温度は、約50℃である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
工程(a)において達成される前記粘度は、50〜100センチポアズまたは30〜50ブリックスの範囲内にある、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
pHが、工程(b)(i)において、前記pHが7.2〜9.5の範囲内のpHへ調節される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
工程(e)における前記分別は、精密濾過、限外濾過、ナノ濾過、およびこれらの混合から選択される一つ以上の分別フィルタまたは膜を用いて実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
工程(e)は、工程(d)からの前記生成物を、100kDa〜1kDaの範囲内のサイズ排除を有する渦巻き型限外濾過膜の組み合わせを通過させることによって達成される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記限外濾過膜は、50kDa〜1kDaの範囲内のサイズ排除を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
工程(e)における前記分別は、ゲル透過を用いて実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
工程(e)から収集された前記生成物を、イオン交換クロマトグラフィ、疎水性クロマトグラフィ、限外濾過、ナノ濾過、ゲル透過、逆浸透、およびこれらの混合からなる群から選択された処理で精製して、所望の抽出物を単離する工程(f)をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
工程(f)は、工程(e)から収集された前記溶液を、0.5kDaナノ濾過膜で処理して、所望の抽出物を単離することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
植物化学物質抽出物の精製方法であって、
(a)結果として生じる溶液またはマトリックスの粘度が、40〜60℃の範囲内の温度において約100センチポアズまたはそれ以下になるまで、植物化学物質含有抽出物を加熱および希釈する工程と、
(b)(i)工程(a)の前記生成物を遠心分離する工程、
あるいは、
(b)(ii)工程(a)の前記生成物のpHを塩基で調節する工程と、
(c)工程(b)の生成物を70〜80℃の範囲内の温度に加熱し、ついで不溶性カルシウムおよびマグネシウム塩の沈殿物が形成するまで、ある時間これをその温度範囲内に維持する工程と、
(d)前記沈殿物および大きい微粒子物質を、工程(c)の前記生成物から除去する工程、
(e)工程(d)の生成物を分子量およびサイズによる分別で処理し、所望の抽出物を単離する工程と
を含む方法。
【請求項26】
前記植物化学物質抽出物は、カカオ豆、茶殻、鞘殻、コーヒー豆、コーヒー廃棄物、グレープポミス、穀物、豆科植物、ナッツ、脂肪種子、果物、野菜、飲料、および薬草生成物からなる群から選択された源に由来する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項25および26のいずれか一項に記載の方法を用いて生成された抽出物を含んでいる食料品。
【請求項28】
低GIを有する、請求項27に記載の食料品。
【請求項1】
GIまたは燃焼速度減少特徴を有する、サトウキビに由来する抽出物であって、一つ以上のポリフェノール、一つ以上の炭水化物、一つ以上の無機物、および一つ以上の有機酸の混合物を含む抽出物。
【請求項2】
前記抽出物が、粉末形態にあり、かつ1.5〜2.5重量%の一つ以上のポリフェノールと、50〜80重量%の一つ以上の炭水化物と、1〜3重量%の一つ以上の無機物と、1〜3重量%の一つ以上の有機酸とを含む、請求項1に記載の抽出物。
【請求項3】
前記抽出物が、シロップ形態にあり、かつ3.5〜6gCE/Lの一つ以上のポリフェノールと、80〜220g/Lの一つ以上の炭水化物と、3〜5.5g/Lの一つ以上の無機物と、3〜6gt−アコニット酸/Lの一つ以上の有機酸とを含む、請求項1に記載の抽出物。
【請求項4】
前記抽出物が、その工程の1つとして、分子量およびサイズによる分別を含む方法を用いて生成される、請求項1に記載の抽出物。
【請求項5】
前記分子量による分別が、膜濾過を用いて達成される、請求項4に記載の抽出物。
【請求項6】
前記分子量による分別が、ゲル濾過を用いて達成される、請求項4に記載の抽出物。
【請求項7】
前記抽出物が、粗サトウキビジュース、清澄化シロップ、濃縮シロップ、糖蜜、一次ミル廃糖蜜および精製所廃糖蜜、ゴールデンシロップ、ブラウンシュガー、バガス、ビオダンダ、畑屑、サトウキビストリッピング、髄、成長している尖端、パルプ、ミルマッド、およびこれらの混合物の供給原料ストリームからなる群から選択されたサトウキビ由来生成物に由来する、請求項1に記載の抽出物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の抽出物を含む食料品。
【請求項9】
前記抽出物の量は、前記食料品のグリセミック・インデックスを低下させるのに十分なものである、請求項8に記載の食料品。
【請求項10】
前記食料品が、ビート糖、繊維、穀物、およびこれらの混合物から選択された物質を含む、請求項8に記載の食料品。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の抽出物を含む、薬品、栄養補給食品、または美容用薬品としての使用のための調製物。
【請求項12】
GIまたは燃焼速度減少特徴を有する、サトウキビに由来する抽出物であって、1.5〜2.5重量%の一つ以上のポリフェノールと、50〜80重量%の一つ以上の炭水化物と、1〜3重量%の一つ以上の無機物と、1〜3重量%の一つ以上の有機酸とを含む粉末である抽出物。
【請求項13】
GIまたは燃焼速度減少特徴を有する、サトウキビに由来する抽出物であって、3.5〜6gCE/Lの一つ以上のポリフェノールと、80〜220g/Lの一つ以上の炭水化物と、3〜5.5g/Lの一つ以上の無機物と、3〜6gt−アコニット酸/Lの一つ以上の有機酸とを含むシロップである抽出物。
【請求項14】
サトウキビに由来する抽出物の生成方法であって、
(a)結果として生じる溶液またはマトリックスの粘度が、40〜60℃の範囲内の温度において約100センチポアズまたはそれ以下になるまで、サトウキビ由来生成物を加熱および希釈する工程と、
(b)(i)工程(a)からの前記生成物を遠心分離する工程、
あるいは、
(b)(ii)工程(a)からの前記生成物のpHを塩基で調節する工程と、
(c)工程(b)の前記生成物を70〜80℃の範囲内の温度に加熱し、次いで不溶性カルシウムおよびマグネシウム塩の沈殿物が形成するまで、ある時間これをその温度範囲内に維持する工程と、
(d)前記沈殿物および大きい微粒子物質を、工程(c)で生成された前記混合物から除去する工程と、
(e)工程(d)からの前記生成物を分子量およびサイズによる分別で処理し、所望の抽出物を単離する工程と
を含む方法。
【請求項15】
前記サトウキビ由来生成物は、粗サトウキビジュース、清澄化シロップ、濃縮シロップ、糖蜜、一次ミル廃糖蜜および精製所廃糖蜜、ゴールデンシロップ、ブラウンシュガー、バガス、ビオダンダ、畑屑、サトウキビストリッピング、髄、成長している尖端、パルプ、ミルマッド、およびこれらの混合物の供給原料ストリームからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程(a)において用いられる前記温度は、約50℃である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
工程(a)において達成される前記粘度は、50〜100センチポアズまたは30〜50ブリックスの範囲内にある、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
pHが、工程(b)(i)において、前記pHが7.2〜9.5の範囲内のpHへ調節される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
工程(e)における前記分別は、精密濾過、限外濾過、ナノ濾過、およびこれらの混合から選択される一つ以上の分別フィルタまたは膜を用いて実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
工程(e)は、工程(d)からの前記生成物を、100kDa〜1kDaの範囲内のサイズ排除を有する渦巻き型限外濾過膜の組み合わせを通過させることによって達成される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記限外濾過膜は、50kDa〜1kDaの範囲内のサイズ排除を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
工程(e)における前記分別は、ゲル透過を用いて実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
工程(e)から収集された前記生成物を、イオン交換クロマトグラフィ、疎水性クロマトグラフィ、限外濾過、ナノ濾過、ゲル透過、逆浸透、およびこれらの混合からなる群から選択された処理で精製して、所望の抽出物を単離する工程(f)をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
工程(f)は、工程(e)から収集された前記溶液を、0.5kDaナノ濾過膜で処理して、所望の抽出物を単離することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
植物化学物質抽出物の精製方法であって、
(a)結果として生じる溶液またはマトリックスの粘度が、40〜60℃の範囲内の温度において約100センチポアズまたはそれ以下になるまで、植物化学物質含有抽出物を加熱および希釈する工程と、
(b)(i)工程(a)の前記生成物を遠心分離する工程、
あるいは、
(b)(ii)工程(a)の前記生成物のpHを塩基で調節する工程と、
(c)工程(b)の生成物を70〜80℃の範囲内の温度に加熱し、ついで不溶性カルシウムおよびマグネシウム塩の沈殿物が形成するまで、ある時間これをその温度範囲内に維持する工程と、
(d)前記沈殿物および大きい微粒子物質を、工程(c)の前記生成物から除去する工程、
(e)工程(d)の生成物を分子量およびサイズによる分別で処理し、所望の抽出物を単離する工程と
を含む方法。
【請求項26】
前記植物化学物質抽出物は、カカオ豆、茶殻、鞘殻、コーヒー豆、コーヒー廃棄物、グレープポミス、穀物、豆科植物、ナッツ、脂肪種子、果物、野菜、飲料、および薬草生成物からなる群から選択された源に由来する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項25および26のいずれか一項に記載の方法を用いて生成された抽出物を含んでいる食料品。
【請求項28】
低GIを有する、請求項27に記載の食料品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17−1】
【図17−2】
【図18−1】
【図18−2】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17−1】
【図17−2】
【図18−1】
【図18−2】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2010−503417(P2010−503417A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528551(P2009−528551)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【国際出願番号】PCT/AU2007/001382
【国際公開番号】WO2008/034180
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(506381821)ホリズン サイエンス ピーティーワイ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【国際出願番号】PCT/AU2007/001382
【国際公開番号】WO2008/034180
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(506381821)ホリズン サイエンス ピーティーワイ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]